(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118834
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20240826BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240826BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G06Q30/0251
G06Q50/10
G01C21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025376
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】神谷 和宏
(72)【発明者】
【氏名】上田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】河村 将範
(72)【発明者】
【氏名】永井 祐二
【テーマコード(参考)】
2F129
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB22
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD19
2F129DD20
2F129DD24
2F129DD34
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2F129DD54
2F129EE02
2F129EE37
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2F129FF12
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2F129FF41
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2F129FF71
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2F129FF75
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH14
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH33
2F129HH35
5L030BB08
5L049BB08
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】効果的な情報の提供を行うことを可能にした情報提供システムを提供する。
【解決手段】ユーザが移動する目的地とユーザの目的地への移動態様を取得し、目的地への移動を行うユーザの目的地への移動行程に対して、目的地への移動態様を考慮して情報を提供する提供タイミングを設定する一方で、現在のユーザの目的地への移動に対する進捗状況を取得し、現在のユーザの目的地への移動に対する進捗状況が提供タイミングを満たした場合に、ユーザに対して情報を提供するように構成する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが移動する目的地を取得する目的地取得手段と、
ユーザの目的地への移動態様を取得する移動態様取得手段と、
目的地への移動を行うユーザの目的地への移動行程に対して、前記移動態様取得手段で取得された移動態様を考慮して情報を提供する提供タイミングを設定する提供設定手段と、
ユーザの目的地への移動に対する進捗状況を取得する進捗状況取得手段と、
現在のユーザの目的地への移動に対する進捗状況が前記提供タイミングを満たした場合に、ユーザに対して情報を提供する情報提供手段と、を有する情報提供システム。
【請求項2】
前記移動態様は、目的地への出発日、目的地への出発時刻、目的地への到着日、目的地への到着時刻、目的地への移動に用いる移動手段、移動距離の少なくとも一以上を含む請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
目的地の位置又はジャンル毎にその目的地への移動行程に対する提供タイミングを複数パターン紐づけて記憶したデータベースがあって、
前記データベースでは、前記複数パターンの提供タイミング毎に移動態様を特定する情報が紐づけられており、
前記提供設定手段は、ユーザの目的地に対応する前記複数パターンの提供タイミングの内、前記移動態様取得手段で取得された移動態様と同じ又は類似する移動態様が紐づけられた提供タイミングを選択して設定する請求項1又は請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
ユーザの目的地に対応する前記複数パターンの提供タイミングの内には、移動態様を限定しない提供タイミングである汎用提供タイミングを含み、
前記提供設定手段は、ユーザの目的地に対応する前記複数パターンの提供タイミングの内、前記移動態様取得手段で取得された移動態様と同じ又は類似する移動態様が紐づけられた提供タイミングが存在しない場合については、前記汎用提供タイミングを選択して設定する請求項3に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記提供設定手段は、情報を提供する提供タイミングに加えて、前記移動態様取得手段で取得された移動態様を考慮して前記提供タイミングにおいて提供する情報の内容についても設定する請求項1又は請求項2に記載の情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地へ移動するユーザに対して情報を提供する情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では店舗の収益を向上させる手段としてLTV(Life Time Value)を向上させる
ことが注目されている。LTVを向上させる、即ち店舗への来店を促し且つ顧客単価を向上させる為には、目的地へ向かうユーザに対して目的地に関する情報やユーザの興味のある商品に関する広告情報等の各種情報を提供することが非常に有効である。そこで、例えば特開2023-5586号公報には、ユーザの目的地への移動行程に対して情報を提供する提供タイミングをユーザの目的地への移動行程の長さに応じて設定し、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況が設定された提供タイミングとなったことを契機に目的地に関する情報をユーザに提供する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-5586号公報(段落0060-0064、
図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1では目的地への移動行程の長さに応じて情報を提供する提供タイミングを設定しており、また、提供タイミングの設定方法としては例えば一定時間間隔で定期的なタイミングとするパターンや、目的地に近づくにつれて徐々に提供間隔を短くするパターンなどの複数のパターンが開示されている。しかしながら、上記特許文献1では提供タイミングとして複数のパターンを用意し、そのうちのいずれかを選択して設定しても良いことは開示しているが、それらの複数のパターンの内からどのような基準で提供タイミングとするパターンを選択するかについては開示されていない。
【0005】
従って、上記特許文献1では目的地へ移動するユーザに対する情報の提供タイミングとして複数のパターンを挙げつつも、複数のパターンの内から今回の目的地への移動に対して最適なパターンを選択することができず、効果的な情報の提供を行うことができない問題があった、
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、ユーザの目的地への移動態様について考慮して目的地へ移動するユーザに対して情報を提供するタイミングを設定することにより、効果的な情報の提供を行うことを可能にした情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る情報提供システムは、ユーザが移動する目的地を取得する目的地取得手段と、ユーザの目的地への移動態様を取得する移動態様取得手段と、目的地への移動を行うユーザの目的地への移動行程に対して、前記移動態様取得手段で取得された移動態様を考慮して情報を提供する提供タイミングを設定する提供設定手段と、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況を取得する進捗状況取得手段と、現在のユーザの目的地への移動に対する進捗状況が前記提供タイミングを満たした場合に、ユーザに対して情報を提供する情報提供手段と、を有する。
