(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118858
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
H01L25/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025413
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 慎也
(72)【発明者】
【氏名】猪原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】右田 達夫
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正幸
(57)【要約】
【課題】半導体素子が形成されるウェハにおける無駄な領域を抑制することができる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態による半導体装置は、第1チップと、第2チップと、を有する半導体チップを備える。第2チップは、第1チップと電気的に接続するように、第1チップ上で第1チップと接合される。第2チップの面積は、第1チップの面積よりも小さい。第2チップは、第2チップの上面に設けられる第1パッドを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チップと、
前記第1チップと電気的に接続するように、前記第1チップ上で前記第1チップと接合された第2チップと、
を有する半導体チップを備え、
前記第2チップの面積は、前記第1チップの面積よりも小さく、
前記第2チップは、前記第2チップの上面に設けられる第1パッドを有する、半導体装置。
【請求項2】
前記第2チップは、前記第2チップの上面側に設けられる半導体基板を有し、
前記半導体基板は、前記半導体基板の上面から下面まで貫通する凹部を有し、
前記第1パッドは、前記凹部の底面から前記半導体基板の上方まで延伸する配線と一体的に構成され、前記半導体基板の上方に設けられ、
前記第1パッドおよび前記第1チップは、互いに電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2チップは、
前記第1チップとの接合面に設けられる第2パッドと、
前記凹部の底面から前記第2パッドまで延伸するように設けられ、前記第1パッドと前記第1チップとを電気的に接続する柱状電極と、
をさらに有する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップが搭載される配線基板と、
前記第1パッドと、前記配線基板と、を電気的に接続するワイヤと、
をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップは、前記第1チップの上面で前記第2チップが設けられる第1領域とは異なる第2領域に設けられるスペーサをさらに備え、
前記スペーサの上面は、前記第2チップの上面と略平行である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記スペーサは、第1樹脂を含む、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記スペーサは、
上面が前記第2チップの上面と略平行であるスペーサチップと、
スペーサチップの周囲に設けられる第2樹脂と、
を有する、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記スペーサは、前記第1チップと、前記スペーサチップと、の間に設けられる接着層をさらに有する、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記スペーサは、前記第1チップと、前記スペーサチップと、の間において、前記第1チップの上面に設けられる絶縁膜と接するように設けられる絶縁膜をさらに有する、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2チップは、不揮発性メモリを有し、
前記第1チップは、前記不揮発性メモリを制御する制御回路を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1チップに個片化される前のウェハ上に、前記第1チップと電気的に接続するように第2チップを接合し、
前記第2チップの上面に第1パッドを形成する、
ことを具備し、
前記第2チップの面積は、前記第1チップの面積よりも小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2チップを接合した後、前記第2チップの上面側に設けられた半導体基板に、前記半導体基板の上面から下面まで貫通する凹部を形成し、
前記凹部の側面および前記半導体基板上に絶縁膜を形成する、
ことをさらに具備し、
