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特開2024-118932車両用シートのシートクッション及びばね組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118932
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】車両用シートのシートクッション及びばね組立体
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/72 20060101AFI20240826BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20240826BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20240826BHJP
   A47C 7/28 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B60N2/72
B60N2/68
A47C7/02 A
A47C7/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025540
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 均
(72)【発明者】
【氏名】村山 浩司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 克司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利春
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB03
3B087DB04
3B087DB09
(57)【要約】
【課題】クッションパッドをシート下方側から支持するカバーが、シートクッションの構成部材の挙動に起因して変形することを防止する。
【解決手段】左右のサイドフレーム16の少なくとも一方とクッションスプリング32との間に配置され、フロントフレーム18とリヤフレーム20との間に架け渡された少なくとも一つの支持部材34と、支持部材とクッションスプリングとを、リヤフレームの軸線20Xまわりに相対回転可能に接続する回転接続機構34bと、少なくとも一方のサイドフレームと少なくとも一つの支持部材との間に架け渡され、クッションパッドをシート下方側から支持した少なくとも一つのカバー50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のサイドフレーム、前記左右のサイドフレームの前部同士を接続する左右方向に延びるフロントフレーム、及び前記左右のサイドフレームの後部同士を接続する左右方向の軸線に沿って延びるリヤフレームを有するクッションフレームと、
前記クッションフレームにシート上方側から取り付けられたクッションパッドと、
前部が前記フロントフレームに支持され且つ後部が前記リヤフレームに前記軸線まわりに相対回転可能に支持された、前記クッションパッドをシート下方側から支持するクッションスプリングと、
前記左右のサイドフレームの少なくとも一方と前記クッションスプリングとの間に配置され、前記フロントフレームと前記リヤフレームとの間に架け渡された少なくとも一つの支持部材と、
前記支持部材と前記クッションスプリングとを、前記軸線まわりに相対回転可能に接続する回転接続機構と、
前記少なくとも一方のサイドフレームと前記少なくとも一つの支持部材との間に架け渡され、前記クッションパッドをシート下方側から支持した少なくとも一つのカバーと、
を備えた車両用シートのシートクッション。
【請求項2】
前記クッションスプリングの後部が固定される固定部を有し且つ前記リヤフレームに前記軸線まわりに回転可能に装着される連結部を備え、
前記回転接続機構が、
前記連結部に設けられた、前記軸線を中心とする周方向に延びる支持溝と、
前記支持部材に設けられた、前記支持溝に前記周方向にスライド可能に挿入される被支持部と、
を有する請求項1に記載の車両用シートのシートクッション。
【請求項3】
前記クッションスプリングの後部が固定される固定部を有し且つ前記リヤフレームに前記軸線まわりに回転可能に装着される連結部を備え、
前記クッションスプリングが上方から力を受けることにより弾性変形したときの前記連結部の前記リヤフレームに対する回転方向が第1方向であり、
前記回転接続機構が、
前記連結部と前記支持部材とを接続し、前記連結部が前記リヤフレームに対して前記第1方向に相対回転したときに弾性変形する接続部を有する請求項1に記載の車両用シートのシートクッション。
【請求項4】
前記接続部が直線形状をなし、
前記シートクッションに乗員が着座していないとき、前記接続部の前記支持部材側の端部である第1端部が、前記接続部の前記固定部側の端部である第2端部より前記第1方向側に位置し、
前記連結部が、前記シートクッションに前記乗員が着座していないときの位置から、前記リヤフレームに対して所定量だけ前記第1方向に回転したときに、前記第2端部が前記第1端部より前記第1方向側に位置する請求項3に記載の車両用シートのシートクッション。
【請求項5】
所定方向に離れて設けられ、平面視において前記所定方向に対して直交する直交方向に延びる一対の支持部材と、