尚、「目的地」は実世界の目的地であっても良いし、VR(virtual reality)により
構築された仮想空間上の目的地であっても良い。
また、「ユーザの目的地への移動行程」とは、出発地から目的地まで移動する移動経路であっても良いし、移動経路に沿って移動する際のスケジュール(移動計画)であっても良い。更に、移動経路は事前に探索されたユーザが実施に通過する予定の経路であっても良いし、出発地と目的地を直線で結んだ疑似的な経路であっても良い。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る情報提供システムによれば、ユーザの目的地への移動態様について考慮して目的地へ移動するユーザに対して情報を提供するタイミングを設定するので、ユーザの目的地への移動行程において情報をより適切なタイミングで提供することが可能となる。その結果、効果的な情報の提供を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報提供システムを示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る情報提供システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】ジャーニーパターンDBに記憶される第1テーブルの一例を示した図である。
【
図4】ジャーニーパターンDBに記憶される第2テーブルの一例を示した図である。
【
図5】ユーザ道程DBに記憶されるユーザ道程情報の一例を示した図である。
【
図6】本実施形態に係る通信端末の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図7】本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。
【
図8】広告情報の出力態様の一例を示した図である。
【
図9】ユーザの目的地への移動行程の一例を示した図である。
【
図10】ユーザの目的地への移動行程に対して設定される情報の提供タイミングを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る情報提供システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る情報提供システム1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る情報提供システム1を示した概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る情報提供システム1は、情報提供センタ2が有する情報提供サーバ3と、ユーザへの情報提供の対象となる地点である情報提供地点4と、ユーザ5が所持する通信端末6と、を基本的に有する。また、情報提供サーバ3と通信端末6は通信ネットワーク網7を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、通信端末6としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等がある。また、以下の説明ではユーザ5が移動する場合には車両で移動することを前提とするが、車両以外の移動手段で移動しても良いし、徒歩で移動しても良い。
【0012】
ここで、情報提供サーバ3は、情報提供システム1における情報の送受信を管理するサーバ装置である。情報提供サーバ3は、全国各地の情報提供地点4に関する情報をユーザ5に提供する情報として配信情報DB8に記憶する。尚、本実施形態では情報提供地点4に関する情報として、例えば情報提供地点4を広告する広告情報、情報提供地点4の施設案内情報、情報提供地点4で開催されるイベント情報、情報提供地点4で提供される商品やサービスの情報、混雑情報などを配信情報DB8に記憶するが、情報提供地点4に関する情報であればそれ以外の情報であっても良い。また、情報提供サーバ3は、情報提供地点4に関する情報以外にもユーザ5にとって有益な各種情報について、ユーザ5に提供す
る情報として配信情報DB8に記憶する。例えば充電施設や給油施設に関する情報、食事施設や休憩施設に関する情報、駐車場の情報などが挙げられる。そして、情報提供サーバ3は通信ネットワーク網7を介してDBに記憶された各種情報を、通信端末6(ユーザ)に対して提供(配信)する。尚、情報提供サーバ3は情報提供地点4毎に存在しても良いし、一のサーバが複数の情報提供地点4に関する情報を配信するようにしても良い。
【0013】
また、情報提供地点4は、本実施形態の情報提供システム1においてユーザ5への情報の提供対象となる地点である。具体的な施設であっても良いし観光スポット等の施設が特定されない地点であっても良い。情報提供地点4は、ユーザ5に対して提供する為の自らの施設に関する新たな情報を生成したり、情報の更新を行う場合には、必要な情報を情報提供サーバ3に対して配信し、情報提供サーバ3が備える配信情報DB8を更新する。
【0014】
一方、通信端末6は、ユーザ5が所持し、ユーザ5がスケジュールを入力することによってスケジュールを登録及び管理する機能やナビ機能等を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等が該当する。特に通信端末6がスマートフォン等のアプリケーションを実行可能な端末である場合には、アプリケーションの一つとして目的地を入力することによってユーザが目的地までの移動の道程において上記情報提供サーバ3から配信される情報提供地点4に関する情報やその他のユーザにとって有益な各種情報の提供を受けることが可能となるアプリケーションプログラムがインストールされている。尚、これらの情報の提供を受ける機能は、目的地までの移動案内を行うナビ機能の一部としても良いし、ナビ機能とは異なるアプリケーションプログラムにより実行されても良い。
【0015】
また、通信ネットワーク網7は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は通信端末6との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網7の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末6の通信を情報提供サーバ3との間で中継する役割を持つ。
【0016】
そして、上記構成を有する情報提供システム1における基本的な情報提供の流れを説明すると、ユーザ5の操作に基づいて通信端末6において目的地が設定され目的地への移動が開始されると、ナビ機能により目的地への移動案内が行われる一方で、情報提供サーバ3は、目的地に該当する情報提供地点4に関する情報を始めとしてその他のユーザが必要とする各種情報を該ユーザ5の通信端末6へと配信する。情報を配信する具体的なタイミングはユーザの目的地への移動行程に対し、ユーザの目的地への移動態様を考慮して後述のジャーニーパターンDB9(
図2~
図4参照)を用いて設定され、設定されたタイミングで配信される。そして、配信された情報は通信端末6において出力され、ユーザ5に提供される。詳細については後述する。
【0017】
続いて、情報提供システム1における情報提供サーバ3の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。情報提供サーバ3は、
図2に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としての配信情報DB8と、通信端末6への情報の配信タイミングと配信する情報の内容を設定する為に用いる各種情報が格納されたジャーニーパターンDB9と、ユーザ道程DB13と、地図情報DB14と、サーバ側通信装置15とを備える。
【0018】
サーバ制御部11は、情報提供サーバ3の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプロ
グラムのほか、後述の情報提供処理プログラム(
図7)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御部11は、後述の通信端末6の制御部とともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、目的地取得手段は、ユーザが移動する目的地を取得する。移動態様取得手段は、ユーザの目的地への移動態様を取得する。提供設定手段は、目的地への移動を行うユーザの目的地への移動行程に対して、移動態様取得手段で取得された移動態様を考慮して情報を提供する提供タイミングを設定する。進捗状況取得手段は、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況を取得する。情報提供手段は、現在のユーザの目的地への移動に対する進捗状況が提供タイミングを満たした場合に、ユーザに対して情報を提供する。
