(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118885
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】クラッチ装置
(51)【国際特許分類】
F16D 13/52 20060101AFI20240826BHJP
F16D 13/74 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
F16D13/52 C
F16D13/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025452
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】小林 佑樹
【テーマコード(参考)】
3J056
【Fターム(参考)】
3J056AA33
3J056AA38
3J056AA60
3J056BE17
3J056BE23
3J056CA07
3J056CC03
3J056CC13
3J056CC42
3J056GA02
3J056GA13
(57)【要約】
【課題】第1プレッシャ部材と第2プレッシャ部材との摺動部分にクラッチオイルを供給すること。
【解決手段】クラッチ装置10は、クラッチセンタ40とプレッシャ部材70とを備え、プレッシャ部材70は、筒状に形成された第1プレッシャ部材71と、第1プレッシャ部材71に外嵌する第2プレッシャ部材81と、径方向に関して、第1プレッシャ部材71のうちクラッチセンタ40に隣接する開口端部71Tの外周面75と外周面75に外嵌する第2プレッシャ部材81の内周面85との間に形成された空隙部95と、を備え、第1プレッシャ部材71の開口端部71Tには、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを、空隙部95に導くことが可能な第1切り欠き71Hが形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸の回転駆動力を出力軸に伝達または遮断するクラッチ装置であって、
前記入力軸の回転駆動によって回転駆動する複数の入力側回転板を保持するクラッチハウジングに収容され、かつ、前記入力側回転板と交互に配置された複数の出力側回転板を保持し、かつ、前記出力軸と共に回転駆動するクラッチセンタと、
前記クラッチセンタに対して接近または離隔可能かつ相対回転可能に設けられ、前記入力側回転板および前記出力側回転板を押圧可能なプレッシャ部材と、を備え、
前記プレッシャ部材は、
筒状に形成された第1プレッシャ部材と、
前記第1プレッシャ部材に外嵌する第2プレッシャ部材と、
前記出力軸の径方向に関して、前記第1プレッシャ部材のうち前記クラッチセンタに隣接する開口端部の外周面と前記外周面に外嵌する前記第2プレッシャ部材の内周面との間に形成された空隙部と、を備え、
前記第1プレッシャ部材の前記開口端部、または、前記クラッチセンタのうち前記第1プレッシャ部材の前記開口端部に隣接する部分には、前記第1プレッシャ部材内のクラッチオイルを、前記空隙部に導くことが可能な第1オイル通路が形成されている、クラッチ装置。
【請求項2】
前記第1オイル通路は、前記第1プレッシャ部材の前記開口端部に形成された切り欠きまたは貫通孔によって構成されている、請求項1に記載のクラッチ装置。
【請求項3】
前記第1オイル通路は、前記開口端部の周方向に複数設けられている、請求項2に記載のクラッチ装置。
【請求項4】
前記第2プレッシャ部材は、前記空隙部に導かれたクラッチオイルを前記第2プレッシャ部材の外部に導くことが可能な第2オイル通路を有する、請求項1に記載のクラッチ装置。
【請求項5】
前記第2プレッシャ部材は、前記内周面を含む筒状に形成された区画壁を有し、
前記第2オイル通路は、前記区画壁の一部に形成された切り欠きまたは貫通孔によって構成されている、請求項4に記載のクラッチ装置。
【請求項6】
前記第2オイル通路は、前記区画壁の周方向に複数設けられている、請求項5に記載のクラッチ装置。
【請求項7】
前記第1オイル通路は、前記第1プレッシャ部材の前記開口端部に形成された切り欠きまたは貫通孔によって構成され、
前記第1オイル通路の少なくとも一部は、前記出力軸の径方向から見たときに、前記第2オイル通路と重なる、請求項5または6に記載のクラッチ装置。
【請求項8】
前記第1オイル通路は、前記第1プレッシャ部材の前記開口端部に形成された切り欠きまたは貫通孔によって構成され、
前記第1プレッシャ部材および前記第2プレッシャ部材は、周方向に関して互いに相対回転可能に構成され、
前記第1プレッシャ部材および前記第2プレッシャ部材が相対回転したときに、前記第1オイル通路と前記第2オイル通路とは前記出力軸の径方向から見て重なる、請求項5または6に記載のクラッチ装置。
【請求項9】
前記プレッシャ部材を前記クラッチセンタに向けて付勢するクラッチスプリングを有し、
前記第2プレッシャ部材は、
前記内周面を含む筒状に形成された区画壁と、
前記区画壁よりも前記径方向の外側に位置し、かつ、前記クラッチスプリングを収容する収容部と、を備え、
前記第2オイル通路は、前記区画壁の一部に形成された切り欠きまたは貫通孔によって構成され、かつ、前記空隙部と前記収容部とを連通する、請求項4に記載のクラッチ装置。
【請求項10】
前記プレッシャ部材が前記クラッチセンタに接近する方向を第1の方向、前記プレッシャ部材が前記クラッチセンタから離隔する方向を第2の方向としたとき、前記第1オイル通路は、前記クラッチセンタの前記第2の方向側の面から前記第1の方向に凹む凹部により構成され、
前記凹部は、前記開口端部の前記第1の方向側に位置する、請求項1または2に記載のクラッチ装置。
【請求項11】
前記クラッチセンタは、前記出力軸を保持する出力軸保持部を備え、
前記第1プレッシャ部材は、前記出力軸保持部に外嵌するように構成されている、請求項1または2に記載のクラッチ装置。
【請求項12】
前記プレッシャ部材が前記クラッチセンタに接近する方向を第1の方向、前記プレッシャ部材が前記クラッチセンタから離隔する方向を第2の方向としたとき、前記空隙部は、前記第1の方向および前記第2の方向に開口し、
前記開口端部は、前記空隙部の前記第1の方向側に位置する、請求項1または2に記載のクラッチ装置。
【請求項13】
前記第1プレッシャ部材を前記第1の方向に付勢する皿ばねを備え、
前記皿ばねの内周端部は、前記第1プレッシャ部材に係止し、
前記プレッシャ部材は、
前記第1プレッシャ部材と前記第2プレッシャ部材との間に形成され、かつ、前記空隙部の前記第2の方向の開口端部と連通し、かつ、前記空隙部から流出したクラッチオイルを前記皿ばねに供給するオイル供給路を備えている、請求項12に記載のクラッチ装置。
【請求項14】
前記第1プレッシャ部材は、前記径方向に延びる第1壁面を有し、
前記第2プレッシャ部材は、前記径方向に延び、かつ、前記第1壁面に対向し、かつ、前記第1壁面と接触可能に設けられた第2壁面を有し、
前記プレッシャ部材は、
前記第1壁面と前記第2壁面との間に形成され、かつ、前記空隙部の前記第2の方向の開口端部と連通するオイル供給路を備えている、請求項12に記載のクラッチ装置。
【請求項15】
入力軸の回転駆動力を出力軸に伝達または遮断するクラッチ装置であって、
前記入力軸の回転駆動によって回転駆動する複数の入力側回転板を保持するクラッチハウジングに収容され、かつ、前記入力側回転板と交互に配置された複数の出力側回転板を保持し、かつ、前記出力軸と共に回転駆動するクラッチセンタと、
前記クラッチセンタに対して接近または離隔可能かつ相対回転可能に設けられ、前記入力側回転板および前記出力側回転板を押圧可能なプレッシャ部材と、を備え、
前記プレッシャ部材は、
筒状に形成された第1プレッシャ部材と、
前記第1プレッシャ部材に外嵌する第2プレッシャ部材と、を備え、
前記第1プレッシャ部材および前記第2プレッシャ部材は、周方向に関して互いに相対回転可能に構成され、
前記第1プレッシャ部材のうち前記クラッチセンタに隣接する開口端部には、前記第1プレッシャ部材内のクラッチオイルを、前記第1プレッシャ部材の外部に導くことが可能な第1オイル通路が形成され、
前記第2プレッシャ部材のうち前記第1プレッシャ部材の前記開口端部の前記出力軸の径方向の外側に位置する部分には、クラッチオイルを前記第2プレッシャ部材の外部に導くことが可能な第2オイル通路が形成され、
前記第1プレッシャ部材および前記第2プレッシャ部材が周方向に関して相対回転したときに、前記第1オイル通路と前記第2オイル通路とは前記出力軸の径方向から見て重なる、クラッチ装置。
【請求項16】
前記第1オイル通路は、前記開口端部の周方向に複数設けられている、請求項15に記載のクラッチ装置。
【請求項17】
前記第2オイル通路は、前記第2プレッシャ部材の周方向に複数設けられている、請求項15または16に記載のクラッチ装置。
【請求項18】
前記クラッチセンタは、前記出力軸を保持する出力軸保持部を備え、
