(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011882
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】薬剤使用支援システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240118BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114191
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】淺野 稔浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】伊集院 太一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薬剤使用状況に基づく支援を行う薬剤使用支援システムを提供する。
【解決手段】薬袋26に設けられる通信デバイス11と、薬剤情報を記憶し管理する端末13と、を含む薬剤使用支援システム1であって、端末は、薬剤の情報を取得する第1のトリガー情報を読み取る読取部、通信デバイスと無線通信を行う通信部、薬剤の管理情報を記憶する記憶部、薬剤の管理情報を含む薬剤使用管理画面を表示する表示部及び通信デバイスとの通信により、薬剤の使用状況を判定する制御部を備える。通信デバイスは、電磁波遮蔽材に遮蔽されていないときは端末と通信可能状態であり、通信可能状態において第2のトリガー情報を前記通信部に送信する。前記制御部は、第1のトリガー情報を取得すると、前記記憶部に記憶する薬剤の管理情報を前記表示部に表示し、第2のトリガー情報を取得すると、薬剤の使用状況を判定し、薬剤の管理情報に、薬剤の使用状況を表示させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤に設けられる通信デバイスと、薬剤情報を記憶し管理する端末と、を含む薬剤使用支援システムであって、
前記端末は、
前記薬剤の情報を取得する第1のトリガー情報を読み取る読取部と、
前記通信デバイスと無線通信を行う通信部と、
前記薬剤の管理情報を記憶する記憶部と、
前記薬剤の管理情報を含む薬剤使用管理画面を表示する表示部と、
前記通信デバイスとの通信により、前記薬剤の使用状況を判定する制御部と、
を備え、
前記通信デバイスは、電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽材に遮蔽されているときは前記端末と通信不可状態であり、前記電磁波遮蔽材に遮蔽されていないときは前記端末と通信可能状態であり、前記通信可能状態において第2のトリガー情報を前記通信部に送信し、
前記制御部は、前記第1のトリガー情報を取得すると、前記記憶部に記憶する前記薬剤の管理情報を前記表示部に表示し、前記第2のトリガー情報を取得すると、前記薬剤の使用状況を判定し、前記薬剤の使用状況を前記表示部に表示する前記薬剤の管理情報に表示させる、薬剤使用支援システム。
【請求項2】
前記通信デバイスは、前記薬剤に設けられ、固有のタグ識別情報を記憶する、周囲の電磁波からエネルギーを得て動作する無線タグであって、
前記薬剤は、患者の皮膚に接触する面とは反対側の面に前記通信デバイスが設けられる貼付剤である、請求項1に記載の薬剤使用支援システム。
【請求項3】
前記通信デバイスは、前記薬剤が前記皮膚に接触したとき通信不可状態となり、
前記制御部は、前記電磁波遮蔽材が外されたときに通信可能となり、前記第2のトリガー情報を取得すると、この状態を前記患者が前記薬剤を使用する行為と判定し、前記第2のトリガー情報の取得後、前記通信デバイスと通信不可となると、前記薬剤の使用開始と判定し、前記薬剤の使用開始後に前記通信デバイスと通信不可が継続されている間を薬剤使用期間と判定する、請求項2に記載の薬剤使用支援システム。
【請求項4】
前記通信デバイスは、温度センサを有し、
前記制御部は、前記電磁波遮蔽材が外されたときに通信可能となり、前記第2のトリガー情報を取得すると、この状態を前記患者が前記薬剤を使用する行為と判定し、前記第2のトリガー情報の取得後、前記温度センサで前記患者の体温を検出したときに前記薬剤の使用開始と判定し、前記温度センサで前記体温を検出している間を薬剤使用期間と判定する、請求項2に記載の薬剤使用支援システム。
【請求項5】
前記薬剤使用管理画面は、前記薬剤の薬剤情報、前記薬剤の使用方法、薬剤使用期間、薬剤使用回数、薬剤使用忘れ、薬剤の種類、薬剤の貼付された状態を含む、請求項1に記載の薬剤使用支援システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信デバイスとの通信状況に基づいた前記薬剤の使用状況を判定し、前記薬剤の使用方法と異なると判定したときに、アラートを発報する、請求項5に記載の薬剤使用支援システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記薬剤の薬剤使用設定期間を経過するまえに、前記通信デバイスから前記第2のトリガー情報を取得すると、アラートを発報する、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の薬剤使用支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤の使用を支援する薬剤使用支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関や調剤薬局から処方された薬剤は、患者が誤った薬剤を使用しないように、薬剤使用方法が記載された薬袋や指導箋に従って薬剤使用の指導をする手段が取られている。
【0003】
また、患者の薬剤使用忘れ防止のため、無線通信機器を利用し、患者の薬剤使用状況を管理し通知する手段も知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、管理センタで薬剤使用情報を一括して管理しつつ、薬剤の使用時間に、無線通信を介して患者の携帯電話に通知を行なう医薬品服用督促報知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術では、患者が処方された薬剤の使用方法に従って薬剤を使用しようとしても、薬剤使用のタイミングを逸してしまったり、忘れてしまったりすることがあり、薬剤使用方法の指示通りに確実に薬剤を使用することが困難な場合がある。
【0006】
また、使用する薬剤の種類や量、使用するタイミング等、ばらつきがある場合は、異なる薬剤を間違えて使用したり、使用順序や使用量、使用回数を間違えたりする虞があり、実際の患者の薬剤使用状況の確認や監視はできず、また、患者への通知に薬剤使用状況は考慮されていない。
【0007】
