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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011894
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20240118BHJP
   G06Q 10/083 20230101ALI20240118BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G06F21/32
G06Q10/08 300
B65G61/00 524
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114212
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】若木 透
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】自動的に移動する電子機器におけるセキュアな認証を実現する。
【解決手段】情報処理装置は、センサと、メモリと、プロセッサと、を備える。前記センサは、ユーザに関する情報を取得する。前記プロセッサは、予め取得され、クラウドで管理されているユーザを認証するための不可逆的にエンコードされた第 1 データを取得し、前記センサが取得した前記情報を不可逆的にエンコードして第 2 データを取得し、学習済みモデルを用いて、前記第 1 データと、前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、メモリと、プロセッサと、
を備え、
前記センサは、ユーザに関する情報を取得し、
前記プロセッサは、
予め取得され、クラウドで管理されているユーザを認証するための不可逆的にエンコードされた第 1 データを取得し、
前記センサが取得した前記情報を不可逆的にエンコードして第 2 データを取得し、
学習済みモデルを用いて、前記第 1 データと、前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する、
移動体に搭載された情報処理装置。
【請求項2】
前記センサは、可視光帯域の光を受光して信号に変換する光電変換素子を少なくとも備えるイメージセンサである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザに関する情報は、ユーザの顔情報、ユーザの虹彩情報、ユーザの歩容情報、又は、ジェスチャー情報の少なくともいずれか 1 つを含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第 1 データ及び前記第 2 データは、前記センサを用いて撮像で取得された 3 次元情報をエンコードしたデータを含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記センサは、入射された赤外領域の光を光電変換する光電変換素子を備え、
前記プロセッサは、前記センサが受光した赤外光の情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記センサは、対象に照射されたパターンを有する赤外光の情報を取得し、
前記プロセッサは、前記パターンの情報及び前記センサが取得した情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記センサは、 ToF (Time of Flight) センサを備え、
前記プロセッサは、前記センサから取得した情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記センサは、音声を取得するマイクをさらに備え、
前記イメージセンサにより取得した情報と、前記マイクにより取得した情報により、ユーザの認証をする、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記移動体は、無人の移動体である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記移動体は、荷物を配送する移動体である、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
ユーザに関する不可逆的にエンコードされた第 1 データを格納する、サーバと、
無人の移動体であって、
ユーザに関する情報を取得する、センサと、
学習済みモデルのパラメータが格納される、メモリと、
前記サーバから前記第 1 データを取得し、前記センサが取得した情報を不可逆的にエンコードした第 2 データを取得し、前記メモリからパラメータを取得して構築した前記学習済みモデルを用いて前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する、プロセッサと、
を有する無人の移動体と、
を備える情報処理システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、ユーザの認証処理の後に、前記移動体に記憶している前記第 1 データ及び前記第 2 データを削除する、
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記サーバは、ユーザの認証処理の後、又は、前記第 1 データを前記移動体へと送信した後に、前記第 1 データを削除する、
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項14】
ユーザに関する情報を取得する、エッジデバイス、
をさらに備え、
前記エッジデバイスは、
取得した情報を不可逆的にエンコードして前記第 1 データを生成し、
生成した前記第 1 データを前記サーバへと送信する、
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項15】
ユーザに関する情報を取得する、エッジデバイス、
をさらに備え、
前記エッジデバイスは、
取得した情報を前記サーバへと送信し、
前記サーバは、
前記エッジデバイスから受信した情報を不可逆的にエンコードして前記第 1 データを生成する、
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記センサは、可視光帯域の光を受光して信号に変換する光電変換素子を少なくとも備えるイメージセンサである、
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記ユーザに関する情報は、ユーザの顔情報、ユーザの虹彩情報、ユーザの歩容情報、又は、ジェスチャー情報の少なくともいずれか 1 つを含む、
請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記第 1 データ及び前記第 2 データは、前記センサを用いて撮像で取得された 3 次元情報をエンコードしたデータを含む、
請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項19】
前記移動体は、荷物を配送する移動体であり、認証した結果、前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであると判定した場合に、前記ユーザが前記荷物を受け取ることが可能な状態にする、
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項20】