前記第1プレッシャ部材は、前記出力軸保持部に外嵌するように構成されている、請求項15または16に記載のクラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の鞍乗型車両は、エンジン等の動力源の回転駆動力を駆動輪に伝達および遮断可能なクラッチ装置を備えている。例えば、特許文献1には、エンジン側に連結された入力部材(以下入力軸とする)と、駆動輪側に連結された出力部材(以下出力軸とする)と、出力軸に連結されたクラッチ部材(以下クラッチセンタとする)と、クラッチセンタに対して近接又は離隔可能なプレッシャ部材とを有するクラッチ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたプレッシャ部材は、径方向の内側に位置するベアリング保持部材(以下第1プレッシャ部材とする)と、径方向の外側に位置するプレッシャ部材(以下第2プレッシャ部材とする)とに2分割されている。第1プレッシャ部材に対する第2プレッシャ部材の位置決めをするべく、第1プレッシャ部材の外周面と第2プレッシャ部材の内周面とは接触している。また、第1プレッシャ部材は第2プレッシャ部材に対して摺動するように構成されている。しかしながら、第1プレッシャ部材の外周面と第2プレッシャ部材の内周面との間に隙間がないため、第1プレッシャ部材と第2プレッシャ部材との間をクラッチオイルが流れることができず、第1プレッシャ部材および第2プレッシャ部材の摺動部分が摩耗してしまうという問題があった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1プレッシャ部材と第2プレッシャ部材との摺動部分にクラッチオイルを供給することができるクラッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るクラッチ装置は、入力軸の回転駆動力を出力軸に伝達または遮断するクラッチ装置であって、前記入力軸の回転駆動によって回転駆動する複数の入力側回転板を保持するクラッチハウジングに収容され、かつ、前記入力側回転板と交互に配置された複数の出力側回転板を保持し、かつ、前記出力軸と共に回転駆動するクラッチセンタと、前記クラッチセンタに対して接近または離隔可能かつ相対回転可能に設けられ、前記入力側回転板および前記出力側回転板を押圧可能なプレッシャ部材と、を備え、前記プレッシャ部材は、筒状に形成された第1プレッシャ部材と、前記第1プレッシャ部材に外嵌する第2プレッシャ部材と、前記出力軸の径方向に関して、前記第1プレッシャ部材のうち前記クラッチセンタに隣接する開口端部の外周面と前記外周面に外嵌する前記第2プレッシャ部材の内周面との間に形成された空隙部と、を備え、前記第1プレッシャ部材の前記開口端部、または、前記クラッチセンタのうち前記第1プレッシャ部材の前記開口端部に隣接する部分には、前記第1プレッシャ部材内のクラッチオイルを、前記空隙部に導くことが可能な第1オイル通路が形成されている。
【0007】
本発明に係るクラッチ装置によると、第1プレッシャ部材の開口端部、または、クラッチセンタのうち第1プレッシャ部材の開口端部に隣接する部分には、第1プレッシャ部材内のクラッチオイルを、空隙部に導くことが可能な第1オイル通路が形成されている。上記態様によれば、第1オイル通路を介して、第1プレッシャ部材内のクラッチオイルを空隙部に供給することができる。これにより、第1プレッシャ部材の外周面と第2プレッシャ部材の内周面とが互いに摺動して摩耗することを抑制することができる。
【0008】
また、本発明に係る他のクラッチ装置は、入力軸の回転駆動力を出力軸に伝達または遮断するクラッチ装置であって、前記入力軸の回転駆動によって回転駆動する複数の入力側回転板を保持するクラッチハウジングに収容され、かつ、前記入力側回転板と交互に配置された複数の出力側回転板を保持し、かつ、前記出力軸と共に回転駆動するクラッチセンタと、前記クラッチセンタに対して接近または離隔可能かつ相対回転可能に設けられ、前記入力側回転板および前記出力側回転板を押圧可能なプレッシャ部材と、を備え、前記プレッシャ部材は、筒状に形成された第1プレッシャ部材と、前記第1プレッシャ部材に外嵌する第2プレッシャ部材と、を備え、前記第1プレッシャ部材および前記第2プレッシャ部材は、周方向に関して互いに相対回転可能に構成され、前記第1プレッシャ部材のうち前記クラッチセンタに隣接する開口端部には、前記第1プレッシャ部材内のクラッチオイルを、前記第1プレッシャ部材の外部に導くことが可能な第1オイル通路が形成され、前記第2プレッシャ部材のうち前記第1プレッシャ部材の前記開口端部の前記出力軸の径方向の外側に位置する部分には、クラッチオイルを前記第2プレッシャ部材の外部に導くことが可能な第2オイル通路が形成され、前記第1プレッシャ部材および前記第2プレッシャ部材が周方向に関して相対回転したときに、前記第1オイル通路と前記第2オイル通路とは前記出力軸の径方向から見て重なる。
【0009】
本発明に係る他のクラッチ装置によると、第1プレッシャ部材および第2プレッシャ部材が相対回転したときに、第1オイル通路と第2オイル通路とは連通する。上記態様によれば、第1プレッシャ部材内のクラッチオイルを第1オイル通路および第2オイル通路を介して第2プレッシャ部材の外部に供給することができる。また、第1オイル通路を流れるクラッチオイルは、第1プレッシャ部材の外部、例えば、第1プレッシャ部材の外周面と第2プレッシャ部材の内周面との間に供給される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1プレッシャ部材と第2プレッシャ部材との摺動部分にクラッチオイルを供給することができるクラッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るクラッチ装置の断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るクラッチ装置の一部を拡大した拡大断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る第1クラッチセンタの斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る第1クラッチセンタの斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る第2クラッチセンタの斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る第2クラッチセンタの平面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係るプレッシャ部材の斜視図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る第1プレッシャ部材の斜視図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る第1プレッシャ部材の斜視図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係る第2プレッシャ部材の斜視図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係る第2プレッシャ部材の斜視図である。
【
図12A】
図12Aは、センタ側アシストカム面およびプレッシャ側アシストカム面の作用について説明する模式図である。
【
図12B】
図12Bは、センタ側スリッパーカム面およびプレッシャ側スリッパーカム面の作用について説明する模式図である。
【
図13】
図13は、一実施形態に係る遠心クラッチ機構の断面図である。
【
図14】
図14は、一実施形態に係る遠心クラッチ機構の一部を破断した斜視図である。
【
図15】
図15は、一実施形態に係るクラッチ装置の平面図である。
【
図16】
図16は、一実施形態に係るクラッチ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るクラッチ装置の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るクラッチ装置10の断面図である。クラッチ装置10は、例えば、自動二輪車等の鞍乗型車両に設けられている。クラッチ装置10は、例えば、自動二輪車の動力源であるエンジンの入力軸(クランクシャフト)の回転駆動力を出力軸15に伝達または遮断する装置である。クラッチ装置10は、出力軸15を介して入力軸の回転駆動力を駆動輪(後輪)に伝達または遮断するための装置である。クラッチ装置10は、エンジンと変速機との間に配置される。
【0014】
以下の説明では、クラッチ装置10のプレッシャ部材70がクラッチセンタ40に対して接近および離隔する方向を方向Dとし、プレッシャ部材70がクラッチセンタ40に接近する方向を第1の方向D1、プレッシャ部材70がクラッチセンタ40から離隔する方向を第2の方向D2とする。また、クラッチセンタ40およびプレッシャ部材70の周方向(即ち回転方向)を周方向Sとし、周方向Sに関して一方のセンタ側カム部60から他方のセンタ側カム部60に向かう方向(一方のプレッシャ側カム部90から他方のプレッシャ側カム部90に向かう方向)を第1の周方向S1(
図3参照)、他方のセンタ側カム部60から一方のセンタ側カム部60に向かう方向(他方のプレッシャ側カム部90から一方のプレッシャ側カム部90に向かう方向)を第2の周方向S2(
図3参照)とする。本実施形態では、出力軸15の軸線方向は、方向Dと同じ方向である。また、プレッシャ部材70およびクラッチセンタ40は、第1の周方向S1(即ち1つのセンタ側カム部60のセンタ側アシストカム面60Aからセンタ側スリッパーカム面60Sに向かう方向)に回転する。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、クラッチ装置10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0015】
図1に示すように、クラッチ装置10は、出力軸15と、複数の入力側回転板20と、複数の出力側回転板22と、クラッチハウジング30と、クラッチセンタ40と、プレッシャ部材70と、ストッパプレート100と、遠心クラッチ機構120と、補助クラッチ板150と、皿ばね180と、を備えている。
【0016】