平面視において前記一対の支持部材の間に位置し、前記所定方向に並べて設けられた複数のクッションスプリングと、
前記一対の支持部材及び前記複数のクッションスプリングの一部同士を連結する第1連結部と、
前記複数のクッションスプリングの前記直交方向の前記一部とは前記直交方向の位置が異なる部位同士を連結する第2連結部と、
前記一対の支持部材と前記第2連結部とを、前記所定方向と平行な軸線まわりに相対回転可能に接続する回転接続機構と、
を備えたばね組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのシートクッション及びばね組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された車両用シートでは、シートクッションの骨格を構成するクッションフレームにクッションパッドが取り付けられている。クッションフレームは、左右のサイドフレームと、左右のサイドフレームの前部をシート左右方向に連結したフロントフレームと、左右のサイドフレームの後部をシート左右方向に連結したリヤフレームとを有している。フロントフレームとリヤフレームとの間には、複数のクッションスプリングが架け渡されており、複数のクッションスプリングによってクッションパッドがシート下方側から弾性的に支持されている。左右のサイドフレームと複数のクッションスプリングとの間には、左右の第2支持部材(カバー)が配置されている。左右のカバーは、シート左右方向外側の端部が左右のサイドフレームに連結されており、シート左右方向内側の端部がクッションスプリングに連結されている。これら左右のカバーによってクッションパッドが下方側から支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-183493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、左右のカバーがクッションスプリングに連結されているため、車両の運転環境によっては左右のカバーがクッションスプリングに追従して変形してしまい、クッションパッドに対するシート左右方向の拘束力が低下する虞がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、クッションパッドをシート下方側から支持するカバーが、シートクッションの構成部材の挙動に起因して変形することを防止可能な車両用シートのシートクッション及びばね組立体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の車両用シートのシートクッションは、左右一対のサイドフレーム、前記左右のサイドフレームの前部同士を接続する左右方向に延びるフロントフレーム、及び前記左右のサイドフレームの後部同士を接続する左右方向の軸線に沿って延びるリヤフレームを有するクッションフレームと、前記クッションフレームにシート上方側から取り付けられたクッションパッドと、前部が前記フロントフレームに支持され且つ後部が前記リヤフレームに前記軸線まわりに相対回転可能に支持された、前記クッションパッドをシート下方側から支持するクッションスプリングと、前記左右のサイドフレームの少なくとも一方と前記クッションスプリングとの間に配置され、前記フロントフレームと前記リヤフレームとの間に架け渡された少なくとも一つの支持部材と、前記支持部材と前記クッションスプリングとを、前記軸線まわりに相対回転可能に接続する回転接続機構と、前記少なくとも一方のサイドフレームと前記少なくとも一つの支持部材との間に架け渡され、前記クッションパッドをシート下方側から支持した少なくとも一つのカバーと、を備える。
【0007】
第1の態様の車両用シートのシートクッションでは、クッションフレームに対してシート上方側から取り付けられたクッションパッドが、クッションフレームのフロントフレームとリヤフレームとの間に架け渡されたクッションスプリングによって、シート下方側から弾性的に支持されている。左右のサイドフレームの少なくとも一方とクッションスプリングとの間には、少なくとも一つの支持部材が配置されている。少なくとも一つの支持部材は、フロントフレームとリヤフレームとの間に架け渡されている。そして、少なくとも一方のサイドフレームと少なくとも一つの支持部材との間には、少なくとも一つのカバーが架け渡されており、当該カバーによってクッションパッドがシート下方側から支持されている。この態様では、カバーがクッションスプリングに連結されていないため、カバーがクッションスプリングに追従して変形することが防止される。
【0008】
さらに第1の態様のシートクッションは、支持部材とクッションスプリングとを、リヤフレームの軸線まわりに相対回転可能に接続する回転接続機構を有する。乗員からシートクッションに付与された力によってクッションスプリングが下向きに撓んだとき、回転接続機構が支持部材とクッションスプリングとをリヤフレームの軸線まわりに相対回転させる。そのため、このとき支持部材が変形するおそれが小さい。そのため支持部材がカバーに力を及ぼし、カバーを変形させるおそれは小さい。
【0009】
第2の態様の車両用シートのシートクッションは、第1の態様において、前記クッションスプリングの後部が固定される固定部を有し且つ前記リヤフレームに前記軸線まわりに回転可能に装着される連結部を備え、前記回転接続機構が、前記連結部に設けられた、前記軸線を中心とする周方向に延びる支持溝と、前記支持部材に設けられた、前記支持溝に前記周方向にスライド可能に挿入される被支持部と、を有する。