そこで、本発明は、薬剤使用状況に基づく支援を行うことができる薬剤使用支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る薬剤使用支援システムは、薬剤に設けられる通信デバイスと、薬剤情報を記憶し管理する端末と、を含む薬剤使用支援システムであって、前記端末は、前記薬剤の情報を取得する第1のトリガー情報を読み取る読取部と、前記通信デバイスと無線通信を行う通信部と、前記薬剤の管理情報を記憶する記憶部と、前記薬剤の管理情報を含む薬剤使用管理画面を表示する表示部と、前記通信デバイスとの通信により、前記薬剤の使用状況を判定する制御部と、を備え、前記通信デバイスは、電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽材に遮蔽されているときは前記端末と通信不可状態であり、前記電磁波遮蔽材に遮蔽されていないときは前記端末と通信可能状態であり、前記通信可能状態において第2のトリガー情報を前記通信部に送信し、前記制御部は、前記第1のトリガー情報を取得すると、前記記憶部に記憶する前記薬剤の管理情報を前記表示部に表示し、前記第2のトリガー情報を取得すると、前記薬剤の使用状況を判定し、前記薬剤の使用状況を前記表示部に表示する前記薬剤の管理情報に表示させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、薬剤使用状況に基づく支援を行うことができる薬剤使用支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤使用支援システムの構成を示す説明図。
【
図2】同薬剤使用支援システムの構成を示す説明図。
【
図3】同薬剤使用支援システムに用いられる貼付剤及び通信デバイスの構成を示す平面図。
【
図4】同貼付剤及び通信デバイスの構成を示す断面図。
【
図5】同貼付剤及び通信デバイスを包装袋に収容した状態を示す平面図。
【
図7】同貼付剤に用いられた保護フィルムの使用の一例を示す説明図。
【
図8】同薬剤使用支援システムに用いられる管理サーバの構成を示すブロック図。
【
図9】同薬剤使用支援システムに用いられる端末の構成を示すブロック図。
【
図10】同薬剤使用支援システムの通信デバイス及び端末のシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤使用支援システム1の構成を示す説明図であり、
図2は、薬剤使用支援システム1の構成であって、使用の一例を示す説明図である。
図3は、薬剤使用支援システム1に用いられる貼付剤10及び通信デバイス11の構成を示す平面図であり、
図4は、貼付剤10及び通信デバイス11の構成を示す断面図である。
図5は、貼付剤10及び通信デバイス11を包装袋25に収容した状態を示す平面図であり、
図6は、包装袋25を開封した状態を示す説明図である。
図7は、貼付剤10に用いられた保護フィルム23の一例を示す説明図である。
図8は、薬剤使用支援システム1に用いられる管理サーバ12の構成を示すブロック図であり、
図9は、薬剤使用支援システム1に用いられる端末13の構成を示すブロック図である。
図10は、薬剤使用支援システム1の通信デバイス11及び端末13のシーケンス図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、薬剤使用支援システム1は、薬剤10に用いられる通信デバイス11、管理サーバ12及び端末13を有する。
図2に示すように、薬剤使用支援システム1は、端末13により、第1のトリガー情報としてのコード28、例えばQRコード(登録商標)を読み取り、医療機関が定めた薬剤10の投与方法を端末13に記憶し、更にこれをトリガーに、薬剤10の種類、説明、画像等の薬剤10の管理情報を管理サーバ12から取得し端末13に記憶する。また、薬剤使用支援システム1は、第2のトリガー情報を通信デバイス11から取得し、これら取得した各種情報に基づいて端末13によって薬剤10の使用状況を取得及び/又は判定し、使用者(患者)の薬剤の使用を管理するシステムである。また、薬剤使用支援システム1は、例えば、端末13が第2のトリガー情報を取得すると、記憶した管理情報に基づいて薬剤使用支援を管理するアプリケーションの画面を端末13に表示し、該アプリケーションの画面に薬剤10の管理情報を表示し、患者が管理情報を視認可能とすることで、薬剤10の管理情報を患者に提供する。また、薬剤使用支援システム1は、通信デバイス11との通信により通信デバイス11から取得する使用状況、QRコード28及び管理サーバ12から取得した管理情報に基づいて、端末13により患者の薬剤10の使用状況を判定し、誤った使用と判断すると、端末13により、アラートを患者へ発報する。
【0013】
図1に示すように、薬剤使用支援システム1において、各構成要素は通信手段によって情報の送受信が行われる。具体例として、通信デバイス11と端末13とは、Bluetooth(登録商標)等の比較的近距離の無線通信手段により接続されることを想定する。また、具体例として、管理サーバ12と端末13とは、ネットワークNWを介して、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimaxなどの比較的遠距離の無線通信回線を介して接続される。なお、管理サーバ12と端末13とは、USB(Universal Serial Bus)やケーブルによるLAN(Local Area Network)接続といった有線通信回線を介して接続されてもよい。また、通信デバイス11、管理サーバ12及び端末13は、上述した通信手段に限定されず、他の通信手段によって接続される構成であってもよい。
【0014】
薬剤10は、種々の疾患に用いられる。
図3及び
図4に示すように、薬剤10は、例えば、人体に貼付する貼付剤である。以下、薬剤10を貼付剤10として説明する。貼付剤10は、例えば、気管支喘息、虚血性心疾患、高血圧、過活動膀胱、アルツハイマー病、パーキンソン病、注意欠陥・多動性障害、総合失調症、うつ、閉経後骨粗鬆症、吐き気、アレルギー、鎮痛、禁煙、不妊等の治療において用いられる。貼付剤10は、経皮吸収によって薬物を患者の体内に送り込む。貼付剤10は、使用する種類、時間、回数等が定められる。
【0015】
図5に示すように、貼付剤10は、例えば、包装袋25に包装され、薬局から処方されたときに、所定数の包装袋25に包装された貼付剤10が、
図2に示すように、管理用の薬袋26に、指導箋27とともに収容される。また、
図6に示すように、貼付剤10は、使用時に、包装袋25を開封し、包装袋25から取り出されることで、使用される。
【0016】
具体例として、
図3及び
図4に示すように、貼付剤10は、シート状の支持体21と、支持体21の一方の主面に設けられた膏体22と、膏体22の表面を保護する保護フィルム23と、を備える。また、貼付剤10は、例えば、包装袋25に収容され、密封される。
【0017】