前記第1パッドを形成することは、前記凹部の底面から前記半導体基板の上方まで延伸する配線と一体に構成され、前記半導体基板の上方に設けられる前記第1パッドを形成する、ことを具備する、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのウェハを貼合する半導体導体において、それぞれウェハの半導体素子のサイズ(面積)にミスマッチが生じる場合、無駄な領域が増加してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-31669号公報
【特許文献2】特開2004-79701号公報
【特許文献3】特開2011-146527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体素子が形成されるウェハにおける無駄な領域を抑制することができる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体装置は、第1チップと、第2チップと、を有する半導体チップを備える。第2チップは、第1チップと電気的に接続するように、第1チップ上で第1チップと接合される。第2チップの面積は、第1チップの面積よりも小さい。第2チップは、第2チップの上面に設けられる第1パッドを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態による半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態による半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態による半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態による半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態によるメモリセルアレイおよびトランジスタの構成の一例を示す断面図である。
【
図6】第1実施形態による柱状部の構成の一例を示す断面図である。
【
図7A】第1実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【
図7B】
図7Aに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7C】
図7Bに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7D】
図7Cに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7E】
図7Dに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7F】
図7Eに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7G】
図7Fに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7H】
図7Gに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7I】
図7Hに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7J】
図7Iに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7K】
図7Jに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7L】
図7Kに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図7M】
図7Lに続く、半導体装置の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図8】第1実施形態による回路チップおよびアレイチップのサイズの一例を示す図である。
【
図9】比較例による半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図10】比較例による回路チップおよびアレイチップのサイズの一例を示す図である。
【
図11】第2実施形態による半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図12】第3実施形態による半導体チップの構成の一例を示す断面図である。
【
図13】第4実施形態による半導体チップの構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す断面図である。
図2は、第1実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す平面図である。
図2のA-A線は、断面図である
図1に対応する断面を示す。
【0009】
