IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブリヂストンの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118960
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】粒子の固定化方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20240826BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20240826BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20240826BHJP
   C08L 95/00 20060101ALI20240826BHJP
   E01C 7/08 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
C08L9/00
C08L23/00
C08L21/00
C08L95/00
E01C7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025581
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】山口 健
(72)【発明者】
【氏名】竹重 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】会田 昭二郎
(72)【発明者】
【氏名】加賀 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】浜谷 悟司
(72)【発明者】
【氏名】橋口 真
【テーマコード(参考)】
2D051
4J002
【Fターム(参考)】
2D051AA05
4J002AC011
4J002AC022
4J002AG003
4J002BB152
4J002BB162
4J002BC052
4J002BC082
4J002BC092
4J002DJ006
4J002GL00
(57)【要約】
【課題】粒子の飛散を抑制すべき状況下で好適に採用可能な、粒子の固定化方法を提供する。
【解決手段】粒子を固定化部材に固定化する方法であって、前記粒子及び前記固定化部材の少なくとも一方が、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体を含有し、前記固定化部材に接触した前記粒子に対し、加熱、UV照射、及び圧着のいずれかの処理を行うことで、前記粒子を前記固定化部材に固定化する、ことを特徴とする、粒子の固定化方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を固定化部材に固定化する、粒子の固定化方法であって、
前記粒子及び前記固定化部材の少なくとも一方が、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体を含有し、
前記固定化部材に接触した前記粒子に対し、加熱、UV照射、及び圧着の少なくともいずれかの処理を行うことで、前記粒子を前記固定化部材に固定化する、ことを特徴とする、粒子の固定化方法。
【請求項2】
前記共重合体は、融点が50~120℃である、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【請求項3】
前記共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が0mol%を超え50mol%以下であり、前記非共役オレフィン単位の含有量が50mol%以上100mol%未満である、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【請求項4】
前記共重合体が、更に芳香族ビニル単位を有する、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【請求項5】
前記共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が1~50mol%であり、前記非共役オレフィン単位の含有量が40~97mol%であり、前記芳香族ビニル単位の含有量が2~35mol%である、請求項4に記載の粒子の固定化方法。
【請求項6】
前記共重合体を含有する前記粒子及び/又は前記共重合体を含有する前記固定化部材は、当該共重合体の含有量が、0.1質量%以上25質量%以下である、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【請求項7】
前記粒子及び前記固定化部材の両方とも、前記共重合体を含有する、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【請求項8】
前記固定化部材が、アスファルト、セメント及びゴム成分の少なくともいずれかを含有する、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【請求項9】
前記粒子が、ゴム成分を含有する、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【請求項10】
前記処理として加熱を選択し、その際の加熱温度が60℃以上180℃以下である、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【請求項11】
前記処理としてUV照射を選択し、その際のUV照射量が800mJ/cm以上5000mJ/cm以下である、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【請求項12】
前記処理として圧着を選択し、その際の圧力が200kPa以上500kPa以下である、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【請求項13】
前記圧着の際の圧着温度が60℃以上150℃以下である、請求項12に記載の粒子の固定化方法。
【請求項14】
前記粒子がタイヤ走行時に発生する摩耗粉であり、前記固定化部材がアスファルト舗装路又はコンクリート舗装路であり、
前記摩耗粉を前記舗装路に固定化するために用いる、請求項1に記載の粒子の固定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の固定化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤに求められる性能の一つとして、耐摩耗性があり、その向上のための検討が進められている。例えば、特許文献1は、タイヤ形成に用いられるゴム組成物において所定成分を所定比で配合することで、耐摩耗性を向上させることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2019/012946号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、タイヤが摩耗すると、摩耗粉(ゴム粉)が発生する。この摩耗粉は、路面等の地面に蓄積することもあれば、大気中に飛散することもあり、かかる摩耗粉が飛散するのを抑制するという狙いを念頭に、粒子を何らかの部材に固定化することの要求がある。
【0005】
しかしながら、摩耗自体を抑制するための手法については多く検討されている一方で、やむを得ず摩耗して生じる摩耗粉の飛散を抑制する手法については、未だ検討例が少ない状況であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、粒子の飛散を抑制すべき状況下で好適に採用可能な、粒子の固定化方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、粒子側、及び/又は当該粒子を固定化するための部材側に、所定の共重合体が配合されていると、容易な処理によって当該粒子を効果的に上記部材に固定化できることを見出し、本発明をするに至った。
【0008】
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
【0009】
[1]粒子を固定化部材に固定化する、粒子の固定化方法であって、
