(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118854
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】車両用変速機
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20240826BHJP
F16H 57/023 20120101ALI20240826BHJP
F16F 15/126 20060101ALI20240826BHJP
B60K 6/365 20071001ALI20240826BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20240826BHJP
B60K 6/445 20071001ALI20240826BHJP
【FI】
F16H57/04 N
F16H57/023
F16F15/126 B
B60K6/365 ZHV
B60K6/40
B60K6/445
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025407
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋
(72)【発明者】
【氏名】檜山 惇
【テーマコード(参考)】
3D202
3J063
【Fターム(参考)】
3D202AA03
3D202EE10
3D202EE22
3D202EE23
3D202FF15
3J063AA01
3J063AB01
3J063AC03
3J063BA03
3J063BA09
3J063BA11
3J063CB41
3J063XB01
3J063XD03
3J063XD17
(57)【要約】
【課題】ダンパ部材を良好に潤滑して、ダンパ部材を円滑に動作させることができる車両用変速機を提供すること。
【解決手段】自動変速機は、モータジェネレータのロータと同軸に配置され、モータジェネレータからの動力を伝達するモータ出力ギヤ27Cを有するモータ出力軸27Bと、モータ出力軸27Bに設けられ、変速機構から第2の動力伝達部に入力される回転変動を吸収するダンパ部材50とを有し、ダンパ部材50がファイナルドリブンギヤ11の上方に配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リングギヤを有し、車軸に動力を伝達する差動装置と、
変速ギヤ対を介して連結される複数の回転軸を有し、内燃機関から前記リングギヤに動力を伝達する第1の動力伝達部と、
回転電機から前記リングギヤに動力を伝達する第2の動力伝達部と、
前記差動装置、前記第1の動力伝達部、前記第2の動力伝達部を収容し、前記リングギヤによって掻き上げ可能に潤滑油が貯留される変速機ケースとを有する車両用変速機であって、
前記第2の動力伝達部は、前記回転電機の回転軸と同軸に配置され、前記回転電機からの動力を伝達するモータ出力ギヤを有するモータ出力軸と、前記モータ出力軸に設けられ、前記第1の動力伝達部から前記第2の動力伝達部に入力される回転変動を吸収するダンパ部材とを有し、
前記ダンパ部材は、前記リングギヤの上方に配置されていることを特徴とする車両用変速機。
【請求項2】
前記第2の動力伝達部は、
前記モータ出力ギヤと噛み合う第1の中間ギヤと、前記リングギヤに噛み合う第2の中間ギヤとを有する中間軸を備え、前記回転電機の動力を、前記モータ出力軸、前記モータ出力ギヤ、前記第1の中間ギヤ、前記中間軸および前記第2の中間ギヤを介して前記リングギヤに伝達するように構成されており、
前記ダンパ部材は、前記モータ出力軸上において前記回転電機と前記モータ出力ギヤの間に配置されており、
前記ダンパ部材と前記リングギヤは、前記モータ出力軸の軸方向の位置で同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用変速機。
【請求項3】
前記中間軸は、車両前進時の前記リングギヤの回転に伴う潤滑油の流れ方向において、前記モータ出力軸の上流側に配置されており、
前記リングギヤによって掻き上げられた潤滑油は、前記中間軸の上方を通過して前記ダンパ部材に供給されることを特徴とする請求項2に記載の車両用変速機。
【請求項4】
前記ダンパ部材は、
前記モータ出力軸に連結され、前記モータ出力軸と一体で回転する内筒部材と、連結部を介して前記モータ出力ギヤに連結され、前記モータ出力ギヤと一体で回転する外筒部材と、前記内筒部材と前記外筒部材の間に設けられ、弾性変形することにより前記モータ出力軸と前記モータ出力ギヤとの相対回転を許容しつつ動力を伝達する弾性体とを有し、
前記連結部は、前記弾性体に対して前記モータ出力ギヤ側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用駆動装置の変速機構に入力される回転変動を吸収するダンパ機構が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このダンパ機構は、電動機から駆動輪に動力を伝達する動力伝達経路上において、副入力軸上に配置されており、副入力軸に設けられたリダクションドリブンギヤは、ダンパ機構で許容される範囲内で副入力軸と相対回転自在となっている。
【0004】
これにより、電動機から駆動輪に動力を伝達する動力伝達経路上において、ダンパ機構によってギヤの歯打ち音等を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の車両用駆動装置にあっては、ダンパ機構の潤滑に関して配慮されていないので、ダンパ機構を潤滑してダンパ機構の動きを円滑にするためには、未だ、改良の余地がある。
【0007】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、ダンパ部材を良好に潤滑して、ダンパ部材を円滑に動作できるようにした車両用変速機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、リングギヤを有し、車軸に動力を伝達する差動装置と、変速ギヤ対を介して連結される複数の回転軸を有し、内燃機関から前記リングギヤに動力を伝達する第1の動力伝達部と、回転電機から前記リングギヤに動力を伝達する第2の動力伝達部と、前記差動装置、前記第1の動力伝達部、前記第2の動力伝達部を収容し、前記リングギヤによって掻き上げ可能に潤滑油が貯留される変速機ケースとを有する車両用変速機であって、前記第2の動力伝達部は、前記回転電機の回転軸と同軸に配置され、前記回転電機からの動力を伝達するモータ出力ギヤを有するモータ出力軸と、前記モータ出力軸に設けられ、前記第1の動力伝達部から前記第2の動力伝達部に入力される回転変動を吸収するダンパ部材とを有し、前記ダンパ部材は、前記リングギヤの上方に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように上記の本発明によれば、ダンパ部材を良好に潤滑して、ダンパ部材を円滑に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の後面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る車両用変速機のレフトケースを取り外した状態で左方から見た図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る車両用変速機のレフトケースを取り外した状態で左方から見た図であり、