【0019】
また、配信情報DB8は、前述したように全国各地の情報提供の対象となる地点である情報提供地点4に関する情報を格納した記憶手段である。情報提供地点4に関する情報としては、例えば情報提供地点4を広告する広告情報、情報提供地点4の施設案内情報、情報提供地点4で開催されるイベント情報、情報提供地点4で提供される商品やサービスの情報、混雑情報などがある。また、情報提供地点4に関する情報以外にもユーザにとって有益な各種情報(例えば、充電施設や給油施設に関する情報、食事施設や休憩施設に関する情報、駐車場の情報)についても格納される。また、情報提供地点4に関する情報については、通信端末6において出力される音声、画像、動画等のデータに加えて、情報提供地点4(広告であれば広告主)を特定する為の情報(地図上の情報提供地点の位置座標、ジャンル、ID等)についても含む。また、スマートフォン等の携帯端末に情報を取得させるための誘導を行うURLを示す2次元コードについて含めても良い。URLによりアクセス可能なウェブページには該当する情報提供地点4の情報を配信情報DB8から抽出して表示するようにする。更に広告情報については、広告情報により広告の対象となっている期間を特定する情報について付加しても良い。
【0020】
また、情報の配信手段としては、上述したように予め収録及び生成して配信情報DB8に格納しておいた画像データや音声データを所定の出力タイミングで通信端末6へ配信することも可能であるが、リアルタイムで人が話す内容を配信しても良い。即ち、情報提供を行う担当のコンシェルジュを設定し、施設や商品を説明するコンシェルジュの音声や映像を配信しても良い。
【0021】
次にジャーニーパターンDB9について説明する。ジャーニーパターンDB9は、情報提供サーバ3から通信端末6への情報の配信タイミングと配信する情報の内容を設定する為に用いる各種情報が格納されたDBである。具体的には、目的地の位置毎にその目的地への移動態様とストーリーユースケースIDを紐づけた第1テーブルと、ストーリーユースケースIDと情報の提供タイミング及び提供する情報の内容を紐づけた第2テーブルと、を含む。
【0022】
先ず、第1テーブルについて説明する。
図3はジャーニーパターンDB9に記憶される第1テーブルを説明した図である。
図3に示すように第1テーブルは、目的地の位置と、目的地への移動態様と、目的地のジャンルと、ストーリーユースケースIDとの組み合わせに対して、その組み合わせに対する識別を示すジャーニーパターンIDを付与して記憶されている。また、目的地への移動態様としては、より具体的に目的地への出発日、目的地への出発時刻、目的地への到着日、目的地への到着時刻、目的地への移動に用いる移動手段、移動距離を含み、一の目的地に対して一又は複数の目的地への移動態様が紐づけられている。例えば、
図3に示す例において目的地(X1,Y1)には、5種類の目的地への移動態様とストーリーユースケースIDが紐づけられてそれぞれに『ジャーニーパターンA-1~A-5』が付与されている。目的地(X2,Y2)には、1種類の目的地への移動態様とストーリーユースケースIDが紐づけられて『ジャーニーパターンB-1』が
付与されている。
【0023】
ここで、『ジャーニーパターンA-1』では2023年7月28日の3時に出発し、2023年8月3日の18時に到着し、移動にEV車両を用いて、走行距離が350kmとなる移動態様に対してストーリーユースケースIDの“A1”が紐づけられている。このストーリーユースケースIDは後述の第2テーブルにおいて情報の提供タイミング及び提供する情報の内容と更に紐づけられる。即ち、ストーリーユースケースIDが異なれば、情報の提供タイミング及び提供する情報の内容も基本的に異なる(タイミングと内容の内の一方のみ異なる場合もある)ことを示す。
【0024】
同様に『ジャーニーパターンA-2』では2023年7月28日の3時に出発し、2023年8月3日の18時に到着し、移動に普通車(ガソリン車)を用いて、走行距離が350kmとなる移動態様に対してストーリーユースケースIDの“A2”が紐づけられている。また、『ジャーニーパターンA-3』では2023年7月28日の12時に出発し、2023年8月3日の19時に到着し、移動手段は限定せず、走行距離が350kmとなる移動態様に対してストーリーユースケースIDの“A3”が紐づけられている。また、『ジャーニーパターンA-4』では2023年8月3日の7時に出発し、2023年8月3日の18時に到着し、移動手段は限定せず、走行距離が50kmとなる移動態様に対してストーリーユースケースIDの“A4”が紐づけられている。また、『ジャーニーパターンA-5』では2023年1月31日の8時に出発し、2023年2月2日の11時に到着し、移動手段は限定せず、走行距離が350kmとなる移動態様に対してストーリーユースケースIDの“B1”が紐づけられている。また、『ジャーニーパターンB-1』では2023年7月28日の9時に出発し、2023年8月1日の14時に到着し、移動手段は普通車(ガソリン車)を用いて、走行距離が200kmとなる移動態様に対してストーリーユースケースIDの“C1”が紐づけられている。
【0025】
尚、『ジャーニーパターンA-1』と『ジャーニーパターンA-2』とでは移動手段が異なっており、移動手段が異なることで異なるストーリーユースケースIDが紐づけられる、即ち情報の提供タイミング及び提供する情報の内容の少なくとも一方が異なることを示す。また、『ジャーニーパターンA-2』と『ジャーニーパターンA-3』とでは出発時刻や到着時刻が異なっており、出発時刻や到着時刻が異なることで異なるストーリーユースケースIDが紐づけられる、即ち情報の提供タイミング及び提供する情報の内容の少なくとも一方が異なることを示す。また、『ジャーニーパターンA-3』と『ジャーニーパターンA-4』とでは移動距離が異なっており、移動距離が異なることで異なるストーリーユースケースIDが紐づけられる、即ち情報の提供タイミング及び提供する情報の内容の少なくとも一方が異なることを示す。また、『ジャーニーパターンA-4』と『ジャーニーパターンA-5』とでは出発日や到着日が異なっており、出発日や到着日が異なることで異なるストーリーユースケースIDが紐づけられる、即ち情報の提供タイミング及び提供する情報の内容の少なくとも一方が異なることを示す。また、『ジャーニーパターンA-1~A-5』と『ジャーニーパターンB-1』とでは目的地が異なっており、目的地が異なることで異なるストーリーユースケースIDが紐づけられる、即ち情報の提供タイミング及び提供する情報の内容の少なくとも一方が異なることを示す。
【0026】
尚、第1テーブルで規定された目的地への移動態様の内、移動態様の内、出発日、出発時刻、到着日、到着時刻、移動距離についてはある程度の幅を設けるのが望ましい。例えば出発日について8月上旬、到着時刻について18時から19時、移動距離について50km以上等と規定するようにしても良い。
【0027】
また、第1テーブルには目的地の位置や移動態様を限定しないジャーニーパターンも存在する。例えば
図3の『ジャーニーパターンW』では目的地の位置及び目的地への移動態
様をいずれも限定しておらず、ストーリーユースケースIDの“W”が紐づけられている。ここで、目的地の位置を限定しないとは全ての目的地の位置が紐づけられているのと同等であり、目的地への移動態様を限定しないとは全ての目的地への移動態様が紐づけられているのと同等である。即ち、『ジャーニーパターンW』はどのような目的地へどのような移動態様で移動したとしても該当するパターン(即ち汎用、ワイルドカード的なパターン)であり、他に該当するジャーニーパターンがない場合に選択される。例えば、目的地(X1,Y1)への移動であっても出発日が9月や10月である場合にはジャーニーパターンA-1~A-5のいずれにも該当しない。従って、ジャーニーパターンWが選択されることとなる。尚、
図3の『ジャーニーパターンW』では目的地の位置及び目的地への移動態様をいずれも限定していないが、目的地の位置のみ限定しないようにしても良い。或いは目的地への移動態様のみを限定しないようにしても良い。
【0028】
また、
図3に示す第1テーブルでは、目的地の位置毎(即ち目的地毎)にその目的地への移動態様とストーリーユースケースIDを紐づけているが、目的地単位ではなく目的地のジャンル単位で区分して目的地への移動態様とストーリーユースケースIDを紐づけても良い。また、
図3に示す例では移動手段は車であることを前提としているが、車以外の移動手段を紐づけることも可能である。
【0029】
次に、第2テーブルについて説明する。
図4はジャーニーパターンDB9に記憶される第2テーブルを説明した図である。
