(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118986
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】棚割最適化方法、プログラム、及び棚割最適化システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20240826BHJP
【FI】
G06Q30/0201
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025634
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】517255566
【氏名又は名称】株式会社エクサウィザーズ
(72)【発明者】
【氏名】川畑 慧士郎
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 哲
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB02
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】本発明は、棚割最適化方法、プログラム、及び棚割最適化システムを提供する。
【解決手段】本実施形態に係る情報処理装置が実行する棚割最適化方法によれば、在庫管理における最小単位にて分けられた商品ごとの顧客に紐付けられた購買情報を取得し、当該購買情報を基に類似度が高い前記商品同士を組み合わせたクラスタを生成するクラスタリングステップと、前記購買情報を基に所定の前記顧客が前記クラスタにおける前記商品ごとの購入可能性を示す値を推定する推定ステップと、同一の前記クラスタ内の前記商品のうち、特定の前記商品を商品棚から削除するカット商品と仮定した場合に前記顧客の離脱が発生する割合を算出し、前記割合が所定の範囲内である場合に前記カット商品と仮定した特定の前記商品を前記カット商品の候補として決定する決定ステップと、を含む。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が実行する棚割最適化方法であって、
在庫管理における最小単位にて分けられた商品ごとの顧客に紐付けられた購買情報を取得し、当該購買情報を基に類似度が高い前記商品同士を組み合わせたクラスタを生成するクラスタリングステップと、
前記購買情報を基に所定の前記顧客が前記クラスタにおける前記商品ごとの購入可能性を示す値を推定する推定ステップと、
同一の前記クラスタ内の前記商品のうち、特定の前記商品を商品棚から削除するカット商品と仮定した場合に前記顧客の離脱が発生する割合を算出し、前記割合が所定の範囲内である場合に前記カット商品と仮定した特定の前記商品を前記カット商品の候補として決定する決定ステップと、
を含む棚割最適化方法。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記クラスタリングステップにおいて、階層的な前記クラスタを生成する、
請求項1に記載の棚割最適化方法。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記推定ステップにおいて、前記購買情報の少なくとも一部を構成する購買実績から成る行列に対して行列分解して得られる前記顧客の特徴を表す行列と、在庫管理における最小単位にて分けられた前記商品ごとの特徴とを表す行列との積である再構成行列の要素を前記購入可能性を示す値と推定する、
請求項1に記載の棚割最適化方法。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記推定ステップにおいて、前記顧客を特定の集団に絞った上で絞った当該顧客における前記購買情報の少なくとも一部を構成する購買実績から成る行列に対して行列分解して得られる前記顧客の特徴を表す行列と、在庫管理における最小単位にて分けられた前記商品ごとの特徴とを表す行列との積である再構成行列の要素を前記購入可能性を示す値と推定する、
請求項1に記載の棚割最適化方法。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記クラスタリングステップにおいて複数の前記クラスタを生成すると共に、
前記決定ステップを複数の前記クラスタごとに実行し、前記カット商品を複数決定する、
請求項1に記載の棚割最適化方法。
【請求項6】
前記情報処理装置は、予め前記商品棚から削除しない前記商品に関する情報である非削除商品情報を取得し、
前記決定ステップにおいて、非削除商品情報に係る前記商品を除外した前記商品の中から前記カット商品を決定する、
請求項1に記載の棚割最適化方法。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記決定ステップにおいて、特定の前記商品を商品棚から削除するカット商品と仮定した場合に前記顧客の離脱が発生する前記割合を算出し、当該割合が最も低い前記商品と、当該割合が2番目に低い前記商品との当該割合の差が所定の閾値よりも小さい場合、所定の評価に基いて前記カット商品の候補を決定する、
請求項1に記載の棚割最適化方法。
【請求項8】
前記情報処理装置は、前記決定ステップにおいて、前記カット商品の候補ごとの前記割合の累計が所定の閾値以下である場合に、当該候補を前記カット商品として決定する、
請求項1に記載の棚割最適化方法。
【請求項9】
在庫管理における最小単位にて分けられた商品ごとの顧客に紐付けられた購買情報を取得し、当該購買情報を基に類似度が高い前記商品同士を組み合わせたクラスタを生成するクラスタリングステップと、
前記購買情報を基に所定の前記顧客が前記クラスタにおける前記商品ごとの購入可能性を示す値を推定する推定ステップと、
同一の前記クラスタ内の前記商品のうち、特定の前記商品を商品棚から削除するカット商品と仮定した場合に前記顧客の離脱が発生する割合を算出し、前記割合が所定の範囲内である場合に前記カット商品と仮定した特定の前記商品を前記カット商品の候補として決定する決定ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項10】
店舗での在庫管理における最小単位にて分けられた商品ごとの顧客に紐付けられた購買情報を取得する購買情報取得装置と、
前記購買情報を基に所定の前記顧客が類似度が高い前記商品同士を組み合わせたクラスタにおける前記商品ごとの購入可能性を示す値を推定し、特定の前記商品を商品棚から削除するカット商品の候補を決定する棚割制御装置と、
決定された前記カット商品の候補に関する情報を出力する出力装置と、
を備え、
前記購買情報を取得し、前記クラスタを生成するクラスタリングステップと、
前記購買情報を基に所定の前記顧客が前記クラスタにおける前記商品ごとの購入可能性を示す値を推定する推定ステップと、
同一の前記クラスタ内の前記商品のうち、特定の前記商品を前記カット商品と仮定した場合に前記顧客の離脱が発生する割合を算出し、前記割合が所定の範囲内である場合に前記カット商品と仮定した特定の前記商品を前記カット商品の候補として決定する決定ステップと、
決定された前記カット商品の候補に関する情報を出力する出力ステップと、
を実行させる棚割最適化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚割最適化方法、プログラム、及び棚割最適化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売業における商品の陳列(レイアウト)は、販売に影響すると共に売上や在庫にも影響する。商品の売り上げや利益率情報を基に商品を商品棚に陳列するための棚割を支援するシステムが提案されている。なお、商品棚を単に棚ともいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような小売店における棚割管理において、利用や収益の向上のために、商品棚に陳列されるSKU(Stock Keeping Unit;在庫管理における最小単位)を適切に制御することが難しい。