前記移動体は、ユーザが利用する場所に関する承認をする移動体であり、認証した結果、前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであると判定した場合に、前記ユーザが前記場所を利用する許可をする、
請求項11に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人の車両やドローン等の無人の飛行物による配送実験が広く行われている。これらの電子機器を用いた配送実験においては、数多くの課題がある。課題としては、例えば、商品の破損若しくは損失、機器自体の盗難、商品の受け渡し方法、受け取りにおける本人認証、又は、悪天候による配送上の問題等が挙げられる。
【0003】
また、ドローン等を用いて荷物を移動させたとしても、出荷側及び集荷側において人間を介してものを受け渡しているのが一般的であり、このような人間を介する方法では、双方に人手が必要となり、人的な工数及びコストが高くなり、さらには、確実な荷物の受け渡しの確認についても問題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2018-516024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本開示では、自動的に移動する電子機器におけるセキュアな認証を実現する情報処理装置及び情報処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、情報処理装置は、センサと、メモリと、プロセッサと、を備える。前記センサは、ユーザに関する情報を取得する。前記プロセッサは、予め取得され、クラウドで管理されているユーザを認証するための不可逆的にエンコードされた第 1 データを取得し、前記センサが取得した前記情報を不可逆的にエンコードして第 2 データを取得し、学習済みモデルを用いて、前記第 1 データと、前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する。
【0007】
前記センサは、可視光帯域の光を受光して信号に変換する光電変換素子を少なくとも備えるイメージセンサであってもよい。
【0008】
前記ユーザに関する情報は、ユーザの顔情報、ユーザの虹彩情報、ユーザの歩容情報、又は、ジェスチャー情報の少なくともいずれか 1 つを含んでもよい。
【0009】
前記第 1 データ及び前記第 2 データは、前記センサを用いて撮像で取得された 3 次元情報をエンコードしたデータを含んでもよい。
【0010】
前記センサは、入射された赤外領域の光を光電変換する光電変換素子を備えてもよく、前記プロセッサは、前記センサが受光した赤外光の情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得してもよい。
【0011】
前記センサは、対象に照射されたパターンを有する赤外光の情報を取得してもよく、前記プロセッサは、前記パターンの情報及び前記センサが取得した情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得してもよい。
【0012】
前記センサは、 ToF (Time of Flight) センサを備えてもよく、前記プロセッサは、前記センサから取得した情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得してもよい。
【0013】
前記センサは、音声を取得するマイクをさらに備えてもよく、前記イメージセンサにより取得した情報と、前記マイクにより取得した情報により、ユーザの認証をしてもよい。
【0014】
前記移動体は、無人の移動体であってもよい。
【0015】
前記移動体は、荷物を配送する移動体であってもよい。
【0016】
一実施形態によれば、情報処理システムは、サーバと、移動体と、を備える。前記サーバは、ユーザに関する不可逆的にエンコードされた第 1 データを格納する。前記移動体は、無人の移動体であって、ユーザに関する情報を取得する、センサと、学習済みモデルのパラメータが格納される、メモリと、前記サーバから前記第 1 データを取得し、前記センサが取得した情報を不可逆的にエンコードした第 2 データを取得し、前記メモリからパラメータを取得して構築した前記学習済みモデルを用いて前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する、プロセッサと、を有する。
【0017】
前記プロセッサは、ユーザの認証処理の後に、前記移動体に記憶している前記第 1 データ及び前記第 2 データを削除してもよい。
【0018】
前記サーバは、ユーザの認証処理の後、又は、前記第 1 データを前記移動体へと送信した後に、前記第 1 データを削除してもよい。
【0019】
情報処理システムは、ユーザに関する情報を取得する、エッジデバイス、をさらに備えてもよく、前記エッジデバイスは、取得した情報を不可逆的にエンコードして前記第 1 データを生成し、生成した前記第 1 データを前記サーバへと送信してもよい。
【0020】
情報処理システムは、ユーザに関する情報を取得する、エッジデバイス、をさらに備えてもよく、前記エッジデバイスは、取得した情報を前記サーバへと送信してもよく、前記サーバは、前記エッジデバイスから受信した情報を不可逆的にエンコードして前記第 1 データを生成してもよい。
【0021】
前記センサは、可視光帯域の光を受光して信号に変換する光電変換素子を少なくとも備えるイメージセンサであってもよい。
【0022】
前記ユーザに関する情報は、ユーザの顔情報、ユーザの虹彩情報、ユーザの歩容情報、又は、ジェスチャー情報の少なくともいずれか 1 つを含んでもよい。
【0023】
前記第 1 データ及び前記第 2 データは、前記センサを用いて撮像で取得された 3 次元情報をエンコードしたデータを含んでもよい。
【0024】
前記センサは、入射された赤外領域の光を光電変換する光電変換素子を備えてもよく、前記プロセッサは、前記センサが受光した赤外光の情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得してもよい。
【0025】
前記センサは、対象に照射されたパターンを有する赤外光の情報を取得してもよく、前記プロセッサは、前記パターンの情報及び前記センサが取得した情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得してもよい。
【0026】
前記センサは、 ToF (Time of Flight) センサを備えてもよく、前記プロセッサは、前記センサから取得した情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得してもよい。
【0027】
前記センサは、音声を取得するマイクをさらに備えてもよく、前記イメージセンサにより取得した情報と、前記マイクにより取得した情報により、ユーザの認証をしてもよい。
【0028】
前記移動体は、荷物を配送する移動体であり、認証した結果、前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであると判定した場合に、前記ユーザが前記荷物を受け取ることが可能な状態にしてもよい。
【0029】
前記移動体は、ユーザが利用する場所に関する承認をする移動体であり、認証した結果、前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであると判定した場合に、前記ユーザが前記場所を利用する許可をしてもよい。
