(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118850
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】画像生成システム、及び位置特定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
G01B11/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025400
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 勇太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹本 喜昭
(72)【発明者】
【氏名】中西 伶奈
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA06
2F065AA53
2F065BB27
2F065CC14
2F065DD03
2F065FF11
2F065FF61
2F065FF65
2F065FF66
2F065GG04
2F065HH04
2F065HH14
2F065JJ01
2F065JJ15
2F065LL16
2F065LL18
2F065MM16
2F065MM26
2F065PP03
2F065PP04
2F065PP22
2F065QQ28
(57)【要約】
【課題】各々の測定対象物の測定対象領域における位置と、床面の凹凸の状態の関係とを簡単に把握する。
【解決手段】測定対象領域の表面を3次元的に計測する計測部と、前記計測部によって前記表面を3次元的に計測した結果に基づき、前記測定対象領域における各位置の高さに応じて異なる表示態様によって表す高低差画像を生成する高低差画像生成部と、円筒形の反射部を備え、前記測定対象領域における前記検出対象位置に設置される測定対象物と、前記反射部から反射されたレーザ光により前記測定対象物の検出方向を含む検出データを計測する測定装置と、前記測定装置で計測した検出データに基づいて、前記測定対象領域に広がる前記測定装置を基準とした座標系における前記測定対象物の座標に基づいて位置情報を生成する位置情報生成部と、を備え、前記高低差画像上に前記位置情報に応じた位置に印を付した第1画像を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象領域の表面を3次元的に計測する計測部と、
前記計測部によって前記表面を3次元的に計測した結果に基づき、前記測定対象領域における各位置の高さに応じて異なる表示態様によって表す高低差画像を生成する高低差画像生成部と、
円筒形の反射部を備え、前記測定対象領域における前記検出対象位置に設置される測定対象物と、
前記反射部から反射されたレーザ光により前記測定対象物の検出方向を含む検出データを計測する測定装置と、
前記測定装置で計測した検出データに基づいて、前記測定対象領域に広がる前記測定装置を基準とした座標系における前記測定対象物の座標に基づいて位置情報を生成する位置情報生成部と、を備え、
前記高低差画像上に前記位置情報に応じた位置に印を付した第1画像を生成する
ことを特徴とする画像生成システム。
【請求項2】
前記高低差画像生成部は、複数の色を用いて前記測定対象領域における各位置の高さを表す高低差画像を生成する
請求項1に記載の画像生成システム。
【請求項3】
測定対象領域の表面を3次元的に計測する計測部と、
前記計測部によって前記表面を3次元的に計測した結果に基づき、前記測定対象領域における各位置の高さに応じて異なる表示態様によって表す高低差画像を生成する高低差画像生成部と、
円筒形の反射部を備え、前記測定対象領域における前記検出対象位置に設置される、複数の測定対象物と、
前記反射部から反射されたレーザ光により前記測定対象物の検出方向を含む検出データを計測する測定装置と、
前記測定装置で計測した検出データに基づいて、前記測定対象領域に広がる前記測定装置を基準とした座標系における前記測定対象物の座標に基づいて位置情報を生成する位置情報生成部と、
を備え、
複数の前記測定対象物は、それぞれ異なる所定の表示パターンが表示されたターゲットが設けられ、
前記測定対象物を含む第2画像を取得する第2検出部と、
前記検出データに基づいて、複数の前記測定対象物それぞれの前記座標を算出すると共に、前記第2画像に基づいて複数の前記測定対象物を識別するIDを個別に認識し、複数の前記IDとそれぞれ対応する複数の前記座標とを関連付けて複数の前記位置情報を生成する演算装置と、
をさらに有し、
前記高低差画像上に複数の前記位置情報に応じた位置に印を付した第3画像を生成する
ことを特徴とする画像生成システム。
【請求項4】
前記測定対象領域の表面を3次元的に計測する計測部と、
前記計測部によって前記表面を3次元的に計測した結果に基づき、前記測定対象領域における各位置の高さに応じて異なる表示態様によって表す高低差画像を生成する高低差画像生成部と、
円筒形の反射部を備え、測定対象領域における検出対象位置に設置される測定対象物と、
レーザ光を照射して当該照射されたレーザ光が前記反射部によって反射された反射光を検出可能な第1検出部を備えた測定装置と、