支持体21は、一方の主面に膏体22が設けられる。また、支持体21は、他方の主面に通信デバイス11が設けられる。支持体21は、例えば、粘着性を有する材料で形成されるか、又は、通信デバイス11が設けられる面に粘着性を有する粘着層が形成され、通信デバイス11を着脱可能に構成される。例えば、通信デバイス11を着脱可能な支持体21は、通信デバイス11が設けられる面に粘着剤が設けられていてもよく、また、支持体21全体が粘着性を有している材料によって形成されていてもよい。なお、支持体21は、樹脂材料で形成されたシートにより形成され、両面テープや接着剤等により通信デバイス11が固定され、通信デバイス11の着脱ができないか、又は、着脱が困難な構成であってもよい。
【0018】
膏体22は、薬物及び粘着剤により形成される。膏体22は、皮膚に接触することで、含有される薬物を経皮吸収可能に構成される。
【0019】
保護フィルム23は、患者の皮膚に膏体22を貼付する前において、膏体22を覆うことで、膏体22を保護する。患者の皮膚(肌)に膏体22を貼付させるときに、
図7に示すように、保護フィルム23は、膏体22から剥がされる。包装袋25は、単数又は複数の貼付剤10を包装し、密封する。
【0020】
また、保護フィルム23及び包装袋25の少なくとも一方は、電磁波を遮蔽する機能を有する材料で形成される電磁波遮蔽材である。例えば、保護フィルム23は、電磁波を遮蔽するシールド性を有する。保護フィルム23は、膏体22を保護しているときに、支持体21に設けられた通信デバイス11からの電磁波を遮蔽するか、又は、通信デバイス11を通信不可状態とする。包装袋25は、例えば、電磁波を遮蔽するシールド性を有する。包装袋25は、貼付剤10を包装しているときに、支持体21に設けられた通信デバイス11からの電磁波を遮蔽するか、又は、通信デバイス11を通信不可状態とする。例えば、保護フィルム23は、膏体22に貼付されているときに、通信デバイス11を通信不可状態とし、膏体22から剥がされることで、通信デバイス11が起動し、通信デバイス11を通信可能状態とする。
【0021】
図2に示すように、薬袋26は、例えば、患者の指名、用法、用量、調剤年月日、調剤した薬剤師名、調剤した薬局又は病院若しくは診療所等の名所及び所在地等の情報が表示された袋である。
図2に示すように、指導箋27は、薬剤の名称、効能、用法、用量、治療スケジュール等の薬剤情報が表示された患者向け資材である。
【0022】
また、貼付剤10、貼付剤10に設けられる通信デバイス11、貼付剤10を包装する包装袋25、薬袋26及び指導箋27の少なくともいずれかに、貼付剤10に情報を紐づけたコード28が印刷や印刷されたシールを貼付すること等により設けられる。
【0023】
コード28は、例えば、一次元コード又は二次元コードであり、具体例としてQRコードである。以下、コード28をQRコード28として説明する。QRコード28は、端末13において、管理する貼付剤10の情報を取得するための第1のトリガー情報である。QRコード28は、貼付剤10の情報がコード化されたものである。ここで、貼付剤10の情報とは、例えば、貼付剤10自体の情報、貼付剤10にあらかじめ定められている投与方法等の情報、又は、患者に合わせた貼付剤10の使用方法(用法、用量、治療スケジュール)等、薬剤の使用を医者又は薬剤師が患者ごとに定めた情報であり得る。なお、第1のトリガー情報は、管理サーバ12から端末13が取得する情報と紐付いていれば良いことから、貼付剤10の情報ではなく、患者の情報であってもよい。即ち、第1のトリガー情報は、貼付剤10の情報に加えて、その他の情報を含んでいてもよく、また、貼付剤10の情報自体であってもよい。
【0024】
通信デバイス11は、端末13と無線通信を行う。通信デバイス11の電波方式は一般的なものであり、記録されている情報を端末13が読み取ることのできるものであれば、その形式は問わず、周波数帯は433MHz、900MHz帯、2.45GHzのいずれのものを使用してもよい。通信デバイス11に用いられる無線通信技術は、例えば、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energy (BLE)(登録商標)である。通信デバイス11は、例えば、アクティブタグであってもよく、また、パッシブタグであってもよい。
【0025】
通信デバイス11がアクティブタグである場合には、通信デバイス11は、電池や電力供給回路等を有する構成であってもよく、また、環境発電を行うタグであってもよい。好適には、通信デバイス11は、環境発電を行い、バッテリーレスのタグである。即ち、通信デバイス11は、周囲の電磁波からエネルギーを得て動作する無線タグである。例えば、環境発電型無線タグとしては、IoTセンシング・ラベル「Wiliot IoT ピクセル」(Wiliot社製)が挙げられる。通信デバイス11は、温度センサが内蔵されているタイプもある。
【0026】
具体例として、通信デバイス11は、例えば、整合回路を含むタグアンテナ11aと、ICチップ11bと、を備える。また、通信デバイス11は、温度センサ11cを有する。ICチップ11bは、固有のタグ識別情報を記憶し、端末13との通信時に、固有のタグ識別情報を送信する。温度センサ11cは、例えば、ICチップ11bに内蔵される。通信デバイス11は、リーダライタを介して端末13と通信するRFIDタグであってもよい。
【0027】
通信デバイス11は、例えば、貼付剤10の支持体21に固定され、包装袋25に貼付剤10とともに包装される。なお、通信デバイス11は、包装袋25から取り出した貼付剤10の支持体21に、患者が貼付する構成であってもよい。
【0028】
通信デバイス11は、患者の皮膚に貼付剤10が貼付されるとき、並びに、保護フィルム23で膏体22が保護されているとき及び/又は包装袋25に包装されているときに、電磁波が遮蔽され、通信不可となる。通信デバイス11は、皮膚に貼付する前に、包装袋25から取り出すか、又は、保護フィルム23を剥がしたときに、電磁波の遮蔽が解除され、通信可能となる。通信デバイス11は、端末13と通信することで、第2のトリガー情報を端末13に送信する。また、通信デバイス11は、第2のトリガー情報に加えて、通信デバイス11が設けられる貼付剤10の情報を端末13に送信してもよい。
【0029】
管理サーバ12は、管理装置の一例であり、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、表示機器、入力機器及び通信機器を有するコンピュータである。管理サーバ12は、複数の貼付剤10に関する各種データを管理するためのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の大容量記憶装置を有する。当該大容量記憶装置をデータベースと呼ぶことにする。例えば、管理サーバ12は、貼付剤10に関する各種データをデータベースに記憶し、また、貼付剤10の使用状況を管理する。なお、管理サーバ12は、オンプレミスサーバに限らず、クラウドサーバであってもよい。
【0030】
具体例として、
図8に示すように、管理サーバ12は、取得部31と、制御部32と、格納部33と、を含む。取得部31及び制御部32は、例えばプロセッサで実現され、格納部33は、例えばメモリ及び大容量記憶装置で実現される。
【0031】