図2の状態から入力軸、カウンタ軸、差動装置およびリテーナを取り外した状態を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る車両用変速機に収容される変速機構、第2の動力伝達部の展開図である(
図2のIV-IV方向矢視断面図)。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係る車両用変速機のモータ出力軸をモータ出力軸の軸線を含む鉛直面で切断した状態のモータ出力軸の周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態に係る車両用変速機は、リングギヤを有し、車軸に動力を伝達する差動装置と、変速ギヤ対を介して連結される複数の回転軸を有し、内燃機関からリングギヤに動力を伝達する第1の動力伝達部と、回転電機からリングギヤに動力を伝達する第2の動力伝達部と、差動装置、第1の動力伝達部、第2の動力伝達部を収容し、リングギヤによって掻き上げ可能に潤滑油が貯留される変速機ケースとを有する車両用変速機であって、第2の動力伝達部は、回転電機の回転軸と同軸に配置され、回転電機からの動力を伝達するモータ出力ギヤを有するモータ出力軸と、モータ出力軸に設けられ、第1の動力伝達部から第2の動力伝達部に入力される回転変動を吸収するダンパ部材とを有し、ダンパ部材は、リングギヤの上方に配置されている。
【0012】
これにより、本発明の一実施の形態に係る車両用変速機は、ダンパ部材を良好に潤滑して、ダンパ部材を円滑に動作させることができる。
【実施例0013】
以下、本発明の一実施例に係る車両用変速機について、図面を用いて説明する。
図1から
図6は、本発明の一実施例に係る車両用変速機を示す図である。
【0014】
図1から
図6において、上下前後左右方向は、車両に配置された状態の車両用変速機を基準とし、車両の前後方向を前後方向、車両の左右方向(車幅方向)を左右方向、車両の上下方向(車両の高さ方向)を上下方向とする。
【0015】
まず、構成を説明する。
図1において、車両の図示しないエンジンルームには内燃機関としてのエンジン1と、エンジン1に連結される自動変速機2とが設けられている。本実施例の自動変速機2は、車両用変速機を構成する。
【0016】
自動変速機2は、例えば、AMT(Automated Manual Transmission)から構成されている。自動変速機2は変速機ケース3を備えており、変速機ケース3は、レフトケース4とライトケース5を備えている。
【0017】
レフトケース4とライトケース5の合わせ面にはフランジ部4A、5Aが形成されており、レフトケース4とライトケース5は、フランジ部4Aとフランジ部5Aがボルト30Aによって締結されることにより、一体化されている。
【0018】
ライトケース5に関し、レフトケース4側に形成されているフランジ部5Aに対して反対側となるエンジン1側にはフランジ部5Bが形成されており、フランジ部5Bは、図示しないボルトによってエンジン1の図示しないシリンダブロックに締結されている。
【0019】
図2、
図4に示すように、変速機ケース3には変速機構6が収容されている。詳細には、後述するレフトケース4とライトケース5で構成される変速機室8Bに変速機構6が配置されており、ライトケース5で構成されるクラッチ室8A(
図1参照)には図示しない摩擦クラッチが収容されている。
【0020】
また、レフトケース4とライトケース5によって形成される変速機室8Bの後方側空間部分には差動装置10が収容されており、差動装置10は変速機構6の後方に配置されている。
【0021】
図2、
図3に示すように、ライトケース5には縦壁5Wが設けられており、縦壁5W(隔壁部分)は後述する入力軸21やカウンタ軸22の軸心の延びる方向に略垂直な面に形成されている。変速機ケース3は、縦壁5Wによって摩擦クラッチを収容するクラッチ室8Aと変速機構6を収容する変速機室8Bとに仕切られている(
図1参照)。
【0022】
なお、縦壁5Wは、クラッチ室8Aの左側に配置されクラッチ室8Aと変速機室8Bとを仕切る隔壁部分と、クラッチ室8Aの後方で隔壁部分に連続して後方に延びる縦壁部分とを含んで構成されている。
【0023】
図1に示すように、レフトケース4には、変速機構6を上下方向および前後方向から取り囲む周壁4Bが設けられている。
【0024】
ライトケース5には、クラッチ室8Aを上下方向および前後方向から取り囲む周壁5Cが設けられており、周壁5Cの左端部にフランジ部5Aが形成されている。
【0025】
自動変速機2は、クラッチ室8Aに配置された摩擦クラッチを介してエンジン1の動力を変速機構6に入力し、同期装置の作動により変速機構6において変速を行い、変速された回転(回転速度)を差動装置10により、左右のドライブシャフト9A、9B(
図4参照)を介して図示しない左右の駆動輪に伝達する。本実施例のドライブシャフト9A、9Bは、車軸を構成する。
【0026】
図2に示すように、変速機構6は、レフトケース4とライトケース5とで構成される変速機室8Bに収容され、それぞれ平行に延びる入力軸21、カウンタ軸22およびリバース軸23を備えている。
【0027】
入力軸21は、摩擦クラッチを介してエンジン1の図示しないクランク軸に連結可能となっており、入力軸21にはエンジン1の動力が摩擦クラッチを介して伝達される。
【0028】
図2に示すように、カウンタ軸22は入力軸21に対して後斜め下方に配置されており、リバース軸23は入力軸21の前斜め下方に配置されている。カウンタ軸22とリバース軸23は略同じ高さ位置に配置されている。
【0029】
図4に示すように、入力軸21には1速入力ギヤ21A、2速入力ギヤ21B、3速入力ギヤ21C、4速入力ギヤ21D、5速入力ギヤ21E、6速入力ギヤ21Fおよびリバース入力ギヤ21Gが設けられている。
【0030】
カウンタ軸22には1速カウンタギヤ22A、2速カウンタギヤ22B、3速カウンタギヤ22C、4速カウンタギヤ22D、5速カウンタギヤ22E、6速カウンタギヤ22F、リバースカウンタギヤ22Gおよびファイナルドライブギヤ22Hが設けられている。
【0031】
1速カウンタギヤ22Aから6速カウンタギヤ22Fは、同一の変速段を構成する1速入力ギヤ21Aから6速入力ギヤ21Fにそれぞれ常時噛み合っている。
【0032】
リバース軸23にはリバースアイドラギヤ23Aが設けられており、リバースアイドラギヤ23Aは、車両の後進時にリバース軸23に沿って軸方向に移動し、リバース入力ギヤ21Gに噛み合うとともに、リバースカウンタギヤ22Gに噛み合う。そして、車両の後進時には、リバース入力ギヤ21Gの動力(回転力)はリバースアイドラギヤ23Aを介してリバースカウンタギヤ22Gに伝えられる。
【0033】
変速機構6には、1-2速段用の同期装置25A、3-4速段用の同期装置25B、5-6速段用の同期装置25Cが設けられている。変速機構6は、後進段用の同期装置は持たず、後進段はリバースアイドラギヤ23Aがギヤ間に移動して変速段を達成する所謂飛込式となっている。
【0034】
