(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118949
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20240826BHJP
E04B 1/24 20060101ALI20240826BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
E04B1/343 G
E04B1/343 D
E04B1/24 E
E04H6/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025569
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】利根川 勝
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】隈元 友樹
(72)【発明者】
【氏名】緒方 亮介
(57)【要約】
【課題】 施工性の良い構造体の提供。
【解決手段】 一方側屋根材4aと他方側屋根材4cとを備え、一方側屋根材4aは、平板部40と、他方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部43と、立ち上がり部43の上端部より他方側に突出して設けた突出部44を有し、他方側屋根材4cは、平板部40と、一方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部41と、立ち上がり部41の上端部より一方側に突出して設けた突出部42を有し、他方側屋根材4cの突出部42を一方側屋根材4aの突出部44に上方から重ねてねじ止めしてあり、一方側屋根材4aの平板部40と他方側屋根材4cの平板部40が同面である。
【選択図】
図15-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側屋根材と他方側屋根材とを備え、一方側屋根材は、平板部と、他方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より他方側に突出して設けた突出部を有し、他方側屋根材は、平板部と、一方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より一方側に突出して設けた突出部を有し、他方側屋根材の突出部を一方側屋根材の突出部に上方から重ねてねじ止めしてあり、一方側屋根材の平板部と他方側屋根材の平板部が同面であることを特徴とする構造体。
【請求項2】
側枠と、側枠の他方側に位置する屋根材とを備え、側枠は、他方側に突出する突出部を有し、屋根材は、平板部と、一方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より一方側に突出して設けた突出部を有し、屋根材の突出部を側枠の突出部に重ねてねじ止めしてあり、側枠の下面と屋根材の下面が同面であることを特徴とする構造体。
【請求項3】
屋根材と、屋根材の他方側に位置する梁とを備え、屋根材は、平板部と、他方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より他方側に突出して設けた突出部を有し、梁は、一方側に突出する突出部を有し、屋根材の突出部を梁の突出部に上方から重ねてねじ止めしてあり、屋根材の下面と梁の下面とが同面であることを特徴とする構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーポート等の構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーポートは、屋根の組立てに手間がかかっており、より施工性の良いものが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、施工性の良い構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による構造体は、一方側屋根材と他方側屋根材とを備え、一方側屋根材は、平板部と、他方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より他方側に突出して設けた突出部を有し、他方側屋根材は、平板部と、一方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