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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118899
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/18 20060101AFI20240826BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240826BHJP
   A47C 27/14 20060101ALI20240826BHJP
   B68G 7/06 20060101ALN20240826BHJP
【FI】
A47C7/18
B60N2/90
A47C27/14 A
B68G7/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025471
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】常盤 祐二
(72)【発明者】
【氏名】武本 一隆
(72)【発明者】
【氏名】大槻 慧
(72)【発明者】
【氏名】福田 修也
(72)【発明者】
【氏名】清水 昇明
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B096
【Fターム(参考)】
3B084CA04
3B087DE02
3B087DE03
3B096AB07
3B096AD07
(57)【要約】
【課題】シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触することに伴うシートクッションの表皮材の外観意匠の変化を抑制する。
【解決手段】車両用シート10は、シートクッション12と、シートバック14と、を備えている。クッションパッド18の後方側の端部18Aには、クッションパッド18の後方側の端部18Aとシートバック14の下方側の端部14Aとが接触した際に変形起点となる変形起点溝32が形成されている。クッションパッド18の後方側の端部18Aにおける左右方向の中央部26Cの硬度が、左右方向の側部26Aの硬度に対して変形起点溝32を境目として低い硬度に設定されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座乗員側が表皮材に覆われたクッションパッドを有し、シート上下方向への高さが調整可能とされ、着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションと、
シート下方側の端部が前記シートクッションのシート後方側の端部とシート上下方向に対向して配置され、着座乗員の背部をシート後方側から支持するシートバックと、
を備え、
前記クッションパッドのシート後方側の端部には、前記クッションパッドのシート後方側の端部と前記シートバックのシート下方側の端部とが接触した際に変形起点となる変形起点溝が形成され、
前記クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部の硬度が、シート幅方向の側部の硬度に対して前記変形起点溝を境目として低い硬度に設定されている車両用シート。
【請求項2】
前記表皮材において前記クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部を覆っている部分と前記表皮材において前記クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の側部を覆っている部分とは、着座乗員とは反対側へ延出している縫製代を有している状態で互いに縫製で接合され、
前記縫製代が、前記変形起点溝内に配置されている請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
着座乗員側が表皮材に覆われたクッションパッドを有し、シート上下方向への高さが調整可能とされ、着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションと、
シート下方側の端部が前記シートクッションのシート後方側の端部とシート上下方向に対向して配置され、着座乗員の背部をシート後方側から支持するシートバックと、
を備え、
前記クッションパッドのシート後方側の端部には、前記クッションパッドのシート後方側の端部と前記シートバックのシート下方側の端部とが接触した際に変形起点となる変形起点溝が形成され、
前記表皮材において前記クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部を覆っている部分と前記表皮材において前記クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の側部を覆っている部分とは、着座乗員とは反対側へ延出している縫製代を有している状態で互いに縫製で接合され、
前記縫製代が、前記変形起点溝内に配置されている車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シートクッションを上下方向に動かすことができる車両用シートが開示されている。この文献に記載された車両用シートでは、シートクッションの後部に凹部を形成することで、シートクッションの後部を変形させ易くしている。これにより、シートクッションの上下動に伴いシートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触した際に、シートクッションの後部が下方側へ容易に変形するようになっている。これにより、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触することに伴うシートクッションの表皮材の盛り上がり等の外観意匠の変化を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平3-60549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上説明したように、シートクッションを上下方向に動かすことができる車両用シートにおいては、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触することに伴うシートクッションの表皮材の外観意匠の変化を抑制できることが望ましい。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触することに伴うシートクッションの表皮材の外観意匠の変化を抑制できる車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の車両用シートは、着座乗員側が表皮材に覆われたクッションパッドを有し、シート上下方向への高さが調整可能とされ、着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションと、シート下方側の端部が前記シートクッションのシート後方側の端部とシート上下方向に対向して配置され、着座乗員の背部をシート後方側から支持するシートバックと、を備え、前記クッションパッドのシート後方側の端部には、前記クッションパッドのシート後方側の端部と前記シートバックのシート下方側の端部とが接触した際に変形起点となる変形起点溝が形成され、前記クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部の硬度が、シート幅方向の側部の硬度に対して前記変形起点溝を境目として低い硬度に設定されている。