尚、
図1および
図2は、配線基板10の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、配線基板10の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していても一致していなくてもよい。
【0010】
半導体装置1は、配線基板10と、半導体チップ20、30~33と、接着層40~43と、スペーサ50と、樹脂層80と、ボンディングワイヤ90と、封止樹脂91とを備えている。半導体装置1は、例えば、NAND型フラッシュメモリのパッケージである。
【0011】
配線基板10は、配線層11と絶縁層15とを含むプリント基板やインタポーザでよい。配線層11には、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)またはそれらの合金等の低抵抗金属が用いられる。絶縁層15には、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性材料が用いられる。図では、絶縁層15の表面と裏面のみに配線層11が設けられている。しかし、配線基板10は、複数の配線層11および複数の絶縁層15を積層して構成された多層配線構造を有していてもよい。配線基板10は、例えば、インタポーザのように、その表面と裏面とを貫通する貫通電極(柱状電極)を有してもよい。
【0012】
配線基板10の表面(面F1)には、配線層11上に設けられたソルダレジスト層14が設けられている。ソルダレジスト層14は、半導体チップ20と配線層11とを接続する金属材料(図示せず)から配線層11を保護し、ショート不良を抑制するための絶縁層である。
【0013】
配線基板10の裏面にも、配線層11上に設けられたソルダレジスト層14が設けられている。ソルダレジスト層14から露出された配線層11には、金属バンプ13が設けられている。金属バンプ13は、図示しない他の部品と配線基板10とを電気的に接続するために設けられている。
【0014】
半導体チップ20は、例えば、メモリチップを制御するコントローラチップである。半導体チップ20の配線基板10を向いた面には、図示しない半導体素子が設けられている。半導体素子は、例えば、コントローラを構成するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路でよい。半導体チップ20の裏面(下面)である面には、半導体素子と電気的に接続される電極ピラー(図示せず)が設けられている。電極ピラーには、例えば、銅、ニッケルまたはそれらの合金等の低抵抗金属材料が用いられている。
【0015】
接続バンプとしての電極ピラーの周囲には、金属材料が設けられている。電極ピラーは、金属材料を介して、ソルダレジスト層14の開口部において露出された配線層11と電気的に接続される。金属材料には、例えば、はんだ、銀、銅等の低抵抗金属材料が用いられている。これにより、金属材料は、半導体チップ20の電極ピラーと配線基板10の配線層11とを電気的に接続する。
【0016】
金属材料の周囲の領域、および、半導体チップ20と配線基板10との間の領域には、樹脂層80が設けられている。樹脂層80は、例えば、アンダーフィル樹脂を硬化させたものであり、半導体チップ20の周囲を被覆して保護する。
【0017】
半導体チップ30は、例えば、NAND型フラッシュメモリを含むメモリチップである。半導体チップ30は、その表面(上面)に半導体素子(図示せず)を有する。半導体素子は、例えば、メモリセルアレイおよびその周辺回路(CMOS回路)でよい。メモリセルアレイは、複数のメモリセルを三次元配置した立体型メモリセルアレイでもよい。また、半導体チップ30上には、接着層41介して半導体チップ31が接着されている。半導体チップ31上には、接着層42介して半導体チップ32が接着されている。半導体チップ32上には、接着層43介して半導体チップ33が接着されている。半導体チップ31~33は、例えば、半導体チップ30と同様に、NAND型フラッシュメモリを含むメモリチップである。半導体チップ30~33は、同一のメモリチップでもよい。図では、コントローラチップとしての半導体チップ20の他、4つのメモリチップとしての半導体チップ30~33が積層されている。しかし、半導体チップの積層数は、3以下でも、5以上であってもよい。
【0018】
図2に示すように、スペーサ50は、例えば、半導体チップ20の側方に設けられる。スペーサ50は、接着層を介して、配線基板10の表面(上面)に接着されている。スペーサ50および半導体チップ20の上方に、半導体チップ30~33が設けられている。スペーサ50の材料は、例えば、シリコン(Si)またはポリイミドである。
【0019】
ボンディングワイヤ90は、配線基板10および半導体チップ30~33の任意のパッドに接続されている。ボンディングワイヤ90で接続するために、半導体チップ30~33は、パッドの分だけずらされて積層されている。尚、半導体チップ20は、電極ピラーによってフリップチップ接続されているので、ワイヤボンディングはされていない。しかし、半導体チップ20も、電極ピラーによる接続に加えて、ワイヤボンディングされても構わない。
