(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118880
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】電力供給装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240826BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240826BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20240826BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20240826BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20240826BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J50/10
H02J50/80
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
B60L53/12
B60M7/00 X
B60L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025445
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】大泉 朋久
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BB02
5G503CC09
5G503DA13
5G503DB01
5G503FA06
5G503GB08
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC07
5H105CC19
5H105DD10
5H105EE15
5H105GG03
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125BE02
5H125EE51
5H125FF16
(57)【要約】
【課題】電力供給装置を提供する。
【解決手段】電力供給装置は、移動体の駆動エネルギー源の一部又は全部を蓄電する駆動用バッテリに対し、外部電力源に接続される送電コイルから受電した電力を前記駆動用バッテリへ供給する電力供給装置において、前記駆動用バッテリから給電される電力を受ける受電部と、前記受電部への受電を開閉する電力開閉部と、前記電力開閉部を制御する制御部と、電力を受電する受電コイルから前記駆動用バッテリへ接続される電力線に並列に接続され、前記受電コイルにおける電流の有無に応じて前記電力開閉部を閉路とする起動回路とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の駆動エネルギー源の一部又は全部を蓄電する駆動用バッテリに対し、外部電力源に接続される送電コイルから受電した電力を前記駆動用バッテリへ供給する電力供給装置において、
前記駆動用バッテリから給電される電力を受ける受電部と、
前記受電部への受電を開閉する電力開閉部と、
前記電力開閉部を制御する制御部と、
電力を受電する受電コイルから前記駆動用バッテリへ接続される電力線に並列に接続され、前記受電コイルにおける電流の有無に応じて前記電力開閉部を閉路とする起動回路と
を備える電力供給装置。
【請求項2】
前記起動回路は、前記送電コイルから出力されている電波を前記受電コイルにて受信している間、前記電力開閉部を閉路とする
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記起動回路は、前記受電コイルが前記送電コイルに対する対向位置から離脱した場合に、前記電力開閉部を開路とする
請求項2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記起動回路は、
前記受電コイルに接続される整流平滑回路と、
該整流平滑回路から出力された電圧によってONとなるフォトカプラと