取得部31は、端末13から貼付剤10の使用状況を取得する。この貼付剤10の使用状況は、例えば、通信デバイス11及び端末13の通信情報、通信デバイス11及び端末13の通信及び非通信の間隔や通信日時等の時間や期間、及び/又は、通信デバイス11からの送信された情報及び該情報に基づいて端末13で取得又は判定した患者の貼付剤10の使用に関する情報等である。また、取得部31は、貼付剤10の使用に関する端末13に入力された情報を取得する。
【0032】
制御部32は、例えば、端末13に対して、貼付剤10等の情報を通信する通信制御を行う。格納部33は、端末13に送信する患者が使用する貼付剤10の情報、並びに、端末13で薬剤使用支援に用いるアプリケーションプログラム(アプリ又はアプリケーションと称することもある)及び更新データなどを記憶し、管理する。ここで、貼付剤10の情報とは、例えば、薬剤使用支援のための管理情報である。管理情報としては、貼付剤10の情報、貼付剤10の使用方法等の使用説明、投与方法としての貼付剤の貼付時間(期間)及び回数等の貼付剤10を使用するための情報である。例えば、管理情報は、製薬会社又は製薬会社から情報を提供されている会社や病院から取得した貼付剤10の一般的な情報である。また、貼付剤10の情報には、例えば、患者が使用する貼付剤10の名称、機能、効能、用途等の指導箋27の薬剤情報や、貼付剤10の画像データ等の患者によって変わることのない情報が含まれる。
【0033】
端末13は、患者の薬剤使用(貼付剤10の使用)において、端末13により支援(管理)を受ける患者が使用する通信端末である。なお、端末13は、患者が必ず使用する必要はなく、例えば、端末13は、患者の家族や補助者、医療関係者が使用する通信端末であってもよい。端末13は、例えば、持ち運び可能な携帯端末である。端末13は、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット等のモバイル端末、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイス、ノートPCが挙げられる。なお、端末13は、薬剤使用の支援(管理)専用に構成された通信デバイスであってもよい。端末13は、例えば、薬剤使用の支援専用のアプリケーションプログラムが搭載されている。なお、端末13は、例えば、薬剤使用の支援専用のWebブラウザにアクセスする構成であってもよい。
【0034】
ここで、アプリケーションは、薬剤使用の支援(管理)に用いられるが、管理以外の機能を有していてもよい。例えば、薬剤使用の支援専用のアプリケーションは、例えば、患者へ指示を出すことで、手入力で情報を入力させて、指導箋27の薬剤情報またはQRコード28等にコード化できない薬剤使用に関する情報を入手させる機能や、QRコード28等にコード化ができない薬剤写真や薬剤の詳細説明などの情報を、予めアプリケーションプログラムに登録しておき、薬剤情報とともに読み出される機能を有していても良い。また、アプリケーションは、管理サーバ12と端末13が通信するときに、薬剤使用アプリの薬剤に関する写真や詳細説明などの情報を随時新しい情報に更新する機能を有していても良い。
【0035】
具体例として、
図9に示すように、端末13は、通信部41と、入力部42と、表示部43と、読取部44と、メモリ(記憶部)45と、プロセッサ(制御部)46と、を備える。
【0036】
通信部41は、通信デバイス11及び管理サーバ12と通信を行う。通信部41は、例えば、近距離通信器411と、遠距離通信器412と、を備える。
【0037】
近距離通信器411は、Bluetooth等の無線通信の規格に準拠した無線通信モジュールを搭載し、近距離無線通信を行なう。近距離通信器411は、通信デバイス11との間で各種データの送受信を行うとともに、通信デバイス11が設けられる貼付剤10の使用状況を受信する。
【0038】
遠距離通信器412は、携帯通信網、WimaxおよびWi-Fi等の無線通信の規格を用いた遠距離通信を行なう。遠距離通信器412は、管理サーバ12との間で、遠距離通信回線(ネットワークNW)を介して各種データの送受信を行なう。
【0039】
入力部42は、患者の指示を電気信号に変換する入力機器である。入力部42は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、端末13に内蔵されてもよいし、端末13に外付けされてもよい。入力部42は、例えば、操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、各種スイッチ等である。なお、入力部42は、音声入力装置であってもよい。入力部42からの電気信号は、バスを介してプロセッサ46に供給される。
【0040】
表示部43は、プロセッサ46の処理に応じて、画像を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。表示部43は、音声、楽曲などを出力するためのスピーカ、及び、振動によって情報を出力するバイブレータを含んでいてもよい。このため、「表示部」は「出力部」と読み替えてもよい。表示部43は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LEDディスプレイなどである。表示部43は、貼付剤10の表示データを表示する。表示部43は表示手段の一例である。
【0041】
読取部44は、第1のトリガー情報であるQRコード28を読み取るリーダであり、例えば、スキャナや撮像装置である。例えば、端末13がスマートフォンである場合には、読取部44は、スマートフォンに搭載された撮像装置としてのカメラである。読取部44は、QRコード28が読み取り範囲内にあるときに、QRコード28の情報を第1のトリガー情報として読み取る。
【0042】
メモリ45は、各種データを記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)(登録商標)、ROM、RAM、HDD、SSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ45は、物理的に一つのメモリ装置により実現されてもよいし、物理的に分離された複数のメモリ装置により実現されてもよい。
【0043】
メモリ45は、プロセッサ46が各処理を実現するために当該プロセッサ46によって実行されるプログラム、アプリケーションプログラムおよび当該プロセッサ46によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ45は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。アプリケーションプログラムとしては、例えば、OS上で、薬剤使用の支援(管理)のために動作する応用ソフトウェアである。また、メモリ45は、データベースを構築し、管理サーバ12から受信した貼付剤10の情報、通信デバイス11の固有ID等の情報を記憶するとともに、通信デバイス11との通信状態、通信開始時間、通信遮断時間、通信回数、通信した情報等の各種情報を記憶する。
