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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118923
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】物品搬送車
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20240826BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240826BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B60K11/04 K
B60K1/04 Z
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025519
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉永 和治
(72)【発明者】
【氏名】高木 大樹
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
3F022
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB04
3D038AC05
3D235AA17
3D235CC13
3F022AA15
3F022LL07
3F022NN02
3F022PP04
(57)【要約】
【課題】全体を小型化しやすく、ドライバユニットを効率的に冷却できる物品搬送車を実現する。
【解決手段】物品搬送車は、車体(2)と、車体(2)に支持された車輪と、車輪を駆動するモータと、モータを制御するドライバユニット(51)とを備える。ドライバユニット(51)は、縦置き姿勢で車体(2)の前後方向(X)に沿って配置されている。走行時に生じる走行風をドライバユニット(51)の被冷却面(51c)に導く導風路(30)が、車体(2)の底部に形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する物品搬送車であって、
車体と、
前記車体に支持された車輪と、
前記車輪を駆動するモータと、
前記モータを制御するドライバユニットと、を備え、
前記ドライバユニットは、縦置き姿勢で前記車体の前後方向に沿って配置されており、
前記ドライバユニットにおける、上下方向視で前記前後方向に直交する方向である幅方向を向く少なくとも1つの面が被冷却面とされ、
走行時に生じる走行風を前記被冷却面に導く導風路が、前記車体の底部に形成されている、物品搬送車。
【請求項2】
前記車体は、底面から上方に向かって窪む凹状空間を有し、
前記導風路が、前記凹状空間を含んで構成されている、請求項1に記載の物品搬送車。
【請求項3】
前記車体は、前記凹状空間に連通する開口部を有し、
前記被冷却面が前記開口部を通じて前記凹状空間に面するように、前記ドライバユニットが配置されている、請求項2に記載の物品搬送車。
【請求項4】
前記車輪は、前記車体の底部において前記底面から上方に向かって窪む車輪収容空間に配置されており、
前記凹状空間と前記車輪収容空間とが前記前後方向に連続している、請求項2又は3に記載の物品搬送車。
【請求項5】
前記ドライバユニットが、直方体状に形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば物品の保管や仕分け等を行う設備において、物品を搬送する物品搬送車が利用されている。このような物品搬送車の一例が、特開2021-181362号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
特許文献1の物品搬送車(無人搬送車1)は、車体(ベース10)と、車輪(車輪12)と、車輪を駆動するモータ(モータ)とを備えており、明示されてはいないものの、モータを制御するドライバユニットを備えていると考えられる。ドライバユニットは、複数の半導体素子を備えて構成される場合が多く、動作時に発熱するため冷却が必要となる。また、他の構成部品との関係で、物品搬送車の全体を小型化しやすい設置態様となっていることが好ましい。この点、特許文献1には、ドライバユニットをどのように設置して、いかに効率的に冷却するかについて、特に開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-181362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、全体を小型化しやすく、ドライバユニットを効率的に冷却できる物品搬送車を実現することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る物品搬送車は、
