(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118902
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240826BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20240826BHJP
G05B 19/418 20060101ALN20240826BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025475
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】東野 昌記
【テーマコード(参考)】
3C100
5E353
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA38
3C100AA70
3C100BB13
3C100EE07
5E353CC04
5E353CC05
5E353CC08
5E353CC12
5E353CC17
5E353CC22
5E353EE53
5E353EE54
5E353EE61
5E353KK01
5E353KK11
5E353LL04
5E353QQ01
5E353QQ05
5E353QQ08
(57)【要約】
【課題】実装機における部品搭載基板の生産において処理状態の異常が発生した場合に、処理状態の異常によって生じる部品の損失金額を指標として、当該処理状態の異常を改善するための対処を講じることが可能な部品実装システムを提供する。
【解決手段】管理装置15の算出部1542は、管理記憶部153に蓄積された管理データDMに基づいて、処理状態が正常である場合の確率を示す正常処理率データD8と、処理状態が異常である場合に生じる部品の損失金額に関する損失額データD9と、を算出する。そして、管理装置15の判断部1543は、正常処理率データD8及び損失額データD9に基づいて、処理状態の異常を改善するための対処として、搭載ヘッド251のメンテナンス作業、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業、及び、データ作成装置14による実装制御データD5を修正する修正処理、の各対処が必要であるか否かを判断する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給する複数のフィーダが配列された部品供給部と、前記複数のフィーダの各々により供給された部品を吸着するとともに当該吸着した部品を基板に搭載する部品吸着搭載動作を行うことで部品搭載基板を得る複数の搭載ヘッドと、前記複数の搭載ヘッドによる部品の吸着状態を認識し、当該認識の結果を示す吸着状態データを出力する吸着状態認識部と、を有する実装機と、
前記実装機の制御に関する実装制御データを作成するデータ作成装置と、
前記実装機及び前記データ作成装置を管理する管理装置と、を備え、
前記管理装置は、
前記吸着状態データと、前記部品搭載基板における部品の搭載状態のデータを示す搭載状態データと、部品の種類を示す部品種データと、を関連付けた管理データを、前記複数の搭載ヘッドの前記部品吸着搭載動作ごとに蓄積して記憶する記憶部と、
前記記憶部に蓄積された前記管理データのデータ群に基づいて、前記吸着状態及び前記搭載状態の少なくとも何れかで示される処理状態が正常である場合の確率を示す正常処理率データと、前記処理状態が異常である場合に生じる部品の損失金額に関する損失額データと、を前記部品種データと関連付けて算出する算出部と、
前記正常処理率データ及び前記損失額データに基づいて、前記処理状態の異常を改善するための対処として、前記搭載ヘッドのメンテナンス作業、前記吸着状態認識部の認識状況の確認作業、及び、前記データ作成装置による前記実装制御データを修正する修正処理、の各対処のうちの少なくとも一つが必要であるか否かを判断する判断部と、を含む、部品実装システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記判断部により前記メンテナンス作業及び前記確認作業の各作業が必要であると判断された場合、当該各作業の実施を指示する作業指示情報を出力する作業指示部を、更に含む、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記管理データは、前記複数の搭載ヘッドによる部品の吸着レベルを示す吸着レベルデータを含み、
前記作業指示部は、前記処理状態の異常の改善に対する前記メンテナンス作業及び前記確認作業の有効性について、前記吸着レベルデータに基づいて前記メンテナンス作業の有効性を判定するとともに、前記吸着状態データに基づいて前記確認作業の有効性を判定し、前記メンテナンス作業及び前記確認作業の各作業が有効である場合に前記作業指示情報を出力する、請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記判断部により前記データ作成装置の前記修正処理が必要であると判断された場合、前記データ作成装置による前記修正処理の実行を指示するデータ修正指示情報を出力するデータ修正指示部を、更に含み、
前記データ作成装置は、前記データ修正指示情報に応じて、前記修正処理を実行する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記データ作成装置は、前記実装制御データを作成するデータ作成部を有し、
前記データ作成部は、
前記複数の搭載ヘッドの前記部品吸着搭載動作に関する動作データを含む前記実装制御データを作成し、
前記修正処理において、前記動作データを基準値に対して所定の修正率の値に自動で修正する、請求項4に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記データ作成部は、前記修正処理において、前記正常処理率データ及び前記損失額データに応じた前記修正率に基づいて、予め設定された閾値範囲内で前記動作データを修正する、請求項5に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記データ作成装置は、データの入力操作を受け付ける入力操作部を、更に有し、
前記データ作成部は、
前記動作データと、前記部品吸着搭載動作の際の前記複数の搭載ヘッドの位置に関する位置データと、を含む前記実装制御データを作成し、
前記修正処理において、前記入力操作部を介して入力されるデータに応じて前記位置データを修正する、請求項5に記載の部品実装システム。
【請求項8】
前記管理装置は、前記複数のフィーダにより供給される各部品について前記複数の搭載ヘッドによる前記部品吸着搭載動作が同一シーケンスの部品のグループを示す吸着グループを作成するとともに、前記複数のフィーダの前記部品供給部における配列を作成する実装管理部を、更に含み、
前記実装管理部は、
前記データ作成部により修正された前記動作データに基づき前記複数の搭載ヘッドの前記部品吸着搭載動作が制御されたときに前記部品搭載基板の生産効率に関する指標値が所定の許容値を下回る場合、前記吸着グループを変更するグループ変更処理を行い、
前記グループ変更処理の処理後において前記指標値が前記許容値を下回ったままの場合には、前記複数のフィーダの前記部品供給部における配列を変更する配列変更処理を行う、請求項5に記載の部品実装システム。
【請求項9】
前記算出部は、前記実装機における所定の目標数の前記部品搭載基板の生産を想定した場合の部品の損失金額、前記部品搭載基板の単位生産数あたりの部品の損失金額、及び、前記部品搭載基板の単位生産時間あたりの部品の損失金額の何れかを、前記損失額データとして算出する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項10】
前記判断部は、前記実装機における前記部品搭載基板の生産中において、前記メンテナンス作業、前記確認作業、及び、前記データ作成装置による前記修正処理の各対処が必要であるか否かを判断する、請求項1~9のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装機を備えた部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板等の基板上に電子部品(以下、単に「部品」という)を搭載して部品搭載基板を得る実装機を備えた部品実装システムが知られている。この種の部品実装システムにおいて実装機は、部品を供給するフィーダと、フィーダにより供給された部品を吸着するとともに当該吸着した部品を基板に搭載する搭載ヘッドと、を備える。