【0005】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、棚割を適切に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態にかかる情報処理装置が実行する棚割最適化方法によれば、在庫管理における最小単位にて分けられた商品ごとの顧客に紐付けられた購買情報を取得し、当該購買情報を基に類似度が高い前記商品同士を組み合わせたクラスタを生成するクラスタリングステップと、前記購買情報を基に所定の前記顧客が前記クラスタにおける前記商品ごとの購入可能性を示す値を推定する推定ステップと、同一の前記クラスタ内の前記商品のうち、特定の前記商品を商品棚から削除するカット商品と仮定した場合に前記顧客の離脱が発生するか否かを判定し、前記顧客の離脱が発生しないと判定した際に前記カット商品と仮定した特定の前記商品を前記カット商品として決定する決定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、SKUを適切に制御することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る棚割最適化システムの概要を説明するための模式図である。
【
図2】本実施形態に係る棚割最適化システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】クラスタ情報の一構成例を示す模式図である。
【
図11】端末装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図12】情報処理装置が実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
<システム概要>
本実施形態に係る棚割最適化システムの概要について
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る棚割最適化システムの概要を説明するための模式図である。
【0011】
本実施形態に係る棚割最適化システムは、商品棚の効率的な利用や収益の向上のために、商品棚に陳列されるSKUを制御するためのシステムである。一例として、本システムは、商品棚の効率的な利用や収益の向上を目的とし、SKU(請求項1に記載の「在庫管理における最小単位」に相当)の数(SKU数)を削減(縮小)するための制御を行う(
図1参照)。
【0012】
図1の左図、及び右図は、小売店Aに設けられる商品棚Aの棚割を例示する。
図1の左図は、従来の商品棚Aの棚割を例示したものである。また、
図1の右図は、本実施形態に係る棚割最適化方法を用いて棚割を変更した後の商品棚Aの棚割を例示したものである。
【0013】
本実施形態に係る商品棚は、
図1に例示するように、商品が陳列される一以上の底板を備える。この底板は、棚段又は単に段ともいう。また、
図1に例示する商品棚Aは、5つ(5枚)の棚段を備え、各棚段を、下から順に、1段目、2段目、・・・、5段目と呼ぶ。また、本実施形態に係る商品棚には商品が陳列されるものとする。
【0014】
また、本実施例に係る小売店Aは、複数のSKUから構成される商品を顧客に販売し、同一SKU(の商品)を同一の棚段に陳列するものとする。
図1の左図に例示する点線は、同一SKUの商品が陳列される位置(領域)を例示したものであり、この位置は左下隅を原点とし、高さ(縦軸)、及び幅(横軸)とで指定される領域であってもよい。また、棚段のそれぞれに、1つ以上のSKUの商品を陳列することも可能であり、棚段毎に陳列可能なSKUの個数が異なってもよい。例えば、
図1に例示する商品棚Aの1段目、4段目、及び5段目は1つのSKUを陳列し、2段目、及び3段目は2つのSKUを陳列するものとする。
【0015】
また、後述するが、本実施形態に係る棚割最適化方法では、売り上げや購入者数をできる限り維持することを目的とする。例えば、
図1の左図に例示するように5つの棚段すべてに商品を陳列する場合、小売店Aの商品棚Aに係る売り上げや購入者数は、これらの5つの棚段に陳列される商品全体に依存する。具体的に、小売店Aの商品棚Aに係る売り上げや購入者数を計上する場合には、これらの5つの棚段に陳列される各商品の購入者数の総和となる。
【0016】
本実施形態に係る棚割最適化方法を用い、小売店Aの商品棚Aに陳列されるSKUを制御した場合を想定する。
図1の左図には、本システムの所定の制御手法により、削減すべきと判断されたSKUを太線で例示する。なお、この削減すべきと判断されたSKUをカットSKU(すなわち、カット商品)という。これらのカットSKUを商品棚Aから取り除き、残りのSKUを陳列すべく変更された棚割を
図1の右図に例示する。この右図に例示するように、カットSKUを商品棚から取り除くことにより、棚割変更後、従来5段目に陳列されていたSKUが4段目に陳列されることになり、従来4段目に陳列されていたSKUが3段目に陳列されることになり、従来3段目と2段目に陳列されていたSKUが2段目に陳列されることになる。その結果、商品棚Aの5段目が空くことになり、この5段目を、新商品や新たな販促施策に用いることにより新たな収益源とすることを目指す。
【0017】
このようにして、本システムは、カットSKUを決定する処理等を通してSKUを最適に制御することにより、商品棚の棚段を有効活用し、売り上げや購入者数をできる限り維持しながら新収益源を得ることを目指す。
【0018】
なお、上述した本棚割最適化システムは、一つの小売店等の店舗を対象とするものとしたが、これに限らず、例えば、フランチャイズに属する複数店舗を対象としてもよい。また、本棚割最適化システムは、イベント施設や宿泊施設を対象としてもよい。
【0019】
<システム概要>
図2は、本実施形態に係る棚割最適化システム1の構成の一例を示す図である。本実施形態に係る棚割最適化システム1は、購買情報取得装置及び棚割制御装置としての情報処理装置10が、小売店Aにおける商品棚Aに関する棚割情報や購買情報等の情報を管理しており、この管理している情報を分析し、当該分析結果を小売店Aの店員が利用する出力装置としての端末装置30へ送信するシステムである。なお、
図2では、商品棚Aを例にとり本システムの構成を説明しているが、本システムでは1つの商品棚に限らず、複数の商品棚についての情報を受け取って分析してもよい。
【0020】
情報処理装置10、及び端末装置30は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、インターネット、公衆回線網、モバイルデータ通信網、又はこれらの組み合わせである。なお、
図2の例では、棚割最適化システム1は、情報処理装置10、及び端末装置30をそれぞれ1つ備えるが、複数備えてもよい。
【0021】
情報処理装置10は、小売店の店舗情報を管理しており、この管理している店舗情報を分析し、店員が使用する端末装置30に対しネットワークNを介して分析した結果を送信する装置(コンピュータ)である。店舗情報とは、小売店Aにおける、商品棚毎の購買や棚割等の情報である。ここで、情報処理装置10は、小売店Aに設置され、店舗情報を蓄積するサーバ装置(図示省略)にアクセスして店舗情報を受信してもよいし、店員の端末装置30から送信される店舗情報を随時受信してもよい。なお、この情報処理装置10は、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、サーバ、又はこれらの組み合わせである。情報処理装置10について、詳しくは後述する。
