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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118818
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】溶出防止剤投入装置
(51)【国際特許分類】
   F23K 1/00 20060101AFI20240826BHJP
   F23K 3/02 20060101ALN20240826BHJP
【FI】
F23K1/00 Z
F23K1/00 B
F23K3/02 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025340
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】角谷 貢
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和広
(72)【発明者】
【氏名】迫谷 聡介
(72)【発明者】
【氏名】高光 浩彰
(57)【要約】
【課題】ボイラ内への溶出防止剤の円滑な供給を維持できる溶出防止剤投入装置を提供すること。
【解決手段】溶出防止剤投入装置1は、石炭を燃焼するボイラ100内に粒状又は粉状の溶出防止剤2を送り出す投入配管60と、ボイラ100に向かって流れる冷却空気Fを投入配管60に供給する冷却空気供給部70と、を備え、冷却空気供給部70は、投入配管60のボイラ100側に位置する先端部621側とボイラ100とは反対側の基端部611側との少なくとも一方から冷却空気Fを供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を燃焼するボイラ内に粒状又は粉状の溶出防止剤を送り出す投入配管と、
前記ボイラに向かって流れる冷却空気を前記投入配管に供給する冷却空気供給部と、を備え、
前記冷却空気供給部は、前記投入配管の前記ボイラ側に位置する先端部側と前記ボイラとは反対側の基端部側との少なくとも一方から冷却空気を供給する溶出防止剤投入装置。
【請求項2】
前記冷却空気供給部は、少なくとも前記投入配管の前記ボイラ側に位置する先端部側から冷却空気を供給する請求項1に記載の溶出防止剤投入装置。
【請求項3】
前記投入配管の少なくとも先端部は、その材質が耐熱性材料であり、前記ボイラ内に位置する請求項2に記載の溶出防止剤投入装置。
【請求項4】
前記投入配管に振動を与える振動機構を更に備える請求項2に記載の溶出防止剤投入装置。
【請求項5】
溶出防止剤を投入可能な漏斗状の投入口と、
前記投入口から投入された溶出防止剤を貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留される溶出防止剤同士の凝集を防止する凝集防止機構と、
前記貯留部の下部に接続され、溶出防止剤を前記ボイラ側に送り出すフィーダと、を更に備え、
前記投入配管は、前記フィーダから送り出される溶出防止剤を前記ボイラ内に送り出す請求項1~4のいずれかに記載の溶出防止剤投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶出防止剤投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭を燃焼するボイラ内に粒状又は粉状の溶出防止剤を投入する溶出防止剤投入装置が知られている。この種の技術が記載されているものとして例えば特許文献1がある。特許文献1には、石灰石粉を受け入れて貯留するサイロと、サイロの底部に設けられ、石灰石粉の定量的な切り出しを行うフィーダと、フィーダから切り出される石灰石粉を、圧縮空気を輸送媒体として搬送する空気輸送配管系等から構成される装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-89093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1に記載の装置のように、空気輸送配管系等の投入配管を用いてボイラ内に溶出防止剤を送り出す場合、ボイラ内の熱により投入配管の先端部の内周面が劣化すると、該内周面の肌荒れが生じることが多い。この先端部の内周面における肌荒れにより、粒状又は粉状の溶出防止剤の流動性が低下し、投入配管の先端部で該溶出防止剤が滞留してしまう。