物品を搬送する物品搬送車であって、
車体と、
前記車体に支持された車輪と、
前記車輪を駆動するモータと、
前記モータを制御するドライバユニットと、を備え、
前記ドライバユニットは、縦置き姿勢で前記車体の前後方向に沿って配置されており、
前記ドライバユニットにおける、上下方向視で前記前後方向に直交する方向である幅方向を向く少なくとも1つの面が被冷却面とされ、
走行時に生じる走行風を前記被冷却面に導く導風路が、前記車体の底部に形成されている。
【0007】
この構成によれば、ドライバユニットを縦置き姿勢で車体の前後方向に沿って配置することで、車体の内部空間が広く確保しやすくなり、物品搬送車の全体を小型化しやすい。縦置き姿勢で車体の前後方向に沿って配置されるドライバユニットにおける幅方向を向く面は、面積が最大となることから、そのうちの少なくとも1つを冷却面とすることで、冷却効率を高めることができる。さらに、物品搬送車の走行時、その冷却面に導風路を通じて走行風を導くことで、ドライバユニットをさらに効率的に冷却することができる。これらのことから、全体を小型化しやすく、ドライバユニットを効率的に冷却できる物品搬送車を実現することができる。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の物品搬送車の斜視図
図2】物品搬送車の動作説明図
図3】車体の分解斜視図
図4】物品搬送車の底面側から見た斜視図
図5】物品搬送車の平面図
図6】物品搬送車の側面図
図7図5におけるVII-VII断面図
図8】ケーブル保持部の斜視図
図9】ケーブル保持部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
物品搬送車の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の物品搬送車1は、例えば物品Aの保管や仕分け等を行う設備(以下、「物流設備」と言う場合がある。)において、物品Aを搬送するために用いられる。
【0011】
図1に示すように、物品搬送車1は、車体2と、車体2の上に搭載されて物品Aの移載を行う移載装置9とを備えている。車体2は、走行面F上を走行する(図2を参照)。走行面Fは、例えば物流設備の床面である。以下、物品搬送車1(車体2)の走行時に進行する方向を「前後方向X」と言い、走行面Fの法線方向を「上下方向Z」と言い、上下方向Zから見た上下方向視で前後方向Xに直交する方向を「幅方向Y」と言う。また、前後方向Xにおける一方側である前進方向側を「前側」と言い、その反対側を「後側」と言う場合がある。
【0012】
移載装置9は、移載トレイ91を備えている。移載装置9は、移載トレイ91が車体2の上面に沿って水平に配置される水平姿勢(図1を参照)と、移載トレイ91が車体2の上面に対して傾斜する傾斜姿勢(図2を参照)とを切替可能に構成されている。移載装置9は、水平姿勢の移載トレイ91の上に物品Aを載置することができる。また、図2に示すように、移載装置9は、移載トレイ91を水平姿勢から傾斜姿勢とすることで、移載トレイ91から物品Aを滑らせて移載することができる。
【0013】
物品搬送車1は、水平姿勢の移載トレイ91の上に物品Aを載置した状態で物流設備内の目的地まで走行し、当該位置で移載トレイ91を傾斜姿勢として、当該目的地に物品Aを搬送して引き渡すことができる。なお、物流設備内の目的地としては、例えば図2に示すような、出荷先毎に仕分けられた物品Aを投入する物品投入部Tが例示される。
【0014】
なお、本実施形態の物品搬送車1は、無人走行が可能な無人搬送車として構成されている。物品搬送車1は、読取装置7を備えており、この読取装置7が走行面Fに断続的に設けられた複数の位置情報記憶部Bに記録された位置情報を順次読み取ることで、自車位置を把握しながら無人走行可能となっている。位置情報記憶部Bとしては、例えば1次元コードや2次元コード等のバーコードや、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等が例示される。読取装置7としては、位置情報記憶部Bの種別に応じて、バーコードリーダーやタグリーダー等が利用される。
【0015】
図3は、物品搬送車1を構成する車体2と移載装置9とのうち、車体2の構造を示す分解斜視図である(移載装置9の図示を省略している)。図3に示すように、車体2は、車体本体20と、車体本体20に対して上方から着脱自在に取り付けられるカバー29とを有している。また、物品搬送車1は、車体本体20とカバー29とを有する車体2以外に、図5及び図6にも示すように、走行駆動部4と、制御装置5と、電源装置6と、ケーブル8とを備えている。