同期装置25A、25B、25Cおよびリバースアイドラギヤ23Aは、図示しないシフトフォークによって操作されることにより、1速入力ギヤ21Aから6速入力ギヤ21F、1速カウンタギヤ22Aから6速カウンタギヤ22Fおよびリバースアイドラギヤ23Aのいずれか1つを動力伝達可能な状態に操作して所定の変速段を成立させる。
【0035】
図3に示すように、ライトケース5の縦壁5Wに軸受支持部5a、5b、軸支持部5cが形成されている。軸受支持部5aの内方において縦壁5Wには開口部5eが形成されている。入力軸21は、開口部5eを通して変速機室8Bからクラッチ室8Aに延び、軸受支持部5aに軸受7A(
図4参照)を介して回転自在に支持されている。
【0036】
入力軸21の左端部は、レフトケース4の左側壁に設けられた図示しない軸受支持部に軸受7B(
図4参照)を介して回転自在に支持されている。
【0037】
カウンタ軸22の右端部は、軸受7C(
図4参照)を介して縦壁5Wの軸受支持部5bに回転自在に支持されており、カウンタ軸22の左端部は、軸受7D(
図4参照)を介してレフトケース4の左側壁の軸受支持部に回転自在に支持されている。
【0038】
リバース軸23の右端部は、縦壁5Wの軸支持部5cに挿入されて支持されており、リバース軸23の左端部はレフトケース4の周壁4Bに回転不能に取付けられている。
【0039】
図4に示すように、差動装置10は、ファイナルドリブンギヤ11と、ファイナルドリブンギヤ11が固定されたデフケース12と、ピニオンシャフト13と、ピニオンシャフト13に回転自在に支持された一対のピニオンギヤ14A、14Bと、ピニオンギヤ14A、14Bに噛み合う一対のサイドギヤ15A、15Bとを有している。サイドギヤ15A、15Bは、それぞれ左右のドライブシャフト9A、9Bに連結されている。
【0040】
本実施例の自動変速機2は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両において、横置きに配置されるエンジン1に取付けられている。
【0041】
ファイナルドリブンギヤ11は、ファイナルドライブギヤ22Hに噛み合っており、差動装置10は、左右の駆動輪の差動を許容しつつ、ファイナルドライブギヤ22Hの回転をドライブシャフト9A、9Bを介して左右の駆動輪に伝達する。本実施例のファイナルドリブンギヤ11は、リングギヤを構成する。
【0042】
図3に示すように、ライトケース5の後部には右側に膨出して内部空間を拡大する収容部5Dが形成されており、収容部5Dは縦壁5Wからレフトケース4と離れる方向に膨出している。収容部5Dの膨出方向の先端部(右端部)には軸受支持部5dが設けられており、デフケース12の右端部は、軸受7E(
図4参照)によって軸受支持部5dに回転自在に支持されている。
【0043】
レフトケース4の後部には、収容部5Dに対向するように図示しない収容部が設けられている。収容部の左端部には図示しない軸受支持部が設けられており、デフケース12の左端部は軸受7F(
図4参照)によってレフトケースの軸受支持部に回転自在に支持されている。ライトケース5の収容部5Dとレフトケース4の収容部によって形成される収容部には、差動装置10が収容されている。
【0044】
図2に示すように、変速機室8Bには中間軸24と、モータ出力軸27Bが設けられている。そして、
図4に示すように、中間軸24にはファイナルドライブギヤ24Aと、モータ入力ギヤ24Bと、ファイナルドライブギヤ24Aに一体に形成されたパーキングギヤ24Cとが設けられている。
【0045】
モータ入力ギヤ24Bは、パーキングギヤ24Cやファイナルドライブギヤ24Aよりも大径に形成されている。
【0046】
収容部5Dの上方に位置するライトケース5の縦壁5Wには図示しない軸受支持部が形成されており、中間軸24の右端部が軸受7G(
図4参照)を介して軸受支持部に回転自在に支持されている。中間軸24の左端部は、軸受7H(
図4参照)を介して後述する隔壁4Rの軸受支持部で回転自在に支持されている。
【0047】
レフトケース4の後部で差動装置10が収容される収容部の上方には、入力軸21の軸方向でレフトケース4の左側壁とライトケース5の間に位置する隔壁4R(
図5参照)が設けられており、隔壁4Rには軸受支持部4rが形成されている。
【0048】
この隔壁4Rは、後述するモータ収容壁4Cの一部を構成し、モータジェネレータ27の右側に配置されてモータ出力軸27Bに垂直な方向に延びている。
【0049】
そして、この隔壁4Rは、モータ出力軸27Bを軸受7K(
図4参照)を介して支持するとともに、中間軸24の左端部を軸受7H(
図4参照)を介して軸受支持部で回転自在に支持している。本実施例の入力軸21、カウンタ軸22、リバース軸23、モータ出力軸27Bおよび中間軸24は、平行に配置されている。
【0050】
ファイナルドリブンギヤ11の下端部は、入力ギヤ21Aやカウンタギヤ22A等の変速機ケース3に収容されたギヤの中で最も下方に位置している。
【0051】
図2、
図3に示すように、ライトケース5の周壁5Cの上壁5Eの後方には膨出壁5Fが設けられており、ライトケース5の膨出壁5Fは、その前側に位置するライトケース5の周壁5Cの上壁5Eよりも上方側に内部空間を拡大するように膨出している。
【0052】
この膨出壁5Fによって拡大された空間には、モータ出力軸27Bが配置されているとともに、後述するリテーナ40の上部が配置されている。
【0053】
本実施例のライトケース5の周壁5Cは、上壁5Eおよび膨出壁5Fと、上下方向で上壁5Eおよび膨出壁5Fに対向する下壁5Gと、上壁5Eの前端部と下壁5Gの前端部とに連絡される前壁5Hと、膨出壁5Fの後端部と下壁5Gの後端部とに連絡される後壁5Iとを含んで構成されている。
【0054】
変速機ケース3の底部には潤滑油が貯留されており、ファイナルドリブンギヤ11は、潤滑油に浸かっている。このため、車両の前進時にファイナルドリブンギヤ11が
図2において反時計回りに回転すると、ファイナルドリブンギヤ11によって掻き上げられた潤滑油は、潤滑油O1で示すように、後壁5Iから膨出壁5Fに沿って流れる。
【0055】
詳細には、潤滑油の流れは、車両の速度(ファイナルドリブンギヤ11の回転速度)に依存し、速度が速い場合は後壁5Iから膨出壁5Fに沿って中間軸24やモータ出力軸27Bの上方を通過して潤滑油は前方に流れていき、速度が遅い場合はモータ出力軸27Bの上方よりも中間軸24の周囲を通過して潤滑油は前方に流れる。
【0056】
図1に示すように、レフトケース4にはモータ収容壁4Cが設けられている。モータ収容壁4Cは、変速機構6(入力軸21、カウンタ軸22)を取り囲むレフトケース4の周壁4Bの上壁4Dよりも上側に突出するように形成されており、ライトケース5の膨出壁5Fよりも上側に膨出している。
【0057】
レフトケース4のモータ収容壁4Cの左端部は開放しており、モータ収容壁4Cの左端部にはボルト30Gによってモータケース26が取付けられて閉じられている。
【0058】
図1に示すように、モータ収容壁4Cとモータケース26の内部にはモータジェネレータ27(
図4参照)が収容されている。
図4に示すように、モータジェネレータ27は、モータ部27Aと、モータ出力軸27Bと、モータ出力軸27Bの右端部に設けられたモータ出力ギヤ27Cとを有する。本実施例のモータジェネレータ27は、回転電機を構成する。