【0044】
プロセッサ46は、CPUやマイクロプロセッサ等の演算装置である。なお、プロセッサ46は、FPGA、DSP、GPU、ASICまたはその他の汎用または専用のプロセッサ等であってもよい。プロセッサ46は、メモリ45に保存された各種プログラムを実行することで、薬剤使用の支援としての機能(処理)、及び、通信部41を介して通信デバイス11及び管理サーバ12との間で通信を行い、通信デバイス11及び管理サーバ12から取得した情報を管理する機能(処理)を実行する。プロセッサ46は、メモリ45に保存されたプログラム及び/又はアプリケーションプログラムを実行することで、通信制御部461、取得部462と、生成部463と、判定部464と、処理部465としての、各機能を実現する。なお、プロセッサ46内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。また、通信制御部461、取得部462、生成部463、判定部464及び処理部465は、一のプロセッサ46が担うものとしたが、物理的に分離した複数のプロセッサが分担してもよい。
【0045】
通信制御部461は、近距離通信器411を介して接続が確立した通信デバイス11との間で情報の送受信を行う。また、通信制御部461は、遠距離通信器412を介して管理サーバ12との間で、貼付剤10の情報の送受信を行う。
【0046】
無線接続の確立については、例えば、Bluetoothであれば、一般的なペアリング接続により無線接続が確立されればよく、Wi-Fiであれば、Wi-Fiのアクセスポイントに予め設定されたSSIDおよびパスワードを入力することで、無線接続が確立されればよい。
【0047】
例えば、通信制御部461は、近距離通信器411を制御して、通信デバイス11との通信を行う。例えば、通信制御部461は、アドバタイズパケットを送信した通信デバイス11に接続要求を送信する。また、通信制御部461は、近距離通信器411を介して、通信デバイス11との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、患者の操作に応じて、通信デバイス11にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部461は、通信デバイス11との接続を確立するための何らかのデータ、例えば、予め管理サーバ12から通信デバイス11の情報を受信し、通信デバイス11にリクエストを送信することもあり得る。また、通信制御部461は、通信デバイス11に接続要求を送信後、通信デバイス11とGATT通信を行う。通信制御部461は、例えば、一度、通信デバイス11との無線接続が確立していれば、次回以降、通信デバイス11と自動的に無線接続が確立される。
【0048】
取得部462は、読取部44で読み取ったQRコード28から、薬剤情報としての貼付剤10の情報又は患者情報である第1のトリガー情報を取得する。貼付剤10の情報としては、例えば、投与方法としての貼付剤の貼付時間(期間)及び回数等の貼付剤10を使用するための情報である。取得部462は、第1のトリガー情報に基づき管理サーバ12から受信した、薬剤使用支援のための管理情報を取得する。管理情報としては、貼付剤10の情報、貼付剤10の使用方法等の使用説明である。貼付剤10の情報には、貼付剤10の名称、機能、効能、用途、画像データ等が含まれる。また、管理情報としては、これらに限定されず、薬剤使用支援に用いる情報が適宜含まれる。また、取得部462は、通信デバイス11から第2のトリガー情報を取得するとともに、通信デバイス11との通信状況を取得する。ここで、通信デバイス11との通信状況とは、例えば、第2のトリガー情報の取得後、通信デバイス11との通信切断の情報及び期間、通信デバイス11との通信切断後の通信の情報及び期間等である。取得部462は、これら取得した情報をメモリ45に格納する。
【0049】
生成部463は、取得部462で取得した管理情報に基づいて、患者に投与する貼付剤10の管理パターンを生成する。管理パターンは、例えば、貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)及び時間帯、期間、回数等である。また、異なる貼付剤10を貼付する場合や、複数の貼付剤10を異なる期間貼付する場合等には、異なる貼付剤10の貼付の順番や、タイムスケジュール等を含み得る。また、生成部463は、取得部462で取得した管理情報及び生成した管理パターンに基づいて、アプリケーションを実行したときに表示部43に表示する薬剤使用管理画面の表示パターンを生成する。ここで、表示パターン(薬剤使用管理画面)としては、
図2に示す一例のように、貼付剤10の情報、貼付剤10の使用方法、管理(支援)の準備の可否、使用する薬剤の種類の正否、治療状況、貼付剤10を貼付する期間(時間)、貼付剤10を貼付する回数、貼付剤10の使用状態の良否等が含まれる。
【0050】
貼付剤10の情報は、例えば、指導箋27は、薬剤の名称、効能、用法、用量等の薬剤情報を含む。治療状況は、例えば、貼付剤10の使用忘れを含む。貼付剤10を貼付する期間(時間)は、例えば、患者が貼付剤10を貼付した期間である薬剤使用期間及び患者が貼付剤10を貼付する期間を含む。貼付剤10を貼付する回数は、例えば、患者が貼付剤10を使用した回数である薬剤使用回数及び患者が貼付剤10を貼付する回数を含む。貼付剤10の使用状態の良否は、例えば、実際に患者に貼付された貼付剤10の状態を判定した結果を含む。
【0051】
判定部464は、通信デバイス11の通信状況から患者が使用している貼付剤10の使用状況を判定するとともに、管理情報である貼付剤10の種類や使用方法と患者が使用している貼付剤10の使用状況とが異なるか否かを判定する。判定部464は、例えば、取得部462で取得した通信デバイス11との通信状況、及び、管理情報に基づいて、管理の準備の可否、使用する貼付剤10(薬剤)の種類の正否、治療状況、貼付剤10を貼付している期間、貼付剤10を貼付した回数、貼付剤10の貼付の状態を判定する。
【0052】
「管理の準備の可否」とは、例えば、端末13を用いた薬剤使用の支援処理を開始する準備が完了したか否かである。管理の準備の可否として、判定部464は、例えば、貼付剤10に設けられた通信デバイス11が通信可能であり、第2のトリガー情報を取得したか否かを判定する。判定部464は、取得部462で第2のトリガー情報を取得した場合には、患者が薬剤10を使用する行為、即ち、管理の準備が完了し、管理を開始できる状態と判定し、取得部462で第2のトリガー情報を取得していない場合には、管理の準備が完了していないと判定する。
【0053】
「使用する貼付剤10(薬剤)の種類の正否」とは、例えば、管理情報に定められた患者に投与する貼付剤10と、使用するために患者が包装袋25を開封し、準備している貼付剤10とが合っているか否かである。
【0054】