図4に示すように第2テーブルは、第1テーブルに含まれる各ストーリーユースケースIDに対して、情報の提供タイミングと、各提供タイミングにおいて提供する情報の内容とが紐づけられている。また、情報の提供タイミングは、目的地への移動進捗率で規定されており。例えば移動進捗率が20%とは目的地への移動に係る全所要時間の20%に到達したタイミングとする。但し、移動進捗率は時間ではなく距離としても良く、移動経路の全長に対して20%の地点に到達したタイミングとしても良い。
【0030】
例えばストーリーユースケースID“A1”では移動進捗率が20%、40%、60%、80%。85%、90%の各タイミングで情報提供を行うことを示しており、移動進捗率が20%では出発メッセージの提供を行い、移動進捗率が40%ではSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)の充電施設に関する情報提供を行い、移動進捗率が60%では目的地であるイベント会場の案内に関する情報提供を行い、移動進捗率が80%と85%では充電を促すメッセージの提供を行い、移動進捗率が90%では到着メッセージの提供を行うことが設定されている。尚、ストーリーユースケースID“A1”は特にEV車で移動する移動態様のジャーニー―パターンに紐づけられているので、目的地に関する情報に加えてエネルギの残量が少なくなると予想されるタイミングにおいて充電施設に関する情報や充電を促すメッセージについても提供されるようにする。
【0031】
また、ストーリーユースケースID“A2”では移動進捗率が20%、40%、60%、80%。85%、90%の各タイミングで情報提供を行うことを示しており、移動進捗率が20%では出発メッセージの提供を行い、移動進捗率が40%ではガソリンスタンド(給油施設)に関する情報提供を行い、移動進捗率が60%では目的地であるイベント会場の案内に関する情報提供を行い、移動進捗率が80%と85%では給油を促すメッセージの提供を行い、移動進捗率が90%では到着メッセージの提供を行うことが設定されている。尚、ストーリーユースケースID“A2”は特に普通車(ガソリン車)で移動する移動態様のジャーニー―パターンに紐づけられているので、目的地に関する情報に加えてエネルギの残量が少なくなると予想されるタイミングにおいて給油施設に関する情報や給油を促すメッセージについても提供されるようにする。
【0032】
また、ストーリーユースケースID“A3”では移動進捗率が20%、40%、60%
、80%。85%、90%の各タイミングで情報提供を行うことを示しており、移動進捗率が20%では出発メッセージの提供を行い、移動進捗率が40%では目的地のイベント会場の昼の部に出演するアーティストに関する情報提供を行い、移動進捗率が60%では目的地であるイベント会場の案内に関する情報提供を行い、移動進捗率が80%では食事場所に関する情報提供を行い、移動進捗率が85%では目的地のイベント会場の夜の部に出演するアーティストに関する情報提供を行い、移動進捗率が90%では到着メッセージの提供を行うことが設定されている。尚、ストーリーユースケースID“A3”は特に夜のイベントに昼頃から移動を開始する移動態様のジャーニー―パターンに紐づけられているので、イベントの開催時間に合わせたイベントの案内に加えて食事の時間には食事の施設に関する情報についても提供されるようにする。
【0033】
また、ストーリーユースケースID“A4”では移動進捗率が33%、66%、99%の各タイミングで情報提供を行うことを示しており、移動進捗率が33%では出発メッセージの提供を行い、移動進捗率が66%では目的地であるイベント会場の案内に関する情報提供を行い、移動進捗率が99%では到着メッセージの提供を行うことが設定されている。尚、ストーリーユースケースID“A4”は特にイベントに近場から参加する移動態様のジャーニー―パターンに紐づけられているので、最低限のイベントの案内に関する情報のみを提供するようにする。
【0034】
また、ストーリーユースケースID“B1”では移動進捗率が20%、40%、80%、90%の各タイミングで情報提供を行うことを示しており、移動進捗率が20%では出発メッセージの提供を行い、移動進捗率が40%では目的地であるスキー場の雪質の情報提供を行い、移動進捗率が80%では目的地であるスキー場で行われているイベントの情報提供を行い、移動進捗率が90%では到着メッセージの提供を行うことが設定されている。尚、ストーリーユースケースID“B1”は特に冬のスキー場へ移動する移動態様のジャーニー―パターンに紐づけられているので、スキー場固有の情報(例えば雪質)やイベントに関する情報について提供するようにする。
【0035】
また、ストーリーユースケースID“C1”では移動進捗率が10%、20%、30%、50%、60%、80%、90%の各タイミングで情報提供を行うことを示しており、移動進捗率が10%では出発メッセージの提供を行い、移動進捗率が20%では目的地であるSAPAにてもらえるノベルティグッズの情報提供を行い、移動進捗率が30%と50%と80%ではイベントの協賛ブランドのメッセージ提供を行い、移動進捗率が60%では目的地であるSAPAのドッグランに関する情報提供を行い、移動進捗率が90%では到着メッセージの提供を行うことが設定されている。尚、ストーリーユースケースID“C1”は特にSAPAで開催される犬の日のイベント会場へ移動する移動態様のジャーニー―パターンに紐づけられているので、目的地であるSAPAの情報に加えて犬に関する情報やイベントに関する情報について提供するようにする。
【0036】
また、ストーリーユースケースID“W”では移動進捗率が10%、40%、60%、80%、90%の各タイミングで情報提供を行うことを示しており、移動進捗率が10%では出発メッセージの提供を行い、移動進捗率が40%と60%では現在地周辺にある注目度の高い店舗に関する情報提供を行い、移動進捗率が80%では目的地周辺にある注目度の高い店舗に関する情報提供を行い、移動進捗率が90%では到着メッセージの提供を行うことが設定されている。尚、ストーリーユースケースID“W”は汎用のジャーニー―パターンに紐づけられているので、どのような目的地へどのような移動態様で移動する場合であってもユーザに需要のあると予想されるタイミングで需要のある情報が提供されるようにする。
【0037】
上述のように第2テーブルでは、基本的にはユーザの移動の進捗状況に合わせてその状
況にあるユーザが必要になると予想される情報(給油施設、充電施設、食事施設等に関する情報)を案内したり、目的地へ移動するユーザの気分を盛り上げる(目的地に対する興味をより持たせる)ように提供する情報の内容が設定されている。
【0038】
そして、サーバ制御部11はユーザの目的地と目的地への移動態様を取得すると、第1テーブル(
図3)を用いて同じ目的地且つ同じ又は類似する移動態様が紐づけられたジャーニーパターンを選択する。尚、移動態様については
図3に規定されている移動態様と完全に一致しなくても類似しているジャーニーパターンがあればそれを優先して選択するようにする。一方、同じ目的地且つ同じ又は類似する移動態様が紐づけられたジャーニーパターンがなければ汎用のジャーニーパターンWが選択されることとなる。続いて、サーバ制御部11は選択されたジャーニーパターンに紐づけられたストーリーユースケースIDと第2テーブル(
図4)を用いて、情報の提供タイミングと各提供タイミングにおいて提供する情報の内容を選択して設定する。
【0039】
以上のようにジャーニーパターンDB9は、上記した第1テーブルと第2テーブルの組み合わせによって、目的地の位置毎にその目的地への移動行程に対する提供タイミングと提供対象となる情報の内容を1或いは複数パターン紐づけて記憶している。また、各パターン(ストーリーユースケースID)に移動態様を特定する情報が紐づけられており、サーバ制御部11はユーザの目的地に対応する一又は複数パターンの内、ユーザの目的地への移動態様と同じ又は類似する移動態様が紐づけられた提供タイミングと提供対象となる情報の内容を選択して設定することとなる。
【0040】
一方、ユーザ道程DB13は、情報提供サーバ3と通信可能に接続された通信端末6を所持する各ユーザ5の“目的地への道程に関する情報”を記憶する記憶手段である。具体的には、ユーザ5が目的地への移動を開始する或いは開始した移動開始地点の座標、目的地への移動を開始する或いは開始した日時、ユーザ5の現在位置、ユーザ5が移動する目的地に関する情報が記憶され、特に目的地の位置座標等が記憶される。また、通信端末6において目的地までの移動経路が設定されている場合には、設定された移動経路についても今後のユーザの行動を示すものとしてユーザに紐づけられてユーザ道程DB13に記憶される。例えば
図5はユーザ道程DB13に記憶されるユーザ道程情報の一例を示した図である。
【0041】