【0059】
図4に示すように、モータ部27Aは、複数の永久磁石が埋め込まれたロータ27aと、ステータコイルが巻き付けられたステータ27bとを備えており、ステータコイルに三相交流電力が印加されることでステータ27bに回転磁界が形成され、この回転磁界によってロータ27aが回転して動力を生成する。
【0060】
モータ出力軸27Bは、ロータ27aと同軸に配置されており、ロータ27aにスプライン嵌合にて連結されている。これにより、モータ出力軸27Bは、ロータ27aと一体で回転する。
【0061】
モータ出力ギヤ27Cは、中間軸24と一体的に回転するように取付けられたモータ入力ギヤ24Bに噛み合っている。モータジェネレータ27によるモータ走行時、またはエンジン1とモータジェネレータ27とによるハイブリッド走行時に、モータジェネレータ27の動力は、モータ出力軸27B、モータ出力ギヤ27C、モータ入力ギヤ24B、中間軸24およびファイナルドライブギヤ24Aを介してファイナルドリブンギヤ11に伝達される。
【0062】
また、モータジェネレータ27は、ファイナルドリブンギヤ11を介して駆動輪やエンジン1から動力を受けることにより、図示しないバッテリに充電する電力を生成する発電機としても機能する。
【0063】
本実施例の入力軸21、カウンタ軸22は、回転軸を構成し、入力ギヤ21Aとカウンタギヤ22A、入力ギヤ21Bとカウンタギヤ22B、入力ギヤ21Cとカウンタギヤ22C、入力ギヤ21Dとカウンタギヤ22D、入力ギヤ21Eとカウンタギヤ22E、入力ギヤ21Fとカウンタギヤ22Fは、変速ギヤ対20を構成する。
【0064】
入力軸21、カウンタ軸22および変速ギヤ対20を有する変速機構6は、第1の動力伝達部を構成する。
【0065】
モータ出力軸27B、モータ出力ギヤ27C、中間軸24、モータ入力ギヤ24Bおよびファイナルドライブギヤ24Aは、モータジェネレータ27からファイナルドリブンギヤ11に動力を伝達する第2の動力伝達部29を構成し、ロータ27aは、回転電機の回転軸を構成する。モータ入力ギヤ24Bは、第1の中間ギヤを構成し、ファイナルドライブギヤ24Aは、第2の中間ギヤを構成する。
【0066】
このように本実施例の自動変速機2は、エンジン1からドライブシャフト9A、9Bまでの駆動系である変速機構6と、モータジェネレータ27からドライブシャフト9A、9Bまでの駆動系である第2の動力伝達部29とは、ファイナルドリブンギヤ11からドライブシャフト9A、9Bが共通の動力伝達経路を構成し、ファイナルドリブンギヤ11からエンジン1側と、ファイナルドリブンギヤ11からモータジェネレータ27側とが独立した動力伝達経路を構成している。
【0067】
図3、
図5に示すように、ライトケース5の縦壁5Wには軸受支持部5gが形成されており、軸受支持部5gにはモータ出力軸27Bの右端部が軸受7I(
図4参照)を介して回転自在に支持されている。
【0068】
モータケース26の左側壁26Aには図示しない軸受支持部が形成されており、ロータ27aの左端部は、軸受7J(
図4参照)を介して軸受支持部に回転自在に支持されている。
【0069】
図5に示すように、モータ出力軸27Bの軸方向で軸受7Iと7Jの間には軸受7Kが設けられており、モータ出力軸27Bは、軸受7Kを介して隔壁4Rの軸受支持部4rに回転自在に支持されている。
【0070】
モータ収容壁4Cは、モータジェネレータ27のモータ部27Aの右半分の周囲を取り囲み、モータ収容壁4Cの左端部は開口端となっており、モータ部27Aの左半分の周囲を取り囲むモータケース26によって閉塞されている。
【0071】
モータ収容壁4Cとモータケース26によって、モータジェネレータ27が収容されるモータ収容室が形成されている。モータ収容壁4Cの右端部は前述の隔壁4Rとなっている。この隔壁4Rには軸受支持部4rの内方において開口部が形成されており、モータ出力軸27Bは開口部を通して変速機室8Bからモータ収容室に挿入されている。
【0072】
モータ出力軸27Bは、モータ収容室に挿入された左端部がロータ27aにスプライン嵌合にて連結され、隔壁4Rの軸受支持部4rに軸受7Kを介して回転自在に支持されている。
【0073】
AMTとしての自動変速機2には電気式または油圧式の図示しない変速用のアクチュエータとクラッチ用のアクチュエータが設けられ、有段変速機の変速を自動で行えるようになっている。
【0074】
変速用のアクチュエータは、運転者によって操作される図示しないシフトレバーがリバースポジション、ニュートラルポジションおよびドライブポジションの各ポジションに操作されると、図示しないECU(Electronic Control Unit)から出力される制御信号に基づいて、図示しないシフトアンドセレクト軸をシフト方向およびセレクト方向に操作する。
【0075】
シフトアンドセレクト軸は、セレクト方向に移動したときに、図示しないシフタ軸の1つに係合し、シフト方向に移動したときに係合したシフタ軸を入力軸21の軸方向に移動させて同期装置25A、25B、25C、または、リバースアイドラギヤ23Aのいずれか1つを操作することにより、所定の変速段を成立させる。
【0076】
クラッチ用のアクチュエータは、変速時に自動でクラッチを機械的に切断/締結してエンジン1からの動力の伝達状態を切替える。また、クラッチペダルを設定する場合、運転者によって図示しないクラッチペダルが踏み込まれると、クラッチを機械的に切断させてエンジン1から入力軸21に入力される動力を遮断する。
【0077】
なお、この場合、クラッチ用のアクチュエータは、運転者によってクラッチペダルの踏み込みが解除されると、クラッチを機械的に締結してエンジン1から入力軸21に動力を伝達可能とする。
【0078】
図2、
図3に示すように、周壁5Cの内方においてライトケース5にはパーキングロック機構31が収容されている。
【0079】
パーキングロック機構31は、パーキングギヤ24C、パーキングポール32、パーキングロッド33、パーキングカム34、カムスプリング35、パーキングサポート36、マニュアルシャフト37、ディテントプレート38、ディテントスプリング39、リテーナ40およびレバープレート44を含んで構成されている。
【0080】
パーキングギヤ24Cの外周部には複数の歯部24cが周方向に等間隔に設けられている。パーキングポール32は、パーキングギヤ24Cと前後方向に並んで配置されており、パーキングギヤ24Cと同じ高さ位置で前側に位置している。
【0081】
図3に示すように、パーキングポール32の下端部は、パーキングポールシャフト41が貫通して回動自在に支持されている。ライトケース5にはパーキングポールシャフト41の右端部が挿入されて支持されている。
【0082】
リテーナ40は、ファイナルドリブンギヤ11の右方に位置して入力軸21の軸方向に並ぶように縦壁5Wと略平行に配置されており、縦壁5Wとの間にパーキングポール32を挟み込むように配置されて4本のボルト30B、30Cによって縦壁5Wに固定されている(
図2参照)。
【0083】
パーキングポール32には爪部32aが形成されており、爪部32aは、パーキングポール32がパーキングポールシャフト41を中心に右回りに揺動すると、パーキングギヤ24Cの歯部24cに噛み合う。