【0020】
さらに、封止樹脂91が、半導体チップ20、30~33、接着層40~43、スペーサ50、ボンディングワイヤ90等を封止している。これにより、半導体装置1は、複数の半導体チップ20、30~33を配線基板10上において1つの半導体パッケージとして構成されている。
【0021】
次に、半導体チップ30~33の詳細について説明する。
【0022】
図3は、第1実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す断面図である。尚、
図3は、2つの半導体チップ30、31を示す。以下では、半導体チップ31について説明するが、半導体チップ30、32、33も半導体チップ31と同様の構成を有する。
図3の例では半導体チップ30、31を詳細に説明するので、
図1における半導体チップ20の図示を省略している。
【0023】
半導体チップ31は、回路チップCH1と、アレイチップCH2と、スペーサ101と、を有する。回路チップCH1は、第1チップの一例である。アレイチップCH2は、第2チップの一例である。
【0024】
回路チップCH1は、アレイチップCH2の動作を制御する制御回路(論理回路)として機能する。
【0025】
回路チップCH1は、半導体基板111と、層間絶縁膜112と、トランジスタ(半導体素子)113と、金属パッドBP1と、を有する。
【0026】
半導体基板111は、回路チップCH1の下面側に設けられる。半導体基板111は、例えば、シリコン(Si)基板である。
【0027】
層間絶縁膜112は、半導体基板111上に設けられる。層間絶縁膜112は、例えば、シリコン酸化膜、または、シリコン酸化膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。
【0028】
複数のトランジスタ113は、半導体基板111の上方に設けられる。トランジスタ113は、アレイチップCH2のメモリセルアレイ123の制御回路としてCMOS回路を構成する。この制御回路は、金属パッドBP1に電気的に接続されている。
【0029】
金属パッドBP1は、アレイチップCH2との接合面(貼合面)Sに設けられる。金属パッドBP1は、アレイチップCH2の金属パッドBP2と接合されている。複数の金属パッドBP1は、例えば、Cu層である。
【0030】
アレイチップCH2は、回路チップCH1と電気的に接続するように、回路チップCH1上で回路チップCH1と接合(貼合)されている。アレイチップCH2の面積は、回路チップCH1の面積よりも小さい。尚、回路チップCH1およびアレイチップCH2の面積は、Z方向から見た面積である。
【0031】
アレイチップCH2は、半導体基板121と、層間絶縁膜122と、メモリセルアレイ(半導体素子)123と、コンタクトプラグC1と、金属パッドBP2と、金属パッドWPと、を有する。
【0032】
半導体基板121は、アレイチップCH2の上面側に設けられる。半導体基板121は、例えば、シリコン(Si)基板である。
【0033】
層間絶縁膜122は、半導体基板121の下に設けられる。層間絶縁膜122は、例えば、シリコン酸化膜、または、シリコン酸化膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。
【0034】
メモリセルアレイ123は、半導体基板121の下に設けられる。メモリセルアレイ123は、例えば、不揮発性メモリである。メモリセルアレイ123は、階段構造部を有する。メモリセルアレイ123は、金属パッドBP2に電気的に接続されている。
【0035】
コンタクトプラグC1は、メモリセルアレイ123の導電層(ワード線WL)と、金属パッドBP2と、を電気的に接続する。
【0036】
金属パッドBP2は、回路チップCH1との接合面Sに設けられる。金属パッドBP2は、回路チップCH1の金属パッドBP1と接合されている。複数の金属パッドBP2は、例えば、Cu層である。金属パッドBP2は、第2パッドの一例である。
【0037】
金属パッドWPは、アレイチップCH2の上面に設けられる。金属パッドWPは、半導体チップ30~33の外部接続パッド(ボンディングパッド)として機能する。すなわち、金属パッドWPは、ボンディングワイヤ90と接続される。従って、ボンディングワイヤ90は、金属パッドWPと、配線基板10と、を電気的に接続する。金属パッドWPは、例えば、ニッケル(Ni)等の導電性金属を含む。金属パッドWPは、第1パッドの一例である。
【0038】
スペーサ101は、回路チップCH1の上面でアレイチップCH2が設けられる第1領域R1とは異なる第2領域R2に設けられる。スペーサ101の上面は、アレイチップCH2の上面と略平行である。すなわち、スペーサ101により、回路チップCH1とアレイチップCH2との間の面積差により生じる段差部分を略平坦にすることができる。半導体チップ30のスペーサ101は、
