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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118933
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】パルプモールド緩衝材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
B65D81/05 500Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025541
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼本 篤典
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA03
3E066AA15
3E066BA01
3E066CA03
3E066CA05
3E066DA03
3E066DB01
3E066FA06
3E066FA13
3E066HA01
3E066JA03
3E066KA06
3E066MA05
3E066NA09
3E066NA43
3E066NA60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】衝撃吸収性能を確保しつつ、サイズを低減できるパルプモールド緩衝材を提供する。
【解決手段】パルプモールド緩衝材10は、側壁11と上壁12Aとを有している。側壁11には複数の第1支持凸部11aが形成され、上壁12Aには、複数の第2支持凸部12aが形成されている。複数の第1支持凸部11aは、上下方向と前後方向とにおいて並んでいる。複数の第2支持凸部12aは前後方向において並んでいる。上下方向において隣り合う2つの第1支持凸部11aの距離、及び前後方向において隣り合う2つの第1支持凸部11aの距離は、隣り合う2つの第2支持凸部12aの距離よりも小さい。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に向いた第1外面、前記第1の方向とは交差する第2の方向において対向している2つの第2外面、前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向において対向している2つの第3外面を有している被収容物の少なくとも一部が第1の方向において嵌められるパルプモールド緩衝材であって、
前記被収容物の前記第1外面を支持するための第1壁と、
前記被収容物の前記2つの第2外面のうち一方を支持するための第2壁と
を有し、
前記第1壁には、前記第1の方向において突出している複数の第1支持凸部が形成され、
前記第2壁には、複数の第2支持凸部が形成され、
前記複数の第1支持凸部は、前記第2の方向と前記第3の方向とにおいて並んでおり、
前記複数の第2支持凸部は、前記第3の方向において並んでおり、
前記第2の方向において隣り合う2つの第1支持凸部の距離、及び前記第3の方向において隣り合う2つの第1支持凸部の距離は、隣り合う2つの第2支持凸部の距離よりも小さい
パルプモールド緩衝材。
【請求項2】
前記第2の方向において隣り合う2つの第1支持凸部の前記距離、及び前記第3の方向において隣り合う2つの第1支持凸部の前記距離は、隣り合う2つの第2支持凸部の前記距離の半分よりも小さい
請求項1に記載されるパルプモールド緩衝材。
【請求項3】
前記被収容物の前記2つの第3外面をそれぞれ支持するための、前記第3の方向において対向している2つの第3壁を更に有し、
前記2つの第3壁のそれぞれには、第3支持凸部が形成され、
前記複数の第1支持凸部のそれぞれの前記第3の方向における幅は、前記2つの第3壁に形成された前記第3支持凸部の距離の20%よりも小さい
請求項1に記載されるパルプモールド緩衝材。
【請求項4】
前記被収容物の2つの第2外面をそれぞれ支持するための、前記第2の方向において対向している2つの第2壁をさらに有し、
前記2つの第2壁のそれぞれには、第2支持凸部が形成され、
前記複数の第1支持凸部のそれぞれの前記第2の方向における幅は、前記2つの第2壁に形成された前記第2支持凸部の距離の30%よりも小さい
請求項3に記載されるパルプモールド緩衝材。
【請求項5】
前記第3の方向での前記第1壁の幅は、前記第2の方向での前記第1壁の幅よりも大きく、
前記第3の方向での各第1支持凸部の幅は、前記第2の方向での各第1支持凸部の幅と同じ、又は前記第2の方向での各第1支持凸部の幅よりも小さい
請求項1に記載されるパルプモールド緩衝材。
【請求項6】
前記第3の方向で隣り合う2つの第1支持凸部の間に溝が形成され、