図1に示すように、出力軸15は、中空状に形成された軸体である。出力軸15の一方側の端部は、ニードルベアリング28Aを介して後述する入力ギア35およびクラッチハウジング30を回転自在に支持する。出力軸15は、ナット28Bを介してクラッチセンタ40を固定的に支持する。即ち、出力軸15は、クラッチセンタ40と一体的に回転する。出力軸15の他方側の端部は、例えば、自動二輪車の変速機(図示せず)に連結されている。
【0017】
図1に示すように、出力軸15は、方向Dに延びる本体部15Aを備えている。本体部15Aは、その内部にクラッチオイルが流通するオイル流路15Hを有する。オイル流路15Hは、後述するプッシュロッド16Aに外嵌するスリーブ16Cと、本体部15Aとの間に形成されている。クラッチオイルは、出力軸15内、即ち本体部15Aのオイル流路15H内を流通する。
【0018】
図1に示すように、出力軸15のオイル流路15Hには、プッシュロッド16Aと、プッシュロッド16Aに隣接して設けられたプッシュ部材16Bとが設けられている。プッシュロッド16Aおよびプッシュ部材16Bは、スリーブ16C内を摺動可能に設けられている。プッシュロッド16Aは、一方の端部(図示左側の端部)が自動二輪車のクラッチ操作レバー(図示せず)に連結されており、クラッチ操作レバーの操作によってスリーブ16C内を摺動してプッシュ部材16Bを第2の方向D2に押圧する。プッシュ部材16Bの一部は出力軸15の外方(ここでは第2の方向D2)に突出しており、プレッシャ部材70に設けられたレリーズベアリング18に連結している。スリーブ16Cおよびプッシュ部材16Bは、本体部15Aの内径よりも細く形成されており、オイル流路15H内においてクラッチオイルの流通性が確保されている。
【0019】
クラッチハウジング30は、アルミニウム合金から形成されている。クラッチハウジング30は、有底円筒状に形成されている。
図1に示すように、クラッチハウジング30は、略円形状に形成された底壁31と、底壁31の縁部から第2の方向D2に延びる側壁33と、を有する。クラッチハウジング30は、複数の入力側回転板20を保持する。
【0020】
図1に示すように、クラッチハウジング30の底壁31には、入力ギア35が設けられている。入力ギア35は、トルクダンパ35Aを介してリベット35Bによって底壁31に固定されている。入力ギア35は、エンジンの入力軸の回転駆動によって回転する駆動ギア(図示せず)と噛み合っている。入力ギア35は、出力軸15から独立してクラッチハウジング30と一体的に回転駆動する。
【0021】
入力側回転板20は、入力軸の回転駆動によって回転駆動する。
図1に示すように、入力側回転板20は、クラッチハウジング30の側壁33の内周面に保持されている。入力側回転板20は、クラッチハウジング30にスプライン嵌合によって保持されている。入力側回転板20は、クラッチハウジング30の軸線方向(即ち方向D)に沿って変位可能に設けられている。入力側回転板20は、クラッチハウジング30と一体的に回転可能に設けられている。
【0022】
入力側回転板20は、出力側回転板22に押し当てられる部材である。入力側回転板20は、環状に形成されている。入力側回転板20は、アルミダイカストで成形されている。入力側回転板20の表面および裏面には、複数の紙片からなる摩擦材(図示せず)が貼り付けられている。摩擦材の間にはクラッチオイルを保持するための深さ数百μmの溝が形成されている。
【0023】
図1に示すように、クラッチセンタ40は、クラッチハウジング30に収容されている。クラッチセンタ40は、クラッチハウジング30と同心に配置されている。クラッチセンタ40は、入力側回転板20と方向Dに交互に配置された複数の出力側回転板22を保持する。クラッチセンタ40は出力軸15と共に回転駆動する。クラッチセンタ40は、第1クラッチセンタ41と、第2クラッチセンタ51とを備えている。第1クラッチセンタ41と第2クラッチセンタ51とは相互に組み付けられている。第2クラッチセンタ51は、第1クラッチセンタ41の径方向の外側に位置する。第2クラッチセンタ51は、第1クラッチセンタ41に外嵌する。
【0024】
図3に示すように、第1クラッチセンタ41は、出力軸保持部42と、出力軸保持部42の径方向の外側に位置する環状のベース壁43と、複数のセンタ側カム部60と、を備えている。
【0025】
図1に示すように、出力軸保持部42には、出力軸15が連結されている。出力軸保持部42には、後述する第1プレッシャ部材71が外嵌する。
図3に示すように、出力軸保持部42は、円筒状に形成されている。出力軸保持部42には、出力軸15が挿入されてスプライン嵌合する挿入孔45が形成されている。挿入孔45は、出力軸保持部42を貫通して形成されている。出力軸保持部42のうち挿入孔45を区画する内壁45Aには、出力軸15の軸線方向(即ち方向D)に延びる複数の嵌合歯47が形成されている。嵌合歯47は出力軸15と嵌合する。
【0026】
センタ側カム部60は、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を増加させる力であるアシストトルクまたは入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を減少させて半クラッチ状態に移行させる力であるスリッパートルクを生じさせるアシスト&スリッパー(登録商標)機構を構成する傾斜面からなるカム面を有した台状に形成されている。
図3に示すように、センタ側カム部60は、ベース壁43の第2の方向D2側の面43D2から第2の方向D2に突出するように形成されている。センタ側カム部60は、第1クラッチセンタ41の周方向Sに等間隔に配置されている。本実施形態では、第1クラッチセンタ41は、3つのセンタ側カム部60を有しているが、センタ側カム部60の数は3に限定されない。
【0027】
図3に示すように、センタ側カム部60は、出力軸保持部42の径方向の外側に位置する。センタ側カム部60は、センタ側アシストカム面60A(
図4も参照)と、センタ側スリッパーカム面60Sとを有する。センタ側アシストカム面60Aは、プレッシャ部材70に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を増加させるためにプレッシャ部材70をクラッチセンタ40に接近させる方向の力を発生させるように構成されている。本実施形態では、上記力が発生するときにはクラッチセンタ40に対するプレッシャ部材70の位置は変化せず、プレッシャ部材70がクラッチセンタ40に対して物理的に接近する必要はない。なお、プレッシャ部材70がクラッチセンタ40に対して物理的に変位してもよい。センタ側スリッパーカム面60Sは、プレッシャ部材70に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を減少させるためにプレッシャ部材70をクラッチセンタ40から離隔させるように構成されている。周方向Sに関して隣り合うセンタ側カム部60において、一方のセンタ側カム部60Lのセンタ側アシストカム面60Aと他方のセンタ側カム部60Mのセンタ側スリッパーカム面60Sとは周方向Sに対向して配置されている。
【0028】
図3に示すように、第1クラッチセンタ41は、複数(本実施形態では3つ)のボス部62を備えている。ボス部62は、プレッシャ部材70を支持する部材である。複数のボス部62は、周方向Sに等間隔に配置されている。ボス部62は、円筒状に形成されている。ボス部62は、出力軸保持部42より径方向の外側に位置する。ボス部62は、プレッシャ部材70に向けて(即ち第2の方向D2に向けて)延びる。ボス部62は、センタ側カム部60に設けられている。ボス部62は、周方向Sに関して、センタ側アシストカム面60Aとセンタ側スリッパーカム面60Sとの間に設けられている。ボス部62には、ボルト28(
図1参照)が挿入されるねじ穴62Hが形成されている。ねじ穴62Hは、クラッチセンタ40の軸線方向(即ち方向D)に延びる。
【0029】
図3および
図4に示すように、第1クラッチセンタ41は、ベース壁43の一部を貫通するセンタ側カム孔43Hを有する。センタ側カム孔43Hは、ベース壁43を方向Dに貫通する。センタ側カム孔43Hは、周方向Sに関して、隣り合うセンタ側カム部60の間に位置する。クラッチセンタ40の軸線方向から見て、センタ側アシストカム面60Aとセンタ側カム孔43Hの一部とは重なる。
【0030】
図3に示すように、第1クラッチセンタ41は、複数の係合溝49を有している。係合溝49は、ベース壁43の外周面に形成されている。係合溝49は、ベース壁43の外周面から径方向の内側に向けて凹む。
【0031】
図3に示すように、第1クラッチセンタ41は、第1クラッチセンタ41の第2の方向D2側の面(ここではベース壁43の第2の方向D2側の面43D2)から第1の方向D1に凹む凹部50を備えている。凹部50は、平面視で円形状に形成されているが、その形状は特に限定されない。本実施形態では、第1クラッチセンタ41は、3つの凹部50を備えている。凹部50は、周方向Sに等間隔に配置されている。凹部50は、径方向に関して、出力軸保持部42とセンタ側カム部60との間に配置されている。凹部50は、センタ側スリッパーカム面60Sの径方向の内側に配置されている。
図2に示すように、凹部50は、後述する第1プレッシャ部材71の開口端部71Tに隣接する部分に設けられている。凹部50は、開口端部71Tの第1の方向D1側に位置する。凹部50は、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを、後述する空隙部95に導くことが可能なオイル通路である。凹部50は、第1オイル通路の一例である。
【0032】