【0005】
本発明は、ボイラ内への溶出防止剤の円滑な供給を維持できる溶出防止剤投入装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、石炭を燃焼するボイラ内に粒状又は粉状の溶出防止剤を送り出す投入配管と、前記ボイラに向かって流れる冷却空気を前記投入配管に供給する冷却空気供給部と、を備え、前記冷却空気供給部は、前記投入配管の前記ボイラ側に位置する先端部側と前記ボイラとは反対側の基端部側との少なくとも一方から冷却空気を供給する溶出防止剤投入装置に関する。
【0007】
前記冷却空気供給部は、少なくとも前記投入配管の前記ボイラ側に位置する先端部側から冷却空気を供給してもよい。
【0008】
前記投入配管の少なくとも先端部は、その材質が耐熱性材料であり、前記ボイラ内に位置してもよい。
【0009】
前記投入配管に振動を与える振動機構を更に備えていてもよい。
【0010】
溶出防止剤を投入可能な漏斗状の投入口と、前記投入口から投入された溶出防止剤を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留される溶出防止剤同士の凝集を防止する凝集防止機構と、前記貯留部の下部に接続され、溶出防止剤を前記ボイラ側に送り出すフィーダと、を更に備え、前記投入配管は、前記フィーダから送り出される溶出防止剤を前記ボイラ内に送り出してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ボイラ内への溶出防止剤の円滑な供給を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る溶出防止剤投入装置及び溶出防止剤投入装置によって溶出防止剤が投入されるボイラの一部を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る溶出防止剤投入装置の投入配管の先端部側を示す図である。
図3】冷却空気供給部及び振動機構を備えない溶出防止剤投入装置の投入配管の先端部側の拡大模式図であり、投入配管の先端部に溶出防止剤が滞留している状態を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る溶出防止剤投入装置の投入配管の先端部側の拡大模式図であり、溶出防止剤が円滑にボイラ内に投入される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本発明の一実施形態に係る溶出防止剤投入装置1は、石炭を燃焼することによって発電する火力発電設備においてボイラ100内に溶出防止剤2を投入する装置である。図1は溶出防止剤投入装置1及び溶出防止剤投入装置1によって溶出防止剤2が投入されるボイラ100の一部を示す概略図である。図2は溶出防止剤投入装置1の後述する投入配管60の先端部621側を示す図である。なお、図1及び図2では、紙面上下方向を鉛直方向(上下方向)Yとし、鉛直方向Yに直交する紙面左右方向を水平方向Xとしている。
【0015】
ボイラ100は、その炉内101において微粉炭機(図示省略)から供給された石炭を燃焼する。また、ボイラ100には、溶出防止剤投入装置1によって溶出防止剤2が添加される。図1に示すように、ボイラ100の側壁110には、溶出防止剤投入装置1の後述する投入配管6の先端部621を挿入するための開口113と、開口113を塞ぐ覗窓120が設けられる。作業者は、覗窓120から炉内101を目視することができる。
【0016】
ボイラ100で石炭を燃焼すると、排ガスが発生するとともに、クリンカアッシュ及びフライアッシュ等の石炭灰が生成される。燃焼によって生成される石炭灰には、ホウ素、フッ素、セレン、ヒ素、六価クロム等の有害微量元素を微量ながら含んでいる。
【0017】
溶出防止剤2は、石炭又は石炭灰に対して添加することで、燃焼によって生成される石炭灰中に含まれる有害微量元素の溶出を抑制できる粒状又は粉状の薬剤である。溶出防止剤としては、例えば炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等が挙げられる。