を含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記駆動用バッテリへの電力供給が開始された後に、前記電力供給が停止した場合であっても、前記起動回路により前記電力開閉部が閉路となっている間は待機状態を維持する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に搭載された駆動用バッテリと給電装置との間で電力の授受を行なう電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車が普及し始めている。電気自動車である車両は、大容量のリチウムイオン電池である駆動用バッテリを備え、駆動用バッテリに蓄積された電力で走行用のモータを駆動する。駆動用バッテリへの給電は、有線による方法に加え、無線による方法も実現されている。有線による給電は、ユーザが、車両に設けられたコネクタへ、送電装置から延びるケーブルに設けられたプラグを差し込んだ上で、スイッチ等に対して給電開始の操作が行なわれることで開始される。これに対し、ワイヤレス給電では、それらの操作なしで、車両が所定の範囲に駐車されたことを検知して自動的に開始する制御が可能であるという利点がある。車両が無人搬送車である場合、ユーザの操作なしで給電が開始可能な利点を生かしたシステムが実現されている。
【0003】
ワイヤレス給電で自動的に給電を開始させる制御を実施する場合、受電コイルを備える車両が所定の給電可能な位置に存在するか、その車両は給電対象であるか否か、といった確認処理が実行される。このため、車両に搭載され、給電装置からの無線電力を受電してバッテリへ供給する電力供給装置が、給電装置から発せられる確認用の電波へ応答し、電力の授受が必要且つ可能な車両であることを相互に確認する処理が行なわれる。この際、車両側の電力供給装置は、駐車のためにイグニッションがオフとなったとしても、給電装置からの電波に対して応答できるように起動するため、駆動用バッテリ又は補助バッテリに必要な電力が残って必要があった。これに対し、特許文献1には、駆動用バッテリ又は補助バッテリのバッテリ残量がほぼゼロであっても、コールドスタートによって給電を開始できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイヤレス給電では、特許文献1に示すように、車両側の電力供給装置の電力源について考慮しつつ、電力供給装置が適切なタイミングでON状態であることが必要である。
【0006】
本発明は、ON状態を適切に維持する電力供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態の電力供給装置は、移動体の駆動エネルギー源の一部又は全部を蓄電する駆動用バッテリに対し、外部電力源に接続される送電コイルから受電した電力を前記駆動用バッテリへ供給する電力供給装置において、前記駆動用バッテリから給電される電力を受ける受電部と、前記受電部への受電を開閉する電力開閉部と、前記電力開閉部を制御する制御部と、電力を受電する受電コイルから前記駆動用バッテリへ接続される電力線に並列に接続され、前記受電コイルにおける電流の有無に応じて前記電力開閉部を閉路とする起動回路とを備える。
【0008】
本開示の一実施形態の電力供給装置では、受電コイルに電流が流れている限り、駆動用バッテリから電力の供給を受ける受電部への受電を開閉する電力開閉部(スイッチ)がON状態となる。受電コイルに電流が流れることを維持するために、送電装置から微小な電波を出力させておけばよく、これにより、送電コイルと受電コイルとが対向している間は、電力供給装置は、待機状態を保持できる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、送電コイルと受電コイルとが対向位置を保持している間は、充電の再開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態のワイヤレス給電システムの概要図である。
【
図2】電力供給装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】制御回路における詳細な回路構成を示す図である。
【
図5】電力供給装置による制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の電力供給装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本開示の電力供給装置を含むワイヤレス給電システムについて説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のワイヤレス給電システム200の概要図である。ワイヤレス給電システム200は、送電装置3と、車両Vに搭載され、送電装置3からの電力を駆動用バッテリ20向けに調節し、適切な電力に変換してから供給する電力供給装置1とを含む。
【0013】
車両Vは、リチウムイオン電池等の駆動用バッテリ20に蓄積された電力でモータを駆動することにより走行する電気自動車である。駆動用バッテリ20は、蓄積された電力を車両Vの駆動モータ(図示せず)へ供給し、電力によってモータ即ち車両Vの車輪を回転駆動させ、車両Vを走行させる電力源である。車両Vは、走行用のモータと、燃料の燃焼により動力を発生させるエンジンとの両方を搭載した、いわゆるハイブリッド型の電気自動車であってもよい。