図5に示すように、第2クラッチセンタ51は、環状の外周壁52と、外周壁52から径方向の外側に延びるフランジ68と、センタ側嵌合部54と、を備えている。第2クラッチセンタ51は、入力側回転板20と方向Dに交互に配置された複数の出力側回転板22を保持する。
【0033】
図5に示すように、外周壁52の外周面には、スプライン嵌合部56が設けられている。スプライン嵌合部56は、外周壁52の外周面に沿って第2クラッチセンタ51の軸線方向(即ち方向D)に延びる複数のセンタ側嵌合歯57と、隣り合うセンタ側嵌合歯57の間に形成されかつ第2クラッチセンタ51の軸線方向(即ち方向D)に延びる複数のスプライン溝58と、オイル排出孔59とを有する。センタ側嵌合歯57は、出力側回転板22を保持する。複数のセンタ側嵌合歯57は、周方向Sに並ぶ。複数のセンタ側嵌合歯57は、周方向Sに等間隔に形成されている。複数のセンタ側嵌合歯57は、同じ形状に形成されている。センタ側嵌合歯57は、外周壁52の外周面から径方向の外側に突出する。オイル排出孔59は、外周壁52を径方向に貫通して形成されている。オイル排出孔59は、隣り合うセンタ側嵌合歯57の間に形成されている。即ち、オイル排出孔59は、スプライン溝58に形成されている。オイル排出孔59は、センタ側嵌合部54に形成されている。オイル排出孔59は、第2クラッチセンタ51の内部と外部とを連通する。オイル排出孔59は、出力軸15からクラッチセンタ40内に流出したクラッチオイル等を、クラッチセンタ40の外部に排出する孔である。オイル排出孔59から排出されたクラッチオイルは、オイル排出孔59の径方向の外側に位置する入力側回転板20および出力側回転板22に供給される。
【0034】
出力側回転板22は、第2クラッチセンタ51のスプライン嵌合部56およびプレッシャ部材70に保持されている。出力側回転板22の一部は、第2クラッチセンタ51のセンタ側嵌合歯57およびスプライン溝58にスプライン嵌合によって保持されている。出力側回転板22の他の一部は、プレッシャ部材70の後述するプレッシャ側嵌合歯87(
図7参照)に保持されている。出力側回転板22は、クラッチセンタ40の軸線方向(即ち方向D)に沿って変位可能に設けられている。出力側回転板22は、クラッチセンタ40と一体的に回転可能に設けられている。
【0035】
出力側回転板22は、入力側回転板20に押し当てられる部材である。出力側回転板22は、環状に形成された平板である。出力側回転板22は、SPCC材からなる薄板材を環状に打ち抜いて成形されている。なお、入力側回転板20に設けられた摩擦材は、入力側回転板20に代えて出力側回転板22に設けられていてもよいし、入力側回転板20および出力側回転板22のそれぞれに設けてもよい。
【0036】
図5に示すように、センタ側嵌合部54は、外周壁52の内周面に形成されている。センタ側嵌合部54は、後述するプレッシャ側嵌合部88(
図7参照)に摺動可能に外嵌するように構成されている。センタ側嵌合部54の内径は、プレッシャ側嵌合部88に対して出力軸15の先端部15T(
図1参照)から流出するクラッチオイルの流通を許容する嵌め合い公差を有して形成されている。即ち、センタ側嵌合部54とプレッシャ側嵌合部88との間には隙間が形成されている。
【0037】
図5および
図6に示すように、第2クラッチセンタ51は、複数の係合突起55を有している。係合突起55は、第1クラッチセンタ41の係合溝49(
図3参照)に係合する。係合突起55は、外周壁52の内周面に形成されている。係合突起55は、外周壁52の内周面から径方向の内側に向けて突出する。係合突起55は、オイル排出孔59よりも第1の方向D1側に位置する。
【0038】
図1に示すように、プレッシャ部材70は、クラッチセンタ40に対して接近または離隔可能かつ相対回転可能に設けられている。プレッシャ部材70は、入力側回転板20および出力側回転板22を押圧可能に構成されている。プレッシャ部材70は、クラッチセンタ40およびクラッチハウジング30と同心に配置されている。
図7に示すように、プレッシャ部材70は、第1プレッシャ部材71と、第2プレッシャ部材81とを備えている。第1プレッシャ部材71と第2プレッシャ部材81とは相互に組み付けられている。第2プレッシャ部材81は、第1プレッシャ部材71の径方向の外側に位置する。第2プレッシャ部材81は、第1プレッシャ部材71に外嵌する。第1プレッシャ部材71および第2プレッシャ部材81は、方向Dに関して互いに相対移動可能に構成されている。第1プレッシャ部材71および第2プレッシャ部材81は、周方向Sに関して所定の角度の範囲内で互いに相対回転可能に構成されている。ここで、所定の角度の範囲内とは、
図12Aの状態(後述するプレッシャ側アシストカム面90Aとセンタ側アシストカム面60Aとが接触した状態)から
図12Bの状態(より詳細には、後述するプレッシャ側スリッパーカム面90Sとセンタ側スリッパーカム面60Sとが接触し、かつ、第2プレッシャ部材81がストッパプレート100に当接した状態)にまで回転する角度の範囲内である。第1プレッシャ部材71は、第2プレッシャ部材81に対し、方向Dに関して相対移動可能に設けられている。このように、プレッシャ部材70は、第1プレッシャ部材71と第2プレッシャ部材81とを備えているため、第1プレッシャ部材71および第2プレッシャ部材81を相互に独立して移動(回転)させることができる。
【0039】
図8および
図9に示すように、第1プレッシャ部材71は、筒状に形成されている。第1プレッシャ部材71は、出力軸保持部42(
図1参照)に外嵌するように構成されている。第1プレッシャ部材71は、出力軸15の先端部15T(
図1参照)を収容する。第1プレッシャ部材71には、レリーズベアリング18(
図1参照)が収容される。第1プレッシャ部材71は、プッシュ部材16B(
図1参照)からの押圧力を受ける部位である。第1プレッシャ部材71は、クラッチ操作(例えば、クラッチレバーによる操作やボタンによる操作)により第2の方向D2に移動可能に構成されている。第1プレッシャ部材71は、出力軸15の先端部15Tから流出したクラッチオイルを受け止める部位である。第1プレッシャ部材71は、出力軸保持部42に外嵌する筒状の第1部分71Aと、第1部分71Aと連続しかつ第1部分71Aよりも直径が小さい筒状の第2部分71Bと、第2部分71Bと連続しかつ第2部分71Bよりも直径が小さい筒状の第3部分71Cと、を含む。
図2に示すように、第1部分71Aは、第1の方向D1に向けて開口している。第1プレッシャ部材71の開口端部71Tは、第1部分71Aに含まれる。開口端部71Tは、ベース壁43の第2の方向D2側の面43D2と接触する。開口端部71Tは、凹部50の第2の方向D2側に位置する。第1部分71Aが出力軸保持部42に外嵌することによって、クラッチセンタ40に対するプレッシャ部材70の位置決めがされている。第2部分71Bの内方には、レリーズベアリング18が配置されている。第2部分71Bは、レリーズベアリング18を保持する。第3部分71Cは、第2の方向D2に向けて開口している。なお、第3部分71Cは、第2の方向Dに向けて開口せず閉じていてもよい。第3部分71Cには、皿ばね180が係止する。
【0040】
図8および
図9に示すように、第1プレッシャ部材71は、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを第1プレッシャ部材71の外部に導くことが可能な第1切り欠き71Hを有する。第1切り欠き71Hは、第1オイル通路の一例である。第1切り欠き71Hは、後述する空隙部95および第2切り欠き81H(
図10参照)に第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを導くことができる。第1切り欠き71Hは、第1プレッシャ部材71の開口端部71Tに形成されている。第1切り欠き71Hは、開口端部71Tから第2の方向D2に凹む。第1切り欠き71Hは、開口端部71Tの周方向に複数(本実施形態では6つ)設けられている。複数の第1切り欠き71Hは、周方向Sに等間隔に配置されている。
図1に示すように、第1切り欠き71Hの第2の方向D2側の端部は、出力軸保持部42の第2の方向D2側の端部よりも第2の方向D2側に位置する。
【0041】
図1に示すように、第2プレッシャ部材81は、第1プレッシャ部材71に押圧されて第2の方向D2に移動可能に構成されている。第2プレッシャ部材81は、第2クラッチセンタ51に内嵌している。これにより、第2プレッシャ部材81の径方向の位置決めがされている。第2プレッシャ部材81は、第2クラッチセンタ51に対し、方向Dに関して摺動可能に設けられている。第2プレッシャ部材81および第2クラッチセンタ51は、周方向Sに関して互いに相対回転可能に構成されている。
図10に示すように、第2プレッシャ部材81は、本体82と、本体82の第2の方向D2側の外周縁に接続しかつ径方向の外側に延びるフランジ98とを有する。本体82は、フランジ98よりも第1の方向D1に突出している。フランジ98は、後述する筒状部80よりも径方向の外側に位置する。第2プレッシャ部材81は、入力側回転板20と交互に配置された複数の出力側回転板22を保持する。フランジ98は、入力側回転板20および出力側回転板22を押圧可能に構成されている。
【0042】
図10に示すように、本体82は、筒状部80と、複数のプレッシャ側カム部90と、プレッシャ側嵌合部88と、スプリング収容部84(
図11参照)とを備えている。
【0043】
図10に示すように、筒状部80は、筒状に形成された区画壁80Aを有している。筒状部80は、プレッシャ側カム部90と一体に形成されている。プレッシャ側カム部90は、区画壁80Aの径方向の外側に位置する。
図7に示すように、筒状部80には、第1プレッシャ部材71が収容される。区画壁80Aの内周面85は、第1プレッシャ部材71の第1部分71Aの外周面75に対し、方向Dに関して摺動可能に構成されている。
