(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118988
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】捕虫器
(51)【国際特許分類】
A01M 1/06 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
A01M1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025637
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】517032783
【氏名又は名称】株式会社ピーケア
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂戸 孝志
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA12
2B121BA38
2B121BA39
2B121BA51
2B121EA01
2B121FA01
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】既存の送風機に取り付け可能であって、捕虫器を送風機に取り付ければ、虫を誘い集めるための誘引装置も自ずと適切な位置に配置できる。
【解決手段】捕虫器は、送風機に着脱可能に取付け可能な捕虫網と、虫を誘う誘引装置と、誘引装置を捕虫網に着脱可能に取り付け保持する保持具とを有する。保持具は、誘引装置が送風機の吸気側の空間に誘引刺激を提供できるように、誘引装置の配置と姿勢を適切に保持する。捕虫網は、送風機のガードの吸気側を囲む開口部を有し、開口部から侵入した虫を内部に捕集可能である。捕虫網は、送風機に取付けられたままで、内部に溜まった虫を捨てられるように、開閉可能な排出口を有してよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機に着脱可能に取付けられる捕虫網と、
虫を誘う刺激を発生する誘引装置と、
前記誘引装置を前記捕虫網に着脱可能に取り付ける保持具と、を備え、
前記捕虫網が前記送風機に取付けられた状態において、前記保持具が、前記刺激を前記送風機の吸気側の周辺に提供し得る配置と姿勢で前記誘引装置を保持する捕虫器。
【請求項2】
前記保持具が、前記捕虫網に設けられる請求項1記載の捕虫器。
【請求項3】
前記保持具が、前記誘引装置に設けられ、前記捕虫網に着脱可能に取り付け得るように構成される請求項1記載の捕虫器。
【請求項4】
前記保持具が、前記誘引装置を着脱可能に保持し得るとともに、前記捕虫網に着脱可能に取り付け得るように構成される請求項1記載の捕虫器。
【請求項5】
送風機に着脱可能に取付けられる捕虫網を備え、
前記捕虫網が、前記送風機に着脱可能に取付けられる取付け部と、袋状の本体と、前記本体を前記取付け部に接続・分離可能に接続する接続部とを有する捕虫器。
【請求項6】
送風機に着脱可能に取付けられる捕虫網を備え、
前記捕虫網が、前記送風機に着脱可能に取付けられる取付け部と、前記取付け部に繋がる袋状の本体と、前記本体の内部に溜まった虫を捨てるための開閉可能な排出口とを有する捕虫器。
【請求項7】
送風機に着脱可能に取付けられる捕虫網を備え、
前記捕虫網が、前記送風機に着脱可能に取付けられる取付け部と、前記取付け部に繋がる袋状の本体と、前記本体から外方に突出するように前記本体に接続された虫溜部とを有する捕虫器。
【請求項8】
前記虫溜部が、内部に溜まった虫を捨てるための開閉可能な排出口を有する請求項7に記載の捕虫器。
【請求項9】
送風機に着脱可能に取付けられる捕虫網を備え、
前記捕虫網が、前記送風機に着脱可能に取付けられる取付け部と、前記取付け部に繋がる袋状の本体と、虫を溜めて捨てるための袋を前記本体に接続・分離可能に装着するための装着部とを有する捕虫器。
【請求項10】
前記誘引装置が、電気エネルギーで駆動されて前記刺激を発する電気回路と、外部電源に接続されて前記電気回路に給電する主電線と、前記主電線から前記送風機に分電可能に構成された分電ユニットとを有する請求項1ないし9のいずれか1項に記載の捕虫器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送風部と捕集部とからなる蚊捕集具が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の蚊捕集具は、送風部と、送風部に着脱可能に取り付けられる補集部と、から構成される。送風部による風が周囲の蚊を補集部内に引きこみ、捉えるようなっている。