を備えた位置測定システムを用いて、前記高低差画像上に、前記位置情報生成部で生成された位置情報に応じた位置を特定した画像を生成する位置特定方法であって、
前記測定対象領域の表面に対して照射されたレーザ光が当該表面から反射された反射光に基づいて前記表面を3次元的に計測する工程と、
前記表面を3次元的に計測した結果に基づき、前記測定対象領域における各位置の高さに応じて異なる表示態様によって表す高低差画像を生成する工程と、
前記測定対象物を前記測定対象領域における前記検出対象位置に設置する工程と、
前記第1検出部により前記反射部にレーザ光を照射し、前記反射部で反射されたレーザ光を検出し、前記測定対象物の検出方向を含む検出データを取得する工程と、
前記検出データに基づいて前記測定対象領域に広がる前記測定装置を基準とした座標系における前記測定対象物の座標に基づいて位置情報を生成する工程と、
前記高低差画像上に、前記位置情報生成部で生成された位置情報に応じた位置を特定した第1画像を生成する工程と、
を備えることを特徴とする位置特定方法。
【請求項5】
前記第1画像に基づき、前記高低差画像における前記表面の凸部の淵に対応するように前記測定対象物を移動しつつ、前記表面に印を付す工程と
を備える請求項4に記載の位置特定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象領域における位置と、凹凸を示す画像における位置と、を紐づけることができる画像を生成するための画像生成システム、及び位置特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内競技場等の広い見通しのきく空間を有する設備では、空間内の位置を検出することが求められている。例えば、設備に広大なコンクリート床面が施工されている場合、床面の盛り上がりやひび割れなどの補修対象箇所が見つかった場合に、その場所(=位置)を検出する必要がある。また、このような平面上で自動的に移動するような自律移動機を動かす場合にも位置測定が必要となる。さらに、このような平面上で複数の対象物の位置を同時に検出することも求められている。
【0003】
従来、位置測定には、GPS(Global Positioning System)を用いた手法の他、計測位置に配置された目標対象物にプリズムを設け、自動測量機であるトータルステーションで目標対象物の位置を測量する手法がある。しかしながら引用文献1に記載された通り、GPS(Global Positioning System)は、位置設定では人工衛星からの電波を必要とするので建物内の位置測定ができない。また、追尾機能を具備したトータルステーションを用いた手法は、目標対象物を検出する為、追尾光をランダムに上下左右に、全周囲に亘り追尾光がプリズムで反射される位置が検出されるまでスキャンする必要があり、作業時間が長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、建物内ではGPSを用いた位置測定を行うことができないため、トータルステーションを用いて位置測定を行うことが考えられる。しかしながらトータルステーションを用いた位置測定では、追尾機能を具備したトータルステーションを用いても計測に時間を要する。また、位置を簡便に測定することだけでなく、測定位置と、床面の盛り上がり等の高さ方向における凹凸の状態と、の対応関係を簡単に把握できるようにすることが望まれている。
【0006】
本発明は、測定対象領域における位置と、床面の凹凸の状態を示す画像と、を紐づけることができる画像を生成することが可能な画像生成システム、及び位置特定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、測定対象領域の表面を3次元的に計測する計測部と、前記計測部によって前記表面を3次元的に計測した結果に基づき、前記測定対象領域における各位置の高さに応じて異なる表示態様によって表す高低差画像を生成する高低差画像生成部と、円筒形の反射部を備え、前記測定対象領域における前記検出対象位置に設置される測定対象物と、前記反射部から反射されたレーザ光により前記測定対象物の検出方向を含む検出データを計測する測定装置と、前記測定装置で計測した検出データに基づいて、前記測定対象領域に広がる前記測定装置を基準とした座標系における前記測定対象物の座標に基づいて位置情報を生成する位置情報生成部と、を備え、前記高低差画像上に前記位置情報に応じた位置に印を付した第1画像を生成する。
【0008】
