IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リスパック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-包装用容器 図1
  • 特開-包装用容器 図2
  • 特開-包装用容器 図3
  • 特開-包装用容器 図4
  • 特開-包装用容器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118984
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20240826BHJP
   B65D 43/04 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B65D77/20 C
B65D43/04 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025632
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 智久
(72)【発明者】
【氏名】田中 潤
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AB09
3E067AB13
3E067BA10A
3E067BB14A
3E067BC02A
3E067BC07A
3E067EA18
3E067EB03
3E067EB07
3E067EB11
3E067EB19
3E067EB27
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA01
3E067GD06
3E067GD08
3E084AA05
3E084AA14
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084DA03
3E084DB13
3E084FC04
3E084GA08
3E084GB12
3E084KA12
3E084LA17
(57)【要約】
【課題】極めて簡易な構造でもって、これまでの蓋体の開封状況を簡単に把握できるので、改ざん防止等の役割を果たすことができる。
【解決手段】包装用容器100は、容器フランジ53を有する容器本体50と、蓋体フランジ14を有する蓋体10を備える。蓋体フランジ14が容器フランジ53に嵌合した状態で、蓋体10下方の収容空間56で収容物が収容される。蓋体フランジ14は、蓋体係合部16と、その外側に位置する外縁部18とを備える。容器フランジ53は、蓋体係合部16と係合する容器係合部58と、容器係合部58の外側に位置する立壁部60と、この立壁部60及び容器係合部58を相互に接続する接続部62を備える。接続部62に、立壁部60及び容器係合部58間の開裂を容易にする開裂部64を設け、開裂部64は立壁部60に沿う位置に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部の外側に容器フランジを有する容器本体に、天面部の外側に蓋体フランジを有する蓋体を被せることで、前記蓋体フランジと前記容器フランジとが嵌合し、前記収容部で収容物を収容する包装用容器において、
前記蓋体フランジは、
前記天面部の外側に位置する蓋体係合部と、
この蓋体係合部の外側に位置する外縁部とを備え、更に、
前記容器フランジは、
容器外側に位置する第1容器フランジと、
第1容器フランジの前記収容部側に配置される第2容器フランジを少なくとも有し、
更に、前記第2容器フランジの収容部側に配置される、前記蓋体係合部と係合する容器係合部と、
前記第1容器フランジに配設される立壁部と、
前記立壁部及び前記容器係合部間を相互に接続する接続部と、
前記接続部に、前記立壁部及び前記容器係合部間の開裂を容易にする開裂部とを設け、
