(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118853
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】バイフューエル車両
(51)【国際特許分類】
F02D 19/06 20060101AFI20240826BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
F02D19/06 B
F02D29/02 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025405
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 桂誠
(72)【発明者】
【氏名】那須田 悠貴
【テーマコード(参考)】
3G092
3G093
【Fターム(参考)】
3G092AB02
3G092AB08
3G092AB12
3G092FA24
3G092FA31
3G093BA19
3G093CA01
3G093DA06
3G093DB23
(57)【要約】
【課題】始動性の低い燃料の使用時であっても、発進性を確保でき、アイドルストップの機会を増やすことで燃費を向上させることができるバイフューエル車両を提供すること。
【解決手段】ECUは、アイドルストップによる内燃機関の自動停止(ステップS1)を実施後、アイドルストップ前の使用燃料は第1燃料(CNG)か否かを判別する(ステップS2)。ECUは、アイドルストップ前の使用燃料が第1燃料である場合(ステップS2でYes)、再始動条件の成立(ステップS3)を条件に、ドライバに即時発進の意図があるか否かを判別する(ステップS4)。ECUは、ドライバに即時発進の意図がある場合(ステップS4でYes)、第1燃料を用いて内燃機関の再始動を行い(ステップS5)、ISG6による駆動力の補助(アシスト)を行う(ステップS6)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに種別の異なる第1燃料と第2燃料とを切替えて使用する内燃機関と、
走行を補助するアシストトルクを発生する補機と、
所定の自動停止条件が成立した場合に前記内燃機関を自動停止させ、前記内燃機関の自動停止中に所定の再始動条件が成立した場合に前記内燃機関を再始動させる制御部と、を備えるバイフューエル車両であって、
前記第1燃料の使用時の前記内燃機関の再始動性は、前記第2燃料の使用時の前記内燃機関の再始動性より劣り、
前記制御部は、前記再始動条件の成立により前記第1燃料を使用して前記内燃機関を再始動させる場合、ドライバによる車両の即時発進の要求を表す所定の即時発進条件が成立することを条件として前記補機にアシストトルクを発生させることを特徴とするバイフューエル車両。
【請求項2】
前記即時発進条件には、ブレーキペダルからアクセルペダルへの踏み換えが所定時間以内に行われることが含まれることを特徴とする請求項1に記載のバイフューエル車両。
【請求項3】
前記即時発進条件には、ブレーキペダルからアクセルペダルへの踏み換えが所定時間以内に行われ、かつ、前記アクセルペダルの踏み込み量が所定量以上であることが含まれることを特徴とする請求項1に記載のバイフューエル車両。
【請求項4】
前記第1燃料は圧縮天然ガスであり、前記第2燃料はガソリンであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のバイフューエル車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイフューエル車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内燃機関の自動停止制御装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、始動性の異なる第1燃料と第2燃料とを混合または単独で使用可能な内燃機関において、自動停止要求が設定され、かつ、冷却水温が境界線の冷却水温軸上の値以下であるときには自動停止制御を禁止し、始動性の低いアルコールの混合燃料における割合が大きくなるにつれて境界線を増大するようにした技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、始動性の低い燃料の使用時はアイドルストップが禁止されることが多くなるため燃費が悪化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、