【0018】
次に、本実施形態に係る溶出防止剤投入装置1について図1及び図2を参照しながら説明する。溶出防止剤投入装置1は、ホッパ10と、導入管20と、貯留部30と、凝集防止機構40と、フィーダ50と、投入配管60と、冷却空気供給部70と、振動機構80と、制御部90と、を備える。
【0019】
ホッパ10は、全体として逆円錐形であり、その上面に溶出防止剤2を投入可能な漏斗状の投入口11を有する。投入口11の下端には、導入管20が接続される開口が形成される。
【0020】
導入管20は、投入口11の下端から下方に延びる配管である。導入管20は、その下端が貯留部30内に位置するように設けられる。作業者によって投入口11から投入された溶出防止剤2は、導入管20を介して貯留部30に供給される。
【0021】
貯留部30は、溶出防止剤2を貯留する槽である。貯留部30は、上側に円筒形状に形成される円筒部31と、下側に中空の略円錐形状に形成される円錐部32と、円錐部32の下端から下方に延び、溶出防止剤2を排出する排出管33と、を有する。円錐部32の側壁には、後述する圧縮空気供給配管422が接続される複数の開口321が形成される。排出管33の下端は、フィーダ50に連通可能に接続される。
【0022】
凝集防止機構40は、貯留部30に貯留される溶出防止剤2同士の凝集を防止する。凝集防止機構40は、撹拌装置41と、空気供給装置42と、を備える。
【0023】
撹拌装置41は、貯留部30に貯留された溶出防止剤2を撹拌する装置である。撹拌装置41は、先端部に撹拌羽根413が設けられるシャフト411と、シャフト411をその軸方向を中心に回転させるモータ412とを有する。シャフト411の撹拌羽根413は、円錐部32における排出管33側に配置される。モータ412の駆動によりシャフト411が回転すると、撹拌羽根413がシャフト411の軸方向を中心に回転する。この撹拌羽根413の回転により溶出防止剤2を貯留部30の下側から効率的に撹拌することで、溶出防止剤2同士の凝集を防止できる。
【0024】
空気供給装置42は、貯留部30内に圧縮空気を供給する装置である。空気供給装置42は、エアコンプレッサ421と、圧縮空気供給配管422と、を備える。エアコンプレッサ421は、圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を貯留部30内に供給する装置である。圧縮空気供給配管422は、エアコンプレッサ421と貯留部30との間を圧縮空気が流通する流路が形成される配管である。圧縮空気供給配管422は、エアコンプレッサ421から貯留部30に向かって延びる1本の主管424と、主管424の貯留部30側の端部から分岐する複数の分岐管425と、を有する。主管424には、圧縮空気の流路を開閉可能な開閉弁423が設けられる。複数の分岐管425のそれぞれは、図1に示すように、貯留部30における円錐部32の開口321に接続される。即ち、圧縮空気供給配管422内の流路と貯留部30内は、複数の開口321を介して連通する。この構成により、エアコンプレッサ421によって生成された圧縮空気は、圧縮空気供給配管422を介して複数の開口321から貯留部30の円錐部32の内部に送られる。これにより、貯留部30の下側から送風される圧縮空気によって溶出防止剤2を分散させることができる。また図1に示すように、圧縮空気供給配管422が接続される複数の開口321のうち少なくとも1つは、上下方向Yにおいて撹拌羽根413と同じ位置に配置される。この構成により、回転している撹拌羽根413に接触している溶出防止剤2に直接、圧縮空気を当てることができるので、より確実に溶出防止剤2の凝集を防止できる。
【0025】
フィーダ50は、貯留部30の下部に接続され、溶出防止剤2をボイラ100側に送り出す装置である。具体的にはフィーダ50は、水平方向Xに延び、その上面が排出管33の下端に接続され、先端部が投入配管60に接続される。フィーダ50は、その内部に配置され、水平方向Xに延びる螺旋状のスクリュ51と、スクリュ51を回転させるモータ52と、を有する。モータ52の駆動によってスクリュ51が回転すると、貯留部30の排出管33から排出された溶出防止剤2は、スクリュ51の軸方向に送り出され、投入配管60に供給される。