【0084】
爪部32aは、パーキングポール32がパーキングポールシャフト41を中心に左回りに揺動すると、歯部24cとの噛み合いが解除される。
【0085】
つまり、パーキングポール32は、爪部32aが歯部24cに噛み合う噛み合い位置と、爪部32aが歯部24cから離れる解除位置との間で揺動する。
【0086】
爪部32aが歯部24cに噛み合うと、パーキングギヤ24Cの回転が規制され、中間軸24の回転が規制される。
【0087】
中間軸24は、ファイナルドライブギヤ24Aがファイナルドリブンギヤ11に噛み合っており、差動装置10を介して駆動輪に連動する。
【0088】
これにより、爪部32aと歯部24cが噛み合うと中間軸24の回転が規制され、差動装置10のファイナルドリブンギヤ11の回転が規制されて、ドライブシャフト9A、9Bを介して駆動輪が回転することが規制され、車両の停車状態が維持される。
【0089】
パーキングポールシャフト41の上方において縦壁5Wに形成された穴にはスプリング用ピン42が挿入されて取付けられており、スプリング用ピン42にはリターンスプリング43のコイル部分が巻き掛けられている。
【0090】
パーキングポール32は、リターンスプリング43によって、歯部24cから爪部32aが離隔する方向に付勢されている。
【0091】
パーキングロッド33は、ライトケース5の上部に配置されており、後方先端付近となる膨出壁5Fの下方ではパーキングポール32とパーキングサポート36の間に配置されている。
【0092】
パーキングロッド33は、途中屈曲部分を有するが基本的にライトケース5の縦壁5Wに沿って前後方向に延びており、前端部が差し込まれてレバープレート44に回動自在に連係されている。
【0093】
レバープレート44は、マニュアルシャフト37の上端部に取付けられており、マニュアルシャフト37から径方向(水平方向)外方に突出している。そして、レバープレート44の突出した先端部に、パーキングロッド33が差し込まれている。
【0094】
マニュアルシャフト37は、この前壁5Hの下部を貫通してライトケース5の外部に突出している。つまり、マニュアルシャフト37は、入力軸21よりも前側において前壁5Hの下部に回転自在に取付けられており、前壁5Hの下部から上壁5Eの近傍まで上下方向に延びている。マニュアルシャフト37の上端部は、ライトケース5に回転自在に取付けられている。
【0095】
マニュアルシャフト37の下端部は、前壁5Hからライトケース5の下方に突出しており、突出したマニュアルシャフト37の下端部には図示しないケーブル部材の一端部が連結されている。ケーブル部材の他端部は、運転者によって操作されるシフトレバーに連結されている。
【0096】
ケーブル部材は、シフトレバーがパーキングポジションと非パーキングポジションとの間で切替え操作される動きをマニュアルシャフト37に伝え、マニュアルシャフト37を回転させる。
【0097】
このようにマニュアルシャフト37は、シフトレバーの操作に連動してライトケース5に対して回転する。
【0098】
パーキングカム34は、パーキングロッド33の後端部に取付けられている。パーキングカム34にはパーキングロッド33が貫通しており、パーキングカム34は、パーキングロッド33の軸方向に沿って移動自在となっている。
【0099】
パーキングロッド33にはストッパ部33b(
図2参照)が形成されており、ストッパ部33bとパーキングカム34との間にカムスプリング35が配置されている。カムスプリング35は、パーキングロッド33に外挿されてパーキングロッド33に沿って伸縮自在となっており、前端部がストッパ部33bによって移動が規制され、後端部がパーキングカム34に当接している。
【0100】
パーキングロッド33の後端部には、パーキングカム34を貫通する部分に比べて太くなっている先端ストッパ部が形成されている。パーキングカム34は、先端ストッパ部よりもマニュアルシャフト37側に配置されており、パーキングロッド33からの脱落が阻止されている。
【0101】
カムスプリング35は、パーキングカム34が先端ストッパ部に接触してもなおパーキングカム34をパーキングポール32側に付勢しており、パーキングカム34は、確実に先端ストッパ部に接触するまでパーキングロッド33に沿って移動させられる。
【0102】
パーキングカム34は、パーキングポール32側に向かって先細りのテーパ形状に形成されている。パーキングカム34は、パーキングカム34の軸方向における中央付近でテーパ形状の角度が大きくなる二段形状になっており、パーキングポール32側の方がテーパ形状の角度が大きい。
【0103】
パーキングロック機構31において、シフトレバーがパーキングポジションに操作されると、マニュアルシャフト37が一方向に回転し、マニュアルシャフト37の回転に伴ってレバープレート44が一方向に揺動する。
【0104】
このとき、パーキングロッド33がレバープレート44に押されてパーキングギヤ24C側に移動し、カムスプリング35によって付勢されたパーキングカム34がパーキングサポート36に沿って移動する。
【0105】
パーキングサポート36の後端部には上方に突出するカム部36aが形成されており(
図3参照)、パーキングカム34がカム部36a側に移動すると、パーキングカム34がカム部36aに乗り上げる。
【0106】
このとき、パーキングポール32は、リターンスプリング43の付勢力に抗してパーキングポールシャフト41を中心に
図3の時計回りに揺動する。
【0107】
これにより、
図3に示すように、パーキングポール32の爪部32aがパーキングギヤ24Cの歯部24cに噛み合ってパーキングギヤ24Cの回転が規制され、中間軸24の回転が規制される。この結果、ドライブシャフト9A、9Bを介して駆動輪が回転することが規制され、車両の停車状態が維持される。
【0108】
パーキングロック機構31において、シフトレバーが非パーキングポジションに操作されると、マニュアルシャフト37が他方向に回転し、マニュアルシャフト37の回転に伴ってレバープレート44が他方向に揺動される。
【0109】
このとき、パーキングロッド33がパーキングポール32から離れるマニュアルシャフト37側に移動し、パーキングカム34がパーキングサポート36のカム部36aから離れ、パーキングカム34がカム部36aよりも低い高さ位置に移動する。
【0110】
図2、
図3に示すように、ディテントプレート38は、レバープレート44よりも下方に位置するようにマニュアルシャフト37の下部に取付けられており、マニュアルシャフト37の回転によりマニュアルシャフト37を中心に揺動する扇形形状に形成されている。
【0111】
ディテントプレート38の外周部には、図示しない一対の嵌合溝が形成されている。自動変速機2において、シフトレバーにより選択されるシフト位置は、例えば、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、M(マニュアル)ポジションであり、この順に配置される。
【0112】
Rポジション、Nポジション、Dポジション、Mポジションが非パーキングポジションに相当する。
【0113】
運転者のパーキングポジションへのシフト操作により、マニュアルシャフト37が回転してディテントプレート38が揺動し、パーキングポジション用の係合溝にディテントスプリング39のローラ部材39Aが係合する。