【0016】
車体本体20は、走行駆動部4、制御装置5、電源装置6、及びケーブル8を支持可能な基台21を備えている。基台21は、上下方向視で矩形状(本例では、四隅の部分が面取り状に形成された、正方形に近い長方形状)に形成されている。基台21は、平板状に形成された底部22と、前後方向Xの中央部において底部22から上方に隆起する中央隆起部23とを有している。なお、中央隆起部23の裏面(下面)側は、図4に示すように、底部22の底面22aから上方に向かって窪む空間となっており、この空間により車輪収容空間23aが構成されている。
【0017】
本実施形態では、この基台21における中央隆起部23の裏面側の車輪収容空間23aにより、走行駆動支持スペースSdが構成されている。また、基台21上の中央隆起部23よりも前後方向Xの一方側である前側の空間により、制御装置支持スペースScが構成されている。また、基台21上の中央隆起部23よりも前後方向Xの他方側である後側の空間により、電源装置支持スペースSpが構成されている。
【0018】
図4及び図5に示すように、走行駆動支持スペースSd(車輪収容空間23a)には、走行駆動部4が配置されている。これにより、走行駆動部4は、車体2の前後方向Xの中央部に支持されている。ここで、本実施形態では、走行駆動部4は、一対の車輪41と、一対の車輪41を駆動する走行用モータ42とを備えている。一対の車輪41は、幅方向Yに分かれて配置されている。一対の走行用モータ42は、それぞれ対応する車輪41に対して幅方向Yに隣接して同軸に配置され、対応する車輪41と一体回転するように連結されている。本実施形態では、走行用モータ42が「モータ」に相当する。
【0019】
本実施形態の車輪収容空間23aは、基台21における幅方向Yの中央部に形成された吹き抜け状の窓部25によって、幅方向Yに2つに分かれている。この2つに分かれた車輪収容空間23aのうちの一方に、車輪41と走行用モータ42との第1の組が配置され、2つに分かれた車輪収容空間23aのうちの他方に、車輪41と走行用モータ42との第2の組が配置されている。すなわち、2つの車輪収容空間23aのうちの一方に第1車輪41A及び第1走行用モータ42Aが配置され、2つの車輪収容空間23aのうちの他方に第2車輪41B及び第2走行用モータ42Bが配置されている。
【0020】
なお、基台21に形成された窓部25には、底部22の底面22a側(走行面F側)を向く状態で読取装置7が配置されて支持されている。読取装置7は、車体2の、幅方向Yにおける第1車輪41Aと第2車輪41Bとの間に配置され、より詳細には幅方向Yにおける第1走行用モータ42Aと第2走行用モータ42Bとの間に配置されている。
【0021】
本実施形態では、基台21における前後方向Xの両端部には、それぞれ幅方向Yに分かれて丸穴状に窪む凹部22bが形成されている。この凹部22bの少なくとも一部には、補助輪44が配置されている。図4では、4つの凹部22bのうち対角に位置する2つの凹部22bだけに補助輪44が配置された例を示しているが、例えば4つの凹部22bの全てに補助輪44が配置されていても良い。
【0022】
図3に示すように、本実施形態では、基台21における中央隆起部23よりも前後方向Xの一方側である前側に、中央隆起部23と同じように底部22から上方に隆起する延設隆起部24が形成されている。延設隆起部24は、基台21における幅方向Yの両側にそれぞれ設けられている。また、延設隆起部24は、中央隆起部23と前後方向Xに連続して一体的に設けられている。言い換えれば、中央隆起部23の幅方向Yの両側の部分が、前後方向Xの一方側である前側に延設されており、当該延設された部分が延設隆起部24となっている。延設隆起部24は、制御装置支持スペースScに設けられている。
【0023】
なお、延設隆起部24の裏面(下面)側は、図4に示すように、底部22の底面22aから上方に向かって窪む空間となっており、この空間により凹状空間24aが構成されている。この凹状空間24aは、車輪収容空間23aと前後方向Xに連続して一体的に形成されている。車輪収容空間23aとは異なり、凹状空間24aには物品搬送車1の構成部品は配置されていない。凹状空間24aは、物品搬送車1の走行に伴って生じる走行風が通り抜ける導風路30の一部を構成している。
【0024】
図3及び図5に示すように、制御装置支持スペースScには、制御装置5が配置されている。これにより、制御装置5は、車体2の、走行駆動部4に対して前後方向Xの一方側である前側に支持されている。ここで、制御装置5は、走行用モータ42を制御するための構成部品であり、本実施形態では少なくともドライバユニット51と制御基板52(図3では省略)とを含んでいる。