前記粒子及び前記固定化部材の少なくとも一方が、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体を含有し、
前記固定化部材に接触した前記粒子に対し、加熱、UV照射、及び圧着の少なくともいずれかの処理を行うことで、前記粒子を前記固定化部材に固定化する、ことを特徴とする、粒子の固定化方法。
かかる本発明の粒子の固定化方法は、粒子の飛散を抑制すべき状況下で好適に採用可能である。
【0010】
[2]前記共重合体は、融点が50~120℃である、[1]に記載の粒子の固定化方法。
この場合、共重合体の耐久性を向上させることができ、また、共重合体を含む組成物の作業性が向上する。
【0011】
[3]前記共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が0mol%を超え50mol%以下であり、前記非共役オレフィン単位の含有量が50mol%以上100mol%未満である、[1]又は[2]に記載の粒子の固定化方法。
この場合、粒子の飛散抑制効果をより高めることができる。
【0012】
[4]前記共重合体が、更に芳香族ビニル単位を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の粒子の固定化方法。
この場合、粒子の飛散抑制効果をより高めることができる。
【0013】
[5]前記共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が1~50mol%であり、前記非共役オレフィン単位の含有量が40~97mol%であり、前記芳香族ビニル単位の含有量が2~35mol%である、[4]に記載の粒子の固定化方法。
この場合、粒子の飛散抑制効果をより高めることができる。
【0014】
[6]前記共重合体を含有する前記粒子及び/又は前記共重合体を含有する前記固定化部材は、当該共重合体の含有量が、0.1質量%以上25質量%以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の粒子の固定化方法。
この場合、粒子の飛散を抑制する効果をより確実に得ることができ、十分な均一性をもたらし、また、粒子及び/又は固定化部材が本来有すべき特性への影響を十分に低減することができる。
【0015】
[7]前記粒子及び前記固定化部材の両方とも、前記共重合体を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の粒子の固定化方法。
この場合、粒子の飛散の抑制効果をより高めることができる。
【0016】
[8]前記固定化部材が、アスファルト、セメント及びゴム成分の少なくともいずれかを含有する、[1]~[7]のいずれかに記載の粒子の固定化方法。
この場合の前記固定化部材は、アスファルト舗装路、コンクリート舗装路、タータントラックやゴムチップ舗装路を想定することができる。
【0017】
[9]前記粒子が、ゴム成分を含有する、[1]~[8]のいずれかに記載の粒子の固定化方法。
この場合の前記粒子は、例えば、タイヤから発生する摩耗粉を想定することができる。
【0018】
[10]前記処理として加熱を選択し、その際の加熱温度が60℃以上180℃以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の粒子の固定化方法。
この場合、効果的に粒子を固定化部材に固定化することができる。
【0019】
[11]前記処理としてUV照射を選択し、その際のUV照射量が800mJ/cm以上5000mJ/cm以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の粒子の固定化方法。
この場合、効果的に粒子を固定化部材に固定化することができる。
【0020】
[12]前記処理として圧着を選択し、その際の圧力が200kPa以上500kPa以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の粒子の固定化方法。
【0021】
[13]前記圧着の際の圧着温度が60℃以上150℃以下である、[12]に記載の粒子の固定化方法。
この場合、一層効果的に粒子を固定化部材に固定化することができる。
【0022】
[14]前記粒子がタイヤ走行時に発生する摩耗粉であり、前記固定化部材がアスファルト舗装路又はコンクリート舗装路であり、
前記摩耗粉を前記舗装路に固定化するために用いる、[1]~[13]のいずれかに記載の粒子の固定化方法。
この場合、舗装路に蓄積した摩耗粉を当該舗装路に固定化することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、粒子の飛散を抑制すべき状況下で好適に採用可能な、粒子の固定化方法を提供することことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の粒子の固定化方法(以下、単に「方法」と称することがある。)を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
なお、本明細書に記載されている化合物は、部分的に、又は全てが化石資源由来であってもよく、植物資源等の生物資源由来であってもよく、使用済タイヤ等の再生資源由来であってもよい。また、化石資源、生物資源、再生資源のいずれか2つ以上の混合物由来であってもよい。
【0025】
本実施形態の方法は、粒子を固定化部材に固定化する方法である。そして、本実施形態の方法は、前記粒子及び前記固定化部材の少なくとも一方が、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体(以下、単に「共重合体」と称することがある。)を含有すること、並びに、前記固定化部材に接触した前記粒子に対し、加熱、UV照射、及び圧着の少なくともいずれかの処理を行うことで、前記粒子を前記固定化部材に固定化すること、をそれぞれ特徴とする。
かかる方法によれば、容易な処理によって粒子を固定化部材に固定化することができるので、当該粒子の飛散を抑制(又は防止)すべき状況下で好適に採用可能である。
【0026】
一例として、タイヤ走行時にタイヤから発生する摩耗粉の飛散を抑制すべき状況に、本実施形態の方法を採用することができる。具体的には、上記粒子として、タイヤ走行時に発生する摩耗粉を想定し、上記固定化部材として、アスファルト舗装路又はコンクリート舗装路を想定する。そして、あらかじめ上記摩耗粉(ひいては、摩耗粉の由来であるタイヤのトレッドゴム)に共重合体を配合しておく、及び/又は、あらかじめ上記舗装路に共重合体を配合しておくことで、所定の処理により、舗装路に蓄積した摩耗粉を当該舗装路に固定化することができる。
なお、本明細書において「固定化」とは、「接着」及び「捕捉」の概念を包含するものとする。
【0027】
本明細書において「舗装路」とは、舗装が施された道路を意味する。
本明細書において「舗装」とは、道路を構築するための被覆加工を施すこと又はその構造物を意味する。
また、「道路」とは、屋内外を問わず、人、動物及び/又は車両の交通又は移動に用いられる通路を意味し、具体的には、車道;駐車場;サイクリングコース;歩道;トラックやテニスコート等のスポーツ競技場の地面;等が挙げられる。
【0028】
本実施形態の方法で用いる粒子及び固定化部材としては、上記共重合体を含有する粒子と上記共重合体を含有しない固定化部材との組み合わせであってもよく、上記共重合体を含有しない粒子と上記共重合体を含有する固定化部材との組み合わせであってもよく、また、上記共重合体を含有する粒子と上記共重合体を含有する固定化部材との組み合わせであってもよい。但し、粒子の飛散の抑制効果をより高める観点からは、前記粒子及び前記固定化部材の両方とも、前記共重合体を含有することが好ましい。
【0029】
<粒子>
本実施形態では、粒子を用いる。かかる粒子の平均長径としては、特に限定されないが、効果的に固定化部材に固定化する観点から、50μm以上20000μm以下であることが好ましい。なお、本明細書において、平均長径は、以下の手法に準じて測定される値である。
「ISO 13320, Particle size analysis - Laser diffraction methods」
「ISO/TS 22640, Rubber - Framework for physical and chemical characterization of tyre and road wear particles (TRWP)」