始動性の低い燃料の使用時であっても、発進性を確保でき、アイドルストップの機会を増やすことで燃費を向上させることができるバイフューエル車両を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、互いに種別の異なる第1燃料と第2燃料とを切替えて使用する内燃機関と、走行を補助するアシストトルクを発生する補機と、所定の自動停止条件が成立した場合に前記内燃機関を自動停止させ、前記内燃機関の自動停止中に所定の再始動条件が成立した場合に前記内燃機関を再始動させる制御部と、を備えるバイフューエル車両であって、前記第1燃料の使用時の前記内燃機関の再始動性は、前記第2燃料の使用時の前記内燃機関の再始動性より劣り、前記制御部は、前記再始動条件の成立により前記第1燃料を使用して前記内燃機関を再始動させる場合、ドライバによる車両の即時発進の要求を表す所定の即時発進条件が成立することを条件として前記補機にアシストトルクを発生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように上記の本発明によれば、始動性の低い燃料の使用時であっても、発進性を確保でき、アイドルストップの機会を増やすことで燃費を向上させることができるバイフューエル車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係るバイフューエル車両の構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係るバイフューエル車両のECUの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係るバイフューエル車両は、互いに種別の異なる第1燃料と第2燃料とを切替えて使用する内燃機関と、走行を補助するアシストトルクを発生する補機と、所定の自動停止条件が成立した場合に内燃機関を自動停止させ、内燃機関の自動停止中に所定の再始動条件が成立した場合に内燃機関を再始動させる制御部と、を備えるバイフューエル車両であって、第1燃料の使用時の内燃機関の再始動性は、第2燃料の使用時の内燃機関の再始動性より劣り、制御部は、再始動条件の成立により第1燃料を使用して内燃機関を再始動させる場合、ドライバによる車両の即時発進の要求を表す所定の即時発進条件が成立することを条件として補機にアシストトルクを発生させることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係るバイフューエル車両は、始動性の低い燃料の使用時であっても、発進性を確保でき、アイドルストップの機会を増やすことで燃費を向上させることができる。
【実施例0010】
以下、本発明の一実施例に係るバイフューエル車両について図面を用いて説明する。
図1、
図2は、本発明の一実施例に係るバイフューエル車両を説明する図である。
【0011】
図1に示すように、本発明の一実施例に係るバイフューエル車両1は、駆動源としての内燃機関2(図中、エンジンと記す)と、この内燃機関2から動力が伝達される変速機4と、変速機4から動力が伝達される駆動輪5と、を備えている。内燃機関2と変速機4との間にはクラッチ3が設けられている。
【0012】
また、バイフューエル車両1は、アクセルペダルセンサ12Aと、ブレーキペダルセンサ13Aと、内燃機関2等を制御するECU(Electronic Control Unit)11と、を含んで構成されている。
【0013】
内燃機関2は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行うとともに、圧縮行程及び膨張行程の間に点火を行いバイフューエル車両1の駆動力を発生させる4サイクルのエンジンによって構成されている。
【0014】
バイフューエル車両1は、ISG(Integrated Starter Generator)6を備えている。ISG6は、内燃機関2を始動する始動装置(スタータ)と発電機(オルタネータ)を1つに統合したものである。ISG6は、内燃機関2の動力またはバイフューエル車両1の減速時のエネルギーにより発電する。また、ISG6は、図示しないバッテリから供給された電力によりモータトルクを発生し、このモータトルクにより内燃機関2のクランク軸2Aを回転させる(クランキングする)ことで内燃機関2を始動する。また、ISG6は、発生したモータトルク(アシストトルク)によりバイフューエル車両1の走行を補助する。ISG6のアシストトルクを用いる走行態様には、巡航状態等の走行、停止状態からの発進時の走行、アシストトルクのみによる走行、アシストトルクをエンジントルクに付与する走行が含まれる。このように、バイフューエル車両1は、ハイブリッド車両の構成を有する。なお、バイフューエル車両1は、走行を補助するアシストトルクを発生する補機として、ISG6に代わってモータを備えていてもよく、ISG6とともにモータを備えていてもよい。