【0022】
端末装置30は、スマートフォン又はPC(パーソナルコンピュータ)等の端末装置である。この端末装置30は、一例として、小売店Aの店員が所有するものとしたが、小売店Aの店長や、小売店Aを包括するフランチャイズの管理者が所有するものであってもよい。端末装置30は、情報処理装置10によって送信された情報をネットワークNを介して取得し、画面上に表示させる。また、情報処理装置10が管理する店舗情報を、ネットワークNを介して情報処理装置10から取得してもよい。これにより、例えば、小売店Aの店員は、情報処理装置10による分析結果を自身の端末装置30にて閲覧することができる。
【0023】
<ハードウェア構成>
次に、情報処理装置10のハードウェア構成について
図3を用いて説明する
図3に示すように、情報処理装置10は、バスB1を介して相互に接続された、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信I/F104と、入出力I/F105と、ドライブ装置106と、を備える。さらに、情報処理装置10は、入力装置107と、出力装置108と、を備える。
【0024】
プロセッサ101は、ストレージ103に記憶されたプログラムをメモリ102に展開して実行することにより、情報処理装置10の各構成を制御し、情報処理装置10の機能を実現する。プロセッサ101が実行するプログラムは、OS(Operating System)及び表示制御等を行うためのサーバプログラムを含むが、これに限られない。プロセッサ101がサーバプログラムを実行することにより、本実施形態に係る制御が実現される。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はこれらの組み合わせである。
【0025】
メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はこれらの組み合わせである。ROMは、例えば、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、又はこれらの組み合わせである。RAMは、例えば、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)、MRAM(Magnetoresistive RAM)、又はこれらの組み合わせである。
【0026】
ストレージ103は、OS、サーバプログラム、及び各種のデータを記憶する。ストレージ103は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、SCM(Storage Class Memories)、又はこれらの組み合わせである。
【0027】
通信I/F104は、情報処理装置10をネットワークNに接続させるためのインタフェースである。
【0028】
入出力I/F105は、情報処理装置10に入力装置107及び出力装置108を接続するためのインタフェースである。
【0029】
ドライブ装置106は、ディスクメディア109のデータを読み書きする。ディスクメディア109は、例えば、磁気ディスクドライブ、光学ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、又はこれらの組み合わせである。ディスクメディア109は、例えば、CD、DVD、FD、MO、又はこれらの組み合わせである。
【0030】
入力装置107は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク、スキャナ、カメラ、各種センサ、又はこれらの組み合わせである。
【0031】
出力装置108は、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ、プリンタ、スピーカ、又はこれらの組み合わせである。
【0032】
なお、本実施形態において、サーバプログラムは、情報処理装置10の製造段階でメモリ102又はストレージ103に書き込まれてもよいし、ネットワークNを介して情報処理装置10に提供されてもよいし、非一時的でコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介して情報処理装置10に提供されてもよい。
【0033】
図4は、端末装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示すように、端末装置30は、バスB3を介して相互に接続された、プロセッサ301と、メモリ302と、ストレージ303と、通信I/F304と、入出力I/F305と、を備える。さらに、端末装置30は、入力装置307と、出力装置308と、を備える。
【0034】
プロセッサ301は、ストレージ303に記憶されたプログラムをメモリ302に展開して実行することにより、端末装置30の各構成を制御し、端末装置30の機能を実現する。プロセッサ301が実行するプログラムは、OS、及び表示制御プログラム等のサーバプログラムを含むが、これに限られない。プロセッサ301は、例えば、CPU、MPU、GPU、ASIC、DSP、又はこれらの組み合わせである。
【0035】
メモリ302は、例えば、ROM、RAM、又はこれらの組み合わせである。ROMは、例えば、PROM、EPROM、EEPROM、又はこれらの組み合わせである。RAMは、例えば、DRAM、SRAM、MRAM、又はこれらの組み合わせである。
【0036】
ストレージ303は、OS、サーバプログラム、及び各種のデータを記憶する。ストレージ303は、例えば、フラッシュメモリ、HDD、SSD、SCM、又はこれらの組み合わせである。
【0037】
通信I/F304は、端末装置30をネットワークNに接続させるためのインタフェースである。通信I/F304は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、又はこれらの組み合わせによる無線通信が可能である。
【0038】
入出力I/F305は、端末装置30に入力装置307及び出力装置308を接続するためのインタフェースである。
【0039】
入力装置307は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク、スキャナ、カメラ、各種センサ、又はこれらの組み合わせである。
【0040】
出力装置308は、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ、プリンタ、スピーカ、又はこれらの組み合わせである。
【0041】
なお、本実施形態において、サーバプログラムは、端末装置30の製造段階でメモリ302又はストレージ303に書き込まれてもよいし、ネットワークNを介して端末装置30に提供されてもよいし、非一時的でコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介して端末装置30に提供されてもよい。
【0042】
<機能構成>
次に、情報処理装置10、及び端末装置30の機能構成についてそれぞれ説明する。上述したように、本実施形態では、書店Aの商品棚AのカットSKUを決定する手法を例に挙げて説明する。また、本実施形態では、後述する店舗情報のうち、購買に係る情報である購買情報(後に詳述する)を用いてカットSKUを決定する手法について説明する
【0043】
図5は、情報処理装置10の機能構成の一例を示す図である。
図4に例示するように、情報処理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。
【0044】