より一方側に突出して設けた突出部を有し、他方側屋根材の突出部を一方側屋根材の突出部に上方から重ねてねじ止めしてあり、一方側屋根材の平板部と他方側屋根材の平板部が同面であることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による構造体は、側枠と、側枠の他方側に位置する屋根材とを備え、側枠は、他方側に突出する突出部を有し、屋根材は、平板部と、一方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より一方側に突出して設けた突出部を有し、屋根材の突出部を側枠の突出部に重ねてねじ止めしてあり、側枠の下面と屋根材の下面が同面であることを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明による構造体は、屋根材と、屋根材の他方側に位置する梁とを備え、屋根材は、平板部と、他方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より他方側に突出して設けた突出部を有し、梁は、一方側に突出する突出部を有し、屋根材の突出部を梁の突出部に上方から重ねてねじ止めしてあり、屋根材の下面と梁の下面とが同面であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明による構造体は、一方側屋根材と他方側屋根材とを備え、一方側屋根材は、平板部と、他方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より他方側に突出して設けた突出部を有し、他方側屋根材は、平板部と、一方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より一方側に突出して設けた突出部を有し、他方側屋根材の突出部を一方側屋根材の突出部に上方から重ねてねじ止めしてあり、一方側屋根材の平板部と他方側屋根材の平板部が同面であることで、屋根の施工が容易に行えるので施工性が良いとともに、意匠性も良い。
【0008】
請求項2記載の発明による構造体は、側枠と、側枠の他方側に位置する屋根材とを備え、側枠は、他方側に突出する突出部を有し、屋根材は、平板部と、一方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より一方側に突出して設けた突出部を有し、屋根材の突出部を側枠の突出部に重ねてねじ止めしてあり、側枠の下面と屋根材の下面が同面であることで、屋根の施工が容易に行えるので施工性が良いとともに、意匠性も良い。
【0009】
請求項3記載の発明による構造体は、屋根材と、屋根材の他方側に位置する梁とを備え、屋根材は、平板部と、他方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部と、立ち上がり部の上端部より他方側に突出して設けた突出部を有し、梁は、一方側に突出する突出部を有し、屋根材の突出部を梁の突出部に上方から重ねてねじ止めしてあり、屋根材の下面と梁の下面とが同面であることで、屋根の施工が容易に行えるので施工性が良いとともに、意匠性も良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の構造体の一実施形態を示す斜め上方から見た斜視図である。
【
図9】屋根の一方側を拡大して示す縦断面図である。
【
図10】屋根の梁周辺を拡大して示す縦断面図である。
【
図11】前桁と側枠との連結部を拡大して示す平面図である。
【
図12】樋桁と側枠との連結部を拡大して示す平面図である。
【
図13】樋桁と側枠との連結部を示す分解斜視図である。
【
図14-2】同構造体の施工手順(
図14-1の続き)を示す図である。
【
図15-1】同構造体の屋根の部分の施工手順を示す図である。
【
図15-2】同構造体の屋根の部分の施工手順(
図15-1の続き)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~13は、本発明の構造体の一実施形態を示している。本構造体は、住宅の敷地内に設置される乗用車一台用のカーポートに適用したものである。
本構造体は、
図1~5に示すように、正面から見て左側に前後方向に間隔をおいて立設した2本の柱1,1と、各柱1,1の上端部にそれぞれ支持された2本の梁2,2と、梁2,2に支持された屋根3とを備えている。屋根3は、