【0015】
変速機4は、例えば、手動変速機に一般的に用いられる平行軸歯車式の変速機構として構成されている。クラッチ3は、乾式単板の摩擦クラッチとして構成されており、内燃機関2のクランク軸2Aに連結されたフライホイール3Aと、変速機4に連結されたクラッチディスク3Bとを有している。
【0016】
クラッチ3は、フライホイール3Aに対してクラッチディスク3Bが係合(接続)状態に切替えられた場合に内燃機関2と変速機4との間で動力を伝達し、開放(切断)状態に切替えられた場合に内燃機関2と変速機4との間の動力伝達を遮断する。なお、変速機4は、クラッチ3の代わりにトルクコンバータを備える遊星歯車式または無段変速式の自動変速機であってもよい。
【0017】
このように構成されたバイフューエル車両1において、内燃機関2から出力された回転は、変速機4で成立している変速段に応じた変速比で変速され、図示しないディファレンシャル装置およびドライブシャフトを介して駆動輪5に伝達される。
【0018】
アクセルペダルセンサ12Aは、アクセルペダル12に設けられており、アクセルペダル12の操作量を検出する。ブレーキペダルセンサ13Aは、ブレーキペダル13に設けられており、ブレーキペダル13の操作量を検出する。ここで、各ペダルの操作量とは、ドライバによる踏み込み量であり、踏み込み量が大きいほど操作量が大きくなる。なお、ブレーキペダルセンサ13Aは、ブレーキペダル13の踏み込み量に代わって、ブレーキペダル13に連結されたマスタシリンダの油圧(マスタシリンダ圧力)を検出するようになっていてもよい。
【0019】
内燃機関2は、互いに種別の異なる第1燃料と第2燃料とを切替えて使用可能なバイフューエル型の内燃機関である。第1燃料は、気体燃料のCNG(Compressed Natural Gas:圧縮天然ガス)である。第2燃料は、液体燃料のガソリンである。なお、内燃機関2は、CNGおよびガソリンに限らず、燃料特性の異なる複数種類の燃料を切替えて使用可能に構成されていてもよい。
【0020】
バイフューエル車両1は、第1燃料を貯留する第1燃料貯留部8と、第2燃料を貯留する第2燃料貯留部9とを備えている。CNGである第1燃料は、気体燃料用の図示しないインジェクタによって吸気経路に噴射される。ガソリンである第2燃料は液体燃料用の図示しないインジェクタによって吸気経路または燃焼室に噴射される。
【0021】
バイフューエル車両1は、内燃機関2に供給する燃料を第1燃料または第2燃料に切替える燃料切替装置7と、ドライバが使用燃料の選択操作を行う使用燃料選択スイッチ18とを備えている。燃料切替装置7は、使用燃料選択スイッチ18によるドライバの選択操作またはECU11の指令に応じて燃料切替を行う。言い換えれば、燃料切替装置7は、ドライバによる手動操作またはECU11による自動制御によって燃料切替を行う。
【0022】
バイフューエル車両1は、アイドルストップ用センサ30を備えている。アイドルストップ用センサ30は、車速を検出する図示しない車速センサ、加速度を検出する図示しないGセンサ、バッテリ電圧を検出する図示しないバッテリ電圧センサ等からなる。アイドルストップ用センサ30の検出信号は、内燃機関2の自動停止および再始動の可否の判断に用いられる。
【0023】
バイフューエル車両1は報知部31を備えている。報知部31は運転席に設けられており、警告や注意等を含む各種の情報をドライバに報知する。
【0024】
ECU11は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、フラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されており、制御対象を電気的に制御する。
【0025】
ECU11のROMには、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECU11として機能させるためのプログラムが記憶されている。ECU11において、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、ECU11として機能する。
【0026】
ECU11の入力ポートには、内燃機関2と、アクセルペダルセンサ12A、ブレーキペダルセンサ13A、アイドルストップ用センサ30等の各種センサ類と、使用燃料選択スイッチ18とが電気的に接続されている。