【0003】
実装機では、搭載ヘッドによる部品の吸着状態が異常な状態となり、吸着エラーが発生する場合がある。このような部品の吸着エラーが発生すると、基板に対する部品の的確な搭載が不能になる虞がある。基板に対する部品の的確な搭載が不能になると、実装機によって生産される部品搭載基板の品質に影響を与える。このため、吸着エラーが発生した場合には、当該吸着エラーに対応した部品を廃棄する処置を取る場合がある。この場合、廃棄される部品の金額分が、部品搭載基板の生産における損失金額となる。
【0004】
特許文献1には、吸着エラーの発生によって生じる部品の損失金額に基づいて、実装機における部品搭載基板の生産を管理する技術が開示されている。特許文献1に開示される技術では、吸着エラーの発生数に関する吸着エラー数データと、吸着エラーの発生によって生じる部品の損失金額に関する吸着エラー損失額データとが、表示装置に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される技術では、吸着エラー数データと吸着エラー損失額データとが表示されるに過ぎない。このため、表示装置の表示内容を確認しても、オペレータは、搭載ヘッドによる部品の吸着状態、及び、部品搭載基板における部品の搭載状態の少なくとも何れかで示される処理状態の異常を改善するための対処を講じることが困難である。
【0007】
本発明の目的は、実装機における部品搭載基板の生産において処理状態の異常が発生した場合に、処理状態の異常によって生じる部品の損失金額を指標として、当該処理状態の異常を改善するための対処を講じることが可能な部品実装システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る部品実装システムは、部品を供給する複数のフィーダが配列された部品供給部と、前記複数のフィーダの各々により供給された部品を吸着するとともに当該吸着した部品を基板に搭載する部品吸着搭載動作を行うことで部品搭載基板を得る複数の搭載ヘッドと、前記複数の搭載ヘッドによる部品の吸着状態を認識し、当該認識の結果を示す吸着状態データを出力する吸着状態認識部と、を有する実装機と、前記実装機の制御に関する実装制御データを作成するデータ作成装置と、前記実装機及び前記データ作成装置を管理する管理装置と、を備える。前記管理装置は、前記吸着状態データと、前記部品搭載基板における部品の搭載状態のデータを示す搭載状態データと、部品の種類を示す部品種データと、を関連付けた管理データを、前記複数の搭載ヘッドの前記部品吸着搭載動作ごとに蓄積して記憶する記憶部と、前記記憶部に蓄積された前記管理データのデータ群に基づいて、前記吸着状態及び前記搭載状態の少なくとも何れかで示される処理状態が正常である場合の確率を示す正常処理率データと、前記処理状態が異常である場合に生じる部品の損失金額に関する損失額データと、を前記部品種データと関連付けて算出する算出部と、前記正常処理率データ及び前記損失額データに基づいて、前記処理状態の異常を改善するための対処として、前記搭載ヘッドのメンテナンス作業、前記吸着状態認識部の認識状況の確認作業、及び、前記データ作成装置による前記実装制御データを修正する修正処理、の各対処のうちの少なくとも一つが必要であるか否かを判断する判断部と、を含む。
【0009】
この部品実装システムによれば、実装機、及び、実装機の制御に関する実装制御データを作成するデータ作成装置が、管理装置によって管理される。管理装置では、吸着状態データ、搭載状態データ及び部品種データを含む管理データが、記憶部に、搭載ヘッドの部品吸着搭載動作ごとに蓄積される。この記憶部に蓄積された管理データのデータ群に基づいて、算出部は、搭載ヘッドによる部品の吸着状態及び部品搭載基板における部品の搭載状態の少なくとも何れかで示される処理状態が正常である場合の確率を示す正常処理率データと、処理状態が異常である場合に生じる部品の損失金額に関する損失額データと、を算出する。そして、判断部は、正常処理率データ及び損失額データに基づいて、処理状態の異常を改善するための対処として、搭載ヘッドのメンテナンス作業、吸着状態認識部の認識状況の確認作業、及び、データ作成装置による実装制御データを修正する修正処理、の各対処のうちの少なくとも一つが必要であるか否かを判断する。この判断部の判断結果に基づいて、実装機における部品搭載基板の生産において処理状態の異常が発生した場合に、処理状態の異常によって生じる部品の損失金額を指標として、オペレータは、当該処理状態の異常を改善するための各対処として、搭載ヘッドのメンテナンス作業、吸着状態認識部の認識状況の確認作業、及び、データ作成装置による実装制御データを修正する修正処理の各対処を講じることが可能となる。
【0010】
上記の部品実装システムにおいて、前記管理装置は、前記判断部により前記メンテナンス作業及び前記確認作業の各作業が必要であると判断された場合、当該各作業の実施を指示する作業指示情報を出力する作業指示部を、更に含んでもよい。
【0011】
この態様では、オペレータは、管理装置の作業指示部により出力された作業指示情報に基づいて、処理状態の異常を改善するための対処として、搭載ヘッドのメンテナンス作業、吸着状態認識部の認識状況の確認作業を実施することができる。
【0012】
上記の部品実装システムにおいて、前記管理データは、前記複数の搭載ヘッドによる部品の吸着レベルを示す吸着レベルデータを含んでもよい。この場合、前記作業指示部は、前記処理状態の異常の改善に対する前記メンテナンス作業及び前記確認作業の有効性について、前記吸着レベルデータに基づいて前記メンテナンス作業の有効性を判定するとともに、前記吸着状態データに基づいて前記確認作業の有効性を判定し、前記メンテナンス作業及び前記確認作業の各作業が有効である場合に前記作業指示情報を出力する。
【0013】
部品の吸着性を低下させるような汚れ等が搭載ヘッドに生じていた場合、搭載ヘッドによる部品の吸着レベルを示す吸着レベルデータが、例えば基準の吸着レベルを下回る現象が生じ得る。この場合、搭載ヘッドによる部品の吸着状態の異常が生じる可能性はあるが、このような吸着状態の異常は搭載ヘッドのメンテナンス作業によって改善することが可能である。そこで、管理装置の作業指示部は、吸着レベルデータに基づいて搭載ヘッドのメンテナンス作業の有効性を判定することができる。
【0014】
一方、吸着状態認識部により出力される吸着状態データで示される搭載ヘッドによる部品の吸着状態の異常は、搭載ヘッドに部品が吸着されていない等の吸着異常と、吸着状態認識部の認識異常とに大別される。吸着状態の異常が吸着異常である場合には、搭載ヘッドのメンテナンス作業が有効である可能性がある一方、吸着状態の異常が認識異常である場合には、吸着状態認識部の認識状況の確認作業を行い、当該認識状況を調整することが有効である可能性がある。そこで、管理装置の作業指示部は、吸着状態データに基づいて吸着状態認識部の認識状況の確認作業の有効性を判定することができる。
【0015】
上記の部品実装システムにおいて、前記管理装置は、前記判断部により前記データ作成装置の前記修正処理が必要であると判断された場合、前記データ作成装置による前記修正処理の実行を指示するデータ修正指示情報を出力するデータ修正指示部を、更に含んでもよい。この場合、前記データ作成装置は、前記データ修正指示情報に応じて、前記修正処理を実行する。
【0016】
この態様では、データ作成装置は、管理装置のデータ修正指示部により出力されたデータ修正指示情報に応じて、処理状態の異常を改善するための対処として、実装制御データを修正する修正処理を実行することができる。
【0017】
上記の部品実装システムにおいて、前記データ作成装置は、前記実装制御データを作成するデータ作成部を有してもよい。この場合、前記データ作成部は、前記複数の搭載ヘッドの前記部品吸着搭載動作に関する動作データを含む前記実装制御データを作成する。そして、前記データ作成部は、前記修正処理において、前記動作データを基準値に対して所定の修正率の値に自動で修正する。
【0018】
この態様では、データ作成部は、実装制御データに含まれる動作データについては、基準値に対して所定の修正率の値に自動で修正する。これにより、動作データの修正については例えばオペレータの入力操作が不要であるので、データ作成部による修正処理の処理効率の向上が図られる。
【0019】
上記の部品実装システムにおいて、前記データ作成部は、前記修正処理において、前記正常処理率データ及び前記損失額データに応じた前記修正率に基づいて、予め設定された閾値範囲内で前記動作データを修正する。