【0030】
一実施形態によれば、情報処理システムは、サーバと、移動体と、を備える。前記サーバは、ユーザに関する不可逆的にエンコードされた第 1 データを格納する。前記移動体は、無人の移動体であって、ユーザに関する情報を取得する、センサと、前記センサが取得した情報を不可逆的にエンコードした第 2 データを取得する、プロセッサと、を有する。前記移動体は、前記第 2 データを前記サーバへと送信し、前記サーバは、学習済みモデルを用いて前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する。
【0031】
一実施形態によれば、情報処理システムは、移動体を備える。前記移動体は、ユーザに関する不可逆的にエンコードされた第 1 データを格納する、サーバと、ユーザに関する情報を取得する、センサと、前記センサが取得した情報を不可逆的にエンコードした第 2 データを取得する、プロセッサと、を有する。前記移動体の前記サーバは、学習済みモデルを用いて前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する。
【0032】
一実施形態によれば、上述した情報処理システムにおいて、移動体は、無人の移動体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施形態に係る情報処理システムの概略の一例を示す図。
図2】一実施形態に係る情報処理システムの概略の一例を示す図。
図3】一実施形態に係る情報処理システムの処理の一例を示すフローチャート。
図4】一実施形態に係る情報処理委ステムの概略の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本開示における実施形態の説明をする。図面は、説明のために用いるものであり、実際の装置における各部の構成の形状、サイズ、又は、他の構成とのサイズの比等が図に示されている通りである必要はない。また、図面は、簡略化して書かれているため、図に書かれている以外にも実装上必要な構成は、適切に備えるものとする。
【0035】
図1は、一実施形態に係る情報処理システムの概略を示す図である。図内の点線は、データのやりとりを示し、実線は、商品等のやりとりを示してもよい。破線で示される情報処理システム 1 は、サーバ 10 と、移動体 20 と、を備える。情報処理システム 1 は、ユーザ 2 から依頼があった場合に、ユーザ 2 の認証をし、認証結果に応じてサプライヤ 3 からユーザ 2 へとサービスを提供するシステムである。
【0036】
情報処理システム 1 は、限定されない一例として、商品の配送のための認証システムであってもよく、ユーザ 2 が購入した商品、又は、ユーザが配送を依頼した商品に関して、サプライヤ 3 へと配送指示の通知をし、サプライヤ 3 から商品を受け取り、ユーザ 2 が適切な配送先であると認証された場合に、ユーザ 2 に商品を受け渡す補助をするシステムである。また、情報処理システム 1 は、ユーザ 2 への商品の受け渡しまでを含めたシステムであってもよい。
【0037】
情報処理システム 1 は、限定されない一例として、所定の場所を利用したいユーザ 2 が申し込みを行い、この申し込みにしたがってサプライヤ 3 がユーザ 2 の認証をするためのシステムであってもよい。サプライヤ 3 は、例えば、バーベキューの場所の提供やキャンプ場の場所の提供をする者であってもよい。
【0038】
サーバ 10 は、例えば、 1 又は複数のプロセッサと、 1 又は複数の記憶領域と、を備える。プロセッサは、汎用的な処理を実行する CPU (Central Processing Unit) 、 GPU (Graphics Processing Unit) 等の汎用プロセッサを備えてもよいし、 ASIC (Application Specific Integrated Circuit) 等の専用の回路を備えて実装されていてもよい。記憶領域は、メモリ、ストレージ等により構成されてもよい。
【0039】
サーバ 10 は、ユーザ 2 からの要求を受信する。サーバ 10 は、ユーザ 2 からの要求をサプライヤ 3 へと送信する。サーバ 10 は、ユーザ 2 からの要求と同じタイミングでユーザ 2 側の端末装置 (デバイス、エッジデバイス) 、例えば、ユーザ 2 が要求を送信した端末装置においてユーザ 2 に関する情報を取得してもよい。この場合、ユーザ 2 が利用した端末装置も情報処理システム 1 の一部としてもよい。また、サーバ 10 がユーザ 2 からの要求を送信するサプライヤ 3 側の端末装置 (デバイス、エッジデバイス) も同様に、情報処理システム 1 の一部として含まれていてもよい。
【0040】
ユーザ 2 が要求を送信する端末装置は、ユーザ 2 に関する 3 次元情報を認証に用いる情報として取得し、サーバ 10 に送信してもよい。サーバ 10 は、ユーザ 2 からの要求をサプライヤ 3 へと送信する一方で、ユーザ 2 に関する認証に用いる情報は、サプライヤ 3 側へと送信しなくてもよい。サーバ 10 は、例えば、インターネットを介して移動体 20 と接続可能なクラウド上の記憶領域等にユーザ 2 の認証に用いるデータを格納してもよい。
【0041】
ユーザ 2 側の端末装置は、ユーザ 2 の認証に用いるデータを取得し、例えば、所定のエンコーダを用いて取得した認証に用いる情報を不可逆的に変換した第 1 データをサーバ 10 へと送信してもよい。この場合、通信される第 1 データは、不可逆データであるので、ユーザ 2 のプライバシー情報のセキュリティを高く維持することができる。別の例として通信におけるセキュリティが十分に高い場合には、ユーザ 2 側の端末装置は、サーバ 10 へと認証に用いる情報を送信し、サーバ 10 側で不可逆的にエンコードされる態様であってもよい。
【0042】
サプライヤ 3 は、サプライヤ 3 側の端末装置において、サーバ 10 を介したユーザ 2 の要求を取得する。サーバ 10 から要求を受信したサプライヤ 3 は、移動体 20 にサービス内容となる商品等を搭載させる。なお、サプライヤ 3 が提供するサービスが場所の提供である場合には、サプライヤ 3 は、場所の割り当て状況等をサーバ 10 又は移動体 20 へと送信してもよい。この場合、サプライヤ 3 においてもコンピュータ等の情報処理装置により、自動的に割り当て等が実行されてもよい。
【0043】
サプライヤ 3 は、端末装置を介してサーバ 10 に要求に応答する旨の通知をしてもよい。この通知は、サプライヤ 3 が移動体 20 に荷物等を搭載した後にされてもよい。別の例として、移動体 20 が、サプライヤ 3 がユーザ 2 の要求に対応することの対応を行った旨を、サーバ 10 に伝達してもよい。
【0044】
移動体 20 は、例えば、配送の対象となる商品、荷物等を搭載した後に適切な場所まで移動する。この移動体 20 は、代表的には、無人の移動体である。移動体 20 は、例えば、自律型のドローン又はサプライヤ 3 等のサービス提供者側が操縦するドローンであってもよい。移動体 20 はまた、自律型又は操縦型である、地上を走行する無人の自動車等の移動体であってもよいし、水上を移動可能な無人の移動体であってもよい。
【0045】
この場所の情報は、ユーザ 2 が要求を送信時に、自らの認証情報とともに送信してもよい。別の例として、サーバ 10 がユーザ 2 に関するデータベースを有しておき、このデータベースに基づいて場所に関する情報を移動体 20 へと送信してもよい。別の例として、サプライヤ 3 側で、ユーザ 2 に関する場所に関する情報を有しておき、サプライヤ 3 が移動体 20 に登録する形態であってもよい。