図3に示すように、正面から見て柱1のある左側が低くなるように傾斜している。
【0012】
なお、以後の説明においては、屋根3の水上側から見て手前側を前側、奥側を後側、左側を一方側、右側を他方側という。また、屋根3を上から見て屋根勾配に沿う方向を前後方向、屋根勾配の方向に直交する方向を左右方向という。
【0013】
柱1は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、
図8に示すように、略矩形断面の中空状に形成されている。柱1は、一方側及び他方側の見込面1a,1bが後側の見付面1cよりも後側に張り出しており、その端縁部間に目板9を嵌合取付けすることで、屋根3の雨水を地上に流すためのたて樋10が柱1と一体で形成されている。
柱1は、
図3に示すように、下部を地面に形成した基礎穴11に挿入し、柱1の周りをコンクリート12で固めてある。本構造体を隣地境界13近傍に設置するために、基礎穴11は、隣地境界13のすぐそばに設けられ、柱1は隣地境界13側に偏心して配置されている。柱1と基礎穴11との間には所定寸法A(具体的には80mm程度)間隔を設けてある。
柱1の上部には、
図6に示すように、中空部内にL字形の柱梁連結具14が挿入され、ボルト19で固定してある。
【0014】
梁2は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、
図10に示すように、上下寸法が左右寸法よりも大きい略矩形断面の中空形材となっている。梁2の下面には凹溝15が長手方向に沿って形成してあり、該凹溝15に係合させて梁下カバー16が取付けてある。梁下カバー16は、梁2の左右の側面より左右両側に張り出している。
梁2の左右両側の側面には、屋根材受け17が取付けてある。屋根材受け17は、アルミニウム合金の押出形材で略L形断面に形成され、一方側及び他方側にそれぞれ突出する突出部18を有している。
梁2は、
図6に示すように、中空部内に柱梁連結具14を挿入し、ボルト19で固定することで、柱1と接続されている。梁2は、水下側(後側)端が柱1よりも後側に飛び出している。
【0015】
屋根3は、
図5に示すように、前桁5と樋桁7と左右の側枠6,6とを矩形に枠組みした屋根枠20と、屋根枠20の内側に前後方向の向きで配置され、左右方向に並べて取付けた複数の屋根材4,4,…とを有している。
水上側に位置する前桁5は、
図6に示すように、前後の梁2,2の水上側端部にL形の金具21で固定して取付けてある。前桁5は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、上面が屋根の外周側に向かって下向きに傾斜した略直角三角形状の断面になっている。前桁5は、内周側面の下端部に屋根材4の下面を受ける屋根材受け部22を有し、内周側面の上部に屋根材4の取付金具23が載置・ねじ止めされる取付部24が形成してある。
【0016】
一方側及び他方側の側枠6は、
図9に示すように、前桁5とほぼ同じ略直角三角形断面のアルミ形材で形成してある。一方側の側枠6は、内周側面の上下方向中間位置に板状の突出部25が他方側に突出して設けてあり、内周側面の下部には略C字形断面の溝26が形成してある。他方側の側枠6は、一方側の側枠6と左右対称な断面形状となっている。
【0017】
図11に示すように、前桁5は長手方向の両端部5aが長手方向に対して斜め45°に切断してあり、一方側及び他方側の側枠6は前桁5側の長手方向端部6aが長手方向に対して斜め45°に切断してあり、前桁5と側枠6は、斜めに切断された長手方向端部5a,6a同士を突き合せた状態で内周側でL形の金具27で連結してある。前桁5の長手方向端部5aと側枠6の長手方向端部6aとの間には、樹脂製の板状のキャップ28が介在させてある。
【0018】
このように本構造体は、前桁5と側枠6の長手方向端部5a,6aを斜め45°に切断し、斜めに切断された長手方向端部5a,6a同士を突き合せて連結することで、前桁5及び側枠6の小口を個々に塞ぐ必要がないため、屋根枠20の施工を簡略化することができ、施工性が良い。また本構造体は、前桁5と側枠6の断面形状が、上面が屋根の外周側に向かって下向きに傾斜した略直角三角形状の断面になっていることで、屋根3を周囲から見たときに屋根3が薄く見え、意匠性が良い(
図1参照)。
【0019】
水下側に位置する樋桁7は、