【0030】
かかる粒子の形状は、特に限定されない。また、粒子の製造方法も、特に限定されない。
【0031】
上記粒子は、ゴム成分を含有することが好ましい。この場合の前記粒子は、例えば、タイヤから発生する摩耗粉を想定することができる。かかるゴム成分としては、天然ゴム(NR);合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル-ブタジエンゴム(NBR)等の合成ジエン系ゴム;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム等の非ジエン系ゴム、が挙げられる。上記ゴム成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記ゴム成分は、変性されていてもよい。但し、上記粒子は、ゴム成分における天然ゴム及び合成ジエン系ゴムの合計の割合が、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
なお、本明細書において、「ゴム成分」は、「共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体」を包含しないこととする。
【0032】
上記粒子は、上述したもの以外の、その他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば、タイヤのトレッドゴムの材料として一般的に用いられる成分、具体的には、カーボンブラックやシリカ等の充填剤、硫黄等の加硫剤、ステアリン酸等の加硫助剤、加硫促進剤、亜鉛華等の加硫促進助剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、加工性改良剤等が挙げられ、それぞれ適量含有することができる。
【0033】
粒子が共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体を含有する場合、当該共重合体の含有量は、0.1質量%以上25質量%以下であることが好ましい。粒子における上記共重合体の含有量が0.1質量%以上であれば、粒子の飛散を抑制する効果をより確実に得ることができ、また、25質量%以下であれば、粒子又は当該粒子が由来する部材の作製の際に十分な均一性をもたらし、また、粒子又は当該粒子が由来する部材が本来有すべき特性への影響を十分に低減することができる。同様の観点から、粒子における上記共重合体の含有量は、2質量%以上がより好ましく、また、20質量%以下がより好ましい。
【0034】
<固定化部材>
本実施形態では、固定化部材を用いる。かかる固定化部材は、接触した上述した粒子を固定化する機能を発揮する部材である。上記固定化部材の形状としては、特に限定されないが、効果的に粒子を固定化する観点から、粒子と接触する面が略平面状であることが好ましい。
【0035】
上記固定化部材は、アスファルト、セメント及びゴム成分の少なくともいずれかを含有することが好ましい。この場合、効果的に粒子を固定化することができる。なお、上記アスファルトを含有する固定化部材は、アスファルト舗装路を想定することができる。また、上記セメントを含有する固定化部材は、コンクリート舗装路を想定することができる。また、ゴム成分を含有する固定化部材は、タータントラックやゴムチップ舗装路を想定することができる。なお、コンクリートとは、骨材(砂、砂利など)を、結合剤(セメントなど)により固化させた建材を指す。
【0036】
アスファルトとしては、特に限定されず、例えば、石油精製の際の副産物として得られる石油アスファルト(ストレートアスファルトとも称される。)、天然の産出物として得られるアスファルト(天然アスファルト)等が挙げられ、また、半透明の樹脂バインダーを含む脱色アスファルトが挙げられる。さらに、これらを改質させてなる、ポリマー改質アスファルト、ポリマー改質アスファルトII型、ポリマー改質アスファルトH型、ブローンアスファルト等のアスファルト(改質アスファルト)も挙げられる。これらの中でも、アスファルトとしては、汎用性の観点から、ストレートアスファルトを用いることが好ましい。
【0037】
セメントとしては、特に限定されず、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等のポルトランドセメント;高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメント;エコセメント、アルミナセメント等の特殊セメント;等が挙げられる。これらの中でも、セメントとしては、汎用性の観点から、ポルトランドセメントを用いることが好ましい。
【0038】
ゴム成分としては、天然ゴム(NR);合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル-ブタジエンゴム(NBR)等の合成ジエン系ゴム;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム等の非ジエン系ゴム、が挙げられる。上記ゴム成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記ゴム成分は、変性されていてもよい。
【0039】
上記固定化部材は、上述したもの以外の、その他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば、舗装用材料として一般的に用いられる成分、具体的には、砕石、玉砕、砂利、スラグ、砂、フィラー等の骨材;性能を向上させる又は付与する各種添加剤;等が挙げられ、それぞれ適量含有することができる。
【0040】
固定化部材が共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体を含有する場合、当該共重合体の含有量は、0.1質量%以上25質量%以下であることが好ましい。固定化部材における上記共重合体の含有量が0.1質量%以上であれば、粒子の飛散を抑制する効果をより確実に得ることができ、また、25質量%以下であれば、固定化部材の作製の際に十分な均一性をもたらし、また、固定化部材が本来有すべき特性への影響を十分に低減することができる。同様の観点から、固定化部材における上記共重合体の含有量は、0.2質量%以上がより好ましく、また、20質量%以下がより好ましい。
【0041】
固定化部材の製造方法は、特に限定されない。
【0042】
<共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体>
本実施形態の方法では、前記粒子及び前記固定化部材の少なくとも一方に、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体を含有させる。これにより、加熱、UV照射、及び圧着の少なくともいずれかの処理を行うことで、前記粒子を前記固定化部材に固定化することができる。
【0043】
前記共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体は、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位との2つの単位からなる二元共重合体であってもよいし、更に、芳香族ビニル単位を含む3つの単位からなる三元共重合体であってもよいし、更に、他の単量体単位を含む多元共重合体であってもよい。
【0044】
-共役ジエン単位-
前記共役ジエン単位は、単量体としての共役ジエン化合物に由来する構成単位である。
ここで、共役ジエン化合物とは、共役系のジエン化合物を指す。共役ジエン化合物は、炭素数が4~8であることが好ましい。かかる共役ジエン化合物として、具体的には、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
【0045】
前記共重合体の単量体としての共役ジエン化合物は、機械的強度を向上させる観点から、1,3-ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、1,3-ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくとも1つのみからなることがより好ましく、1,3-ブタジエンのみからなることが更に好ましい。