【0007】
第1の態様の車両用シートによれば、シートクッションのシート上下方向への高さを調整する際に、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触すると、クッションパッドのシート後方側の端部が変形起点溝を起点として変形する。ここで、クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部の硬度が、シート幅方向の側部の硬度に対して変形起点溝を境目として低い硬度に設定されている。これにより、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触した際に、クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部をシート下方側へ変形させ易くすることができる。これにより、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触した際に、表皮材においてクッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部を覆っている部分がクッションパッドに対してズレ動くことが抑制され、当該部分及びその周辺における皺の発生を抑制することができる。このように、第1の態様の車両用シートによれば、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触することに伴うシートクッションの表皮材の外観意匠の変化を抑制できる。
【0008】
第2の態様の車両用シートは、第1の態様の車両用シートにおいて、前記表皮材において前記クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部を覆っている部分と前記表皮材において前記クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の側部を覆っている部分とは、着座乗員とは反対側へ延出している縫製代を有している状態で互いに縫製で接合され、前記縫製代が、前記変形起点溝内に配置されている。
【0009】
第2の態様の車両用シートによれば、表皮材においてクッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部を覆っている部分と表皮材においてクッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の側部を覆っている部分とは、着座乗員とは反対側へ延出している縫製代を有している状態で互いに縫製で接合されている。これに加えて、この縫製代は変形起点溝内に配置されている。換言すると、縫製代は変形起点溝に係止された状態となっている。これにより、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触した際に、表皮材においてクッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部を覆っている部分がクッションパッドに対してズレ動くことが抑制され、当該部分及びその周辺における皺の発生を抑制することができる。このように、第3の態様の車両用シートによれば、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触することに伴うシートクッションの表皮材の外観意匠の変化を抑制できる。
【0010】
第3の態様の車両用シートは、着座乗員側が表皮材に覆われたクッションパッドを有し、シート上下方向への高さが調整可能とされ、着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションと、シート下方側の端部が前記シートクッションのシート後方側の端部とシート上下方向に対向して配置され、着座乗員の背部をシート後方側から支持するシートバックと、を備え、前記クッションパッドのシート後方側の端部には、前記クッションパッドのシート後方側の端部と前記シートバックのシート下方側の端部とが接触した際に変形起点となる変形起点溝が形成され、前記表皮材において前記クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部を覆っている部分と前記表皮材において前記クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の側部を覆っている部分とは、着座乗員とは反対側へ延出している縫製代を有している状態で互いに縫製で接合され、前記縫製代が、前記変形起点溝内に配置されている。
【0011】
第3の態様の車両用シートによれば、シートクッションのシート上下方向への高さを調整する際に、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触すると、クッションパッドのシート後方側の端部が変形起点溝を起点として変形する。ここで、表皮材においてクッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部を覆っている部分と表皮材においてクッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の側部を覆っている部分とは、着座乗員とは反対側へ延出している縫製代を有している状態で互いに縫製で接合されている。これに加えて、この縫製代は変形起点溝内に配置されている。換言すると、縫製代は変形起点溝に係止された状態となっている。