図6に示すように、前後の梁2,2の水下側端部にL形の金具29で固定して取付けてある。樋桁7は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、梁2と金具29で連結された略矩形断面の本体部30と、本体部30の外周側面の下部にねじ止めして取付けた樋31と、本体部30の外周側面に取付けた樋桁カバー8とを有している。
本体部30は、内周側面の上部に屋根材の取付金具23が載置・ねじ止めされる取付部24が形成してある。
柱1は、一方側及び他方側の見込面1a,1bの後側の見付面1cから張り出した部分の上端部が切り欠かれており、樋31はその切欠き32に呑み込ませてあって、内周側面が柱1の後側の見付面1cに当接している。したがって樋桁7は、本体部30と樋31を含めた全体が柱1の後側の見付面1cより後側に位置している。このように、樋桁7は全体が柱1の後側の見付面1cより後側に位置していることで、屋根3の柱1からの出っ張り寸法B(
図3参照)が大きくなっている。具体的には、屋根3の柱1からの出っ張り寸法Bは、柱1と基礎穴11との間の所定寸法Aとほぼ同じかそれ以上の寸法となっている。
樋31は、
図6に示すように、内周側の上部に屋根材4の水下側端部の下面を受ける屋根材受け部33を有し、屋根材4の上面を伝って流下した雨水は、屋根材受け部33と本体部30との隙間から樋31に落ちる。また樋31は、柱1の切欠き32に呑み込ませた部分に排水孔34が形成してあり、樋31に入った雨水はその排水孔34から柱1の後側に設けられたたて樋10へと流れ、たて樋10の下端部に外側に向けて開口して設けた排水口35(
図3参照)より地上へと排水される。
樋桁カバー8は、本体部30に上方からのねじ36でねじ止めされ、本体部30の外周側面を覆っており、樋31の本体部30への取付部を隠している。
【0020】
図12,13に示すように、樋桁7は長手方向の端部7aがまっすぐに切断してあり、樋桁7と側枠6とは、樋桁7の長手方向の端部7aを側枠6の内周側面に当接させた状態で、内周側でL形の金具37で連結してある。
側枠6の後端部には樹脂製の板状のキャップ38が取付けられ、キャップ38で側枠6の小口が塞がれている。
樋桁7の外周側面に取付けられる樋桁カバー8は、長手方向端部が樋桁7よりも突出してキャップ38の後側に重合し、側枠6の小口を覆っている。樋桁カバー8の長手方向端部の小口8aは、キャップ38に設けられた小口隠し39によって隠れている。
【0021】
このように本構造体は、樋桁7の長手方向の端部7aを側枠6の内周側面に当接して固定し、樋桁7の外周側面に樋桁カバー8を取付け、樋桁カバー8で側枠6の小口を覆うことで、屋根枠20の施工を簡略化することができ、施工性が良い。しかも、側枠6の小口と樋桁7の外周側面とが樋桁カバー8で連続して覆われることで、意匠性も良い。
さらに本構造体は、樋桁カバー8の長手方向端部の小口8aを隠すキャップ38を有しているため、意匠性がより一層向上する。
【0022】
屋根材4は、
図5,6,7に示すように、前桁5と樋桁7間に掛け渡して、一方側の側枠6と梁2の間と、梁2,2同士の間と、梁2と他方側の側枠6の間とに、それぞれ複数枚並べて取付けてある。
各屋根材4は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、
図7,9,10に示すように、中空部を有しない板状の部材となっている。各屋根材4は、
図6に示すように、水上側(前側)の端部と水下側(後側)の端部とに取付金具23がそれぞれ取付けられ、水上側の取付金具23を前桁5の取付部24に載置してねじ止めし、水下側の取付金具23を樋桁7の取付部24に載置してねじ止めして取付けられている。屋根材4の水下側の端部は、柱1の後側の見付面1cよりも後側までのび、樋桁7に呑み込ませてあって、屋根材4の上面を伝って流下した雨水は樋桁7の樋31に落ちるようになっている。
屋根材4は、後述するように、側縁部同士を互いに連結しながら、一方側端部のものから他方側に向かって順次取付けられる。
【0023】
本構造体は、
図6,7に示すように、屋根材4と前桁5と側枠6と梁2(梁下カバー16)の下面とがほぼ同面になっている。梁下カバー16は、横幅が屋根材4の幅と同じになっている。これにより本構造体は、屋根3の下面がフラットに形成され、屋根3を下から見上げたときに前桁5と側枠6が目立たず、梁下カバー16も屋根材4と見分けがつかないので、非常にすっきりした意匠になっている(