【0010】
第2の態様の車両用シートのシートクッションでは、簡単な構成により回転接続機構を実現できる。
【0011】
第3の態様の車両用シートのシートクッションは、第1の態様において、前記クッションスプリングの後部が固定される固定部を有し且つ前記リヤフレームに前記軸線まわりに回転可能に装着される連結部を備え、前記クッションスプリングが上方から力を受けることにより弾性変形したときの前記連結部の前記リヤフレームに対する回転方向が第1方向であり、前記回転接続機構が、前記連結部と前記支持部材とを接続し、前記連結部が前記リヤフレームに対して前記第1方向に相対回転したときに弾性変形する接続部を有する。
【0012】
第3の態様の車両用シートのシートクッションでは、連結部、支持部材、及び接続部を一体成形品として製造可能である。従って、第3の態様の車両用シートのシートクッションは製造が容易である。
【0013】
第4の態様の車両用シートのシートクッションは、第3の態様において、前記接続部が直線形状をなし、前記シートクッションに乗員が着座していないとき、前記接続部の前記支持部材側の端部である第1端部が、前記接続部の前記固定部側の端部である第2端部より前記第1方向側に位置し、前記連結部が、前記シートクッションに前記乗員が着座していないときの位置から、前記リヤフレームに対して所定量だけ前記第1方向に回転したときに、前記第2端部が前記第1端部より前記第1方向側に位置する。
【0014】
第4の態様の車両用シートのシートクッションでは、簡単な構成により接続部を実現できる。
【0015】
第5の態様のばね組立体は、所定方向に離れて設けられ、平面視において前記所定方向に対して直交する直交方向に延びる一対の支持部材と、平面視において前記一対の支持部材の間に位置し、前記所定方向に並べて設けられた複数のクッションスプリングと、前記一対の支持部材及び前記複数のクッションスプリングの一部同士を連結する第1連結部と、前記複数のクッションスプリングの前記直交方向の前記一部とは前記直交方向の位置が異なる部位同士を連結する第2連結部と、前記一対の支持部材と前記第2連結部とを、前記所定方向と平行な軸線まわりに相対回転可能に接続する回転接続機構と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る車両用シートのシートクッション及びばね組立体では、クッションパッドをシート下方側から支持するカバーが、シートクッションの構成部材の挙動に起因して変形することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る車両用シートのシートクッションの一部を示す斜視図である。
図2図1に示される構成から左右のインナカバーの図示を省略した斜視図である。
図3図1に示される構成を図1とは異なる方向から見た状態で示す斜視図である。
図4】実施形態に係るばね組立体を示す斜視図である。
図5】支持部材の後端部及び支持部材から分離された第2連結部の側部を示す斜視図である。
図6】実施形態に係るばね組立体を示す平面図である。
図7】実施形態に係るシートクッション、リフタ機構及びスライドレール装置の横断面図である。
図8】実施形態に係る車両用シートのシートクッションが備えるインナカバーを示す斜視図である。
図9】インナカバーを図8とは異なる方向見た状態で示す斜視図である。
図10】変形例のリヤパイプの端部、第2連結部の端部、インナカバーの後部及び一方の支持部材を示す斜視図である。
図11】乗員が車両用シートに着座していないときの変形例の第2連結部の端部及び一方の支持部材を示す模式的な平面図である。
図12図11の12-12矢線に沿う模式的な断面図である。
図13】クッションスプリングが撓んだときの変形例の第2連結部の端部及び一方の支持部材を示す模式的な平面図。
図14】比較例の図11に相当する平面図である。
図15】比較例の図13に相当する平面図である。
図16】別の変形例の図11に相当する平面図である。
図17】別の変形例の図13に相当する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図9を参照して本発明の一実施形態に係る車両用シート10及びばね組立体30について説明する。なお、各図中においては、図面を見易くするため一部の符号を省略している場合がある。また、各図中に適宜記載された矢印FR、LH及びUPは、車両用シート10の前方、左方及び上方をそれぞれ示す。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合、車両用シート10を基準とする方向を示すものとする。前後方向は、本発明における「直交方向」に相当し、左右方向は、本発明における「所定方向」に相当する。
【0019】
図7に示されるように、本実施形態に係る車両用シート10は、シートクッション12の骨格を構成するクッションフレーム14と、クッションフレーム14の下方に設けられた左右一対のスライドレール装置24と、クッションフレーム14と左右のスライドレール装置24を連結したリフタ機構26と、クッションフレーム14に取り付けられたばね組立体30と、クッションフレーム14とばね組立体30との間に設けられた左右一対のインナカバー50と、クッションフレーム14に対して左右両側に設けられた左右一対のアウタカバー60と、クッションフレーム14に対して上方側から取り付けられたクッションパッド70と、を備えている。左右のインナカバー50はそれぞれ、本発明における「カバー」に相当する。