また、本発明の前記測定対象物は、前記測定対象領域の表面を3次元的に計測する計測部と、前記計測部によって前記表面を3次元的に計測した結果に基づき、前記測定対象領域における各位置の高さに応じて異なる表示態様によって表す高低差画像を生成する高低差画像生成部と、円筒形の反射部を備え、測定対象領域における検出対象位置に設置される測定対象物と、レーザ光を照射して当該照射されたレーザ光が前記反射部によって反射された反射光を検出可能な第1検出部を備えた測定装置と、を備えた位置測定システムを用いて、前記高低差画像上に、前記位置情報生成部で生成された位置情報に応じた位置を特定した画像を生成する位置特定方法であって、前記測定対象領域の表面に対して照射されたレーザ光が当該表面から反射された反射光に基づいて前記表面を3次元的に計測する工程と、前記表面を3次元的に計測した結果に基づき、前記測定対象領域における各位置の高さに応じて異なる表示態様によって表す高低差画像を生成する工程と、前記測定対象物を前記測定対象領域における前記検出対象位置に設置する工程と、前記第1検出部により前記反射部にレーザ光を照射し、前記反射部で反射されたレーザ光を検出し、前記測定対象物の検出方向を含む検出データを取得する工程と、前記検出データに基づいて前記測定対象領域に広がる前記測定装置を基準とした座標系における前記測定対象物の座標に基づいて位置情報を生成する工程と、前記高低差画像上に、前記位置情報生成部で生成された位置情報に応じた位置を特定した第1画像を生成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、測定対象領域における位置と、床面の凹凸の状態を示す画像と、を紐づけることができる画像を生成することが可能な画像生成システム、及び位置特定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る位置測定システムの構成を示す図である。
【
図2】位置測定システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】第1検出部の計測原理を概略的に説明する図である。
【
図5】複数の測定対象物を検出する状態を示す図である。
【
図6】測定対象物の検出原理を概略的に説明する図である。
【
図8】複数の測定対象物の各位置情報の算出結果を示す図である。
【
図9】位置測定方法の各工程の流れを示すフローチャートである。
【
図10】端末装置に表示される位置情報を示す図である。
【
図11】位置測定を行い、床面における凹凸を均すまでの各工程を示すフローチャートである。
【
図12】端末装置30の表示画面に表示される高低差画像の一例を示す図である。
【
図13】コンクリート床面(表面)を均す様子を示す図である。
【
図14】研磨する前と研磨した後の様子を示す図である。
【
図15】床面を移動する測定用台車を示す図である。
【
図16】床面の凹凸を測定する床面測定用台車の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る画像生成システム及び位置特定方法の実施形態について説明する。画像生成システムで用いられる位置測定システムは、例えば、建物内における検出対象位置を算出するシステムである。建物は、例えば、競技場、展示場、等の広大な室内空間を備えている。位置測定システムは、例えば、建物の室内空間の床面を測定対象領域とし、測定対象領域における検出対象位置を算出するものである。
【0012】
画像生成システムは、建物内の測定対象領域の表面(床面)の凹凸を3次元的に計測し、高低差画像を生成する画像生成部60と、位置測定システム1と、を備える。位置測定システム1は、
図1及び2に示されるように、例えば、建物内の測定対象領域の検出対象位置に設置される測定対象物2と、測定対象物2の相対的な位置を測定する測定装置10と、測定結果に基づいて測定対象物の測定対象領域における座標を算出する演算装置20と、端末装置30と、を備える。
【0013】
画像生成部60は、第3検出部16と、演算装置61と、を有する。第3検出部16は、例えば、3次元レーザスキャナである。第3検出部16は、後述する第1検出部11を兼用してもよい。演算装置61は、位置情報生成部62aと、高低差画像生成部62bと、をさらに有する。
【0014】
位置情報生成部62aは、第1検出部11から取得した検出データに基づいて、測定対象領域に広がる測定装置を基準とした座標系における測定対象物の座標に基づいて位置情報を生成する。
高低差画像生成部62bは、第3検出部16によって表面を3次元的に計測した結果に基づいて、測定対象領域における各位置の高さに応じて異なる表示態様によって表す高低差画像を生成する。高低差画像は、例えば、高さ方向における凹凸に応じて異なる表示態様によって表される画像であればよく、表示態様としては色であってもよいし、模様であってもよい。例えば、高低差画像は、高さ方向において、最も低い箇所を濃い青色とし、他よりも高くなるにつれて、青、緑、黄、橙、赤の順となるように表すようにしてもよい。
【0015】
測定対象物2は、例えば、建物内の測定対象領域における床面の検出対象位置に設置される。測定対象物2は、測定対象領域に複数個設けられる。検出対象位置は、例えば、床面に生じたヒビや凹凸などの補修が必要な場所や、設備を設置する場所である。測定対象物2は、本体部3と、反射部4と、ターゲット5と、を備える。
【0016】
本体部3は、例えば、円柱状に形成されている。本体部3は、例えば、樹脂材料、金属材料、木材等により形成されている。本体部3は、例えば、下端を検出対象位置に接触させ、上端を鉛直上方に向けた起立状態で使用される。
【0017】
本体部3の上端には、例えば、レーザ光を反射する反射部4が設けられている。反射部4は、測定を妨げないように作業者の身長に比して高い位置に設けられる。反射部4は、例えば、レーザ光を再帰反射し易い反射部材により形成されており、本実施例では、円筒形状とされている。