図2参照)。
また本構造体は、屋根材4と前桁5と側枠6と梁2の下面とがほぼ同面になっていることで、
図3に示すように、一方側や他方側から見ると梁2のほぼ下半分が屋根3の側枠6で隠れて見えないので、従来の梁上に屋根を載置したり梁下に屋根を吊り下げたカーポートと比べて梁2が目立たず、これにより従来にないシンプルでシャープな外観を実現している。
【0024】
屋根材4には、
図7,9,10に示すように、一方側端部に配置される端部屋根材4aと、梁2の一方側に隣接する位置に配置される梁一方側屋根材4bと、その他の屋根材(以後、中間屋根材)4cの3種類がある。
【0025】
端部屋根材4aは、
図9に示すように、フラットな板状の平板部40と、一方側に平板部から立ち上げて設けた立ち上がり部41と、立ち上がり部41の上端部より一方側に突出して設けた突出部42と、他方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部43と、立ち上がり部43の上端部より他方側に突出して設けた突出部44を有している。平板部の一方側縁部45は、平板部40から少し立ち上げてから一方側に向けて曲がった形に形成してあり、平板部40の他方側縁部46には突条47が形成してある。平板部40の一方側縁部45は、一方側の突出部42よりも一方側に位置している。平板部40の他方側縁部46は、他方側の突出部44よりも他方側に位置している。
端部屋根材4aは、一方側の突出部42を側枠6の突出部25の下に重ね、上方からのねじ48でねじ止めしてある。端部屋根材4aの一方側縁部45は、側枠6の溝26に呑み込ませてある。これにより、側枠6と端部屋根材4aとの連結部の下方に略矩形断面の中空部49が形成されている。側枠6の下面と端部屋根材4aの下面とは同面になっている。
【0026】
中間屋根材4cは、
図9に示すように、フラットな板状の平板部40と、一方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部41と、立ち上がり部41の上端部より一方側に突出して設けた突出部42と、他方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部43と、立ち上がり部43の上端部より他方側に突出して設けた突出部44を有している。一方側の突出部42の先端部には、垂下片50が設けてある。平板部40の一方側縁部45は、平板部40から少し立ち上げてから一方側に向けて曲がった形に形成してあり、平板部40の他方側縁部46には突条47が形成してある。平板部40の一方側縁部45は、一方側に隣接する屋根材(端部屋根材4a又は中間屋根材4c)の他方側の突出部44よりも他方側に位置している。平板部の他方側縁部46は、他方側の突出部44よりも他方側に位置している。
中間屋根材4cは、一方側の突出部42を一方側に隣接する屋根材4a,4cの他方側の突出部44に上方から重ね、上方からのねじ48でねじ止めしてある。中間屋根材4cの一方側縁部45と、一方側に隣接する屋根材4a,4cの他方側縁部46とは、一方側に隣接する屋根材4a,4cの他方側の突出部44よりも他方側の位置で当接又は近接している。これにより、隣り合う屋根材4a,4c同士の連結部の下方には略矩形断面の中空部51が形成されている。中間屋根材4cの平板部40と、一方側に隣接する屋根材4a,4cの平板部40とは、同面になっている。
中間屋根材4cは、
図10に示すように、梁2の他方側に隣接する位置にも取付けられる。この場合、中間屋根材4cの一方側の突出部42は梁2の他方側の突出部18上に重ねてねじ止めされ、中間屋根材4cの一方側縁部45は、梁2の他方側の突出部18よりも他方側に位置し、梁下カバー16の他方側縁部54の突条47上に当接又は近接している。これにより中間屋根材4cと梁2との連結部の下方に略矩形断面の中空部53が形成されている。中間屋根材4cの下面と梁下カバー16の下面とは、同面になっている。
【0027】
梁一方側屋根材4bは、
