(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011891
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】事業継続計画用プログラム、従業者用情報処理装置及び事業継続計画用システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240118BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114205
(22)【出願日】2022-07-15
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】522106824
【氏名又は名称】有限会社ハートサービス
(71)【出願人】
【識別番号】522285026
【氏名又は名称】株式会社イーアス
(71)【出願人】
【識別番号】515212736
【氏名又は名称】株式会社アイピーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】高安 敏行
(72)【発明者】
【氏名】武田 二郎
(72)【発明者】
【氏名】山内 博明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】従業者が面倒な設定作業をせずとも、臨機応変又は個別具体的な過不足のない情報提供を受けられるようにする。
【解決手段】従業者に割り当てられているSNSアプリケーションプログラムの従業者アカウントを当該SNSが有するメッセンジャーサービスを通じて使用者に向けて送信するステップ(ステップS4,ステップS5)と、前記従業者アカウントに向けて前記メッセンジャーサービスを通じて前記使用者から送信される事業継続計画に関する情報及び有事発生時の連絡事項を受信するステップ(ステップS7,ステップS9)と、前記事業継続計画に関する情報及び前記連絡事項を提示するステップ(ステップS8,ステップS10)と、を従業者用情報処理装置に実行させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
従業者に割り当てられているソーシャルネットワークサービス(Social Networking Service:以下、「SNS」と称する。)アプリケーションプログラムの従業者アカウントを当該SNSが有するメッセンジャーサービスを通じて使用者に向けて送信するステップと、
前記従業者アカウントに向けて前記メッセンジャーサービスを通じて前記使用者から送信される事業継続計画に関する情報及び有事発生時の連絡事項を受信するステップと、
前記事業継続計画に関する情報及び前記連絡事項を提示するステップと、
を従業者用情報処理装置に実行させる事業継続計画用プログラム。
【請求項2】
前記事業継続計画に関する情報及び前記連絡事項のいくつかが掲載されているウェブページに割り当てられているURLが紐付けられている表示領域が選択された場合に当該URLをウェブサーバに送信するステップを、
を従業者用情報処理装置に実行させる請求項1記載の事業継続計画用プログラム。
【請求項3】
前記従業者の安否情報を、前記メッセンジャーサービスを通じて前記使用者に向けて送信するステップを、前記従業者用情報処理装置に実行させる、請求項1記載の事業継続計画用プログラム。
【請求項4】
有事発生時における、避難場所情報、優先する業務の選定情報、優先的にサービスを提供すべき利用者情報、業務の役割分担情報、のいずれかを提示するステップを、前記従業者用情報処理装置に実行させる、請求項1記載の事業継続計画用プログラム。
【請求項5】
前記従業者の体調情報を、前記メッセンジャーサービスを通じて前記使用者に向けて送信するステップを、前記従業者用情報処理装置に実行させる、請求項1記載の事業継続計画用プログラム。
【請求項6】
従業者に割り当てられているSNSアプリケーションプログラムの従業者アカウントを当該SNSが有するメッセンジャーサービスを通じて使用者が操作する使用者用情報処理装置に向けて送信する第1送信手段と、
前記第1送信手段によって送信された従業者アカウントに向けて前記使用者用情報処理装置から送信される事業継続計画に関する情報及び有事発生時の連絡事項を受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段によって受信された事業継続計画に関する情報及び連絡事項を前記従業者に提示する第1提示手段と、
を備える従業者用情報処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の複数の従業者用情報処理装置と、
前記使用者用情報処理装置と、
前記複数の従業者用情報処理装置及び前記使用者用情報処理装置とネットワークを通じて接続されるサーバ装置と、
を備える、事業継続計画用システム。
【請求項8】
前記使用者が提供する施設の利用者に割り当てられているSNSアプリケーションプログラムの利用者アカウントを前記メッセンジャーサービスを通じて前記使用者用情報処理装置に向けて送信する第2送信手段と、
前記第2送信手段によって送信された利用者アカウントに向けて前記使用者用情報処理装置から送信される有事発生時の連絡事項を受信する第2受信手段と、
前記第2受信手段によって受信された連絡事項を前記利用者に提示する第2提示手段と、
を備える複数の利用者用情報処理装置を有する、請求項7記載の事業継続計画用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業継続計画用プログラム、従業者用情報処理装置及び事業継続計画用システムに関し、特に、事業継続計画用プログラム、従業者用情報処理装置及び事業継続計画用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
先般、災害拠点病院、介護施設・事業所に対して、事業継続計画の策定が義務づけられた。事業継続計画とは、感染症や災害が発生した場合であっても、必要な医療・介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての災害拠点病院、介護サービス事業者を対象に業務継続に向けた計画のことである。このような試みは非常に重要であるため、今後、これら以外の様々な事業分野において、事業継続計画の策定が義務されていく可能性が高いと考えられる。
【0003】