【0020】
図1図3に示されるように、クッションフレーム14は、左右方向に離間して配置された左右一対のサイドフレーム16と、左右のサイドフレーム16の前部同士を連結する左右方向に延びるフロントパネル18と、左右のサイドフレーム16の後端同士を連結する左右方向に延びるリヤパイプ20とを備えている。フロントパネル18は、本発明における「フロントフレーム」に相当し、リヤパイプ20は、本発明における「リヤフレーム」に相当する。
【0021】
サイドフレーム16及びフロントパネル18は、例えばプレス成形された金属製の板材によって構成されている。図1図3に示された左右方向に延びる軸線20Xを中心とする円筒体であるリヤパイプ20は、例えば金属製のパイプ材によって構成されている。サイドフレーム16は、前後方向に延びる長尺板状をなしている。フロントパネル18は、左右方向に延びる長尺板状をなしている。左右のサイドフレーム16の後端部には、図示しないシートバックのフレームの下端部が、図示しないリクライニング機構を介して連結されている。
【0022】
クッションフレーム14の下方には、左右のスライドレール装置24とリフタ機構26とが配置されている。左右のスライドレール装置24は、車体床部に対する車両用シート10の前後位置を調節可能である。左右のサイドフレーム16と左右のスライドレール装置24との間に設けられたリフタ機構26は、車体床部に対するシートクッション12の上下位置を調節可能である。
【0023】
図1図6に示されるように、クッションフレーム14に取り付けられたばね組立体30は、複数(ここでは4つ)のクッションスプリング32と、複数のクッションスプリング32の左右方向両側に配置された左右一対の支持部材34と、複数のクッションスプリング32及び左右の支持部材34の前部を連結する第1連結部36と、複数のクッションスプリング32の後部を連結する第2連結部(連結部)38と、隣り合うクッションスプリング32を連結した複数(ここでは5つ)のばね連結部40と、を備えている。
【0024】
クッションスプリング32は、例えば金属のばね材からなるワイヤが角波状に曲げ加工されたものである。複数のクッションスプリング32は、クッションフレーム14の左右のサイドフレーム16の間において、互いに左右方向に並び且つ各々が前後方向に延在している。各クッションスプリング32の前端部は、左右方向の一方側又は他方側へ曲げられている。
【0025】
左右の支持部材34は、例えば金属のばね材からなるワイヤが曲げ加工されたものである。左側の支持部材34は、複数のクッションスプリング32と左側のサイドフレーム16との間において前後方向に延在している。右側の支持部材34は、複数のクッションスプリング32と右側のサイドフレーム16との間において前後方向に延在している。各支持部材34の前端部は、側面視において下方側が開放された略逆U字状に曲げられている。各支持部材34の後端部34aは、左右方向から見て下方側が開放された略逆U字状に曲げられている。さらに後端部34aの一部は、側面視において略円弧形状をなす被支持部34bにより構成されている。各支持部材34の前後方向中間部は、前後方向に沿った直線状に形成されている。各支持部材34は、各クッションスプリング32よりも撓み難く構成されている。即ち、支持部材34の曲げ剛性はクッションスプリング32より高い。
【0026】
第1連結部36、第2連結部38、複数のばね連結部40及び抜け止め板39は樹脂製であり、例えばインサート成形によって左右の支持部材34の前端部及び複数のクッションスプリング32と一体化されたものである。図3に示されたように第1連結部36は、複数のクッションスプリング32及び左右の支持部材34の前端部を左右方向に連結している。左右の支持部材34の前端部の表面に、第1連結部36の左右両端部を構成する前端構成部36aが固定されている。各前端構成部36aの前端は略上下方向に延びる前側挿入部36bによって構成されている。
【0027】
第2連結部38は、複数のクッションスプリング32の後部を連結する左右方向に延びる一つの固定部38aと、平面視において前後方向に延びる4つの線状部38bと、固定部38aの左右両端の後端部に接続された左右一対の側部38cと、を有する。
【0028】
4つの線状部38bは固定部38aと一体化されている。各線状部38bは、固定部38aに固定され且つ直線的に延びる直線部38b1と、固定部38aの後端から後方に突出する係止部38b2と、ストッパ板38b3と、を有する。各係止部38b2は、左右方向から見て下方側が開放された略逆U字状に曲げられている。各係止部38b2の後端部にはストッパ板38b3が設けられている。
【0029】
図5に示されたように、各側部38cは、左右両端部の係止部38b2に接続された断面形状が略円弧状をなす板状の被支持部38c1と、被支持部38c1の外周面の外側端部に設けられた左右一対の溝構成部38c2と、を備える。左右の溝構成部38c2の側面形状は略円弧形状であり、左右の溝構成部38c2の間に支持溝38c3が形成されている。さらに左右の溝構成部38c2の対向面の上縁部には抜け止め爪38c4が設けられている。
【0030】