【0044】
図2に示すように、プレッシャ部材70は、第1プレッシャ部材71のうちクラッチセンタ40(より詳細には第1クラッチセンタ41)に隣接する開口端部71Tの外周面75と外周面75に外嵌する第2プレッシャ部材81の区画壁80Aの内周面85との間に形成された空隙部95を備えている。即ち、外周面75と内周面85との間にはクラッチオイルが流通可能な隙間が設けられている。空隙部95には、第1クラッチセンタ41の凹部50や第1プレッシャ部材71の第1切り欠き71Hを介して第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルが導かれる。空隙部95には、クラッチオイルが保持される。空隙部95は、第1の方向D1および第2の方向D2に開口する。空隙部95の第1の方向D1側には、開口端部71Tが位置する。空隙部95の第2の方向D2側には、皿ばね180が位置する。空隙部95に保持されたクラッチオイルは、例えば、第2の方向D2側に流れて空隙部95の第2の方向D2の開口端部95H(
図1参照)から流出し、後述するオイル供給路96を介して皿ばね180に供給される。
【0045】
図2に示すように、プレッシャ部材70は、第1プレッシャ部材71と第2プレッシャ部材81との間に形成されたオイル供給路96を備えている。オイル供給路96は、第1プレッシャ部材71の第1壁面71Mと、第2プレッシャ部材81の第2壁面81Mとの間に形成されている。第1プレッシャ部材71の第2部分71Bの外表面および第3部分71Cの外表面は、オイル供給路96の一部を構成している。第1壁面71Mおよび第2壁面81Mは、出力軸15の径方向延びる。第2壁面81Mは、第1壁面71Mに対向する。第1壁面71Mは、第2壁面81Mに接触可能に設けられている。第1壁面71Mと第2壁面81Mとが接触した状態では、第1壁面71Mおよび第2壁面81Mは周方向Sに関して摺動することがある。オイル供給路96は、空隙部95の第2の方向D2の開口端部95H(
図1参照)と連通する。オイル供給路96は、出力軸15の径方向に延びる。オイル供給路96は、空隙部95から流出したクラッチオイルを、第1プレッシャ部材71の第2部分71Bの外表面および第3部分71Cの外表面に沿って、皿ばね180(例えば皿ばね180と第1プレッシャ部材71の第3部分71Cとの摺動部分)に導く。
【0046】
ここで、クラッチON状態において自動二輪車の運転者がクラッチレバーを操作した場合には、プッシュロッド16Aによって押圧されたプッシュ部材16Bは、第1プレッシャ部材71を皿ばね180の付勢力に抗して第2の方向D2に押圧する。このとき、第1プレッシャ部材71の第1壁面71Mと第2プレッシャ部材81の第2壁面81Mとが接触し、第1プレッシャ部材71は、第2プレッシャ部材81を第2の方向D2に押圧する。これにより、第2プレッシャ部材81は、クラッチスプリング25の付勢力に抗してクラッチセンタ40(より詳細には第2クラッチセンタ51から離隔する方向(第2の方向D2)に変位する。これにより、クラッチセンタ40は、入力側回転板20と出力側回転板22との摩擦連結が解消されたクラッチOFF状態(即ちクラッチが切断された状態)となるため、回転駆動が減衰または回転駆動が停止する状態となる。即ち、エンジンの回転駆動力がクラッチセンタ40に対して遮断される。このように、クラッチOFF状態ではオイル供給路96は閉鎖される。一方、クラッチON状態ではオイル供給路96は開放される。オイル供給路96が開放されているときには、第1壁面71Mと第2壁面81Mとの接触面にクラッチオイルが供給される。ここで、クラッチON状態からクラッチOFF状態に切り替える際、または、クラッチOFF状態からクラッチON状態に切り替える際、第1壁面71Mと第2壁面81Mとは摺動する。このとき、第1壁面71Mと第2壁面81Mとが接触している箇所(接触面)には、オイル供給路96によってクラッチオイルが供給されるため、摺動した場合であっても第1壁面71Mと第2壁面81Mとが摩耗することを抑制することができる。
【0047】
図10に示すように、第2プレッシャ部材81は、クラッチオイルを第2プレッシャ部材81の外部に導くことが可能な第2切り欠き81Hを有する。第2切り欠き81Hは、例えば、空隙部95に導かれたクラッチオイルを第2プレッシャ部材81の外部に導くことができる。第2切り欠き81Hは、第2オイル通路の一例である。第2切り欠き81Hは、後述するプレッシャ側アシストカム面90Aおよびプレッシャ側スリッパーカム面90S、センタ側アシストカム面60Aおよびセンタ側スリッパーカム面60S等に空隙部95や第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを導くことができる。第2切り欠き81Hは、筒状部80の区画壁80Aに形成されている。第2切り欠き81Hは、区画壁80Aの第1の方向D1側の端部80ATから第2の方向D2に凹む。第2切り欠き81Hは、第2プレッシャ部材81の周方向S(より詳細には区画壁80Aの周方向S)に複数(本実施形態では3つ)設けられている。複数の第2切り欠き81Hは、周方向Sに等間隔に配置されている。第2切り欠き81Hは、周方向に関して隣り合うプレッシャ側カム部90の間に位置する。
図7に示すように、第2切り欠き81Hは、第2プレッシャ部材81のうち第1プレッシャ部材71の開口端部71Tの出力軸15の径方向の外側に位置する部分に形成されている。
図1に示すように、第2切り欠き81Hの第2の方向D2側の端部は、出力軸保持部42の第2の方向D2側の端部よりも第2の方向D2側に位置する。
【0048】
図1および
図7に示すように、第1切り欠き71Hの少なくとも一部は、出力軸15の径方向から見たときに、第2切り欠き81Hと重なる。また、第1プレッシャ部材71および第2プレッシャ部材81が周方向Sに関して相対回転したときに、第1切り欠き71Hと第2切り欠き81Hとは出力軸15の径方向から見て重なる。第1切り欠き71Hの周方向Sの長さは、第2切り欠き81Hの周方向の長さより長い。
【0049】
プレッシャ側カム部90は、センタ側カム部60(
図3等参照)に摺動してアシストトルクまたはスリッパートルクを発生させるアシスト&スリッパー(登録商標)機構を構成する傾斜面からなるカム面を有した台状に形成されている。
図10に示すように、プレッシャ側カム部90は、フランジ98よりも第1の方向D1に突出するように形成されている。プレッシャ側カム部90は、第2プレッシャ部材81の周方向Sに等間隔に配置されている。本実施形態では、第2プレッシャ部材81は、3つのプレッシャ側カム部90を有しているが、プレッシャ側カム部90の数は3に限定されない。
【0050】
図10に示すように、プレッシャ側カム部90は、筒状部80の径方向の外側に位置する。プレッシャ側カム部90は、プレッシャ側アシストカム面90A(
図11も参照)と、プレッシャ側スリッパーカム面90Sとを有する。プレッシャ側アシストカム面90Aは、センタ側アシストカム面60Aと接触可能に構成されている。プレッシャ側アシストカム面90Aは、クラッチセンタ40に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を増加させるためにプレッシャ部材70をクラッチセンタ40に接近させる方向の力を発生させるように構成されている。プレッシャ側スリッパーカム面90Sは、センタ側スリッパーカム面60Sと接触可能に構成されている。プレッシャ側スリッパーカム面90Sは、クラッチセンタ40に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を減少させるためにプレッシャ部材70をクラッチセンタ40から離隔させるように構成されている。周方向Sに関して隣り合うプレッシャ側カム部90において、一方のプレッシャ側カム部90Lのプレッシャ側アシストカム面90Aと他方のプレッシャ側カム部90Mのプレッシャ側スリッパーカム面90Sとは周方向Sに対向して配置されている。
【0051】
ここで、センタ側カム部60およびプレッシャ側カム部90の作用について説明する。エンジンの回転数が上がり、入力ギア35およびクラッチハウジング30に入力された回転駆動力がクラッチセンタ40を介して出力軸15に伝達され得る状態となったときには、
図12Aに示すように、プレッシャ部材70には第1の周方向S1の回転力が付与される。このため、センタ側アシストカム面60Aおよびプレッシャ側アシストカム面90Aの作用により、プレッシャ部材70には第1の方向D1への力が発生する。これにより、入力側回転板20と出力側回転板22との圧接力を増加させるようになっている。
【0052】
一方、出力軸15の回転数が入力ギア35およびクラッチハウジング30の回転数を上回ってバックトルクが生じた際には、
図12Bに示すように、クラッチセンタ40には第1の周方向S1の回転力が付与される。このため、センタ側スリッパーカム面60Sおよびプレッシャ側スリッパーカム面90Sの作用により、プレッシャ部材70を第2の方向D2へ移動させて入力側回転板20と出力側回転板22との圧接力を解放させるようになっている。これにより、バックトルクによるエンジンや変速機に対する不具合を回避することができる。なお、クラッチセンタ40に第1の周方向S1の回転力が付与されることによって、第1プレッシャ部材71および第2プレッシャ部材81が周方向Sに関して相対回転する。
【0053】
図10に示すように、プレッシャ側嵌合部88は、プレッシャ側カム部90より径方向の外側に位置する。プレッシャ側嵌合部88は、プレッシャ側カム部90よりも第2の方向D2側に位置する。プレッシャ側嵌合部88は、センタ側嵌合部54(