【0046】
移動体 20 は、情報処理装置 200 を備える。情報処理装置 200 は、一例として、プロセッサ 202 と、センサ 204 と、メモリ 206 と、を備える。情報処理装置 200 は、移動体 20 においてユーザの認証をする装置である。また、情報処理装置 200 は、移動体 20 の制御をしてもよいし、情報処理装置 200 とは別に搭載されている装置が移動体 20 の制御をしてもよい。
【0047】
また、図示しないが、移動体 20 はさらに、外部、例えば、サーバ 10 との通信をするためのインタフェースを備えていてもよい。移動体 20 は、受信した情報及び情報処理装置 200 を動作させるためのデータ等をメモリ 206 に格納してもよい。例えば、情報処理装置 20 において、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現される場合には、メモリ 206 にはプロセッサ 202 がソフトウェアによる情報処理を実行するためのプログラム又は実行ファイルが格納されてもよい。
【0048】
移動体 20 は、サプライヤ 3 からサービスに関する処理をされた後に、ユーザ 2 に対してサービスを提供する位置まで自律制御により又は遠隔操作により移動する。移動体 20 は、例えば、サーバ 10 に格納されているユーザ 2 のアドレス情報、又は、サプライヤ 3 のサービス提供場所の情報を取得し、ユーザ 2 がサービスを受ける場所の情報を取得することができる。
【0049】
サーバ 10 が位置情報を取得している場合には、サプライヤ 3 に直接的にユーザ 2 の位置情報を伝達することなく、サーバ 10 と通信可能な移動体 20 を介して、サプライヤ 3 は、ユーザ 2 にサービスを提供することができる。このように処理することで、サーバ 10 は、サプライヤ 3 に対してユーザ 2 の位置情報を提供することなく移動体 20 を介してサプライヤ 3 のサービスをユーザ 2 に提供することができる。
【0050】
別の例として、サプライヤ 3 がユーザ 2 の位置情報を取得できている場合には、サプライヤ 3 が移動体 20 にユーザ 2 の位置情報を入力又は通信により通知等することもできる。このように処理することで、例えば、サプライヤ 3 は、顧客情報であるユーザ 2 の情報をサーバ 10 等にアップロードすること無く、移動体 20 を介してユーザ 2 に適切なサービスを提供することができる。
【0051】
移動体 20 は、ユーザ 2 にサービスを提供可能な場所に移動した後に、ユーザ 2 の認証処理を実行する。移動体 20 は、ユーザ 2 がサービスの提供相手であると判定した場合に、サービスを提供することができる。
【0052】
移動体 20 は、荷物を配送する移動体であってもよく、認証した結果、ユーザ 2 が配送先のユーザであると判定した場合には、ユーザ 2 が荷物を受け取ることが可能となるように、荷物を下ろすといった処理をすることができる。
【0053】
移動体 20 は、ユーザが 2 が利用する場所に関する承認のための移動体であってもよく、認証した結果、ユーザ 2 が場所の利用をするユーザであると判定した場合には、ユーザ 2 が当該場所を利用することが可能な状態としてもよい。移動体 20 は、例えば、当該場所の鍵を開けたり、当該場所に設置されている装置の利用許可をしたりすることで、ユーザ 2 にサービスを提供することができる。このサービス提供の処理自体は、移動体 20 ではなく、サーバ 10 が移動体 20 からの認証結果を受信した後に処理をすることもできる。
【0054】
ユーザ 2 の認証処理について説明する。
【0055】
移動体 20 は、ユーザ 2 にサービスを提供可能な場所に移動した後に、情報処理装置 200 に備えられるセンサ 204 を用いて、ユーザ 2 に関する情報を取得する。センサ 204 は、例えば、少なくとも可視光帯域の光を受光して信号に変換する光電変換素子を備えるカメラ (イメージセンサ) であってもよい。このイメージセンサは、プロセッサ 202 と同一のチップ内に形成されていてもよい。同一のチップ内に備えられる場合、異なる半導体層に形成されたイメージセンサと処理回路とが積層された形態であってもよい。
【0056】
イメージセンサは、限定されない例として、可視光帯域の光に加え、赤外帯域の光を光電変換することが可能な光電変換素子を備えていてもよい。情報処理装置 200 は、可視光帯域の画像と、さらに、赤外帯域の画像と、を用いて認証処理を実行することもできる。
【0057】
赤外帯域の光を用いる場合、移動体 20 又は情報処理装置 200 はさらに、パターンを有する赤外光を照射する発光装置を備えていてもよい。センサ 204 は、赤外光を取得する光電変換素子により、対象であるユーザ 2 に照射された赤外線のパターンの情報を取得することで対象の 3 次元情報を取得し、この 3 次元情報に基づいて認証を実行してもよい。
【0058】
イメージセンサは、限定されない例として、 ToF (Time of Flight) センサを備えていてもよい。この ToF センサからの出力により、対象の 3 次元情報を取得することもできる。
【0059】
この他、センサ 204 又はプロセッサ 202 は、可視光帯域の光の情報から、種々の手法を用いて 3 次元情報を取得することもできる。
【0060】
移動体 20 は、例えば、 2 つのイメージセンサを適切な距離の位置に離して配置してステレオ撮像をすることで対象の奥行きに関する情報を取得することもできる。
【0061】
別の例として、移動体 20 は、単眼のイメージセンサを用いて、像面位相差等に関する情報を取得することによって、対象の 3 次元情報を取得してもよい。
【0062】
別の例として、移動体 20 は、適切にユーザ 2 の撮影位置、角度等を変化させることにより、対象の 3 次元情報を取得することもできる。この処理は、移動体 20 自体がユーザ 2 に対する位置を変更することで対応することもできるし、移動体 20 内におけるセンサ 204 の位置を変更することで、対応することもできる。また、移動体 20 は、ユーザ 2 に顔を指定の方向を向くように指示したり、指定の方向に沿って歩くように指示したりすることでユーザ 2 の 3 次元情報を取得する形態であってもよい。この場合、指示は、移動体 20 に搭載されている出力インタフェースを用いて提示されてもよいし、ユーザ 2 が有する端末装置にサーバ 10 を介して又は近距離通信等を介して直接的に通信をすることで提示されてもよい。
【0063】
情報処理装置 200 のプロセッサ 202 は、センサ 204 から取得された情報を不可逆的な変換をするエンコーダに入力することで取得したユーザ 2 の認証対象となる第 2 データを取得する。プロセッサ 202 は、必要であれば、センサ 204 から取得した情報に基づいて、ユーザ 2 の 3 次元情報を再構成し、この再構成した情報をエンコーダに入力して第 2 データを取得してもよい。
【0064】
情報処理装置 200 は、認証処理を実行する前の任意のタイミングでサーバ 10 (クラウド上) から、第 1 データを取得し、メモリに記憶させておいてもよい。情報処理装置 200 は、移動体 20 に搭載されている通信インタフェースを介して、クラウドから第 1 データを取得してもよい。プロセッサ 202 は、この第 1 データと、センサ 204 の取得した情報に基づく第 2 データと、を用いて認証処理を行うことで、移動体 20 の近傍に位置している人物が、ユーザ 2 であるか否かを判定する。