【0020】
この態様では、データ作成部は、正常処理率データ及び損失額データに応じるとともに、所定の閾値範囲内の的確な値に動作データを修正することができる。
【0021】
上記の部品実装システムにおいて、前記データ作成装置は、データの入力操作を受け付ける入力操作部を、更に有してもよい。前記データ作成部は、前記動作データと、前記部品吸着搭載動作の際の前記複数の搭載ヘッドの位置に関する位置データと、を含む前記実装制御データを作成する。そして、前記データ作成部は、前記修正処理において、前記入力操作部を介して入力されるデータに応じて前記位置データを修正する。
【0022】
この態様では、実装制御データに含まれる位置データについては、データ作成部は、入力操作部を介して入力されるデータに応じて修正することができる。
【0023】
上記の部品実装システムにおいて、前記管理装置は、前記複数のフィーダにより供給される各部品について前記複数の搭載ヘッドによる前記部品吸着搭載動作が同一シーケンスの部品のグループを示す吸着グループを作成するとともに、前記複数のフィーダの前記部品供給部における配列を作成する実装管理部を、更に含んでもよい。この場合、前記実装管理部は、前記データ作成部により修正された前記動作データに基づき前記複数の搭載ヘッドの前記部品吸着搭載動作が制御されたときに前記部品搭載基板の生産効率に関する指標値が所定の許容値を下回る場合、前記吸着グループを変更するグループ変更処理を行い、前記グループ変更処理の処理後において前記指標値が前記許容値を下回ったままの場合には、前記複数のフィーダの前記部品供給部における配列を変更する配列変更処理を行う。
【0024】
この態様では、データ作成部により修正された動作データに基づき複数の搭載ヘッドの部品吸着搭載動作が制御されたときに部品搭載基板の生産効率に関する指標値が所定の許容値を下回る場合、実装管理部は、複数のフィーダにより供給される各部品について複数の搭載ヘッドによる部品吸着搭載動作が同一シーケンスの部品の吸着グループを変更するグループ変更処理を行う。このような吸着グループの変更によって、動作データの修正に起因した部品搭載基板の生産効率に関する指標値の低下を抑制することが可能となる。また、グループ変更処理の処理後において部品搭載基板の生産効率に関する指標値が所定の許容値を下回ったままの場合には、実装管理部は、複数のフィーダの部品供給部における配列を変更する配列変更処理を行う。これにより、動作データの修正に起因した部品搭載基板の生産効率に関する指標値の低下をより確実に抑制することが可能となる。
【0025】
上記の部品実装システムにおいて、前記算出部は、前記実装機における所定の目標数の前記部品搭載基板の生産を想定した場合の部品の損失金額、前記部品搭載基板の単位生産数あたりの部品の損失金額、及び、前記部品搭載基板の単位生産時間あたりの部品の損失金額の何れかを、前記損失額データとして算出してもよい。
【0026】
この態様では、算出部は、処理状態が異常である場合に生じる部品の損失金額に関する損失額データを、様々な視点で算出することができる。
【0027】
上記の部品実装システムにおいて、前記判断部は、前記実装機における前記部品搭載基板の生産中において、前記メンテナンス作業、前記確認作業、及び、前記データ作成装置による前記修正処理の各対処が必要であるか否かを判断する。
【0028】
この態様では、処理状態の異常を改善するための対処として、搭載ヘッドのメンテナンス作業、吸着状態認識部の認識状況の確認作業、及び、データ作成装置による実装制御データを修正する修正処理の各対処が必要であるか否かの判断を、実装機における部品搭載基板の生産中において定期的に実施することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、実装機における部品搭載基板の生産において処理状態の異常が発生した場合に、処理状態の異常によって生じる部品の損失金額を指標として、当該処理状態の異常を改善するための対処を講じることが可能な部品実装システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係る部品実装システムの全体構成を示す図である。
【
図2】部品実装システムに備えられる実装機のブロック図である。
【
図3】実装機における実装機本体の構成を示す平面図である。
【
図4】部品実装システムに備えられるデータ作成装置のブロック図である。
【
図5】部品実装システムに備えられる管理装置のブロック図である。
【
図6】部品実装システムの処理を説明する図であって、判断部、作業指示部及びデータ修正指示部の各処理を説明する図である。
【
図7】部品実装システムの処理を説明する図であって、データ作成部及び実装管理部の各処理を説明する図である。
【
図8】部品実装システムの処理のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係る部品実装システムについて図面に基づいて説明する。
【0032】
図1に示されるように、本実施形態に係る部品実装システム100は、実装ライン11と、データ作成装置14と、管理装置15とを備えている。実装ライン11は、部品が搭載された部品搭載基板PPAを生産する実装機12を少なくとも含む。実装ライン11では、複数の実装機12と検査装置13とが直線状に並ぶように連結されている。データ作成装置14は、実装機12の制御に関する実装制御データD5を作成する。実装機12は、データ作成装置14により作成された実装制御データD5に基づいて、部品搭載基板PPAを生産するための各種の動作を行う。管理装置15は、実装機12、検査装置13及びデータ作成装置14を管理するための装置である。管理装置15は、実装機12、検査装置13及びデータ作成装置14とデータ通信可能に接続されている。
【0033】
実装機12について、
図1に加えて
図2,3を参照しながら説明する。なお、
図3では、水平面上において互いに直交するXY直交座標を用いて方向関係が示されている。実装機12は、半田ペーストのパターンが形成された基板PP上に電子部品(以下、「部品」と称する)が搭載された部品搭載基板PPAを生産するための装置である。
【0034】
実装機12は、実装機本体2と、実装制御部4と、実装通信部40と、実装記憶部48とを備える。実装機本体2は、部品搭載基板PPAの生産時において、基板PPに部品を搭載する部品搭載処理等を行う構造部分である。実装通信部40は、管理装置15とデータ通信を行うためのインターフェースであり、各種のデータ及び情報を管理装置15に向けて出力するとともに、管理装置15から送られた例えば作業指示情報J1が入力される。実装制御部4は、実装記憶部48に記憶された実装制御データD5に従って実装機本体2の部品搭載処理等を制御するとともに、実装通信部40のデータ通信を制御する。
【0035】
実装機本体2は、本体フレーム21と、コンベア23と、部品供給部24と、ヘッドユニット25と、基板支持ユニット28とを備える。
【0036】
本体フレーム21は、実装機本体2を構成する各部が配置される構造体であり、X軸方向及びY軸方向の両方向と直交する方向(鉛直方向)から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア23は、X軸方向に延び、本体フレーム21に配置される。コンベア23は、基板PPをX軸方向に搬送する。コンベア23上を搬送される基板PPは、所定の作業位置(基板PP上に部品が搭載される部品搭載位置)に、基板支持ユニット28によって位置決めされる。基板支持ユニット28は、基板PPを下方側から支持することによって、当該基板PPをコンベア23上において位置決めする。なお、
図3では、基板PPを搬送するレーンとなるコンベア23が1台であるシングルレーン型の基板搬送機構が例示されているが、コンベア23が2台となるデュアルレーン型の基板搬送機構としてもよい。
【0037】
部品供給部24は、本体フレーム21におけるY軸方向の両端部のそれぞれの領域部分に、コンベア23を挟んで配置される。部品供給部24は、本体フレーム21において、フィーダ24Fが複数並設された状態で装着される領域であって、後述のヘッドユニット25に備えられる搭載ヘッド251による吸着保持対象の部品ごとに、各フィーダ24Fのセット位置が区画されている。フィーダ24Fは、部品供給部24に着脱自在に装着される。フィーダ24Fは、部品を供給する部品供給処理を行う装置である。フィーダ24Fは、複数の部品を保持し、その保持した部品をフィーダ内に設定された所定の部品供給位置に供給できるものであれば特に限定されず、例えばテープフィーダである。テープフィーダは、部品を所定間隔おきに収納した部品収納テープが巻回されたリールを備え、そのリールから部品収納テープを送出することにより部品を供給するフィーダである。