特許文献1には、災害時においてスタッフの負担を軽減し、訓練時においてマニュアル等の理解度を高めさせる防災システムが開示されている。この防災システムにおいて、ユーザ端末は、災害情報を取得する取得手段と、行動情報を記録部から取得して表示部に表示する行動表示手段と、スタッフからの入力により取得される行動の終了情報を取得する入力取得手段と、終了情報をサーバに送信する送信手段と、他のユーザ端末の終了情報を含む他端末進捗情報を表示部に表示する他端末表示手段とからなる。
【特許文献1】特開2022-36857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、既存の防災システムは、特許文献1のものを含めて、広く普及するには至っていない。その原因を必ずしも的確に特定することは難しいが、防災システムを利用するために各従業者が面倒な設定作業をしなければならなかったり、防災システムが各従業者に対して、臨機応変に、個別具体的に、過不足なく、的確に、又は、わかりやすく情報を提示することが困難であったり、ということなどの何れか一つ又は二以上に原因があり、一言でいうとはなかなか容易ではないが、敢えていうと利便性が十分でないということであると思われる。
【0005】
そこで、本発明は、このことに鑑みてなされたものであって、その利便性を向上させた、事業継続計画用プログラム、従業者用情報処理装置及び事業継続計画用システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の事業継続計画用プログラムは、
従業者に割り当てられているソーシャルネットワークサービス(Social Networking Service:以下、「SNS」と称する。)アプリケーションプログラムの従業者アカウントを当該SNSが有するメッセンジャーサービスを通じて使用者に向けて送信するステップと、
前記従業者アカウントに向けて前記メッセンジャーサービスを通じて前記使用者から送信される事業継続計画に関する情報及び有事発生時の連絡事項を受信するステップと、
前記事業継続計画に関する情報及び前記連絡事項を提示するステップと、
を従業者用情報処理装置に実行させる。
【0007】
前記事業継続計画に関する情報及び前記連絡事項のいくつかが掲載されているウェブページに割り当てられているURLが紐付けられている表示領域が選択された場合に当該URLをウェブサーバに送信するステップを、前記従業者用情報処理装置に実行させてもよい。
【0008】
前記従業者の安否情報を、前記メッセンジャーサービスを通じて前記使用者に向けて送信するステップを、前記従業者用情報処理装置に実行させることもできる。
【0009】
さらに、有事発生時における、避難場所情報(例えば、「〇〇小学校」のような施設名、当該施設を含む地図、当該地図上での〇〇小学校までの経路、自治体等が公表しているハザードマップなどの少なくともいずれか)、優先する業務の選定情報、優先的にサービスを提供すべき利用者情報、業務の役割分担情報、のいずれかを提示するステップを、前記従業者用情報処理装置に実行させてもよい。
【0010】
前記従業者の体調情報(例えば、体調の良し悪し、体温)を、前記メッセンジャーサービスを通じて前記使用者に向けて送信するステップを、前記従業者用情報処理装置に実行させてもよい。
【0011】
また、本発明の従業者用情報処理装置は、
従業者に割り当てられているSNSアプリケーションプログラムの従業者アカウントを当該SNSが有するメッセンジャーサービスを通じて使用者が操作する使用者用情報処理装置に向けて送信する第1送信手段と、
前記第1送信手段によって送信された従業者アカウントに向けて前記使用者用情報処理装置から送信される事業継続計画に関する情報及び有事発生時の連絡事項を受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段によって受信された事業継続計画に関する情報及び連絡事項を前記従業者に提示する第1提示手段と、
を備える。
【0012】
さらに、事業継続計画用システムは、
上記複数の従業者用情報処理装置と、
前記使用者用情報処理装置と、
前記複数の従業者用情報処理装置及び前記使用者用情報処理装置とネットワークを通じて接続されるサーバ装置と、
を備える。
【0013】
なお、この事業継続計画用システムには、
前記使用者が提供する施設の利用者に割り当てられているSNSアプリケーションプログラムの利用者アカウントを前記メッセンジャーサービスを通じて前記使用者用情報処理装置に向けて送信する第2送信手段と、
前記第2送信手段によって送信された利用者アカウントに向けて前記使用者用情報処理装置から送信される有事発生時の連絡事項を受信する第2受信手段と、
前記第2受信手段によって受信された連絡事項を前記利用者に提示する第2提示手段と、
を備える複数の利用者用情報処理装置を有することもできる。
【発明の実施の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態の事業継続計画用システムの模式的な構成図である。
図1には、以下説明する、使用者用情報処理装置100と、サーバ装置200と、従業者用情報処理装置300と、利用者用情報処理装置400と、ネットワーク500と、を示している。なお、
図1には、各装置を1台ずつ示しているが、通常、実際には複数台が存在する点に留意されたい。
【0016】
以下、本実施形態では、主として、使用者用情報処理装置100と従業者用情報処理装置300と利用者用情報処理装置400とにインストールされたSNSアプリケーションプログラムを用いて、介護事業者における事業継続計画(Business Continuity Plan:以下、「BCP」と称する。)を遂行できるようにする例を説明する。
【0017】
使用者用情報処理装置100は、あらゆる事業体の使用者によって操作されるものである。使用者用情報処理装置100は、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する。)、タブレット端末、PDA(Personal digital Assistant)、携帯電話機などの総称であり、計算機能、通信機能、及び、表示機能や音声出力機能などの提示機能を有してさえいれば、これらに限定されるものではない。
【0018】
本実施形態では、使用者用情報処理装置100が主としてPCである場合を例に説明する。なお、本明細書でいう「使用者」とは、使用者自体はもとより、BCPを遂行するための責任者や実務担当者等を含むものとする。このような当該責任者等には使用者としての情報送信権限を付与することもできる。
【0019】
また、例えば、使用者自体をプライマリ使用者、復旧対応責任者(介護施設や社内の復旧対応をするチームの責任者)や外部対応責任者(利用者、取引先、協力会社との各種連絡・調整をするチームの責任者)等をセカンダリ使用者、それらの実務担当者をターシャリ使用者というように階層的に使用者を設定することもできる。