【0025】
ドライバユニット51は、走行用モータ42を回転駆動するための、半導体素子を含むドライバ回路を有するユニットである。本実施形態では、一対の走行用モータ42のそれぞれに対応させて、ドライバユニット51も一対設けられている。すなわち、ドライバユニット51として、第1走行用モータ42Aに対応する第1ドライバユニットと、第2走行用モータ42Bに対応する第2ドライバユニットとが設けられている。
【0026】
ドライバユニット51は、直方体状に形成されている。本実施形態のドライバユニット51は、各頂点から互いに直交して延びる3辺のうちの1辺の長さが他の2辺の長さに比べて有意に短い(例えば1/3未満)、扁平な直方体状に形成されている。このドライバユニット51における長さが長い2辺で構成される面は、最も面積が広い面となり、このような最も面積が広い面は対向する状態で2つ存在する。本実施形態では、最も面積が広くかつ互いに反対側を向く2つの面を、第1面51a及び第2面51bと言う。
【0027】
図3に示すように、扁平な直方体状のドライバユニット51は、縦置き姿勢で車体2の前後方向Xに沿って配置されている。ここで、「縦置き姿勢」とは、上下方向Zの長さ(高さ)が前後方向Xの長さ及び幅方向Yの長さの少なくとも一方よりも長くなるような姿勢を意味する。言い換えれば、「縦置き姿勢」とは、最も面積が広くかつ互いに反対側を向く2つの面である第1面51a及び第2面51bが幅方向Yを向く姿勢(上下方向Z及び前後方向Xに沿う姿勢)を意味する。本実施形態では、ドライバユニット51は、最長の辺部が前後方向Xに沿う縦置き姿勢で、基台21に固定されている。
【0028】
また、ドライバユニット51は、基台21における延設隆起部24に固定されている。本実施形態では、ドライバユニット51における幅方向Yを向く2つの面(第1面51a及び第2面51b)のうちの1つ(図3の例では第2面51b)が、被冷却面51cとされている。ドライバユニット51の被冷却面51cは、内蔵されている半導体素子の保護を図るために冷却対象となる面である。図7に示すように、被冷却面51cには、例えばフィンやピン等の、放熱を促進させるための凹凸構造が形成されていることが好ましい。
【0029】
基台21の延設隆起部24における幅方向Yの内側(車体2の幅方向Yの中央側)を向く側面(内側側面24B、図5を参照)には、図7に示すような矩形状の開口部35が貫通形成されている。この開口部35を覆うように、ドライバユニット51が延設隆起部24に固定されている。ドライバユニット51は、被冷却面51cが開口部35を通じて凹状空間24aに面するように、延設隆起部24の内側側面24Bに固定されている。
【0030】
また、本実施形態では、図7に示すように、車体本体20の基台21(底部22)における前後方向Xの前方側の下端部には、前後方向Xに開口する下部開口31が形成されている。この下部開口31は、前後方向Xの後側に向かうに従って上下方向Zの高さが次第に高くなる拡径部32に連通しており、この拡径部32を介してさらに上述した凹状空間24aに連通している。
【0031】
物品搬送車1が前進走行すると、その相対移動によって物品搬送車1には風が作用する。この風を、本実施形態では「走行風」と言う。この走行風は、下部開口31から拡径部32を通過して凹状空間24aへと導かれる。そして、走行風は、凹状空間24aで、開口部35から露出しているドライバユニット51の被冷却面51cに到達し、被冷却面51cとの熱交換によってドライバユニット51を冷却する。ドライバユニット51を冷却した後の走行風は、凹状空間24aから車輪収容空間23aを経由して、車体2の外へと通り抜けていく。
【0032】
本実施形態では、下部開口31から拡径部32を経由して凹状空間24aへと至り、さらに車輪収容空間23aへと至る空間により、走行風が通り抜ける導風路30が構成されている。導風路30は、走行駆動部4及び電源装置6の少なくとも一方(本例では、両方)と幅方向Yの配置領域が重複するように配置されている。
【0033】
制御基板52は、ドライバユニット51に含まれる半導体素子の動作を制御することにより、走行用モータ42を制御する。制御基板52は、各種の電子部品が絶縁基板上に実装されて構成されている。図5に示すように、制御基板52は、制御装置支持スペースScのうち、前後方向Xの一方側である前側の位置に配置されている。制御装置支持スペースScは、車体2の前後方向Xの前側に位置しているため、制御基板52は、車体2の全体の中で、前後方向Xの前側の端部付近に配置されている。また、制御基板52は、制御装置支持スペースScにおいて、幅方向Yの略全域に亘って配置されている。