【0014】
電力供給装置1は、車両Vに搭載されている。電力供給装置1は、車両Vの底部に設けられた受電コイル11を含み、受電コイル11にて送電装置3から電力を受信し、駆動用バッテリ20用に変換して駆動用バッテリ20へ供給する。受電コイル11は、車両Vの側部に設けられていてもよい。電力供給装置1は、無線通信により送電装置3と通信可能であり、送電装置3と通信接続して相互を確認すると、受電処理及び駆動用バッテリへの出力処理を開始する。
【0015】
送電装置3は、車両Vが駐車する駐車エリアの奥側に設置されている。送電装置3は、駐車エリアの地面、床面、又は路面等の上に設置された送電コイル31と接続されている。送電コイル31は、地面、床面等に埋設されていてもよい。送電装置3は、送電コイル31からの送電を制御する。送電コイル31は、駐車エリアの側方に、地面、床面、又は路面等に立設され、車両Vの側部に設けられた受電コイル11に対向可能であってもよい。
【0016】
ワイヤレス給電は、
図1に示すように、送電コイル31と受電コイル11とが、地面近くの高さで対向している状態で実行される。送電コイル31と受電コイル11との間には隙間があり、この隙間に、動物や人、飛来した物体等の障害物が入り込むことを100%回避することは難しい。障害物が入ったことを検知した場合、送電装置3は、安全のために電力の授受を停止する。一方で、車両V側の電力供給装置1は、送電装置3からの送電が停止した場合には、通信を停止し、OFF状態へ遷移する。駆動用バッテリ20、又は、図示しない補助バッテリから、常時電力の供給を受けると、バッテリ上がりを招くためである。しかしながら、一旦OFF状態へ遷移した電力供給装置1は、送電装置が電力の授受を再開しようとしたとしても、通信も停止しているために起動が困難である。そこで本実施形態におけるワイヤレス給電システム200は、電力供給装置1及び送電装置3に、障害物検知等によって一旦電力の授受が停止、即ち中断がされた場合には再開が可能な構成を採用する。具体的には、電力供給装置1は、受電コイル11が送電コイル31と対向した位置関係を保っている間は、ON状態を維持する。以下、このON状態を維持するための電力供給装置1の構成について説明する。
【0017】
図2は、電力供給装置1の構成を示すブロック図である。電力供給装置1は、受電コイル11、整流平滑回路12、キャパシタ13、及び制御回路10を備える。
【0018】
整流平滑回路12は、受電コイル11で受電できた交流電力を、直流電力へ変換して出力する。整流平滑回路12は、受電する交流電力を直流電力へ変換し整流する整流回路と、直流電力に含まれる脈流を平滑化する平滑化回路を組み合わせた回路である。
【0019】
キャパシタ13は、整流平滑回路12の出力端に接続されている。キャパシタ13は、整流平滑回路12を介して得られる受電コイル11で受信した電力を蓄電する。
【0020】
制御回路10は、駆動用バッテリ20への出力端子に接続されており、電力供給装置1から駆動用バッテリ20へ電力のON/OFFを制御する。なお、キャパシタ13と駆動用バッテリ20との間にコンバータを設け、制御回路10はコンバータの出力を制御する構成としてもよい。電力供給装置1が直流電力を駆動用バッテリ20へ直接出力せず、駆動用バッテリ20への充電を制御する車載充電器のAC/DCコンバータへ出力する必要がある場合、キャパシタ13と駆動用バッテリ20との間にDC/ACコンバータが設けられる。
【0021】
図3は、制御回路10における詳細な回路構成を示す図である。制御回路10は、プロセッサ100、メモリ101、通信回路102、受電部103、及び起動回路104を含む。プロセッサ100、メモリ101、通信回路102及び受電部103は、1つの基板上に集積されてマイクロコントローラとして構成されてよいし、各々の構成部として実装されてもよい。
【0022】
プロセッサ100は、受電部103を介して供給される電力により起動し、メモリ101に記憶してあるプログラムP1を読み出して実行して制御処理を実現する。プロセッサ100からの出力により、出力端子からの電力のON/OFFが制御される。なおプロセッサ100は、車両Vに搭載された図示しない車載装置からパラメータを示すデータ信号を入力して制御に利用する構成としてもよい。
【0023】
メモリ101は、不揮発性メモリを用いる。メモリ101にはプログラム(プログラムプロダクト)P1が記憶されている。プログラムP1は、電力供給装置1の製造時にメモリに組み込まれている。プログラムP1は、コンピュータ(プロセッサ)により読み取り可能な記録媒体に記録されているものを、プロセッサ100が読み取ってメモリ101に記憶したものであってもよい。