通信部11は、通信I/F104により実現される。通信部11は、ネットワークNを介して、種々の装置との間で通信を行う。本実施形態において、通信部11は、端末装置30に対して、ネットワークNを介して店舗情報の分析結果を送信する。また、通信部11は、制御部13から与えられたデータを他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信したデータを制御部13へ与える。
【0045】
記憶部12は、メモリ102、及びストレージ103により実現される。記憶部12は、制御部13が実行する各種のプログラム、及び、制御部13の処理に必要な各種のデータを記憶する。記憶部12には、クラスタ情報記憶部120、店舗情報記憶部121、カットSKU記憶部123、及びサーバプログラム124が格納される。また、店舗情報記憶部121には、購買情報125が格納される。なお、記憶部12の上記各構成に格納される情報は、外部のサーバ装置等により随時更新されてもよい。
【0046】
クラスタ情報記憶部120は、クラスタ情報を格納する。クラスタとは、複数のSKUの組み合わせであり、クラスタ情報とは、複数のSKU間の関係性(類似性)である。本実施形態におけるクラスタ情報とは、小売店Aの商品棚Aにおいて取り扱う複数のSKU間の類似度の大小を距離として表したものを含むものである。このクラスタ情報について、
図6、及び
図7を用いて説明する。
【0047】
図6は、クラスタ情報の一構成例を示す図である。
図6に例示するクラスタ情報は、異なる2つのSKU間の距離をマトリックス上に格納したものである。クラスタ情報記憶部120は、
図6に例示した2つのSKU(ペア)間の距離以外にも、3つ以上のSKU間の距離についても格納するが、これについては図示を省略する。また、
図6では、クラスタ情報をテーブルの態様で表示したが、クラスタ情報に関する情報の格納形態はこれに限られない。
【0048】
この
図6に例示するクラスタ情報の列「SKU」には、書店Aの商品棚Aに陳列するSKUを記憶する。この
図6に例示するように、書店Aの商品棚Aには、“ミステリーA-1”、“ミステリーA-2”、“ミステリーB”、“ミステリーC”、“ミステリーD”、“SF-A”、“ファンタジーA”、及び“歴史A”が陳列されるものとする。ここで、
図6は、これらSKU(ペア)間の距離をマトリックス上に示す。
図6は、例えば、“ミステリーA-1”と“ミステリーA-2”との(ペアの)距離は、“0.42”(図中の“D1”参照)であることを示す。ここで、組み合わせとは、複数のSKUから成るグループをいい、この組み合わせのうち、2つのSKUから成るグループをペアともいう。なお、このSKU間の距離が小さいほど、組み合わせを成すSKUは類似していると判断される。この距離の算出については後に詳述する。
【0049】
図7は、デンドログラムの一例である。この
図7において、C1~C7はそれぞれクラスタを意味し、数値は各クラスタに含まれるSKU間の距離である。この
図7に例示するデンドログラムは、後述するクラスタリング部130(
図5参照)が、
図6に例示した各組み合わせを成すSKU間の距離に基づき作成したものであり、階層的なクラスタ(後に詳述する)に関する情報を含む。この階層的なクラスタに関する情報もクラスタ情報記憶部120に格納される。
図7では、階層的なクラスタに関する情報をデンドログラムの態様で表示したが、階層的なクラスタに関する情報の格納形態はこれに限られない。この
図7に例示するデンドログラムについては後に詳述する。
【0050】
次に、
図5に例示する記憶部12に格納される、店舗情報記憶部121と、店舗情報記憶部121に格納される購買情報125について説明する。店舗情報記憶部121は、上述したとおり、小売店Aにおける商品棚毎の購買や棚割等の店舗情報を格納する。また、購買情報125は、店舗情報のうち、当該小売店における顧客の購買に係る情報である。換言すると、商品ごとの顧客に紐付けられた購買に関する情報である。この購買情報125について、
図8を用いて説明する。
【0051】
図8は、購買情報125の一構成例を示す図である。本実施形態に係る購買情報125は、顧客と、顧客による当該SKUの購買総数(なお、購買総数は0以上の整数)と、を記憶したものである。つまり、本実施形態における購買情報125は、購買された実績である購買実績である。なお、
図8において、購入したSKUの個数をテーブルの態様で表示したが、購買情報125に関する情報の格納形態はこれに限られない。
【0052】
図8に例示する購買情報125の「SKU」の列には、小売店Aの商品棚Aに陳列するSKUを記憶する。
図8は、
図6に例示したSKUのうち、
図7に例示したクラスタC6(
図7の“D3”で示すクラスタを参照)に関する購買情報を記載したものである。また、
図8に例示する購買情報125の「顧客」の列には、小売店Aの顧客の一部である、顧客A~顧客Dを抽出したものである。ここで、
図8に例示する購買情報125のうち、いずれの顧客に関する購買情報を抽出するかは適宜設定し得るものであり、例えば、所定数以上(例えば、3個以上)のSKUを購入したことがある顧客や、年齢や地域などに関する特定セグメントに属する顧客を抽出してもよい。換言すると、顧客を特定の集団に絞った上で、絞った当該顧客における購買情報を抽出してもよい。
【0053】
また、購買情報125には、小売店AにおけるID(個人識別番号)付きポス(POS)データを格納する外部のサーバから所定の条件に基づき購買情報125が抽出され格納されてもよい。この場合、単一商品のみではなく、例えば、
図8に例示するSKUのうち、複数商品を購入した顧客を対象として購買情報125を抽出して購買情報125に格納してもよい。また、例えば、抽出対象とする顧客を、2種類以上のSKUを購入した顧客とするか、3種類以上のSKUを購入した顧客とするか、又は4種類以上のSKUを購入した顧客とするかは適宜変更し得るものであり、平均的な購入SKU数や分布を基に決定してもよい。
【0054】
次に、
図5に例示する記憶部12に格納される、潜在因子行列記憶部122について説明する。潜在因子行列記憶部122は、後述する潜在因子行列学習部131が、
図8に例示した購買情報に基づき潜在因子行列とこれに基く要素を生成して格納する。潜在因子行列とは、項目間の潜在的な特徴、すなわち、潜在因子(latent Factor)を表現する行列である。この潜在因子行列記憶部122に格納される潜在因子行列に基く要素について、
図9を用いて説明する。
【0055】
図9は、潜在因子行列に基く要素として2つの潜在因子行列の積(以下、単に「再構成行列」と称する。)の一例を示す図である。具体的には、
図8に例示したクラスタC6(
図7の“D3”で示すクラスタを参照)における、顧客に関する潜在因子行列と、商品に関する潜在因子行列との積である。本実施形態に係る再構成行列は、
図8に例示した購買情報125からなる行列に対して行列分解して得られる顧客に関する潜在因子行列と、商品に関する潜在因子行列との積に基づき生成されるものである。この再構成行列の要素は、顧客が商品を将来購入する可能性を含む潜在的な情報を示すものである。つまり、再構成行列の要素は、購入可能性を示す値として推定される。本実施形態において、この再構成行列の要素が大きい値であるほど顧客が当該SKUを購入する可能性が高いものとする。この再構成行列の要素が大きな値であるほど、当該SKUが小売店Aにより販売されなくなった場合に、これまでこのSKUを購入していた顧客が小売店Aに足を運ばなくなる(離脱する)ことが考えられる。なお、全顧客数のうち離脱する顧客の数の割合を離脱率として算出する。つまり、再構成行列の要素から離脱率が算出可能とされている。なお、
図9において、再構成行列をマトリックス状に表示したが、再構成行列の表示又は格納形態はこれに限られない。また、前述の離脱率が請求項1に記載の「割合」に相当する。