【0005】
また、蚊以外の害虫も捕集したい場合の例として、送風部に誘引具を設けた態様が開示されている。
【0006】
ところで、厩舎や家畜小屋や農業施設等は、馬、牛・豚・鶏等の家畜、農作物や肥料等が存在し、蠅や蚊その他の害虫に好まれる環境である。このため、これら害虫の対策が必要となっている。一方、これらの施設には、暑さ対策や換気等の目的で、送風機が設置されている場合が多い。
【0007】
上記蚊捕集具のような従来の捕虫器を設置しようとする場合、送風機とは別に捕虫器を設置する場所が必要となる。特に、上記した施設は害虫に好まれる環境であるため、たくさんの捕虫器を設置する必要がある。また、上記した施設は、大型の送風機を設置している場合も多い。このため、既存の送風機を利用した捕虫器が望まれている。
【0008】
また、誘引装置は、虫を捕集しやすい効果的な配置場所に配置する必要がある。
【0009】
本発明の一つの目的は、既存の送風機に取り付け可能であって、捕虫器を送風機に取り付ければ、虫を誘う誘引装置も自ずと適切な位置に配置される、使い勝手のよい捕虫器を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、後の説明により明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一実施形態に従う捕虫器は、送風機に着脱可能に取付けられる捕虫網と、虫を誘う刺激を発生する誘引装置と、誘引装置を捕虫網に着脱可能に取り付ける保持具と、を備える。捕虫網が送風機に取付けられた状態において、保持具が、刺激を送風機の吸気側の周辺に提供し得る配置と姿勢で誘引装置を保持する。
【0012】
保持具が捕虫網に設けられてよい。あるいは、保持具が誘引装置に設けられて、捕虫網に着脱可能に取り付け得るように構成されてよい。あるいは、保持具が、捕虫網および誘引装置から分離された部品として用意され、誘引装置を着脱可能に保持し得るとともに、捕虫網に着脱可能に取り付け得るように構成されてよい。
【0013】
本開示の別の一実施形態に従う捕虫器は、送風機に着脱可能に取付けられる捕虫網を備え、捕虫網が、送風機に着脱可能に取付けられる取付け部と、袋状の本体と、本体を取付け部に接続・分離可能に接続する接続部とを有する。
【0014】
本開示のまた別の一実施形態に従う捕虫器は、送風機に着脱可能に取付けられる捕虫網を備え、捕虫網が、送風機に着脱可能に取付けられる取付け部と、取付け部に繋がる袋状の本体と、本体の内部に溜まった虫を捨てるための開閉可能な排出口とを有する。
【0015】
本開示のさらに別の一実施形態に従う捕虫器は、送風機に着脱可能に取付けられる捕虫網を備え、捕虫網が、送風機に着脱可能に取付けられる取付け部と、取付け部に繋がる袋状の本体と、本体から外方に突出するように本体に接続された虫溜部とを有する。
【0016】
上記虫溜部が、内部に溜まった虫を捨てるための開閉可能な排出口を有してよい。
【0017】
本開示のまたさらに別の一実施形態に従う捕虫器は、送風機に着脱可能に取付けられる捕虫網を備え、捕虫網が、送風機に着脱可能に取付けられる取付け部と、取付け部に繋がる袋状の本体と、虫を溜めて捨てるための袋を前記本体に接続・分離可能に装着するための装着部とを有する。
【0018】
上記誘引装置が、電気エネルギーで駆動されて前記刺激を発する電気回路と、外部電源に接続されて電気回路に給電する主電線と、主電線から送風機に分電可能に構成された分電ユニットとを有してよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る捕虫器の概略側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る捕虫器の概略斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る捕虫器の概略側面図である。
【
図6】第2実施形態に係る捕虫器の概略斜視図である。
【
図9】第2実施形態における本体の別の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のいくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、
図1,2を用いて第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態に係る捕虫器1の概略側面図であり、送風機100に捕虫器1が取り付けられた状態を示している。
図2は、第1実施形態に係る捕虫器1の概略斜視図である。