【0038】
ヘッドユニット25は、移動フレーム27に保持されている。本体フレーム21上には、Y軸方向に延びる固定レール261と、Y軸サーボモータ263により回転駆動されるボールねじ軸262とが配設されている。移動フレーム27は固定レール261上に配置され、この移動フレーム27に設けられたナット部分271がボールねじ軸262に螺合している。また、移動フレーム27には、X軸方向に延びるガイド部材272と、X軸サーボモータ274により駆動されるボールねじ軸273とが配設されている。このガイド部材272にヘッドユニット25が移動可能に保持され、このヘッドユニット25に設けられたナット部分がボールねじ軸273に螺合している。そして、Y軸サーボモータ263の作動により移動フレーム27がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ274の作動によりヘッドユニット25が移動フレーム27に対してX軸方向に移動する。すなわち、ヘッドユニット25は、移動フレーム27の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム27に沿ってX軸方向に移動可能である。ヘッドユニット25は、部品供給部24と基板支持ユニット28に支持された基板PPとの間で移動可能である。ヘッドユニット25は、部品供給部24と基板PPとの間で移動することにより、部品を吸着保持するとともに当該吸着保持した部品を基板PPに搭載する部品吸着搭載動作を実行する。
【0039】
ヘッドユニット25は、複数の搭載ヘッド251を備えている。各搭載ヘッド251は、フィーダ24Fにより供給された部品を吸着するとともに当該吸着した部品を基板PPに搭載する部品吸着搭載動作を行う。この搭載ヘッド251の部品吸着搭載動作により、実装機12において部品搭載基板PPAが生産される。搭載ヘッド251は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、搭載ヘッド251に負圧が供給されることで当該搭載ヘッド251による部品の吸着保持が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。搭載ヘッド251は、吸着した部品を基板PPに搭載する部品搭載処理を、基板PPに設定された複数の目標搭載位置の各々に対応して行う。
【0040】
各搭載ヘッド251は、ヘッドユニット25のフレームに対してZ軸方向(鉛直方向)に昇降可能であるとともに、Z軸方向に延びるヘッド軸回りの回転が可能とされている。各搭載ヘッド251は、部品の吸着保持が可能な吸着高さ位置と、吸着高さ位置に対して上方側の退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。つまり、各搭載ヘッド251は、部品を吸着保持するときには、退避位置から吸着高さ位置へ向かって下降し、当該吸着高さ位置において部品を吸着保持する。一方、部品の吸着保持後の各搭載ヘッド251は、吸着高さ位置から退避位置へ向かって上昇する。更に、各搭載ヘッド251は、吸着保持した部品を基板PP上の予め定められた目標搭載位置に搭載することが可能な搭載高さ位置と、前記退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。
【0041】
図2及び
図3に示されるように、実装機本体2は、実装撮像部3と、実装表示部34とを更に備える。実装表示部34は、オペレータが確認する各種のデータや情報を表示する。実装撮像部3は、撮像対象を撮像する撮像動作を行って撮像画像を取得する。実装撮像部3は、第1撮像部31と、第2撮像部32と、第3撮像部33とを含む。
【0042】
第1撮像部31は、本体フレーム21上において部品供給部24とコンベア23との間に設置され、例えばCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やCCD(Charged-coupled device)等の撮像素子を備えた撮像カメラである。第1撮像部31は、各搭載ヘッド251が部品吸着搭載動作を実行しているときに、部品供給部24から基板支持ユニット28により支持された基板PPへ向かってヘッドユニット25が移動している間において、各搭載ヘッド251によって吸着保持された部品を、下方側から撮像して吸着処理画像を取得する。吸着処理画像は、各搭載ヘッド251による部品の吸着状態を示す画像である。吸着処理画像は、各搭載ヘッド251による部品の吸着状態として、例えば、搭載ヘッド251に部品が吸着されていない吸着ミスの状態、搭載ヘッド251に吸着された部品の姿勢、搭載ヘッド251に対する部品の吸着位置のずれ量などを確認することが可能な画像である。吸着処理画像は、後記の実装制御部4に入力され、吸着状態認識部46による搭載ヘッド251に対する部品の吸着状態の認識処理の際に参照される。
【0043】
第2撮像部32は、ヘッドユニット25に配置され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。第2撮像部32は、フィーダ24Fに設定された部品供給位置の直上に搭載ヘッド251が位置するようにヘッドユニット25が配置された状態で、フィーダ24Fの部品供給位置を斜め上方から撮像する。具体的には、第2撮像部32は、搭載ヘッド251が部品を吸着する前に、フィーダ24Fにより部品供給位置に供給された部品を斜め上方から撮像して第1供給処理画像を取得する。更に、第2撮像部32は、フィーダ24Fにより部品供給位置に供給された部品に対して搭載ヘッド251が吸着動作を行っている最中の部品供給位置の状態を撮像して、第2供給処理画像を取得する。また、第2撮像部32は、搭載ヘッド251による吸着動作の終了後における部品供給位置の状態を撮像して、第3供給処理画像を取得する。第1供給処理画像は、フィーダ24Fの部品供給位置に供給された部品の姿勢を確認することが可能な画像である。第2供給処理画像及び第3供給処理画像は、部品供給位置に供給された部品の搭載ヘッド251による吸着時の姿勢を確認することが可能な画像である。第1~第3供給処理画像は、実装制御部4に入力され、吸着状態認識部46による搭載ヘッド251に対する部品の吸着状態の認識処理の際に参照される。
【0044】
第3撮像部33は、ヘッドユニット25に配置され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。第3撮像部33は、各搭載ヘッド251が部品吸着搭載動作を実行しているときに、基板支持ユニット28により支持された基板PPの上面に付設されている各種マークを認識するために、当該マークを上方側から撮像する。第3撮像部33による基板PP上のマークの認識によって、基板PPの原点座標に対する位置ずれ量が検知される。
【0045】
実装記憶部48は、実装制御部4によって参照される実装制御データD5を記憶する。実装制御データD5は、後記のデータ作成装置14により作成される。すなわち、実装記憶部48は、データ作成装置14により作成された実装制御データD5を記憶する。
【0046】
実装制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶領域、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。実装制御部4は、CPUがHDDやフラッシュメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、実装機本体2の各構成要素の動作を制御するとともに、実装通信部40のデータ通信動作を制御し、更には各種演算処理を実行する。実装制御部4は、実装記憶部48に記憶された実装制御データD5に従って実装機本体2の各構成要素の動作を制御する。
図2に示されるように、実装制御部4は、主たる機能構成として、通信制御部41と、基板搬送制御部42と、部品供給制御部43と、ヘッド制御部44と、撮像制御部45と、吸着状態認識部46と、表示制御部47とを含む。
【0047】