前記溝の幅は、前記支持凸部の前記第3の方向での幅よりも小さい
請求項5に記載されるパルプモールド緩衝材。
【請求項7】
第1の方向に向いた第1外面、前記第1の方向とは交差する第2の方向において対向している2つの第2外面、前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向において対向している2つの第3外面を有している被収容物の少なくとも一部を収容するパルプモールド緩衝材であって、
前記被収容物の前記第1外面を支持するための第1壁と、
前記被収容物の前記2つの第3外面をそれぞれ支持するための、前記第3の方向において対向している2つの第3壁と
を有し、
前記第1壁には、前記第1の方向において突出している複数の第1支持凸部が形成され、
前記複数の第1支持凸部は、前記第2の方向と前記第3の方向とにおいて並んでおり、
前記2つの第3壁のそれぞれには、第3支持凸部が形成され、
前記複数の第1支持凸部のそれぞれの前記第3の方向における幅は、前記2つの第3壁に形成された前記第3支持凸部の距離の20%よりも小さい
パルプモールド緩衝材。
【請求項8】
第1の方向に向いた第1外面、前記第1の方向とは交差する第2の方向において対向している2つの第2外面、前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向において対向している2つの第3外面を有している被収容物の少なくとも一部を収容するパルプモールド緩衝材であって、
前記被収容物の前記第1外面を支持するための第1壁と、
前記第1壁に形成され、前記第2の方向と前記第3の方向とに並んでいる複数の第1支持凸部と
を有し、
前記第3の方向での前記第1壁の幅は、前記第2の方向での前記第1壁の幅よりも大きく、
前記第3の方向での各第1支持凸部の幅は、前記第2の方向での各第1支持凸部の幅と同じ、又は前記第2の方向での各第1支持凸部の幅よりも小さい
パルプモールド緩衝材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はパルプモールド緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器などの商品の輸送において、商品を保護するための緩衝材が利用される。商品は、その外側に緩衝材が装着された状態で輸送用の外箱に入れられる。緩衝材として、紙を原材料とする成形品(パルプモールド緩衝材)が利用されることがある。下記特許文献1にはパルプモールド緩衝材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-182499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パルプモールド緩衝材は、その内側に形成された複数の凸部で商品等の被収容物を支持する。凸部の高さが大きいと、その分だけ外箱のサイズを大きくする必要がある。このことは、輸送効率の低下に繋がる。そのため、凸部の高さを抑えつつ、十分な緩衝機能を有する緩衝材が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示で提案するパルプモールド緩衝材の一例は、第1の方向に向いた第1外面、前記第1の方向とは交差する第2の方向において対向している2つの第2外面、前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向において対向している2つの第3外面を有している被収容物の少なくとも一部が第1の方向において嵌められるパルプモールド緩衝材である。前記パルプモールド緩衝材は、前記被収容物の前記第1外面を支持するための第1壁と、前記被収容物の前記2つの第2外面のうち一方を支持するための第2壁とを有している。前記第1壁には、前記第1の方向において突出している複数の第1支持凸部が形成され、前記第2壁には、複数の第2支持凸部が形成されている。前記複数の第1支持凸部は、前記第2の方向と前記第3の方向とにおいて並んでいる。前記複数の第2支持凸部は、前記第3の方向において並んでいる。前記第2の方向において隣り合う2つの第1支持凸部の距離、及び前記第3の方向において隣り合う2つの第1支持凸部の距離は、隣り合う2つの第2支持凸部の距離よりも小さい。
【0006】