【0018】
また本体部3には、反射部4の下方にターゲット5が設けられている。ターゲット5は、測定を妨げないように作業者の身長に比して高い位置に設けられる。ターゲット5は、測定対象位置に対応して異ならせた、測定対象物2を識別するためのID情報に応じたバーコード(縞状模様)からなる。本実施例におけるバーコードは、鉛直方向に配列された、本体部3を取り囲む無端状の複数の線で構成されている。これによりバーコードは、視認性を向上させることができ、どの方向からも測定対象物2を識別するためのID情報をバーコードから安定して取得することができる。
【0019】
なおターゲット5は、測定対象物2を識別するためのID情報を取得可能な識別標識であれば、バーコードの他、IDに応じた色分けであってもよく、使用環境に応じて、読み取り精度を確保することができる表示形態を選択することができる。また本実施例では、ターゲット5であるバーコードが表示された部材が本体部3に設けられた構成としたが、これに限らず、本体部3にターゲット5であるバーコードが直接描かれていてもよい。測定対象物2の反射部4及びターゲット5は、測定装置10により測定される。
【0020】
測定装置10は、反射部4を検出する第1検出部11と、ターゲット5を識別する第2検出部15と、を備える。第1検出部11は、レーザ光を照射する照射部と、レーザ光を受信する受信部と、を備えた、測定対象物2の位置、ひいては測定対象位置の相対的な位置を計測する2次元レーザスキャナである。第2検出部15は、ターゲット5を含む画像を取得するカメラである。測定対象物2において反射部4の下方にターゲット5が配されるのに対応して、測定装置10は、反射部4を検出する第1検出部11の下方にターゲット5を識別する第2検出部15が設置されている。このように、第1検出部11と第2検出部15が駆動した際に、第1検出部11が反射部4を検出することを、また第2検出部15がターゲット5を識別すること、をそれぞれ支持する三脚が妨げることがないように、同一の三脚で支持されている。
【0021】
第1検出部11は、測定対象物2に対して照射部からレーザ光を照射し、測定対象物2の反射部4によって反射されたレーザ光を受信部で受信する。具体的には、第1検出部11は、支持される三脚5に対して鉛直方向を回転軸として回転可能とされている。これにより第1検出部11は、細かい時間間隔でレーザ光の照射を繰り返すパルスレーザからなる照射部で水平方向に照射方向を変化させながらレーザ光を照射し、受信部で反射部4によって反射させられた反射光を検出可能に構成されている。第1検出部11は、照射部がレーザ光を照射した照射タイミングと、照射されたレーザ光が反射部4で反射された反射光を受信部が検出する検知タイミングと、照射部がレーザ光の照射したときのレーザ光の照射角度と、を演算装置20に出力する。
【0022】
第2検出部15は、測定対象位置、ひいては測定対象物2へ向けられ、ターゲット5が映る画像を取得する。本実施例では第2検出部15は、支持される三脚に対して鉛直方向を回転軸として第1検出部11とともに回転可能とされ、第1検出部11の照射部がレーザ光を照射する方向に第2検出部15が向けられている。これにより、第1検出部11が反射部4によって反射されたレーザ光を受信部で受信するとき、第2検出部15の画角にターゲット5が収まるように第2検出部15は設置されている。第2検出部15は、第1検出部11の照射部がレーザを発した照射タイミングで画像を取得し、演算装置20に出力する。
【0023】
演算装置20は、例えば、各種演算を行う演算部22と、演算に必要なデータ及びプログラムが記憶された記憶部24と、測定装置10や端末装置30と通信する通信部26とを備える。記憶部24は、第1検出部11や第2検出部から取得したデータや演算部22の演算結果を格納する記憶装置である。記憶部24は、例えば、HDD、フラッシュメモリ等の記憶媒体により構成されている。通信部26は、端末装置30と通信する通信インタフェースである。
【0024】
記憶部24は、第1検出部11から取得した、照射部がレーザ光を照射した照射タイミングと、照射されたレーザ光が反射部4で反射された反射光を受信部が検出する検知タイミングと、照射部がレーザ光の照射したときのレーザ光の照射角度と、を記憶する。演算部22は、記憶部24から読み込んだ照射タイミング、検知タイミング、照射角度に基づいて、測定対象領域における第1検出部11に対する測定対象物2の相対的な位置関係を算出する。演算部22は、この演算結果に基づき、測定対象領域である建物の室内空間の床面と平行に延びる座標系における測定対象物2の座標を算出する。
【0025】
また記憶部24は、第2検出部15から取得した、第1検出部11の照射部がレーザを発した照射タイミングで撮影した画像を記憶する。演算部22は、記憶部24から取得した画像の中からターゲット5にあたる画像を抽出し、抽出した画像に基づいて測定対象物2のID情報を取得する。そして取得された測定対象物2のID情報は、演算部22で測定対象領域における第1検出部11に対する測定対象物2の相対的な位置関係と紐づけられる。したがって、IDにより特定の測定対象位置に関する情報と、測定対象位置の座標情報と、がタグ付けされ、同時に検索可能とされる。
【0026】