使用する貼付剤10(薬剤)の種類の正否として、判定部464は、例えば、取得部462において第2のトリガー情報とともに取得した通信デバイス11から送信された貼付剤10の情報とQRコード28から取得した貼付剤10の情報を比較して、使用する貼付剤10の種類が合っているか否かを判定する。なお、該判定において、判定部464は、QRコード28から取得した貼付剤10の情報に加え、又は、判定部464は、QRコード28から取得した貼付剤10の情報に変えて、管理サーバ12から取得した貼付剤10の情報を用いても良い。判定部464は、貼付剤10が通信デバイス11からの情報とQRコード28及び/又は管理サーバ12から取得した情報が合っている場合には、使用する貼付剤10の種類の整合判定(正判定)を行い、貼付剤10が通信デバイス11からの情報とQRコード28及び/又は管理サーバ12から取得した情報が合っていない場合には、使用する貼付剤10の種類の不整合判定(否判定)を行う。
【0055】
または、使用する貼付剤10(薬剤)の種類の正否として、判定部464は、例えば、患者が表示部43に表示された貼付剤10と手元の貼付剤10とを比較(照会)して、入力部42により貼付剤10の種類が合っていることを入力することで貼付剤10の種類の正否を判定する。
【0056】
「治療状況」とは、例えば、貼付剤10の使用状況である。治療状況として、判定部464は、例えば、貼付剤10の使用前、貼付剤10の使用開始(使用中)、及び、貼付剤の使用完了を判定する。例えば、判定部464は、第2のトリガー情報を取得し、通信デバイス11との通信が継続している場合には、貼付剤10の使用前と判定する。例えば、判定部464は、第2のトリガー情報を取得した後、通信デバイス11と通信不可となった場合には、貼付剤10の使用開始(使用中)と判定する。また、判定部464は、例えば、貼付剤10の使用開始と判定した後、通信デバイス11と通信不可が継続されている間を薬剤使用期間と判定する、また、判定部464は、第2のトリガー情報を取得した後、通信デバイス11と通信不可となり、再び、通信デバイス11と通信した場合には、貼付剤10の使用完了と判定する。
【0057】
「貼付剤10を貼付している期間」とは、例えば、貼付剤10の使用を開始してから経過する時間、及び/又は、貼付剤10の残り使用時間である。貼付剤10を貼付している期間として、判定部464は、例えば、貼付剤10の使用開始を判定したときから経過時間をカウントするか、または、使用開始を判定したときの時間を記憶し、現在の時刻から経過時間を算出して、貼付剤10を貼付している期間(時間)を判定する。
【0058】
また、判定部464は、取得した使用する貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)から貼付剤10を貼付している期間(時間)を減じて、貼付剤10を貼付する残り時間を判定する。また、判定部464は、貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)が経過したこと(貼付剤10を貼付する残り時間がゼロとなったこと)を判定する。
【0059】
「貼付剤10を貼付した回数」とは、例えば、管理情報に定められた貼付を予定する所定枚数の貼付剤10のうち、貼付した貼付剤10の枚数、及び/又は、貼付を予定する貼付剤10の残り枚数である。貼付剤10を貼付した回数として、判定部464は、例えば、貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)が経過し、貼付剤10の使用完了と判定した回数を判定する。また、判定部464は、管理サーバ12から取得した貼付剤10の使用回数から、貼付剤10を貼付した回数を減じ、貼付剤10を貼付する残りの回数を判定する。
【0060】
「貼付剤10の貼付の状態」とは、例えば、貼付剤10の使用開始後に、皮膚に貼付された貼付剤10の使用状態であり、例えば、正常に貼付剤10が貼付されているか否か、及び、定められた使用時間の間貼付剤10が貼付されているか否かである。貼付剤10の貼付の状態として、判定部464は、例えば、貼付剤10を貼り付けた状態、すなわち上手く貼れてない、剥がれてしまったなどの状態を判定する。具体例として、判定部464は、貼付剤10の使用開始と判定したあとに、通信デバイス11との通信及び通信不可が繰り返し生じた場合や、貼付剤10を貼付する期間の経過前に通信デバイス11と通信した場合に、貼付剤10の貼付状態が不良と判定する。また、判定部464は、貼付剤10の使用開始と判定後、且つ、貼付剤10を貼付する期間の経過前に、通信デバイス11と通信不可の状態が継続しているときには、貼付剤10の貼付状態が良好と判定する。
【0061】
また、貼付剤10の貼付の状態として、判定部464は、貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)が経過したこと(貼付剤10を貼付する残り時間がゼロとなったこと)を判定後、所定の時間が経過する間に、薬剤が取り外されたか否かの判定を行う。具体例として、判定部464は、貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)が経過した後、予めメモリ45に記憶された時間が経過する間に、貼付剤10の使用完了と判定したか否かを判定する。
【0062】
判定部464は、貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)が経過した後、予めメモリ45に記憶された時間が経過する間に貼付剤10の使用完了と判定した場合には、正常な取り外しが行われたとして、使用時間正常の判定を行う。また、判定部464は、貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)が経過した後、予めメモリ45に記憶された時間が経過しても貼付剤10の使用完了と判定しない場合には、貼付剤10の取り外しが行われておらず、貼付剤10の使用時間が所定の時間よりも長い、貼付剤10の使用時間異常の判定を行う。
【0063】
なお、判定部464は、判定した情報を生成部463及び処理部465に送信し、生成部463は、当該情報を生成する表示パターンに反映し、表示部43に表示し、また、処理部465は、判定した情報をメモリ45に記憶する。これにより、患者は、表示部43から、管理の準備の可否、使用する貼付剤10(薬剤)の種類の正否、治療状況、貼付剤10を貼付している期間、貼付剤10を貼付した回数、貼付剤10の貼付の状態等を確認できる。
【0064】
処理部465は、入力部42からの入力指令、管理サーバ12及び/又は通信デバイス11から取得した固有ID、貼付剤10の情報、薬剤使用支援のアプリケーションの実行、通信状態、通信開始時間、通信遮断時間、通信回数等の情報の管理、パラメータ閲覧・変更、プログラム更新等の情報処理を実行する。
【0065】