【0021】
捕虫器1は、使用場所を限定するものではないが、主には、厩舎や家畜小屋、養殖場等の動物を飼育する施設等、害虫が多く発生する場所で使用され得る。また、例えば、捕虫器1は、野菜や果樹その他の食料品等を害虫から防護するため、例えば農場施設、生産施設等の施設等で使用されてもよい。捕虫器1は、蠅や蚊その他種類を問わず害虫を駆除する目的で使用される。
【0022】
捕虫器1は、送風機100に取り付けて使用される。送風機100は、本発明の必須の構成要素ではなく、既存の送風機100であってよい。送風機100は、施設内に吊り下げられたり、地面に置かれる等、その用途に応じたさまざまな態様で配置される。
【0023】
なお、
図1では、送風機100として、送風機の本体の概略を示しており(点線で示す)、本体を支持する支持部や駆動のための給電構造等は図示を省略している。送風機100は、例えば、ファン101と、ガード105と、ファン101を駆動するモータ等を含む駆動部品(図は、駆動部品が収容されるハウジング)103を備える。
【0024】
ガード105は、ファン101を収容し、ファン101の回転により発生する風27を通すものであればよく、例えば、風27の送風側の前ガード105aと、風27の吸気側の後ガード105bとを含む。なお、図では、風27の送風方向を一点鎖線で示している。
【0025】
捕虫器1は、捕虫網3と、誘引装置5とを有する。捕虫網3は、送風機100に着脱可能に取付け可能であり、送風機100の風27によって、捕虫網3の周囲の虫を捕虫網3の内部に引き込み捕集する。誘引装置5は、捕虫網3の周囲(特にその開口部9の周辺)に虫をおびき寄せるための装置である。誘引装置5は、例えば、捕虫網3に着脱可能に取り付けられてよい。
【0026】
誘引装置5は、例えば、虫の好む光、香り、音、超音波等の所定の刺激(虫に対する刺激である。以下、単に刺激という。)を発生させる装置である。誘引装置5は捕虫網3に着脱可能に取り付けられ、捕虫網3の開口部9の周囲(特に送風機100の吸気側の後ガード105bの周辺)に刺激を提供し得る位置に配置されるのが望ましい。
図1は、誘引装置5の一例としての紫外線灯と、紫外線灯よる刺激(紫外線)が照射される領域(以下、誘引領域という。)7の位置を例示している。
【0027】
誘引装置5によって、誘引領域7に虫が誘われ、風27(送風機100による吸引)によって、誘引領域7内の虫が捕虫網3の内部に引きこまれる。
【0028】
図3は、誘引装置5が紫外線ランプのような電気エネルギーで駆動されるものである場合における、誘引装置5の給電システムの一例を示す。誘引装置5は、例えば、外部の電源ソケット(図示なし)に接続される主電源プラグ75と、電気エネルギーで駆動されて紫外線などの刺激を発する電気回路73と、主電源プラグ75から電気回路73に電気エネルギーを供給する主電線81備えた電源コード77とを有する。誘引装置5は、さらに、主電源プラグ75からの電気エネルギーを他の電気駆動装置(例えば、送風機100)に供給可能な分電ユニット(例えば、副電源ソケット)79を備えてよい。分電ユニット79は、主電線81から分岐する分電線83に接続される。分電ユニット79には、他の装置(例えば、送風機100)の電源プラグ(図示なし)が差し込まれ得る。
【0029】
分電ユニット79は、例えば、
図3aに示されるように、誘引装置5の筐体71に設けられもよいし、
図3bに示されるように、誘引装置5の筐体71から離れた位置(例えば、電源コード77)に設けられてもよい。
【0030】
誘引装置5が分電ユニット79を有することにより、厩舎などの施設に設備された1つの電源ソケットからの給電で、誘引装置5と送風機100(又はその他の装置)の双方を駆動することができる。
【0031】
図1、2の説明に戻る。捕虫網3は、例えば、一端に開口部9を有し、開口部9から侵入した虫を内部に捕集可能なように構成される。例えば、捕虫網3は、開口部9を有する袋状である。捕虫網3は、柔軟なものでも剛体でもよく、どのような材質であってもよい。ミスト吹出し機能をもつ送風機100に適用する場合、捕虫網3は吸水性のない撥水性又は防水性をもつ材料製が好ましい。捕虫網3は、例えば、送風機100に取り付けられる帯環状の取付け部11と、虫を捕集する袋状の本体13と、誘引装置5を保持する保持具19とを有する。捕虫網3は、例えば、開口部9を前端にもつ帯環状の取付け部11の後端に、袋状の本体13の開口縁が連接されたものであって、全体として開口部9を有する袋状となる。
【0032】