図5に示す例では例えば『ID:10001』のユーザ5は、『X1,Y1』を目的地としており、2023年の10月21日の12時半に(x11,y11)から移動を開始し、現在は(X11,Y11)に位置することを示している。同様に他のユーザの目的地までの道程に関する情報についても記憶されている。尚、ユーザが移動する目的地は、ユーザが通信端末6の目的地設定画面(図示せず)において必要事項を入力することによって登録することが可能であり、登録された内容は通信端末6から情報提供サーバ3へと適宜送信され、更にユーザに紐づけられてユーザ道程DB13に格納される。移動開始地点、移動開始日時、移動経路についても同様に通信端末6から取得される。また、ユーザの現在位置については通信端末6から定期的に受信して更新される。但し、ユーザ道程DB13に上記全ての情報を“目的地への道程に関する情報”として記憶する必要はなく、例えば目的地に関する情報とユーザの現在位置を特定する情報のみを記憶するようにしても良い。
【0042】
そして、ユーザ道程DB13に記憶されたユーザ道程情報は、配信情報DB8に格納された情報を通信端末6に対して配信する際に、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況を特定する為に用いられる。また、ユーザの移動予定経路を特定する為にも用いられる。
【0043】
また、地図情報DB14は、地図情報が記憶される記憶手段である。地図情報は、道路
網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0044】
そして、サーバ制御部11は、通信端末6から経路探索要求を受信した場合には、上記地図情報DB14に格納された地図情報を用いて出発地から目的地までの経路探索を行うことも可能である。具体的には、通信端末6において目的地が設定された場合に、通信端末6から情報提供サーバ3へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。そして経路探索要求を受信した情報提供サーバ3は、情報提供サーバ3の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元の通信端末6へと送信する。そして、通信端末6は受信した推奨経路を案内経路に設定し、案内経路に従って移動案内を行う。それによって、経路探索時点において通信端末6が有する地図情報が古いバージョンの地図情報であったり、通信端末6が地図情報自体を有さない場合であっても、情報提供サーバ3が有する最新バージョンの地図情報に基づいて適切な案内経路を設定することが可能となる。
【0045】
但し、通信端末6が地図情報を有する場合には上記経路探索処理を情報提供サーバ3でなく通信端末6で行うことも可能である。また、上記経路探索処理は情報提供サーバ3ではなく、地図情報を備える他のサーバで行うようにしても良い。その場合には情報提供サーバ3において地図情報DB14は必ずしも必要でない。
【0046】
一方、サーバ側通信装置15は情報の送受信対象となる通信端末6と通信ネットワーク網7を介して通信を行う為の通信装置である。また、通信端末6以外にインターネット網等に対する通信も可能である。
【0047】
次に、ユーザ5が所有する通信端末6の概略構成について
図6を用いて説明する。
図6は本実施形態に係る通信端末6の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に通信端末6がナビゲーション装置である場合を例に挙げて説明する。
【0048】
図6に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置(通信端末6)は、ナビゲーション装置が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して車両周辺の地図や交通情報等を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、情報提供センタ2やVICS(登録商標)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール38と、を有する。
【0049】
以下に、ナビゲーション装置が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、車速センサ42、ステアリングセンサ43、ジャイロセンサ44等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ42は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置が備える構成としても良い。
【0050】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB45やキャッシュ46や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部32をハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクを有しても良い。また、地図情報DB45は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置が通信により取得する構成としても良い。
【0051】
ここで、地図情報DB45は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、経路の探索や変更に係る処理に用いられる探索データ、施設に関する施設データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0052】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、ナビゲーション装置の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述の情報提供処理プログラム(
図7)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0053】
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部34は液晶ディスプレイ35の前面に設けたタッチパネルを有しても良い。また、マイクと音声認識装置を有しても良い。
【0054】
また、液晶ディスプレイ35には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、案内経路(移動予定経路)に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。本実施形態では特に目的地への移動行程において、移動の進捗状況に合わせて目的地やその他の情報の表示についても行う。尚、液晶ディスプレイ35の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0055】
また、スピーカ36は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて案内経路(移動予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0056】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB45の更新等が行われる。尚、DVDドライブ37に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0057】
また、通信モジュール38は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやその他の外部センタ等から送信された交通情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、車車間で通信を行う車車間通信装置や路側機との間で通信を行う路車間通信装置も含む。また、車両の現在位置情報やユーザに提供となる各種情報等を情報提供サーバ3との間で送受信するのにも用いられる。
【0058】
続いて、前記構成を有する情報提供システム1において、情報提供サーバ3及び通信端
末6が実行する情報提供処理プログラムについて
図7に基づき説明する。
図7は本実施形態に係る情報提供処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報提供処理プログラムは、車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、目的地へと移動する車両の乗員に対して各種情報を提供するプログラムである。但し、通信端末6がナビゲーション装置以外である場合には、通信端末6において情報をユーザに提供する為の所定のアプリケーションプログラム(例えばナビゲーションアプリ或いは情報提供のための専用のアプリ)の起動操作が行われた後に実行される。尚、以下の