【0027】
ECU11の出力ポートには、内燃機関2と、ISG6と、燃料切替装置7等の制御対象が接続されている。ECU11は、入力ポートに入力されたセンサ類等からの検出信号に基づいて、出力ポートに接続された制御対象を制御する。
【0028】
本実施例では、ECU11は、所定の自動停止条件が成立した場合に内燃機関2を自動停止させる。また、ECU11は、内燃機関2の自動停止中に所定の再始動条件が成立した場合に内燃機関2を再始動させる。このように、ECU11は、内燃機関2を自動停止および再始動させる、いわゆるアイドルストップ制御を実施する。
【0029】
ここで、CNGである第1燃料は、ガソリンである第2燃料と比較してエミッションを低減できるという特性を有する。そのため、エミッションを低減するためには、内燃機関2の使用燃料として第1燃料を使用することが好ましい。
【0030】
一方、CNGである第1燃料は、ガソリンである第2燃料と比較して発火点が高いという特性を有する。このため、第1燃料は、第2燃料よりも高い温度でないと発火(燃焼開始)できず、第2燃料を用いる場合よりも内燃機関2の始動性が相対的に劣る。したがって、第1燃料を用いて内燃機関2を始動する場合、始動装置としてのISG6による内燃機関2のクランキングを長時間行う必要がある。
【0031】
また、CNGである第1燃料とガソリンである第2燃料とを切替えて使用する内燃機関2にあっては、第1燃料用の気体燃料インジェクタから燃焼室までの経路が第2燃料用の液体燃料インジェクタから燃焼室までの経路よりも長いため、第1燃料の使用時の内燃機関2の始動に要する時間(始動時間)は、第2燃料の使用時の始動時間より長いという特性がある。
【0032】
このように、第1燃料と第2燃料とでは、燃料特性および燃料供給構造等が異なる。その結果、第1燃料の使用時の内燃機関2の再始動性は、第2燃料の使用時の内燃機関2の再始動性より劣る。ここで、再始動性とは、内燃機関2の再始動のし易さであり、例えば、内燃機関2がクランキングを開始してから自立回転をするまでの経過時間や、内燃機関2のクランキングの開始後のエンジン回転速度またはエンジントルクの上昇度合等により定量化することができる。
【0033】
本実施例では、ECU11は、再始動条件の成立により第1燃料を使用して内燃機関2を再始動させる場合、ドライバによる車両の即時発進の要求を表す所定の即時発進条件が成立することを条件としてISG6にアシストトルクを発生させる。
【0034】
即時発進条件には、ブレーキペダル13からアクセルペダル12への踏み換えが所定時間以内に行われることが含まれることが好ましい。
【0035】
即時発進条件には、ブレーキペダル13からアクセルペダル12への踏み換えが所定時間以内に行われ、かつ、アクセルペダル12の踏み込み量が所定量以上であることが含まれることが好ましい。
【0036】
また、本実施例のバイフューエル車両1において、第1燃料は圧縮天然ガスであり、第2燃料はガソリンである。
【0037】
なお、ECU11は、アクセルペダル12の踏み込み量が所定量以上であることにより即時発進条件が成立した場合、アクセルペダル12の踏み込み量に応じたアシストトルクをISG6に発生させるようにしてもよい。これにより、ドライバの意図をより正確に反映した効率的な運転支援が可能になる。
【0038】
また、即時発進条件としては、上記の条件に限らない。例えば、車載カメラ等から前方の信号機の表示を検出し、信号機の表示が赤から緑に変化したことを即時発進条件に含めてもよい。
【0039】
また、ECU11は、再始動性の劣る第1燃料を用いて内燃機関2を再始動させる場合、内燃機関2の再始動が完了するまでの期間、ISG6の発生するアシストトルクのみでバイフューエル車両1を発進および走行させるようにしてもよい。また、ECU11は、内燃機関2の再始動の完了直後の期間、不安定な内燃機関2の回転状態をアシストトルクにより補助するようにしてもよい。
【0040】
また、第2燃料の残量低下に起因して第1燃料を自動的に用いて内燃機関2が再始動されることがあるため、ECU11は、即時発進条件の成立によりISG6にアシストトルクを発生させた場合に、第2燃料の残量低下の可能性を報知部31によって報知し、ドライバに注意を促すようにしてもよい。
【0041】
次に、
図2に示すフローチャートを参照して、本実施例に係るバイフューエル車両1のECU11の動作の流れについて説明する。
図2は、アイドルストップの自動停止条件が成立した場合の動作を示すものである。