本開示で提案するパルプモールド緩衝材の別の例は、第1の方向に向いた第1外面、前記第1の方向とは交差する第2の方向において対向している2つの第2外面、前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向において対向している2つの第3外面を有している被収容物の少なくとも一部を収容するパルプモールド緩衝材である。前記パルプモールド緩衝材は、前記被収容物の前記第1外面を支持するための第1壁と、前記被収容物の前記2つの第3外面をそれぞれ支持するための、前記第3の方向において対向している2つの第3壁とを有している。前記第1壁には、前記第1の方向において突出している複数の第1支持凸部が形成されている。前記複数の第1支持凸部は、前記第2の方向と前記第3の方向とにおいて並んでいる。前記2つの第3壁のそれぞれには、第3支持凸部が形成されている。前記複数の第1支持凸部のそれぞれの前記第3の方向における幅は、前記2つの第3壁に形成された前記第3支持凸部の距離の20%よりも小さい。
【0007】
本開示で提案するパルプモールド緩衝材の更に別の例は、第1の方向に向いた第1外面、前記第1の方向とは交差する第2の方向において対向している2つの第2外面、前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向において対向している2つの第3外面を有している被収容物の少なくとも一部を収容するパルプモールド緩衝材である。前記パルプモールド緩衝材は、前記被収容物の前記第1外面を支持するための第1壁と、前記第1壁に形成され、前記第2の方向と前記第3の方向とに並んでいる複数の第1支持凸部とを有している。前記第3の方向での前記第1壁の幅は、前記第2の方向での前記第1壁の幅よりも大きい。前記第3の方向での各第1支持凸部の幅は、前記第2の方向での各第1支持凸部の幅と同じ、又は前記第2の方向での各第1支持凸部の幅よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示で提案するパルプモールド緩衝材の一例を示す斜視図である。
図2A図1で示すパルプモールド緩衝材の側面図である。
図2B図1で示す領域IIbの拡大図である。
図3】使用時におけるパルプモールド緩衝材の断面図である。その切断位置は図2Aで示すIII-III線である。
図4】使用時におけるパルプモールド緩衝材の断面図である。その切断位置は図2Aで示すIV-IV線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示で提案するパルプモールド緩衝材について図面を参照しながら説明する。本開示では、これらの一例として、図1及び図3等で示すパルプモールド緩衝材10A・10Bについて説明する。
【0010】
以下では、図1等で示すZ1方向及びZ2方向をそれぞれ上方及び下方と称する。また、同図のX1方向及びX2方向をそれぞれ右方及び左方と称し、Y1方向及びY2方向をそれぞれ前方及び後方と称する。これらの方向は、パルプモールド緩衝材の要素(部分)の形状や、それらの相対的な位置関係を説明するため規定されている。したがって、図で示す方向は、使用時におけるパルプモールド緩衝材10の姿勢を限定するものではない。以下では、パルプモールド緩衝材を単に「緩衝材」と記載する。
【0011】
図3及び図4で示すように、緩衝材10A・10Bは、その使用時には、被収容物90の左部又は右部を収容するように構成されている。被収容物90の搬送過程においては、2つの緩衝材10A・10Bが利用される。2つの緩衝材10A・10Bは、被収容物90の左部と右部とをそれぞれ収容する。緩衝材10A・10Bの使用は、これに限られない。緩衝材10A・10Bは、被収容物の全体を収容するように構成されてもよい。
【0012】
以下では、2つの緩衝材10A・10Bを区別しない説明では、緩衝材10A・10Bについて符号「10」を付す。
【0013】
被収容物90は、例えば電子機器である。電子機器は、例えば、ゲーム装置やオーディオ・ビジュアル機器として機能するエンタテインメント装置である。電子機器は、パーソナルコンピュータや、サーバーコンピュータであってもよい。緩衝材10は、その使用時には、被収容物90に装着され、被収容物90とともに搬送用の外箱(不図示)に収容される。
【0014】
図1で示すように、緩衝材10は、左右方向における一方側に開口した箱状である。図3で示すように、被収容物90の左部を収容する緩衝材10(10A)は、右側に向かって開口しており、被収容物90の右部を収容する緩衝材10(10B)は、左側に向かって開口している。これら2つの緩衝材10の構造は、左右対称であってもよいし、被収容物90の外形によっては、非対称であってもよい。
【0015】
図1で示すように、緩衝材10は、被収容物90の側面90a(図3参照)と対向し、これを支持するための側壁11を有している。また、緩衝材10は、上壁12A、下壁12B、前壁13A、及び後壁13Bを有している。
【0016】