これにより、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触した際に、表皮材においてクッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の中央部を覆っている部分がクッションパッドに対してズレ動くことが抑制され、当該部分及びその周辺における皺の発生を抑制することができる。このように、第3の態様の車両用シートによれば、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触することに伴うシートクッションの表皮材の外観意匠の変化を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車両用シートは、シートクッションのシート後方側の端部とシートバックのシート下方側の端部とが接触することに伴うシートクッションの表皮材の外観意匠の変化を抑制できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の車両用シートの下部を示す側面図である。
図2】シートクッションを斜め前方側から見た斜視図である。
図3】シートクッションを上方側から見た平面図である。
図4】クッションパッドを斜め前方側から見た斜視図である。
図5】クッションパッドを上方側から見た平面図である。
図6図5に示された6-6線に沿って切断したクッションパッドの断面を示す断面図である。
図7図6に示された断面と対応する断面に沿って切断したクッションパッド及び表皮材の断面を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図7を用いて、本発明の実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、図中に示す矢印FR、矢印UP、矢印RH及び矢印LHは、車両用シート10に着座した乗員から見たシート前方側、上方側、右側及び左側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート左右方向の左右を示すものとする。また、シート左右方向は、シート幅方向と一致している。
【0015】
図1に示されるように、本実施形態の車両用シート10は、着座乗員の臀部を下方側から支持するシートクッション12と、着座乗員の背部を後方側から支持するシートバック14と、を備えている。また、車両用シート10は、シートクッション12を上下方向に昇降させる昇降装置16を備えている。
【0016】
図1図5に示されるように、シートクッション12は、図示しないクッションフレームと、クッションフレームに掛け渡された図示しないクッションパンと、を備えている。また、シートクッション12は、クッションパンによって下方側から支持されたクッションパッド18と、クッションパッド18における着座乗員側の面を覆う表皮材20と、を備えている。
【0017】
図4及び図5に示されるように、クッションパッド18は、ウレタンフォーム等を用いて定められた形状及び寸法のブロック状に形成されている。このクッションパッド18は、シート幅方向の中央部分を構成するメイン部22と、メイン部22に対して左右方向の両側にそれぞれ設けられた左右一対のサイドサポート部24と、を備えている。また、クッションパッド18は、メイン部22に対して後方側に設けられた後方サポート部26を備えている。
【0018】
メイン部22は、着座乗員の臀部及び大腿部を支持する部位である。このメイン部22の後方側の部位は、着座乗員の臀部を下方側から支持する臀部支持部22Aとなっている。また、メイン部22の前方側の部位は、着座乗員の大腿部を下方側から支持する大腿部支持部22Bとなっている。
【0019】
左右一対のサイドサポート部24は、メイン部22上の着座乗員が左右方向にズレ動くことを抑制するための部位である。左右一対のサイドサポート部24の上端部は、メイン部22の上面に対して上方側へ向けて突出しているサイド凸部24Aとなっている。
【0020】
後方サポート部26は、クッションパッド18の後方側の端部18Aを構成している。この後方サポート部26の左右方向の両側部26Aは、左右一対のサイドサポート部24とつながっている。後方サポート部26の上端部は、メイン部22の上面に対して上方側へ向けて突出している後方凸部26Bとなっている。
【0021】
図5に示されるように、クッションパッド18の上部における左右一対のサイドサポート部24及び後方サポート部26とメイン部22との境目には、上方側が開放されたU字状溝28が形成されている。このU字状溝28を上方側から見た形状はU字状となっている。また、クッションパッド18の上部における臀部支持部22Aと大腿部支持部22Bとの境目には、上方側が開放された左右溝30が左右方向にかけて形成されている。この左右溝30の左右方向の両端部は、それぞれU字状溝28とつながっている。
【0022】
図5及び図6に示されるように、後方サポート部26には、上方側が開放された左右一対の変形起点溝32が前後方向にかけて形成されている。左右一対の変形起点溝32は、後方サポート部26の左右方向の両側部26Aと左右方向の中央部26Cとの境目にそれぞれ形成されている。また、左右一対の変形起点溝32の前端部は、U字状溝28とつながっている。また、左右一対の変形起点溝32の後端側は、後方側へ開放されている。さらに、左右一対の変形起点溝32の底(下端部)は、メイン部22の上面に対して下方側へ位置していると共に緩やかに湾曲した形状となっている。
【0023】
また、本実施形態では、クッションパッド18においてメイン部22を形成している部位の硬度が、左右一対のサイドサポート部24を形成している部位の硬度よりも低い硬度に設定されている。
【0024】
これに加えて、本実施形態では、後方サポート部26における左右方向の中央部26Cを形成している部位の硬度が、左右方向の両側部26Aを形成している部位の硬度に対して左右一対の変形起点溝32を境目として低い硬度に設定されている。また、左右一対のサイドサポート部24とつながっている後方サポート部26の左右方向の両側部26Aの硬度が、左右一対のサイドサポート部24と同じ硬度に設定されている。さらに、メイン部22の後方側に位置している後方サポート部26の左右方向の中央部26Cの硬度が、メイン部22と同じ硬度に設定されている。
【0025】
表皮材20は、一例として革、合成皮革及び布等のシート状の部材を用いて形成されている。この表皮材20は、定められた形状及び寸法に裁断された複数のシート状の部材が縫製でつなぎ合わされること等により形成されている。
【0026】