この結果、測定対象領域に測定対象位置、ひいては測定対象物2が複数ある場合には、測定対象位置に応じて異ならせたターゲット5を用いることで、各測定対象位置に関する情報を容易に検索することができる。加えて、測定対象位置に応じて異ならせたターゲット5が設けられた測定対象物2を複数、測定対象領域内に配置することにより、一台の測定装置10で一度に複数の測定対象位置を計測可能とすることができる。このように本実施形態では、簡便な構成で複数の測定対象位置(測定対象物)の位置を測定することができ、各々の測定対象位置が測定対象領域において、どの位置に位置しているか、を認識することができる。
【0027】
本実施例では画像生成システムは、さらに測定対象物2を測定対象位置に設置する作業者が携帯する端末装置30をさらに有する。端末装置30は、タブレット端末、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等により構成される通信可能な端末装置である。端末装置30は、演算装置20と通信する通信部32と、測定対象物2のIDなど端末装置30に情報を入力するための入力部34と、各種情報を表示する表示部36と、を備える。入力部34は、ユーザが測定対象物2、測定対象位置に付与された番号等のIDに関する情報が入力可能に構成されている。入力部34は、タッチパネル、キーボード、マイク等の情報入力インタフェースである。表示部36は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の画像表示装置である。
【0028】
図10に示されるように、端末装置30は、表示部36に画像生成部60で生成した高低差画像30Mを表示すると共に、演算装置61から取得した位置情報に基づいて高低差画像30Mに測定対象物2の位置30Gが示された画像を表示する。本実施例に係る画像生成システムによれば、ユーザは、端末装置30に表示された高低差画像30Mに基づいて、測定対象領域MOにおける測定対象物2の位置30Gを把握することができ、床面に生じている凹凸の位置をリアルタイムで認識することができる。本実施例に係る位置測定システム1によれば、スケートリンク等の高い平坦度が要求される床面のコンクリート施工において、床面の凹凸の状態を簡便に把握することができる。
【0029】
なお、入力部34で測定対象物2のIDがユーザによって入力されることにより、端末装置30の表示部36に高低差画像30M上における入力されたIDに係る測定対象位置を表示させ、ユーザがIDに係る測定対象位置を認識可能としている。より具体的には、入力部34でIDがユーザによって入力されることにより、通信部32を介して端末装置30からID情報が演算装置20に送信される。演算装置20は、受信したID情報に基づいて、通信部26を介してIDに対応する測定対象物2、ひいては測定対象位置の座標データを端末装置30に送信する。そして端末装置30は、測定対象位置の座標データに基づいて高低差画像30Mにおける、受信したIDに対応する測定対象物2の位置を表示部36に表示する。
【0030】
なお端末装置30は、カメラ等の撮像部やセンサを有していてもよい。端末装置30は、IDに係る測定対象位置における映像やセンサの検知結果等の情報を取得し、通信部32を介して端末装置30から演算装置20に送信し、測定対象位置に関する情報や測定対象位置の座標情報と共にタグ付けし、IDにより検索可能としてもよい。
【0031】
次に、位置測定システムの測定原理について詳細に説明する。
【0032】
図3に示されるように、第1検出部11の照射部は、水平面方向にレーザ光Rを角度分解単位Δθ毎に走査し、第1検出部11の受信部は物体に当たって反射した反射光を検出する。演算部22は、検出データに基づいて物体、ひいては測定対象物2に位置を検出する。第1検出部11と測定対象物2との間の距離がLのとき、レーザ光Rが測定対象物2に照射されて反射した反射光の検出パルスがN個検出された場合、円筒形状の反射部4の外径Dは、近似的にD=L×sinΔθ×Nにより算出される。Δθは、十分に小さいので、sinΔθ=Δθである。そうすると、検出データの個数Nは、以下の数式、N≒D/(LΔθ)により算出される。従って、個数Nは、距離Lに反比例し、距離Lが長くなるほど少なく検出される。
【0033】
演算部22は、検出データに基づいて、点群の中からレーザ光Rの走査方向に連続する点群列を抽出する。演算部22は、点群列の数と検出データの個数Nとの比較結果に基づいて、点群列の数が検出データの個数Nに近いものを物体、ひいては測定対象物2の点群の候補として抽出する。
【0034】
まず初めに
図4に示されるように、測定対象領域内又は近傍の所定位置に測定装置10が設置される。第1検出部11は、測定対象領域を走査し、初期値となる検出データを取得する。演算部22は、初期値となる検出データに基づいて、測定対象領域内の柱や壁等の構造体Kの距離及び位置を抽出する。演算部22は、設計図等の測定対象領域内の基礎データと初期値となる検出データを比較し、測定装置10が設置されている所定位置と測定対象領域との相対的な位置関係を算出する。演算部22は、算出した所定位置と測定対象領域との位置関係に基づいて、測定対象領域内に測定装置10の設置位置を基準とした座標系(x、y)を設定する。