通信制御部41は、実装通信部40を制御することにより、実装機12と管理装置15との間のデータ通信を制御する。通信制御部41によって制御された実装通信部40は、各搭載ヘッド251により吸着された部品の種類を示す部品種データD1と、後記の吸着状態認識部46によって出力される吸着状態データD2と、各搭載ヘッド251による部品の吸着レベルを示す吸着レベルデータD3と、を各搭載ヘッド251の部品吸着搭載動作ごとに管理装置15に送る。また、実装通信部40は、管理装置15から送られた後記の作業指示情報J1が入力される。
【0048】
基板搬送制御部42は、コンベア23による基板PPの搬送動作を制御する。部品供給制御部43は、実装制御データD5に従って、部品供給部24に配列された複数のフィーダ24Fの各々の部品供給処理を制御する。ヘッド制御部44は、実装制御データD5に従って、ヘッドユニット25を制御することにより搭載ヘッド251を制御する。これにより、ヘッド制御部44は、基板PPに設定された複数の目標搭載位置の各々に対応して、搭載ヘッド251による部品吸着処理を実行させるとともに、搭載ヘッド251による部品搭載処理を実行させる。撮像制御部45は、実装撮像部3を構成する第1撮像部31、第2撮像部32及び第3撮像部33による撮像動作を制御する。表示制御部47は、実装表示部34による各種の情報やデータの表示動作を制御する。
【0049】
吸着状態認識部46は、第1撮像部31によって取得された吸着処理画像、及び、第2撮像部32によって取得された第1~第3供給処理画像に基づいて、各搭載ヘッド251による部品の吸着状態を認識し、当該認識の結果を示す吸着状態データD2を出力する。吸着状態データD2で示される各搭載ヘッド251による部品の吸着状態としては、各搭載ヘッド251に部品が正常に吸着されている正常状態と、各搭載ヘッド251に部品が吸着されていない異常な状態を示す吸着異常状態と、各搭載ヘッド251に対する部品の吸着位置のずれ量が許容範囲を超えた異常な状態であると吸着状態認識部46によって認識された認識異常状態と、が含まれる。
【0050】
具体的には、吸着状態認識部46は、吸着処理画像に基づいて、搭載ヘッド251に部品が吸着されているか否かを認識する。搭載ヘッド251に部品が正常に吸着されている場合には、吸着状態認識部46は、搭載ヘッド251による部品の吸着状態が正常状態であると認識する。一方、搭載ヘッド251に部品が吸着されていない場合には、吸着状態認識部46は、搭載ヘッド251による部品の吸着状態が吸着異常状態であると認識する。また、吸着状態認識部46は、吸着処理画像に基づいて、搭載ヘッド251による部品の実際の吸着位置を示す実吸着位置を認識する。搭載ヘッド251に部品が吸着されてはいるが、目標吸着位置に対して実吸着位置が許容範囲を超えてずれていた場合には、吸着状態認識部46は、搭載ヘッド251による部品の吸着状態が認識異常状態であると認識する。
【0051】
また、吸着状態認識部46は、各搭載ヘッド251に接続された負圧発生装置の負圧レベルのデータを、各搭載ヘッド251による部品の吸着レベルを示す吸着レベルデータD3として取得する。吸着レベルデータD3は、搭載ヘッド251に部品が吸着された状態の負圧レベルを示す密閉圧データと、搭載ヘッド251による部品の吸着が解除された状態の負圧レベルを示す開放圧データとを含む。吸着状態認識部46は、取得した吸着レベルデータD3を出力する。
【0052】
吸着状態認識部46から出力された吸着状態データD2及び吸着レベルデータD3は、部品種データD1と関連付けられた状態で、実装通信部40を介して管理装置15に送られる。
【0053】
図1に戻って、実装機12により生産された部品搭載基板PPAは、検査装置13に搬入される。検査装置13は、部品搭載基板PPAにおける部品の搭載状態を検査するための装置である。検査装置13は、部品搭載基板PPA上の半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理の前の部品搭載基板PPAを検査対象としてもよいし、リフロー処理の後の部品搭載基板PPAを検査対象としてもよい。
【0054】
検査装置13は、部品搭載基板PPAにおける部品の搭載状態のデータを示す搭載状態データD4を出力する。搭載状態データD4で示される部品搭載基板PPAにおける部品の搭載状態としては、部品が正常に搭載されている正常状態と、部品の姿勢が異常な姿勢を取っている状態を示す姿勢異常状態と、目標搭載位置に対して部品の搭載位置のずれ量が許容範囲を超えた異常な状態を示す位置異常状態と、が含まれる。検査装置13から出力された搭載状態データD4は、管理装置15に送られる。
【0055】
既述の通り、データ作成装置14は、実装機12の制御に関する実装制御データD5を作成する装置である。データ作成装置14は、例えばコンピュータ装置である。
図4に示されるように、データ作成装置14は、データ通信部141と、入力操作部142と、データ作成部143と、を含む。
【0056】
データ通信部141は、実装機12及び管理装置15とデータ通信を行うためのインターフェースである。データ通信部141は、実装制御データD5を実装機12に向けて出力するとともに、管理装置15から送られた例えば後記のデータ修正指示情報J2が入力される。
【0057】
入力操作部142は、オペレータによるデータの入力操作を受け付ける操作部である。オペレータは、実装制御データD5に含まれるデータを、入力操作部142を介して入力することができる。
【0058】
データ作成部143は、実装制御データD5を作成する。実装制御データD5は、ヘッド関連データD6及びフィーダ関連データD7が部品種データD1と関連付けられたデータである。
【0059】
ヘッド関連データD6は、動作データD61と位置データD62とを含む。動作データD61は、各搭載ヘッド251の部品吸着搭載動作に関するデータであり、水平移動速度データD611と、吸着移動速度データD612と、吸着タイマデータD613とを含む。水平移動速度データD611は、各搭載ヘッド251が部品吸着搭載動作を行う際のヘッドユニット25のX軸方向及びY軸方向への移動速度を示すデータである。吸着移動速度データD612は、フィーダ24Fにより供給された部品を各搭載ヘッド251が吸着するときに、各搭載ヘッド251が吸着高さ位置に向かってZ軸方向に下降するときの下降速度を示すデータである。吸着タイマデータD613は、各搭載ヘッド251が部品を吸着するときに、各搭載ヘッド251が吸着高さ位置に停止する時間を示すデータである。位置データD62は、部品吸着搭載動作の際の各搭載ヘッド251の位置に関するデータであり、吸着高さデータD621と、吸着位置ずれ許容データD622とを含む。吸着高さデータD621は、各搭載ヘッド251が部品を吸着するときの吸着高さ位置の位置を示すデータである。吸着位置ずれ許容データD622は、各搭載ヘッド251に部品が吸着された状態における、各搭載ヘッド251に対する部品の吸着位置のずれ量の許容範囲を示すデータである。
【0060】
フィーダ関連データD7は、各搭載ヘッド251に吸着される部品を供給するフィーダ24Fに関するデータであり、送出速度データD71を含む。送出速度データD71は、フィーダ24Fが部品を供給するときの部品の送出速度を示すデータである。
【0061】
データ作成装置14により作成された実装制御データD5は、データ通信部141を介して実装機12に送られる。この実装制御データD5は、実装機12において実装記憶部48に記憶される。
【0062】
既述の通り、管理装置15は、実装機12、検査装置13及びデータ作成装置14を管理するための装置である。管理装置15は、例えばコンピュータ装置である。管理装置15には、実装機12から送られた各搭載ヘッド251の部品吸着搭載動作ごとの部品種データD1、吸着状態データD2及び吸着レベルデータD3が入力されるとともに、検査装置13から送られた搭載状態データD4が入力される。また、管理装置15は、実装機12に向けて後記の作業指示情報J1を出力するとともに、データ作成装置14に向けて後記のデータ修正指示情報J2を出力する。
図5に示されるように、管理装置15は、管理通信部151と、管理表示部152と、管理記憶部153と、管理制御部154と、を含む。
【0063】
管理通信部151は、実装機12、検査装置13及びデータ作成装置14とデータ通信を行うためのインターフェースである。管理通信部151は、各搭載ヘッド251の部品吸着搭載動作ごとの部品種データD1、吸着状態データD2及び吸着レベルデータD3を実装機12から取得するとともに、搭載状態データD4を検査装置13から取得する。また、管理通信部151は、作業指示情報J1を実装機12に出力するとともに、データ修正指示情報J2をデータ作成装置14に出力する。管理表示部152は、オペレータが確認する各種のデータや情報を表示する。
【0064】