【0114】
この係合した状態では、パーキングポール32は揺動していて爪部32aがパーキングギヤ24Cの歯部24cに噛み合う噛み合い位置にあり、係合溝とローラ部材39Aの係合によって噛み合いの状態が維持される。
【0115】
一方、運転者の非パーキングポジションへのシフト操作により、マニュアルシャフト37が回転してディテントプレート38が揺動し、非パーキングポジション用の係合溝にローラ部材39Aが係合した状態では、パーキングカム34がパーキングサポート36のカム部36aから退避してパーキングポール32が揺動しており、パーキングポール32の爪部32aがパーキングギヤ24Cの歯部24cから外れた解除位置にある。
【0116】
ディテントプレート38とディテントスプリング39とは、ディテント機構を構成しており、運転者によるパーキングポジションと非パーキングポジションとのシフト操作時にローラ部材39Aがパーキングポジション用の係合溝あるいは非パーキングポジション用の係合溝に係合する動作と脱出する動作とにより、シフト操作時の運転者に切換え感触(所謂、クリック感)を与える。
【0117】
また、シフト操作の完了時にローラ部材39Aがパーキングポジション用の係合溝または非パーキングポジション用の係合溝に係合することにより、マニュアルシャフト37に対する回転方向の位置決めをする。
【0118】
ローラ部材39Aがパーキングポジション用の係合溝に係合したときのマニュアルシャフト37の回転位置において、パーキングカム34は、カム部36aに乗り上げてパーキングポール32を噛み合い位置に位置させている。
【0119】
図4に示すように、モータ出力軸27Bにはダンパ部材50が設けられている。
図2、
図6に示すように、ダンパ部材50は、ファイナルドリブンギヤ11の上方に配置されており、上下方向でファイナルドリブンギヤ11に対向している。
【0120】
ダンパ部材50は、モータ出力軸27B上においてモータジェネレータ27とモータ出力ギヤ27Cの間に配置されており、ダンパ部材50とファイナルドリブンギヤ11は、モータ出力軸27Bの軸方向の位置で同じ位置に配置されている。
【0121】
ダンパ部材50は、モータ出力軸27Bの軸方向から見てモータ入力ギヤ24Bと重なるように配置されている。また、ダンパ部材50は、モータ出力軸27Bの軸方向の位置でモータ入力ギヤ24Bよりも小径のファイナルドライブギヤ24Aと重なるように配置されている。
【0122】
図2に示すように、中間軸24は、車両前進時にファイナルドリブンギヤ11の反時計回りの回転に伴う潤滑油の流れ方向において、モータ出力軸27Bの上流側に配置されており、ファイナルドリブンギヤ11によって掻き上げられた潤滑油は、中間軸24の上方を通過してダンパ部材50に到達する。
【0123】
図5、
図6に示すように、ダンパ部材50は、外筒部材51と、筒状に形成されたゴム等の弾性体52と、内筒部材53とを備えている。内筒部材53は、外筒部材51よりも小径に形成されており、外筒部材51の内径側に設置されている。
【0124】
つまり、モータ出力軸27Bの軸方向で、内筒部材53は、外筒部材51と同じ位置に設置されている。内筒部材53には、その軸心にモータ出力軸27Bが挿通配置されている。内筒部材53は、モータ出力軸27Bにスプライン嵌合されており、モータ出力軸27Bと一体で回転する。
【0125】
弾性体52は、外筒部材51の内径面と内筒部材53の外径面の間に設置されており、弾性体52の外周面と内周面がそれぞれ外筒部材51と内筒部材53に固定されている。詳細には、弾性体52の内周面と内筒部材53は、周方向の隙間が小さいスプライン嵌合しており、弾性体52の内周面は内筒部材53を介してモータ出力軸27Bと一体で回転する。
【0126】
弾性体52の外周面は外筒部材51の内径面に圧入されて弾性体52の外周面は外筒部材51に固定されて外筒部材51と一体で回転する。つまり、弾性体52は、径方向で外筒部材51と内筒部材53の間で外筒部材51の内部に設置されており、弾性変形することにより外筒部材51と内筒部材53の相対回転を許容しつつ、外筒部材51と内筒部材53の間で動力を伝達している。
【0127】
図5に示すように、外筒部材51は、弾性体52を収容する部位からモータ出力ギヤ27C側にモータ出力軸27Bに沿って延びる円筒状の延出部51tを有している。延出部51tは、弾性体52を収容する部位よりも小径であってスプライン孔となっている。つまり、延出部51tの内周部には内周スプライン51aが形成されている。
【0128】
内筒部材53は、弾性体52が取付けられた部位からモータ出力ギヤ27C側にモータ出力軸27Bに沿って延びて外筒部材51の延出部51tの内径側に入り込む延出部53tを有している。延出部53tは、弾性体52が取付けられる部位とほぼ同じ軸径に形成されたスプライン軸となっている。つまり、延出部53tには外周スプライン53aが形成されている。
【0129】
モータ出力ギヤ27Cは、モータ出力ギヤ部材27Gに設けられている。具体的には、モータ出力ギヤ部材27Gは、モータ出力ギヤ27Cと、モータ出力ギヤ27Cからダンパ部材50側にモータ出力軸27Bに沿って延びる筒状部27gとを有する。つまり、モータ出力ギヤ27Cは、筒状部27gを有する。
【0130】
筒状部27gのダンパ部材50側となる左端部には延出部27tが形成されている。延出部27tは、内筒部材53の延出部53tとほぼ同じ軸径に形成されて外筒部材51の延出部51tの内径側に入り込むとともに、モータ出力軸27Bに沿って内筒部材53側に延びた円筒形状のスプライン軸となっている。
【0131】
つまり、延出部27tには外周スプライン27cが形成されている。そして、外周スプライン53a、27cは、外筒部材51の同じ内周スプライン51aに嵌合されている。
【0132】
つまり、外筒部材51とモータ出力ギヤ部材27G(モータ出力ギヤ27C)は、延出部51tに形成された内周スプライン51aと延出部27tに形成された外周スプライン27cとによって連結されており、延出部51tと延出部27tは、弾性体52に対してモータ出力ギヤ27C側に配置されている。
【0133】
本実施例の延出部51t、内周スプライン51a、延出部27tおよび外周スプライン27cは、連結部を構成している。
【0134】
モータ出力ギヤ27Cと筒状部27gは、モータ出力軸27Bの軸方向に並んで同等の長さに形成されている。筒状部27gは、軸方向の位置でパーキングギヤ24Cやパーキングポール32と同じ位置に配置されている。
【0135】
モータ出力ギヤ部材27Gは、その軸心にモータ出力軸27Bが挿通配置されており、弾性体52が弾性変形することによりモータ出力ギヤ27Cとモータ出力軸27Bとが相対回転できるように、モータ出力ギヤ部材27Gとモータ出力軸27Bは相対回転が許容されるように嵌合している。
【0136】
つまり、モータ出力ギヤ部材27Gは、モータ出力軸27Bとスプライン嵌合しておらず、モータ出力軸27Bに相対回転が可能な状態に軸支されている。詳細には、モータ出力ギヤ部材27G内に挿入配置されるモータ出力軸27Bの部分は、内筒部材53と嵌合するスプラインに連続したスプラインが形成されてスプライン軸となっているが、モータ出力ギヤ部材27Gの軸心孔はスプライン孔となっていないので、スプラインが噛合うことなく回転が許容されて摺動部となっている。