【0020】
サーバ装置200は、SNS事業者などによって管理されるものであって、主として、メッセンジャーサービスを提供するためのものである。すなわち、サーバ装置200は、使用者用情報処理装置100と従業者用情報処理装置300と利用者用情報処理装置400との間でのテキスト、画像、音声でのメッセージ通信を含む各種サービスを提供するものである。
【0021】
サーバ装置200は、SNSアプリケーションプログラムのアカウントであって、従業者に割り当てられているもの(以下、「従業者アカウント」と称する。)と、使用者に割り当てられているもの(以下、「使用者アカウント」と称する。)と、利用者に割り当てられているもの(以下、「利用者アカウント」と称する。)と、の間の連携を適宜行う。なお、この種のアカウントは、各従業者等を一意に識別するIDであり、従業者、使用者、利用者の側がそれぞれサーバ装置200に対して登録することができる。
【0022】
その連携は、主として、従業者が従業者用情報処理装置300を操作し、また、利用者が利用者用情報処理装置400を操作することによって行われるが、使用者が使用者用情報処理装置100を操作することによって行ってもよい。
【0023】
従業者用情報処理装置300は、あらゆる事業体の従業者によって操作されるものである。従業者用情報処理装置300は、例えば、スマートフォン、PC、タブレット端末、PDA、携帯電話機などの総称であり、計算機能、通信機能、及び、表示機能や音声出力機能などの提示機能を有してさえいれば、これらに限定されるものではない。
【0024】
従業者用情報処理装置300は、使用者用情報処理装置100が有事発生時に所定の連絡事項を送信した場合に、それを即座に受信してその連絡事項を確認しやすいようにできるように、いわゆるモバイルであることが好ましい。以下、本実施形態では、従業者用情報処理装置300が主としてスマートフォンである場合を例に説明する。
【0025】
なお、セカンダリ使用者やターシャリ使用者は従業者となることもでき、例えばセカンダリ使用者は、プライマリ使用者から送信される後述の安否情報の送信要求を受信するとともに、ターシャリ使用者に対して安否情報の送信要求を送信することもできる。
【0026】
これを実現するための簡易な手法としては、相互に連携可能な使用者用のアプリケーションプログラムと従業者用のアプリケーションプログラムとを別個に用意し、セカンダリ使用者等の情報処理装置に両方のプログラムをインストールし、使用者アカウントと従業者アカウントとを各々のプログラムにインストールすればよい。
【0027】
更に、本実施形態の事業継続計画用システムを用いる大規模施設で用いる場合、介護スタッフ、ケアマネージャー、ソーシャルワーカー、サービス提供責任者など、各従業者が役割分担がされていることが通例である。その場合、全従業者で共有すべき情報もあれば、分担された役割毎のグループで共有すべき情報もあると考えられる。
【0028】
このため、従業者アカウントの設定登録時又は設定変更時に所属グループを選択できるようにしてもよい。こうすれば、他のグループでのみ共有すべき、その者にとっていわば無意味な情報を受信することによる煩わしさを回避することができる。
【0029】
また、各所属グループは、全体グループの傘下に属すというように組織的な設定とすることが好ましい。この場合、介護グループについては介護リーダに使用者としての情報送信権限を付与すれば、プライマリ使用者から送信された情報は全従業者の従業者用情報処理装置300で受信でき、セカンダリ使用者又はターシャリ使用者である介護リーダから送信された情報は介護グループに所属する従業者の従業者用情報処理装置300でのみ受信できることになる。
【0030】
なお、各従業者用情報処理装置300において所属グループが選択された場合、その選択情報はその者の従業者アカウントとともにサーバ装置200へ送信され、当該所属グループを選択した他の従業者アカウントとが連携される。
【0031】
利用者用情報処理装置400は、あらゆる事業体が提供するサービスの利用者によって操作される、例えば、スマートフォン、PC、タブレット端末、PDA、携帯電話機などの総称であり、従業者用情報処理装置300と同様に、計算機能、通信機能、及び、表示機能や音声出力機能などの提示機能を有してさえいれば、これらに限定されるものではない。
【0032】
利用者用情報処理装置400は、従業者用情報処理装置300の場合と同様の理由で、いわゆるモバイルであることが好ましい。本実施形態では、利用者用情報処理装置400が主としてスマートフォンである場合を例に説明する。なお、本明細書でいう「利用者」とは、利用者自体はもとより、その家族等の保護者を含むものとする。
【0033】
ネットワーク500は、インターネット、イントラネット、携帯電話網などの各種ネットワークの総称であり、ワイドエリアネットワーク(WAN:Wide Area Network)、それを構成するローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)も含む。ネットワーク500は、ケーブルなどの有線接続、無線Wi-Fiやブルートゥースなどの無線ネットワークの双方を含む。
【0034】
図2は、
図1に示す従業者用情報処理装置300における事業継続計画用システムに関する部分の模式的な内部構成図である。従業者用情報処理装置300は、以下説明する、通信手段310と、表示手段320と、受付手段330と、を備えている。
【0035】
通信手段310は、サーバ装置200との間で、また、サーバ装置200を介して使用者用情報処理装置100との間で、様々な情報の通信をするものである。すなわち、通信手段310は、例えば、メッセンジャーサービスを通じて、従業者アカウント等を送信したり、BCPに関する情報(以下、「BCP情報」と称する。)及び有事発生時の連絡事項(以下、「有事発生時連絡事項」と称する。)等を受信したりするものである。
【0036】
なお、通信手段310は、従業者アカウント以外にも、例えば、従業者の氏名(従業者が登録したニックネーム等を含む)・住所・固定電話番号・携帯電話番号・メールアドレス・別SNSのアカウントなどの従業者情報を送信対象としてもよい。その場合、サーバ装置200から使用者用情報処理装置100に対しては、例えば従業者アカウントのみを送信対象としてもよいし、従業者情報の全て又は一部を送信対象としてもよい。
【0037】
サーバ装置200は、通信手段310から送信される従業者アカウントや従業者情報の全て又は一部を受信すると、それらをデータベースなどに登録する。なお、同様に、使用者用情報処理装置100から送信される使用者アカウントや使用者情報の全て又は一部、利用者用情報処理装置400から送信される利用者アカウントや利用者情報の全て又は一部についても登録する。