【0065】
プロセッサ 202 は、予めメモリ 206 に格納されているパラメータに基づいて認証用の学習済みモデルを形成してもよい。プロセッサ 202 は、この学習済みモデルに第 1 データ及び第 2 データを入力することで認証を実行してもよい。
【0066】
学習済みモデルは、予め任意の機械学習手法により最適化されたモデルであってもよい。例えば、ユーザ 2 側のエッジデバイスから取得するデータと、センサ 204 が取得するデータと、を用いて、それぞれのデータを第 1 データ、第 2 データにエンコードするエンコーダと、これらのエンコーダを介して取得したデータとが同一人物であれば認証が通るといった訓練を実行することでこのモデルが形成されてもよい。
【0067】
一例として、エンコーダは、学習の対象外とし、認証に用いるモデルのみを学習の対象として最適化を実行してもよい。
【0068】
別の例として、ユーザ 2 側のエッジデバイス及びセンサ 204 からそれぞれ取得するデータをエンコードするエンコーダと、認証に用いるモデルと、を併せて、シリアルに、又は、パラレルに学習を実行してもよい。
【0069】
別の例として、エンコーダは、エンコーダとして学習し、認証に用いる学習済みモデルは、認証に用いるモデルとして、それぞれ別個に学習してもよい。
【0070】
なお、限定されない一例として、エンコーダは、オートエンコーダとして取得した情報を潜在変数 (第 1 データ又は第 2 データ) に符号化するエンコーダと、この潜在変数を取得した情報に再構成するデコーダと、を併せて学習してもよい。
【0071】
この場合、サーバ 10 及びユーザ 2 側のエッジデバイスは、デコーダの情報を有しないようにすることができる。このように、サーバ 10 及びエッジデバイスにおいてデコーダに関する情報を有しない形態とすることで、学習により最適化されたエンコーダを不可逆的なエンコードをする関数として用いることができ、ユーザの情報をメタデータとして用いることができる。
【0072】
いずれの場合においても、適切なデータをエンコードするエンコーダのみを有することで、ユーザ 2 の情報をメタデータとして送受信すること、すなわち、ユーザ 2 の個人情報に関するセキュリティが高い状態において通信が可能となる。
【0073】
まとめると、ユーザ 2 は、デバイス又はエッジデバイスを介して、当該デバイス等により取得した認証情報を不可逆的にエンコードしたメタデータである第 1 データをサーバ 10 に送信し、移動体 20 は、サーバ 10 から取得した第 1 データと、センサ 204 により取得したユーザ 2 に関する情報を不可逆的にエンコードした第 2 データと、を用いて認証することで、ユーザ 2 に対して適切なサービスの提供、例えば、荷物の引き渡しや場所の利用許可をすることができる。
【0074】
移動体 20 が取得するユーザ 2 に関する情報は、例えば、ユーザ 2 の顔情報、ユーザ 2 の虹彩情報、ユーザ 2 の歩容情報、若しくは、ユーザ 2 によるジェスチャー情報のうち 1 つを有してもよいし、又は、これらのうち 2 つ以上を組み合わせてもよい。移動体 20 が取得する情報は、ユーザ 2 がエッジデバイスで取得した情報を用いて認証できる情報であればよい。
【0075】
例えば、ユーザ 2 側のエッジデバイスにおいて、ユーザ 2 が予め選択した情報を取得しておき、移動体 20 がこのユーザ 2 が選択した情報と同じ情報を取得してもよい。このように処理することで、ユーザ 2 は、認証に用いる情報を自ら決定することもでき、この場合、ユーザ 2 により選択された認証情報の取得方法は、サーバ 10 等に送信することが無い。このため、情報処理システム 1 は、サービス提供に関する誤認証をより精度よく排除することが可能となる。
【0076】
また、センサ 204 は、イメージセンサに加え、マイクを備えていてもよい。この場合、情報処理装置 200 は、イメージセンサからの出力に加えて、マイクにより取得した音声情報等を用いて認証の精度を向上させることもできる。
【0077】
上記においては、移動体 20 がサーバ 10 から第 1 データを受信し、認証を行う形態について説明したが、本開示における情報処理システム 1 の処理は、この処理に限定されるものではない。
【0078】
別の例として、サーバ 10 が認証を実行する形態であってもよい。移動体 20 は、情報処理装置 200 において、センサ 204 により取得したユーザ 2 の情報を取得した後に、プロセッサ 202 によりセンサ 204 が取得した情報を不可逆的にエンコードして第 2 データを生成する。そして、移動体 20 は、生成したこの第 2 データをサーバ 10 へと送信し、サーバ 10 が第 1 データと第 2 データとを照合することにより認証を実行してもよい。上述したように、この照合は、学習済みモデルを用いて実行されてもよい。
【0079】
別の例として、サーバ 10 と移動体 20 との間の接続において十分なセキュリティの高さが確保できる場合には、移動体 20 は、センサ 204 が取得したユーザ 2 に関する情報をサーバ 10 に送信し、サーバ 10 が受信したユーザ 2 の情報を第 2 データへとエンコードしてもよい。
【0080】
サーバ 10 は、認証結果又はサービス提供可否情報を移動体 20 へと送信し、移動体 20 は、認証結果又はサービス提供可否情報に基づいてサービス提供をするか否かを判定することができる。
【0081】
このように、サーバ 10 側で認証処理を実行する形態であってもよい。なお、移動体 20 において認証処理を実行する場合と同様に、移動体 20 において第 2 データをエンコードする方が、ユーザ 2 の個人情報の観点において、また、通信する情報量の観点において望ましい。
【0082】
ユーザ 2 へのサービス提供の後に、プロセッサ 202 は、移動体 20 に備えられる通信インタフェースを介して、サービス提供が完了したことを、サーバ 10 、又は、サプライヤ 3 に通知してもよい。この通知を受信することで、サーバ 10 又はサプライヤ 3 は、適切にユーザ 2 にサービスが提供されたことを感知することができる。
【0083】
ユーザ 2 へのサービス提供の後に、プロセッサ 202 は、メモリ 206 に格納されているユーザ 2 に関する第 1 データ及び第 2 データを消去してもよい。このようにデータを消去することで、移動体 20 が次のサービス提供を行うタイミングにおいて、前のユーザの情報を適切に削除することが可能となる。
【0084】
また、同様に、ユーザ 2 へのサービス提供の後に、サーバ 10 は、ユーザ 2 に関する第 1 データを削除してもよい。このようにデータを消去することで、ユーザデータ管理のセキュリティをさらに向上させることもできる。
【0085】
別の例として、ユーザ 2 が再度同じサービスの提供を受ける可能性がある場合には、サーバ 10 又はユーザ 2 側の端末装置に、第 1 データを格納しておいてもよい。このデータの格納は、ユーザ 2 がオプトイン又はオプトアウトの形式で指定できるものであってもよいし、ユーザ 2 がサービスの提供を依頼するタイミング又はサービスの提供の完了後のタイミングにおいて設定できるものであってもよい。この設定を可能とすることで、情報処理システム 1 に関連するサービスの提供のユーザビリティを向上させることができる。
【0086】