【0056】
具体的に、
図9は、
図8に例示した購買情報を基に、顧客A~顧客Dに関する再構成行列(第1の再構成行列)を求めたものである。例えば、
図8中の“D4”で示した購買総数を参照すると、顧客BがミステリーBのSKUを購入した履歴はない(購入数が0)が、再構成行列を求めると、顧客BがミステリーBのSKUを購入する再構成行列の要素が0.1であることがわかる(
図9の“D5”参照)。このように、上述の行列分解にて求めた再構成行列行列は、将来的な購買の予測をも示す数値を含むことから、予測購買行列ともいう。
【0057】
次に、
図5に例示する記憶部12に格納される、カットSKU記憶部123について説明する。カットSKU記憶部123は、後述するカットSKU決定部132によりカットSKUであると判断されたSKUの情報を記憶する。上述したように、カットSKUとは、カットSKU決定部132により、商品棚A上の陳列から削減すべきと判断されたSKUである。なお、このカットSKU記憶部123は、カットSKUを、例えばカットSKUリストとして格納してもよい。
【0058】
次に、
図5に例示する記憶部12に格納される、サーバプログラム124について説明する。本実施形態においてサーバプログラム124は、上述したように、プロセッサ101より実行されることにより、情報処理装置10の各構成を制御し、情報処理装置10の機能を実現するものである。サーバプログラム124は、メモリカード、又はディスクメディア109(
図3参照)等の記録媒体に記録された態様で提供され、情報処理装置10が、提供されたサーバプログラム124を取得して記憶部12に記憶する。ただし、このサーバプログラム124は、例えば、情報処理装置10の製造段階において記憶部12に書き込まれてもよい。
【0059】
また、例えば、サーバプログラム124は、遠隔の他のサーバ装置等により配信されてもよく、この場合、情報処理装置10は、配信されるサーバプログラム124をネットワークNを介して取得してもよい。また、例えば、サーバプログラム124は、ディスクメディア109等の記録媒体に記録されたものをドライブ装置106等が読み出して情報処理装置10の記憶部12に書き込まれてもよい。
【0060】
次に、情報処理装置10の制御部13について説明する。この制御部13は、データを処理して、その処理結果を通信部11へ与える処理を行う。制御部13は、クラスタリング部130、潜在因子行列学習部131、及びカットSKU決定部132を含む。本実施形態に係る制御部13は、記憶部12に記憶されたサーバプログラム124を読み出して実行することにより、上述のクラスタリング部130、潜在因子行列学習部131、及びカットSKU決定部132等が、ソフトウェア的な機能部として制御部13に実現される。
【0061】
クラスタリング部130は、
図6に例示したクラスタ情報に格納するSKUの各ペアの距離や、3つ以上のSKU間の距離を算出する。この距離は、ウォード法、群平均法、最短距離法等の公知の距離測定法等を用いて算出されるため、詳細な説明は省略する。また、上述したとおり、クラスタリング部130は、算出した距離が小さいほど、組み合わせを成すSKUは類似していると判断する。
【0062】
また、このクラスタリング部130は、
図6に例示したSKUのペアの距離や、3つ以上のSKUを組み合わせた場合のSKU間の距離に基づき、クラスタを抽出していく。具体的に、本実施形態に係るクラスタリング部130は、距離が小さな(類似している)SKUの組み合わせから順番に抽出していき、
図7に例示する階層的なクラスタを作成する。
【0063】
図7に例示したデンドログラムを参照しながら、クラスタリング部130による階層的なクラスタ抽出について説明する。クラスタリング部130は、SKUの組み合わせの中から、最小の距離“0.42”(
図6の“D1”参照)を有する組み合わせである“ミステリーA-1”と“ミステリーA-2”とを、最も類似するクラスタC1(
図7の“D1”参照)として最初に抽出する。次に、クラスタリング部130は、クラスタC1として選択したSKUの組み合わせの次に、距離が小さい組み合わせである“ミステリーB”と“ミステリーC”(
図6の“D2”参照)を、クラスタC1の次に類似するクラスタC2(
図7の“D2”参照)として抽出する。このようにして、クラスタリング部130は、最も類似しているSKUの組み合わせから順番にクラスタを抽出することにより、すべてのSKUを網羅するデンドログラムを完成させる。
図7に例示するデンドログラムでは、クラスタC1のクラスタが最も類似した組み合わせであり、クラスタC2~C7に移行するにつれ、クラスタを成すSKU間の類似度が低くなる。
【0064】
次に、潜在因子行列学習部131は、
図8に例示した購買情報に基づき、以下の数式1に示す行列(因子)分解(Matrix Factorization)を用いて、顧客A~顧客DとミステリーA-1~ミステリーDとに関する潜在因子行列(第1の潜在因子行列)を求める。なお、この行列分解の手法については公知であるため詳しい説明を省略する。
【0065】
【0066】
具体的には、顧客のセットUと、SKUのセットDがある場合、|U|×|D|から成る行列Rが、顧客がSKUの購入可否を含むマトリックスとなる。そして、行列Rを、|U|×|k|の行列Pと、|D|×|k|の行列Qとに分割した後(なお、kは、UやDよりも小さい)、行列Pと行列Qとの積からRを近似する。したがって、行列Pの各行は顧客の特徴が重みとして表され、行列Qの各行はSKUの特徴が重みとして表される。また、P、及びQは、例えば、公知の勾配降下法等を用いて算出される。したがって、ここで算出されるPは顧客A~顧客Dの特徴を表し、Qの値は、SKUの特徴を表す(再現する)ように算出(学習)されたものである。
【0067】
このような行列分解を行うことにより次元削減が実現でき、潜在因子行列では元のマトリックスの値を近似することが可能となる。すなわち、
図8に例示した既知のデータである購買情報から、2種類のデータ(
図8に示す顧客とSKU)間にある潜在的な特徴、すなわち、潜在因子を学習することができる。また、未観測の情報についても(
図8の“D4”参照)、再構成行列においては予測され得た潜在的な値が入力される(後述する
図9の“D5”参照)。
【0068】
本実施形態では、潜在因子行列学習部131が、顧客について、前述の数式1を用いて再構成行列(すなわち、顧客に関する潜在因子行列Pと、商品に関する潜在因子行列Qの積)を求める。
【0069】
一方、顧客数が多すぎる場合など、計算時間を削減する必要がある場合には、潜在因子行列学習部131は、特定の顧客集団に絞った上で数式1を用いて顧客に関する潜在因子行列Pと、商品に関する潜在因子行列Qとを求める。そして、他の予測をしたい顧客(請求項4に記載の「予測を希望する前記顧客」に相当)の購買情報を用いて再度行列分解により、第2の顧客に関する潜在因子行列P’を求める。数式1にて求めた商品に関する潜在因子行列Qと第2の顧客に関する潜在因子行列P’とを基に、以下の数式2を用いて再構成行列(すなわち、第2の顧客に関する潜在因子行列P’と商品に関する潜在因子行列Qとの積)を求めてもよい。
【0070】
【0071】
カットSKU決定部132は、削減すべきSKUを決定(判断)する。本実施形態においては、カットSKU決定部132は、距離の小さなクラスタから、すなわち、
図7に例示したクラスタC1~C7の順番に、カットSKU(及びカットSKUの候補、以下省略)を決定する。このカットSKUを決定する対象となるクラスタを対象クラスタという。カットSKU決定部132は、最も距離の小さなクラスタをまず対象クラスタとして決定し、この対象クラスタについてカットSKUを決定した後に、次に距離の小さなクラスタを対象クラスタとして決定していく。換言すると、カットSKUの決定を複数のクラスタごとに実行し、カットSKUを複数決定する。