【0038】
使用者情報には、少なくとも使用者が運営する介護施設の所在地を含めることを必須とするとよい。こうすると、後述するように、突発的な自然災害が発生した場合に、対応する地域を所在地としている使用者アカウントと連携している従業者アカウントに対して、サーバ装置200の管理者からの指示をトリガーとして、有事発生時連絡事項を送信することも可能となる。
【0039】
BCP情報には、災害などの緊急事態に際し、損害を最小限に抑え、事業の継続や早期復旧を図るために策定されたマニュアルや、その策定事項が従業者に周知徹底させられるような研修動画が含まれる。BCP情報については、更に
図3を参照して後述する。
【0040】
有事発生時連絡事項には、安否情報の返信要求をはじめ、安否情報の返信結果という人的被害状況や介護施設の破壊などの物的被害状況に応じた臨機応変な、人員や業務の代替指示、優先する業務の選定情報、優先的にサービスを提供すべき利用者情報、業務の役割分担情報、従業者用情報処理装置300の全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)機能を利用して従業者用情報処理装置300の所在を把握したうえで送信される避難指示や病院等への誘導指示などが含まれる。
【0041】
表示手段320は、通信手段310によって受信されるBCP情報及び有事発生時連絡事項等を、従業者用情報処理装置300のディスプレイに表示することによって、従業者に提示するものである。
【0042】
なお、表示手段320に代えて又はこれとともに従業者用情報処理装置300が有するスピーカからBCP情報等を音声出力する手段を採用して、BCP情報及び有事発生時連絡事項を音声にて従業者に提示してもよい。こうすると、従業者用情報処理装置300の操作が困難な有事発生後の避難時や両手が塞がっているような場合にも、従業者がわざわざ従業者用情報処理装置300を手に取って操作をすることなく、有事発生時連絡事項等の内容を把握することができるから好ましい。
【0043】
また、有事発生時連絡事項が音声出力によって提示される場合には、従業者が当該有事発生時連絡事項を受信したこと、従業者がその有事発生時連絡事項に従って行動できること、その行動が完了したこと、などを使用者にフィードバックするために、従業者用情報処理装置300のマイクロフォンをオン状態に切り替えることもできる。この切り替えは、従業者が従業者用情報処理装置300を操作することによって行ってもよいし、後述する非常モードに設定されたこと又は従業者用情報処理装置300が有事発生時連絡事項を受信したことをトリガーとしていわば自動で行ってもよい。
【0044】
受付手段330は、表示手段320による表示事項に従って、従業者が従業者用情報処理装置300を操作することによって入力する各種情報を受け付けるものである。ここでいう各種情報には、既述の従業者情報、安否情報、後述の体調情報等が含まれる。
【0045】
受付手段330によって受け付けられた各種情報は、通信手段310によってサーバ装置200又は図示しないクラウドサーバを介して使用者用情報処理装置100に送信されるが、併せて、従業者用情報処理装置300やクラウドサーバに記録するなどして、例えば従業者が体調履歴を容易に確認できるようにしてもよい。
【0046】
図3は、
図1に示す従業者用情報処理装置(スマートフォン)300の表示画面例を示す図である。
図3に示す表示画面例のメッセージは、典型的には、毎日、毎営業日又は毎週の朝などに、従業者用情報処理装置300に送信される。
【0047】
図3には、以下説明する、「介護サービス事業者名」と表記されたアイコンの表示領域10と、「避難場所」と表記されたアイコンの表示領域12と、「厚労省HP」と表記されたアイコンの表示領域14と、「〇〇区役所HP」と表記されたアイコンの表示領域16と、「研修動画」と表記されたアイコンの表示領域18と、「マニュアル」と表記されたアイコンの表示領域20と、「ハザードマップ」と表記されたアイコンの表示領域22と、「安否情報」と表記されたアイコンの表示領域24と、「体調情報」と表記されたアイコンの表示領域26と、を示している。
【0048】
また、所定のウェブページを閲覧できるようにするためには、当該ウェブページに割り当てられているURLを、対応するアイコンの表示領域に紐づけ、従業者がその表示領域をタップした場合に、ウェブサーバに向けて当該URLが送信されるようにすればよい。
【0049】
表示領域10には、「介護サービス事業者名」(この例では「〇〇デイケアサービス」)と表記されたアイコンを表示している。表示領域10には、例えば使用者と簡易に連絡が取れるように、SNSアプリケーションプログラムが有する音声通話又はビデオ通話の発呼要求と紐づけておき、従業者が表示領域10をタップした場合に使用者用情報処理装置100に向けて発呼して、使用者と通話ができるようにしてもよい。
【0050】
また、「介護サービス事業者名」自体を表示することは、従業者にとって必ずしも限られた表示スペースを有効利用しているとはいえないので、他の表示事項としてもよいし、利用者も
図3に例示する表示画面を閲覧できるようにする場合もあるので「介護サービス事業者名」を表示する意義はある。なお、表示内容は「介護サービス事業者名」とともに又はこれに代えて、その法人名及び/又はその事業所名としてもよい。
【0051】
表示領域12には、例えば、介護施設にとって最寄りの「避難場所」(この例では「〇〇小学校」)と表記されたアイコンを表示している。普段の生活において介護施設の最寄りの「避難場所」の意識が薄れてしまいがちであるので、表示領域12に「避難場所」を表示しておくことは有益である。より有益性を高めるために、例えば、表示領域10の面積を狭めて表示領域12の面積を広めるなどしてもよい。
【0052】
もちろん、例えば、地方公共団体がその地域住民に向けて作成した避難場所一覧が記載されたウェブページが閲覧可能なようにしてもよい。ただ、有事発生時を考慮すると、そのような広域の地域の避難場所が提示されるような作り込みをするよりも、直接的に避難場所が表示されている方が、BCP用途としては好ましい場合が多いであろう。
【0053】
また、例えばサーバ装置200の管理者が、地方自治体などが公表している避難場所及びその住所情報に基づき、緯度経度情報がインプットされると対応する避難場所がアウトプットされる対応リストを作成しておき、その対応リストを表示領域12のリンク先とすることもできる。そして、従業者が表示領域12をタップしたときに従業者用情報処理装置300が有するGPS機能を用いて従業者用情報処理装置300の現在地の経度緯度情報を取得して、その経度緯度情報を送信して、当該対応リストにある対応する避難場所を受信して表示領域12等に表示することもできる。