図3に示すように、半導体チップ31を支持する。これにより、チップ傾き等の組み立て時のリスクを抑制することができる。すなわち、アレイチップCH2の上面の面積を大きくすることができ、半導体チップ30~33の積層(ダイボンディング)をより適切に行うことができる。
【0039】
スペーサ101は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂を含む。スペーサ101が樹脂である場合、スペーサ101は、フィラーを含む。スペーサ101の樹脂は、封止樹脂91とは異なる材料であってもよい。この場合、スペーサ101と封止樹脂91との間で、フィラーの大きさが異なる。一方、スペーサ101の樹脂は、封止樹脂91と同じ材料であってもよい。この場合、スペーサ101と封止樹脂91との間で、フィラーの大きさは同じである。しかし、スペーサ101と封止樹脂91との境界面では、個片化(
図7Mを参照)の際に切断されたスペーサ101のフィラーが露出されている場合がある。
【0040】
図4は、第1実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す断面図である。
図4は、
図3に示す破線枠Dを拡大した図である。
【0041】
尚、
図4に示すように、アレイチップCH2の右側には、部材115が設けられていてもよい。
図3では、部材115の図示は省略されている。部材115の材料は、アレイチップCH2の左側に設けられるスペーサ101と同じ材料である(
図7H~
図7Mを参照)。部材115は、例えば、エポキシ樹脂を含む。
【0042】
半導体基板121は、凹部1211を有する。凹部1211は、半導体基板121の上面から下面まで貫通する。
【0043】
アレイチップCH2は、絶縁膜124をさらに有する。
【0044】
絶縁膜124は、保護膜(パッシベーション膜)であり、例えば、ポリイミド(Polyimide)を含む。絶縁膜124は、凹部1211の側面、および、半導体基板121の上面に設けられる。
図4に示す例では、絶縁膜124は、部材115上には設けられていない。これは、半導体チップ30~33に個片化する際(
図7Mを参照)のダイシング領域に絶縁膜124が残らないように一部の絶縁膜124が除去されているためである。しかし、絶縁膜124は、部材115上に設けられていてもよく、また、部材115の一部を覆うように設けられていてもよい。
【0045】
金属パッドWPは、半導体基板121の上方に設けられる。より詳細には、金属パッドWPは、絶縁膜124上に設けられる。金属パッドWPは、凹部1211の底面から、凹部1211の横方向に引き出すように設けられる。すなわち、金属パッドWPは、凹部1211の底面から半導体基板121の上方まで延伸する配線と一体的に構成される。従って、金属パッドWPは、半導体基板121を貫通するように延伸している。
【0046】
金属パッドWPは、金属部材131、132をさらに有する。
【0047】
金属部材131は、例えば、ニッケル(Ni)を含む。
【0048】
金属部材132は、金属部材131を覆うように設けられる。金属部材132は、例えば、金(Au)を含む。
【0049】
アレイチップCH2は、コンタクトプラグC2をさらに有する。
【0050】
コンタクトプラグ(柱状電極)C2は、層間絶縁膜122を貫通して、凹部1211の底面(金属パッドWPの下面)から金属パッドBP2まで延伸するように設けられる。従って、コンタクトプラグC2は、金属パッドWPと回路チップCH1とを電気的に接続する。すなわち、金属パッドWPおよび回路チップCH1は、互いに電気的に接続されている。コンタクトプラグC2は、例えば、タングステン(W)等の導電性金属を含む。
【0051】
次に、メモリセルアレイ123およびトランジスタ113の構成について説明する。
【0052】
図5は、第1実施形態によるメモリセルアレイ123およびトランジスタ113の構成の一例を示す断面図である。
【0053】
アレイチップCH2は、メモリセルアレイ123内の電極層として、複数のワード線WLと、ソース線SLとを備えている。
図5は、メモリセルアレイ123の階段構造部201を示している。各ワード線WLは、コンタクトプラグC1を介してワード配線層202と電気的に接続されている。複数のワード線WLを貫通する各柱状部CLは、ビアプラグ203を介してビット線BLと電気的に接続されており、かつソース線SLと電気的に接続されている。ソース線SLは、半導体層である第1層SL1と、金属層である第2層SL2とを含んでいる。
【0054】