捕虫網3は、取付け部11の前縁部と後縁部にそれぞれ第1、第2固定具15,17を有する。図示の例では、第1、第2固定具15,17は、取付け部11の前縁部と後縁部の径をより細く絞れるように、前縁部と後縁部の全周に通された伸縮材(例えばゴム)リング又は紐リングである。送風機100のガード105の最大径の部分(例えば、前ガード105aと後ガード105bの結合部)の外周囲に取付け部11が被せれられて、取付け部11の前縁部と後縁部の径が第1、第2固定具15,17により適度に細く絞られることにより、捕虫網3が送風機100に固定されることになる。なお、この固定方法は一つの例示であり、別の固定方法を用いてもよい(例えば、取付け部11の周に沿った複数位置に設けられた留め具、フック又は結び紐を、ガード105のフレームに留める、引っ掛ける又は結びつける、など)。捕虫網3が送風機100に適切に取付けられると、開口部9が送風機100の吸気側(後ガード105bの側)に位置し、捕虫網3の本体13が送風機100の送風側(前ガード105a側)に位置する。なお、
図1及び2は、本体13が風27によくなびいて直線状に伸びた状態を示している。風27により、ファン101の吸気側から送風側に引き込まれた虫を、捕虫網3の本体13内に捕集することができる。
【0033】
本体13は、通気性がありかつ虫を捕集できるよう、前端に開口を有し、後端が閉じられた袋である。典型的には、本体13は、風を良く通すが捕捉対象の虫は通さないサイズの網目を有する網袋である。
【0034】
また、本体13の一部又は全部が取付け部11に対して着脱可能になっていてあってよい。
図1及び2に示した実施形態は、本体13の一部(後方部分)を着脱可能にするための接続部25を有する。本体13は、例えば、取付け部11から連続する筒状の基部21と、基部21の後方にある袋状の袋部23と、基部21の後端の開口縁と袋部23の前端の開口縁を開閉可能又は接続・分離可能に接続する輪状の接続部25とを備える。接続部25は、例えば、面ファスナー、スライドファスナー、ボタン又はフォック、その他の開閉可能な接続部品により実現されてよい。
【0035】
接続部25を閉じることにより、基部21と袋部23とが接続されて本体13が全体として一つの袋となる。接続部25を開くことで、基部21から(取付け部11から)袋部23を分離して、本体13を二分割することができる。捕虫網3の袋部23を他の部分から分離することで、袋部23内に溜まった虫29(多くは虫の死骸)を捨てたり、網目にゴミや埃が溜まった袋部23を洗濯するなどのメンテナンスが、捕虫器1を送風機100から取り外すことなく手軽にできる。なお、接続部25の一部だけを開いて本体13の腹に穴を開け、その穴を通じて、捕虫網3内に溜まった虫29を捨てることも可能である。
【0036】
変形例として、接続部25が、取付け部11と本体13の境界に設けられていてもよい。つまり、本体13の全体が取付け部11に着脱可能になっていてもよい。この場合、接続部25を開くことで、本体13の全体を取付け部11から分離できる。なお、取付け部11は、本体13と同様の通気性を持つ網などの材質であってもよいし、通気性の無い又は小さい別材質であってもよい。
【0037】
捕虫網3の開口部9に近い個所、例えば、取付け部11に、そこに誘引装置5取り付けて保持するための保持具19が設けられる。保持具19は、例えば、取付け部11の外周の少なくとも一部に設けられる。保持具19により誘引装置5が捕虫網3に取付けられ、かつ、捕虫網3が送風機100に取付けられた状態で、送風機100の吸引側(開口部9)の周辺に誘引装置5からの誘引領域7が形成されるように、保持具19が誘引装置5の配置と姿勢を保つことが望ましい。図示例では、送風機100に捕虫器1を取付けたときに、保持具19がガード105上方に位置することができ、そして、誘引装置5の誘引領域7が開口部9(送風機100の吸引側)の正面に来るように、保持具19が誘引装置5の姿勢を保持している。
【0038】
なお、保持具19は、前述の例に限られず、捕虫網3のいかなる位置に設けられてもよいが、保持具19の位置を工夫することで、誘引装置5が発生する刺激を効果的に使うことができる。例えば、紫外線灯を用いた誘引装置5は、風27の影響をほとんど受けないため、取付け部11の近傍に配置されてよい。一方、香りや音等の刺激を発生させる誘引装置5の場合は、風27等の影響を受けやすいため、取付け部11から適度に離れて配置さることが望ましい。このような誘引装置5の性質に応じた好ましい配置ができるように、保持具19の構造や位置が選ばれることが望ましい。
【0039】
図示の例では、保持具19は、取付け部11の一か所の外面に設けられ、誘引装置5を着脱可能に保持する。例えば、