【0035】
次に
図5に示されるように測定対象領域内において、複数のユーザにより複数の測定対象物2が複数の検出対象位置に設置される。第1検出部11は、測定対象領域に向けてレーザ光Rを走査し、検出データを取得する。このとき、第2検出部15は、第1検出部11の検出範囲を含む画角において測定対象物2を撮像する。第2検出部15は、複数の測定対象物2を含むパノラマ画像を取得してもよい。
【0036】
そして
図6に示されるように演算部22は、測定対象物2が配置された状態で測定した検出データと、初期値となる検出データと、を比較し、検出データから建物内の構造体Kのデータを差し引き、点群列Dの数がNに近いものを測定対象物2として抽出する。演算部22は、点群列Dの位置データに基づいて各点群列の座標を算出する。
【0037】
図7に示されるように演算部22は、第2検出部15が撮像した画像Mに基づいて、画像処理を行い画像内における複数のターゲット5を抽出する。演算部22は、複数のターゲット5に示されるバーコードや色彩等の表示パターンに基づいて各ターゲット5のIDを個別に識別する。
【0038】
図8に示されるように、演算部22は、第1検出部11の検出データに基づいて抽出された複数の点群列D(
図6参照)の位置関係と、識別された複数の点群列Dの位置関係とに基づいて、各点群列Dと測定対象物2に付与されたIDとを対応付けた座標データZを算出する。
【0039】
次に、位置測定システム1を用いた画像生成システムが生成した画像を用いたコンクリートスラブの平坦化の手順について説明する。
【0040】
図11は位置測定を行い、床面における凹凸を均すまでの各工程を示すフローチャートであり、
図9は位置測定方法の各工程をより細かく説明したフローチャートである。
図12は、端末装置30の表示画面に表示される高低差画像の一例を示す図、
図13は、コンクリート床面(表面)を均す様子を示す図である。
【0041】
施工者は、施工対象の場所に設置される型枠内にコンクリートを打設し、コンクリートの表面を均す(
図11ステップS30)。次に、施工者は、測定装置10の第3検出部16によって、コンクリートの表面を測定する。画像生成部60の第3検出部16は、コンクリートの表面を測定対象領域として凹凸の状態を測定する。高低差画像生成部42bは、測定結果に基づいて、高低差画像を生成する。そして、人が上に乗れる程度にコンクリートが硬化した後、コンクリートの面上において測定対象物2が設置されると、第1検出部11によって測定対象物2の位置が測定され、測定結果が、演算装置20から演算装置61に出力される。
【0042】
演算装置61の位置情報生成部62aは、演算装置20から測定結果を取得すると、測定結果に基づいて位置情報を生成する。位置情報が生成されると、高低差画像生成部62bは、高低差画像に対し、位置情報生成部62aによって生成された位置情報に応じた位置に、現在地を示す図形を重畳する。演算装置61は、位置情報が重畳された高低差画像である画像データを端末装置30に送信する。端末装置30は、演算装置61から受信した画像データを表示画面に表示させる(
図11ステップS32、
図12)。これにより、コンクリート表面における凹凸の状態を可視化することができる。また、凸部が赤で表示されるため、凸部の位置を容易に把握することができる。
【0043】
具体的には、人が上に乗れる程度にコンクリートが硬化した後、測定対象領域内に測定装置10及び演算装置20を設置する(
図9ステップS10)。そして測定対象領域において、端末装置30の表示部36に表示された高低差画像30Mを参照しつつ測定対象物2を検出対象位置に設置する(
図9ステップS12)。ステップS12において、測定対象領域には、複数の測定対象物2が複数の検出対象位置に設置されてもよい。第1検出部11は、レーザ光を用いて第1検出部11、ひいては測定装置10に対する測定対象物2の相対的な位置を計測するレーザ測定を行い、測定対象物2の検出方向を含む検出データを取得する(
図9ステップS14)。第2検出部15は、第1検出部11の検出方向に向けられ、測定対象物2を含む画像Mを取得する(
図9ステップS16)。
【0044】
演算装置20は、第1検出部11で取得した検出データに基づいて測定装置10を基準とした測定対象領域に広がる座標系における測定対象物2の座標を算出する(
図9ステップS18)。演算装置20は、第2検出部15で取得した画像Mからターゲット5の画像領域を抽出し、抽出した画像領域におけるターゲット5の表示パターンに基づいて測定対象物2のIDを認識する(
図9ステップS20)。演算装置20は、IDと座標とを関連付ける位置情報を生成する(
図9ステップS22)。ステップS22において、複数の測定対象物2が複数の検出対象位置に設置されている場合、演算装置20は、複数の測定対象物2の位置情報を生成してもよい。演算装置20は、生成した位置情報を演算装置61に送信してもよい。演算装置61の高低差画像生成部62bは、高低差画像に対し、演算装置20によって生成された位置情報に応じた位置に、現在地を示す図形を重畳する。位置情報には、測定対象物2のIDが含まれているため、高低差画像生成部62bは、このIDに応じて異なる印(図形、文字等)を表示するようにしてもよい。また、演算装置20が位置情報を生成するのではなく、演算装置61の位置情報生成部62aが、第1検出部11によって検出された検出データと、第2検出部15によって取得された画像Mを元に特定されるIDとを演算装置20から取得し、検出データとIDとに基づいて位置情報を生成するようにしてもよい。また、演算装置20と演算装置61とが別の装置である場合について説明したが、1つの演算装置として構成されるようにしてもよい。