回路チップCH1は、複数のトランジスタ113を備えている。各トランジスタ113は、半導体基板111上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極301と、半導体基板111内に設けられた不図示のソース拡散層およびドレイン拡散層とを備えている。また、回路チップCH1は、これらのトランジスタ113のゲート電極301、ソース拡散層、またはドレイン拡散層上に設けられた複数のコンタクトプラグ302と、これらのコンタクトプラグ302上に設けられ、複数の配線を含む配線層303と、配線層303上に設けられ、複数の配線を含む配線層304とを備えている。
【0055】
回路チップCH1はさらに、配線層304上に設けられ、複数の配線を含む配線層305と、配線層305上に設けられた複数のビアプラグ306と、これらのビアプラグ306上に設けられた複数の金属パッドBP1とを備えている。金属パッドBP1は例えば、Cu(銅)層またはAl(アルミニウム)層である。
【0056】
アレイチップCH2は、金属パッドBP1上に設けられた複数の金属パッドBP2と、金属パッドBP2上に設けられた複数のビアプラグ307とを備えている。また、アレイチップCH2は、これらのビアプラグ307上に設けられ、複数の配線を含む配線層308を備えている。金属パッドBP2は例えば、Cu層またはAl層である。
【0057】
図6は、第1実施形態による柱状部CLの構成の一例を示す断面図である。
【0058】
図6に示すように、メモリセルアレイ123は、層間絶縁膜122(
図5)上に交互に積層された複数のワード線WLと複数の絶縁層401とを備えている。ワード線WLは、例えばW(タングステン)層である。絶縁層401は、例えばシリコン酸化膜である。
【0059】
柱状部CLは、ブロック絶縁膜402、電荷蓄積層403、トンネル絶縁膜404、チャネル半導体層405、およびコア絶縁膜406を順に含んでいる。電荷蓄積層403は、例えばシリコン窒化膜であり、ワード線WLおよび絶縁層401の側面にブロック絶縁膜402を介して形成されている。電荷蓄積層403は、ポリシリコン層などの半導体層でもよい。チャネル半導体層405は、例えばポリシリコン層であり、電荷蓄積層403の側面にトンネル絶縁膜404を介して形成されている。ブロック絶縁膜402、トンネル絶縁膜404、およびコア絶縁膜406は、例えばシリコン酸化膜または金属絶縁膜である。
【0060】
次に、半導体装置1の製造方法について説明する。
【0061】
図7A~
図7Mは、第1実施形態による半導体装置1の製造方法の一例を示す断面図である。
【0062】
まず、
図7Aに示すように、アレイウェハW2を準備する。例えば、メモリセルアレイ123が半導体基板121上に形成され、層間絶縁膜122上に保護膜125が塗布される。保護膜125は、例えば、アルカリ溶解性の膜である。
【0063】
次に、
図7Bに示すように、アレイウェハW2のエッジトリミングを行い、保護テープBTを貼り付け、バックグラインドを行う。これにより、半導体基板121が薄くなる。尚、保護テープBTは、バックグラインドのための保護テープである。
【0064】
次に、
図7Cに示すように、ダイシングテープDT1を貼り付け、保護テープBTを剥離し、保護膜125の剥離面を洗浄し、ダイシングを行う。これにより、アレイウェハW2が複数のアレイチップCH2に個片化される。
【0065】
次に、
図7Dに示すように、ダイシングテープDT2に転写し、保護膜125を貼り替え、接合前処理を行う。接合前処理は、アレイチップCH2を回路ウェハW1に接合するための前処理である。接合前処理は、例えば、N
2プラズマ処理および水洗処理を含む。
【0066】
次に、
図7Eに示すように、回路ウェハW1を準備する。例えば、半導体基板111上にトランジスタ113が形成される。
【0067】
次に、
図7Fに示すように、保護膜114を塗布し、レーザーグルービングにより個片化を行う。レーザーグルービングは、回路チップCH1のサイズに応じて行われる。
個片化は、ブレードダイシング、レーザによるステルスダイシングなど、他に手法で行ってもよい。
【0068】
次に、
図7Gに示すように、保護膜114を除去し、接合前処理を行い、回路ウェハW1上への複数のアレイチップCH2の接合およびアニールを行う。
図3および
図4に示す金属パッドBP1および金属パッドBP2同士が接合される。これにより、回路ウェハW1(回路チップCH1)とアレイチップCH2とが電気的に接続するように、回路ウェハW1へのアレイチップCH2の接合が行われる。アニールはフォーミングガス(たとえば水素と窒素を混合した還元性のガス)中で行ってもよい。
【0069】
図8は、第1実施形態による回路チップCH1およびアレイチップCH2のサイズの一例を示す図である。尚、ウェハに対するチップのサイズは、
図8に示す例に限られない。
【0070】
図8に示すように、アレイチップCH2の面積は、回路チップCH1の面積よりも小さい。従って、
図7Gに示すように、回路チップCH1(回路ウェハW1)上に、アレイチップCH2が設けられる第1領域R1、および、アレイチップCH2が設けられない第2領域R2が存在する。
【0071】
次に、