図2に示すように、保持具19は、取付け部11の外面に設けれらた筒状、トンネル状又はポケット状の、光を通す網製又は透明シート製の容器で、誘引装置5を挿抜可能に収容できる。
【0040】
なお、図では、説明のため、筒状の保持具19に棒状の誘引装置5を収容する例を示したが、誘引装置5の形状や大きさはどのようなものでもよく、保持具19は、誘引装置5を保持でき得る形状や大きさであればよい。保持具19が誘引装置5を保持する方法は、図示のような容器に収容する方法に限られず、マグネット、フック、面ファスナー、ベルト、紐、フォック、ボタンなどで誘引装置5を捕虫網3の適宜位置に取付け保持してもよい。
【0041】
次に、送風機100に捕虫器1を取り付ける方法を説明する。作業者は、例えば、捕虫網3を、送風機100の前ガード105a側からガード105に覆い被せて、吸気側(後ガード105b側)に開口部9を位置させる。その後、作業者は、第1、第2固定具15、17を締結する。作業者は、また、保持具19を用いて誘引装置5を捕虫網3を固定する。作業者は、また、誘引装置5の電源プラグ75を外部の電源ソケットに接続する。作業者は、また、誘引装置5の分電ユニット79に送風機100の電源プラグ(図示せず)を接続する。
【0042】
あるいは、作業者は、袋部23が取り外された状態の捕虫網3を送風機100のガード105に取り付け、その後、接続部25を介して袋部23を本体13に取り付けてもよい。このようにすることで、特に送風機100が大型の場合、送風機100への捕虫器1の取付け作業が簡易になる。
【0043】
本実施形態に係る捕虫器1は、既存の送風機100を利用して、簡易かつ効果的に虫を捕集することができる。既に送風機100を設置している施設においては、捕虫器1独自の設置場所を別途に確保する必要がない。また、送風機100に捕虫器1を取り付ければ、自ずと誘引装置5が虫を誘う適切な場所に配置されるから、作業者は誘引装置5の配置場所や固定手段を別途に確保する必要がない。
【0044】
本実施形態では、取付け部11が両端に開口を有する筒状体であるが、これに限られない。例えば、取付け部11が虫が通り抜け可能なサイズの網目をもつ網材で作られていれば、取付け部11は、その両端に開口をもつ筒状体ではなくてよく、例えば、後ガード105bの全面に覆うようなものであってもよい。
【0045】
図4は、本体13の変形例を示す。本体13は、接続部25に代えて又は加えて、本体13の一部に排出口(廃棄部)30を備えてよい。排出口30は、開閉可能であることが望ましい。例えば、排出口30の開閉は、面ファスナー、スライドファスナー、ボタン、フォック、又は紐くくり(巾着の口のような構造)などの方法により実現され得る。排出口30は、例えば、捕虫器1を送風機100に取り付けたときに本体13の下部に配置されるのが望ましい。
【0046】
排出口30を通じて、捕虫網3内に溜まった虫29(多くは死骸)を簡単に捨てることができる。なお、
図4の本体13は、接続部25に代えて排出口30を備えた例であるが、例えば、
図1,2に示す接続部25を有する本体13に、排出口30を設けるようにしてもよい。
【0047】
<第2実施形態>
【0048】
次に、
図5,6を用いて第2実施形態に係る捕虫器1を説明する。
図5は、第2実施形態に係る捕虫器1の概略側面図であり、送風機100に捕虫器1が取り付けられた状態を示している。
図6は、第2実施形態に係る捕虫器1の概略斜視図である。以下では、第1実施形態と異なる部分のみを参照番号を用いて説明し、第1実施形態と同じ部分については説明を省略する。
【0049】
本実施形態の本体13は、(
図1、2に示した袋部23に代えて)袋部230を有する。本体13(袋部230)には、捕集した虫29の死骸を溜めるための虫溜部31が設けられる。
【0050】
虫溜部31は、例えば、本体13が風27になびいて直線的に伸びた筒のようになった状態において、その筒から外方へ(とくに下方へ)突出するように(つまり、本体13内の下部を通る風33から外れるように)配置されてよい。本体13内に虫29の死骸が大量に溜まっても、それが外方(下方)へ突出した虫溜部31に収容されるので、本体13の風27,33の通りが悪化しにくい。
【0051】
本実施形態の捕虫器1では、誘引装置5を捕虫網3に接続し保持するための保持具35が、誘引装置5に設けられる。例えば、保持具35は、捕虫網3の取付け部11に引っ掛かって、誘引装置5を保持することが可能なフックである。フック状の保持具35により、送風機100の吸引側(後ガード105b側)に誘引領域7が位置するように、誘引装置5を配置することができる。なお、保持具35は、フック状のものに限られず、捕虫網3に着脱可能に構成されていれば、面ファスナー、結び紐、マグネットなど、いろいろな方法によるものであってよい。