【0026】
投入配管60は、ボイラ100内に溶出防止剤2を送り出す配管である。投入配管60は、フィーダ50側に位置し、鉛直方向Yの下方に延びる鉛直部61と、鉛直部61の下端からボイラ100側に向かって斜め下方に延びる傾斜部62と、を有する。
【0027】
鉛直部61には、その内部とフィーダ50内を連通するようにフィーダ50が接続されるとともに、その下端側に開閉弁64が設けられる。開閉弁64は、投入配管60内での溶出防止剤2の通過を許可する開状態と、溶出防止剤2の通過を阻止する閉状態とに切り替え可能な弁である。また鉛直部61の上端、即ち投入配管60におけるボイラ100とは反対側に位置する基端部611には、後述する上流側冷却空気供給部71が接続される。
【0028】
傾斜部62は、その下端、即ち投入配管60のボイラ100側に位置する先端部621がボイラ100の炉内101に位置する。具体的には、ボイラ100には、その側壁110に設けられた開口113及び覗窓120を介して、傾斜部62の先端部621側の一部が路外102から炉内101に挿入されている。覗窓120には、投入配管60が挿通する貫通孔121が形成される。貫通孔121は、少なくともその内周面が耐火材によって形成される。耐火材の材質としては、例えば耐火レンガ等が挙げられる。フィーダ50から供給された溶出防止剤2は、投入配管60内を通り、先端部621の開口622からボイラ100の炉内101に送り出される。炭酸カルシウム等を石炭に混合して燃焼させる場合、カルシウムにより灰融点が低下し、溶融した石炭灰が、ボイラ100の熱交換部(図示省略)に巨大な塊として成長する現象(スラッギング・ファウリング)が起こるリスクがある。一方で、本実施形態のようにボイラ100に直接、溶出防止剤2を投入することで、上記現象が起こすリスクを低減できる。また、溶出防止剤2の投入量を容易に制御できる。
【0029】
傾斜部62の先端部621の材質は、耐熱性材料であることが好ましい。耐熱性材料とは、耐熱温度が1000℃以上の金属であり、例えば合金やセラミック、アルミナ等が挙げられる。上記合金としては、例えば、Ni、Cr、Fe、Mo、W等を含有する合金(例えば、ヘインズ社製 ハステロイ(登録商標)シリーズ)を含有する合金が挙げられる。本実施形態では、傾斜部62の先端部621及びボイラ100の内壁111よりも炉内101側の部分の素材が耐熱性材料であるが、投入配管60全体の材質が耐熱性材料であってもよく、投入配管60における下流側冷却空気供給部72との接続部分付近までの材質が耐熱性材料であってもよい。
【0030】
冷却空気供給部70は、ボイラ100に向かって流れる冷却空気Fを投入配管60に供給する。冷却空気供給部70は、上流側冷却空気供給部71と下流側冷却空気供給部72とを備える。冷却空気Fの温度は、常温以下、例えば35℃以下の空気を使用してもよい。
【0031】
上流側冷却空気供給部71は、投入配管60の基端部611側から冷却空気Fをボイラ100に向かって供給する。上流側冷却空気供給部71は、上流側冷却空気生成部711と、上流側冷却空気供給配管712と、を備える。上流側冷却空気生成部711は、圧縮された冷却空気Fを生成し、生成した冷却空気Fを投入配管60内に供給する装置である。上流側冷却空気供給配管712は、その一端が上流側冷却空気生成部711に接続され、他端が投入配管60の基端部611に接続される配管である。上流側冷却空気供給配管712には、上流側冷却空気生成部711と投入配管60との間を冷却空気Fが流通する流路が形成される。また上流側冷却空気供給配管712には、冷却空気の流路を開閉可能な開閉弁713が設けられる。上流側冷却空気生成部711を駆動させ、開閉弁713を開くと、冷却空気Fが投入配管60内を基端部611からボイラ100に向かって流れる。これにより、フィーダ50から供給される溶出防止剤2をボイラ100側に効率的に押し流すとともに、投入配管60全体の温度の上昇を抑制することができる。
【0032】
下流側冷却空気供給部72は、投入配管60の先端部621側から冷却空気Fをボイラ100に向かって供給する。なお、本明細書において投入配管60の先端部621側とは、例えば傾斜部62の長さ方向の中央部よりもボイラ100側であり、かつボイラ100の側壁110の外壁112から投入配管60に沿って基端部611側に約3.5mの位置から先端部621までの範囲を意味している。