上壁12A、下壁12B、前壁13A、及び後壁13Bは、側壁11の縁からそれぞれ左右方向における一方側に延びている。すなわち、被収容物90の左部を収容する緩衝材10(10A、図3参照)において、壁12A・12B・13A・13Bは、側壁11の縁から右方向に延びている。被収容物90の右部を収容する緩衝材10(10B、図3参照)において、壁12A・12B・13A・13Bは、側壁11の縁から左方向に延びている。上壁12A及び下壁12Bは、被収容物90の上面90d及び下面90e(図3参照)にそれぞれ対向し、これらを支持する。前壁13A及び後壁13Bは、被収容物90の前面90b及び後面90c(図4参照)にそれぞれ対向し、これらを支持する。
【0017】
図2Aで示すように、緩衝材10の内側の収容スペースの前後方向での幅(後述する第3支持凸部13a・13b間の距離)は、緩衝材10の内側の収容スペースの上下方向での幅(後述する第2支持凸部12a・12b間の距離)よりも大きい。
【0018】
緩衝材10は、紙(例えば、古紙)を原材料とする成形品であり、一体的に成形されている。すなわち、壁11・12A・12B・13A・13Bは、隣り合う2つの壁の折曲げによって形成されたものではなく、また、壁11・12A・12B・13A・13Bへの接着材の塗布によって相互に接続されたものではない。
【0019】
図1で示すように、側壁11には、被収容物90の側面90aを支持するための複数の第1支持凸部11aが形成されている。第1支持凸部11aは、緩衝材10の内側に向かって突出している(言い換えれば、被収容物90の側面90aに向かって突出している。)。第1支持凸部11aは、その頂部11cによって被収容物90の側面90aを支持する。すなわち、頂部11cが側面90aに接する。
【0020】
緩衝材10の外側においては、第1支持凸部11aは凹んでいる。そのため、第1支持凸部11aは、頂部11cの縁に形成され、頂部11cから左右方向における外側に向かって延びている支持壁11e・11f(図3及び図4参照)を有している。
【0021】
図2Aで示すように、複数の第1支持凸部11aは、上下方向(Z1-Z2方向)及び前後方向(Y1-Y2方向)の2方向において並んでいる。第1支持凸部11aは複数の行と複数の列とを構成している。各行にある第1支持凸部11aは前後方向で並んでいる。各列にある第1支持凸部11aは上下方向で並んでいる。
【0022】
図2で示す例において、側壁11は4行7列を有しているが、行の数及び列の数は、これに限られない。すなわち、行の数は、4より少なくてもよいし、4より多くてもよい。同様に、列の数は、7より少なくても良いし、7より多くてもよい。また、行の数及び列の数は、側壁11の領域(例えば、前領域と後領域)によって異なっていてもよい。
【0023】
図1で示すように、上壁12Aには、前後方向において並んでいる複数の第2支持凸部12aが形成され、下壁12Bにも、前後方向において並んでいる複数の第2支持凸部12bが形成されている。上壁12Aの第2支持凸部12aと、下壁12Bの第2支持凸部12bは対称に配置されていてもよいし、非対称であってもよい。第2支持凸部12a・12bは、緩衝材10の内側に向かって突出している。すなわち、上壁12Aの第2支持凸部12aは下方に突出し、下壁12Bの第2支持凸部12bは、上方に突出している。第2支持凸部12a・12bは、その頂部によって被収容物90の外面(上面90d、下面90e)を支持する。
【0024】
各第2支持凸部12a・12bは左右方向に延びている柱状である。第2支持凸部12a・12bは、例えば、上壁12A及び下壁12Bの左右方向における一方の端部(緩衝材10の開口縁)から、反対側の端部(側壁11寄りの端部)に向けて伸びていてよい。
【0025】
図1で示すように、前壁13Aには、上下方向において並んでいる複数の第3支持凸部13aが形成されている。同様に、後壁13Bにも、上下方向において並んでいる複数の第3支持凸部13bが形成されている。前壁13Aの第3支持凸部13aと、後壁13Bの第3支持凸部13bは対称に配置されていてもよいし、非対称であってもよい。第3支持凸部13a・13bは、緩衝材10の内側に向かって突出している。すなわち、前壁13Aの第3支持凸部13aは後方に突出し、後壁13Bの第3支持凸部13bは、前方に突出している。第3支持凸部13a・13bは、その頂部によって被収容物90の外面(前面90b、後面90c)を支持する。
【0026】
第3支持凸部13a・13bは左右方向に延びている。第3支持凸部13a・13bは、例えば、前壁13A及び後壁13Bの左右方向における一方の端部(緩衝材10の開口縁)から、反対側の端部に向けて伸びていてよい。
【0027】
図2Bで示すように、前後方向において隣り合う2つの第1支持凸部11aは、距離D1を有している。また、上下方向において隣り合う2つの第1支持凸部11aは、距離D2を有している。前後方向において隣り合う2つの第2支持凸部12aは、距離D3を有している。