【0034】
図3及び図6から理解できるように、制御装置5は、前後方向Xに沿う前後方向視で、走行駆動部4と重複する位置に配置されている。本実施形態では、制御装置5を構成するドライバユニット51は、その全体が、前後方向視で走行駆動部4と重複するように配置されている。制御基板52は、その一部(具体的には、上下方向Zのおよそ半分)が、前後方向視で走行駆動部4と重複するように配置されている。
【0035】
本実施形態では、制御装置支持スペースScには、制御装置5に加えて、移載駆動部92が配置されている。これにより、移載駆動部92は、制御装置5と同様に、車体2の、走行駆動部4に対して前後方向Xの一方側である前側に支持されている。こうして、移載駆動部92は、車体2における走行駆動部4に対して制御装置5側の部分に支持されている。ここで、移載駆動部92は、移載装置9の一部として移載トレイ91の姿勢変更を制御するための構成であり、本実施形態では少なくとも傾動機構93と移載用モータ94とを含んでいる。
【0036】
傾動機構93は、本実施形態ではリンク機構を含むチルトレバーで構成されている。傾動機構93は、移載トレイ91に固定されているとともに、移載用モータ94に連結されている。移載用モータ94は、回転駆動することで、傾動機構93を介して、移載トレイ91を水平姿勢と傾斜姿勢との間で切り替える。なお、上述した制御基板52は、移載用モータ94の動作も制御する。
【0037】
本実施形態では、図5に示すように、傾動機構93は、制御装置支持スペースScのうち、前後方向Xの後側に配置されている。傾動機構93は、前後方向Xにおいて、走行駆動部4に対して前側に隣接する位置に配置されている。また、移載用モータ94は、制御装置支持スペースScのうち、幅方向Yの中央部に配置されている。移載用モータ94は、制御装置支持スペースScにおいて、前後方向Xの半分以上を占める範囲に亘って配置されている。
【0038】
図6から理解できるように、移載用モータ94は、前後方向視で、走行駆動部4と重複する位置に配置されている。本実施形態では、移載用モータ94は、その一部(具体的には、上下方向Zのおよそ半分)が、前後方向視で走行駆動部4と重複するように配置されている。傾動機構93は、その全部又は大部分が、走行駆動部4よりも上方に配置されている。
【0039】
図3及び図5に示すように、電源装置支持スペースSpには、電源装置6が配置されている。これにより、電源装置6は、車体2の、走行駆動部4に対して前後方向Xの他方側である後側に支持されている。ここで、電源装置6は、少なくとも走行用モータ42に電力を供給するための構成部品であり、本実施形態では移載用モータ94や読取装置7にも電力を供給する。電源装置6としては、例えばリチウムイオン電池等の二次電池や、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ等を用いることができる。
【0040】
電源装置6は、電源装置支持スペースSpのうち、前後方向Xの前側に配置されている。電源装置6は、前後方向Xにおいて、走行駆動部4に対して後側に隣接する位置に配置されている。電源装置6は、電源装置支持スペースSpにおいて、前後方向Xの半分以上を占める範囲に亘って配置されている。また、電源装置6は、電源装置支持スペースSpにおいて、幅方向Yの略全域に亘って配置されている。
【0041】
本実施形態では、電源装置支持スペースSpには、電源装置6に加えて、受電部65が配置されている。これにより、受電部65は、電源装置6と同様に、車体2の、走行駆動部4に対して前後方向Xの他方側である後側に支持されている。こうして、受電部65は、車体2における走行駆動部4に対して電源装置6側の部分に支持されている。ここで、受電部65は、電源装置6の充電時に電力を受け取るための構成部品である。受電部65は、例えば電源装置6の充電が電力線を通じて有線で行われる場合にはコネクタであって良く、或いは、電源装置6の充電が非接触で行わる場合には受電コイル等であって良い。
【0042】
受電部65は、電源装置支持スペースSpのうち、前後方向Xの後側の端部付近に配置されている。電源装置支持スペースSpは、車体2の前後方向Xの後側に位置しているため、受電部65は、車体2の全体の中で、前後方向Xの後側の端部に配置されている。また、受電部65は、電源装置支持スペースSpにおいて、幅方向Yの中央部に配置されている。
【0043】