【0054】
こうすると、業務時間外などに自宅にいる従業者に対して好適な避難場所情報の提示が可能となる。なお、複数の特定の避難場所が提示されるようにしてもよい。本実施形態の事業継続計画用システムが普及すればするほど、全国各地にある介護施設の近隣地域のリストが作成されることになるので、従業者の自宅住所に対応する避難場所のみならず、例えばその者が勤務する介護施設から遠方にある実家の避難場所も提示することもできる。
【0055】
そのためには、例えばアカウントの設定時又は設定変更時に、一又は複数の場所情報(自宅の住所、家族の住所、家族勤務/通学先の所在地など)を選択可能とすればよい。これにより、それらの場所情報に対応する局所的なものが提示されるようにカスタマイズすることもできる。
【0056】
表示領域14には、例えば、厚生労働省のウェブページに掲載されている災害情報を閲覧できるようにするために、「厚労省HP」と表記されたアイコンを表示している。このアイコンには、当該ウェブページに割り当てられているURLを紐付ければよい。これによって、従業者は、表示領域14をタップすることによって、「厚労省」の当該ウェブページをリンク先として閲覧することができる。
【0057】
表示領域16には、例えば、介護施設が属する自治体のウェブサイトのトップページを閲覧できるようにするために、「〇〇区役所HP」と表記されたアイコンを表示している。このアイコンには、当該ウェブページに割り当てられているURLを紐付ければよい。これによって、従業者は、表示領域16をタップすることによって、「〇〇区役所」の当該ウェブページをリンク先として閲覧することができる。
【0058】
表示領域18には、例えば、BCPの従業者向けの研修動画を閲覧できるようにするために、「研修動画」と表記されたアイコンを表示している。このアイコンには、介護サービス事業者団体及び/又は使用者などが作成した研修動画ファイル自体又はそれが組み込まれたウェブページに割り当てられているURLを紐付ければよい。これによって、従業者は、表示領域18をタップすることによって、「研修動画」を閲覧することができる。
【0059】
なお、BCPを各従業者に徹底遂行させるために、当該タップのログを収集して各従業者が例えば定期的に研修動画を再生しているかを確認したり、研修動画の閲覧後に閲覧しなければ把握できない質問事項に対しての回答事項を含めた報告書の提出を義務付けたりすることも一法である。
【0060】
表示領域20には、例えば、BCPの従業者向けのマニュアルを閲覧できるようにするために、「マニュアル」と表記されたアイコンを表示している。このアイコンには、介護サービス事業者団体及び/又は使用者などが作成した動画又は静止画も適宜取り込んだファイル自体又はそれが組み込まれたウェブページに割り当てられているURLを紐付ければよい。これによって、従業者は、表示領域20をタップすることによって、「マニュアル」を閲覧することができる。
【0061】
また、BCPを有意義なものとするために、マニュアルを例えばテーマごとに小分けにして配信することも一法である。しかも、そのようなマニュアルは、一旦、従業者用情報処理装置300のSNSアプリケーションプログラムを通じて受信した場合には、例えば、それを閲覧したこと条件に又は無条件に、典型的にはオフライン状態のような十分な通信環境になくとも閲覧できるようにするとよい。なお、小分けにしたマニュアル毎に、その内容を示すテーマ名を表記したアイコンを表示すると、従業者が必要なマニュアルにすぐにアクセスできるので好ましい。
【0062】
さらに、少なくともマニュアルに対しては、災害などの発生時に多数のアクセスが予想されるため、使用者は、介護サービス事業者団体を含む他者がそれを作成した場合には、著作権問題が生じないことを条件としてダウンロードして、多数のアクセスがされ難い自社用のウェブサーバに保存しておくとよい。
【0063】
また、マニュアルは、これに限定されるものではないが、備蓄品情報(いつまでの、どこに、何が、どのくらいの量で備蓄されているかなど)、有事の種別に応じた対応情報(例えば、介護施設が半壊したときの対応、停電時の対応、断水時の対応、感染症蔓延が想定された場合の対応など)、確保できる従業者数に応じた対応情報(介護施設で業務遂行が可能な従業者数が3人の場合にすべきこと、5人の場合にすべきこと、10人の場合にすべきことなど)その介護施設や従業者に応じた個別具体的な情報を含めるとよい。
【0064】
なお、備蓄品情報を従業者で共有することによって、従業者のいずれかがその消費期限等の到来が近いことに気付きやすくなるので、補充忘れに寄与する。もっとも、サーバ装置200にその消費期限等を登録しておき、その期限等の到来が近くなったら、そのことがサーバ装置200から使用者用情報処理装置100又は従業者用情報処理装置300にアラートされるようにリマインド設定できるようにしてもよい。
【0065】
表示領域22には、例えば、介護施設が属する地域のハザードマップを閲覧できるようにするために、「ハザードマップ」と表記されたアイコンを表示している。このアイコンには、その画像ファイル自体又はそれが組み込まれたウェブページに割り当てられているURLを紐付ければよい。これによって、従業者は、表示領域22をタップすることによって、「ハザードマップ」を閲覧することができる。
【0066】
ハザードマップについても、少なくとも「マニュアル」の場合と同じく、自社用のウェブサーバに保存しておくとよい。また、例えば、地方公共団体がその地域住民に向けて作成したハザードマップが記載されたウェブページが閲覧可能なようにしてもよい。ただ、有事発生時を考慮すると、そのような広域の地域のハザードマップが提示されるような作り込みをするよりも、よりカスタマイズした表示ができるようにした方が、BCP用途としては好ましい場合が多いであろう。また、「避難場所」の場合と同じく、「ハザードマップ」についても必要な幾つかの場所のものを提示できるようにすることも一法である。
【0067】
表示領域24には、従業者に入力させる安否情報の入力フォームが掲載されているウェブページを閲覧できるようにするために、「安否情報」と表記されたアイコンを表示している。このアイコンには、そのウェブページに割り当てられているURLを紐付ければよい。これによって、従業者は、表示領域24をタップすることによって、「安否情報」の入力フォームを取得することができる。
【0068】
このような入力フォームの例としては、これに限定されるわけではないが、
1.「あなた自身が怪我をしていますか?」という質問表示領域と、「なし」・「重症」・「軽傷」の別の選択表示領域とのセット、