ばね組立体30の製造完了時において、左右の支持部材34の後端部34aと第2連結部38とは互いに分離している。ばね組立体30の製造完了後に、左右の支持部材34の後端部34aの被支持部34bが、対応する側部38cに設けられた支持溝38c3に挿入される。例えば、被支持部34bは、対応する左右の溝構成部38c2の抜け止め爪38c4を弾性変形させながら支持溝38c3へ上方から挿入される。被支持部34b及び支持溝38c3は、本発明における「回転接続機構」に相当する。このように本実施形態では、支持部34b及び支持溝38c3を有する簡単な構成により回転接続機構が実現されている。
【0031】
被支持部34bが支持溝38c3に挿入されると、各抜け止め爪38c4が初期形状に復帰し、各抜け止め爪38c4が被支持部34bの上面と対向する。そのため意図的に後端部34aを支持溝38c3に対して上方へ相対移動させない限り、後端部34aが抜け止め爪38c4を弾性変形させながら、支持溝38c3から上方へ脱出するおそれは小さい。このようにして左右の支持部材34の後端部34aを左右の側部38cに接続すると、各後端部34aは対応する側部38cに対して支持溝38c3に沿って相対回転可能になる。さらに各後端部34aの後端には抜け止め板39が固定されている。前後方向から見たときの抜け止め板39の面積は支持溝38c3の断面積より大きい。そのため、仮に支持部材34に上方から荷重が掛かることにより後端部34aが支持溝38c3に対して前方(下方)へ大きく相対回転したとしても、抜け止め板39が一対の溝構成部38c2の後端面に接触して、後端部34aが支持溝38c3から前方へ脱落することを防止する。
【0032】
このようにしてアッセンブリされた組立体30はフロントパネル18とリヤパイプ20との間に架け渡される。即ち、左右の前側挿入部36bがフロントパネル18の後端部に形成された貫通孔18B(図1図3参照)に挿入され、クッションスプリング32の曲折された前端部がフロントパネル18の後端部に形成された切起し部18A(図1図3参照)に係止され、各係止部38b2がリヤパイプ20に上方側から引っ掛けられる。これにより、第2連結部の左右の支持溝38c3が、軸線20Xを中心とする円周に沿って延びる。
【0033】
図1図3及び図7に示されるように、左右のインナカバー50は、左右の支持部材34と左右のサイドフレーム16との間に設けられている。左右のインナカバー50は、例えば射出成形によって製造された、前後方向を長手とする長尺状の樹脂部材である。左右のインナカバー50は、クッションフレーム14よりも前後方向の長さが短く設定されており、左右のサイドフレーム16の後部と対応する位置に配置されている。図8及び図9には、右側のインナカバー50が図示されている。右側のインナカバー50と左側のインナカバー50は左右対称である。
【0034】
左右のインナカバー50の上端部は、左右のサイドフレーム16の上端部によって支持されている。さらにインナカバー50に設けられた係止部(図示省略)が、対応するサイドフレーム16に係止されている。左右のインナカバー50の前部は、上下方向に対して傾斜した傾斜部50Aとされており、左右のインナカバー50の後部は、上下方向に沿って延びる垂直部50Bとされている。各インナカバー50の垂直部50Bは、各サイドフレーム16の後端部を左右方向の内側から覆っている。各インナカバー50の垂直部50Bには、リヤパイプ20の外周面に嵌められる半円状の切欠部52(図8及び図9以外では符号省略)が形成されている。
【0035】
各インナカバー50の傾斜部50Aは、左右方向の内側へ向かうほど下方側へ向かうように傾斜している。各インナカバー50の傾斜部50Aの幅寸法(傾斜方向の寸法)は、後方側へ向かうほど長くなっている。傾斜部52Aの下端部には、複数(ここでは3つ)の係止部50Cが形成されている。複数の係止部50Cは、前後方向に並んで配置されている。各係止部50Cには、前後方向から見て下方側が開放された切込部51(図7図9参照)が形成されている。各係止部50Cの切込部51には、支持部材34が下方側から嵌合している。各係止部50Cの下端部には、支持部材34が切込部51から下方へ脱落するのを防止するための抜止爪50C1が設けられている(図7参照)。各係止部50Cの切込部51に支持部材34を下方から嵌合する際には、各抜止爪50C1が弾性変形した後に弾性復帰する。
【0036】
図7に示される左右のアウタカバー60は、左右のサイドフレーム16に対して左右方向外側に配置されている。左右のアウタカバー60は、例えば射出成形によって製造された、前後方向を長手とする長尺状の樹脂製部材である。右側(ここでは車両幅方向外側)のアウタカバー60は、前後方向の長さがクッションフレーム14と同等に設定されており、クッションフレーム14を右側から覆っている。左側のアウタカバー60は、クッションフレーム14よりも前後方向の長さが短く設定されており、左側のサイドフレーム16の後部側に配置されている。
【0037】
図7に示されるクッションパッド70は、例えばウレタンフォーム等の発泡体からなり、シートクッション12のクッション材を構成している。クッションパッド70は、クッションフレーム14に上方側から被せられている。クッションパッド70の前部は、フロントパネル18によって下方側から支持されている。クッションパッド70の中央部は、複数のクッションスプリング32によって下方側から支持されている。クッションパッド70の後端部は、リヤパイプ20及び第2連結部38によって下方側から支持されている。クッションパッド70の後部の左右両側部は、左右のインナカバー50の傾斜部50Aによって下方側から支持されている。