処理部465は、例えば、アプリケーションの実行の指令が入力部42から入力されると、アプリケーションを実行する。また、処理部465は、アプリケーションの機能から、読取部44によりQRコード28が読み取られ、第1のトリガー情報を取得すると、管理サーバ12と通信を行い、管理サーバ12から各種情報を受信し、メモリ45に記憶する。この各種情報から、生成部463が当該受信した内容の一部を表示部43に表示するアプリケーションの薬剤使用管理画面に表示させる。処理部465は、通信デバイス11と通信を開始した時間と通信が遮断された時間より通信時間を求める処理を行う。
【0066】
処理部465は、例えば、判定部464で貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)が経過したこと(貼付剤10を貼付する残り時間がゼロとなったこと)を判定すると、貼付剤10を取り外す患者への指令を表示部43の薬剤使用管理画面に表示する。
【0067】
処理部465は、誤った貼付剤10の使用、例えば、判定部464で判定した情報が異常判定である場合に、アラートを発報する。アラート発報として、処理部465は、表示部43に異常を知らせる情報を表示させる。なお、処理部465は、表示部43の表示に加え、又は、表示部43の表示に変えて、スピーカによる音及び/又はバイブレータによる振動によって、アラート発報を行っても良い。
【0068】
また、異常判定の例としては、判定部464による、使用する貼付剤10の種類の不整合判定、貼付剤10の貼付状態の不良判定、貼付剤10の使用時間異常判定等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
また、処理部465は、判定部464で判定した情報を、判定した時間を紐付けてメモリ45に記憶するとともに、通信部41を制御して、管理サーバ12に送信する。
【0070】
次に、このように構成された薬剤使用支援システム1を用いた管理処理の一例を、
図10に示すシーケンス図を用いて説明する。また、管理処理のフローにおいて、患者が行う行動の一例についても、併せて説明する。
【0071】
先ず、患者が貼付剤10を使用する場合においては、患者は、入力部42を操作して、アプリ起動の指令を入力する。プロセッサ46は、例えば、処理部465により、入力部42からのアプリケーションプログラムを実行する(ステップST101)。なお、このとき、貼付剤10は、例えば、包装袋25に包装され、未開封の状態で薬袋26に収容されており、通信デバイス11は、通信不可状態にある(ステップST201)。
【0072】
アプリ起動後、患者は、アプリケーションによる薬剤使用支援を受けるべく、第1のトリガー情報を取得するために、端末13を操作して、読取部44により、薬袋26や指導箋27等に表示されたQRコード28を読み取らせる。プロセッサ46は、取得部462及び処理部465により、読取部44でQRコード28から第1のトリガー情報を取得する(ステップST102)。プロセッサ46は、第1のトリガー情報を取得すると、通信制御部461により遠距離通信器412を制御し、取得部462により管理サーバ12の通信機器と通信し、管理サーバ12の格納部33に記憶された貼付剤10の情報である、薬剤使用支援のための管理情報を取得する(ステップST103)。プロセッサ46は、処理部465により、取得した管理情報をメモリ45に記憶させる。また、プロセッサ46は、生成部463により、端末13の表示部43に表示させる薬剤使用管理画面を生成し、表示部43に薬剤使用管理画面及び使用する貼付剤10の情報(管理情報)を表示する(ステップST104)。
【0073】
薬剤使用管理画面を確認すると、患者は、
図6に示すように包装袋25を開封し、貼付剤10を取り出し、使用準備として、
図7に示すように、保護フィルム23を膏体22から剥がす。これにより、通信デバイス11は、通信可能状態となる(ST202)。これにより、通信デバイス11及び端末13が通信を行い、通信デバイス11から第2のトリガー情報が送信される。プロセッサ46は、通信制御部461及び取得部462により、第2のトリガー情報を取得する(ST105)。第2のトリガー情報を取得すると、プロセッサ46は、判定部464により管理の準備が完了したと判定し、処理部465により、表示部43の薬剤使用管理画面に管理の準備の完了を表示する。
【0074】
プロセッサ46は、判定部464により、貼付剤10の照会を行う(ステップST106)。具体例として、プロセッサ46は、判定部464により使用する貼付剤10(薬剤)の種類の正否を判定し、使用する貼付剤10の種類の不整合判定の場合には、異常と判定し、処理部465により、表示部43を制御してアラートを発報する(ステップST107)。
【0075】
プロセッサ46は、使用する貼付剤10の種類の整合判定(正判定)の場合には、正常と判定し、処理部465により、表示部43を制御して、表示部43の薬剤使用管理画面に貼付剤10の種類が正常であることを表示する。
【0076】
患者は、表示部43の表示から、貼付剤10の種類が正常であることを確認すると、貼付剤10を皮膚に貼り付ける。これにより、通信デバイス11は、通信不可状態となる(ステップST203)。
【0077】
プロセッサ46は、通信部41が通信デバイス11と通信できず、取得部462で情報の取得ができなくなると、貼付剤10の使用が開始されたと判定する(ステップST108)。プロセッサ46は、貼付剤10の使用状態の監視を行う(ステップST109)。
【0078】
貼付剤10の使用状態の監視として、プロセッサ46は、例えば、貼付剤10を貼付する残り時間を判定し、貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)が経過する前に、貼付剤10が取り外されないか、貼付剤10の貼付状態が不良でないか、等の貼付剤10の使用状態の正常及び異常を判定部464により判定する(ステップST110)。貼付剤10を貼付する時間の経過前に貼付剤10が取り外されるか、又は、貼付状態が不良である等により、通信デバイス11と通信部41が通信を行い、第2のトリガー情報を取得すると、使用状態が異常であるとして、プロセッサ46は、表示部43によりアラートを発報する(ステップST111)。
【0079】
使用状態が正常であり、且つ、貼付剤10を貼付する残り時間がゼロとなると、プロセッサ46は、判定部464により、貼付剤10の使用期間の終了を判定し、貼付剤10の使用を完了として、表示部43に貼付剤10の使用完了の通知を表示する(ステップST112)。
【0080】
患者は、表示部43に表示された貼付剤10の使用完了の通知を確認すると、貼付剤10を皮膚から取り外す。これにより、通信デバイス11は、通信可能状態となる(ステップST204)。
【0081】
プロセッサ46は、判定部464により、貼付剤10を貼付する時間(薬剤使用設定期間)が経過したことを判定後、所定の時間が経過する間に、薬剤が取り外されたか否か、即ち、薬剤使用時間の正常及び異常の判定を行う(ステップST113)。例えば、プロセッサ46は、所定の時間が経過しても、通信部41が通信デバイス11と通信できない場合には、所定の時間が経過しても貼付剤10が取り外されておらず、薬剤使用時間の異常を判定する。薬剤使用時間の異常を判定すると、プロセッサ46は、貼付剤10の使用開始からの時間を表示部43によりアラートを発報する(ステップST114)。