図6から理解できるように、電源装置6は、前後方向視で、走行駆動部4と重複する位置に配置されている。本実施形態では、電源装置6は、その一部(具体的には、上下方向Zのおよそ半分)が、前後方向視で走行駆動部4と重複するように配置されている。受電部65も、前後方向視で、走行駆動部4と重複する位置に配置されている。本実施形態では、受電部65は、その一部(具体的には、上下方向Zのおよそ半分)が、前後方向視で走行駆動部4と重複するように配置されている。
【0044】
本実施形態では、車体本体20に支持されたドライバユニット51、傾動機構93、移載用モータ94、電源装置6、受電部65、及び読取装置7は、全て、制御基板52が占める上下方向Zの範囲内に収まるように配置されている。よって、上下方向Zの寸法が小さく抑えられた、すっきりとコンパクトな直方体状の車体2が実現されている。
【0045】
また、比較的重量の重い部品の配置について注目すると、図5に示すように、前後方向Xの中央部に一対の走行用モータ42が配置され、それよりも前側に移載用モータ94が配置され、その反対側である後側に電源装置6が配置されている。このような配置構成であることにより、車体2の前後方向Xにおける重量バランスの適正化が図られている。
【0046】
ケーブル8は、少なくとも制御装置5と電源装置6とを電気的に接続する。本実施形態では、ケーブル8は複数本設けられており、他のケーブル8としては、制御装置5と読取装置7とを電気的に接続するものが存在する。ケーブル8は、前後方向Xに走行駆動部4を跨ぐように設けられた配線スペースSwに配置されている。ここで、配線スペースSwが「前後方向Xに走行駆動部4を跨ぐ」とは、上下方向視で走行駆動部4と重複する位置において走行駆動部4が占める範囲を超えて前後方向Xの両側まで延在するように設けられていることを意味する。本実施形態では、配線スペースSwは、走行駆動部4よりも上方において前後方向Xに走行駆動部4を跨ぐように設けられている。
【0047】
本実施形態では、配線スペースSwは、制御装置5の最上部(ここでは、制御基板52の最上部)と電源装置6の最上部とのいずれか高い方よりも下側に配置されている。ここでは、配線スペースSwは、制御装置5の最上部と電源装置6の最上部とのいずれよりも下側に配置されている。
【0048】
本実施形態では、基台21の中央隆起部23における少なくとも幅方向Yの両端部の上面と、延設隆起部24の上面とを含む領域が、配線スペースSwの一部とされている。本実施形態では、配線スペースSwは、これ以外に、中央隆起部23における幅方向Yの中央側(読取装置7側)の領域や、幅方向Yにおける電源装置6の外側(基台21の外縁側)の領域を含んでいる。配線スペースSwは、図3に示すように、車体本体20からカバー29を取り外した状態で、上方からアクセス可能となっている。このような構成により、作業者は、例えばメンテナンス時等に、ケーブル8を上方から容易に操作することができる。
【0049】
図3及び図5に示すように、配線スペースSwには、ケーブル8を保持するためのケーブル保持部26が設けられている。本実施形態では、基台21の中央隆起部23における幅方向Yの両端部に、ケーブル保持部26が設けられている。ケーブル保持部26は、幅方向Yの両側において、それぞれ前後方向Xに分かれて2つずつ設けられている。
【0050】
図8及び図9に示すように、本実施形態のケーブル保持部26は、それぞれが上方に向かって延び、幅方向Yに対向して配置された一対のクランプアーム27を備えている。ケーブル保持部26は、これら一対のクランプアーム27どうしの間にケーブル8を収容する状態で、ケーブル8を保持する。
【0051】
本実施形態では、一対のクランプアーム27のそれぞれの上端部に、内向き(互いに向き合う向き)に突出する突出片27Aが形成されている。突出片27Aは、一対のクランプアーム27どうしの間に収容されている最上段のケーブル8に対して上方から係止可能であり、上方へのケーブル8の抜け出しを抑止する。
【0052】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、ケーブル8が前後方向Xに走行駆動部4を跨ぐように設けられた配線スペースSwに配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、配線スペースSwが、走行駆動部4を跨がずに、例えば走行駆動部4の幅方向Yの外側を通るように設けられ、その配線スペースSwにケーブル8が配置されても良い。
【0053】
(2)上記の実施形態では、ケーブル8が走行駆動部4よりも上方において前後方向Xに走行駆動部4を跨ぐように配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ケーブル8が走行駆動部4よりも下方において前後方向Xに走行駆動部4を跨ぐように配置されていても良い。このような構成は、例えば車輪41の外径に比べて走行用モータ42の外径が有意に小さいような場合に、好適に適用することができる。