【0038】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0039】
本実施形態に係る車両用シート10では、クッションフレーム14に対して上方側から取り付けられたクッションパッド70が、クッションフレーム14のフロントパネル18とリヤパイプ20との間に架け渡された複数のクッションスプリング32によって下方側から弾性的に支持されている。左右のサイドフレーム16と複数のクッションスプリング32との間には、左右の支持部材34が配置されている。左右の支持部材34は、フロントパネル18とリヤパイプ20との間に架け渡されている。そして、左右のサイドフレーム16と左右の支持部材34との間には、左右のインナカバー50が架け渡されており、これらのインナカバー50によってクッションパッド70が下方側から支持されている。
【0040】
本実施形態では、乗員がシートクッション12に着座した状態で車両に振動が発生したときに、乗員からシートクッション12に付与された力によって、クッションスプリング32が下向きに撓む。さらにこのとき、第2連結部38が図1及び図2の状態からリヤパイプ20に対して図1及び図2に矢印で表された第1方向R1に相対回転し、且つ、左右の側部38c(支持溝38c3)が対応する支持部材34の被支持部34bに対して第1方向R1に相対回転する。そのため、このとき左右の支持部材34は殆ど変形しない。さらに左右のインナカバー50がクッションスプリング32と連結されておらず、クッションスプリング32とは独立して動作する支持部材34と連結されている。即ち、車両に振動が発生したときに、左右の支持部材34はクッションスプリング32に追従して変形せず、且つ、左右の支持部材34が左右のインナカバー50に力を及ぼすおそれが小さい。そのため、左右のインナカバー50によるクッションパッド70の拘束力が維持される。しかも、左右のインナカバー50を設計する際に、複数のクッションスプリング32の集合体及び支持部材34の挙動を加味する必要がないため、左右のインナカバー50の設計が容易になる。
【0041】
なお車両に発生していた振動が消失すると、クッションスプリング32は図1及び図2の状態に復帰し、第2連結部38はリヤパイプ20に対して矢印で表された第2方向R2に回転して図1及び図2の状態に復帰する。
【0042】
また、左右の支持部材34は、フロントパネル18とリヤパイプ20との間に架け渡されている。そのため、例えば左右のサイドフレーム16に片持ち状態で固定された支持部材によって左右のインナカバー50が支持される場合と比較して、上方側から各インナカバー50に入力される荷重に対する強度及び剛性が高い。しかも、フロントパネル18とリヤパイプ20との間に支持部材34を架け渡せばよいので、溶接が不要となり、製造が容易になる。
【0043】
また、フロントパネル18とリヤパイプ20との間に架け渡される左右の支持部材34は、クッションスプリング32より撓み難いので、左右のインナカバー50を介して乗員(着座者)を支えることも可能である。
【0044】
また例えば、左右のインナカバー50から左右のサイドフレーム16側へ向けてリブ等を突出させ、左右のインナカバー50を左右のサイドフレーム16に支持させる場合と比較して、左右のインナカバー50を凹凸の少ない形状にすることができる。その結果、乗員が車両降車時にシートクッション12から受ける異物感を少なくすることができる。
【0045】
また、本実施形態では、左右のインナカバー50の傾斜部50Aの幅寸法が、後方側へ向かうほど長くなっており、後方側へ向かうほど傾斜部50Aが拡大している。このため、傾斜部50Aの後部側において、乗員の臀部を良好に支持することができ、且つ、臀部のぐらつきを抑えることができる。しかも、傾斜部50Aの前部側の幅寸法が小さくなっているため、乗員の車両乗降性を良くすることができ、上記の異物感を一層少なくすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、クッションフレーム14のフロントパネル18とリヤパイプ20との間に架け渡された左右の支持部材34が、ワイヤによって構成されているため、支持部材34の構成を簡素化することができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、クッションスプリングを構成する複数のクッションスプリング32及び左右の支持部材34の前後両端部が、前後の第1連結部36、第2連結部38によって左右方向に連結されている。これにより、複数のクッションスプリング32と左右の支持部材34を一つのばね組立体30として取り扱うことができるので、シートクッション12の製造等が容易になる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0049】
例えばシートクッション12を図10図13に示す変形例の態様で実施してもよい。
【0050】
この変形例の第2連結部38は、左右両側の2つの係止部38b2にそれぞれ接続された接続部(回転接続機構)38dと、接続部38dの係止部38b2と反対側の端部に接続された係止部38eと、を備える。左右の接続部38dは共に3本である。係止部38eは被支持部34bの表面に設けられており、且つ、実質的に係止部38b2と同じ形状である。
【0051】