別の言い方をすると、前記共重合体における共役ジエン単位は、1,3-ブタジエン単位(以下、単にブタジエン単位と称することがある。)及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、1,3-ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つのみからなることがより好ましく、1,3-ブタジエン単位のみからなることが更に好ましい。
【0046】
前記共重合体が二元共重合体の場合、共役ジエン単位の含有量は、0mol%を超え50mol%以下であることが好ましい。この場合、伸び及び耐候性に優れる共重合体を得ることができる。同様の観点から、二元共重合体における共役ジエン単位の割合は、40mol%以下であることがより好ましい。
【0047】
二元共重合体において、共役ジエン単位の1,2付加体(3,4付加体を含む)の割合は、10mol%以下であることが好ましい。上記割合が10mol%以下であると、前記共重合体の耐熱性及び耐屈曲疲労性を向上させることができる。同様の観点から、二元共重合体における共役ジエン単位の1,2付加体(3,4付加体を含む)の割合は、8mol%以下がより好ましく、6mol%以下が更に好ましい。なお、前記共役ジエン単位の1,2付加体(3,4付加体を含む)の割合は、共役ジエン単位全体における割合であって、共重合体全体における割合ではない。また、前記割合は、共役ジエン単位がブタジエン単位である場合には、1,2-ビニル結合量と同じ意味である。
【0048】
前記共重合体が三元共重合体又は多元共重合体の場合、共役ジエン単位の含有量は、0mol%を超え、また、1mol%以上であることが好ましく、3mol%以上であることがより好ましく、5mol%以上であることが更に好ましく、また、50mol%以下であることが好ましく、40mol%以下であることがより好ましく、30mol%以下であることが更に好ましい。
共役ジエン単位の含有量が、共重合体全体の1~50mol%であることで、柔軟性及び機械的強度を向上させることができる。同様の観点から、共役ジエン単位の含有量は、共重合体全体の1~50mol%の範囲が好ましく、3~40mol%の範囲がより好ましく、5~30mol%の範囲が更に好ましい。
【0049】
-非共役オレフィン単位-
前記非共役オレフィン単位は、単量体としての非共役オレフィン化合物に由来する構成単位である。
ここで、非共役オレフィン化合物とは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素-炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。非共役オレフィン化合物は、炭素数が2~10であることが好ましい。かかる非共役オレフィン化合物として、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等のα-オレフィン、ピバリン酸ビニル、1-フェニルチオエテン、N-ビニルピロリドン等のヘテロ原子置換アルケン化合物等が挙げられる。非共役オレフィン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
【0050】
前記共重合体の単量体としての非共役オレフィン化合物は、粒子の飛散抑制効果をより高める観点から、非環状の非共役オレフィン化合物であることが好ましく、また、非環状の非共役オレフィン化合物は、α-オレフィンであることがより好ましく、エチレンを含むα-オレフィンであることが更に好ましく、エチレンのみからなることが特に好ましい。
別の言い方をすると、前記共重合体における非共役オレフィン単位は、非環状の非共役オレフィン単位であることが好ましく、また、当該非環状の非共役オレフィン単位は、α-オレフィン単位であることがより好ましく、エチレン単位を含むα-オレフィン単位であることが更に好ましく、エチレン単位のみからなることが特に好ましい。
【0051】
前記共重合体が二元共重合体の場合、非共役オレフィン単位の含有量は、50mol%以上100mol%未満であることが好ましい。この場合、破壊特性を効果的に向上させることができる。同様の観点から、二元共重合体における非共役オレフィン単位の割合は、60mol%以上であることがより好ましい。
【0052】
前記共重合体が三元共重合体又は多元共重合体の場合、非共役オレフィン単位の含有量は、40mol%以上であることが好ましく、45mol%以上であることがよりに好ましく、55mol%以上であることが更に好ましく、60mol%以上であることが特に好ましく、また、97mol%以下であることが好ましく、95mol%以下であることがより好ましく、90mol%以下であることが更に好ましい。非共役オレフィン単位の含有量が、共重合体全体の40~97mol%であることで、粒子の飛散抑制効果をより高めることができる。同様の観点から、非共役オレフィン単位の含有量は、共重合体全体の40~97mol%の範囲が好ましく、45~95mol%の範囲がより好ましく、55~90mol%の範囲がより更に好ましく、60~90mol%の範囲が更に好ましい。
【0053】
-芳香族ビニル単位-
前記共重合体は、更に、芳香族ビニル単位を含むことが好ましい。
芳香族ビニル単位は、単量体としての芳香族ビニル化合物に由来する構成単位である。
前記共重合体が芳香族ビニル単位を含有することで、エチレン結晶成分のような結晶成分を切断し、非共役オレフィン単位由来の過度の結晶化が抑制され、共重合体の剛性を向上させつつも、弾性を損ね難く、粒子の飛散抑制効果をより高めることができる。
ここで、芳香族ビニル化合物とは、少なくともビニル基で置換された芳香族化合物を指し、共役ジエン化合物には包含されないものとする。芳香族ビニル化合物は、炭素数が8~10であることが好ましい。かかる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
【0054】
前記共重合体の単量体としての芳香族ビニル化合物は、粒子の飛散抑制効果をより高める観点から、スチレンを含むことが好ましく、スチレンのみからなることがより好ましい。別の言い方をすると、前記共重合体における芳香族ビニル単位は、スチレン単位を含むことが好ましく、スチレン単位のみからなることがより好ましい。
なお、芳香族ビニル単位における芳香族環は、隣接する単位と結合しない限り、共重合体の主鎖には含まれない。
【0055】
前記共重合体が三元共重合体又は多元共重合体の場合、芳香族ビニル単位の含有量は、2mol%以上であることが好ましく、3mol%以上であることがより好ましく、また、35mol%以下であることが好ましく、30mol%以下であることがより好ましく、25mol%以下であることが更に好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が、共重合体全体の2~35mol%であることで、粒子の飛散抑制効果をより高めることができる。同様の観点から、芳香族ビニル単位の含有量は、共重合体全体の2~35mol%の範囲が好ましく、3~30mol%の範囲がより好ましく、3~25mol%の範囲が更に好ましい。
【0056】
共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位以外の、その他の構成単位の含有量は、本発明の所望の効果を得る観点から、共重合体全体の30mol%以下であることが好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることが更に好ましく、含有しないこと、即ち、含有量が0mol%であることが特に好ましい。つまり、前記共重合体は、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位との2つの単位からなる二元共重合体であるか、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位及び芳香族ビニル単位の3つの単位からなる三元共重合体であることが好ましい。
【0057】
また、前記共重合体は、所望の効果を確実に得る観点から、ブチレン単位の含有量が0mol%であることが好ましい。
【0058】
前記共重合体は、所望の効果を確実に得る観点から、単量体として、一種のみの共役ジエン化合物、一種のみの非共役オレフィン化合物、及び一種の芳香族ビニル化合物を少なくとも用いて重合してなる重合体であることが好ましい。