【0028】
なお、距離D1は、例えば、各第1支持凸部11aの中心の間の、前後方向での距離である。同様に、距離D2は、例えば、各第1支持凸部11aの中心の間の、上下方向での距離であってよい。距離D3は、例えば、各第2支持凸部12aの中心の間の前後方向での距離であってよい。
【0029】
図2Bで示すように、距離D1及び距離D2は、距離D3よりも小さい。第1支持凸部11aのこの配置によると、第1支持凸部11aの数を増すことができ、上壁12A及び下壁12Bに比して外部から衝撃を受けやすい側壁11の衝撃吸収性能を向上できる。これにより、例えば、側壁11の厚さ(例えば、第1支持凸部11aの左右方向での高さ)を低減することが可能となり、外箱のサイズを小さくできる。
【0030】
距離D1及び距離D2は、距離D3の半分よりも小さくてよい。第1支持凸部11aのこの配置によると、第1支持凸部11aの数を更に増すことができ、側壁11の衝撃吸収性能を更に向上できる。
【0031】
図4で示すように、各第1支持凸部11aは前後方向において、幅W3を有している。前壁13Aと後壁13Bは、第3支持凸部13a・13bをそれぞれ有している。前壁13Aに形成された第3支持凸部13aと、後壁13Bに形成された第3支持凸部13bは距離L3だけ離れている。第1支持凸部11aの幅W3は、距離L3の20%より小さくてよい。
【0032】
上述したように、緩衝材10の内側の収容スペースの前後方向(Y1-Y2方向)での幅、すなわち第3支持凸部13a・13b間の距離L3は、緩衝材10の内側の収容スペースの上下方向での幅、すなわち第2支持凸部12a・12b間の距離L2(図3A参照)よりも大きい。図4で示すように、第1支持凸部11aの幅W3を距離L3の20%より小さくすることで、大きな幅を有する方向(前後方向)において、十分な数の第1支持凸部11aを確保できる。なお、側壁11に形成された第1支持凸部11aのうち一部の第1支持凸部11aの幅W3は、ここで説明する範囲(距離L3の20%より小さい)から外れていてもよい。
【0033】
第1支持凸部11aの幅W3は、距離L3の15%より小さくてよい。これによると、より多くの第1支持凸部11aを前後方向において確保することが可能となる。更に望ましくは、第1支持凸部11aの幅W3は、距離L3の10%より小さくてよい。
【0034】
第1支持凸部11aの幅W3は、距離L3の5%以上であってよい。第1支持凸部11aが過度に小さくなると、第1支持凸部11aの成形が困難となる。第1支持凸部11aの幅W3を距離L3の5%以上とすることで、第1支持凸部11aの成形容易性を確保できる。
【0035】
図4で示すように、前後方向において隣り合う2つの第1支持凸部11aの間には、溝11gが形成されている。溝11gの幅は、第1支持凸部11aの幅W3よりも小さい。これにより、緩衝材10の前後方向において、十分な数の第1支持凸部11aを確保することが容易となる。前後方向における溝11gの幅は、第1支持凸部11aの幅W3の半分より小さくてもよい。これによると、十分な数の第1支持凸部11aを確保することが、更に容易となる。
【0036】
図3で示すように、各第1支持凸部11aは上下方向において、幅W2を有している。上壁12Aと下壁12Bは、第2支持凸部12a・12bをそれぞれ有している。上壁12Aに形成された第2支持凸部12aと、下壁12Bに形成された第2支持凸部12bは距離L2だけ離れている。第1支持凸部11aの幅W2は、距離L2の30%より小さくてよい。これによると、前後方向だけでなく、上下方向においても、十分な数の第1支持凸部11aを確保することが可能となる。なお、側壁11に形成された第1支持凸部11aのうち一部の第1支持凸部11aの幅W2は、ここで説明する範囲(距離L2の30%より小さい)から外れていてもよい。
【0037】
第1支持凸部11aの幅W2は、距離L2の25%より小さくてよい。これによると、より多くの第1支持凸部11aを上下方向において確保することが可能となる。更に望ましくは、第1支持凸部11aの幅W2は、距離L2の20%より小さくてよい。
【0038】
第1支持凸部11aの幅W2は、距離L2の5%以上であってよい。第1支持凸部11aが過度に小さくなると、第1支持凸部11aの成形が困難となる。第1支持凸部11aの幅W2を距離L2の5%以上とすることで、第1支持凸部11aの成形容易性を確保できる。
【0039】
図3で示すように、上下方向において隣り合う第1支持凸部11aの間には、溝11hが形成されている。上下方向における溝11hの幅は、第1支持凸部11aの幅W2よりも小さい。これにより、緩衝材10の上下方向において、十分な数の第1支持凸部11aを確保することが容易となる。上下方向における溝11hの幅は、第1支持凸部11aの幅W2の半分より小さくてもよい。これによると、十分な数の第1支持凸部11aを確保することが、更に容易となる。