管理記憶部153は、管理通信部151により取得された各種データを蓄積して記憶する。管理記憶部153は、部品種データD1と、吸着状態データD2と、吸着レベルデータD3と、搭載状態データD4と、を関連付けた管理データDMを、各搭載ヘッド251の部品吸着搭載動作ごとに蓄積して記憶する。
【0065】
管理制御部154は、主たる機能構成として、通信制御部1541と、算出部1542と、判断部1543と、作業指示部1544と、データ修正指示部1545と、実装管理部1546と、表示制御部1547と、を含む。
【0066】
通信制御部1541は、管理通信部151を制御することにより、管理装置15と実装機12との間のデータ通信を制御するとともに、管理装置15と検査装置13との間のデータ通信を制御する。また、通信制御部1541は、管理通信部151を制御することにより、管理装置15とデータ作成装置14との間のデータ通信を制御する。表示制御部1547は、管理表示部152の表示動作を制御する。
【0067】
算出部1542は、管理記憶部153に蓄積して記憶された管理データDMのデータ群に基づいて、正常処理率データD8と損失額データD9とを部品種データD1と関連付けて算出する。
【0068】
正常処理率データD8は、吸着状態データD2で示される各搭載ヘッド251による部品の吸着状態と、搭載状態データD4で示される部品搭載基板PPAにおける部品の搭載状態と、の少なくとも何れかで示される処理状態が正常である場合の確率を示すデータである。この正常処理率データD8は、吸着状態データD2で示される各搭載ヘッド251による部品の吸着状態が正常である場合の確率を示す正常吸着率データD81と、搭載状態データD4で示される部品搭載基板PPAにおける部品の搭載状態が正常である場合の確率を示す正常搭載率データD82と、を含む。正常処理率データD8は、実装機12による部品搭載基板PPAの所定期間内での生産において部品種データD1で示される一の種類の部品が使用された回数について、当該部品の総使用回数に対する、処理状態が正常である場面で使用された回数の割合を百分率で示すデータである。
【0069】
損失額データD9は、実装機12による部品搭載基板PPAの所定期間内での生産において、部品の吸着状態と部品の搭載状態との少なくとも何れかで示される処理状態が異常である場合に生じる部品の損失金額に関するデータである。すなわち、部品種データD1と関連付けられた損失額データD9は、部品種データD1で示される一の種類の部品に対応した処理状態の異常によって生じる部品の損失金額を示すデータとなる。算出部1542は、部品の単価、正常処理率データD8、及び、実装機12による部品搭載基板PPAの所定期間内での生産において部品が使用される個数を示す生産使用個数に基づいて、損失額データD9を算出する。
【0070】
具体的には、算出部1542は、実装機12における所定期間内での所定の目標生産数の部品搭載基板PPAの生産を想定し、部品の単価PR、正常処理率データD8、生産使用個数PNに基づいて、総損失金額=PR×(PN×(100-D8)/D8)の式に従って部品の総損失金額を算出し、この総損失金額を損失額データD9として算出する。また、算出部1542は、総損失金額を目標生産数で除することにより、部品搭載基板PPAの単位生産数あたりの部品の損失金額を算出し、これを損失額データD9として算出してもよい。また、算出部1542は、総損失金額を総生産時間で除することにより、部品搭載基板PPAの単位生産時間あたりの部品の損失金額を算出し、これを損失額データD9として算出してもよい。
【0071】
算出部1542により正常処理率データD8及び損失額データD9が算出されると、表示制御部1547は、当該正常処理率データD8及び損失額データD9を管理表示部152に表示させてもよい。
【0072】
判断部1543は、正常処理率データD8及び損失額データD9に基づいて、部品の吸着状態と部品の搭載状態との少なくとも何れかで示される処理状態の異常を改善するための対処として、搭載ヘッド251のメンテナンス作業、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業、及び、データ作成装置14による実装制御データD5を修正する修正処理、の各対処のうちの少なくとも一つが必要であるか否かを判断する。
【0073】
図6に示されるように、判断部1543は、部品種データD1で示される部品ごとに、正常処理率データD8と所定の処理率閾値D8Zとの比較を行うとともに、損失額データD9と所定の損失額閾値D9Zとの比較を行うことにより、メンテナンス作業、確認作業、及びデータ作成装置14による修正処理の各対処が必要であるか否かを判断する。正常処理率データD8が処理率閾値D8Zよりも小さい場合、又は、損失額データD9が損失額閾値D9Zよりも大きい場合には、判断部1543は、メンテナンス作業、確認作業、及びデータ作成装置14による修正処理の各対処が必要であると判断する。一方、正常処理率データD8が処理率閾値D8Z以上であり、且つ、損失額データD9が損失額閾値D9Z以下の場合には、判断部1543は、メンテナンス作業、確認作業、及びデータ作成装置14による修正処理の各対処が不要であると判断する。
【0074】
判断部1543の判断結果に基づいて、実装機12における部品搭載基板PPAの生産において処理状態の異常が発生した場合に、処理状態の異常によって生じる部品の損失金額を指標として、オペレータは、当該処理状態の異常を改善するための各対処として、搭載ヘッド251のメンテナンス作業、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業、及び、データ作成装置14による実装制御データD5を修正する修正処理の各対処を講じることが可能となる。
【0075】
作業指示部1544は、判断部1543によりメンテナンス作業及び確認作業の各作業が必要であると判断された場合、当該各作業の実施を指示する作業指示情報J1を出力する。作業指示部1544から出力された作業指示情報J1は、管理通信部151を介して実装機12に送られる。実装通信部40を介して作業指示情報J1が入力された実装機12では、例えば、表示制御部47が実装表示部34に作業指示情報J1を表示させる。オペレータは、管理装置15の作業指示部1544により出力された作業指示情報J1に基づいて、処理状態の異常を改善するための対処として、搭載ヘッド251のメンテナンス作業、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業を実施することができる。なお、オペレータは、搭載ヘッド251のメンテナンス作業では、例えば、搭載ヘッド251を清掃する作業を実施する。また、オペレータは、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業では、例えば、吸着状態認識部46が部品認識の際に参照する吸着処理画像を撮像する第1撮像部31の照明レベルを調整する作業などを実施する。
【0076】
図6に示されるように、作業指示部1544は、処理状態の異常の改善に対するメンテナンス作業及び確認作業の有効性について、吸着レベルデータD3に基づいてメンテナンス作業の有効性を判定するとともに、吸着状態データD2に基づいて確認作業の有効性を判定し、メンテナンス作業及び確認作業の各作業が有効である場合に作業指示情報J1を出力する。
【0077】
部品の吸着性を低下させるような汚れ等が搭載ヘッド251に生じていた場合、搭載ヘッド251による部品の吸着レベルを示す吸着レベルデータD3が、例えば、所定の吸着レベル閾値D3Zを下回る現象が生じ得る。この場合、搭載ヘッド251による部品の吸着状態の異常が生じる可能性はあるが、このような吸着状態の異常は搭載ヘッド251のメンテナンス作業によって改善することが可能である。そこで、作業指示部1544は、吸着レベルデータD3に基づいて搭載ヘッド251のメンテナンス作業の有効性を判定することができる。
【0078】
一方、既述の通り、吸着状態認識部46により出力される吸着状態データD2で示される搭載ヘッド251による部品の吸着状態の異常には、搭載ヘッド251に部品が吸着されていない異常な状態を示す吸着異常状態と、搭載ヘッド251に対する部品の吸着位置のずれ量が許容範囲を超えた異常な状態であると吸着状態認識部46によって認識された認識異常状態と、が含まれる。吸着状態の異常が吸着異常状態である場合には、搭載ヘッド251のメンテナンス作業が有効である可能性がある一方、吸着状態の異常が認識異常状態である場合には、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業を行い、第1撮像部31の照明レベルを調整するなどの認識状況を調整する作業を行うことが有効である可能性がある。そこで、作業指示部1544は、吸着状態データD2に基づいて吸着状態認識部46の認識状況の確認作業の有効性を判定することができる。