別の言い方をすると、前記共重合体は、一種のみの共役ジエン単位、一種のみの非共役オレフィン単位、及び一種のみの芳香族ビニル単位を含有する共重合体であることが好ましく、一種のみの共役ジエン単位、一種のみの非共役オレフィン単位、及び一種のみの芳香族ビニル単位のみからなる三元共重合体であることがより好ましく、1,3-ブタジエン単位、エチレン単位、及びスチレン単位のみからなる三元共重合体であることが更に好ましい。ここで、「一種のみの共役ジエン単位」には、異なる結合様式の共役ジエン単位が包含される。
【0059】
前記共重合体は、例えば、共役ジエン単位の含有量が0mol%を超え50mol%以下であり、前記非共役オレフィン単位の含有量が50mol%以上100mol%未満であることが好ましい。この場合、粒子の飛散抑制効果をより高めることができる。また、この場合のかかる共重合体は、二元共重合体であることが好ましい。
【0060】
また、前記共重合体は、例えば、共役ジエン単位の含有量が1~50mol%で、非共役オレフィン単位の含有量が40~97mol%で、且つ、芳香族ビニル単位の含有量が2~35mol%であることが好ましい。この場合、粒子の飛散抑制効果をより高めることができる。また、この場合のかかる共重合体は、三元共重合体であることが好ましい。
【0061】
-共重合体の物性-
前記共重合体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が10,000~9,000,000(10~9,000kg/mol)であることが好ましく、100,000~8,000,000(100~8,000kg/mol)であることがより好ましい。前記共重合体のMnが10,000以上であることにより、機械的強度を十分に確保することができ、また、Mnが9,000,000以下であることにより、共重合体を含む組成物の作業性を損ね難い。
【0062】
前記共重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10,000~10,000,000(10~10,000kg/mol)であることが好ましく、50,000~9,000,000(50~9,000kg/mol)であることがより好ましく、100,000~8,000,000(100~8,000kg/mol)であることが更に好ましい。前記共重合体のMwが10,000以上であることにより、機械的強度を十分に確保することができ、また、Mwが10,000,000以下であることにより、共重合体を含む組成物の作業性を損ね難い。
【0063】
前記共重合体は、分子量分布[Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)]が1.00~4.00であることが好ましく、1.00~3.50であることがより好ましく、1.80~3.00であることが更に好ましい。前記共重合体の分子量分布が4.00以下であれば、当該共重合体の物性に十分な均質性をもたらすことができる。
【0064】
なお、前記共重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として求める。
【0065】
前記共重合体は、0~120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10~150J/gであることが好ましく、30~120J/gであることが更に好ましい。前記共重合体の吸熱ピークエネルギーが10J/g以上であれば、共重合体の結晶性が高くなり、耐久性を向上させることができる。また、前記共重合体の吸熱ピークエネルギーが150J/g以下であれば、共重合体を含む組成物の作業性が向上する。
前記共重合体の吸熱ピークエネルギーは、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121-1987に準拠して、例えば、10℃/分の昇温速度で-150℃から150℃まで昇温して測定すればよい。
【0066】
前記共重合体は、融点が50~120℃であることが好ましく、50~110℃であることがより好ましい。前記共重合体の融点が50℃以上であれば、共重合体の結晶性が高くなり、耐久性を向上させることができる。また、前記共重合体の融点が120℃以下であれば、共重合体を含む組成物の作業性が向上する。
前記共重合体の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS K 7121-1987に準拠して測定すればよい。
【0067】
前記共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましく、-100℃~-10℃であることが更に好ましい。前記共重合体のガラス転移温度が0℃以下であれば、機械的強度を向上させることができる。
前記共重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121-1987に準拠して測定すればよい。
【0068】
前記共重合体は、結晶化度が0.5~50%であることが好ましく、3~45%であることが更に好ましく、5~45%であることがより一層好ましい。前記共重合体の結晶化度が0.5%以上であれば、非共役オレフィン単位に起因する共重合体の結晶性を十分に確保して、機械的強度を更に向上させることができる。また、前記共重合体の結晶化度が50%以下であれば、共重合体を含む組成物の混練の際の作業性、及び押出加工性が向上する。
前記共重合体の結晶化度は、100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギーと、当該共重合体の融解ピークエネルギーを測定し、ポリエチレンと共重合体とのエネルギー比率から、結晶化度を算出すればよい。また、融解ピークエネルギーは、示差走査熱量計で測定することができる。
【0069】
前記共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。これにより、機械的強度を更に向上させることができる。
なお、前記共重合体の主鎖が環状構造を有するか否かの確認には、NMRが主要な測定手段として用いられる。具体的には、主鎖に存在する環状構造に由来するピーク(例えば、三員環~五員環については、10~24ppmに現れるピーク)が観測されない場合、その共重合体の主鎖は、非環状構造のみからなることを示す。
なお、本明細書において、重合体の主鎖とは、それ以外のすべての分子鎖(長分子鎖又は短分子鎖、或いはその両方)が、ペンダントのように連なる線状分子鎖を意味する[「Glossary of Basic Terms in Polymer Science IUPAC Recommendations 1996」, Pure Appl. Chem., 68, 2287-2311(1996)のセクション1.34参照]。
また、前記共重合体は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよいが、直鎖状構造であることが好ましい。
【0070】
-共重合体の製法-
前記共重合体として、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位との2つの単位からなる二元共重合体を製造する場合、共役ジエン化合物及び非共役オレフィン化合物を単量体として用いる重合工程を経て、当該共重合体を製造することができる。
また、前記共重合体として、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位及び芳香族ビニル単位の3つの単位からなる三元共重合体を製造する場合、共役ジエン化合物と、非共役オレフィン化合物と、芳香族ビニル化合物とを単量体として用いる重合工程を経て、当該共重合体を製造することができる。
【0071】
前記共重合体の製造方法は、更に、必要に応じ、カップリング工程、洗浄工程、及びその他の工程を経てもよい。
以下、三元共重合体を製造する場合を代表して、共重合体の製造方法について説明する。
【0072】