この開裂部は前記立壁部に沿う位置に配置されていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記開裂部は、前記接続部の周方向の一部に設け、前記立壁部は、前記開裂部の両端付近に、前記開裂部の開裂を容易にする折り曲げ部をそれぞれ設けることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記開裂部は、前記第1容器フランジ側に向かって突状となることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記立壁部は、前記容器フランジの全外周に沿って配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体を容器本体に被せることで、例えば、弁当・果物等の食品、その他の収容物を収容できる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の包装用容器は、収容部の外周に容器フランジを有する容器本体と、更に、天面部の外周に蓋体フランジを有する蓋体を備えている。そして、蓋体フランジが容器フランジと嵌合することで、収容部及び天面部間の収納空間で、例えば惣菜、寿司等の食品その他の収容物を収容できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4431924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装用容器には、例えば特許文献1に記載される包装用容器等がある。この包装用容器の場合、容器本体に蓋体が嵌合することによって容器が密閉されるとともに、例えばいたずら等によって、仮に蓋体が不用意に開封された場合、開封の痕跡を残し、目視により簡単に発見できることが求められる。
しかしながら、特許文献1に記載される包装用容器の場合、細かな構造物を形成することが必要であって、その包装用容器を形成する際、煩雑な手間がかかるとともに、コストも嵩張るという課題があった。また、開裂部が立ち上り壁に沿った位置に配置されていないため、運搬、陳列時などに外部から衝撃が加わることで開裂部が開裂し、意図せず蓋体が開いてしまうという課題があった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的とするところは、極めて簡易な構造でもって、いたずら抑止や防止及び改ざん抑止や防止等の役割を果たすことで、安価で且つ優れた包装用容器を提供することにある。
また、本発明の包装用容器は、運搬、陳列時などに外部から衝撃が加わっても、立壁部により変形を防止しているため、開裂部が開裂せず、不用意に蓋体が外れにくく改ざんされたことにならない包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明は以下の手段を有する。即ち、手段1として、 収容部の外側に容器フランジを有する容器本体に、天面部の外側に蓋体フランジを有する蓋体を被せることで、前記蓋体フランジと前記容器フランジとが嵌合し、前記収容部で収容物を収容する包装用容器において、前記蓋体フランジは、前記天面部の外側に位置する蓋体係合部と、この蓋体係合部の外側に位置する外縁部とを備え、更に、前記容器フランジは、容器外側に位置する第1容器フランジと、第1容器フランジの前記収容部側に配置される第2容器フランジを少なくとも有し、更に、前記第2容器フランジの収容部側に配置される、前記蓋体係合部と係合する容器係合部と、前記第1容器フランジに配設される立壁部と、前記立壁部及び前記容器係合部間、すなわち第1容器フランジ及び第2容器フランジ間を相互に接続する接続部と、前記接続部に、前記立壁部及び前記容器係合部間の開裂を容易にする開裂部とを設け、この開裂部は前記立壁部に沿う位置に配置されていることを特徴とする。
【0006】
手段2として、手段1において、前記開裂部は、前記接続部の周方向の一部に設け、前記立壁部は、前記開裂部の両端付近に、前記開裂部の開裂を容易にする折り曲げ部をそれぞれ設けることが望ましい。
【0007】
手段3として、手段1または手段2のいずれか一において、前記開裂部は、前記第1容器フランジ側に向かって突状となることが好ましい。
【0008】
手段4として、手段1または手段2のいずれか一において、前記立壁部は、前記容器フランジの全外周に沿って配設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容器フランジの立壁部及び容器係合部を相互に接続する接続部に、立壁部及び容器係合部間の開裂を容易にする開裂部を設け、この開裂部は前記立壁部に沿う位置に配置されているという極めて簡易な構造を採用することで、開裂部の開裂状況を容易に確認でき、蓋体の開封状況(既に開封されたか否か)を簡単に把握できる。仮に、蓋体が不用意に開封された場合、包装用容器の管理者は、開封した包装用容器を撤去したり、不用意に開封した者に対し、適切な対応をすることができる。この結果、いたずらや改ざんを企てる者は、いたずらや改ざんを企てることをためらったり、諦めたりして、いたずら抑止や防止、改ざん抑止や防止等の機能を果たすことができる。それにより、極めて簡易な構造で、いたずら抑止等の役割を果たすこともでき、安価で且つ優れた包装用容器を提供することができる。