図10に示すように、フラットな板状の平板部40と、一方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部41と、立ち上がり部41の上端部より一方側に突出して設けた突出部42と、他方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部43と、立ち上がり部43の上端部より他方側に突出して設けた突出部44を有している。一方側及び他方側の突出部42,44の先端部には、垂下片50が設けてある。平板部40の一方側縁部45は、平板部40から少し立ち上げてから一方側に向けて曲がった形に形成してあり、平板部40の他方側縁部46は、平板部40から少し立ち上げてから他方側に向けて曲がった形に形成してある。平板部40の一方側縁部45は、一方側に隣接する屋根材4cの他方側の突出部44よりも他方側に位置している。平板部40の他方側縁部46は、梁2の突出部18よりも一方側に位置している。
梁一方側屋根材4bは、一方側の突出部42を一方側に隣接する屋根材4cの他方側の突出部44に上方から重ね、他方側の突出部44を梁2の側面に取付けられた屋根材受け17の突出部18に上方から重ね、上方からのねじ48でねじ止めしてある。梁一方側屋根材4bの一方側縁部45と、一方側に隣接する屋根材4cの他方側縁部46とは、一方側に隣接する屋根材4cの他方側の突出部44よりも他方側の位置で当接又は近接しており、これにより隣り合う屋根材4b,4c同士の連結部の下方に略矩形断面の中空部51が形成されている。また、梁一方側屋根材4bの他方側縁部46と、梁下カバー16の一方側縁部52とは、梁2の突出部18よりも一方側の位置で当接又は近接しており、これにより梁一方側屋根材4bと梁2との連結部の下方に略矩形断面の中空部53が形成されている。梁一方側屋根材4bの下面と梁下カバー16の下面とは、同面になっている。
【0028】
次に、本構造体の施工手順を説明する。まず、
図14-1(a)に示すように、2本の柱1,1を地面の所定の位置に立設する。
次に、
図14-1(b)に示すように、各柱1,1の上端部に柱梁連結具14を取付ける。
次に、
図14-1(c)に示すように、柱梁連結具14により各柱1,1の上端に梁2,2をそれぞれ接続する。
次に、
図14-2(d)に示すように、梁2,2の前端部間に前桁5を、後端部間に樋桁7をそれぞれ架設する。その後、前桁5と樋桁7の長手方向端部間に側枠6を取付ける。
【0029】
次に、前桁5及び樋桁7の長手方向の一方側端部から他方側に向かって屋根材4を順次取付ける。まず最初に、
図15-1(a)に示すように、側枠6の他方側に端部屋根材4aを配置し、端部屋根材4aの一方側の突出部42を側枠6の突出部25と重合させて上方からねじ48で固定する。
側枠6と端部屋根材4aとの連結部の下方に中空部49が形成されていることで、仮に側枠6と端部屋根材4aとの連結部から雨水が浸入したとしても、浸入した雨水は中空部49の下壁で受け止められて樋31(
図6参照)へと流れるため、側枠6と端部屋根材4aとの間や屋根材4aと樋桁7との間から雨水が漏れることがない。
次に、
図15-1(b)に示すように、先に取付けた端部屋根材(一方側屋根材)4aの他方側の突出部44に中間屋根材(他方側屋根材)4cの一方側の突出部42をオーバーラップさせた状態で、中間屋根材4cを前桁5・樋桁7間に上から配置し、水上側及び水下側端部を取付金具23により前桁5と樋桁7にそれぞれ固定し(
図6参照)、中間屋根材4cの一方側の突出部42を端部屋根材4aの他方側の突出部44に上方から重ね、上方からのねじ48で固定する。中間屋根材4cの一方側縁部45は、端部屋根材4aの他方側縁部46の突条47上に載置される。
中間屋根材4cの一方側縁部45が端部屋根材4aの他方側の突出部44よりも他方側に位置していることで、中間屋根材4cを取付ける際に、中間屋根材4cを傾けたり回転させたりしなくても一方側縁部45が先に取付けた屋根材4aの他方側の突出部44と干渉せず、中間屋根材4cをまっすぐ下に下ろして取付できるため、施工性が良い。また、中間屋根材4cの一方側の突出部42の先端部に垂下片50を有していることで、屋根材4a,4c同士の連結部に雨水が浸入しにくくなっており、仮に浸入したとしても、屋根材4a,4c同士の連結部の下方に中空部51が形成されているため、浸入した雨水は中空部51の下壁で受け止められて樋31(
図6参照)へと流れるため、屋根材同4a,4c士の間や屋根材4a,4cと樋桁7との間から雨水が漏れることがない。
その後、
図15-1(c)に示すように、中間屋根材4cの他方側に別の中間屋根材4cを同じように順次取付ける。
【0030】
中間屋根材4cを順番に取付けてゆき、一方側の梁2の手前まで来たら、