【0137】
当該部位で、モータ出力軸27Bはスプライン軸となっているので、スプラインの溝空間を利用して潤滑油が流動しやすく保持されるので、この摺動部の潤滑性能を向上させることができる。
【0138】
外筒部材51の内周スプライン51aとモータ出力ギヤ部材27Gの外周スプライン27cの関係は、周方向の隙間が小さくされており、タイト(回転方向のガタが比較的少ない状態)にスプライン嵌合している。つまり、外筒部材51とモータ出力ギヤ部材27Gは、一体で回転するようにスプライン嵌合している。
【0139】
これに対して、外筒部材51の内周スプライン51aと内筒部材53の外周スプライン53aの関係は、周方向の隙間が大きくされており、ルーズにスプライン嵌合している。つまり、外筒部材51と内筒部材53とは、スプラインの周方向の隙間によって多少の相対回転が可能な状態にスプライン嵌合している。
【0140】
具体的には、内筒部材53の外周スプライン53aは、モータ出力ギヤ部材27Gの外周スプライン27cよりも細いスプライン歯に形成されており、内周スプライン51aと外周スプライン53aは、周方向において、内周スプライン51aと外周スプライン27cの周方向の隙間よりも大きい隙間を有している。
【0141】
そして、内筒部材53の外周スプライン53aのスプライン歯は、外筒部材51の内周スプライン51aのスプライン歯と当接することによって、外筒部材51と内筒部材53の相対回転を所定範囲に規制している。
【0142】
ダンパ部材50は、モータ出力軸27Bとモータ出力ギヤ部材27Gとの間の動力伝達を行うが、外筒部材51の内周スプライン51aと内筒部材53の外周スプライン53aの上記したスプライン嵌合状態により、伝達するトルクの大きさに応じて異なる動力伝達経路を達成可能となっている。
【0143】
ダンパ部材50は、回転方向で、内周スプライン51aと外周スプライン53aが当接しない状態では弾性体52を介する動力伝達となり、内周スプライン51aと外周スプライン53aが当接する状態では弾性体52を介する動力伝達だけでなく内周スプライン51aと外周スプライン53aを介した動力伝達が可能となっている。
【0144】
つまり、ダンパ部材50は、伝達する動力が比較的小さい場合、内周スプライン51aと外周スプライン53aが当接しないで、弾性体52を介して外筒部材51と内筒部材53の間の動力伝達を行い、伝達する動力が比較的大きい場合、内周スプライン51aと外周スプライン53aを介して外筒部材51と内筒部材53の間の動力伝達を行う。
【0145】
弾性体52は、変速機構6から第2の動力伝達部29に入力されるトルク変動(回転変動)を弾性変形にて吸収しつつ動力伝達を行って、ギヤの歯面同士が衝突する衝撃力を低減し歯打ち音等を抑制することができる。
【0146】
図5に示すように、モータ出力軸27Bの内部には潤滑油が流れる軸心孔27dが形成されており、軸心孔27dの右端部は開口している。
【0147】
ライトケース5の軸受支持部5gにはキャップ部材55が取付けられており、キャップ部材55には軸心孔27dに挿通される筒状部55aが設けられている。軸受支持部5gの上部には潤滑油導入溝5fが形成されており、潤滑油導入溝5fは、キャップ部材55の右側空間と変速機室8Bを連通している。
【0148】
ファイナルドリブンギヤ11によって掻き上げられた潤滑油は、潤滑油導入溝5fよりキャップ部材55の右側空間に入り込み、この右側空間から筒状部55aを通過して軸心孔27dに導かれる。
【0149】
軸心孔27dは放射孔27e、27fが形成されており、放射孔27e、27fは軸心孔27dの径方向の内周面から径方向の外周面に亙って径方向に沿って貫通されている。
【0150】
軸心孔27dに潤滑油が供給されると、軸心孔27dに供給された潤滑油は、モータ出力軸27Bの回転による遠心力によって放射孔27e、27fを通過してモータ出力ギヤ部材27Gとモータ出力軸27Bの間に供給される。これにより、モータ出力ギヤ部材27Gとモータ出力軸27Bの摺動部が潤滑される。
【0151】
次に、本実施例の自動変速機2の作用を説明する。
エンジン1は、動力を発生するために爆発を繰り返しているので、回転変動が伴う。エンジン1とファイナルドリブンギヤ11の間に配置される変速機構6は、エンジン1に比べて軽量で慣性重量が小さいので、エンジン1の回転変動に容易に追従でき、歯面同士が衝突する歯打ちのエネルギーは比較的小さくなり、変速機構6での歯打ち音は小さいものとなる。
【0152】
つまり、変速機構6の動力伝達経路上で入力ギヤやカウンタギヤ同士が衝突しても歯打ち音は、比較的小さいものとなる。
【0153】
一方、モータジェネレータ27は慣性質量(イナーシャ)が大きいので、同一の回転数で安定して回転できる反面、回転数が変化したときにその変化に追従することが困難である。
【0154】
モータジェネレータ27は、滑らかに回転して回転変動が少ないので、モータジェネレータ27とファイナルドリブンギヤ11の間に配置される第2の動力伝達部29のギヤの歯打ち音は小さい。
【0155】
一方、エンジン1からモータジェネレータ27側に回転変動が加わると、モータジェネレータ27は慣性によって回転を維持しようとするので、エンジン1からファイナルドリブンギヤ11に伝達されるエンジン1の回転変動に対してモータジェネレータ27が抵抗し、第2の動力伝達部29において歯面同士が衝突する歯打ちのエネルギーが大きくなる。このため、第2の動力伝達部29の歯打ち音が大きくなるおそれがある。
【0156】
このことは、ファイナルドリブンギヤ11からモータジェネレータ27側に加わる回転力を、ファイナルドリブンギヤ11よりも小径のファイナルドライブギヤ24Aによって受け止めることにも起因する(大径のファイナルドリブンギヤ11からの力でファイナルドリブンギヤ11よりも小径のファイナルドライブギヤ24Aが回り難いことによる)。
【0157】
本実施例の自動変速機2は、モータジェネレータ27のロータ27aと同軸に配置され、モータジェネレータ27からファイナルドリブンギヤ11に向けて動力を伝達するモータ出力ギヤ27Cを有するモータ出力軸27Bと、モータ出力軸27Bに設けられ、変速機構6から第2の動力伝達部29に入力される回転変動を吸収するダンパ部材50とを有する。
【0158】
これにより、モータジェネレータ27の動力は、ロータ27aからモータ出力軸27B、ダンパ部材50(弾性体52)、モータ出力ギヤ27C、モータ入力ギヤ24B、中間軸24、ファイナルドライブギヤ24Aを介してファイナルドリブンギヤ11に伝達される。
【0159】
ダンパ部材50において、外筒部材51の内周スプライン51aとモータ出力ギヤ部材27Gの外周スプライン27cは、タイト(ガタがほとんどない)にスプライン嵌合し、外筒部材51の内周スプライン51aと内筒部材53の外周スプライン53aは、ルーズ(ガタを有する)にスプライン嵌合している。また、内筒部材53とモータ出力軸27Bはタイトにスプライン嵌合している。
【0160】