図7Hに示すように、回路ウェハW1およびアレイチップCH2上に部材115を形成し、部材115のベベル研磨を行う。部材115は、エポキシ樹脂等の樹脂である。
【0072】
次に、
図7Iに示すように、バックグラインディングを行い、デガスアニールを行う。これにより、部材115の上面の高さは、アレイチップCH2の半導体基板121の上面の高さと略同じになる。尚、バックグラインディングは、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により行われる。
【0073】
【0074】
次に、
図7Jに示すように、半導体基板121に凹部1211を形成する。すなわち、アレイチップCH2の上面側に設けられた半導体基板121に、半導体基板121の上面から下面まで貫通する凹部1211を形成する。これにより、コンタクトプラグC2の上端が露出される。凹部1211は、例えば、リソグラフィおよびRIE(Reactive Ion Etching)により形成される。
【0075】
次に、
図7Kに示すように、絶縁膜124を形成する。絶縁膜124は、例えば、凹部1211の側面および半導体基板121上に形成される。絶縁膜124は、例えば、リソグラフィおよびキュアにより形成される。絶縁膜124は凹部1211において開口を有する。
【0076】
次に、
図7Lに示すように、バリアメタル(図示せず)を形成し、金属部材131、132を形成する。
これにより、アレイチップCH2の上面に金属パッドWPが形成される。より詳細には、凹部1211の底面から半導体基板121の上方まで延伸する配線と一体に構成され、半導体基板121の上方に設けられる金属パッドWPが形成される。バリアメタルは、金属部材131、132の下に設けられ、例えば、チタン(Ti)を含む。バリアメタルおよび金属部材131、132は、例えば、リソグラフィおよびスパッタ法により形成される。より詳細には、バリアメタル、金属部材131,132を表面全面にスパッタ法等で形成し、その後フォトリソ法によりレジスト116をパターン形成し、レジスト116をマスクにしてエッチングにより形成する。
【0077】
次に、
図7Mに示すように、レジスト116を剥離し、UBM(Under Bump Metal)めっき(図示せず)を形成し、ダイシングを行う。これにより、回路ウェハW1が複数の回路チップCH1(半導体チップ30~33)の個片化される。UBMめっきは、例えば、ウェットめっきにより形成される。また、部材115がダイシングされることにより、
図3に示すスペーサ101が形成される。
【0078】
その後、
図7Mに示す工程おいて形成された半導体チップ30~33を配線基板10上に搭載し、パッケージ組み立て工程を行う。これにより、
図1~
図3に示す半導体装置1が完成する。
【0079】
尚、回路ウェハW1を回路チップCH1(半導体チップ30~33)に個片化する前に、金属パッドWPに配線を接続し、各半導体チップ30~33の電気特性を計測してもよい。これにより、チップ選別を行うことができる。従って、金属パッドWPは、半導体チップ20~33に個片化する前のウェハの状態におけるプローブ端子としても機能する。
【0080】
以上のように、第1実施形態によれば、アレイチップCH2の面積は、回路チップCH1の面積よりも小さい。アレイチップCH2は、アレイチップCH2の上面に設けられる金属パッドWPを有する。これにより、
図8に示すように、メモリセルアレイ123の微細化に伴うアレイウェハW2上の無駄を抑制することができる。すなわち、アレイウェハW2に、より多くのアレイチップCH2を形成することができる。
【0081】
(比較例)
図9は、比較例による半導体装置1aの構成の一例を示す断面図である。比較例は、アレイチップCH2の面積が回路チップCH1の面積と略同じである点で、第1実施形態とは異なっている。
【0082】
図10は、比較例による回路チップCH1およびアレイチップCH2のサイズの一例を示す図である。
【0083】
図10に示すように、アレイチップCH2の面積は、回路チップCH1の面積と略同じである。比較例では、回路ウェハW1およびアレイウェハW2を貼合し、貼合ウェハを個片化することにより、半導体チップ30~33が形成される。しかし、メモリセルアレイ123の微細化に伴って、アレイチップCH2の素子面積と回路チップCH1の素子面積との間のミスマッチが大きくなる。この場合、
図9および
図10に示すように、メモリセルアレイ123の素子面積が小さくなるほど、領域WAの面積が増大してしまう。領域WAは、アレイチップCH2においてメモリセルアレイ123が設けられない、無駄な領域である。
【0084】
これに対して、第1実施形態では、
図7Gに示すように、複数のアレイチップCH2が回路ウェハW1に接合される。
図8に示すように、アレイウェハW2上の無駄な領域WAを設けることなく、メモリセルアレイ123が形成される。これにより、無駄な領域WAを抑制することができ、より多くのアレイチップCH2をアレイウェハW2に形成することができる。