2.「周りにけがをしている人はいますか?」という質問表示領域と、「いない」・「いる」の別の選択表示領域とのセット、
3.「必要なものはありますか?という質問表示領域と、「水」・「食料」・「薬」などの選択表示領域とのセット、
4.フリーワードでの情報入力欄(例えば、「けが人5名」、「毛布が欲しい」、「火災発生」などの情報を入力するためのもの)、
とすることができる。
【0069】
なお、表示領域24のアイコンについての紐付けを、安否情報の入力フォームが掲載されているウェブページのURLに代えて、既存の安否確認プログラムとしてもよい。この場合、従業者が表示領域24をタップすると、その安否確認プログラムが起動され、上記入力フォームと同様に質問及び選択肢などが表示されることになる。
【0070】
表示領域26には、従業者に入力させる従業者自身の体調情報の入力フォームが掲載されているウェブページを閲覧できるようにするために、「体調情報」と表記されたアイコンを表示している。このアイコンには、そのウェブページに割り当てられているURLを紐付ければよい。これによって、従業者は、表示領域26をタップすることによって、「体調情報」の入力フォームを取得することができる。
【0071】
このような入力フォームの例としては、これに限定されるわけではないが、
1.「今日の体調はどうですか?」という質問表示領域と、「よい」・「ふつう」・「わるい」の別の選択表示領域とのセット、
2.「今日の体温は何度でしたか?」という質問表示領域と、プルダウンで何度何部の数値の選択表示領域とのセット、
3.「昨晩飲酒をしてアルコールが残っていませんか?」という質問表示領域と、「飲んでいない」・「飲んだが残っていない」・「残っている」とのセット、
4.フリーワードでの情報入力欄(例えば、「出勤不可」、「早退希望」、「インフルエンザに感染」などの情報を入力するためのもの)、
とすることができる。
【0072】
なお、
図3の各表示領域10~26に割り当てられる表示事項はいずれも例示であって、各表示事項はこれらに限られるものではない。また、表示領域の数は、
図3に例示するものよりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0073】
したがって、これらの表示事項のいずれかに代えて、例えば、「××病院HP」、「ニュース」、「Yahoo!(登録商標)」、「国交省」、「備蓄情報」などと表記されたアイコンとし、最寄りの病院のホームページのトップページ、日本放送協会(NHK)などの公共放送事業者や民間放送事業者のニュースが掲載されているウェブページ、ヤフー株式会社などが運営するポータルサイトのトップページ、国土交通省の例えば災害情報又は交通規制情報が掲載されているウェブページ、使用者等が管理している介護施設内の備蓄情報(例えば、飲料水・乾パンが5日分、毛布30枚)が記載されたファイル自体又はそれが組み込まれたウェブページ、に割り当てられているURLを対応するアイコンに紐付けてもよい。
【0074】
また、
図3に示す表示画面例には有事発生時連絡事項が含まれているので、有事発生時には、使用者が使用者用情報処理装置100を操作することによって、そのページを従業者用情報処理装置300にプッシュ通知するとよい。
【0075】
もっとも、このプッシュ通知は、有事が突発的な自然災害(例えば、地震、津波、ゲリラ豪雨、洪水、竜巻)である場合には、即座に使用者が使用者用情報処理装置100を操作して有事発生時連絡事項を送信することが困難である場合も予想されるので、そのような自然災害の発生をサーバ装置200の管理者が把握した場合には、使用者が使用者情報処理装置100を操作したことをトリガーとすることに代えて、当該管理者がサーバ装置200に対して指示することをトリガーに行うようにしてもよい。
【0076】
その場合、サーバ装置200は、有事の発生地域に基づいて介護施設の所在地を含む使用者情報が登録されているデータベース等を参照して、その有事の発生地域に係る使用者アカウントを特定し、その使用者アカウントが送信元であって当該使用者アカウントに連携済みの従業者アカウントを送信先として直近に送信済みのメッセージ(典型的には、
図3に示す表示画面例のメッセージ)を例えば順次蓄積して再送するようにすればよい。
【0077】
さらに、避難場所や介護施設の被害状況などを従業者間で臨機応変に共有できるように、例えば、いずれかの従業者が避難場所等で撮像した動画像又は静止画像を、その従業者用情報処理装置300を操作することによって使用者用情報処理装置100に送信した場合には、使用者用情報処理装置100は、その画像を有事発生時連絡事項として従業者用情報処理装置300に転送するとよい。
【0078】
この場合にも、即座に使用者が使用者用情報処理装置100を手動で操作して当該画像を転送することが困難である場合も予想されるので、SNSアプリケーションプログラム等に通常モードと非常モードとを用意しておき、使用者が使用者用情報処理装置100を操作して(又はサーバ装置200の管理者から指示をトリガーとして)例えば最初に有事発生時連絡事項を送信する際に、手動又は自動で非常モードに設定をするようにし、非常モードではいずれかの従業者用情報処理装置300から使用者用情報処理装置100に画像送信やメッセージ送信された場合には、使用者用情報処理装置100から従業者用情報処理装置300に当該画像や当該メッセージを自動転送できるようにするとよい。
【0079】
図4は、
図1に示す従業者用情報処理装置(スマートフォン)300の設定画面例を示す図である。
図4には、例えば、介護施設のロゴ、介護サービス事業者名、連絡先(電話番号)、ウェブサイトのURL等の使用者情報の表示領域30と、使用者アカウントを通信先として「追加」したり、使用者に「メッセージ」を送信したり、上記ウェブサイトを閲覧したりする際にそれぞれタップする表示領域32と、介護サービス事業者がした「最近の投稿」の表示領域34と、を示している。
【0080】
従業者が、表示領域32のうち「追加」アイコンのある部分をタップすると、従業者アカウントを送信元として含む従業者アカウントと使用者アカウントとの連携要求がサーバ装置200を通じて使用者用情報処理装置100に送信され、その後、従業者用情報処理装置300では、使用者アカウントが通信先として「追加」される。
【0081】
なお、
図4の各表示領域30~34に割り当てられた表示事項はいずれも例示であって、各表示事項はこれらに限られるものではない。したがって、例えば、表示領域34の「最近の投稿」に代えて、介護施設の概要説明を表示事項とすることもできる。
【0082】
図5は、
図1に示す事業継続計画用システムにおける、使用者用情報処理装置100とサーバ装置200と従業者用情報処理装置300との間の典型的な動作の概要を示すフローチャートである。