図15-2(d)に示すように、中間屋根材4cと梁2との間に梁一方側屋根材4bを上方から配置し、梁一方側屋根材4bの一方側の突出部42を先に取付けた中間屋根材4cの他方側の突出部44上に、梁一方側屋根材4bの他方側の突出部44を梁2の突出部18上にそれぞれ載置し、上方からのねじ48で固定する。梁一方側屋根材4bの一方側縁部45は先に取付けた中間屋根材4cの他方側縁部46の突条47上に載置され、梁一方側屋根材4cの他方側縁部46は梁下カバー16の一方側縁部52の突条47上に載置される。
梁一方側屋根材4bは、中間屋根材4cと同様に、傾けたり回転させたりしなくても一方側縁部45が先に取付けた屋根材4cの他方側の突出部44と、他方側縁部46が梁2の突出部18とれぞれ干渉せず、まっすぐ下に下ろして取付できるため、施工性が良い。また、梁一方側屋根材4bの突出部42,44の先端部に垂下片50を有していることで、中間屋根材4cと梁一方側屋根材4bとの連結部、梁一方側屋根材4bと梁2との連結部に雨水が浸入しにくくなっており、仮に浸入したとしても、屋根材4b,4c同士の連結部の下方と、屋根材4bと梁2との連結部の下方とに中空部51,53が形成されているため、浸入した雨水は中空部51,53の下壁で受け止められて樋31(
図6参照)へと流れるため、屋根材4b,4c同士の間や屋根材4bと梁2との間、屋根材4b,4cと樋桁7との間から雨水が漏れることがない。
【0031】
次に、
図15-2(e)に示すように、梁2の他方側に中間屋根材4cを上方から配置し、一方側の突出部42を梁2の18に上方から重ね、上方からのねじ48で固定する。中間屋根材4cの一方側縁部45は、梁下カバー16の他方側縁部54の突条47上に載置される。
中間屋根材4cの一方側縁部45が梁2の突出部18よりも他方側に位置していることで、中間屋根材4cを傾けたり回転させたりしなくても一方側縁部45が梁2の突出部18と干渉せず、中間屋根材4cをまっすぐ下に下ろして取付できるため、施工性が良い。
その後、
図15-2(f)に示すように、中間屋根材4cの他方側に別の中間屋根材4cを同じように順次取付ける。
【0032】
その後、同様に中間屋根材4cを順次取付けてゆき、他方側の梁2の手前まで来たら、
図15-2(d)に示すように、中間屋根材4cと梁2との間に梁一方側屋根材4bを取付ける。
その後、他方側の梁2の他方側に、中間屋根材4cを順次取付ける。すべての屋根材4を取付けたら、樋桁7の外周側面に樋桁カバー8を取付ける。
【0033】
このように本構造体の屋根3は、アルミ形材製の屋根材4,4,…を前桁5及び樋桁7の長手方向の一方側端部から他方側に向かって、側縁部同士を互いに連結し、且つ梁2に隣接する屋根材4の側縁部を梁2と連結しながら取付けて構成したので、従来のようにフレームを組んで屋根の骨組みを形成する必要がないため、施工性が良い。しかも、各屋根材4は、傾けたり回転させたりすることなく、前桁5・樋桁7間にまっすぐ下に下ろして取付けできるため、施工性がさらに向上している。
さらに本構造体の屋根3は、各屋根材4が中空部を有しない平板状のため軽量であり、屋根材4同士の連結部の下方、側枠6と屋根材4との連結部の下方、屋根材4と梁2との連結部の下方にそれぞれ中空部49,51,53が形成されているため、軽量でありながら十分な強度を持たせられる。しかも、中空部49,51,53の下壁で屋根材4同士の間などから浸入した雨水を受け止めて樋31(
図6参照)に流すことができるので、止水性にも優れる。
【0034】
以上に述べたように本構造体は、一方側屋根材(端部屋根材)4aと他方側屋根材(中間屋根材)4cとを備え、一方側屋根材4aは、平板部40と、他方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部43と、立ち上がり部43の上端部より他方側に突出して設けた突出部44を有し、他方側屋根材4cは、平板部40と、一方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部41と、立ち上がり部41の上端部より一方側に突出して設けた突出部42を有し、他方側屋根材4cの突出部42を一方側屋根材4aの突出部44に上方から重ねてねじ止めしてあり、一方側屋根材4aの平板部40と他方側屋根材4cの平板部40が同面であることで(
図15-1参照)、屋根3の施工が容易に行えるので施工性が良いとともに、意匠性も良い。