また、第1検出部11は位置測定システム1に設けられているが、第1検出部11が画像生成部60に設けられていてもよいし、位置測定システム1と画像生成部60とのそれぞれに個別に設けられていてもよいし、共有されていてもよい。
【0045】
上述したように、位置測定システム1によれば、GPSにより測定不能な建物内の空間において測定対象物の座標を算出することができる。位置測定システム1によれば、測定装置10を建物内の所定位置に設置するだけで、広大な測定対象領域内における測定対象物2の相対的な位置を簡便に算出することができる。位置測定システム1によれば、複数の測定対象物2の位置情報を同時に算出することができる。位置測定システム1によれば、測定対象物2は、本体部3、反射部4、ターゲット5による簡素な構成を有し、導入コストを大幅に低減することができる。
【0046】
その後、人が上に乗れる程度に硬化したコンクリートからなる床面の凸部に印を付ける。
作業者の一人が測定対象物2を持ち、傍にいる別の作業者が端末装置30の表示画面に表示される位置(
図12符号P)を確認する。ここでは、1人の作業者が測定対象物2と端末装置30とを持つようにしてもよい。
そして表示画面に表示される現在位置を確認しながら、当該現在位置が凸部の淵に位置するように移動する。ここでいう凸部は、測定対象領域内において他の箇所よりも高さが高くなっている部分である。淵は、凸部と非凸部との境界である。高低差画像において、異なる高さに応じて表示態様を複数段階(例えばn段階)によって表示する場合、その複数段階の平均値(中央の段階)よりも高い段階を凸部としてもよい。また、淵は、高さが最も高い段階と次に高い段階の境界であってもよいし、凸部がいくつかの段階に分かれて表されている場合には、凸部の中において異なる段階における境界であれば、いずれの境界であってもよい。凸部の淵に沿うように移動しながら、床面の凸部の淵に沿って印を付けていく(
図11ステップS34)。床面に印を付けることによって、凸部が床面のどの範囲にあるかを可視化することができる。
印を付した後、作業者は、印(
図13符号SI)を手がかりにして、凸部を研磨する。研磨する厚みは、凸部の高さによって任意に変更することができるが、例えば、2mmである。研磨する厚みが大きくなると、コンクリート内の骨材が表面に出てきやすくなり、また、その後の押えで表面を綺麗にすることが難しくなるため、2~3mmが適当である。ここでは、研磨した後、再度ステップS32から実行することで、凹凸状態を確認し、必要に応じて凸部の淵に印を付し、凸部を研磨するようにしてもよい。これにより、凸部を無くし、コンクリート表面をより平滑に均すことができる。最後に、コンクリート表面を綺麗にし、作業を終了する(ステップS36)。
【0047】
なお、
図12に示す高低差画像において、高低差画像生成部42bは、現在位置を測定した履歴を演算装置61内の記憶装置(メモリ領域等)に記憶し、記憶された現在位置の履歴に基づいて、現在位置の軌跡TRを高低差画像に重ねて表示するようにしてもよい。
【0048】
図14は、研磨する前と研磨した後の様子を示す図である。
図14において、高低差画像Maは、研磨をする前の画像である。高低差画像Maの領域R1と領域R2の高さは、他の領域R3よりも高いことを示す色によって表示されているため、高くなっていることが把握できる。作業者は、端末装置30の表示画面に表示される現在位置に基づいて、床面上を移動しつつ、高くなっている床面上の箇所に印を付ける。そして作業者は、付された印を手がかりにして、高くなっている床面の箇所を研磨する。その後、改めて、第3検出部16を用いて床面の高さを測定する。その結果、高低差画像Mbの画像が得られた場合には、領域R5、領域R6に示すように、研磨前に比べて、床面の高くなっていた部分の面積が減少しており、床面の高さが他の領域の高さに近づいたことを確認することができる。このようにして、高さを均す対象の箇所を簡単に確認し、均すことができる。従って、高い平滑性が求められるコンクリートスラブの施工において、ポンプ車から排出されたコンクリートを型枠内に均してゆくが、このような作業であっても、コンクリートの上面の高さを正確に管理することができる。
【0049】
なお、この構成にあっては、画像生成システムは、さらに測定対象領域に映像を投影する投影装置(不図示)を備えていてもよい。投影装置は、測定対象領域よりも高い位置に取り付けられる。例えば、投影装置は、高所作業車の上部に取り付けられる。そして投影装置は、プロジェクションマッピングを用いて、床面の凹凸の高低差の度合いに応じて測定対象領域を色分けした高低差画像を実際の位置に合わせて測定対象領域の表面に投影してもよい。投影装置は、第3検出部でリアルタイムに検出された検出結果に基づいて生成された高低差画像を、リアルタイムに床面へ投影してもよい。この位置測定システム1によれば、例えば、コンクリートを打設後、床面の凹凸の高低差の度合いに応じて色分けされた高低差画像を現実の位置に合わせて床面に投影することで凹凸の位置を容易に把握することができ、床面の修正を補助することができる。