また、本発明の包装用容器は、第1容器フランジと第2容器フランジの間の接続部に開裂部を設ける構造であるため、運搬、陳列時などに外部から衝撃が加わっても、二個のフランジで力を吸収し、更に立壁部により変形を防止しているため、開裂部が開裂せず、不用意に蓋体が外れることがなく、改ざんされたことにならない包装用容器を提供することができる。また、第2容器フランジの収容部側に、蓋体係合部と係合する容器係合部が配置されるので、蓋体係合部と容器係合部の間に隙間が少なく、液漏れ防止効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の包装用容器を具体化した実施の形態であって、蓋体が容器本体から分離した状態を示す斜視図である。
図2図1の蓋体が容器本体に被さった状態を示す平面図。
図3図2の蓋体と容器本体との係合状況を示す要部拡大断面図。
図4図1の蓋体が外された状態において、容器本体の一部を拡大して示す部分拡大図。
図5図2の容器本体の一部が、容器本体から切離した状態を示す拡大状態図。
【符号の説明】
【0011】
10 蓋体 12 天面部 14 蓋体フランジ
16 蓋体係合部 18 外縁部 50 容器本体
52 収容部 53 容器フランジ 53A 第1容器フランジ
53B 第2容器フランジ 58 容器係合部
60 立壁部 62 接続部 64 開裂部
66 平面部 68 折り曲げ部 100 包装用容器
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の包装用容器を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態の包装用容器100は、蓋体10と容器本体50を備えている。図1は、蓋体10が容器本体50から分離した状態を示し、図2は、蓋体10が容器本体50に被さった状態を示す。蓋体10及び容器本体50は、合成樹脂製であり、蓋体10、容器本体50のそれぞれは、複雑な形状を一体的に成形することができる。
蓋体10は、中央上方に位置する透明な天面部12と、天面部12の外周(外側)に蓋体フランジ14を有している。図2に示す蓋体10は、天面部12が大きな面積を占め、角部12A(この場合は4隅)が丸みを帯びるとともに、平面視長方形状をなし、長辺部12B及び短辺部12Cを備える。
【0013】
本実施の形態の場合、天面部12には、天面部12下方の空間(収容空間56)の容積を確保するため、周囲側壁部13が連設され、この周囲側壁部13は、蓋体フランジ14の蓋体係合部16(後述)と連結している。
容器本体50は、収容部52の外周(外側)に容器フランジ53を備える。収容部52には、収容空間56の空間容積を確保するため、底面から立ち上がる周囲側壁部54が連設され、周囲側壁部54は容器フランジ53の容器係合部58(後述)と連結している。
収容部52は、容器本体50内で大きな面積を占め、角部54A(この場合は4隅)が丸みを帯びるとともに、平面視長方形状をなし、長辺部54B及び短辺部54Cを備える。
収容部52は、収容物を分けて置くための載置箇所を複数有し、図示の場合、大面積の大載置部52A、中面積の中載置部52B、隣り合う小面積の小載置部52C、52Dを備える。この構成により、収容部52は、収容空間56で、果物・弁当等の食品その他の収容物(図示せず)を収容することができる。
【0014】
蓋体フランジ14は、容器フランジ53に対し嵌合可能であるが、図3は、蓋体10が容器本体50に被さった状態で、蓋体フランジ14が容器フランジ53に嵌合した状態を示す。
蓋体フランジ14は、周囲側壁部13と連結する蓋体係合部16と、蓋体係合部16の外側に位置する外縁部18を備える。蓋体係合部16は、具体的な構造として、急峻に立ち下がった周囲側壁部13からほぼ水平方向の外側に延びる平面部16Aと、この平面部16Aから斜め上方外側に立ち上がる勾配部16Bと、この勾配部16Bから逆方向(内側)に立ち上がる逆テーパ部16Cと、この逆テーパ部16Cから斜め上方外側に立ち上がるテーパ部16Dと、このテーパ部16Dから水平方向の外側に延びる平面部16Eとを備えており、平面部16Eの外縁部が、外縁部18として機能する。なお、蓋体係合部16の構造として、外縁部18の係合機能を削除した外縁部に変更する等、図示以外の構成を採用してもよい。また、蓋体係合部16の構造は、必要に応じ図示以外の構成を採用してもよい。