本構造体は、一方側屋根材4aの他方側縁部46と他方側屋根材4cの一方側縁部45が、一方側屋根材4aの突出部44より他方側の位置で当接又は近接していることで、他方側屋根材4cを取付ける際に、他方側屋根材4cを傾けたり回転させたりすることなく、まっすぐ下に下ろして取付できるため施工性がより向上すると共に、屋根材4a,4c同士の間から雨水が落ちるのを防止できるので、止水性も向上する。
また本構造体は、側枠6と、側枠6の他方側に位置する屋根材(端部屋根材)4aとを備え、側枠6は、他方側に突出する突出部25を有し、屋根材4aは、平板部40と、一方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部41と、立ち上がり部41の上端部より一方側に突出して設けた突出部42を有し、屋根材4aの突出部42を側枠6の突出部25に重ねてねじ止めしてあり、側枠6の下面と屋根材4aの下面が同面であることで(
図15-1参照)、屋根3の施工が容易に行えるので施工性が良いとともに、意匠性も良い。
また本構造体は、屋根材(梁一方側屋根材)4bと、屋根材4bの他方側に位置する梁2とを備え、屋根材4bは、平板部40と、他方側に平板部40から立ち上げて設けた立ち上がり部43と、立ち上がり部43の上端部より他方側に突出して設けた突出部44を有し、梁2は、一方側に突出する突出部18を有し、屋根材4bの突出部44を梁2の突出部18に上方から重ねてねじ止めしてあり、屋根材4bの下面と梁2の下面とが同面であることで(
図15-2参照)、屋根3の施工が容易に行えるので施工性が良いとともに、意匠性も良い。
【0035】
また本構造体は、前桁5と、左右の側枠6,6と、左右の側枠6,6間に並べて取付けた屋根材4,4,…と、柱1に支持された梁2とを備え、前桁5は、長手方向端部5aが斜めに切断されており、側枠6は、前桁5側の長手方向端部6aが斜めに切断してあり、前桁5と側枠6の斜めに切断された長手方向端部5a,6a同士を連結してあり、前桁5と側枠6,6と屋根材4,4,…と梁2の下面がほぼ同面であることで(
図7,11参照)、屋根3の施工が容易に行えるので施工性が良いとともに、意匠性も良い。
前桁5及び側枠6は、上面が屋根3の外周側に向かって下向きに傾斜した略直角三角形の断面になっていることで、屋根3を薄く見せることができる。
【0036】
また本構造体は、樋桁7と、左右の側枠6,6と、左右の側枠6,6間に並べて取付けた屋根材4,4,…とを備え、樋桁7は、長手方向の端部7aを側枠6の内周側面に当接して固定してあり、屋根材4,4,…は、樋桁7側の端部を樋桁7に呑み込ませてあり、樋桁7の外周側面に樋桁カバー8が取付けてあり、樋桁カバー8は、長手方向の端部が樋桁7よりも突出して側枠6の小口を覆っていることで(
図6,12,13参照)、屋根3の施工が容易に行えるので施工性が良いとともに、意匠性も良い。
さらに本構造体は、樋桁カバー8の長手方向端部の小口8aを隠すキャップ38を有しているため、意匠性がより一層向上する。
【0037】
また本構造体は、水下側に位置する樋桁7は本体部30と樋31を含めた全体が柱1の後側の見付面1cより後側に位置しており(
図6参照)、屋根3の柱1からの出っ張り寸法Bが、柱1と基礎穴11との間の所定寸法Aとほぼ同じかそれ以上の寸法となっていることで(
図3参照)、隣地境界13近傍に設置する場合に、隣地境界13ぎりぎりまで屋根3を容易にのばすことができ、施工性が良い。
また本構造体は、水下側に位置する樋桁7は本体部30と樋31を含めた全体が柱1の後側の見付面1cより後側に位置していることで、樋31から雨水を柱1の後側に設けられたたて樋10を通じてまっすぐ下に落とすことで、雨水を柱1の後側に容易に排水することができるので(
図6参照)、施工を簡略化できる。本構造体によれば、柱1の前側の土間の部分が雨水で濡れることがないし、車の出し入れにたて樋10が邪魔になることもない。
【0038】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。屋根材、側枠及び梁の材質や断面形状は、適宜変更することができる。梁は、長手方向の両端部を柱と接続してあってもよい。屋根は、構造体を正面から見て前側又は後側が低くなるように傾斜していてもよい。本発明は、カーポートに限らず、サイクルポート、通路シェルター、テラス屋根など、屋根を有するあらゆる構造体に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 柱
2 梁
3 屋根
4 屋根材
5 前桁
6 側枠
7 樋桁
8 樋桁カバー