【0024】
通信回路102は、送電コイルを有する送電装置との無線通信を実現する。通信回路102は、例えば赤外線(IrDA:Infrared Data Association)により通信する。通信回路102は、Bluetooth(登録商標)により通信してもよい。
【0025】
受電部103は、駆動用バッテリ20に補助バッテリ及び起動回路104を介して接続され、駆動用バッテリ20からの電圧電力(例えば12V)の供給を受けて制御回路10に実装されている各構成部に所定電圧の電力を分配し、作動させる。
【0026】
起動回路104は、受電コイル11にて送電コイル31から発せられる微小電波を受信できるか否かに応じて、駆動用バッテリ20から受電部103への所定電力の出力を制御するための回路である。起動回路104は、プロセッサ100からの保持信号と、受電コイル11における微小電波の受信状態とがいずれもONである場合に、駆動用バッテリ20から受電部103への電力の供給がONとなるスイッチを含む。
【0027】
図4は、起動回路104の構成を示す図である。起動回路104は、受電コイル11から駆動用バッテリ20への電力線PLに並列に接続される。起動回路104は、電力線PLからそれぞれ分岐した電力線DPLに対する整流平滑回路41と、整流平滑回路41の出力に接続されるフォトカプラ42とを含む。起動回路104において、駆動用バッテリ20に接続される電力線PLと、受電部103との間には、MOSスイッチ44が設けられ、このMOSスイッチ44は、フォトカプラ42の出力によってON/OFFが切り替わる。つまり、受電コイル11にて微小電波を受信している間、駆動用バッテリ2から受電部103への電力供給が維持される。また、プロセッサ100は、MOSスイッチ44のゲートへ信号を入力できるように、MOSスイッチ44に接続されている。これにより、受電コイル11にて受信した微小電波によって起動したプロセッサ100自身が、受電部103への電力供給のON/OFFを制御できる。
【0028】
図4に示すような起動回路104により、車両Vが駐車エリアに進入して停車し、受電コイル11が、送電コイル31と対向すると、送電コイル31から常時発信されている微小電波によって受電コイル11に微小電力が起こる。これにより、起動回路104によって、制御回路10の受電部103に電力が供給され、プロセッサ100からの制御を加えて制御回路10がON状態に維持される。また、フォトカプラ42を利用することから、電力の供給が開始されて受電コイル11に大きな電流が発生した場合であっても、制御回路10とは電気的な接続がされないので安全である。
【0029】
図5は、電力供給装置1による制御処理手順の一例を示すフローチャートである。制御回路10のプロセッサ100は、受電コイル11で受信した微小電力に基づき駆動用バッテリ20から補助バッテリを介して電力の供給を受けて起動すると、自身のONを維持する信号を起動回路104へ出力する(ステップS101)。
【0030】
プロセッサ100は、待機カウント(所定期間の待機)をリセットし(ステップS102)、通信回路102によって、送電装置3との間で通信が可能であるか否かを判断する(ステップS103)。通信が可能でないと判断された場合(S103:NO)、プロセッサ100は、待機カウントが所定のタイムアウト値以上となったか否かを判断する(ステップS104)。待機カウントが所定のタイムアウト値未満であると判断された場合(S104:NO)、プロセッサ100は、処理をステップS103へ戻す。
【0031】
待機カウントが所定のタイムアウト値以上となったと判断された場合(S104:YES)、プロセッサ100は、自身のONを維持する信号の出力を停止する(ステップS105)。この場合、送電装置3との通信ができないことにより、ワイヤレス給電は停止し、電力供給装置1は動作を停止し、初期状態に戻る。これにより、送電装置3の通信回路の故障等により、通信ができない状態で車両Vの電力供給装置1への通電が続くことを回避し、補助バッテリのバッテリ上がりを防止できる。
【0032】
初期状態に戻った電力供給装置1は、送電装置3の送電コイル31からの微小電波により、起動回路104にて起動が可能である。しかしながら、一旦通信不可と判断されたことにより動作を停止した場合には、再起動を繰り返さないように、プロセッサ100は、次にイグニッションスイッチがONとなるまでは、起動しないように自身のONを維持する信号を出力しない。
【0033】