【0079】
具体的には、作業指示部1544は、吸着状態データD2で示される搭載ヘッド251による部品の吸着状態の異常が吸着異常状態であり、且つ、吸着レベルデータD3が所定の吸着レベル閾値D3Zを上回る場合には、搭載ヘッド251のメンテナンス作業は有効ではなく無効であると判定する。また、作業指示部1544は、吸着状態データD2で示される搭載ヘッド251による部品の吸着状態の異常が吸着異常状態であり、且つ、吸着レベルデータD3が所定の吸着レベル閾値D3Zを下回る場合には、搭載ヘッド251のメンテナンス作業は有効であると判定する。また、作業指示部1544は、吸着状態データD2で示される搭載ヘッド251による部品の吸着状態の異常が認識異常状態であり、且つ、吸着レベルデータD3が所定の吸着レベル閾値D3Zを上回る場合には、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業は有効であると判定する。
【0080】
データ修正指示部1545は、判断部1543によりデータ作成装置14による実装制御データD5を修正する修正処理が必要であると判断された場合、データ作成装置14による修正処理の実行を指示するデータ修正指示情報J2を出力する。データ修正指示部1545から出力されたデータ修正指示情報J2は、管理通信部151を介してデータ作成装置14に送られる。
【0081】
図6に示されるように、データ修正指示部1545は、部品種データD1で示される各部品について、作業指示部1544においてメンテナンス作業及び確認作業が無効であると判定された部品に対応した実装制御データD5の修正を指示するために、データ修正指示情報J2を出力する。
【0082】
データ作成装置14において、データ作成部143は、データ修正指示部1545から出力されたデータ修正指示情報J2に応じて、処理状態の異常を改善するための対処として、実装制御データD5を修正する修正処理を実行する。
【0083】
データ作成部143は、修正処理において、実装制御データD5に含まれるヘッド関連データD6の動作データD61については、基準値に対して所定の修正率の値に自動で修正する。具体的には、データ作成部143は、動作データD61の基準値を100%とし、当該100%を基準とした百分率で示される修正率の値に動作データD61を修正する。例えば、動作データD61に含まれる水平移動速度データD611及び吸着移動速度データD612の速度系の基準値が「100」である場合、データ作成部143は、基準値「100」に対して、100%よりも低い百分率の例えば修正率40%の値である「40」に動作データD61を修正する。データ作成部143は、実装制御データD5に含まれるフィーダ関連データD7の速度系の送出速度データD71についても、同様に修正してもよい。また、例えば、動作データD61に含まれる吸着タイマデータD613の時間系の基準値が「100」である場合、データ作成部143は、基準値「100」に対して、100%よりも高い百分率の例えば修正率140%の値である「140」に動作データD61を修正する。なお、動作データD61に含まれる吸着タイマデータD613の時間系のデータについては、データ作成部143は、百分率を用いた修正率の値に自動で修正することに限定されず、実際の基準値よりも大きい数値データに自動で修正してもよい。
【0084】
データ作成部143の修正処理における動作データD61の修正について、
図7を参照しながら詳細に説明する。基準値に対する百分率で示される動作データD61の現在の設定値が、予め設定された動作データ修正率閾値D61Zよりも上回っている場合、データ作成部143は、動作データD61を修正する修正処理を行う。一方、基準値に対する百分率で示される動作データD61の現在の設定値が、動作データ修正率閾値D61Z以下の場合、データ作成部143は、修正処理を行わない。なお、動作データ修正率閾値D61Zは、部品種データD1で示される部品に類似した類似部品に関する動作データD61の設定値に基づく閾値であってもよいし、過去の修正履歴に基づく閾値であってもよい。
【0085】
修正処理を行う場合、データ作成部143は、正常処理率データD8及び損失額データD9に応じた修正率に基づいて、動作データ修正率閾値D61Zの範囲内で動作データD61を修正する。データ作成部143は、修正変化率データD10を参照して、正常処理率データD8及び損失額データD9に応じた修正率を設定する。修正変化率データD10は、修正処理の対象の部品種データD1で示される部品に対応した正常処理率データD8と処理率閾値D8Zとの差分(処理率差分)と、動作データ修正変化率D61Xと、を対応付けたデータである。なお、修正変化率データD10は、損失額データD9に応じた所定値を動作データ修正変化率D61Xに加えることにより、正常処理率データD8及び損失額データD9を加味したデータとなる。
【0086】
例えば、修正変化率データD10においては、動作データ修正変化率D61Xは、処理率差分が0.5%未満である場合に「20%」が対応付けられ、処理率差分が0.5%以上1.0%以下である場合に「40%」が対応付けられ、処理率差分が1.0%を超える場合に「50%」が対応付けられている。
【0087】
データ作成部143は、動作データD61に含まれる水平移動速度データD611及び吸着移動速度データD612の速度系に対応した修正率については、修正変化率データD10に基づいて、処理率差分が0.5%未満である場合には、動作データ修正変化率D61Xの「20%」を「100%」から減じた「80%」に修正率を設定する。同様に、データ作成部143は、処理率差分が0.5%以上1.0%以下の場合には、動作データ修正変化率D61Xの「40%」を「100%」から減じた「60%」に修正率を設定し、処理率差分が1.0%を超える場合には、動作データ修正変化率D61Xの「50%」を「100%」から減じた「50%」に修正率を設定する。
【0088】
また、データ作成部143は、動作データD61に含まれる吸着タイマデータD613の時間系に対応した修正率については、修正変化率データD10に基づいて、処理率差分が0.5%未満である場合には、動作データ修正変化率D61Xの「20%」を「100%」に加えた「120%」に修正率を設定する。同様に、データ作成部143は、処理率差分が0.5%以上1.0%以下の場合には、動作データ修正変化率D61Xの「40%」を「100%」に加えた「140%」に修正率を設定し、処理率差分が1.0%を超える場合には、動作データ修正変化率D61Xの「50%」を「100%」に加えた「150%」に修正率を設定する。
【0089】
修正率の設定が完了すると、データ作成部143は、正常処理率データD8及び損失額データD9に応じて設定した修正率に基づいて、予め設定された動作データ修正率閾値D61Zの範囲内で動作データD61を修正する。これにより、データ作成部143は、正常処理率データD8及び損失額データD9に応じるとともに、所定の動作データ修正率閾値D61Zの範囲内の的確な値に動作データD61を修正することができる。
【0090】
上記のように、実装制御データD5に含まれる動作データD61については基準値に対して所定の修正率の値に自動で修正することにより、動作データD61の修正については入力操作部142を介したオペレータの入力操作が不要である。このため、データ作成部143による修正処理の処理効率の向上が図られる。
【0091】
また、データ作成部143は、修正処理において、実装制御データD5に含まれるヘッド関連データD6の位置データD62については、入力操作部142を介して入力されるデータに応じて修正する。具体的には、データ作成部143は、位置データD62に含まれる吸着高さデータD621及び吸着位置ずれ許容データD622については、入力操作部142を介して入力されるデータに応じて修正することができる。なお、データ作成部143は、実装制御データD5に含まれるヘッド関連データD6の動作データD61については、基準値に対して所定の修正率の値に自動で修正することについて説明したが、入力操作部142を介して入力されるデータに応じて動作データD61を修正してもよい。
【0092】