【0072】
このカットSKU決定部132は、1つのクラスタにつき1つのカットSKUを決定可能とされている。なお、カットSKU決定部132は、1つのクラスタにつき複数のカットSKUを決定してもよいし、所定の1つのクラスタにおいてはカットSKUが無いと決定してもよいし、複数のクラスタにつき1つのカットSKUを決定してもよい。
【0073】
本実施形態において、カットSKU決定部132は、1つの商品棚に対して1つのカットSKUを決定するものとしたが、カットSKUを決定した商品棚と同様の棚割パターン(商品構成)を備える商品棚が他にある場合、これら他の商品棚についても同一のSKUをカットSKUとして決定してもよい。また、同様の棚割パターンを備える商品棚が複数ある場合には、これらの商品棚に対して共通の潜在因子行列(詳しくは後述する)を生成して、共通のカットSKUを決定してもよい。また、1つの商品棚に対して1つのカットSKUを決定することに替えて、カットSKU決定部132は、1つ又は複数のSKUに対して1つのカットSKUを決定するようにしてもよい。また、フランチャイズのように系列の小売店が複数ある場合には、採用されている棚割パターンが多いものについてのみカットSKUを決定するようにしてもよい。次に、カットSKU決定部132の処理について
図10を参照しながら説明する。
【0074】
図10は、
図9に例示した再構成行列と同様の値を備える再構成行列を例示している。この
図10に例示する再構成行列も、
図7に例示したクラスタC4(
図7中の“D3”参照)に関する再構成行列を例示したものである。
【0075】
上述したように、本実施形態に係るカットSKU決定部132は、クラスタC1について1つのカットSKUを決定し、その後、クラスタC2について1つのカットSKUを決定する。そして、カットSKU決定部132は、クラスタC3について1つのカットSKUを決定した後、クラスタC4について1つのカットSKUを決定することになる。そのため、クラスタC4についてカットSKUを決定する前には、クラスタC4を成すクラスタC1とクラスタC2について、既に、それぞれ1つずつカットSKUが決定されている場合がある。
図10では、クラスタC1については、既に、“ミステリーA-2”がカットSKU(
図10中のドットで示す範囲を参照)として決定されており、また、クラスタC2については、既に、“ミステリーC”がカットSKU(
図10中のドットで示す範囲を参照)として決定されているものとする。また、カットSKU決定部132は、カットSKUを決定すると、当該決定したカットSKUに関する情報をカットSKU記憶部123に記憶する。
【0076】
カットSKU決定部132が、クラスタC4(
図7中の“D3”参照)についてカットSKUを決定する際、カットSKU記憶部123に記憶されているカットSKU、すなわち、既にカットSKUとして決定されているSKUについてはもはやクラスタC4に含まれないものとして処理を行う。すなわち、カットSKU決定部132は、“ミステリーA-2”(クラスタC1のカットSKU)、及び“ミステリーC”(クラスタC2のカットSKU)は、もはやクラスタC4に含まれないSKUとし、残りの“ミステリーA-1”、“ミステリーB”、及び“ミステリーD”の中からカットSKUを1つ決定する。この3つのSKUの中からカットSKUを決定する場合を例にとり、
図10を参照しながら説明する。
【0077】
カットSKU決定部132は、例えば、SKU毎に顧客A~Dの再構成行列の要素(購入可能性)の平均値を算出し、この算出した値が最も小さいSKUをカットSKUとして決定してもよい。
図10を例にとると、“ミステリーA-1”に対する顧客A~Dの再構成行列の要素(購入可能性)の平均値は(0.88+0.3+2.5+0.1)/4=0.945であり、“ミステリーB”に対する顧客A~Dの再構成行列の要素(購入可能性)の平均値は(0.9+0.1+1.03+1.1)/4=0.7825であり、“ミステリーD”に対する顧客A~Dの再構成行列の要素(購入可能性)の平均値は(1.96+1.5+0.8+4.89)/4=2.2875である。この場合、カットSKU決定部132は、平均値が最も小さい“ミステリーB”をカットSKUとして決定してもよい。
【0078】
また、カットSKU決定部132は、再構成行列の要素(購入可能性)が例えば1以上の顧客は当該SKUを購入する可能性があると仮定し、仮に特定のSKUをカットSKUとした場合に他に購入するSKU(つまり購入可能性が1以上のSKU)が残っている場合には、顧客が離脱しない(換言すると顧客は購入可能性が1以上のSKUへ購入対象を移行する)と予測する。一方、カットSKU決定部132は、仮に特定のSKUをカットSKUとした場合に他に購入するSKU(つまり購入可能性が1以上のSKU)が残っていない場合には、顧客が離脱する(換言すると顧客は購入可能性が1以上の他のSKUが存在しないため購入を断念する)と予測する。これらの予測を基に、顧客の離脱が少なくなるようにカットSKUを決定してもよい。
【0079】
すなわち、、カットSKU決定部132は、再構成行列の要素(購入可能性)
図10を例にとると、“ミステリーA-1”を購入する可能性がある顧客は1人(顧客Cのみ)であり、“ミステリーB”を購入する可能性がある顧客は2人(顧客C,顧客D)であり、“ミステリーD”を購入する可能性がある顧客は3人(顧客A,顧客B,顧客D)である。この場合、カットSKU決定部132は、購入する可能性がある顧客の数が少ないSKUである“ミステリーA”をカットSKUとして決定してもよい。
【0080】
なお、本実施形態において、カットSKU決定部132は、上述のような処理を経て決定されたカットSKUをカットSKUの候補として決定する。すなわち、カットSKU決定部132は、再構成行列の要素(購入可能性)から算出される離脱率が最低となるSKUと、離脱率が2番目に低いSKUとの離脱率の差が閾値以下の場合には、カットSKUを決定せずに処理を終了し、当該差が閾値を超えた場合には離脱率が最低となるSKUをカットSKUの候補として決定する。一方、前述した離脱率の差が所定の閾値以下である場合でも、所定の評価に基いてカットSKUを決定してもよい。この場合の所定の評価は、一例として、例えば、カットSKU候補と第2カットSKU候補と、についてそれぞれ相対的な評価スコアを算出してカットSKU候補を決定してもよい。この評価スコアは、カットSKU候補となるSKUに関する属性情報に基づき算出してもよく、例えば、ロイヤルカスタマーの継続購入率、非会員比率、当該店舗の購買人数、購入者あたりの金額、リピート率、当該店舗の利益、当該店舗の在庫数量、及び、売上減少率の少なくとも一以上の指標を基に算出してもよい。また、評価スコアは、上記各指標に対してそれぞれの重みを付加したうえで算出されてもよい。
【0081】
また、カットSKU決定部132は、カットSKUの候補について、それぞれのクラスタ毎のカットSKUの候補の離脱率を累計すると共に、当該累計値と新たにカットSKUの候補の離脱率との和が所定の閾値(なおこの閾値は前述の最低離脱率と2番目に低い離脱率との差における閾値とは異なるものである)以下である場合にこれらのカットSKUの候補を正式なカットSKUとして決定してもよい。なお、これに限らず、カットSKU決定部132は、全てのクラスタにおけるカットSKUの候補の離脱率の累計が所定の閾値以下である場合にすべてのカットSKUの候補を正式なカットSKUとして決定してもよい。また、離脱率を累計した際に所定の閾値以下である場合には離脱率が累計されたカットSKUの候補を正式なカットSKUとして決定し、その後に追加されるカットSKUの候補の離脱率を当該累計に足した際に所定の閾値を超える場合には当該追加されるカットSKUの候補を正式なカットSKUとしないように決定してもよい。