【0083】
ここでは、まず、「使用者アカウント」と「従業者アカウント」との連携動作について説明し(ステップS1~ステップS6)、次いで、使用者用情報処理装置100と従業者用情報処理装置300との間で典型的には毎日なされる通常動作について説明し(ステップS7~ステップS8)、その後に、使用者用情報処理装置100と従業者用情報処理装置300との間で典型的には地震災害などの有事発生時になされる非常動作について説明する(ステップS9~ステップS10)。当該通常動作及び当該非常動作では、SNSアプリケーションプログラムのメッセンジャーサービスを通じて所要の通信がされる。
【0084】
なお、以下の説明では、使用者用情報処理装置100及び従業者用情報処理装置300に、SNSアプリケーションプログラムがインストールされていて、それぞれの当該プログラムに「使用者アカウント」、「従業者アカウント」が設定済みであることを前提に説明する。
【0085】
また、従業者用情報処理装置300が有する撮像手段を用いて撮像すると、従業者アカウントと使用者アカウントとの連携のために、当該従業者アカウントを送信元として含む
図4に例示する設定画面のページの送信要求を、サーバ装置200へ送信するステップを従業者用情報処理装置300に実行させる命令がコード化されたQRコード(登録商標)が作成済みであることも前提とする。
【0086】
なお、QRコードに代えて、SNSアプリケーションプログラムが有するアカウント検索機能を用いて、使用者アカウントを取得することによって連携要求ができるようにしてもよい。
【0087】
まず、使用者用情報処理装置100は、使用者の操作に従って作成される、
図3に例示する表示画面のページ(既に所定の表示領域に所定のURLの紐付けがされたもの)及び
図4に例示する設定画面のページを、使用者アカウントに紐付けてサーバ装置200に送信する。サーバ装置200は、使用者用情報処理装置100から送信される表示画面のページ等を受信すると、従業者用情報処理装置300に対して送信できるように、表示画面のページ等を蓄積する(ステップS1)。
【0088】
その後、従業者用情報処理装置300は、その撮像機能を用いて従業者が上記QRコードの読込操作をすると、受付手段330によってコード化された命令を受け付け、ネットワーク500を介してサーバ装置200に対して、従業者アカウントを送信元として含む
図4に例示する設定画面のページの送信要求を通信手段310によって送信する。サーバ装置200は、従業者用情報処理装置300から送信される送信要求を受信すると、送信要求の送信元と送信対象のページとを特定する(ステップS2)。
【0089】
サーバ装置200は、その結果、ステップS1にて使用者用情報処理装置100から送信された
図4に例示する設定画面のページを、ネットワーク500を介して従業者用情報処理装置300に送信する。従業者用情報処理装置300は、サーバ装置200から送信される
図4に例示する設定画面のページを通信手段310によって受信すると、表示手段320によってそれをディスプレイに表示する(ステップS3)。
【0090】
従業者用情報処理装置300は、従業者が表示領域32の「追加」アイコンをタップすると、受付手段330によってそれを受け付け、従業者アカウントを送信元として含む使用者アカウントとの連携要求を、ネットワーク500を介してサーバ装置200に対して送信する。サーバ装置200は、従業者用情報処理装置300から送信される連携要求を受信すると、連携要求の送信元と連携対象とを特定する(ステップS4)。
【0091】
サーバ装置200は、当該使用者アカウントと当該従業者アカウントとを連携して、従業者アカウントを、ネットワーク500を介して使用者用情報処理装置100に送信する。使用者用情報処理装置100は、サーバ装置200から送信される従業者アカウント等を受信すると、当該従業者アカウントを通信先として追加する(ステップS5)。
【0092】
また、サーバ装置200は、ステップS1にて使用者用情報処理装置100から送信された
図3に例示する表示画面のページを、ネットワーク500を介して従業者用情報処理装置300に送信する。従業者用情報処理装置300は、サーバ装置200から送信される
図3に例示する表示画面のページを通信手段310によって受信すると、表示手段320によってそれをディスプレイに表示する(ステップS6)。
【0093】
以上説明したように、ステップS1~ステップS6を実行することによって、従業者が面倒な設定作業をすることなく、「使用者アカウント」と「従業者アカウント」とを連携することができる。なお、使用者側で従業者アカウントを事前に把握している場合には、当該連携をするために、使用者用情報処理装置100から当該従業者アカウントを指定して、従業者用情報処理装置300に対して連携要求の送信依頼をすることもできる。
【0094】
使用者用情報処理装置100は、伝染病の感染予防対策などのために、従業者に向けた体調情報の送信要求を、ネットワーク500を介して、従業者用情報処理装置300に送信する。従業者用情報処理装置300は、使用者用情報処理装置100から送信される送信要求を通信手段310によって受信すると、表示手段320によってそれをディスプレイに表示する(ステップS7)。
【0095】
この体調情報の送信要求は、例えば毎朝8:00になると、使用者が使用者用情報処理装置100を操作して送信してもよいし、自動送信されるようにSNSアプリケーションプログラム等に設定をしておいてもよい。その送信要求は、例えば、
図3に例示する表示画面のページとともに「体調情報を送信してください」などのメッセージを送信することによって行えばよい。
【0096】
従業者用情報処理装置300は、従業者の操作によって表示領域26の「体調情報」のアイコンがタップされると、「今日の体調はどうですか?」という質問表示領域と、「よい」・「ふつう」・「わるい」の別の選択表示領域とのセットなどが表示された入力フォームのページを通信手段310によって受信すると、表示手段320によってディスプレイに表示する。
【0097】
従業者用情報処理装置300は、従業者の操作によって選択表示領域が適宜タップ等されると、受付手段330によってそれを受け付け、その後に「送信」の表示領域のアイコンがタップされると、従業者の体調情報を、サーバ装置200を通じて使用者用情報処理装置100へ送信する。使用者用情報処理装置100は、従業者用情報処理装置300から送信される体調情報を受信すると、その体調情報をその従業者アカウントに紐付けて蓄積する(ステップS8)。
【0098】