【0082】
プロセッサ46は、所定の時間が経過するまえに、通信部41が通信デバイス11と通信できた場合には、貼付剤10が取り外され、薬剤使用時間が正常と判定する。そして、メモリ45に記憶された管理情報から、次に使用する貼付剤10に関する情報を読み込み(ステップST115)、ステップST104に戻る。なお、プロセッサ46は、ステップST115の前後のいずれかで、貼付剤10の使用完了と判定した回数を判定するとともに、管理サーバ12から取得した貼付剤10の使用回数から、貼付剤10を貼付した回数を減じ、貼付剤10を貼付する残りの回数がゼロとなるか、即ち、全ての貼付剤10による治療を完了したか否かを判定し、治療が完了した場合には、表示部43に治療完了の情報を表示する。
【0083】
患者は、表示部43の表示に基づいて、定められた貼付剤10の使用を繰り返し行い、貼付剤10による治療が完了したことを表示部43で確認すると、アプリケーションを停止する指令を入力部42により行い、薬剤使用支援を終了する。
【0084】
このように構成された薬剤使用支援システム1によれば、端末13により薬剤使用の支援として、ユーザに貼付剤10の管理情報を表示部43に表示することで、薬剤(貼付剤)10の使用の状況や使用方法等の各種情報を患者が確認することができる。これにより、薬剤使用支援システム1は、患者が薬剤使用のタイミングを逸してしまうことや、薬剤使用を失念することを防止し、薬剤10の使用方法の指示通りに確実に薬剤10を使用することを管理することができる。
【0085】
また、端末13は、QRコード28から取得する第1のトリガー情報及び/又は通信デバイス11から取得する第1のトリガー情報に基づいて取得した(紐付いた)薬剤10の種類を含む使用方法等の管理情報と、患者が使用した薬剤10の使用状況とを表示部43の薬剤使用管理画面を表示し、また、アラートを発報する。よって、患者は、薬剤10の使用方法と異なる、誤った薬剤10の使用を確認することができる。
【0086】
即ち、薬剤使用支援システム1は、使用する薬剤10の種類や量、使用するタイミングなど、ばらつきがある場合であっても、使用時及び使用状況に応じて適切な情報を表示できる。また、薬剤使用支援システム1は、誤った薬剤10の使用(異常)を判定部464で判定し、異常時にアラートを発報することができるため、患者が異なる薬剤10を間違えて使用したり、使用順序や使用量、使用回数を間違えたりすることを防止できる。また、薬剤使用支援システム1は、実際の患者の薬剤使用状況に基づいて、薬剤10の使用状況を判定できることから、高い精度で患者の薬剤使用の管理を行うことができる。このように、薬剤使用支援システム1は、薬剤使用状況に基づく患者の支援を行うことができる。
【0087】
また、薬剤使用支援システム1は、保護フィルム23及び/又は包装袋25を用いる構成や、皮膚に貼付剤10を貼付することで、電磁波を遮蔽することで、通信デバイス11を通信不可状態とする構成である。また、薬剤使用支援システム1は、例えば、貼付剤10を使用可能とするために、包装袋25から取り出すこと、保護フィルム23を剥がすこと、及び、皮膚から貼付剤10を剥がすことで通信デバイス11を通信可能状態とする構成である。このため、薬剤使用支援システム1は、貼付剤10を患者が使用する行為によって通信デバイス11の通信状態を切り替え可能であることから、患者が複雑な操作をすることを要さず、高い使用性を有するとともに、患者の使用負担を低減できる。
【0088】
上述したように、本発明の実施形態に係る薬剤使用支援システム1によれば、薬剤使用状況に基づく支援を行うことができる。
【0089】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した例では、薬剤10の一例として貼付剤を用いる構成を説明したがこれに限定されない。即ち、薬剤10は、通信デバイス11を設けることが可能であれば、他の薬剤10であってもよい。
【0090】
また、上述した例では、通信デバイス11は、皮膚に貼付剤10が貼付されると、通信不可状態となる例を示したがこれに限定されない。例えば、通信デバイス11は、皮膚に貼付剤10が貼付されても、通信可能な構成であってもよい。この場合には、通信デバイス11は、温度センサ11cが温度を検出し、温度センサ11cで患者の体温を検出したときに貼付剤10の使用開始と判定し、温度センサ11cで患者の体温を検出している間、例えば、温度センサ11cで検出した温度情報に変化がない期間を薬剤使用期間と判定する構成とすればよい。
【0091】
また、上述した例では、薬剤使用支援システム1は、通信デバイス11、管理サーバ12及び端末13を有する構成としたが、これに限定されない。例えば、薬剤使用支援システム1は、医療機関又は薬局等に設けられるサーバをさらに備える構成であってもよい。例えば、このような構成とした場合には、このサーバに薬剤10の使用状況を端末13及び/又は管理サーバ12が送信することや、薬剤10の管理情報をサーバから最新情報を端末13及び/又は管理サーバ12が受信し、管理情報を更新することができる。これにより、医療機関等において、患者の治療経過を把握することができる。
【0092】
また、医療機関又は薬局等が、患者各個人の薬剤10の使用方法(用法、用量、治療スケジュールなど)を医療機関用サーバに記憶し、患者はコードを端末で読み取り、そのコードに従った治療方法を医療機関用サーバより受信しても良い。なお、コードには、端末13で読み取ることができるものであれば種々のコードを適用できる。
【0093】
また、上述した例では、薬剤使用支援システム1の端末13のプロセッサ46は、ステップST106において薬剤情報を照会したときに、異なる薬剤10である場合にアラートを発報する(ステップST107)例を説明したがこれに限定されない。例えば、端末13の入力部42から、誤った薬剤10を開封した場合に、リセットする入力を可能とし、入力部42によりリセットされた場合には、ステップST104に戻る構成としてもよい。このような場合には、患者は、誤った薬剤10の保護フィルム23を張り直し、包装袋25に再度収容して、封止し、正しい薬剤10を包装袋25から開封して、保護フィルム23を剥がせば良い。
【0094】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0095】
1…薬剤使用支援システム、10…貼付剤、11…通信デバイス、11a…タグアンテナ、11b…ICチップ、11c…温度センサ、12…管理サーバ、13…端末、21…支持体、22…膏体、23…保護フィルム(電磁波遮蔽材)、25…包装袋(電磁波遮蔽材)、26…薬袋、27…指導箋、28…QRコード、31…取得部、32…制御部、33…格納部、41…通信部、42…入力部、43…表示部、44…読取部、45…メモリ、46…プロセッサ(制御部)、411…近距離通信器、412…遠距離通信器、461…通信制御部、462…取得部、463…生成部、464…判定部、465…処理部。