【0042】
ECU11は、所定の自動停止条件が成立したことでアイドルストップによる内燃機関2の自動停止を実施する(ステップS1)。
【0043】
次いで、ECU11は、アイドルストップ前の使用燃料は第1燃料(CNG)か否かを判別する(ステップS2)。
【0044】
ECU11は、アイドルストップ前の使用燃料が第1燃料である場合(ステップS2でYes)、再始動条件の成立(ステップS3)を条件に、ドライバに即時発進の意図があるか否かを判別する(ステップS4)。
【0045】
ECU11は、ドライバに即時発進の意図がある場合(ステップS4でYes)、第1燃料を用いて内燃機関の再始動を行い(ステップS5)、ISG6による駆動力の補助(アシスト)を行い(ステップS6)、今回の動作を終了する。
【0046】
ECU11は、ドライバに即時発進の意図がない場合(ステップS4でNo)、第1燃料を用いて内燃機関の再始動を行い(ステップS7)、今回の動作を終了する。
【0047】
一方、ECU11は、アイドルストップ前の使用燃料が第1燃料ではなく、第2燃料(ガソリン)である場合(ステップS2でNo)、再始動条件の成立後(ステップS8)、第2燃料を用いて内燃機関の再始動を行い(ステップS9)、今回の動作を終了する。
【0048】
このように、
図2のフローチャートでは、所定の自動停止条件が成立すると、燃料の種別を問わずに内燃機関2の自動停止が実施される。そして、始動性の低い第1燃料を使用して内燃機関2の再始動が行われる場合であってドライバに即時発進の意図があるときは、始動性が低いことに起因する発進性の低下を防止するため、ISG6のモータトルクによるアシストが実施される。
【0049】
以上のように、本実施例のバイフューエル車両1において、第1燃料の使用時の内燃機関2の再始動性は、第2燃料の使用時の内燃機関2の再始動性より劣り、ECU11は、再始動条件の成立により第1燃料を使用して内燃機関2を再始動させる場合、ドライバによる車両の即時発進の要求を表す所定の即時発進条件が成立することを条件として、ISG6にアシストトルクを発生させる。
【0050】
これにより、再始動性の低い第1燃料で再始動する場合に、ISG6が発生するアシストトルクにより発進性を確保できる。
【0051】
また、燃料の種別を問わずに内燃機関2の自動停止が実施されるので、再始動性の低い第1燃料の使用時に、自動停止条件の成立による内燃機関2の自動停止(アイドルストップ)の機会を増やすことができ、燃費を向上させることができる。
【0052】
この結果、始動性の低い燃料の使用時であっても、発進性を確保でき、アイドルストップの機会を増やすことで燃費を向上させることができる。
【0053】
また、本実施例のバイフューエル車両1において、即時発進条件には、ブレーキペダル13からアクセルペダル12への踏み換えが所定時間以内に行われることが含まれる。
【0054】
これにより、駆動力の速やかな増大が必要な状況において、ブレーキペダル13からアクセルペダル12への踏み換えが所定時間以内に行われた場合は、ISG6が発生するアシストトルクによりドライバビリティーを向上させることができる。一方、渋滞路における前方車両の低速追従走行等、駆動力の速やかな増大が不要な状況において、ブレーキペダル13からアクセルペダル12への踏み換えが所定時間以内に行われなかった場合は、ISG6がアシストトルクを発生しないことでエネルギー消費を低減でき、燃費を向上させることができる。
【0055】
また、本実施例のバイフューエル車両1において、即時発進条件には、ブレーキペダル13からアクセルペダル12への踏み換えが所定時間以内に行われ、かつ、アクセルペダル12の踏み込み量が所定量以上であることが含まれる。
【0056】
これにより、信号待ちの停車中からの再発進時等、駆動力の即時確保が特に必要な状況において、ドライバが車両の発進のためにブレーキペダル13からアクセルペダル12への踏み換えを所定時間以内に素早く行い、かつ、アクセルペダル12を所定量以上で大きく踏み込んだ場合、ISG6のアシストトルクによって円滑な発進が可能となる。
【0057】
また、本実施例のバイフューエル車両1において、第1燃料は圧縮天然ガスであり、第2燃料はガソリンである。
【0058】
これにより、ガソリンよりも再始動性に劣るCNG(圧縮天然ガス)を使用して内燃機関2を再始動させる場合に、発進性を確保でき、アイドルストップの機会を増やすことで燃費を向上させることができる。
【0059】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。