【0033】
下流側冷却空気供給部72は、下流側冷却空気生成部721と、下流側冷却空気供給配管722と、を備える。下流側冷却空気生成部721は、冷却空気Fを生成し、生成した冷却空気Fを傾斜部62内に供給する装置である。下流側冷却空気供給配管722は、その一端が下流側冷却空気生成部721に接続され、他端が投入配管60の先端部621側に接続される配管である。下流側冷却空気供給配管722には、下流側冷却空気生成部721と投入配管60との間を冷却空気Fが流通する流路が形成される。また下流側冷却空気供給配管722には、冷却空気の流路を開閉可能な開閉弁723が設けられる。なお、本実施形態では、下流側冷却空気生成部721からボイラ100の開口113までの距離は、約50m~100mである。
【0034】
図2に示すように、本実施形態では、ボイラ100の側壁110の外壁112から下流側冷却空気供給配管722における投入配管60との接続部まで間隔d1は、投入配管60に沿って0.20m~0.30mである。
【0035】
下流側冷却空気生成部721を駆動させ、開閉弁723を開くと、冷却空気Fが投入配管60内を先端部621側からボイラ100に向かって流れる。これにより、溶出防止剤2をボイラ100側に効率的に押し流すとともに、投入配管60の先端部621の内周面632の温度の上昇を抑制することができる。
【0036】
振動機構80は、投入配管60の外周面631に配置され、投入配管60に振動を与える。振動機構80は、複数の振動子81~83を備える。振動子83は、外周面631における鉛直部61と傾斜部62との境界付近に配置される。振動子82は、外周面631における傾斜部62の長さ方向の中心部と振動子73との間に配置される。振動子81は、外周面631における先端部621側に配置される。より具体的には、振動子81は、先端部621側の外周面631における下流側冷却空気供給配管722との接続部よりも基端部611側に配置される。
【0037】
振動子81は、投入配管60を挟んで互いに対向する位置に配置される振動子811及び振動子812によって構成される。本実施形態では、振動子811が上側の外周面631に配置され、振動子812が下側の外周面631に配置される。また図2に示すように、本実施形態では、ボイラ100の外壁112から振動子811まで間隔d2は、投入配管60に沿って0.35m~0.45mである。またボイラ100の外壁112の外壁112から振動子812までの間隔d3は、投入配管60に沿って0.35m~0.45mである。振動子81~83を振動させることで、傾斜部62の内周面632全体に振動を伝えることができ、より円滑に溶出防止剤2をボイラ100内に送り出すことができる。
【0038】
ここで、冷却空気供給部70及び振動機構80による効果について図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、冷却空気供給部70及び振動機構80を備えない溶出防止剤投入装置の投入配管60の先端部621側の拡大模式図であり、投入配管60の先端部621に溶出防止剤2が滞留している状態を示す図である。図4は、溶出防止剤投入装置1の投入配管60の先端部621側の拡大模式図であり、溶出防止剤2が円滑にボイラ100内に投入される様子を示す図である。
【0039】
図3に示す投入配管60の先端部621は、ボイラ100の炉内101に位置するので、その内周面632が炉内101の熱により劣化し、肌荒れRが発生している。この熱劣化による肌荒れRにより、溶出防止剤2が内周面632を円滑に流れなくなり、開口622が塞がれる場合がある。
【0040】
これに対して、本実施形態に係る溶出防止剤投入装置1では、図4に示すように、冷却空気供給部70からボイラ100に向かって投入配管60内に冷却空気Fが供給されるので、ボイラ100内に位置する先端部621における内周面632の熱上昇を抑制できる。この結果、投入配管60の内周面632の劣化が抑制され、肌荒れRの形成が抑制されるので、溶出防止剤2をより円滑に炉内101に送り出すことができる。また先端部621側に配置される一対の振動子81の振動が先端部621に伝達されるので、先端部621の内周面632に肌荒れRが形成されている場合であっても、開口622付近における溶出防止剤2の滞留を防止できる。