図7にフローチャートで示されるプログラムは、情報提供サーバ3や通信端末6が備えているRAMやROMに記憶されており、CPU21或いはCPU51により実行される。
【0059】
先ず、
図7に基づいて通信端末6のCPU51が実行する情報提供処理プログラムについて説明する。ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU51は、車両の乗員による操作部34の操作に基づいて目的地の入力を行う。また上記目的地の入力については、目的地への移動開始前である必要は無く、目的地への移動を開始した後であっても良い。
【0060】
また、前記S1において目的地の入力が行われると並行して目的地までの推奨経路の探索についても行われる。推奨経路の探索は通信端末6で行っても良いし、情報提供サーバ3等の外部のサーバで行っても良い。例えば情報提供サーバ3にて行う場合には、通信端末6において目的地が入力されると、通信端末6から情報提供サーバ3へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。そして経路探索要求を受信した情報提供サーバ3は、情報提供サーバ3の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元の通信端末6へと送信する。そして、通信端末6は探索された推奨経路を案内経路に設定し、以後は目的地に到着するまで案内経路に従って移動案内を行う。
【0061】
次にS2においてCPU51は、ユーザの目的地への移動態様を取得する。ここで、目的地への移動態様は、目的地への出発日、目的地への出発時刻、目的地への到着日、目的地への到着時刻、目的地への移動に用いる移動手段、移動距離とするが、それらの全てを取得する必要はなく一部のみを取得しても良い。基本的には、現在の日時を目的地への出発日、目的地への出発時刻とし、更に上記設定された案内経路と地図情報と外部の交通情報センタから取得した交通情報に基づいて、目的地への到着日、目的地への到着時刻を予測して取得する。目的地への移動に用いる移動手段については、目的地の入力を行う際にユーザに選択させても良いし、通信端末6がナビゲーション装置である場合にはCAN等の車載ネットワークを介して車両から車種(ガソリン車かEV車)の情報について取得しても良い。通信端末6がスマートフォンである場合にはナビゲーション装置と通信を行うことにより同様に車種を取得可能である。また、移動距離については上記設定された案内経路と地図情報から取得する。
【0062】
但し、前記S2のユーザの目的地への移動態様の取得については、通信端末6ではなく情報提供サーバ3で行っても良い。その場合には、情報提供サーバ3は目的地までの案内経路を通信端末6から取得するか、或いは自ら探索し、案内経路を用いて上記ユーザの目的地への移動態様を取得する。
【0063】
続いて、S3においてCPU51は、前記S1で入力された“ユーザが移動する目的地”と前記S2で取得された“ユーザの目的地への移動態様”とを特定する目的地情報を情報提供サーバ3へと送信する。ここで、前記S3で送信される目的地情報には、目的地情報の送信元の通信端末6を特定する端末IDと、前記S1で入力された“ユーザが移動する目的地”を特定する情報(例えば目的地の座標、ID、施設名など)と、前記S2で取得された“ユーザの目的地への移動態様(目的地への出発日、目的地への出発時刻、目的
地への到着日、目的地への到着時刻、目的地への移動に用いる移動手段、移動距離)”が含まれている。
【0064】
そして、情報提供サーバ3は後述のように通信端末6から送信された目的地情報に基づいて、通信端末6に対して提供する情報の選択並びに配信が行われる(S11~S21)。詳細については後述する。
【0065】
その後、S4においてCPU51は、情報提供サーバ3から配信された情報を受信する。ここで、前記S4で受信する情報は、情報提供サーバ3が有する配信情報DB8から抽出された情報であり、特に情報提供サーバ3によって配信条件を満たしたと判定された情報である。特に本実施形態では、目的地或いは周辺にある情報提供地点4を広告する広告情報、情報提供地点4の施設案内情報、情報提供地点4で開催されるイベント情報、情報提供地点4で提供される商品やサービスの情報、混雑情報、充電施設や給油施設に関する情報、食事施設や休憩施設に関する情報、駐車場の情報などが挙げられる。また、配信条件を満たしたか否かの判定は、前述のジャーニーパターンDB9の第2テーブル(
図4)によって設定された情報の配信タイミングと、通信端末6から定期的に情報提供サーバ3へと配信されるユーザの現在位置情報とに基づいて判定される。また、配信される情報の内容についても同じく前述のジャーニーパターンDB9の第2テーブル(
図4)によって設定された配信タイミング毎の配信対象となる情報の内容に基づいて判定される。尚、配信条件を満たしたか否かの判定は情報提供サーバ3ではなく通信端末6で行っても良い。
【0066】
続いてS5においてCPU51は、情報提供サーバ3から配信された情報を出力する。具体的には液晶ディスプレイ35に対して目的地までの移動案内を行う移動案内画面(地図画像や案内経路など)が表示されている状態で、提供タイミングになると画面の一部或いは全部に情報が表示される。また、スピーカ36から音声についても出力される。例えば、
図8に情報の出力例を示す。
【0067】
図8に示すように液晶ディスプレイ35の左側には情報の出力前から表示されていた車両の移動案内を行う移動案内画面61が継続して表示される。一方で、液晶ディスプレイ35の右側には情報を表示した情報画面62が新たに表示される。情報画面62には、前記S4において情報提供サーバ3から受信した案内画像63が表示され、案内画像63には例えば目的地或いは周辺にある情報提供地点4の施設名、情報提供地点4を紹介する画像、イベントや商品の説明文章等を含む。情報画面62に表示される情報の内容は、前述のジャーニーパターンDB9の第2テーブル(
図4)によって設定された内容となっており、定型文である出発メッセージ、到着メッセージ、充電や給油を促すメッセージが表示される場合もある。また、情報画面62にはユーザの操作を伴うコンテンツとしてURL送信ボタン64と2次元コード65について表示される場合もある。尚、URL送信ボタン64をユーザが操作すると、ユーザが所持する携帯端末に対して、情報画面62に情報が表示されている情報提供地点4のより詳細な情報が開示されたウェブページにアクセスする為のURLを送信することが可能となる。また、URL送信ボタン64によって送信対象となるURLは2次元コード65でも示されている。従って、乗員が2次元コード65を携帯端末の内蔵のカメラで読み取ることによっても、上記ウェブページへのアクセスが可能となる。
【0068】
そして、URL送信ボタン64によって送信されたURLからウェブページにアクセスする、或いは2次元コード65を携帯端末の内蔵のカメラで読み取ることによってウェブページへのアクセスを行うと、携帯端末には前記S5で通信端末6において出力された情報よりもより詳細な情報が出力される。或いは、情報提供地点4で利用可能なクーポン等を表示するようにしても良い。
【0069】
また、前記S5では液晶ディスプレイ35に対して情報画面62が表示されるのに合わせて、情報内容を説明する音声についても出力するのが望ましい。尚、情報の提供は画像以外に音声や動画を液晶ディスプレイ35に表示することにより行うことも可能であるが、移動案内中においてはできる限り移動案内を妨げない態様で出力するのが望ましい。また、一旦表示された情報画面62は、表示されてから所定時間後に自動的に非表示としても良いし、ユーザの操作で非表示としても良いし、次の情報が表示されるまで継続して表示しても良い。
【0070】
また、情報の出力態様としては、上述したように予め収録及び生成して情報提供サーバ3に格納しておいた音声データや映像データを出力することも可能であるが、リアルタイムで人が話す内容を出力しても良い。即ち、情報提供を行う担当のコンシェルジュを設定し、施設や商品を説明するコンシェルジュの音声や映像を出力しても良い。
【0071】
その後、S6においてCPU51は、ユーザが目的地までの移動を終了したか否か、即ちユーザが目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、通信端末6の現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)となった場合に目的地に到達したと判定する。
【0072】
そして、ユーザが目的地までの移動を終了した、即ちユーザが目的地に到着したと判定された場合(S6:YES)には、当該情報提供処理プログラムを終了する。それに対して、ユーザが目的地までの移動を継続している、即ちユーザが目的地に到着していないと判定された場合(S6:NO)にはS4へと戻り、継続して情報の提供を行う。また、目的地の到着後もしばらくの間(例えば到着後10分以内)については情報の提供について継続して行っても良い。