【0040】
各第1支持凸部11aの上下方向での幅W2(図3参照)と、前後方向での幅W3(図4参照)は、例えば、0.5cm以上、3.0cm以下であってよい。幅W2・W3は、好ましくは、1.0cm以上、2.5cmであってよい。前後方向において隣り合う第1支持凸部11aの間の溝11gの幅と、上下方向において隣り合う第1支持凸部11aの間の溝11hの幅は、幅W2・W3より小さくてよい。これによると、前後方向と上下方向の双方において、第1支持凸部11aの数を確保できる。
【0041】
なお、上下方向での幅W2は、緩衝材10の前後方向と上下方向の少なくとも一方において変化してよい。例えば、幅W2は、緩衝材10の前端から後端に近づくにしたがって、徐々に小さくなってよい。同様に、前後方向での幅W3は、緩衝材10の前後方向と上下方向の少なくとも一方において変化してよい。
【0042】
更に他の例として、幅W2・W3は、側壁11の領域(例えば、前領域と後領域)によって異なっていてもよい。例えば、前領域にある第1支持凸部11aの幅W2(又は幅W3)と、後領域にある第1支持凸部11aの幅W2(又は幅W3)は、異なっていてもよい。また、一部の第1支持凸部11aの幅W2・W3は、上述した範囲(0.5cm~4.0cm)から外れていてもよい。
【0043】
図2Aで示すように、複数の第1支持凸部11aが形成されている側壁11の前後方向での幅は、上下方向での側壁11の幅よりも大きい。これに対して、第1支持凸部11aの前後方向での幅W3(図4参照)と、上下方向での幅W2(図3参照)は実質的に同じであってもよい。或いは、幅W3は、上下方向での幅W2より小さくてもよい。
【0044】
これによれば、例えば、側壁11の形状(前後方向での幅が上下方向での幅よりも大きい)に合わせて幅W3を幅W2よりも大きくする場合に比して、十分な数の第1支持凸部11aを前後方向において確保することが容易となる。上述したように、前後方向において隣り合う第1支持凸部11aの間の溝11g(図4参照)の幅は、前後方向での幅W3よりも小さい。これによると、十分な数の第1支持凸部11aを前後方向において確保することが、更に容易となる。
【0045】
図3及び図4で示すように、各第1支持凸部11aは左右方向での高さHを有している。前後方向での幅W3及び上下方向での幅W2は、高さHより大きくてよい。これにより、第1支持凸部11aの成形容易性を確保できる。
【0046】
(1)本開示で提案するパルプモールド緩衝材の一例は、第1の方向に向いた第1外面、前記第1の方向とは交差する第2の方向において対向している2つの第2外面、前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向において対向している2つの第3外面を有している被収容物の少なくとも一部が第1の方向において嵌められるパルプモールド緩衝材である。前記パルプモールド緩衝材は、前記被収容物の前記第1外面を支持するための第1壁と、前記被収容物の前記2つの第2外面のうち一方を支持するための第2壁とを有している。前記第1壁には、前記第1の方向において突出している複数の第1支持凸部が形成され、前記第2壁には、複数の第2支持凸部が形成されている。前記複数の第1支持凸部は、前記第2の方向と前記第3の方向とにおいて並んでおり、前記複数の第2支持凸部は、前記第3の方向において並んでいる。前記第2の方向において隣り合う2つの第1支持凸部の距離、及び前記第3の方向において隣り合う2つの第1支持凸部の距離は、隣り合う2つの第2支持凸部の距離よりも小さい。このパルプモールド緩衝材によると、第1支持凸部の数を増すことが可能となる。その結果、第1の方向に作用する衝撃吸収性能を確保しつつ、第1支持凸部の高さを抑えることができる。
【0047】
(2)(1)のパルプモールド緩衝材において、前記第2の方向において隣り合う2つの第1支持凸部の前記距離、及び前記第3の方向において隣り合う2つの第1支持凸部の前記距離は、隣り合う2つの第2支持凸部の前記距離の半分よりも小さい。これによると、更に多くの第1支持凸部を形成できる。
【0048】
(3)(1)又は(2)のパルプモールド緩衝材は、前記被収容物の前記2つの第3外面をそれぞれ支持するための、前記第3の方向において対向している2つの第3壁を更に有している。前記2つの第3壁のそれぞれには、第3支持凸部が形成されている。前記複数の第1支持凸部のそれぞれの前記第3の方向における幅は、前記2つの第3壁に形成された前記第3支持凸部の距離の20%よりも小さい。このパルプモールド緩衝材によると、第3の方向において並ぶ第1支持凸部の数を更に増すことが可能となる。