【0052】
図7は、保持具の変形例を示す。
図7に示す保持具53は、誘引装置5から分離され、誘引装置5を保持可能で、かつ捕虫網3に着脱可能な形状を有した、一種の誘引装置ホルダーである。例えば、保持具53は、誘引装置5を配置可能な台座53aと、取付け部11に引っ掛けて保持することが可能なフック部53bとを有する。
【0053】
また、別の保持具55もあり、この保持具55は、誘引装置として、例えば、虫を誘引する香りが放出される放香装置51を保持するホルダーである。例えば、保持具55は、誘引装置5を配置可能な台座55aと、取付け部11に引っ掛けて保持することが可能なフック部55bとを有する。図示の例では、保持具55は、放香装置51を送風機100の近くに配置しているが、誘引香が風27の影響を受けにくくするために、放香装置51を送風機100から適当な距離だけ離れた位置に配置できる構造になっていてもよい。
【0054】
図8は、本体13の変形例を示す。本体13は、接続部25に代えて又は加えて、虫溜部31の一部を開閉可能な排出口37を備えている。例えば、排出口37の開閉は、面ファスナー、スライドファスナー、ボタン又はフォック、その他の方法により実現され得る。排出口37は、虫溜部31の下部に設けられるのが望ましい。排出口37により、捕虫器1を送風機100に取り付けた状態のまま、捕集した虫29の死骸を簡単に捨てることができる。また、排出口37が、虫溜部31の下部に配置されることにより、風33の影響をあまり受けずに、捕集した虫29の死骸を簡単に捨てることができる。なお、
図8の本体13は、接続部25に代えて排出口37を備えた例であるが、例えば、
図5,6に示す接続部25を有する本体13の虫溜部31に、排出口37を設けるようにしてもよい。
【0055】
図9は、本体13の別の変形例を示す。本例では、虫溜部31に代えて、捕集した虫29の死骸を収容する虫溜袋41が本体13に着脱可能に取り付けられる。虫溜袋41は、本体13とは別体でよく、例えば、使い捨てのごみ袋等であってもよい。
【0056】
捕虫網3は、本体13に虫溜袋41を着脱可能に装着するための第1、第2装着部43、45を有する。装着部43,45は、例えば、一対の環状部材であってよい。例えば、本体13に開口39が形成され、開口39の縁部に環状の第1装着部43が設けられる。そして、第2装着部45が虫溜袋41の口付近に外装された状態で、第1、第2装着部43、45間に虫溜袋41を挟むようにして、第2装着部45が第1装着部43に外嵌されることで、虫溜袋41が本体13に装着される。第1装着部43は、例えば、捕虫器1を送風機100に取り付けた(本体13が風27になびいた)状態のときに、本体13の下部に配置されるのが望ましい。
【0057】
虫29の死骸が虫溜袋41内に溜まるので、虫溜袋41を本体13から外して捨てることで、捕集した虫29の死骸を簡単に捨てることができる。また、虫溜袋41を本体13の下部に保持することにより、風33の影響をあまり受けずに、捕集した虫29の死骸を簡単に捨てることができる。さらに、虫溜袋41として使い捨ての袋を用いると、捕集した虫29の死骸の廃棄がいっそう簡易にできる。
【0058】
なお、
図9の本体13は、接続部25に代えて虫溜袋41及び装着部43,45を備えた例であるが、例えば、
図5,6に示す接続部25を有する本体13に、虫溜袋41及び装着部43,45を設けるようにしてもよい。
【0059】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、この他にも様々な変形例が含まれる。上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることもできる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1:捕虫器、 3:捕虫網、 5:誘引装置(紫外線灯)、7:誘引領域、9:開口部、11:取付け部、13:本体、15,17:装着部、19:保持具、21:基部、 23:袋部、25:接続部、27:風、29:虫、30:排出口、31:虫溜部、33:風、35:保持具、37:排出口、39:開口、41:虫溜袋、43:第1保持具、45:第2保持具、51:放香装置、53,55:保持具、71:筐体、73:電気回路、75:主電源プラグ、79:分電ユニット(副電源ソケット)、81:主電線、83:分電線、100:送風機、101:ファン、103:駆動部品、105:ガード、105a:前ガード、105b:後ガード、230:本体