共重合体の製造においては、重合触媒の存在下で、共役ジエン化合物を添加せずに非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のみを添加し、これらをまず重合させることが好ましい。特に後述の触媒組成物を使用する場合には、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物より共役ジエン化合物の方が、反応性が高いことから、共役ジエン化合物の存在下で非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のいずれか一方又は両方を重合させ難い。また、先に共役ジエン化合物を重合させ、後に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物を付加的に重合させることも、触媒の特性上、困難となり易い。
【0073】
重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
【0074】
重合工程は、一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。
一段階の重合工程とは、重合させる全ての種類の単量体、即ち、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物、及びその他の単量体、好ましくは、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、及び芳香族ビニル化合物を一斉に反応させて重合させる工程である。
また、多段階の重合工程とは、1種類又は2種類の単量体の一部又は全部を最初に反応させて重合体を形成し(第1重合段階)、次いで、第1重合段階で添加しなかった種類の単量体、第1重合段階で添加した単量体の残部等を添加して重合させる1以上の段階(第2重合段階~最終重合段階)を行って重合させる工程である。特に、前記共重合体の製造では、重合工程を多段階で行うことが好ましい。
【0075】
重合工程において、重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下で行われることが好ましい。重合反応の温度は、特に制限されないが、例えば、-100℃~200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、上記重合反応の圧力は、共役ジエン化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1~10.0MPaの範囲が好ましい。
また、重合反応の反応時間も特に制限がなく、例えば、1秒~10日の範囲が好ましいが、重合触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
また、共役ジエン化合物の重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
【0076】
重合工程は、多段階で行うことが好ましい。より好ましくは、少なくとも芳香族ビニル化合物を含む第1単量体原料と、重合触媒とを混合して重合混合物を得る第1工程と、前記重合混合物に対し、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2単量体原料を導入する第2工程とを実施することが好ましい。更に、第1単量体原料が共役ジエン化合物を含まず、且つ第2単量体原料が共役ジエン化合物を含むことがより好ましい。
【0077】
第1工程で用いる第1単量体原料は、芳香族ビニル化合物と共に、非共役オレフィン化合物を含有してもよい。また、第1単量体原料は、使用する芳香族ビニル化合物の全量を含有してもよく、一部のみを含有してもよい。また、非共役オレフィン化合物は、第1単量体原料及び第2単量体原料の少なくともいずれかに含有される。
【0078】
第1工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第1工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、-100℃~200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、第1工程における圧力は、特に制限はないが、芳香族ビニル化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1~10.0MPaの範囲が好ましい。また、第1工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、反応温度を25~80℃とした場合には、5分~500分の範囲が好ましい。
【0079】
第1工程において、重合混合物を得るための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサノン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
【0080】
第2工程で用いる第2単量体原料は、共役ジエン化合物のみ、又は、共役ジエン化合物及び非共役オレフィン化合物、又は、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物、又は、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物であることが好ましい。
なお、第2単量体原料が、共役ジエン化合物以外に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1つを含む場合には、予めこれらの単量体原料を溶媒等と共に混合した後に重合混合物に導入してもよく、各単量体原料を単独の状態から導入してもよい。また、各単量体原料は、同時に添加してもよく、逐次添加してもよい。
第2工程において、重合混合物に対して第2単量体原料を導入する方法としては、特に制限はないが、各単量体原料の流量を制御して、重合混合物に対して連続的に添加すること(所謂、ミータリング)が好ましい。ここで、重合反応系の条件下で気体である単量体原料(例えば、室温、常圧の条件下における非共役オレフィン化合物としてのエチレン等)を用いる場合には、所定の圧力で重合反応系に導入することができる。
【0081】
第2工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第2工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、-100℃~200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、反応温度を上げると、共役ジエン単位におけるシス-1,4結合の選択性が低下することがある。また、第2工程における圧力は、特に制限はないが、共役ジエン化合物等の単量体を十分に重合反応系に取り込むため、0.1~10.0MPaの範囲が好ましい。また、第2工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、0.1時間~10日の範囲が好ましい。
また、第2工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合反応を停止させてもよい。
【0082】
ここで、上記の共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物の重合工程は、触媒成分として、下記(a)~(f)成分の1種以上の存在下で、各種単量体を重合させる工程を含むことが好ましい。なお、重合工程には、下記(a)~(f)成分を1種以上用いることが好ましいが、下記(a)~(f)成分の2種以上を組み合わせて、触媒組成物として用いることが更に好ましい。
(a)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物
(b)成分:有機金属化合物
(c)成分:アルミノキサン
(d)成分:イオン性化合物
(e)成分:ハロゲン化合物
(f)成分:置換又は無置換のシクロペンタジエン(シクロペンタジエニル基を有する化合物)、置換又は無置換のインデン(インデニル基を有する化合物)、及び、置換又は無置換のフルオレン(フルオレニル基を有する化合物)から選択されるシクロペンタジエン骨格含有化合物
上記(a)~(f)成分については、例えば、国際公開第2018/092733号等を参照することによって、重合工程に用いることができる。
【0083】
カップリング工程は、重合工程において得られた共重合体の高分子鎖の少なくとも一部(例えば、末端)を変性する反応(カップリング反応)を行う工程である。
カップリング工程において、重合反応が100%に達した際にカップリング反応を行うことが好ましい。
カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸-1-オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)等のスズ含有化合物;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビス(マレイン酸-1-オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)が、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。
なお、カップリング反応を行うことにより、共重合体の数平均分子量(Mn)を増加させることができる。
【0084】
洗浄工程は、重合工程において得られた共重合体を洗浄する工程である。
なお、洗浄に用いる媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられるが、重合触媒としてルイス酸由来の触媒を使用する際は、特にこれらの溶媒に対して酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)を加えて使用することができる。添加する酸の量は溶媒に対して15mol%以下が好ましい。添加量が15mol%以下であることで、酸が共重合体中に残存しにくく、組成物の混練及び加硫時の反応に悪影響を及ぼし難い。
この洗浄工程により、共重合体中の触媒残渣量を好適に低下させることができる。
【0085】
<固定化のための処理>
本実施形態の方法では、固定化部材に接触した粒子に対し、加熱、UV照射、及び圧着の少なくともいずれかの処理を行う。かかる処理により、粒子を固定化部材に固定化することができる。
【0086】
-加熱-
上記処理として加熱を選択する場合、その際の加熱温度は、60℃以上180℃以下であることが好ましい。この場合、効果的に粒子を固定化部材に固定化することができる。なお、加熱は、常法に従って行うことができる。
【0087】
また、加熱時間は、特に限定されないが、効果的かつ効率的にに粒子を固定化部材に固定化する観点から、30秒間以上3分間以下であることが好ましい。
【0088】
-UV照射-
上記処理としてUV照射を選択する場合、その際のUV照射量は、800mJ/cm以上5000mJ/cm以下であることが好ましい。この場合、効果的に粒子を固定化部材に固定化することができる。なお、UV照射は、常法に従って行うことができる。
【0089】
また、UV照射時間は、特に限定されないが、効果的かつ効率的にに粒子を固定化部材に固定化する観点から、3秒間以上3分間以下であることが好ましい。
【0090】
-圧着-
上記処理として圧着を選択する場合、その際の圧力は、200kPa以上500kPa以下であることが好ましい。この場合、効果的に粒子を固定化部材に固定化することができる。なお、圧着は、常法に従って行うことができる。
【0091】
上記処理として圧着を選択する場合には、加熱と組み合わせることが好ましい。より具体的に、圧着の際の圧着温度は、60℃以上150℃以下であることが好ましい。この場合、一層効果的に粒子を固定化部材に固定化することができる。
【0092】
また、圧着時間は、特に限定されないが、効果的かつ効率的にに粒子を固定化部材に固定化する観点から、3秒間以上1分間以下であることが好ましい。
【実施例0093】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0094】
<共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体の合成>
(共重合体1の合成)
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器内に、スチレン75gと、トルエン675gと、を加えた。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に、((1-ベンジルジメチルシリル-3-メチル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体{(1-BnMeSi-3-Me]CGd[N(SiHMe}0.075mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[MeNHPhB(C]0.083mmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド0.35mmolを加え、更にトルエン30gを加えて、触媒溶液とした。
得られた触媒溶液を、前記耐圧ステンレス反応器内に加えて、60℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.5MPaで、前記耐圧ステンレス反応器に投入し、75℃で計3時間共重合を行った。その共重合の際、1,3-ブタジエン20gを含むトルエン溶液80gを0.4~0.6mL/分の速度で連続的に添加した。
次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記耐圧ステンレス反応器内に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体1を得た。
【0095】
(共重合体2の合成)
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器内に、スチレン30gと、1,3-ブタジエン5gを含むトルエン溶液20gと、トルエン430gと、を加えた。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に、モノ(1,3-ビス(tert-ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体{1,3-[(t-Bu)MeSi]Gd[N(SiHMe}0.075mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[MeNHPhB(C]0.075mmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド0.35mmolを加え、更にトルエン20mLを加えて、触媒溶液とした。
得られた触媒溶液を、前記耐圧ステンレス反応器内に加えて、60℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.0MPaで、前記耐圧ステンレス反応器内に投入し、75℃で計3時間共重合を行った。その共重合の際、1,3-ブタジエン60gを含むトルエン溶液240gを2.5~2.8mL/分の速度で連続的に添加した。
次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記耐圧ステンレス反応器内に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体2を得た。
【0096】
<共重合体の物性測定>
合成した共重合体について、以下の物性を測定した。結果を表1に示す。
【0097】
(1)ブタジエン単位、エチレン単位、スチレン単位の含有量
共重合体中のエチレン単位、ブタジエン単位、スチレン単位の含有量(mol%)を、H-NMRスペクトル(100℃、d-テトラクロロエタン標準:6ppm)の各ピークの積分比より求めた。
【0098】
(2)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC-8121GPC/HT、カラム:東ソー社製GMHHR-H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は40℃である。
【0099】
(3)ブタジエン単位の1,4-結合の含有率
赤外法(モレロ法)により1,2-結合及び3,4-結合(ブタジエン単位においては、1,2-結合及び3,4-結合は同義である)を求め、100%から1,2-結合及び3,4-結合の合計量を算出することで1,4-結合の含有率を算出した。
【0100】
(4)融点(Tm)
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121-1987に準拠して、共重合体の融点(Tm)を測定した。
【0101】