【0054】
(3)上記の実施形態では、前後方向視で、走行駆動部4、制御装置5、及び電源装置6が互いに重複している構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、前後方向視で、走行駆動部4、制御装置5、及び電源装置6のうちの少なくとも1つが他と重複していなくても良い。
【0055】
(4)上記の実施形態では、配線スペースSwが、車体本体20からカバー29を取り外した状態で上方からアクセス可能となっている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば配線スペースSwが、車体本体20からカバー29を取り外した状態で、側方(幅方向Yの外側)だけからアクセス可能となっていても良い。このような構成は、例えばケーブル8が走行駆動部4よりも下方に配置されるような場合に、好適に適用することができる。
【0056】
(5)上記の実施形態では、ケーブル保持部26が一対のクランプアーム27を備えている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ケーブル保持部26は、少なくともケーブル8を問題なく保持できるものであれば良く、例えばバンド、クリップ、及びテープ等で構成されても良い。
【0057】
(6)上記の実施形態では、前後方向Xにおいて、移載駆動部92が走行駆動部4に対して制御装置5側の部分に支持されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、移載駆動部92が、例えば走行駆動部4と同じ前後方向Xの領域に支持されていても良い。或いは、移載駆動部92が、前後方向Xにおいて、走行駆動部4に対して電源装置6側の部分に支持されていても良い。
【0058】
(7)上記の実施形態では、前後方向Xにおいて、受電部65が走行駆動部4に対して電源装置6側の部分に支持されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、受電部65が、例えば走行駆動部4と同じ前後方向Xの領域に支持されていても良い。或いは、受電部65が、前後方向Xにおいて、走行駆動部4に対して制御装置5側の部分に支持されていても良い。
【0059】
(8)上記の実施形態では、読取装置7が、車輪41と同じ前後方向Xの領域において、幅方向Yにおける一対の車輪41どうしの間に配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、読取装置7が、車輪41とは異なる前後方向Xの領域、例えば走行駆動部4に対して制御装置5側の部分又は走行駆動部4に対して電源装置6側の部分に配置されていても良い。
【0060】
(9)上記の実施形態では、ドライバユニット51が直方体状に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ドライバユニット51は少なくとも縦置き姿勢をとれるものであれば、幅方向視で例えば台形状、三角形状、半円状等他の形状に形成されていても良い。
【0061】
(10)上記の実施形態では、延設隆起部24の内側側面24Bに開口部35が形成され、この開口部35を通じて被冷却面51cが凹状空間24aに面するようにドライバユニット51が固定されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、延設隆起部24の内側側面24Bに開口部35が形成されていなくても良い。このような場合には、ドライバユニット51は被冷却面51cが延設隆起部24の内側側面24Bに密着するように固定され、延設隆起部24の内側側面24Bを介してドライバユニット51が冷却されても良い。
【0062】
(11)上記の実施形態では、凹状空間24aと車輪収容空間23aとが前後方向Xに連続して一体的に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、凹状空間24aと車輪収容空間23aとが互いに独立して非連続に形成されていても良い。このような場合には、導風路30は、車輪収容空間23aを含まずに、下部開口31から拡径部32を経由して凹状空間24aへと至る空間によって構成される。
【0063】