詳述すると、図2及び図3に示されるように、表皮材20は、クッションパッド18のメイン部22を覆う第1被覆部20A及び第2被覆部20Bを備えている。第1被覆部20Aはメイン部22の臀部支持部22Aを覆っている。また、第2被覆部20Bはメイン部22の大腿部支持部22Bを覆っている。
【0027】
また、表皮材20は、クッションパッド18の左側のサイドサポート部24から後方サポート部26の左側の側部26Aにかけての範囲を覆う第3被覆部20Cと、クッションパッド18の右側のサイドサポート部24から後方サポート部26の右側の側部26Aにかけての範囲を覆う第4被覆部20Dと、を備えている。さらに、表皮材20は、後方サポート部26の左右方向の中央部26Cを覆う第5被覆部20Eを備えている。
【0028】
以上説明した第1被覆部20A~第5被覆部20Eは、着座乗員とは反対側へ延出している縫製代を有している状態で互いに縫製で接合されている。そして、各縫製代がU字状溝28、左右溝30及び左右一対の変形起点溝32内に配置された状態で、表皮材20がクッションパッド18に取付けられている。
【0029】
図7には、図6に示された断面と対応する断面に沿って切断したクッションパッド18及び表皮材20の断面を模式的に示す模式図が示されている。この図に示されるように、左側の変形起点溝32内には、第3被覆部20Cと第5被覆部20Eとの縫製代20Fが配置されている。また、右側の変形起点溝32内には、第4被覆部20Dと第5被覆部20Eとの縫製代20Fが配置されている。
【0030】
図1に示されるように、シートバック14の下端部14Aは、シートクッション12の後方側の端部12A(後方サポート部26)と上下方向に対向して配置されている。このシートバック14の下端部14Aは、支持部材34等を介してシートスライドレール36に支持されている。
【0031】
昇降装置16は、シートスライドレール36と図示しないクッションフレームとの間に設けられている。この昇降装置16が作動することで、シートクッション12が車体のフロア及びシートバック14に対して上下方向に昇降するようになっている。
【0032】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0033】
図1に示されるように、以上説明した本実施形態の車両用シート10によれば、昇降装置16によってシートクッション12の上下方向への高さを調整する際に、シートクッション12の後方側の端部12Aとシートバック14の下方側の端部14Aとが接触すると、図5図7に示されるように、クッションパッド18の後方側の端部18Aである後方サポート部26が左右一対の変形起点溝32を起点として変形する。
【0034】
ここで、後方サポート部26における左右方向の中央部26Cの硬度が、左右方向の両側部26Aの硬度に対して左右一対の変形起点溝32を境目として低い硬度に設定されている。これにより、シートクッション12の後方側の端部12Aとシートバック14の下方側の端部14Aとが接触した際に、後方サポート部26における左右方向の中央部26Cを下方側へ変形させ易くすることができる。これにより、シートクッション12の後方側の端部12Aとシートバック14の下方側の端部14Aとが接触した際に、表皮材20の第5被覆部20Eがクッションパッド18に対してズレ動くことが抑制され、当該部分及びその周辺における皺の発生を抑制することができる。このように、本実施形態では、シートクッション12の後方側の端部12Aとシートバック14の下方側の端部14Aとが接触することに伴うシートクッション12の表皮材20の外観意匠の変化を抑制できる。
【0035】
また、本実施形態の車両用シート10では、第3被覆部20Cと第5被覆部20Eとの縫製代20Fが左側の変形起点溝32内に配置されており、第4被覆部20Dと第5被覆部20Eとの縫製代20Fが右側の変形起点溝32内に配置されている。換言すると、第3被覆部20Cと第5被覆部20Eとの縫製代20Fが左側の変形起点溝32に係止されており、第4被覆部20Dと第5被覆部20Eとの縫製代20Fが右側の変形起点溝32に係止されている。これにより、シートクッション12の後方側の端部12Aとシートバック14の下方側の端部14Aとが接触した際に、表皮材20の第5被覆部20Eがクッションパッド18に対してズレ動くことがより一層抑制され、当該部分及びその周辺における皺の発生をより一層抑制することができる。その結果、本実施形態の車両用シート10では、シートクッション12の後方側の端部12Aとシートバック14の下方側の端部14Aとが接触することに伴うシートクッション12の表皮材20の外観意匠の変化をより一層抑制できる。
【0036】
なお、本実施形態では、第3被覆部20Cと第5被覆部20Eとの縫製代20Fを左側の変形起点溝32内に配置し、第4被覆部20Dと第5被覆部20Eとの縫製代20Fを右側の変形起点溝32内に配置した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第3被覆部20C~第5被覆部20Eと対応する部材が1枚の部材となっている構成においては、当該部材には縫製代が無い。この場合においては、左右一対の変形起点溝32の開放端側を当該部材によって覆うようにすれば良い。
【0037】
また、本実施形態では、左右一対の変形起点溝32を形成した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。変形起点溝32の数は、クッションパッド18の剛性や表皮材20の構成等を考慮して適宜設定すればよい。
【0038】
また、本実施形態では、後方サポート部26における左右方向の中央部26Cの硬度が、左右方向の両側部26Aの硬度に対して左右一対の変形起点溝32を境目として低い硬度に設定されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、後方サポート部26の各部の硬度を一様な硬度としてもよい。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
10 車両用シート
12 シートクッション
12A シートクッションのシート後方側の端部
14 シートバック
14A シートバックのシート下方側の端部
18 クッションパッド
18A クッションパッドのシート後方側の端部
20 表皮材
20F 縫製代
26A 後方サポート部の左右方向の中央部(クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の側部)
26C 後方サポート部の側部(クッションパッドのシート後方側の端部におけるシート幅方向の側部)
32 変形起点溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7