図5参照)に摺動可能に内嵌するように構成されている。
【0054】
図10および
図11に示すように、第2プレッシャ部材81は、本体82およびフランジ98の一部を貫通するプレッシャ側カム孔83Hを有する。プレッシャ側カム孔83Hは、筒状部80よりも径方向の外側に位置する。プレッシャ側カム孔83Hは、筒状部80の側方からプレッシャ側嵌合部88よりも径方向の外側まで延びる。プレッシャ側カム孔83Hは、隣り合うプレッシャ側カム部90のプレッシャ側アシストカム面90Aとプレッシャ側スリッパーカム面90Sとの間に形成されている。第2プレッシャ部材81の軸線方向から見て、プレッシャ側アシストカム面90Aとプレッシャ側カム孔83Hの一部とは重なる。プレッシャ側カム孔83Hには、第1クラッチセンタ41のボス部62(
図3参照)が挿入される。ボス部62は、プレッシャ側カム孔83Hを貫通する。プレッシャ側カム孔83Hは、貫通孔の一例である。
【0055】
図10に示すように、第2プレッシャ部材81は、フランジ98に配置された複数のプレッシャ側嵌合歯87を備えている。プレッシャ側嵌合歯87は、出力側回転板22を保持する。プレッシャ側嵌合歯87は、フランジ98から第1の方向D1に向けて突出する。プレッシャ側嵌合歯87は、筒状部80よりも径方向の外側に位置する。プレッシャ側嵌合歯87は、プレッシャ側カム部90より径方向の外側に位置する。プレッシャ側嵌合歯87は、プレッシャ側嵌合部88より径方向の外側に位置する。複数のプレッシャ側嵌合歯87は、周方向Sに並ぶ。複数のプレッシャ側嵌合歯87は、周方向Sに等間隔に配置されている。なお、本実施形態では、一部のプレッシャ側嵌合歯87が取り除かれているため、該部分の間隔は広がっているが、その他の隣り合うプレッシャ側嵌合歯87は等間隔に配置されている。
【0056】
図1に示すように、スプリング収容部84は、プレッシャ側カム部90に形成されている(
図11も参照)。スプリング収容部84は、筒状部80の区画壁80Aよりも径方向の外側に位置する。スプリング収容部84は、第2の方向D2から第1の方向D1に凹むように形成されている(
図12Aも参照)。スプリング収容部84は、円形状に形成されている。スプリング収容部84は、クラッチスプリング25を収容する。スプリング収容部は、収容部の一例である。
【0057】
図1に示すように、クラッチスプリング25は、スプリング収容部84に収容されている。クラッチスプリング25の第1の方向D1の端部は、第2プレッシャ部材81に当接している。クラッチスプリング25の第2の方向D2の端部は、ストッパプレート100に当接している。クラッチスプリング25は、プレッシャ部材70(より詳細には第2プレッシャ部材81)をクラッチセンタ40に向けて(即ち第1の方向D1に向けて)付勢する。クラッチスプリング25は、例えば、ばね鋼を螺旋状に巻いたコイルスプリングである。クラッチスプリング25は、方向Dに延びる。
【0058】
図11に示すように、第2プレッシャ部材81は、第2の方向D2に延びる複数のストッパー99(
図2も参照)を有している。ストッパー99は、ストッパプレート100と接触可能に構成されている。
図15に示すように、ストッパー99は、平面視で略三角形状に形成されている。ストッパー99は、略三角柱に形成されている。ストッパー99は、クラッチスプリング25の周方向Sの一方側(ここではクラッチスプリング25よりも第1の周方向S1側)に配置された第1ストッパー99Aと、クラッチスプリング25の周方向Sの他方側(ここではクラッチスプリング25よりも第2の周方向S2側)に配置された第2ストッパー99Bと、を含む。周方向Sに関して、第1ストッパー99Aと第2ストッパー99Bとの間には、スプリング収容部84が位置する。第1ストッパー99Aは、プレッシャ側アシストカム面90A側に配置されている。第2ストッパー99Bは、プレッシャ側スリッパーカム面90S側に配置されている。出力軸15の径方向から見たときに、第1ストッパー99Aの少なくとも一部はクラッチスプリング25と重なる。出力軸15の径方向から見たときに、第2ストッパー99Bの少なくとも一部はクラッチスプリング25と重なる。
【0059】
図10に示すように、第2プレッシャ部材81は、空隙部95に導かれたクラッチオイルをスプリング収容部84に導くことが可能な貫通孔86を有する。貫通孔86は、第2オイル通路の一例である。貫通孔86は、空隙部95とスプリング収容部84とを連通する。貫通孔86は、クラッチスプリング25等に空隙部95や第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを導くことができる。貫通孔86は、筒状部80の区画壁80Aに形成されている。貫通孔86は、筒状部80の区画壁80Aからプレッシャ側カム部90に亘って形成されている。貫通孔86は、区画壁80Aおよびプレッシャ側カム部90の一部を貫通する。貫通孔86は、区画壁80Aの周方向に複数(本実施形態では3つ)設けられている。複数の貫通孔86は、周方向Sに等間隔に配置されている。貫通孔86は、プレッシャ側カム部90に1つずつ形成されている。貫通孔86は、周方向Sに関して隣り合う第2切り欠き81Hの間に位置する。
【0060】
クラッチ装置10内には、所定量のクラッチオイルが供給される。クラッチオイルは、熱の吸収や摩擦材の摩耗を抑止する。本実施形態のクラッチ装置10は、いわゆる湿式多板摩擦クラッチ装置である。クラッチオイルは、出力軸15のオイル流路15Hを介して第1プレッシャ部材71内に流通する。第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルは、
図2の矢印F1に示すように、第1切り欠き71Hを介して空隙部95に流れる。そして、空隙部95に保持されたクラッチオイルの一部は、オイル供給路96を介して例えば皿ばね180に供給される。また、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルは、
図1の矢印F2に示すように、第1切り欠き71Hおよび第2切り欠き81Hを介して第2プレッシャ部材81の外部に流れる。第2プレッシャ部材81の外部に流れたクラッチオイルは、例えば、センタ側カム部60、プレッシャ側カム部90、入力側回転板20および出力側回転板22等に供給される。さらに、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルは、
図2の矢印F3に示すように、第1切り欠き71Hおよび空隙部95および貫通孔86を介してスプリング収容部84に流れる。スプリング収容部84に流れたクラッチオイルは、クラッチスプリング25や皿ばね180に供給される。さらに、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルは、凹部50を介して空隙部95等に導かれる。
【0061】
図1に示すように、遠心クラッチ機構120は、クラッチハウジング30内に設けられている。遠心クラッチ機構120は、クラッチセンタ40よりも第1の方向D1側に設けられている。遠心クラッチ機構120は、クラッチハウジング30に保持されている。遠心クラッチ機構120は、クラッチハウジング30と一体的に回転可能に設けられている。
図13および
図14に示すように、遠心クラッチ機構120は、ウエイト部材122と、保持部材124と、圧接部材126と、支持部材128と、第1球状部材131と、第2球状部材132と、付勢部材135(
図1参照)と、を有している。遠心クラッチ機構120は、ウエイト部材122が径方向の外側の位置にあるときに入力側回転板20と出力側回転板22とを圧接させて入力軸の回転駆動力を出力軸15に伝達可能な状態とする。遠心クラッチ機構120は、ウエイト部材122が径方向の内側の位置にあるときに入力側回転板20と出力側回転板22との圧接力を解放させて入力軸の回転駆動力が出力軸15に伝達されるのを遮断し得る状態とする。遠心クラッチ機構120は、補助クラッチ板150(
図1参照)を押圧可能に構成されている。
【0062】
ウエイト部材122は、クラッチハウジング30の回転に伴う遠心力により径方向の内側の位置から外側の位置に移動可能に構成されている。
図13に示すように、ウエイト部材122は、保持部材124の後述する収容部124Aに収容されている。ウエイト部材122は、遠心力が付与されない状態では径方向の内側の位置に保持される。ウエイト部材122は、遠心力が付与されることにより付勢部材135(
図1参照)の付勢力に抗して径方向の外側に向けて移動し、径方向の外側の位置に移動する。
【0063】
図13に示すように、保持部材124は、ウエイト部材122を径方向の内側の位置と径方向の外側の位置との間で移動可能に保持する。保持部材124は、円環状に形成されている。保持部材124は、周方向に亘って複数形成された収容部124Aと、収容部124A内に形成された溝124Bと、押圧面124Cとを有している。収容部124Aは、ウエイト部材122を収容する。収容部124Aは、ウエイト部材122の形状および移動範囲に合致した凹状に形成されている。収容部124Aの外周壁面124AAには、付勢部材135(
図1参照)の一端が当接可能に構成されている。
【0064】
図13および
図14に示すように、圧接部材126は、ウエイト部材122が径方向の内側の位置から外側の位置に移動することにより第2の方向D2に移動して、入力側回転板20と出力側回転板22とを圧接可能に構成されている。圧接部材126は、円環状に形成されている。圧接部材126は、周方向に亘って複数形成された勾配溝126Aと、勾配溝126Aが形成された位置にそれぞれ形成された溝126Bと、押圧面126Cとを有している。勾配溝126Aは、ウエイト部材122に対応した位置にそれぞれ形成されている。勾配溝126Aは、径方向の内側から径方向の外側に向かって第1の方向D1に向かうように傾斜している。クラッチハウジング30が停止した状態では、付勢部材135(