また、異なるサービスの提供において情報処理システム 1 についての共通のアプリケーションを用いることで、さらにサービス提供のユーザビリティを向上させることもできる。情報処理システム 1 は、異なる複数のサービス、例えば、配送サービス及び場所利用サービスにおける認証システムとして共通のアプリケーションを用いることが可能であり、この場合に、サービスの提供を受けるために、ユーザ 2 は、過去に生成した第 1 データを再利用してサービスを受けることができる。
【0087】
図2は、本開示における一実施形態に係る情報処理システムの概略を示す図である。この図2に示すように、サービスを申し込むユーザ 2A と、サービスの提供を受けるユーザ 2B が別々の人物であってもよい。
【0088】
この場合、必要に応じて、サーバ 10 は、ユーザ 2B 側のエッジデバイス等に対して、認証情報を送信する要求をしてもよく、ユーザ 2B は、この要求に対して自らの認証情報 (第 1 データ) を送信してもよい。移動体 20 は、同様に、サーバ 10 から取得した第 1 データと、ユーザ 2B の位置に移動してセンサ 204 から取得した情報に基づく第 2 データとを用いて、認証処理を実行することができる。
【0089】
次に、一実施形態に係る情報処理システム 1 の実際の処理の流れの一例について図面を用いて説明する。
【0090】
図3は、一実施形態に係る情報処理システム 1 の処理の一例を示すフローチャートである。
【0091】
ユーザ側デバイスは、ユーザ 2 からサービス提供に係る情報及び認証に用いる情報を受け付ける (S100) 。サービス提供に係る情報の受付は、キーボード、マウス、タッチパネル、カメラ、マイク等の入力ユーザインタフェースを介して実行されてもよい。
【0092】
ユーザ側デバイスは、ユーザ 2 から受け付けた認証に用いる情報を不可逆的にエンコードしたメタデータである第 1 データを生成する (S102) 。続いて、ユーザ側デバイスは、サーバ 10 に、サービス提供に係る情報及び生成した第 1 データを送信する。
【0093】
ユーザ側デバイスとサーバ 10 間においてセキュアな通信が確立されている場合には、ユーザ側デバイスは、ユーザ 2 から受け付けた認証に用いる情報をサーバ 10 に送信し、サーバ 10 が第 1 データを生成してもよい。
【0094】
ユーザ 2 が以前にも同じ情報処理システム 1 のサービスを受けている場合には、ユーザ側デバイスに保存されているユーザ 2 の第 1 データを用いることもできる。また、ユーザ側デバイスは、予め取得しているユーザ 2 の 1 又は複数の写真情報に基づいて、ユーザ 2 の 3 次元情報を取得して第 1 データを生成してもよい。
【0095】
サーバ 10 は、サービス提供に係るデータをサプライヤ側デバイスに送信する (S204) 。サービス提供に係るデータは、例えば、提供するサービスの内容、及び、サービスを提供する場所に関する情報である。
【0096】
情報処理システム 1 が配送システムである場合には、提供するサービスの内容は、例えば、販売する商品、配送する物品等の情報であり、サービスを提供する場所は、ユーザ 2 がこれらの商品等を受け取る場所に関する情報である。
【0097】
情報処理システム 1 が場所を提供するシステムである場合には、提供するサービス内容は、例えば、場所の利用目的等の情報であり、サービスを提供する場所は、ユーザ 2 がこれらのサービスを受ける場所に関する情報である。
【0098】
サプライヤ 3 は、サプライヤ側デバイスで受信した情報に基づいて、サービス提供の準備をする。サプライヤ 3 は、サービス提供の準備が完了し、又は、サービス提供の準備が完了する見込みがたつタイミングで、サプライヤ側デバイスに準備完了である旨を入力する。サプライヤ側デバイスは、受け付けた準備完了である旨の入力に基づいて、サーバ 10 に準備完了通知を送信する (S406) 。
【0099】
サーバ 10 は、サプライヤ側デバイスから準備完了通知を受信した後に、サービス提供の時間をユーザ側デバイスに通知する (S208) 。
【0100】
サービス提供の時間は、予めユーザ 2 がユーザ側デバイスを介してサーバ 10 に候補となる時間を送信し、サーバ 10 がサプライヤ側デバイスの準備状況に応じて選択してもよい。
【0101】
別の例として、サービス提供の時間は、サプライヤ側デバイスからサービス提供可能時間を受信し、このサービス提供可能時間をユーザ側デバイスに通知してもよい。
【0102】
別の例として、サプライヤ側デバイスを介してサプライヤ 3 がサーバ 10 にサービス提供可能時間を設定しておき、ユーザ 2 は、ユーザ側デバイスを介して、このサービス提供可能時間からデータ送信時に併せてサービスを受けることが可能な時間を通知してもよい。この場合、サーバ 10 において、実際にサービス提供が可能となる時間を改めてユーザ側デバイスへと送信してもよい。
【0103】
ユーザ側デバイスは、サービス提供可能時間を受信する (S110) 。ユーザ側デバイスは、受信した時間に関する情報を、ディスプレイ、ステレオ等の出力デバイスを用いてユーザに対して出力してもよい。
【0104】
ユーザは、このタイミングにおいて、サービスを受ける時間を確認する (S112) 。また、ユーザ側デバイスは、ユーザから時間の修正を受け付けることもできる。例えば、サーバ 10 から受信したサービス提供可能時間の候補を表示し、ユーザが当該候補から選択し、又は、当該候補内から設定した時間を承認情報としてサーバ 10 に送信してもよい。
【0105】
なお、この処理は、一方向の処理ではなく、インタラクティブな処理であってもよい。すなわち、ユーザ側デバイスとサーバ 10 及びサーバ 10 とサプライヤ側デバイスとの間で何度か通信を行い、適切な時間の承認をしてもよい。
【0106】
別の例として、ユーザ側デバイスとサプライヤ側デバイスで直接的に通信 (データ通信、音声通信を含む) を行い、双方が承認した時間をいずれか一方又は双方からサーバ 10 へと送信してもよい。
【0107】
サーバ 10 は、ユーザ側デバイスから受信した時間に基づいて、サプライヤ側デバイスへと提供時間の指示をする (S214) 。
【0108】
サプライヤ 3 は、サーバ 10 から受信した提供時間指示に基づいて、移動体 20 に対するサービス提供の準備を完了させ、ユーザ 2 のサービス提供場所等のデータを移動体 20 に設定する (S416) 。配送の場合には、移動体 20 に対する荷物の積み込み作業の完了をもってデータ設定をしてもよい。ユーザ 2 がサービス提供を受ける場所の情報は、サプライヤ側デバイスから移動体 20 に設定することに限られず、サーバ 10 から移動体 20 へと送信されてもよい。
【0109】
一方で、場所利用等のサービス提供の場合には、サーバ 10 から移動体 20 へとデータを設定してもよい。この場合、サプライヤ 3 は、移動体 20 に対して直接的にサービス提供の指示をしてもよいし、サプライヤ側デバイスを介して移動体 20 にサービス提供の指示をしてもよい。
【0110】
移動体 20 は、サービス提供場所及び時間が設定されると、サービス提供場所まで移動を開始する (S318) 。移動体 20 は、サービス提供時間及び移動距離に基づいて、移動開始時間を適切に調整してもよい。
【0111】
S416 以降の任意のタイミング、又は、それより前の適切なタイミングにおいて、サーバ 10 は、第 1 データを移動体 20 へと送信する (S220) 。
【0112】