(5)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121-1987に準拠して、共重合体のガラス転移温度(Tg)を測定した。
【0102】
(6)結晶化度
100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギーと、得られた共重合体の0~120℃の融解ピークエネルギーとを測定し、ポリエチレンと共重合体とのエネルギー比率から、結晶化度を算出した。なお、融解ピークエネルギーは、示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)で測定した。
【0103】
(7)吸熱ピークエネルギー
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121-1987に準拠して、得られた共重合体を、-150℃~150℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温した。そして、その時(1st run)の0℃以上100℃未満の範囲における吸熱ピークエネルギー(ΔH(J/g))と、100℃以上150℃以下の範囲における吸熱ピークエネルギー(ΔH(J/g))とを測定した。
【0104】
(8)引張強度(Tb)及び破断伸び(Eb)
JIS K 6251(2017年)に基づくダンベル状3号形に成形し、試験片とした。
引張強度(Tb)は、JIS K 6251(2017年)に基づいて、引張試験装置(インストロン社製)を使用し、試験片を25℃で100%伸長し、試験片を破断させるのに要した最大の引張り力として測定した。
破断伸び(Eb)は、試験片を、25℃にて100mm/分の速度で引張り、試験片が破断したときの長さを測定し、引っ張る前の長さ(100%)に対する長さとして求めた。
【0105】
(9)主鎖構造の確認
合成した共重合体について、13C-NMRスペクトルを測定し、13C-NMRスペクトルチャートにおいて、10~24ppmにピークが観測されなかったことから、合成した共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることを確認した。
【0106】
【表1】
【0107】
(実施例1-8)
<摩耗粉の作製>
表2に示す配合処方に従って、各成分を配合し混練、加硫して、ゴム組成物を調製した。なお、配合した共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体の種類及び量は、表3に示す通りである。得られたゴム組成物の試験片を摩耗させ、長径0.1~20mmの摩耗粉を得た。
【0108】
【表2】
【0109】
*1 NR:天然ゴム
*2 BR:ブタジエンゴム、UBEエラストマー社製、商品名「UBEPOL BR150L」
*3 カーボンブラック:N134
*4 加硫系薬品:加硫促進剤及び硫黄を含む
*5 その他成分:ステアリン酸及び亜鉛華を含む
【0110】
<アスファルト路面の作製>
アスファルト(ENEOS社製、ストレートアスファルト60/80)に対し、共重合体1又は共重合体2(表3に示す)を添加し、ホモミキサーを用いて混合し、組成物を調製した。次いで、かかる組成物に対し、骨材(東京石灰工業株式会社製)を混合してアスファルト混合物を調製し、固定化部材とした。
なお、上記組成物の調製では、当該組成物中の共重合体の含有量を5質量%とした。また、アスファルト混合物の調製では、当該アスファルト混合物中の上記組成物の含有量を5.4質量%とした。従って、アスファルト路面における共重合体の含有量は、表3に示す通り、0.27質量%と算出される。
【0111】
(実施例9-12)
<摩耗粉の作製>
表2に示す配合処方に従って、各成分を配合し混練、加硫して、ゴム組成物を調製した。なお、配合した共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体の種類及び量は、表4に示す通りである。得られたゴム組成物の試験片を摩耗させ、長径0.1~20mmの摩耗粉を得た。
【0112】
<アスファルト路面の作製>
アスファルト(ENEOS社製、ストレートアスファルト60/80)に対し、骨材(東京石灰工業株式会社社製)を混合してアスファルト混合物を調製し、固定化部材とした。即ち、これらの例では、アスファルト路面の作製に共重合体1及び共重合体2を用いなかった。
なお、アスファルト混合物の調製では、当該アスファルト混合物中の上記アスファルトの含有量を5.4質量%とした。
【0113】
(実施例13,14)
<摩耗粉の作製>
表2に示す配合処方に従って、各成分を配合し混練、加硫して、ゴム組成物を調製した。なお、配合した共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体の種類及び量は、表4に示す通りである。得られたゴム組成物の試験片を摩耗させ、長径0.1~20mmの摩耗粉を得た。即ち、これらの例では、摩耗粉の作製に共重合体1及び共重合体2を用いなかった。
【0114】
<アスファルト路面の作製>
アスファルト(ENEOS社製、ストレートアスファルト60/80)に対し、共重合体1又は共重合体2(表4に示す)を添加し、ホモミキサーを用いて混合し、組成物を調製した。次いで、かかる組成物に対し、骨材(東京石灰工業株式会社製)を混合してアスファルト混合物を調製し、固定化部材とした。
なお、上記組成物の調製では、当該組成物中の共重合体の含有量を5質量%とした。また、アスファルト混合物の調製では、当該アスファルト混合物中の上記組成物の含有量を5.4質量%とした。従って、アスファルト路面における共重合体の含有量は、表4に示す通り、0.27質量%と算出される。
【0115】
(比較例1)
<摩耗粉の作製>
表2に示す配合処方に従って、各成分を配合し混練、加硫して、ゴム組成物を調製した。なお、配合した共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体の種類及び量は、表4に示す通りである。得られたゴム組成物の試験片を摩耗させ、長径0.1~20mmの摩耗粉を得た。即ち、この例では、摩耗粉の作製に共重合体1及び共重合体2を用いなかった。
【0116】
<アスファルト路面の作製>
改質II型アスファルト(ニチレキ社製 ポリファルトSS)に対し、骨材(東京石灰工業株式会社社製)を混合してアスファルト混合物を調製し、アスファルト路面(固定化部材)とした。即ち、この例では、アスファルト路面の作製に共重合体1及び共重合体2を用いなかった。
なお、アスファルト混合物の調製では、当該アスファルト混合物中の上記アスファルトの含有量を5質量%とした。
【0117】
(アスファルト路面への摩耗粉の固定化処理)
上述のようにして摩耗粉及びアスファルト路面を作製した各例において、アスファルト路面上に摩耗粉を載せた状態で、電気炉に投入し、120℃で120秒間の加熱処理を行った。次いで、冷却したのち、下記の剥離試験及び捕捉性の評価を行った。結果を表3及び表4に示す。
【0118】
<剥離試験(接着性)の評価>
アスファルト路面上に、粘着テープを、摩耗粉を覆うようにして貼付した。その後、粘着テープをアスファルト路面から剥がした。このときの粘着テープへの摩耗粉の付着状況を観察し、以下の基準に従って接着性を評価した。
A:粘着テープにほぼ付着しなかった。
B:粘着テープにわずかに付着した。
C:粘着テープに少量付着した。
D:粘着テープに多量付着した。
E:粘着テープにほとんど付着した。
【0119】
<捕捉性の評価>
アスファルト路面を90°に傾け、当該アスファルト路面上の摩耗粉に対して、1.5mの強さの風を当てた。このときの摩耗粉の脱落状況を観察し、以下の基準に従って捕捉性を評価した。
A:ほとんど脱落しなかった。
B:半分程度脱落した。
C:ほとんど脱落した。
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
【0122】
表3及び表4より、粒子及び固定化部材の少なくとも一方が、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位を有する共重合体を含有していることで、所定の処理により、粒子の固定化が図れることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明によれば、粒子の飛散を抑制すべき状況下で好適に採用可能な、粒子の固定化方法を提供することことができる。