【0015】
容器フランジ53は、容器外側に位置する第1容器フランジ53Aと、第1容器フランジ53Aの収容部52側に配置される第2容器フランジ53Bを少なくとも有し、更に、前記第2容器フランジ53Bの収容部52側に配置される、前記蓋体係合部16と係合する容器係合部58と、前記第1容器フランジ53に配設される立壁部60と、前記立壁部60及び前記容器係合部58間、すなわち第1容器フランジ及び第2容器フランジ間を相互に接続する接続部62とを設けている。
容器係合部58は、その具体的な構成として、急峻に立ち上がる周囲側壁部54からほぼ水平方向の外側に延びる平面部58Aと、この平面部58Aから斜め上方外側に立ち上がる勾配部58Bと、この勾配部58Bから逆方向(内側)に立ち上がる逆テーパ部58Cと、この逆テーパ部58Cから斜め上方外側に立ち上がるテーパ部58Dを備える。なお、容器係合部58の構造は、必要に応じ図示以外の構成を採用してもよい。
蓋体フランジ14が、容器フランジ53と嵌合する場合、蓋体係合部16が容器係合部58と以下のように係合する。即ち、蓋体係合部16の平面部16A、勾配部16B、逆テーパ部16C、テーパ部16Dが、容器係合部58の平面部58A、勾配部58B、逆テーパ部58C、テーパ部58Dと当接する。このような平面部16A、58A、勾配部16B、58B、逆テーパ部16C、58C、テーパ部16D、58Dの当接及び離間の係合機能により、蓋体フランジ14は容器フランジ53に対し嵌合することができる。
一方、蓋体フランジ14及び容器フランジ53間の嵌合を開封させる場合、蓋体係合部16の平面部16A、勾配部16B、逆テーパ部16C、テーパ部16Dが、容器係合部58の平面部58A、勾配部58B、逆テーパ部58C、テーパ部58Dから離間することで、その開封を容易にする。
【0016】
また、立壁部60は、斜め上方に立ち上がる勾配部60Aと、この勾配部60Aから延設され、外縁部18に係合させる凸状係合部60Bと、この凸状係合部60Bの上端からほぼ平行となる平面部60Cと、この平面部60Cから下方に延びる外壁部60D等を備えている。
凸状係合部60Bは、蓋体フランジ14の平面部16Eの外縁部(外縁部18)より高い位置にあり、外縁部18が凸状係合部60Bと接触可能な位置である。このため、蓋体フランジ14と容器フランジ53を嵌合させた時、外縁部18が凸状係合部60Bの下方に向かって乗り越えるので、外縁部18は凸状係合部60Bと係合する。この係合の際、蓋体係合部16の平面部16A、勾配部16B、逆テーパ部16C、テーパ部16Dが、容器係合部58の平面部58A、勾配部58B、逆テーパ部58C、テーパ部58Dと当接する。
【0017】
本実施の形態の場合、蓋体フランジ14が容器フランジ53と嵌合すると、外縁部18が凸状係合部60Bと係合することで、蓋体フランジ14及び容器フランジ53間の嵌合強度を高める効果がある。また、外縁部18及び凸状係合部60Bが接触している場合、消費者の指が外縁部18及び凸状係合部60B間に入り難くなり(密着性が高くなり)、いたずら抑止や防止等の機能が高くなる効果がある。更に、立壁部60が、容器フランジ53の全外周に沿って配設されている場合、外縁部18の全周と凸状係合部60Bの全周が係合することで、外縁部18の露出がなくなり消費者の指が立壁部60の内側(即ち、外縁部18外側と凸状係合部60B間)に入り難くなるため、いたずら抑止や防止等の効果や蓋体フランジ14及び容器フランジ53間の嵌合強度が高くなる効果がある。また、立壁部60が全外周でつながっていることで、立壁部自体に剛性があるため、運搬、陳列時などで外部から衝撃が加わっても立壁部60の内側にある開裂部64が開裂せず、不用意に蓋体が外れない効果がある。
なお、蓋体フランジ14が容器フランジ53と嵌合力が高い場合は、外縁部18と凸状係合部60Bが係合する構造を採用しなくてもよい。また、外縁部18と凸状係合部60Bは、指が入らない程度であれば隙間を設けていてもよい。立壁部60の構成については、凸状係合部60B、平面部60C、外壁部60Dの形状、位置等を変更するなど、必要に応じ、図示以外の構成を採用してもよい。
本実施の形態の場合、接続部62の外端は、勾配部60Aと連結する構造であり、この構造の接続部62は、立壁部60(勾配部60A)及び容器係合部58(テーパ部58D)間を接続する一方、この接続部62に、立壁部60及び容器係合部58間の開裂を容易にする開裂部64を設ける。