乗員がシートクッション12に着座していないとき、図10及び図11に示されたように各接続部38dは直線形状をなす。さらに図11に示されたように、リヤパイプ20の径方向に沿って見たとき各接続部38dの延長方向は軸線20Xと平行な基準線SLに対して角度θ1で傾斜する。さらにこのとき各接続部38dの係止部38e側の端部である第1端部38d1が、各接続部38dの係止部38b2側の端部である第2端部38d2より第1方向R1側に位置する。
【0052】
さらに乗員がシートクッション12に着座した状態で車両に振動が発生したときに、乗員からシートクッション12に付与された力によって、固定部38a及び係止部38b2が図10及び図11の状態からリヤパイプ20に対して第1方向R1に相対回転する。これにより各接続部38dが角度θ1を小さくするように弾性変形し、固定部38a及び係止部38b2の回転量が所定量となったときに各接続部38dが基準線SLと略平行になる(図示省略)。
【0053】
乗員からシートクッション12に付与された力によって固定部38a及び係止部38b2が第1方向R1にさらに回転すると、各接続部38dの第2端部38d2が第1端部38d1より第1方向R1側に位置する。そして各クッションスプリング32が実質的に最大限撓んだときに、図13に示されたように各接続部38dの延長方向が基準線SLに対して角度θ1で傾斜する。
【0054】
このように各クッションスプリング32が撓むことによって固定部38a及び係止部38b2が第1方向R1に回転したとき、左右の各接続部38dが基準線SLとなす角度を変えながら弾性変形する。即ち、固定部38a及び係止部38b2の第1方向R1への移動力が各接続部38dによって実質的に吸収される。そのため、この移動力は左右の係止部38eに殆ど伝わらない。従って、このとき左右の支持部材34は殆ど変形しない。
【0055】
さらに乗員がシートクッション12に着座しないとき及び各クッションスプリング32が実質的に最大限撓んだときに、図11及び図13に示されたように、各接続部38dの延長方向は基準線SLに対して角度θ1で傾斜する。そのため、乗員がシートクッション12に着座しないとき及び各クッションスプリング32が実質的に最大限撓んだとき、係止部38b2と係止部38eの対向面同士の左右方向距離は共にL1となる。即ち、各クッションスプリング32が実質的に最大限撓んだときも、平面視において左右の支持部材34は前後方向と実質的に平行になる。
【0056】
このように車両に振動が発生したときに、左右の支持部材34が殆ど変形せず且つ前後方向との平行状態を維持するので、左右の支持部材34が左右のインナカバー50に力を及ぼすおそれは小さい。
【0057】
一方、図14及び図15はこの変形例の比較例を示す。この変形例は、3本の接続部38fによって、左右両側の係止部38b2と係止部38eとが接続されている点が変形例とは異なる。乗員がシートクッション12に着座していないとき、図14に示されたように、各接続部38fは直線形状をなし、且つ、各接続部38fの延長方向は基準線SLと平行になる。即ち、このとき各接続部38fの係止部38e側の端部である第1端部38f1の第1方向R1方の位置が、各接続部38dの係止部38b2側の端部である第2端部38f2の第1方向R1の位置と実質的に同じになる。
【0058】
乗員がシートクッション12に着座した状態で車両に振動が発生したときに、固定部38a及び係止部38b2が図14の状態からリヤパイプ20に対して第1方向R1に相対回転する。これにより各接続部38fと基準線SLとがなす角度が大きくなり、各クッションスプリング32が実質的に最大限撓んだときに、図15に示されたように各接続部38fの延長方向が基準線SLに対して角度θ2で傾斜する。この角度θ2は、角度θ1の約2倍の大きさである。
【0059】
この比較例においても、各クッションスプリング32が撓むことによって固定部38a及び係止部38b2が第1方向R1に回転したとき、左右の各接続部38fが基準線SLとなす角度を変えながら弾性変形する。しかしながら、このとき各接続部38fによって吸収される固定部38a及び係止部38b2の第1方向R1への移動力の大きさ(量)は、上記各接続部38dによって吸収される大きさより小さい。そのため比較例においては、固定部38a及び係止部38b2の移動力が左右の係止部38eに伝わり、係止部38eが軸線20Xまわりに回転するおそれが大きい。即ち、比較例では車両に振動が発生したときに、左右の支持部材34が変形して、左右のインナカバー50に力を及ぼすおそれが変形例より大きい。
【0060】
さらに比較例においては、乗員がシートクッション12に着座しないときの係止部38b2と係止部38eの対向面同士の左右方向距離は、図14に示されたようにL1である。一方、各クッションスプリング32が実質的に最大限撓んだときに、図15に示されたように、係止部38b2と係止部38eの対向面同士の左右方向距離は、L1より小さいL2となる。即ち、比較例においては車両に振動が発生したときに、左右の係止部38eが固定部38a側に引き寄せられ、これにより平面視において左右の支持部材34が前後方向と非平行になるおそれがある。
【0061】
このように比較例においては車両に振動が発生したときに、左右の支持部材34が変形し且つ前後方向との非平行になるおそれがあり、そのため左右の支持部材34が左右のインナカバー50に力を及ぼし易い。
【0062】
さらに本変形例では、例えばインサート成形を用いることにより、第2連結部38及び支持部材34を一体成形品として製造可能であるため、組立体30の製造が容易である。さらに簡単な構成である接続部38dによって回転接続機構を実現できる。
【0063】