【0073】
次に、情報提供サーバ3のCPU21が実行する情報提供処理プログラムについて説明する。尚、以下のS11~S22の各処理は、通信端末6からの対応する情報を受信したタイミングで開始される。従って、各ステップの実施順序は必ずしもステップ番号の小さい順に実施されるとは限らない。
【0074】
先ず、S11においてCPU21は、通信端末6から送信される目的地情報を受信する。尚、目的地情報には、目的地情報の送信元の通信端末6を特定する端末IDと、前記S1で入力された“ユーザが移動する目的地”を特定する情報(例えば目的地の座標、ID、施設名など)と、前記S2で取得された“ユーザの目的地への移動態様(目的地への出発日、目的地への出発時刻、目的地への到着日、目的地への到着時刻、目的地への移動に用いる移動手段、移動距離)”が含まれている。また、案内経路の探索を情報提供サーバ3で行っていない場合については、通信端末6において設定されている案内経路(ユーザの移動予定経路)の情報についても併せて送信される。
【0075】
次に、S12においてCPU21は、前記S11で受信した目的地情報やユーザの目的地への移動態様についてユーザ道程DB13(
図5)にユーザの“目的地への道程に関する情報”として格納する。また、通信端末6において設定されている案内経路についても取得して、ユーザの目的地までの移動予定経路としてユーザ道程DB13に格納する。尚、以降において情報提供サーバ3は、前記S12でユーザ道程DB13に記憶された情報と定期的に通信端末6から取得する現在位置情報とに基づいて、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況を特定することが可能となる。
【0076】
その後、S13においてCPU21は、前記S11で受信した目的地情報の送信元のユーザを対象にして、ユーザ道程DB13に格納された移動開始日時、移動予定経路、目的地までの所要時間、目的地への到着予定時刻等を読み出し、ユーザの目的地への移動行程
を生成する。尚、前記S13において生成する移動行程は時間軸に対して目的地までのユーザの移動を示した行程(即ちスケジュール)であり、具体的には
図9に示すように“ユーザが目的地への移動を開始する(或いは開始した)日時”、“ユーザが目的地へ到着すると予想される日時”、“総移動時間”を含む。
【0077】
また、ユーザの移動予定経路が取得できない場合についてはユーザの現在位置から目的地までを直線で結んだ線分をユーザの移動予定経路と疑似的に設定し、疑似的な移動予定経路をユーザが一定速度で目的地に向かって移動すると仮定して“ユーザが目的地への移動を開始する(或いは開始した)日時”、“ユーザが目的地へ到着すると予想される日時”、“総移動時間”を算出し、ユーザの目的地への移動行程としても良い。
【0078】
次に、S14においてCPU21は、前記S11で取得したユーザの目的地と目的地への移動態様とジャーニーパターンDB9に格納された第1テーブル(
図3)とを用いて、今回のユーザの移動と同じ目的地且つ同じ又は類似する移動態様が紐づけられたジャーニーパターンを検索する。尚、前述したように第1テーブルは、目的地の位置と、目的地への移動態様と、目的地のジャンルと、ストーリーユースケースIDとの組み合わせに対して、その組み合わせに対する識別を示すジャーニーパターンIDを付与して記憶されている。尚、移動態様については第1テーブルに規定されている移動態様と完全に一致しなくても類似しているジャーニーパターンがあればそれを優先して検索するようにする。
【0079】
そして、S15においてCPU21は、前記S14の検索の結果、今回のユーザの移動と同じ目的地且つ同じ又は類似する移動態様が紐づけられたジャーニーパターンがあるか否かを判定し、あると判定された場合(S15:YES)には、S16へと移行する。それに対して、今回のユーザの移動と同じ目的地且つ同じ又は類似する移動態様が紐づけられたジャーニーパターンがないと判定された場合(S15:NO)には、S17へと移行する。
【0080】
S16においてCPU21は、検索されたジャーニーパターンに紐づけられたストーリーユースケースIDと第2テーブル(
図4)を用いて、前記S11で取得したユーザの目的地と目的地への移動態様に対応する情報の提供タイミングと提供する情報の内容を選択し、今回のユーザの目的地への移動に対する情報の提供タイミングと提供する情報の内容として設定する。尚、前述したように第2テーブルは、第1テーブルに含まれる各ストーリーユースケースIDに対して、情報の提供タイミングと、各提供タイミングにおいて提供する情報の内容とが紐づけられている。
【0081】
一方、S17においてCPU21は、目的地の位置や移動態様を限定しない汎用のジャーニーパターンを選択し、選択されたジャーニーパターンに紐づけられたストーリーユースケースIDと第2テーブル(
図4)を用いて、今回のユーザの目的地への移動に対する情報の提供タイミングと提供する情報の内容を選択して設定する。
【0082】
その結果、例えばストーリーユースケースIDとして“A1”が選択された場合について例を挙げて説明すると、
図10に示すように前記S13で生成されたユーザの目的地への移動行程に対して、情報をユーザに提供する提供タイミングが設定される。具体的には、移動進捗率が20%では出発メッセージの提供を行い、移動進捗率が40%ではSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)の充電施設に関する情報提供を行い、移動進捗率が60%では目的地であるイベント会場の案内に関する情報提供を行い、移動進捗率が80%と85%では充電を促すメッセージの提供を行い、移動進捗率が90%では到着メッセージの提供を行うことが設定される。尚、移動進捗率が20%とは目的地への移動に係る全所要時間の20%(全所要時間が100分であれば移動開始から20分)に到達したタイミングとする。但し、移動進捗率は時間ではなく距離としても良く、移動経路
の全長に対して20%の地点に到達したタイミングとしても良い。
【0083】
続いて、S18においてCPU21は、ユーザ道程DB13に格納されたユーザ道程情報に基づいて、前記S11で受信した目的地情報の送信元のユーザの現時点における目的地までの移動に対する進捗状況を特定する。具体的にはユーザの目的地への移動に係る全所要時間に対して経過した時間の割合を、ユーザが目的地への移動を開始してからの経過時間や現在時刻を参照することによって特定する。尚、前記S18以降の処理はユーザが目的地に到着するまで一定間隔で行われ、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況は随時最新の状態へと更新される。
【0084】
次に、S19においてCPU21は、前記S18で取得したユーザの目的地までの移動に対する進捗状況に基づいて、前記S11で受信した目的地情報の送信元のユーザに対して情報を配信する配信条件を満たしたか否かを判定する。特に本実施形態では前記S16又はS17で情報の配信タイミングとして設定された移動進捗率に到達したか否かを判定する。
【0085】
尚、情報の提供タイミングとしては、前記S16又はS17で情報の配信タイミングとして設定された移動進捗率に到達した直後とするのではなく、移動進捗率に到達してから配信期限を経過するまでの範囲内で車両が停車したタイミングに設定しても良い。配信期限は例えば4.5分とする。
【0086】
そして、情報をユーザに対して配信する配信条件を満たしたと判定された場合(S19:YES)には、S20へと移行する。それに対して、情報をユーザに対して配信する配信条件を満たしていないと判定された場合(S19:NO)には、情報の配信を行うことなくS22へと移行する。
【0087】
S20おいてCPU21は、配信情報DB8に格納されている情報の内、前記S11で受信した目的地情報の送信元の通信端末6に対して提供する対象となる情報を選択する。尚、提供する対象となる情報は前記S16又はS17において情報の配信タイミングとともに設定されている(
図10)。
【0088】
その後、S21においてCPU21は、前記S20で配信情報DB8より抽出した情報を、前記S11で受信した目的地情報の送信元の通信端末6に対して送信する。情報を受信した通信端末6では、前述のように情報が出力されることとなる(
図8参照)。
【0089】
次に、S22においてCPU51は、ユーザが目的地までの移動を終了したか否か、即ちユーザが目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、目的地情報の送信元の通信端末6から定期的に取得するユーザの現在位置と目的地の座標とを比較し、目的地情報の送信元の通信端末6の現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)となった場合に目的地に到達したと判定する。