【0082】
上述のようにして、カットSKU決定部132は、各クラスタについてカットSKUを決定する処理を行う。これにより、カットSKUを決定する処理を通してSKUを最適に制御することが可能となり、その結果、商品棚の棚段を有効活用し、売り上げや購入者数をできる限り維持しながら新収益源を得ることが期待できる。
【0083】
次に、端末装置30の機能構成について説明する。
図11は、端末装置30の機能構成の一例を示す図である。
図11に例示するように、端末装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、操作部34と、表示部35と、を備える。
【0084】
通信部31は、通信I/F304により実現される。通信部31は、ネットワークNを介して、情報処理装置10との間でデータの送受信を行う。
【0085】
記憶部32は、メモリ302及びストレージ303により実現される。記憶部32は、ユーザプログラム320を備え、選択した情報や受信したデータ等を含む各種の情報を記憶してもよい。本実施形態において、ユーザプログラム320は遠隔のサーバ装置等により配信され、これを端末装置30が通信にて取得し、記憶部32に記憶する。ただしユーザプログラム320は、例えば、端末装置30の製造段階において記憶部32に書き込まれてもよい。例えば、ユーザプログラム320は、メモリカード、又は光ディスク等の記録媒体に記録されたユーザプログラム320を端末装置30が読み出して記憶部32に記憶してもよい。例えば、ユーザプログラム320は、記録媒体に記録されたものを書込装置が読み出して端末装置30の記憶部32に書き込んでもよい。また、ユーザプログラム320は、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体に記録された態様で提供されてもよい。
【0086】
制御部33は、プロセッサ301がユーザプログラム320等のプログラムを実行し、他のハードウェア構成と協働することにより実現される。制御部33は、端末装置30の動作全体を制御する。この制御部33は、表示制御部330と、条件取得部331と、を備える。
【0087】
表示制御部330は、表示部35に対して種々の文字、又は画像等を表示するための制御を行う。
【0088】
条件取得部331は、操作部34に対するユーザの操作に基づいて、表示部35に表示する一又は複数の情報に関する条件等を取得する処理を行う。条件取得部331は、取得した条件を付した画像の送信要求を情報処理装置10へ与える。この要求に応じて情報処理装置10は条件に適合する情報を端末装置30へ送信し、この情報を受信した端末装置30の表示制御部330が表示する。
【0089】
操作部34は、端末装置30を使用するユーザからの入力(操作)を受け付け、受け付けた入力を示す操作情報を制御部33に供給する。
【0090】
表示部35は、上述の制御部33による制御にしたがって種々の画面表示を行う。
【0091】
なお、図示を省略したが、端末装置30は、撮影機能等の他の機能を備えてもよい。
【0092】
<情報処理装置10による制御処理>
図12は、本実施形態に係る情報処理装置10の制御部13が行う制御処理の手順を示すフローチャートである。この
図12を用いて、情報処理装置10による制御処理について説明する。
【0093】
(ステップS101)
本実施形態に係る情報処理装置10の制御部13の潜在因子行列学習部131は、記憶部12に格納された購買情報125を用いて、上記数式1に示す行列(因子)分解により、所定の顧客に関する潜在因子行列(第1の潜在因子行列)を求める。ここで、潜在因子行列学習部131は、例えば、3個以上のSKUを購入した顧客に関する情報を抽出して、潜在因子行列を生成する。そして、潜在因子行列学習部131は、生成した潜在因子行列を記憶部12の潜在因子行列記憶部122に格納してもよい。そして、処理はステップS102と、S105と、に進む。
【0094】
(ステップS102)
本実施形態に係る情報処理装置10の制御部13のクラスタリング部130は、SKUのペアの距離や、3つ以上のSKUを組み合わせた場合のSKU間の距離を算出し、距離が小さな(類似している)SKUの組み合わせから順番に抽出していき、階層的なクラスタ(
図7を参照)を作成する。そして、処理はステップS103に進む。
【0095】
(ステップS103)
本実施形態に係る情報処理装置10の制御部13のカットSKU決定部132は、まず最も距離の小さなクラスタを対象クラスタとして決定する。後の処理においてこの最も距離の小さなクラスタについてのカットSKUを決定したら、次に距離の小さなクラスタを対象クラスタとして決定していく。そして、処理はステップS104に進む。
【0096】
(ステップS104)
本実施形態に係るカットSKU決定部132は、対象クラスタにおける複数のSKUごとの購入可能性を示す値と当該値に基づく離脱率とを前述の手法により算出する。なお、ステップS104が請求項1に記載の「推定ステップ」に相当する。
【0097】
(ステップS105)
本実施形態に係る潜在因子行列学習部131は、すべての顧客について、上記数式2を用いて第2の潜在因子行列を生成する。また、潜在因子行列学習部131は、第2の潜在因子行列を求める際、数式2のQについては、上述の第1の潜在因子行列にて求めたQを用いる。そして、処理はステップS104に進む。なお、上述のステップS101~S103及びステップS105が請求項1に記載の「クラスタリングステップ」に相当する。
【0098】
(ステップS106)
本実施形態に係るカットSKU決定部132は、対象クラスタにおける複数の離脱率のうち最低のものと2番目に低いものの差が所定の閾値以下か否かを判定する。この差が所定の閾値以下ではない場合(ステップS106:NO)、処理はステップS108へと進む。一方、前述の差が所定の閾値以下である場合(ステップS106:YES)、処理はステップS107へと進む。
【0099】
(ステップS107)
本実施形態に係るカットSKU決定部132は、対象クラスタにおけるSKUにおいて所定の評価に基いてカットSKUを決定してもよい。この所定の評価は、前述のように例えば、カットSKU候補と第2カットSKU候補と、についてそれぞれ相対的な評価スコアを算出してカットSKU候補を決定する。
【0100】
(ステップS108)
本実施形態に係るカットSKU決定部132は、1つのクラスタにつき1つのカットSKU候補を決定する。このカットSKU決定部132は、前述のステップS106、ステップS107にて判定された結果に基づきカットSKU候補を決定する。そして、処理はステップS109に進む。なお、上述のステップS106、ステップS107及びステップS108が請求項1に記載の「決定ステップ」に相当する。
【0101】
(ステップS109)
本実施形態に係るカットSKU決定部132は、これまでに決定したカットSKUの候補についての離脱率を累計した累計離脱率と、今回決定したカットSKUの候補についての離脱率との和が所定の閾値以下であるか否かを判定する。この和が所定の閾値以下である場合(ステップS109:YES)、処理はステップS111へ進む。一方、前述の和が所定の閾値以上である場合(ステップS109:NO)、処理はステップS110へ進む。
【0102】
(ステップS111)
本実施形態に係るカットSKU決定部132は、ステップS108にて決定したカットSKU候補をカットSKUとして決定する。また、カットSKU決定部132は、決定したカットSKUに関する情報をカットSKU記憶部123に記憶する。そして、処理はステップS112に進む。