また、例えばシートクッション12を図16及び図17に示す変形例の態様で実施してもよい。
【0064】
この変形例の第2連結部38は、左右両側の2つの係止部38b2にそれぞれ接続された接続部(回転接続機構)38gと、接続部38dの係止部38b2と反対側の端部に接続された係止部38eと、を備える。左右の接続部38gは共に3本である。各接続部38gの平面形状は波線形状である。即ち、接続部38gは、接続部38dより弾性変形し易い構造を有する。
【0065】
乗員がシートクッション12に着座していないとき、図16に示されたように、各接続部38gは軸線20Xと略平行な方向に沿って延びる。このとき各接続部38gの係止部38e側の端部である第1端部38g1の第1方向R1の位置が、各接続部38gの係止部38b2側の端部である第2端部38g2と同じになる。
【0066】
さらに乗員がシートクッション12に着座した状態で車両に振動が発生したときに、乗員からシートクッション12に付与された力によって、固定部38a及び係止部38b2が図16の状態からリヤパイプ20に対して第1方向R1に相対回転する。これにより第2端部38g2が第1端部38g1より第1方向R1側に位置するように各接続部38gが弾性変形する。そして各クッションスプリング32が実質的に最大限撓んだときに、各接続部38gが図17に示された形状になる。
【0067】
このように各クッションスプリング32が撓むことによって固定部38a及び係止部38b2の第1方向R1に回転したとき、左右の各接続部38gが大きく弾性変形する。即ち、固定部38a及び係止部38b2の第1方向R1への移動力が各接続部38gによって実質的に吸収される。そのため本変形例において、固定部38a及び係止部38b2の第1方向R1への移動力は左右の係止部38eに殆ど伝わらない。従って、このとき左右の支持部材34は殆ど変形しない。
【0068】
さらに乗員がシートクッション12に着座しないとき及び各クッションスプリング32が実質的に最大限撓んだときに、係止部38b2と係止部38eの対向面同士の左右方向距離は共にL1となる。即ち、各クッションスプリング32が実質的に最大限撓んだときも、平面視において左右の支持部材34は前後方向と実質的に平行になる。
【0069】
このように左右の支持部材34が殆ど変形せず且つ前後方向との平行状態を維持するので、車両に振動が発生したときに、左右の支持部材34が左右のインナカバー50に力を及ぼすおそれは小さい。
【0070】
なお図10図13の変形例の接続部38dの数及び図16及び図17の変形例の接続部38gの数は3つ以外であってもよい。但し、接続部38d及び接続部38gは複数であるのが好ましい。
【0071】
クッションスプリングは、板金製や樹脂製でもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、左右一対のインナカバー50と左右一対の支持部材34とを備えた構成にしたが、これに限るものではない。例えば各インナカバー50がそれぞれ前後に複数個に分割された構成にしてもよいし、各インナカバー50がそれぞれ複数の支持部材34によって支持される構成にしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、左右一対の支持部材34を備えた構成にしたが、これに限らず、左右の支持部材34の何れか一方を備えない構成にしてもよい。また、左右の支持部材34は、ワイヤ製にかぎらず、例えば板金製でもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、複数のクッションスプリング32と、左右の支持部材34とが、第1連結部36及び第2連結部38によって連結された構成にしたが、これに限らず、クッションスプリングと支持部材とを連結する連結部を備えない構成にしてもよい。
【0075】
上記実施形態の組立体30をインサート成形によって製造する際に、各支持部材34の被支持部34bに、被支持部34bに沿う形状であり且つ被支持部34bがスライド可能に貫通する樹脂製のカラー(図示省略)を装着してもよい。この方法でインサート成形を行うと、成形完了時に各支持部材34に装着されたカラーによって一対の溝構成部38c2に相当する部位が構成される。このように構成された組立体30が装着されたシートクッション12を搭載した車両に振動が発生すると、第2連結部38がリヤパイプ20に対して図1及び図2の第1方向R1に相対回転し、左右のカラーが被支持部34bに対して第1方向R1に相対回転する。そのためこの変形例の組立体30も実施形態の組立体30と同様の作用効果を発揮可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 車両用シート
12 シートクッション
14 クッションフレーム
16 サイドフレーム
18 フロントパネル(フロントフレーム)
20 リヤパイプ(リヤフレーム)
20X 軸線
32 クッションスプリング
34 支持部材
34b 被支持部(回転接続機構)
36 第1連結部
38 第2連結部(連結部)
38a 固定部
38c2 溝構成部
38c3 支持溝(回転接続機構)
38d 接続部(回転接続機構)
38d1 第1端部
38d2 第2端部
38g 接続部(回転接続機構)
50 インナカバー(カバー)
70 クッションパッド
R1 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17