移動体 20 は、サービス提供場所へと移動した後、ユーザ 2 の認証のための情報をセンサ 204 により取得し、認証処理を行う (S322) 。移動体 20 は、センサ 204 により取得した情報を第 2 データへとエンコードし、認証処理を実行する。
【0113】
サービス提供場所に複数の人間がいる場合には、ユーザ 2 からのアクセスにより認証の対象となる撮影等をしてもよい。
【0114】
別の例として、移動体 20 が複数の人間を対象とした撮影等をしてそれぞれの第 2 データを生成し、第 1 データと第 2 データとを用いた認証を実行することでどの人間がユーザ 2 であるかを判定して適切にユーザ 2 を認証してもよい。
【0115】
サーバ 10 において認証処理を実行する場合、 S220 において移動体 20 からサーバ 10 へと第 2 データ又はセンサ 204 により取得した情報を送信し、 S322 においてサーバ 10 が第 1 データと第 2 データとを用いて認証を実行する。サーバ 10 は、その後に認証結果を移動体 20 へと送信する。
【0116】
認証により、ユーザ 2 がサービス提供の対象である場合に、移動体 20 は、サービスを提供する (S324) 。例えば、移動体 20 は、認証されたユーザ 2 に荷物を配送したり、認証されたユーザ 2 に対する場所利用の許可を与えたりすることができる。
【0117】
情報処理システム 1 が配送システムである場合には、移動体 20 は、例えば、ユーザ 2 が認証されたことをもって、荷物のロックを外す等をすることで、ユーザ 2 が荷物の受け取りを可能な状態とすることができる。
【0118】
情報処理システム 1 が場所、ものの利用提供に関するシステムである場合には、移動体 20 は、例えば、ユーザ 2 が認証されたことをもって、場所に入るための鍵を開けたり、ものを利用するためのセキュリティを解除したりすることで、ユーザ 2 に対して適切なサービスを提供することができる。
【0119】
なお、移動体 20 は、認証の対象であるユーザ 2 を発見できない場合には、予め定められた動作を実行してもよい。予め定められた動作は、例えば、サプライヤ 3 の場所まで戻る、サーバ 10 若しくはユーザ側デバイスに通知、又は、その場に待機等のサービス提供のための適切な任意の処理としてもよい。
【0120】
ユーザ側デバイスは、サービス提供の後に、ユーザからの受領確認の入力を受け付け (S126) 、受け付けた受領確認をサーバ 10 へと通知してもよい。
【0121】
サーバ 10 は、この受領確認をした後に、第 1 データを削除してもよい (S228) 。また、サーバ 10 がユーザ 2 の位置情報を有している場合には、サーバ 10 は、併せてユーザの位置情報を削除してもよい。
【0122】
移動体 20 は、サーバ 10 からの通知に従い、又は、ユーザ側デバイスからの指示若しくはユーザから移動体 20 に対する直接的な指示に従って、第 1 データ及び第 2 データを削除することができる。
【0123】
以上のように、本開示によれば、適切なサービス提供を行うとともに、サービス提供を受ける側の個人情報のセキュリティを向上させることが可能となる。また、サプライヤは、配送や利用場所の確認に人員を割くことがなくサービスを提供することが可能となるので、人員に対するコストを削減することが可能となる。
【0124】
(変形例)
前述においては、情報処理システム 1 は、サーバ 10 と移動体 20 とを備える形態としたが、これに限定されるものではない。
【0125】
図4は、変形例に係る情報処理システム 1 の概略を示すブロック図である。情報処理システム 1 は、移動体 20 内にサーバ 10 を備える形態であってもよい。この図4に示すように、移動体 20 は、サーバ 10 と、情報処理装置 200 と、を備える。また、別の例として、サーバ 10 と情報処理装置 200 が別々に備えられる必要はなく、情報処理装置 200 の一部がサーバ 10 としての機能を実行する装置を有する形態であってもよいし、サーバ 10 の一部が情報処理装置 200 の機能を実行する装置を有する形態であってもよい。
【0126】
このように、移動体 20 にサーバ 10 を搭載することもできる。動作については、前述の実施形態と同様に実行することができるが、サーバ 10 と移動体 20 との間において無線通信等による接続をする必要がなくなる。
【0127】
ユーザ 2 は、ユーザ側デバイスを用いて、移動体 20 に搭載されるサーバ 10 へとサービスを受けるために必要な情報と、個人認証情報 (例えば、エンコードされた顔等の画像に関するデータ) を送信する。また、必要があればサプライヤ 3 にサービスを受けるための情報を送信してもよい。この後は、上記の移動体 20 の動作と同様である。
【0128】
本変形例によれば、小規模な配送ビジネスモデル等においてサーバを設置しないで対応することが可能となる。
【0129】
また、情報処理システム 1 に複数の移動体 20 が備えられてもよい。複数の移動体 20 のうち、少なくとも 1 つがサーバ 10 を備えていてもよい。別の例として、複数の移動体 20 のそれぞれがサーバ 10 を備えていてもよい。複数の移動体 20 のうち、いくつかの移動体 20 がサーバ 10 を備える場合、サーバ 10 を備える移動体 20 間でデータのバックアップを取得する形態であってもよい。例えば、サーバ 10 を備える複数の移動体 20 間においてデータをミラーリングすることで、データのバックアップをとることができる。
【0130】
また、サーバ 10 を備える移動体 20 が 1 つである場合においても、適切に他の移動体 20 のメモリにデータを格納することでバックアップすることもできる。
【0131】
複数の移動体 20 においてサーバ 10 が備えられ、メインとなる移動体 20 においてデータを管理してもよい。この場合、メインとなる移動体 20 に事故等の不具合が発生した場合に、サブとなる移動体 20 のサーバ 10 を代替的に駆動する形態であってもよい。
【0132】
前述した実施形態は、以下のような形態としてもよい。
【0133】
(1)
センサと、メモリと、プロセッサと、
を備え、
前記センサは、ユーザに関する情報を取得し、
前記プロセッサは、
予め取得され、クラウドで管理されているユーザを認証するための不可逆的にエンコードされた第 1 データを取得し、
前記センサが取得した前記情報を不可逆的にエンコードして第 2 データを取得し、
学習済みモデルを用いて、前記第 1 データと、前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する、
移動体に搭載された情報処理装置。
【0134】
(2)
前記センサは、可視光帯域の光を受光して信号に変換する光電変換素子を少なくとも備えるイメージセンサである、
(1)に記載の情報処理装置。
【0135】
(3)
前記ユーザに関する情報は、ユーザの顔情報、ユーザの虹彩情報、ユーザの歩容情報、又は、ジェスチャー情報の少なくともいずれか 1 つを含む、
(2)に記載の情報処理装置。
【0136】
(4)
前記第 1 データ及び前記第 2 データは、前記センサを用いて撮像で取得された 3 次元情報をエンコードしたデータを含む、
(2)又は(3)に記載の情報処理装置。
【0137】
(5)
前記センサは、入射された赤外領域の光を光電変換する光電変換素子を備え、
前記プロセッサは、前記センサが受光した赤外光の情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得する、