これにより、エンジン1の回転変動やトルク変動を含む動力がファイナルドリブンギヤ11からファイナルドライブギヤ24A、中間軸24、モータ入力ギヤ24Bおよびモータ出力ギヤ27Cに入力されると、ダンパ部材50の弾性体52が周方向に弾性変形することにより、モータ出力軸27Bとモータ出力ギヤ部材27Gとを相対回転させることができ、ダンパ部材50によって回転変動やトルク変動を吸収してエンジン1の回転変動がモータ出力軸27Bに伝達されることを抑制することができる。
【0161】
このため、ファイナルドリブンギヤ11とファイナルドライブギヤ24Aの歯打ち音、モータ入力ギヤ24Bとモータ出力ギヤ27Cの歯打ち音を防止できる。
【0162】
一方、エンジン1から伝達されるトルクが比較的大きくて弾性体52が周方向に過度に弾性変形する場合には、ルーズに設定されている外筒部材51の内周スプライン51aの歯と内筒部材53の外周スプライン53aの歯が接触する。
【0163】
このため、内周スプライン51aと外周スプライン53aによって動力伝達が行われ、弾性体52が過度に弾性変形することが抑制される。このため、弾性体52の耐久性が悪化することを防止できる。
【0164】
一方、変速機ケース3に貯留された潤滑油は、ファイナルドリブンギヤ11によって掻き上げられ、
図2の潤滑油O1に示すように、前方に流れる。
【0165】
本実施例の自動変速機2によれば、ダンパ部材50がファイナルドリブンギヤ11の上方に配置されているので、ファイナルドリブンギヤ11によって掻き上げられた潤滑油が大量にダンパ部材50に供給される。
【0166】
ダンパ部材50に降りかかる潤滑油は、外筒部材51の延出部51tの開口端(右端)から延出部51tの内部に入り込んでスプラインを潤滑すると共に、延出部51tと延出部27tの間からモータ出力ギヤ部材27Gとモータ出力軸27Bの間に供給されて摺動部を潤滑できる。
【0167】
このため、ダンパ部材50を円滑に動作でき、エンジン1の回転変動をダンパ部材50によって効率よく吸収して、歯打ち音を抑制できる。
【0168】
また、ダンパ部材50を、モータ出力軸27Bの軸方向でモータ出力ギヤ27Cと並べて配置し、かつ、モータ出力軸27Bの軸方向から見てモータ入力ギヤ24Bと重なり、モータ出力軸27Bの軸方向の位置でモータ入力ギヤ24Bよりも小径のファイナルドライブギヤ24Aと重なる位置に配置したので、ダンパ部材50をデッドスペースに配置できる。
【0169】
つまり、モータジェネレータ27、モータ出力軸27B、モータ出力ギヤ27C、モータ入力ギヤ24B、ファイナルドライブギヤ24Aとによって囲まれるデッドスペースにダンパ部材50を配置できる。
【0170】
このため、ダンパ部材50の配置スペースを低減でき、変速機ケース3が大型化することを防止できる。この結果、自動変速機2が大型化することを防止できる。
【0171】
また、本実施例の自動変速機2によれば、モータ出力軸27Bは、モータ出力ギヤ27Cを有し、第2の動力伝達部29は、モータ出力ギヤ27Cと噛み合うモータ入力ギヤ24Bと、ファイナルドリブンギヤ11に噛み合うファイナルドライブギヤ24Aとを有する中間軸24を備え、モータジェネレータ27の動力を、モータ出力軸27B、モータ出力ギヤ27C、モータ入力ギヤ24B、中間軸24およびファイナルドライブギヤ24Aを介してファイナルドリブンギヤ11に伝達するように構成されている。
【0172】
これに加えて、ダンパ部材50は、モータジェネレータ27に近いモータ出力軸27B上においてモータジェネレータ27とモータ出力ギヤ27Cの間に配置されており、ダンパ部材50とファイナルドリブンギヤ11は、モータ出力軸27Bの軸方向の位置で同じ位置に配置されている。
【0173】
これにより、ファイナルドリブンギヤ11によって掻き上げられた潤滑油O1の流れる経路上にダンパ部材50を配置でき、ダンパ部材50の潤滑性能を向上できる。
【0174】
また、本実施例の自動変速機2によれば、中間軸24は、車両前進時のファイナルドリブンギヤ11の回転に伴う潤滑油の流れ方向において、モータ出力軸27Bの上流側に配置されており、ファイナルドリブンギヤ11によって掻き上げられた潤滑油は、中間軸24の上方を通過してダンパ部材50に供給される。
【0175】
これにより、ファイナルドリブンギヤ11によって掻き上げられた潤滑油O1が中間軸24に遮られることを防止でき、潤滑油O1を円滑にダンパ部材50に供給できる。このため、ダンパ部材50の潤滑性能をより効果的に向上できる。
【0176】
また、本実施例の自動変速機2によれば、ダンパ部材50は、モータ出力軸27Bに連結され、モータ出力軸27Bと一体で回転する内筒部材53と、延出部51t、内周スプライン51a、延出部27tおよび外周スプライン27cを介してモータ出力ギヤ27Cに連結され、モータ出力ギヤ27Cと一体で回転する外筒部材51を有する。
【0177】
これに加えて、ダンパ部材50は、内筒部材53と外筒部材51の間に設けられ、弾性変形することによりモータ出力軸27Bとモータ出力ギヤ27Cとの相対回転を許容しつつ動力を伝達する弾性体52を有し、延出部51t、内周スプライン51a、延出部27tおよび外周スプライン27cは、弾性体52に対してモータ出力ギヤ27C側に配置されている。
【0178】
これにより、ファイナルドリブンギヤ11によって掻き上げられた潤滑油O1を延出部27t、51tの間からモータ出力軸27Bとモータ出力ギヤ27Cの間のスプライン嵌合部に供給でき、スプライン嵌合部を潤滑油によって潤滑できる。このため、モータ出力軸27Bとモータ出力ギヤ27Cを円滑に相対回転させることができる。
【0179】
なお、エンジン1とモータジェネレータ27を有するハイブリッド式の自動変速機2にあっては、エンジン1を駆動源とする車両の走行時に、モータジェネレータ27が車両の走行の負荷とならないように走行速度に合わせて回転する場合がある。
【0180】
この場合、モータジェネレータ27の回転の変動幅を弾性体52で吸収させてモータ入力ギヤ24Bとモータ出力ギヤ27Cの歯面の当接を維持して歯打ち音の発生を抑制するために、弾性体52を力行方向に付勢、あるいは、弾性体52を回生方向に付勢して、モータ入力ギヤ24Bとモータ出力ギヤ27Cの歯面の当接を維持させることが考えられる。
【0181】
つまり、モータ入力ギヤ24Bとモータ出力ギヤ27Cの歯面の当接を維持させるために、第2の動力伝達部29のトルクの変動が0を跨いだ正側と負側で変動しないで弾性体52の吸収範囲で変動するようにモータジェネレータ27の負荷を調整してもよい。
【0182】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
2...自動変速機(車両用変速機)、3...変速機ケース、6...変速機構(第1の動力伝達部)、10...差動装置、11...ファイナルドリブンギヤ(リングギヤ)、20...変速ギヤ対、21...入力軸(回転軸)、22...カウンタ軸(回転軸)、23...リバース軸(回転軸)、24...中間軸、24A...ファイナルドライブギヤ(第2の中間ギヤ)、24B...モータ入力ギヤ(第1の中間ギヤ)、27...モータジェネレータ(回転電機)、27B...モータ出力軸、27C...モータ出力ギヤ、27c...外周スプライン(連結部)、27t...延出部(連結部)、29...第2の動力伝達部、50...ダンパ部材、51...外筒部材、51a...内周スプライン(連結部)、51t...延出部(連結部)、52...弾性体、53...内筒部材