ステップS103にて通信が可能であると判断された場合(S103:YES)、プロセッサ100は、待機カウントをリセットする(ステップS106)。プロセッサ100は、駆動用バッテリ20が、充電が必要な状態であるか否かを判断する(ステップS107)。ステップS107においてプロセッサ100は、所定の電圧値よりも駆動用バッテリ20の電池電圧値が小さい場合、充電が必要であると判断し、所定の電圧値以上であると判断された場合、駆動用バッテリ20を満充電状態であって充電が不要と判断する。駆動用バッテリ20の電圧値についてプロセッサ100は、キャパシタ13をモニタして判断できる。
【0034】
充電が必要であると判断された場合(S107:YES)、プロセッサ100は、キャパシタ13からの電流を検知することにより、充電中であるか否かを判断する(ステップS108)。充電中でないと判断された場合(S108:NO)、プロセッサ100は、待機状態へ遷移し、起動回路104がOFF、即ちフォトカプラ42がOFFであるか否かを判断する(ステップS109)。起動回路104がOFFでないと判断された場合(S109:NO)、プロセッサ100は処理をステップS107へ戻す。この間、送電装置3の送電コイル31から常時的に微小電波が発せられ、フォトカプラ42がONである限り、制御回路10は受電部103により電力の供給を受けて動作を継続する。これにより、送電コイル31と受電コイル11との間に、障害物が一時的に通過した場合などに、送電装置3からの送電が中断しても、再開が可能である。なお、特定の期間以上、満充電ではないのにも関わらず非充電状態である状態が続いた場合には、プロセッサ100は、通信が可能でないと判断された場合と同様の処理によって、初期状態に戻ってよい。
【0035】
起動回路104がONのままであり、待機状態へ遷移したプロセッサ100は、通信回路102による通信を停止するなどして消費電力を極力抑えた状態で、処理をステップS108へ戻し、充電が再開されるまで、送電装置3からの微小電力によってON状態を維持する。通信を停止しなくてもよい。
【0036】
ステップS108で充電中であると判断された場合(S108:YES)、プロセッサ100は、処理をステップS107へ戻す。
【0037】
ステップS107にて、充電が不要である、例えば満充電状態であると判断された場合も(S107:NO)、プロセッサ100は、処理をステップS109に戻し、起動回路104がONである間、待機状態となる。満充電状態を検知したことを契機に、プロセッサ100は、補助バッテリを介した駆動用バッテリ20からの給電が停止するように、MOSスイッチ44への信号を停止し、電力供給装置1の動作を停止させてもよいが、時間の経過により放電されて充電が必要になった時点で、充電を再開するために、送電装置3からの微小電力によってON状態を維持し続ける。
【0038】
ステップS109にて、起動回路104がOFFであると判断された場合(S109:YES)、プロセッサ100は、自身のONを維持する信号の出力を停止する(S105)。起動回路104がOFFとなったのは、送電コイル31と受電コイル11とが対向位置から大きくずれた、即ち、車両Vが駐車エリアから離脱したことによる。このとき電力供給装置1は、動作を停止してよい。
【0039】
このように、本開示の電力供給装置1は、送電コイル31と受電コイル11とが対向した位置にある限り、途中で障害物の通過などで給電が停止したとしても、起動回路104により、すぐに給電を再開できる。充電が必要な状態である(満充電状態でない)にもかかわらず、充電が中断又は停止された場合には待機状態となり、通信を停止するなどの省電力状態となることによって、駆動用バッテリ20(補助バッテリ)における無用な電力消費を回避することも可能である。
【0040】
上述の電力供給装置1は、給電対象を車両Vとした。しかしながら、送電コイル31と受電コイル11とを対向させて給電を実施する対象であれば、バッテリ駆動のドローン、船舶であってもよい。送電コイル31を複数路面に並設させて路上を走行する車両Vの駆動用バッテリ20に給電する走行中給電にも適用可能である。
【0041】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0042】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項が記載されている。特許請求の範囲では、多項従属請求項に従属する多項従属請求項は記載されていないが、多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 電力供給装置
10 制御回路(制御部)
100 プロセッサ(制御部)
103 受電部
104 起動回路
42 フォトカプラ
44 MOSスイッチ(電力開閉部)