(4)に記載の情報処理装置。
【0138】
(6)
前記センサは、対象に照射されたパターンを有する赤外光の情報を取得し、
前記プロセッサは、前記パターンの情報及び前記センサが取得した情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得する、
(5)に記載の情報処理装置。
【0139】
(7)
前記センサは、 ToF (Time of Flight) センサを備え、
前記プロセッサは、前記センサから取得した情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得する、
(4)に記載の情報処理装置。
【0140】
(8)
前記センサは、音声を取得するマイクをさらに備え、
前記イメージセンサにより取得した情報と、前記マイクにより取得した情報により、ユーザの認証をする、
(2)から(7)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0141】
(9)
前記移動体は、無人の移動体である、
(1)から(8)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0142】
(10)
前記移動体は、荷物を配送する移動体である、
(9)に記載の情報処理装置。
【0143】
(11)
ユーザに関する不可逆的にエンコードされた第 1 データを格納する、サーバと、
移動体であって、
ユーザに関する情報を取得する、センサと、
学習済みモデルのパラメータが格納される、メモリと、
前記サーバから前記第 1 データを取得し、前記センサが取得した情報を不可逆的にエンコードした第 2 データを取得し、前記メモリからパラメータを取得して構築した前記学習済みモデルを用いて前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する、プロセッサと、
を有する移動体と、
を備える情報処理システム。
【0144】
(12)
前記プロセッサは、ユーザの認証処理の後に、前記移動体に記憶している前記第 1 データ及び前記第 2 データを削除する、
(11)に記載の情報処理システム。
【0145】
(13)
前記サーバは、ユーザの認証処理の後、又は、前記第 1 データを前記移動体へと送信した後に、前記第 1 データを削除する、
(11)又は(12)に記載の情報処理システム。
【0146】
(14)
ユーザに関する情報を取得する、エッジデバイス、
をさらに備え、
前記エッジデバイスは、
取得した情報を不可逆的にエンコードして前記第 1 データを生成し、
生成した前記第 1 データを前記サーバへと送信する、
(11)から(13)のいずれかに記載の情報処理システム。
【0147】
(15)
ユーザに関する情報を取得する、エッジデバイス、
をさらに備え、
前記エッジデバイスは、
取得した情報を前記サーバへと送信し、
前記サーバは、
前記エッジデバイスから受信した情報を不可逆的にエンコードして前記第 1 データを生成する、
(11)から(13)のいずれかに記載の情報処理システム。
【0148】
(16)
前記センサは、可視光帯域の光を受光して信号に変換する光電変換素子を少なくとも備えるイメージセンサである、
(11)から(15)のいずれかに記載の情報処理システム。
【0149】
(17)
前記ユーザに関する情報は、ユーザの顔情報、ユーザの虹彩情報、ユーザの歩容情報、又は、ジェスチャー情報の少なくともいずれか 1 つを含む、
(16)に記載の情報処理システム。
【0150】
(18)
前記第 1 データ及び前記第 2 データは、前記センサを用いて撮像で取得された 3 次元情報をエンコードしたデータを含む、
(16)又は(17)に記載の情報処理システム。
【0151】
(19)
前記センサは、入射された赤外領域の光を光電変換する光電変換素子を備え、
前記プロセッサは、前記センサが受光した赤外光の情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得する、
(18)に記載の情報処理システム。
【0152】
(20)
前記センサは、対象に照射されたパターンを有する赤外光の情報を取得し、
前記プロセッサは、前記パターンの情報及び前記センサが取得した情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得する、
(19)に記載の情報処理システム。
【0153】
(21)
前記センサは、 ToF (Time of Flight) センサを備え、
前記プロセッサは、前記センサから取得した情報に基づいて、前記 3 次元情報を取得する、
(18)に記載の情報処理システム。
【0154】
(22)
前記センサは、音声を取得するマイクをさらに備え、
前記イメージセンサにより取得した情報と、前記マイクにより取得した情報により、ユーザの認証をする、
(16)から(21)のいずれかに記載の情報処理システム。
【0155】
(23)
前記移動体は、荷物を配送する移動体であり、認証した結果、前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであると判定した場合に、前記ユーザが前記荷物を受け取ることが可能な状態にする、
(11)から(22)のいずれかに記載の情報処理システム。
【0156】
(24)
前記移動体は、ユーザが利用する場所に関する承認をする移動体であり、認証した結果、前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであると判定した場合に、前記ユーザが前記場所を利用する許可をする、
(11)から(23)のいずれかに記載の情報処理システム。
【0157】
(25)
ユーザに関する不可逆的にエンコードされた第 1 データを格納する、サーバと、
移動体であって、
ユーザに関する情報を取得する、センサと、
前記センサが取得した情報を不可逆的にエンコードした第 2 データを取得する、プロセッサと、
を有する移動体と、
を備え、
前記移動体は、前記第 2 データを前記サーバへと送信し、
前記サーバは、学習済みモデルを用いて前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する、
情報処理システム。
【0158】
(26)
移動体であって、
ユーザに関する不可逆的にエンコードされた第 1 データを格納する、サーバと、
ユーザに関する情報を取得する、センサと、
前記センサが取得した情報を不可逆的にエンコードした第 2 データを取得する、プロセッサと、
を有する移動体と、
を備え、
前記サーバは、
学習済みモデルを用いて前記第 1 データと前記第 2 データが同一のユーザを示すデータであるかを認証する、
情報処理システム。
【0159】
(27)
前記移動体は、無人の移動体であってもよい、
(11)から(26)にいずれかの情報処理システム。
【0160】
本開示の態様は、前述した実施形態に限定されるものではなく、想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も前述の内容に限定されるものではない。各実施形態における構成要素は、適切に組み合わされて適用されてもよい。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0161】
1: 情報処理システム、
10: サーバ、
20: 移動体、
200: 情報処理装置、
202: プロセッサ、
204: センサ、
206: メモリ
図1
図2
図3
図4