(12)上記の実施形態では、物品搬送車1が前進走行する場合を想定して、導風路30を流れる走行風が、下部開口31から拡径部32を経由して凹状空間24aへと至り、さらに車輪収容空間23aへと通り抜けることを説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、物品搬送車1は後進走行しても良い。このような場合には、導風路30を流れる走行風は、車輪収容空間23aから凹状空間24aへと至り、さらに拡径部32を経由して下部開口31へと通り抜けることになる。
【0064】
(13)上記の実施形態において、物品搬送車1が導風路30を通る走行風の流れを促進するための構成(流れ促進部)を備えていても良い。このような流れ促進部としては、例えば車輪と一体的に回転する羽根車等が例示される。
【0065】
(14)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0066】
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係る物品搬送車は、好適には、以下の各構成を備える。
【0067】
物品を搬送する物品搬送車であって、
車体と、
前記車体に支持された車輪と、
前記車輪を駆動するモータと、
前記モータを制御するドライバユニットと、を備え、
前記ドライバユニットは、縦置き姿勢で前記車体の前後方向に沿って配置されており、
前記ドライバユニットにおける、上下方向視で前記前後方向に直交する方向である幅方向を向く少なくとも1つの面が被冷却面とされ、
走行時に生じる走行風を前記被冷却面に導く導風路が、前記車体の底部に形成されている。
【0068】
この構成によれば、ドライバユニットを縦置き姿勢で車体の前後方向に沿って配置することで、車体の内部空間が広く確保しやすくなり、物品搬送車の全体を小型化しやすい。縦置き姿勢で車体の前後方向に沿って配置されるドライバユニットにおける幅方向を向く面は、面積が最大となることから、そのうちの少なくとも1つを冷却面とすることで、冷却効率を高めることができる。さらに、物品搬送車の走行時、その冷却面に導風路を通じて走行風を導くことで、ドライバユニットをさらに効率的に冷却することができる。これらのことから、全体を小型化しやすく、ドライバユニットを効率的に冷却できる物品搬送車を実現することができる。
【0069】
一態様として、
前記車体は、底面から上方に向かって窪む凹状空間を有し、
前記導風路が、前記凹状空間を含んで構成されていることが好ましい。
【0070】
この構成によれば、底面から上方に向かって窪む凹状空間を車体に形成し、その凹状空間を利用することで、縦置き姿勢で配置されるドライバユニットの冷却面に走行風を導く導風路を適切に構成できる。
【0071】
一態様として、
前記車体は、前記凹状空間に連通する開口部を有し、
前記被冷却面が前記開口部を通じて前記凹状空間に面するように、前記ドライバユニットが配置されていることが好ましい。
【0072】
この構成によれば、車体に形成された開口部から凹状空間へと導かれた走行風によって、ドライバユニットを効率的に冷却することができる。
【0073】
一態様として、
前記車輪は、前記車体の底部において前記底面から上方に向かって窪む車輪収容空間に配置されており、
前記凹状空間と前記車輪収容空間とが前記前後方向に連続していることが好ましい。
【0074】
この構成によれば、車体の底面から上方に向かって窪む車輪収容空間を利用して、導風路を構成する凹状空間を適切に形成できる。従って、物品搬送車のさらなる小型化を図ることができる。
【0075】
一態様として、
前記ドライバユニットが、直方体状に形成されていることが好ましい。
【0076】
この構成によれば、ドライバユニット自体の配置密度を高めることができ、車体の内部空間をより広く確保することができる。よって、全体をさらに小型化しやすい物品搬送車を実現することができる。
【0077】
本開示に係る物品搬送車は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。
【符号の説明】
【0078】
1 物品搬送車
2 車体
4 走行駆動部
5 制御装置
6 電源装置
7 読取装置
8 ケーブル
9 移載装置
20 車体本体
22 底部
22a 底面
23a 車輪収容空間
24a 凹状空間
26 ケーブル保持部
27 クランプアーム
29 カバー
30 導風路
35 開口部
41 車輪
42 走行用モータ(モータ)
42A 第1走行用モータ
42B 第2走行用モータ
51 ドライバユニット
51c 被冷却面
65 受電部
92 移載駆動部
A 物品
Sd 走行駆動支持スペース
Sc 制御装置支持スペース
Sp 電源装置支持スペース
Sw 配線スペース
X 前後方向
Y 幅方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9