【0090】
そして、ユーザが目的地までの移動を終了した、即ちユーザが目的地に到着したと判定された場合(S22:YES)には、当該情報提供処理プログラムを終了する。それに対して、ユーザが目的地までの移動を継続している、即ちユーザが目的地に到着していないと判定された場合(S22:NO)にはS18へと戻り、継続して情報の提供を行う。
【0091】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る情報提供システム1、情報提供サーバ3及び情報提供サーバ3で実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザが移動する目的地とユーザの目的地への移動態様を取得し(S11)、目的地への移動を行うユーザの目的地への移動行程に対して、目的地への移動態様を考慮して情報を提供する提供タイミング
を設定する(S16、S17)一方で、現在のユーザの目的地への移動に対する進捗状況を取得し(S18)、現在のユーザの目的地への移動に対する進捗状況が提供タイミングを満たした場合に、ユーザに対して情報を提供する(S21)ので、ユーザの目的地への移動行程において情報をより適切なタイミングで提供することが可能となる。その結果、効果的な情報の提供を行うことが可能となる。
また、移動態様は、目的地への出発日、目的地への出発時刻、目的地への到着日、目的地への到着時刻、目的地への移動に用いる移動手段、移動距離の少なくとも一以上を含むので、ユーザの目的地への出発日、目的地への出発時刻、目的地への到着日、目的地への到着時刻、目的地への移動に用いる移動手段、移動距離などを考慮して、目的地へ移動するユーザに対して情報を提供するタイミングをより適切なタイミングに設定することが可能となる。
また、目的地の位置又はジャンル毎にその目的地への移動行程に対する提供タイミングを複数パターン紐づけて記憶したジャーニーパターンDB9があって、ジャーニーパターンDB9では、複数パターンの提供タイミング毎に移動態様を特定する情報が紐づけられており、ユーザの目的地に対応する複数パターンの提供タイミングの内、ユーザの目的地への移動態様と同じ又は類似する移動態様が紐づけられた提供タイミングを選択して設定する(S14~S17)ので、予め目的地毎に用意された複数パターンの提供タイミングの内、ユーザの目的地への移動態様を考慮して適切な提供タイミングを選択することが可能となる。
また、ユーザの目的地に対応する複数パターンの提供タイミングの内には、移動態様を限定しない提供タイミングである汎用提供タイミングを含み、ユーザの目的地に対応する複数パターンの提供タイミングの内、ユーザの目的地への移動態様と同じ又は類似する移動態様が紐づけられた提供タイミングが存在しない場合については、汎用提供タイミングを選択して設定する(S17)ので、どのような移動態様にも対応できるパターンの提供タイミングを設けることで、ユーザの目的地への移動態様が予め想定した移動態様と異なっていたとしても適した提供タイミングを設定することが可能となる。
また、情報を提供する提供タイミングに加えて、取得された移動態様を考慮して提供タイミングにおいて提供する情報の内容についても設定する(S16、S17)ので、ユーザの目的地への移動行程においてより適切なタイミングでそのタイミングに合わせた内容の情報を提供することが可能となる。その結果、効果的な情報の提供を行うことが可能となる。
【0092】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば本実施形態では、実際にユーザ自身が車等の移動手段を用いて出発地から目的地まで移動する場合においてユーザに対して情報を提供することを前提としているが、ユーザの移動は現実世界の移動ではなく仮想空間上での仮想の移動を対象としても良い。即ち、VR(Virtual Reality)を使って仮想空間上を移動するユーザのアバターが仮想空間
の出発地から目的地へ移動する場合においてアバターを操作するユーザに対して情報を提供するようにしても良い。その場合には通信端末6はVRシステムを構成可能な専用のVRヘッドセット、スマートフォン、PCが該当する。尚、仮想空間上のアバターの操作はVRヘッドセットを使う場合にはリモコンやゲームパッドで行う。PCの場合には、マウスやキーボードで行う。スマートフォンの場合には、タッチパネルで行う。そして、このようなVRに本発明を適用する場合には、前記S11ではユーザのアバターの仮想空間上の出発地や目的地を通信端末6から取得するようにする。
【0093】
例えば具体例として、VRによる仮想空間が企業の展示会である場合には、目的地は仮想空間上にある企業の出展ブースであっても良いし、出展ブース内にある具体的な展示物であっても良い。また、例えば目的地が企業の出展ブースである場合に、アバターを操作するユーザに対して提供される情報は、展示会全体の広告情報であっても良いし、出展す
る企業に関する広告情報でも良いし、出展ブースに対する広告情報でも良いし、出展ブースに出展された展示物に対する広告情報でも良い。
【0094】
また、他の具体例として、VRによる仮想空間がバーチャルモールである場合には、例えばアバターを操作するユーザに対して提供される情報は、バーチャルモール全体の広告情報であっても良いし、バーチャルモールに出店するショップに関する広告情報でも良いし、バーチャルモールに出店するショップが扱う商品に対する広告情報でも良い。
【0095】
また、本実施形態ではユーザの目的地への移動行程について
図9に示すように時間軸に対して目的地までのユーザの移動を示した行程(即ちスケジュール)であるが、距離を軸にした行程(即ちユーザの目的地までの移動予定経路)としても良い。また、移動行程を目的地までの移動予定経路とする場合については、提供タイミングを示す移動進捗率は距離を基準に行われる。
【0096】
また、本実施形態ではユーザの目的地への移動態様を考慮して情報を提供するタイミングと提供する情報の内容の両方を設定しているが、情報を提供するタイミングのみ設定しても良い。即ち、
図4に示す第2テーブルでは移動進捗率のみを規定しても良い。
【0097】
また、本実施形態ではS15において今回のユーザの移動と同じ目的地且つ同じ又は類似する移動態様が紐づけられたジャーニーパターンがないと判定された場合(S15:NO)において、目的地の位置や移動態様を限定しない汎用のジャーニーパターンに基づく情報の提供を行っているが、情報の提供を行わないようにしても良い。
【0098】
また、
図3に示す第1テーブルでストーリーユースケースIDに紐づけられる移動態様は、目的地への出発日、目的地への出発時刻、目的地への到着日、目的地への到着時刻、目的地への移動に用いる移動手段、移動距離であるが、それらの一部のみを紐づけても良い。
【0099】
また、本実施形態では、ユーザの目的地の入力操作に基づいて今回の移動におけるユーザの目的地を設定しているが、ユーザの過去の行動履歴等に基づいてユーザの目的地を推測して設定しても良い。例えば、過去に同じ曜日の同じ時間帯にユーザが頻繁に同一の施設を訪れている場合には、今回の移動の目的地についても同施設であると推測できる。また、夕方以降にショッピングモール等の自宅以外の施設から移動を開始する場合には自宅を目的地と推測することも可能である。
【0100】
また、本実施形態では、ユーザが車両に乗車している状態であることを前提とするが、車両以外の移動手段(例えば電車など)に乗車している状態であっても良いし、徒歩で移動している状態であっても良い。
【0101】
また、本実施形態では、情報提供サーバ3が情報の配信条件を満たしたと判定した場合に、その都度出力対象となる情報を通信端末6へと送信しているが、目的地情報を受信した時点で今回の走行で出力する予定の全ての情報を予め通信端末6へと送信しておくようにしても良い。
【0102】
また、本実施形態では、通信端末6を車載器であるナビゲーション装置に適用した例について説明したが、ナビ機能と情報を出力する機能を有していれば他の種類の通信端末に対して適用することも可能である。例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等に適用することが可能である。また、ナビゲーション装置以外に適用する場合には、ユーザが車で移動する以外の状況、例えば徒歩で移動する状況においても実施可能である。
【0103】
また、本実施形態では、S13~S20の情報の抽出処理を情報提供サーバ3が行う構成としているが、通信端末6が行っても良い。
【符号の説明】
【0104】
1…情報提供システム、3…情報提供サーバ、4…情報提供地点、5…ユーザ、6…通信端末、8…配信情報DB、9…ジャーニーパターンDB、11…サーバ制御部、13…ユーザ道程DB、21…CPU、22…RAM、23…ROM