開裂部64は、具体的には、ミシン目等の如く、切れ目または切り込み等の切断部位と非切断部位を一列に並べたものである。開裂部の他の構成としては、例えば、レーザー加工等により肉厚の薄い部位(肉厚小部位)を設ける構成であってもよい。開裂部64に力が加わることで、立壁部60及び容器係合部58間の接続部62の開裂が容易になる。消費者は、開裂部64の開裂状況を容易に目視できる状況であるが、図示以外の構成で、容易に認識できる形態であれば、その形態を採用してもよい。
【0018】
図4は、蓋体10が容器本体50に被せた状態で、容器本体50の一角の周囲を示す。図5は、容器本体50の一部が、容器本体50から開裂した状態を示す。
図4で示す端部64A及び端部64C間を延設する開裂部64は、開裂をスムーズにするため、中心位置64Bを通る支点64D及び支点64E間で立壁部60及び容器係合部58に沿うように配置され、第1容器フランジ53A側に向かって突状となるように形成されている。開裂部64の先端が突状になっているため、開裂部64付近の立壁部60に近い接続部62が押し下がると、力が集中しやすくなるため、開裂を一層容易にすることができる。
ここで、開裂部64は、接続部62の両端部62A、62B(図3参照)のほぼ中央部62Cから立壁部60に近いところに配置される(即ち、開裂部64が容器フランジ53の立壁部60の内側にある)ので、容器本体50外側からの力は、立壁部60等で吸収され、開裂部64に及ぼしにくい(外からの衝撃に強い)。このため、開裂部64の不用意な間裂を防止し、結果的に蓋体10が不用意に開くことを防止できる。
また、開裂部64の一部は、長辺部54B及び短辺部54Cと並設しており、長辺部54Bに沿う開裂部64の長さ(端部64A及び中心位置64B間の長さ)は、短辺部54Cに沿う開裂部64の長さ(端部64C及び中心位置64B間の長さ)とほぼ等しくなっている。この場合、その 長さは概ね40~60mm程度である。
上記のように開裂部64の長さを等しくする理由は、開裂部64に力が加わって、立壁部60及び容器係合部58間が開裂部64で開裂し、接続部62が降下する場合、中心位置64B付近が一番降下し、且つ、長辺部54Bに沿う開裂部64付近の降下量と短辺部54C付近の開裂部64の降下量を同程度にして(即ち、長辺部54Bに沿う開裂部64付近の降下の際の形態と、短辺部54C付近の開裂部64の降下の際の形態が同様な形態となる)、両形態に相違を生じなくすることでより容易に開裂させるためである。
なお、長辺部54Bに沿う開裂部64の長さ(あるいは短辺部54Cに沿う開裂部64の長さ)は、長辺部54B(あるいは短辺部54C)の長さを基準として、例えば、長辺部54B(あるいは短辺部54C)の長さの3分の1から6分の1程度でも良いし、それ以外に設定することもできる。
この場合、消費者が後述する押下示唆部72を押下すると、開裂部64に対し力が加わることで、立壁部60及び容器係合部58間が開裂し、開裂した接続部62(立壁部60側)が降下するので、この降下の状況を目視すると、立壁部60及び容器係合部58間の開裂した状態も把握しやすくする。
【0019】
また、立壁部60は、収容部52とほぼ平行となる平面部60Cを備え、この平面部60Cにおける前記開裂部64の両端(64A、64C)付近に、開裂部64の開裂を容易にする折り曲げ部68をそれぞれ設ける。更に、容器フランジ53の一角の外縁部には、蓋体フランジ14の外縁より外側に位置する標識設置部70が設けられ、この標識設置部70には、平面視円形状の押下示唆部72が設けられている。この場合、標識設置部70は、容器フランジ53の一角にあって、立壁部60の平面部60Cと一体的となって、容器フランジ53より外側に延設されている。
この標識設置部70及び押下示唆部72は、大載置部52Aと近接する位置に配設されているので、包装用容器100の消費者は、大載置部52Aの収容物に視点が集まりやすく、標識設置部70及び押下示唆部72を容易に視認することができる。押下示唆部72は標識設置部70上の見やすい位置に配設されていれば、これ以外の態様で配設されても良い。