【0041】
制御部90は、プロセッサによって構成される演算装置であり、溶出防止剤投入装置1の駆動を制御する。具体的には制御部90は、撹拌装置41のモータ412、空気供給装置42の圧縮空気供給配管422に設けられた開閉弁423、フィーダ50のモータ52、開閉弁64、上流側冷却空気生成部711、下流側冷却空気生成部721、開閉弁713、723、振動機構80等の駆動を制御する。
【0042】
以上説明した本実施形態に係る溶出防止剤投入装置1によれば、以下のような効果を奏する。
【0043】
本実施形態に係る溶出防止剤投入装置1は、石炭を燃焼するボイラ100の炉内101に粒状又は粉状の溶出防止剤2を送り出す投入配管60と、ボイラ100に向かって流れる冷却空気Fを投入配管60に供給する冷却空気供給部70と、を備え、冷却空気供給部70は、投入配管60のボイラ100側に位置する先端部621側とボイラ100とは反対側の基端部611側との少なくとも一方から冷却空気Fを供給する。
【0044】
これにより、投入配管60内においてボイラ100に向かって冷却空気Fを流すことができるので、溶出防止剤2を円滑にボイラ100内に押し出すことができるとともに、先端部621側の内周面632の温度上昇を抑制することができる。ボイラ100の炉内101の熱による肌荒れRの発生等の先端部621の内周面632の劣化を抑制できるので、ボイラ100内への溶出防止剤2の円滑な供給を維持することができる。
【0045】
また本実施形態に係る溶出防止剤投入装置1において、冷却空気供給部70は、少なくとも投入配管60のボイラ100側に位置する先端部621側から冷却空気Fを供給する。
【0046】
これにより、投入配管60の先端部621の内周面632に低温の冷却空気Fをより確実に供給することができ、溶出防止剤2の円滑な供給を維持できる。
【0047】
また本実施形態に係る溶出防止剤投入装置1において、投入配管60の少なくとも先端部621は、その材質が耐熱性材料であり、ボイラ100内に位置する。
【0048】
これにより、ボイラ100の炉内101の熱による先端部621の劣化を抑制できる。
【0049】
また本実施形態に係る溶出防止剤投入装置1は、投入配管60に振動を与える振動機構80を更に備える。
【0050】
これにより、投入配管60内における溶出防止剤2の滞留を防止することができる。
【0051】
また本実施形態に係る溶出防止剤投入装置1は、溶出防止剤2を投入可能な漏斗状の投入口11と、投入口11から投入された溶出防止剤2を貯留する貯留部30と、貯留部30に貯留される溶出防止剤2同士の凝集を防止する凝集防止機構40と、貯留部30の下部に接続され、溶出防止剤2をボイラ100側に送り出すフィーダ50と、を更に備え、投入配管60は、フィーダ50から送り出される溶出防止剤2をボイラ100内に送り出す。
【0052】
これにより、投入口11が漏斗状であり、溶出防止剤2の投入が容易であるとともに、貯留部3で溶出防止剤2同士の凝集を防止し、貯留部3から排出された溶出防止剤2をフィーダ50から効率よく投入配管60に送り出すことができる。よって、多量の溶出防止剤2を円滑にボイラ100内に供給することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく適宜変更が可能である。
【0054】
上記実施形態では、冷却空気供給部70は上流側冷却空気供給部71と下流側冷却空気供給部72の両方を備えていたが、上流側冷却空気供給部71と下流側冷却空気供給部72の何れかを備える構成であってもよい。
【0055】
上記実施形態では、投入配管60は鉛直部61と傾斜部62を有する構成であったが、鉛直部61と傾斜部62に分かれておらず、投入配管60全体がボイラ100側に向かって斜め下方に延びる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 溶出防止剤投入装置
2 溶出防止剤
60 投入配管
611 基端部
70 冷却空気供給部
71 上流側冷却空気供給部
72 下流側冷却空気供給部
621 先端部
100 ボイラ
F 冷却空気
図1
図2
図3
図4