【0085】
また、
図3に示すように、回路チップCH1とアレイチップCH2との間の面積差により生じる空域(段差)を埋めるように、スペーサ101が設けられている。これにより、チップ傾き等の組み立て時のリスクを抑制することができる。すなわち、アレイチップCH2の上面の面積を大きくすることができ、半導体チップ30~33の積層(ダイボンディング)をより適切に行うことができる。
【0086】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す断面図である。第2実施形態は、スペーサ101が設けられない点で、第1実施形態とは異なっている。
【0087】
第2実施形態のように、スペーサ101が設けられなくてもよい。第2実施形態による半導体装置1は、第1実施形態と同様にアレイウェハW2に、より多くのアレイチップCH2を形成することができる。
【0088】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態による半導体チップ30~33の構成の一例を示す断面図である。尚、
図12は、一例として半導体チップ31を示している。第3実施形態では、第1実施形態と比較して、スペーサ101の構成が異なっている。
【0089】
スペーサ101は、スペーサチップ102と、接着層103と、部材104と、を有する。
【0090】
スペーサチップ(ダミーチップ)102の上面は、アレイチップCH2の上面と略平行である。
【0091】
接着層103は、回路チップCH1と、スペーサチップ102と、の間に設けられる。接着層103は、例えば、DAF(Die Attach Film)である。
【0092】
部材104は、スペーサチップ102の周囲に設けられる。部材104は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂を含む。
【0093】
スペーサチップ102は、例えば、シリコン(Si)を含む。しかし、これに限られず、樹脂等であってもよい。スペーサチップ102は、例えば、部材104よりも堅い材料を含むことが好ましい。これにより、スペーサ101の上に積層される半導体チップ30~33をより適切に支持することができる。また、スペーサチップ102は、部材104よりも熱膨張係数が低い材料を含むことが好ましい。これにより、スペーサ101の高さを調整しやすくすることができる。この結果、スペーサ101の上に積層される半導体チップ30~33をより適切に支持することができる。
【0094】
第3実施形態のように、スペーサ101の構成が変更されてもよい。第3実施形態による半導体装置1は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態による半導体チップ30~33の構成の一例を示す断面図である。尚、
図13は、一例として半導体チップ31を示している。第4実施形態は、接着層103に代えて、絶縁膜105が設けられる点で、第3実施形態とは異なっている。
【0096】
スペーサ101は、絶縁膜105を有する。絶縁膜105は、回路チップCH1と、スペーサチップ102と、の間において、回路チップCH1の上面に設けられる層間絶縁膜112と接するように設けられる絶縁膜105をさらに有する。絶縁膜105および層間絶縁膜112は、例えば、TEOS(Tetra-ethoxy silane)である。絶縁膜105および層間絶縁膜112は、表面(界面)のOH基を利用して、互いに直接接合されている。これにより、スペーサチップ102は、回路チップCH1に接着される。
【0097】
第4実施形態のように、接着層103に代えて、絶縁膜105が設けられてもよい。第4実施形態による半導体装置1は、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
他の実施形態
(a)上記実施形態では、半導体チップ30~33のアレイチップCH2は複数のメモリセルを三次元配置した立体型メモリセルアレイを含む。これに代えて、アレイチップCH2は二次元のメモリセルアレイや、イメージセンサ等でもよい。また、NAND型フラッシュメモリではなく、DRAMやSRAM等の他のメモリ素子でもよい。アレイチップCH2はCMOS回路素子等であってもよい。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
1 半導体装置、10 配線基板、11 配線層、30~33 半導体チップ、90 ボンディングワイヤ、101 スペーサ、102 スペーサチップ、103 接着層、104 部材、105 絶縁膜、112 層間絶縁膜、113 トランジスタ、121 半導体基板、1211 凹部、123 メモリセルアレイ、124 絶縁膜、CH1 回路チップ、CH2 アレイチップ、W1 回路ウェハ、W2 アレイウェハ、S 接合面、WP 金属パッド、BP2 金属パッド、C2 コンタクトプラグ、R1 第1領域、R2 第2領域