【0049】
(4)(1)乃至(3)のいずれかのパルプモールド緩衝材は、前記被収容物の2つの第3外面をそれぞれ支持するための、前記第2の方向において対向している2つの第2壁をさらに有している。前記2つの第2壁のそれぞれには、第2支持凸部が形成されている。前記複数の第1支持凸部のそれぞれの前記第2の方向における幅は、前記2つの第2壁に形成された前記第2支持凸部の距離の30%よりも小さい。このパルプモールド緩衝材によると、第2の方向において並ぶ第1支持凸部の数を更に増すことが可能となる。
【0050】
(5)(1)乃至(4)のいずれかのパルプモールド緩衝材において、前記第3の方向での前記第1壁の幅は、前記第2の方向での前記第1壁の幅よりも大きい。前記第3の方向での各第1支持凸部の幅は、前記第2の方向での各第1支持凸部の幅と同じ、又は前記第2の方向での各第1支持凸部の幅よりも小さくてよい。これによると、第3の方向での第1支持凸部の数を更に増すことが可能となる。
【0051】
(6)(1)乃至(5)のいずれかのパルプモールド緩衝材において、前記第3の方向で隣り合う2つの第1支持凸部の間に溝が形成され、前記溝の幅は、前記支持凸部の前記第3の方向での幅よりも小さくてよい。これによると、第3の方向での第1支持凸部の数を更に増すことが可能となる。
【0052】
(7)本開示で提案するパルプモールド緩衝材の一例は、第1の方向に向いた第1外面、前記第1の方向とは交差する第2の方向において対向している2つの第2外面、前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向において対向している2つの第3外面を有している被収容物の少なくとも一部を収容するパルプモールド緩衝材である。前記パルプモールド緩衝材は、前記被収容物の前記第1外面を支持するための第1壁と、前記被収容物の前記2つの第3外面をそれぞれ支持するための、前記第3の方向において対向している2つの第3壁とを有している。前記第1壁には、前記第1の方向において突出している複数の第1支持凸部が形成されている。前記複数の第1支持凸部は、前記第2の方向と前記第3の方向とにおいて並んでいる。前記2つの第3壁のそれぞれには、第3支持凸部が形成されている。前記複数の第1支持凸部のそれぞれの前記第3の方向における幅は、前記2つの第3壁に形成された前記第3支持凸部の距離の20%よりも小さい。このパルプモールド緩衝材によると、第3の方向において並ぶ第1支持凸部の数を増すことが可能となる。その結果、第1の方向に作用する衝撃吸収性能を確保しつつ、第1支持凸部の高さを抑えることができる。
【0053】
(8)本開示で提案するパルプモールド緩衝材の更に別の例は、第1の方向に向いた第1外面、前記第1の方向とは交差する第2の方向において対向している2つの第2外面、前記第1及び第2の方向と交差する第3の方向において対向している2つの第3外面を有している被収容物の少なくとも一部を収容するパルプモールド緩衝材である。前記パルプモールド緩衝材は、前記被収容物の前記第1外面を支持するための第1壁と、前記第1壁に形成され、前記第2の方向と前記第3の方向とに並んでいる複数の第1支持凸部とを有している。前記第3の方向での前記第1壁の幅は、前記第2の方向での前記第1壁の幅よりも大きい。前記第3の方向での各第1支持凸部の幅は、前記第2の方向での各第1支持凸部の幅と同じ、又は前記第2の方向での各第1支持凸部の幅よりも小さい。このパルプモールド緩衝材によると、第3の方向での第1支持凸部の数を増すことが可能となる。その結果、第1の方向に作用する衝撃吸収性能を確保しつつ、第1支持凸部の高さを抑えることができる。
【0054】
なお、本開示で提案するパルプモールド緩衝材は、緩衝材10に限られず、種々の変更がなされてもよい。
【0055】
例えば、第1支持凸部11aの形状やサイズは、側壁11における位置によって異なっていてもよい。また、図2等で示す例では、第1支持凸部11aは四角形であるが、その形状はこれに限られない。例えば、側壁11は、側面視において三角形や円形の第1支持凸部11aを有していてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10・10A・10B:パルプモールド緩衝材、11:側壁、11a:第1支持凸部、11c:頂部、11e・11f:支持壁、11g・11h:溝、12A:上壁、12B:下壁、12a・12b:第2支持凸部、13A:前壁、13B:後壁、13a:第3支持凸部、90:被収容物、90a:側面、90b:前面、90c:後面、90d:上面、90e:下面。
図1
図2A
図2B
図3
図4