なお、本実施例において、高低差画像を端末装置30に表示させるようにした場合には、高所作業車等を用いて測定対象領域よりも高い位置に投影装置を設置する必要がないため、高所作業車を搬入し難い現場や、高さ制限がある現場等であっても、簡単に高低差画像を確認することができる。また、投影装置を用いて床面に高低差画像を投影する場合には、測定対象領域の周囲が壁や天井に覆われていること、あるいは、夜間であること等、周囲の明るさが一定程度以下である必要がある。しかし、端末装置30を用いた場合には、周囲の明るさが必ずしも一定程度以下である必要がない。そのため、端末装置30に高低差画像を表示する場合には、周囲の明るさや空間の高さ、広さ等の制約がなく、また、GPSによる位置測定が出来ない場所であっても、高所作業車等の大がかりな機材を必要とせず、様々な現場に適用し易い。
【0050】
また、投影装置を用いて高低差画像を測定対象領域に投影した場合には、実際のコンクリート表面に合わせて高低差画像が投影されるため、凸部と床面の位置との対応関係が直接的に表示されことから、コンクリート表面の修正位置を容易に把握することができる。これにより、凸部の淵に対して印を付す場合についても淵を簡単に把握し、印を付すことができる。ここで、測定対象物2については、1つのみ用いてもよいし、複数の測定対象物2を用いるようにしてもよい。複数の測定対象物2を用いた場合には、測定対象物2にそれぞれ付されたターゲット5に応じたIDに基づいて、各測定対象物2を識別することができる。そして、高低差画像Mに位置情報を表示する際に、位置とともにIDを表示するようにしてもよい。これにより、複数の測定対象物2を用いることで、位置を測定して凸部の淵に印を付す作業を、複数の測定対象物2について並行して行うことができる。
【0051】
また、以上説明した本実施形態によれば、コンクリートスラブの高さ方向における高い部分を可視化することができ、作業者に対してその位置を簡単にかつ、正確に伝えることが可能となり、凸部を研削し、平滑性がより高いコンクリートスラブを実現することができる。
【0052】
[変形例1]
図15に示されるように、画像生成システムは、さらに測定対象領域を移動する測定用台車40を備えていてもよい。測定用台車40は、例えば、コンクリート打設面の均しや仕上げをするための騎乗式トロウェルである。測定用台車40は、例えば、少なくとも1つの測定対象物2と、端末装置30と、表面を均しながら移動する騎乗式トロウェル41とを備える。騎乗式トロウェル41は、底部に設けられた一対の回転ブレードを備える。騎乗式トロウェル41は、一対の回転ブレードの回転バランスにより表面を均しながら任意の方向に移動することができる。
【0053】
変形例1に係る位置測定システム1によれば、床面に生じている凹凸を測定用台車40により早急に修正することができ、変形例1の第3検出部をさらに備えた構成とすることにより、施工中のコンクリート打設面(床面)における凹凸の位置と修正具合をリアルタイムに把握することができる。
【0054】
[変形例2]
図16に示されるように、測定対象物2と床面の凹凸、つまり床面の高さを検出する第4検出部18は、床面上を移動可能な床面測定用台車50に設けてもよい。床面測定用台車50は、無線又は有線により遠隔操作され、床面上を自動で移動する。これにより床面測定用台車50は、第4検出部18で床面の凹凸、つまり床面の高さ情報を取得し、演算部22へ送信する。演算部22は、第4検出部18から得られた床面の高さ情報と、第1検出部11から得られた測定対象物2、ひいては床面測定用台車50の位置情報と、を関連付け、床面の3次元情報を生成する。
【0055】
変形例2に係る位置測定システム1によれば、床面測定用台車50が自動で床面を移動することにより、効率的に床面の3次元データを取得することができる。変形例3に係る位置測定システム1によれば、床面測定用台車50を自律移動させることで効率的に床面の3次元データを取得することができる。
【0056】
上述した演算部22は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。これらの各機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部24が有するHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、位置測定システムは、屋内だけでなく屋外の測量に適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 位置測定システム
2 測定対象物
3 本体部
4 反射部
5 ターゲット
11 第1検出部
15 第2検出部
16 第3検出部
18 第4検出部
20 演算装置
30 端末装置
30G 位置
30M 高低差画像
40 測定用台車
50 床面測定用台車
60 画像生成部
61 演算装置
62a 位置情報生成部
62b 高低差画像生成部
M 画像