図1参照)の付勢力によってウエイト部材122は径方向の内側に保持される。クラッチハウジング30が回転してウエイト部材122に遠心力が付与された状態では、ウエイト部材122が勾配溝126Aに沿って移動することによって、圧接部材126は保持部材124から離隔する方向(即ち第2の方向D2)に移動する。これにより、圧接部材126の押圧面126Cは、第2クラッチセンタ51のフランジ68(
図1参照)を第2の方向D2に向けて押圧する。なお、保持部材124および圧接部材126は、周方向に亘って形成された複数の突起部127を有している。保持部材124および圧接部材126は、入力側回転板20と同様、突起部127を介してクラッチハウジング30の側壁33の内周面に保持されている。保持部材124および圧接部材126は、クラッチハウジング30にスプライン嵌合によって保持されている。保持部材124および圧接部材126は、クラッチハウジング30の軸線方向(即ち方向D)に沿って変位可能に設けられている。保持部材124および圧接部材126は、クラッチハウジング30と一体的に回転可能に設けられている。
【0065】
図13および
図14に示すように、支持部材128は、保持部材124に取り付けられている。支持部材128は、保持部材124のうち収容部124Aが形成された面に固定されている。支持部材128は、ウエイト部材122を径方向に移動可能に保持する。
【0066】
図13および
図14に示すように、第1球状部材131は、ウエイト部材122に取り付けられている。第1球状部材131は、例えば、鋼球である。第1球状部材131は、ウエイト部材122に形成された貫通孔の一方の開口から一部を突出させて圧接部材126の転動面に接触する。第2球状部材132は、ウエイト部材122に取り付けられている。第2球状部材132は、例えば、鋼球である。第2球状部材132は、ウエイト部材122に形成された貫通孔の他方の開口から一部を突出させて保持部材124の転動面に接触する。
【0067】
図1に示すように、付勢部材135は、ウエイト部材122の径方向の外側に配置されている。付勢部材135は、ウエイト部材122を径方向の内側に向けて付勢する。付勢部材135は、例えば、コイルスプリングである。
【0068】
このような遠心クラッチ機構120では、ウエイト部材122に遠心力が付与されていないとき、ウエイト部材122は径方向の内側の位置に保持され、入力側回転板20および出力側回転板22の圧接力が解放された状態となっている。一方、ウエイト部材122に遠心力が付与されているとき、ウエイト部材122は、径方向の内側の位置から外側の位置に移動してする。これにより、圧接部材126に形成された押圧面126Cが第2クラッチセンタ51のフランジ68を介して入力側回転板20および出力側回転板22を押圧して圧接状態とし、入力軸の回転駆動力が出力軸15に伝達可能な状態となる。このとき、保持部材124は、第1の方向D1に移動し、保持部材124に形成された押圧面124Cが補助クラッチ板150を押圧する。
【0069】
図1に示すように、補助クラッチ板150は、クラッチハウジング30内に設けられている。補助クラッチ板150は、出力軸15に固定されている。補助クラッチ板150には、出力軸15が挿入されてスプライン嵌合する挿入孔152Hが形成されている。補助クラッチ板150は、遠心クラッチ機構120の一部よりも第1の方向D1側に配置されている。補助クラッチ板150は、第1クラッチセンタ41に隣接する。
【0070】
補助クラッチ板150は、入力側回転板20と出力側回転板22との圧接時(即ち遠心クラッチ機構120のウエイト部材122が径方向の外側の位置に位置するとき)に遠心クラッチ機構120(ここでは保持部材124の押圧面124C)によって押圧されて入力軸の回転駆動力を出力軸15に伝達可能な状態とするように構成されている。補助クラッチ板150は、入力側回転板20と出力側回転板22との圧接力の解放時(即ちウエイト部材122が径方向の内側の位置に位置するとき)に遠心クラッチ機構120(ここでは保持部材124の押圧面124C)による押圧から解放されて入力軸の回転駆動力が出力軸15に伝達されるのを遮断するように構成されている。
【0071】
図1に示すように、皿ばね180は、プレッシャ部材70と同心に配置されている。皿ばね180は、プレッシャ部材70とストッパプレート100との間に配置されている。皿ばね180は、プレッシャ部材70の第1プレッシャ部材71に係止している。より詳細には、皿ばね180は、第1プレッシャ部材71の第3部分71Cに係止している。皿ばね180の内周端部180Hは、第1プレッシャ部材71の第3部分71Cに係止している。皿ばね180が第1プレッシャ部材71に係止することにより、第1プレッシャ部材71に対する皿ばね180の位置決めがされている。
図15に示すように、皿ばね180の出力軸15の径方向の外縁180Sは、クラッチスプリング25よりも径方向の外側に位置する。より詳細には、出力軸15の軸方向から見たときに、出力軸15の軸心15Cとクラッチスプリング25の軸心25Cとを通過する直線LX上において、皿ばね180の出力軸15の径方向の外縁180Sは、クラッチスプリング25よりも径方向の外側に位置する。なお、出力軸15の軸方向から見たときに、少なくとも直線LX上において、皿ばね180の出力軸15の径方向の外縁180Sがクラッチスプリング25よりも径方向の外側に位置していればよい。皿ばね180の出力軸15の径方向の外縁180Sは、皿ばね180の全周において、出力軸15の軸心15Cを中心としかつクラッチスプリング25の径方向の外縁に内接する仮想円LYよりも径方向の外側に位置する。なお、皿ばね180の出力軸15の径方向の外縁180Sは、必ずしも皿ばね180の全周において、仮想円LYよりも径方向の外側に位置していなくてもよい。即ち、外縁180Sの一部は、仮想縁LYよりも径方向の内側に位置していてもよい。例えば、皿ばね180の外縁180Sのうち、周方向Sにおいて、隣り合うクラッチスプリング25に挟まれた部分(例えば
図15の符号Q参照)の少なくとも一部が仮想円LYよりも径方向の内側に位置していてもよい。皿ばね180は、プレッシャ部材70(より詳細には第1プレッシャ部材71)を第1の方向D1に付勢する。皿ばね180は、例えば、ダイヤフラムスプリングである。
【0072】
図15および
図16に示すように、皿ばね180は、本体部181と、複数の延伸部182と、複数の第1開口部187と、複数の第2開口部189とを備えている。
【0073】
図15に示すように、本体部181は、リング状に形成されている。
図2に示すように、本体部181は、ストッパプレート100に接触している。
【0074】
図15に示すように、延伸部182は、第1延伸部183と第2延伸部185とを含む。第1延伸部183は、本体部181の径方向の内縁180Tから径方向の内側に延びる。第1延伸部183は、ボス部62の周方向Sの一方側(ここではボス部62よりも第1の周方向S1側)に位置する。第1延伸部183は、第1プレッシャ部材71に係止する。第2延伸部185は、本体部181の径方向の内縁180Tから径方向の内側に延びる。第2延伸部185は、ボス部62の周方向Sの他方側(ここではボス部62よりも第2の周方向S2側)に位置する。第2延伸部185は、第1プレッシャ部材71に係止する。周方向Sに関して、第1延伸部183と第2延伸部185とは離隔している。第1延伸部183とボス部62との周方向Sの距離L1および第2延伸部185とボス部62との周方向Sの距離L2は、第1延伸部183とクラッチスプリング25との周方向Sの距離L3および第2延伸部185とクラッチスプリング25との周方向Sの距離L4よりも短い。ここでは、距離L1と距離L2とは同じであるが、異なっていてもよい。また、距離L3は、距離L4よりも長い。
【0075】
図15に示すように、第1開口部187は、周方向Sに関して一つの延伸部182の第1延伸部183および第2延伸部185の間に形成されている。
図16に示すように、ボス部62は、第1開口部187を貫通する。即ち、第1開口部187内には、ボス部62が位置する。第1開口部187の開口面積は、第2開口部189の開口面積よりも小さい。
【0076】
図15に示すように、第2開口部189は、周方向Sに関して一方の延伸部182の第1延伸部183と他方の延伸部182の第2延伸部185との間に形成されている。
図16に示すように、クラッチスプリング25は、第2開口部189を貫通する。ストッパー99は、第2開口部189を貫通する。即ち、第2開口部189内には、クラッチスプリング25およびストッパー99が位置する。
【0077】
図15に示すように、第2ストッパー99Bと皿ばね180との周方向Sの距離L6は、第1ストッパー99Aと皿ばね180との周方向Sの距離L5よりも長い。第1ストッパー99Aと皿ばね180との周方向Sの距離L5は、第1延伸部183とボス部62との周方向Sの距離L1および第2延伸部185とボス部62との周方向Sの距離L2よりも長い。
【0078】
図1に示すように、ストッパプレート100は、プレッシャ部材70と接触可能に設けられている。ストッパプレート100は、プレッシャ部材70がクラッチセンタ40から第2の方向D2に所定の距離以上離隔することを抑制する部材である。ストッパプレート100は、皿ばね180よりも第2の方向D2側に配置されている。ストッパプレート100は、第1クラッチセンタ41のボス部62にボルト28によって固定されている。プレッシャ部材70は、スプリング収容部84にクラッチスプリング25が配置されかつ皿ばね180が第1プレッシャ部材71に係止した状態で、ストッパプレート100を介してボルト28がボス部62に締め付けられてクラッチセンタ40に固定されている。ストッパプレート100は、平面視でリング状形成されている。