包装用容器100の消費者が、収容空間56で収納される収容物を取り出すことを希望する際、押下示唆部72を指先で押下する。すると、蓋体フランジ14の位置(高さ)が保持された状態で、標識設置部70及び押下示唆部72両方を押し下げ、折り曲げ部68の作用により、接続部62等に大きな力が加わることで、立壁部60等に沿って開裂部64が開裂し、開裂部64付近の立壁部60に近い接続部62が押し下がる。その後、開裂部64の開裂が大きくなると、開裂部64の外側に位置する立壁部60が外縁部18より低い位置まで下がることで、外縁部18が露出し指で摘まむことができる。これにより蓋体10の取り外しは容易になるが、この動作の際、開裂部64には、開裂の痕跡が残ることになる。そのため、管理者等は、この痕跡を確認することで、蓋体10に関し既に開封される動作が行われたか否かを簡単に把握できる。
なお、折り曲げ部68を平面部60Cに設けて開裂部64の開裂を容易にすることで、開裂部64の開裂が顕著になって、開裂部64の開裂状況が認識し易くなる。もっとも、標識設置部70、押下示唆部72は、上記以外の位置で、複数か所に配置してもよいし、標識設置部70の大きさ、形状等を適宜変更してもよい。また、押下示唆部72の大きさ、示唆情報、形状等は適宜使い勝手の良いよう変更してもよい。
【0020】
このように容器フランジ53の全外周に沿って配設される立壁部60の内側に開裂部64が位置する(蓋体フランジ14が立壁部60内側にあって、容器外側に露出しない構造である)ので、蓋体10及び容器本体50外側からの力が、標識設置部70や、容器フランジ53の立壁部60(具体的には凸状係合部60B、平面部60C、外壁部60D)等で吸収され、開裂部64に及びにくい(外からの衝撃に強い)。このため、開裂部64での不用意な開裂を防止し、結果的に蓋体10が容器本体50から不用意に外れるのを防止することができる。
なお、容器フランジ53の全外周に沿って配設される立壁部60は、剛性が大きくなって全体的な強度が保たれ、更に外側から立壁部60内側に向かう力を減らすので、蓋体10及び容器本体50は、外側からの衝撃力に対し強いという特性がある。
以上、上述した如く本実施の形態の包装用容器100によれば、収容部52の外側に容器フランジ53を有する容器本体50に、天面部12の外側に蓋体フランジ14を有する蓋体10を被せることで、蓋体フランジ14と前記容器フランジ53とが嵌合し、前記収容部52で収容物を収容することができる。前記容器フランジ53は、容器外側に位置する第1容器フランジ53Aと、第1容器フランジ53Aの前記収容部52側に配置される第2容器フランジ53Bを少なくとも有し、更に、前記第2容器フランジ53Bの収容部52側に配置される、前記蓋体係合部16と係合する容器係合部58と、前記第1容器フランジ53に配設される立壁部60と、前記立壁部60及び前記容器係合部58間、すなわち第1容器フランジ及び第2容器フランジ間を相互に接続する接続部62と、前記接続部62に、前記立壁部60及び前記容器係合部58間の開裂を容易にする開裂部64とを設け、この開裂部64は前記立壁部60に沿う位置に配置されている。このような構造であることから、消費者や管理者等は、蓋体10が既に開封されたか否かの状況を、即ち、これまでの蓋体の開封状況を簡単に把握できる。この結果、蓋体10が不用意に既に開封された場合は、管理者は、開封した包装用容器100を撤去したり、不用意に開封した者に対し適切な対応をすることができる。
【0021】
そのため、いたずらや改ざんを企てる者は、その試みを企てることをためらったり、諦めたりするので、いたずら抑止やいたずら防止、改ざん抑止等の機能を果たすことができる。これにより、本実施の形態の包装用容器100は極めて簡易な構造で、いたずら抑止等の役割を果たすこともできる。第1容器フランジ53Aと第2容器フランジ53Bの間の接続部62に開裂部64を設ける構造であるため、運搬、陳列時などに外部から衝撃が加わっても、二個のフランジ53A、53Bで衝撃力を吸収し、更に、立壁部60により接続部62の変形を防止する。このため、開裂部64が容易に開裂せずに、不用意に蓋体10が外れることがないので、簡単に改ざんされないという効果がある。

また、第2容器フランジ53Bの収容部52側に、蓋体係合部16と係合する容器係合部58が配置されるので、蓋体係合部16と容器係合部58の間に隙間がなく、収容部52内の収容物から出る液体(例えば食べ物の汁等)が包装用容器100の外に漏れにくいという効果がある。他の実施の形態として、立壁部60及び前記容器係合部58間の開裂を容易にする工夫を施すことで、開裂部64の長さを短く設定することもできる。なお、標識設置部70の下方への降下量が小さくても、標識設置部70の下方への降下が視認しやすい場合は、上記の構成以外であってもよい。また、蓋体10や容器本体50の平面視形状を、円形状、楕円形状、正方形状等に設計変更しても良い。
図1
図2
図3
図4
図5