図5に戻って、管理装置15における管理制御部154の実装管理部1546は、複数のフィーダ24Fにより供給される各部品について複数の搭載ヘッド251による部品吸着搭載動作が同一シーケンスの部品のグループを示す吸着グループを作成するとともに、複数のフィーダ24Fの部品供給部24における配列を作成する。実装管理部1546は、複数の搭載ヘッド251による部品の吸着効率が高まるように同一シーケンスにおいて部品吸着搭載動作の対象となる部品のグループを示す吸着グループを作成し、複数の搭載ヘッド251による部品吸着搭載動作の効率が高まるように複数のフィーダ24Fの部品供給部24における配列を作成する。複数のフィーダ24Fの部品供給部24における配列を作成する場合、実装管理部1546は、部品供給部24内の基準位置に複数のフィーダ24Fを配置する配列を作成する。基準位置は、部品供給部24内において、ヘッドユニット25における各搭載ヘッド251による基板PPに対する部品の搭載効率に基づいて設定された領域内の位置である。基準位置は、基板PPに対する部品の搭載時にヘッドユニット25の移動がなるべく少なくなるように、基板PPの生産に必要なフィーダ24Fが配置される位置となる。部品を供給するフィーダ24Fとして部品供給部24の基準位置に配置されたフィーダ24Fを使用することにより、ヘッドユニット25における各搭載ヘッド251による基板PPに対する部品の搭載効率を可及的に高めることができる。
【0093】
図7に示されるように、データ作成部143により修正された動作データD61に基づき複数の搭載ヘッド251の部品吸着搭載動作が制御されたときに部品搭載基板PPAの生産効率に関する生産効率指標値D11が所定の許容値D12を下回る場合、実装管理部1546は、吸着グループを変更するグループ変更処理を行う。生産効率指標値D11は、例えば、吸着グループに属する各部品を同一シーケンスにおいて所定の順序で搭載ヘッド251により吸着し、当該搭載ヘッド251により吸着された部品を基板PPに搭載するのに要する所要時間を示す、1枚の基板PP当たりの生産時間である。実装管理部1546のグループ変更処理に応じた吸着グループの変更によって、動作データD61の修正に起因した部品搭載基板PPAの生産効率に関する生産効率指標値D11の低下を抑制することが可能となる。
【0094】
グループ変更処理の処理後において生産効率指標値D11が所定の許容値D12を下回ったままの場合には、実装管理部1546は、複数のフィーダ24Fの部品供給部24における配列を変更する配列変更処理を行う。これにより、動作データD61の修正に起因した部品搭載基板PPAの生産効率に関する生産効率指標値D11の低下をより確実に抑制することが可能となる。
【0095】
次に、
図8のフローチャートを参照しながら、部品実装システム100の全体の処理フローについて説明する。
【0096】
実装機12は、データ作成装置14により作成された実装制御データD5、管理装置15により作成された吸着グループ及び複数のフィーダ24Fの部品供給部24における配列のデータに基づいて、実装機本体2の動作が実装制御部4により制御されることで、部品搭載基板PPAを生産する。実装機12における部品搭載基板PPAの生産中において、管理装置15の判断部1543は、各搭載ヘッド251のメンテナンス作業、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業、及び、データ作成装置14による実装制御データD5を修正する修正処理の各対処が必要であるか否かを判断する。この場合、判断部1543は、各対処が必要であるか否かの判断を、実装機12における部品搭載基板PPAの生産中において定期的に実施することができる。
【0097】
判断部1543は、管理記憶部153に蓄積された管理データDMに基づき算出部1542により算出された正常処理率データD8が、処理率閾値D8Zよりも小さいか否かを判断する(ステップs1)。また、判断部1543は、算出部1542により算出された損失額データD9が、損失額閾値D9Zよりも大きいか否かを判断する(ステップs2)。正常処理率データD8が処理率閾値D8Zよりも小さい場合(ステップs1でYES)、又は、損失額データD9が損失額閾値D9Zよりも大きい場合(ステップs2でYES)、判断部1543は、各搭載ヘッド251のメンテナンス作業、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業、及び、データ作成装置14による実装制御データD5を修正する修正処理の各対処が必要であると判断する。
【0098】
判断部1543により各対処が必要であると判断されると、作業指示部1544は、管理記憶部153に蓄積された管理データDMに含まれる吸着状態データD2に基づいて、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業が有効であるか否かを判定する(ステップs3)。また、作業指示部1544は、管理記憶部153に蓄積された管理データDMに含まれる吸着レベルデータD3に基づいて、各搭載ヘッド251のメンテナンス作業が有効であるか否かを判定する(ステップs4)。確認作業が有効であり(ステップs3でYES)、メンテナンス作業が有効である場合(ステップs4でYES)、作業指示部1544は、各作業の実施を指示する作業指示情報J1を出力する(ステップs5)。作業指示部1544から出力された作業指示情報J1は、管理通信部151を介して実装機12に送られる。オペレータは、作業指示部1544により出力された作業指示情報J1に基づいて、部品の吸着状態及び搭載状態の少なくとも何れかで示される処理状態の異常を改善するための対処として、搭載ヘッド251のメンテナンス作業、吸着状態認識部46の認識状況の確認作業を実施することができる。
【0099】
作業指示部1544において、確認作業が無効であると判定され(ステップs3でNO)、メンテナンス作業が無効であると判定された場合(ステップs4でNO)、データ修正指示部1545は、各作業が無効であると判定された部品に対応した実装制御データD5の修正を指示するためのデータ修正指示情報J2を出力する(ステップs6)。
【0100】
データ作成装置14において、データ作成部143は、データ修正指示部1545から出力されたデータ修正指示情報J2に応じて、処理状態の異常を改善するための対処として、実装制御データD5を修正する修正処理を実行する(ステップs7)。
【0101】
管理装置15の実装管理部1546は、データ作成部143により修正された実装制御データD5に含まれる動作データD61に基づき複数の搭載ヘッド251の部品吸着搭載動作が制御されたときに、部品搭載基板PPAの生産効率に関する生産効率指標値D11が所定の許容値D12を下回るか否かを判定する(ステップs8)。生産効率指標値D11が所定の許容値D12を下回る場合(ステップs8でYES)、実装管理部1546は、吸着グループを変更するグループ変更処理を行う(ステップs9)。実装管理部1546のグループ変更処理に応じた吸着グループの変更によって、動作データD61の修正に起因した部品搭載基板PPAの生産効率に関する生産効率指標値D11の低下を抑制することが可能となる。
【0102】
グループ変更処理の処理後において、実装管理部1546は、生産効率指標値D11が所定の許容値D12を下回るか否かを判定する(ステップs10)。生産効率指標値D11が所定の許容値D12を下回る場合(ステップs10でYES)、実装管理部1546は、複数のフィーダ24Fの部品供給部24における配列を変更する配列変更処理を行う(ステップs11)。これにより、動作データD61の修正に起因した部品搭載基板PPAの生産効率に関する生産効率指標値D11の低下をより確実に抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0103】
12 実装機
14 データ作成装置
142 入力操作部
143 データ作成部
15 管理装置
153 管理記憶部
154 管理制御部
1542 算出部
1543 判断部
1544 作業指示部
1545 データ修正指示部
1546 実装管理部
24 部品供給部
24F フィーダ
25 ヘッドユニット
251 搭載ヘッド
46 吸着状態認識部
100 部品実装システム
D1 部品種データ
D2 吸着状態データ
D3 吸着レベルデータ
D4 搭載状態データ
D5 実装制御データ
D6 ヘッド関連データ
D61 動作データ
D62 位置データ
D7 フィーダ関連データ
D8 正常処理率データ
D81 正常吸着率データ
D82 正常搭載率データ
D9 損失額データ
J1 作業指示情報
J2 データ修正指示情報