【0103】
(ステップS110)
本実施形態に係るカットSKU決定部132は、カットSKUを決定しない。そして、処理はステップS112に進む。
【0104】
(ステップS112)
本実施形態に係るカットSKU決定部132は、次の対象クラスタに処理を移行する。
【0105】
このようにして、カットSKU決定部132は、次のクラスタがなくなるまでか、累計離脱率が所定の累計離脱率閾値を超えない範囲までステップS103~S112の処理を繰り返した後、処理を終了する。
【0106】
<その他>
上述の実施形態では、商品棚に陳列されているすべてのSKUを対象としてカットSKUを決定するものとしたが、カットすることが望ましくないSKUがある場合には、これらのSKUを例えば対象外SKU(非削除商品情報)として登録しておき、対象外SKUを除くSKUの中からカットSKUを決定するものとしてもよい。例えば、対象外SKUに、主力商品(戦略商品)や、プライベートブランドの商品、新商品、及び、売れ筋の商品(Aランク商品)のSKUを登録してもよい。また、同一ブランドの商品であって、本体商品と詰め替え商品の両方を提供している場合には、本体商品のうちの少なくとも1つのSKUと、詰め替え商品のうちの少なくとも1つのSKUと、を対象外SKUに登録してもよい。
【0107】
また、本実施形態では、これまでに決定したカットSKUの候補についての離脱率を累計した累計離脱率と、今回決定したカットSKUの候補についての離脱率との和が所定の閾値以下であるか否かを判定し、これに基づいてカットSKUを決定したが、これに限らず、累計の離脱率に基くことなくカットSKUを決定してもよい。
【0108】
<まとめ>
以上の構成の本実施形態に係る棚割最適化システム1では、カットSKUを決定する処理を通してSKUを最適に制御することにより、商品棚の棚段を有効活用し、売り上げや購入者数をできる限り維持しながら新収益源を得ることが期待できる。
【0109】
また、本実施形態に係る棚割最適化システム1では、店舗での在庫管理における最小単位にて分けられた商品(すなわち、SKU)ごとの顧客に紐付けられた購買情報を取得し、当該購買情報を基に類似度が高い前記商品同士を組み合わせたクラスタを生成するクラスタリングステップと、前記購買情報を基に所定の前記顧客が前記クラスタにおける前記商品ごとの購入可能性を示す値を推定する推定ステップと、同一の前記クラスタ内の前記商品のうち、特定の前記商品を商品棚から削除するカット商品と仮定した場合に前記顧客の離脱が発生する割合を算出し、前記割合が所定の範囲内である場合に前記カット商品と仮定した特定の前記商品を前記カット商品の候補として決定する決定ステップと、を実行する。したがって、離脱率を抑えながら商品棚上のスペースを生み出して新商品や新たな販促施策を割り当てることが可能となる。このように、SKUを適切に制御することが期待できる。
【0110】
さらに、情報処理装置10は、クラスタリングステップにおいて、階層的なクラスタを生成することから、距離が近い商品から順番にクラスタリングするため予めクラスタ数を決める必要がない。また、階層的なクラスタリングの結果として得られるデンドログラムから分類の過程でできるクラスターがどのように結合されていくかを一つひとつ確認できる。また、デンドログラム上で、どのクラスターを用いるかその数を後から決めることができる。これにより、状況に応じてクラスタリングを変更することができるので、SKUをより適切に制御することが期待できる。
【0111】
さらにまた、情報処理装置10は、推定ステップにおいて、購買情報の少なくとも一部を構成する購買実績から成る行列に対して行列分解して得られる顧客の特徴を表す行列と、在庫管理における最小単位にて分けられた商品ごとの特徴とを表す行列との積である再構成行列の要素を購入可能性を示す値と推定する。したがって、顧客が現時点で購入していない場合でも商品を将来購入する可能性を含む潜在的な情報である購入可能性を基に推定することができる。これにより、SKUをさらに適切に制御することが期待できる。
【0112】
また、情報処理装置10は、推定ステップにおいて、顧客を特定の集団に絞った上で絞った当該顧客における購買情報の少なくとも一部を構成する購買実績から成る行列に対して行列分解して得られる顧客の特徴を表す行列と、在庫管理における最小単位にて分けられた商品ごとの特徴とを表す行列との積である再構成行列の要素を購入可能性を示す値と推定する。したがって、全体の顧客数が多すぎる場合など計算処理量が多くなることが予測される場合において、顧客を特定の集団に絞った上で計算を行うことができる。これにより、効率良くSKUを制御することができる。
【0113】
さらに、情報処理装置10は、クラスタリングステップにおいて複数のクラスタを生成すると共に、決定ステップを複数のクラスタごとに実行し、カット商品を複数決定する。したがって、店舗における商品に対して網羅的に棚割を行う上での分析を行うことができる。これにより、SKUを一層適切に制御することが期待できる。
【0114】
さらにまた、情報処理装置10は、予め商品棚から削除しない商品に関する情報である非削除商品情報を取得し、決定ステップにおいて、非削除商品情報に係る商品を除外した商品の中から前記カット商品を決定してもよい。これにより、販売戦略上重要な商品である戦略品や、プライベートブランド商品、新商品、売上高ランク品、用途漏れ品など、販売において必須となる商品については商品棚に残した上でSKUを適切に制御することが期待できる。
【0115】
また、情報処理装置10は、決定ステップにおいて、特定の前記商品を商品棚から削除するカット商品と仮定した場合に顧客の離脱が発生する割合である離脱率を算出し、当該離脱率が最も低い商品と、当該離脱率が2番目に低い商品との当該離脱率の差が所定の閾値よりも小さい場合、所定の評価に基いてカット商品の候補を決定する。これにより、離脱率の差が小さい商品同士の場合においては、離脱率だけでなく他の要素も考慮して決定することができるので、より実態に即したSKUの制御を行うことが期待できる。
【0116】
さらに、情報処理装置10は、決定ステップにおいて、カット商品の候補ごとの離脱率の累計が所定の閾値以下である場合に、当該候補をカット商品として決定する。したがって、商品棚全体の離脱率を考慮した上でカット商品を決定できるので、SKUをより一層適切に制御することが期待できる。
【0117】
今回開示された実施形態は例示であり、制限的なものではない。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0118】
また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
1 棚割最適化システム
10 情報処理装置(購買情報取得装置及び棚割制御装置)
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
30 端末装置(出力装置)
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
34 操作部
35 表示部
101 プロセッサ
102 メモリ
103 ストレージ
104 通信I/F
105 入出力I/F
106 ドライブ装置
107 入力装置
108 出力装置
120 クラスタ情報記憶部
121 店舗情報記憶部
122 潜在因子行列記憶部
123 カットSKU記憶部
124 サーバプログラム
125 購買情報
130 クラスタリング部
131 潜在因子行列学習部
132 カットSKU決定部
301 プロセッサ
302 メモリ
303 ストレージ
304 通信I/F
305 入出力I/F
307 入力装置
308 出力装置
320 ユーザプログラム
330 表示制御部
331 条件取得部