なお、体調情報は、各従業者が自宅乃至介護施設の入口などで、体温測定器、アルコール検知器などを用いて、体温測定、アルコールチェックをした結果も含めて送信すればよい。また、使用者用情報処理装置100は、複数の従業者アカウントのうち体調情報を送信してきていない従業者アカウント宛てに、体調情報の送信要求の再送するようにしてもよい。
【0099】
以上説明したように、ステップS7~ステップS8を実行することによって、主として、個別具体的に、過不足なく、的確に、わかりやすく従業者に情報を提示することができる。また、使用者用情報処理装置100では、従業者用情報処理装置300から送信される各従業者の体調情報を取得することができ、体調の優れない従業者の出勤を停止するとともに従業者の人員配置などの調整が可能となり、また、当該従業者が仮に感染病に感染していた場合に、他の従業者や介護施設の利用者への感染拡大を防止することができる。
【0100】
その後、例えば、有事として地震が発生したとする。使用者用情報処理装置100は、有事発生時連絡事項の一つとして、安否情報の送信要求を、ネットワーク500を介して従業者用情報処理装置300に送信する。従業者用情報処理装置300は、使用者用情報処理装置100から送信される送信要求を通信手段310によって受信すると、表示手段320によってそれをディスプレイに表示する(ステップS9)。
【0101】
この安否情報の送信要求は、例えば、
図3に例示する表示画面のページとともに「地震が発生しました。速やかに安全確保をした後、揺れが収まりましたら、安否情報を送信してください」などのメッセージを送信することによって行えばよい。
【0102】
従業者用情報処理装置300は、従業者の操作によって表示領域24の「安否情報」のアイコンがタップされると、「あなた自身が怪我をしていますか?」という質問表示領域と、「なし」・「重症」・「軽傷」の別の選択表示領域とのセットなどが表示された入力フォームのページを通信手段310によって受信すると、表示手段320によってディスプレイに表示する。
【0103】
従業者用情報処理装置300は、従業者の操作によって選択表示領域が適宜タップ等されると、受付手段330によってそれを受け付け、その後に「送信」の表示領域のアイコンがタップされると、従業者の安否情報を、サーバ装置200を通じて使用者用情報処理装置100へ送信する。使用者用情報処理装置100は、従業者用情報処理装置300から送信される安否情報を受信すると、その安否情報をその従業者アカウントに紐付けて蓄積するとともに、表示手段320によってそれをディスプレイに表示する(ステップS10)。
【0104】
以上説明したように、ステップS9~ステップS10を実行することによって、主として、個別具体的に、的確に、従業者に情報を提示することができる。また、使用者用情報処理装置100は、従業者用情報処理装置300から送信される各従業員の安否情報を、使用者に提示することができ、使用者は、安否情報に応じた具体的な指示を従業者用情報処理装置300に送信したり、消防機関に対して救急要請をしたり、自衛隊に援助物資の搬送手配をしたりすることができる。
【0105】
なお、
図5では、使用者用情報処理装置100と従業者用情報処理装置300との間のやり取りを示したが、使用者用情報処理装置100と利用者用情報処理装置400との間のやり取りについても、利用者用情報処理装置400にSNSアプリケーションプログラムをインストールし、当該プログラムに「利用者アカウント」を設定しておけば、利用者は従業者と同様の情報を取得することができる。
【0106】
また、アカウントの設定登録時又は設定変更時に、従業者/利用者の別を選択可能とすることもできる。その際、従業者と利用者とのいずれが選択されても、従業者・利用者共用登録も可能とするとよい。これにより、例えば、従業者向きの情報(例えば、「研修動画」や「マニュアル」)は従業者にのみ送信し、利用者向きの情報(例えば、介護施設の来所予約受付ページ)は利用者にのみ送信し、従業者・利用者に共通する情報(例えば、「安否情報」や「体調情報」の入力ページ)は双方に送信するといった対応もできる。
【0107】
さらに、アカウントの設定登録時又は設定変更時に、受信を希望する情報を選択可能とすることもできる。これにより、例えば、利用者は
図3の表示領域14~26のうち、表示領域16の「〇〇区役所HP」・表示領域24の「安否情報」・表示領域26の「体調情報」と表記されたアイコンのみ表示されるように設定することができる。
【0108】
さらに、本実施形態の事業継続計画用システムは、様々な事業分野にも好適に用いることができることはいうまでもない。幾つかの事業分野における、具体的な従業者・利用者について例示すると、以下のようになる。
【0109】
病院・医院・クリニックなどの医療分野では、医療従事者が「従業者」で患者が「利用者」となる。幼稚園・保育所・各種学校などの教育分野では、保母・教員・教授などが「従業者」で園児・児童・学生が「利用者」となる。デパートや専門店などの小売分野では、販売員が「従業者」で来店者が「利用者」となる。レストランを含む飲食店などの飲食分野では、ウェイター・ウェイトレスなどが「従業者」で来客者が「利用者」となる。ホテル・旅館などの宿泊分野では、ホテルマン・ホテルウーマン等が「従業者」で宿泊者が「利用者」となる。鉄道・航空運輸などの運輸分野では、車掌・駅係員・空港スタッフなどが「従業者」で乗客などが「利用者」となる。
【0110】
したがって、本実施形態の事業継続計画用システムによれば、従業者も利用者も使用者アカウントを追加登録し、必要に応じてオプション的に所属グループや場所情報を選択するといった簡易な設定作業をするだけで、好適なBCP情報や有事発生時連絡事項を受けられるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【
図1】本発明の実施形態の事業継続計画用システムの模式的な構成図である。
【
図2】
図1に示す従業者用情報処理装置300における事業継続計画用システムに関する部分の模式的な内部構成図である。
【
図3】
図1に示す従業者用情報処理装置(スマートフォン)300の表示画面例を示す図である。
【
図4】
図1に示す従業者用情報処理装置(スマートフォン)300の設定画面例を示す図である。
【
図5】
図1に示す事業継続計画用システムにおける、使用者用情報処理装置100とサーバ装置200と従業者用情報処理装置300との間の典型的な動作の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0112】
100 使用者用情報処理装置
200 サーバ装置
300 従業者用情報処理装置
310 通信手段
320 表示手段
330 受付手段
400 利用者用情報処理装置
500 ネットワーク