【0079】
以上のように、本実施形態のクラッチ装置10によると、第1プレッシャ部材71の開口端部71Tには、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを、空隙部95に導くことが可能な第1切り欠き71Hが形成されている。上記態様によれば、第1切り欠き71Hを介して、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを空隙部95に供給することができる。これにより、第1プレッシャ部材71の外周面75と第2プレッシャ部材81の内周面85とが互いに摺動して摩耗することを抑制することができる。
【0080】
本実施形態のクラッチ装置10では、第1オイル通路は、第1プレッシャ部材71の開口端部71Tに形成された第1切り欠き71Hによって構成されている。上記態様によれば、第1プレッシャ部材71内のオイルを空隙部95に容易に供給することができる。
【0081】
本実施形態のクラッチ装置10では、第1切り欠き71Hは、開口端部71Tの周方向Sに複数設けられている。上記態様によれば、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを空隙部95のより広範囲に供給したり、第2プレッシャ部材81の外部のより広範囲に供給したりすることができる。
【0082】
本実施形態のクラッチ装置10では、第2プレッシャ部材81は、空隙部95に導かれたクラッチオイルを第2プレッシャ部材81の外部に導くことが可能な第2切り欠き81Hを有する。上記態様によれば、第2プレッシャ部材81の外部に配置された他の部材に、空隙部95に導かれたクラッチオイルを供給することができる。
【0083】
本実施形態のクラッチ装置10では、第2プレッシャ部材81は、内周面85を含む筒状に形成された区画壁80Aを有し、第2オイル通路は、区画壁80Aの一部に形成された第2切り欠き81Hによって構成されている。上記態様によれば、空隙部95に導かれたクラッチオイルを第2プレッシャ部材81の外部により容易に供給することができる。
【0084】
本実施形態のクラッチ装置10では、第2切り欠き81Hは、第2プレッシャ部材81(例えば区画壁80A)の周方向Sに複数設けられている。上記態様によれば、空隙部95を介して第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを第2プレッシャ部材81の外部のより広範囲に供給することができる。
【0085】
本実施形態のクラッチ装置10では、第1オイル通路は、第1プレッシャ部材71の開口端部71Tに形成された第1切り欠き71Hによって構成され、第1切り欠き71Hの少なくとも一部は、出力軸15の径方向から見たときに、第2切り欠き81Hと重なる。上記態様によれば、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを第2プレッシャ部材81の外部にスムーズに供給することができる。
【0086】
本実施形態のクラッチ装置10では、第1プレッシャ部材71および第2プレッシャ部材81は、周方向S関して互いに相対回転可能に構成され、第1プレッシャ部材71および第2プレッシャ部材81が相対回転したときに、第1切り欠き71Hと第2切り欠き81Hとは出力軸15の径方向から見て重なる。上記態様によれば、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを第2プレッシャ部材81の外部にスムーズに供給することができる。
【0087】
本実施形態のクラッチ装置10では、第2オイル通路は、区画壁80Aの一部に形成された貫通孔86によって構成され、かつ、空隙部95とスプリング収容部84とを連通する。上記態様によれば、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルをスプリング収容部84に収容されたクラッチスプリング25に供給することができる。
【0088】
本実施形態のクラッチ装置10では、第1オイル通路は、第1クラッチセンタ41の第2の方向D2側の面43D2から第1の方向D1に凹む凹部50により構成され、凹部50は、開口端部71Tの第1の方向D1側に位置する。上記態様によれば、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを凹部50を介して空隙部95に供給することができる。
【0089】
本実施形態のクラッチ装置10では、第1クラッチセンタ41は、出力軸15を保持する出力軸保持部42を備え、第1プレッシャ部材71は、出力軸保持部42に外嵌するように構成されている。上記態様によれば、クラッチセンタ40に対するプレッシャ部材70の位置決めが容易に行われると共に、第1プレッシャ部材71内のクラッチオイルを空隙部95や第2プレッシャ部材81の外部に供給することができる。
【0090】
本実施形態のクラッチ装置10では、空隙部95は、第1の方向D1および第2の方向D2に開口し、開口端部71Tは、空隙部95の第1の方向D1側に位置する。上記態様によれば、開口端部71T側から空隙部95に導かれたクラッチオイルは、空隙部95の第2の方向D2側から外部に供給される。
【0091】
本実施形態のクラッチ装置10では、プレッシャ部材70は、第1プレッシャ部材71と第2プレッシャ部材81との間に形成され、かつ、空隙部95の第2の方向D2の開口端部95Hと連通し、かつ、空隙部95から流出したクラッチオイルを皿ばね180に供給するオイル供給路96を備えている。上記態様によれば、皿ばね180と第1プレッシャ部材71の摺動部分にクラッチオイルを供給することができるため、皿ばね180の内周端部180Hの摩耗を抑制することができる。
【0092】
本実施形態のクラッチ装置10では、プレッシャ部材70は、第1壁面71Mと第2壁面81Mとの間に形成され、かつ、空隙部95の第2の方向D2の開口端部95Hと連通するオイル供給路96を備えている。上記態様によれば、空隙部95のクラッチオイルを、第1壁面71Mおよび第2壁面81Mに供給することができるため、第1壁面71Mと第2壁面81Mとが互いに摺動して摩耗することを抑制することができる。
【0093】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0094】
上述した実施形態では、第1プレッシャ部材71の開口端部71Tに、第1オイル通路としての第1切り欠き71Hが形成されていたが、切り欠きに代えて貫通孔が形成されていてもよいし、切り欠きおよび貫通孔を併用してもよい。
【0095】
上述した実施形態では、筒状部80の区画壁80Aの第1の方向D1側の端部80ATに、第2オイル通路としての第2切り欠き81Hが形成されていたが、切り欠きに代えて貫通孔が形成されていてもよいし、切り欠きおよび貫通孔を併用してもよい。
【0096】
上述した実施形態では、筒状部80の区画壁80Aからプレッシャ側カム部90に亘って、第2オイル通路としての貫通孔86が形成されていたが、貫通孔に代えて切り欠きが形成されていてもよいし、切り欠きおよび貫通孔を併用してもよい。
【0097】
上述した実施形態では、ストッパー99は、第1ストッパー99Aおよび第2ストッパー99Bを含んでいたが、少なくともいずれか一方を含んでいればよい。
【0098】
上述した実施形態では、ストッパー99は、第2開口部189を貫通するように配置されていたが、第1開口部187を貫通するように配置されていてもよい。
【0099】
上述した実施形態では、クラッチセンタ40は、第1クラッチセンタ41と、第2クラッチセンタ51とを備え、第1クラッチセンタ41と第2クラッチセンタ51とを組み付けて用いられているが、第1クラッチセンタ41と第2クラッチセンタ51とは一体であってもよい。
【0100】
上述した実施形態では、クラッチセンタ40は、センタ側アシストカム面60Aと、センタ側スリッパーカム面60Sとを備えていたが、クラッチセンタ40は、センタ側アシストカム面60Aおよびセンタ側スリッパーカム面60Sを備えていなくてもよい。また、プレッシャ部材70は、プレッシャ側アシストカム面90Aと、プレッシャ側スリッパーカム面90Sとを備えていたが、プレッシャ部材70は、プレッシャ側アシストカム面90Aおよびプレッシャ側スリッパーカム面90Sを備えていなくてもよい。
【0101】
上述した実施形態では、動力源としてエンジンを用いていたが、動力源はエンジンに限定されず、例えば電動モータ等であってもよい。
【0102】
本実施形態の鞍乗型車両とは、運転者が跨がって乗車する車両のことである。鞍乗型車両はスクータ等の自動二輪車に限定されない。鞍乗型車両は、例えば、自動三輪車、ATV(All Terrain vehicle)、スノーモービル等であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
10 クラッチ装置
15 出力軸
25 クラッチスプリング
30 クラッチハウジング
40 クラッチセンタ
41 第1クラッチセンタ
42 出力軸保持部
50 凹部(第1オイル通路)
62 ボス部
51 第2クラッチセンタ
70 プレッシャ部材
71 第1プレッシャ部材
71H 第1切り欠き(第1オイル通路)
71T 開口端部
75 外周面
80 筒状部
80A 区画壁
81 第2プレッシャ部材
81H 第2切り欠き(第2オイル通路)
84 スプリング収容部(収容部)
85 内周面
86 貫通孔(第2オイル通路)
95 空隙部