(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118991
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】飛行体用の離着陸場、離着陸場の施工方法
(51)【国際特許分類】
E01F 3/00 20060101AFI20240826BHJP
E04H 6/44 20060101ALI20240826BHJP
E01C 9/08 20060101ALI20240826BHJP
B64F 1/12 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
E01F3/00
E04H6/44
E01C9/08 Z
B64F1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025645
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】510262150
【氏名又は名称】エアロファシリティー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522299403
【氏名又は名称】アドハ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522299403
【氏名又は名称】アドハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147348
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】木下 幹巳
(72)【発明者】
【氏名】木山 晋哉
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AB01
2D051AF09
2D051AF10
2D051AF12
2D051AG03
2D051AG11
2D051AH01
2D051EA02
2D051EA03
(57)【要約】
【課題】飛行体の離着陸場であって、離着陸面の強度を増すこと、離着陸場基部や離着陸場設置個所(建物)の破壊や損傷を防止すること、安全な離着陸を可能とすることのいずれかまたは全てを実現する飛行体の離着陸場を提供すること。
【解決手段】飛行体用の離着陸場であって、離着陸場の基となる離着陸場基部と、前記離着陸場基部の上面を覆うように形成されるポリウレア樹脂を含む補強層とを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-離着陸場の基となる離着陸場基部と、
-前記離着陸場基部の上面を覆うように形成されるポリウレア樹脂を含む補強層と
を有する飛行体用の離着陸場。
【請求項2】
前記ポリウレア樹脂を含む補強層に含入させた繊維素材を有する請求項1に記載の飛行体用の離着陸場。
【請求項3】
前記ポリウレア樹脂を含む補強層に含入された、または前記ポリウレア樹脂を含む補強層の表面に吹き付けされた微粒子を有する請求項1に記載の飛行体用の離着陸場。
【請求項4】
前記ポリウレア樹脂を含む補強層を、前記離着陸場の中央部分にのみ設けたことを特徴とする請求項1に記載の飛行体用の離着陸場。
【請求項5】
前記離着陸場基部と前記補強層としてのポリウレア樹脂との間に、衝撃吸収層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の飛行体用の離着陸場。
【請求項6】
前記離着陸場基部と前記補強層としてのポリウレア樹脂の塗膜を前記離着陸場基部の側面または底面まで延伸させて設けたことを特徴とする請求項1に記載の飛行体用の離着陸場。
【請求項7】
前記離着陸場基部の表面に前記ポリウレア樹脂の注入可能な穴部及び/又は溝部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の飛行体用の離着陸場。。
【請求項8】
前記離着陸場基部の上面と前記ポリウレア樹脂を含む補強層との間に補強のための鋼材を有することを特徴とする請求項1に記載の飛行体用の離着陸場。
【請求項9】
前記ポリウレア樹脂の表面に、防汚処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の飛行体用の離着陸場。
【請求項10】
前記ポリウレア樹脂の上面に、不燃性が証明されている不燃ポリウレア樹脂塗装部を有する請求項1に記載の飛行体用の離着陸場。
【請求項11】
前記ポリウレア樹脂の補強層が、複数の予め形成されたポリウレア樹脂の平板状部材と、該平板状部材の隙間を埋め、かつ、前記離着陸場基部に固着させるためのポリウレア樹脂塗布部とを有することを特徴とする請求項1に記載の飛行体用の離着陸場。
【請求項12】
飛行体用の離着陸場を補強するために、離着陸場の基となる離着陸場基部の上面を覆うように、ポリウレア樹脂を含む補強層を形成する飛行体用の離着陸場の施工方法であって、
2液混合して重合反応させるために、
-高圧環境下スプレーガンの中で2液を衝突混合して1液化したミストをスプレーする方法、
-スタティックミキサーの中で2液混合して1液化した液をエアーでミスト化してスプレーする方法
のいずれかであることを特徴とする飛行体用の離着陸場の施工方法。
【請求項13】
飛行体用の離着陸場を補強するために、離着陸場の基となる離着陸場基部の上面を覆うように、ポリウレア樹脂を含む補強層を形成する際に繊維素材を含入させる飛行体用の離着陸場の施工方法であって、
a)前記繊維素材を繊維の間隔を広げた格子状の織物状態とし、該織物を離着陸場基部の表面に敷設した後、ポリウレア樹脂塗装を行う方法。
b)離着陸場基部の表面に第1層目のポリウレア樹脂塗装し、その表面に繊維の間隔を広げた格子状の織物状態の前記繊維素材を敷設した後、該織物をポリウレア樹脂塗膜に内包させるように第2層目のポリウレア樹脂塗装を行う方法。
c)前記繊維をポリウレア樹脂吹付け塗装時に、同時に混合吹付け塗装を行う方法。
のいずれか一つの方法であることを特徴とする飛行体用の離着陸場の施工方法。
【請求項14】
飛行体用の離着陸場を補強するための飛行体用の離着陸場の施工方法であって、
-離着陸場の基となる離着陸場基部の上面に鋼材補強をするステップと、
-その後、補強された鋼材の上部にポリウレア樹脂を含む補強層を形成するステップと
を有することを特徴とする飛行体用の離着陸場の施工方法。
【請求項15】
飛行体用の離着陸場の長寿命化のために、ポリウレア樹脂からなる補強層の表面に、防汚処理を行うステップを有することを特徴とする飛行体用の離着陸場の施工方法。
【請求項16】
飛行体用の離着陸場の安全性の向上のために、ポリウエア樹脂からなる補強層の上面に、不燃性が証明されている不燃ポリウレア樹脂を塗装するステップを有することを特徴とする飛行体用の離着陸場の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直離着陸機などの飛行体用の離着陸場及び離着陸場の施工方法に関し、特に、基部の上部を強化したことを特徴とする離着陸場に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VTOL(Vertical Take-Off and Landing aircraft)と呼ばれる飛行体の需要が拡大しつつある。垂直離着陸機は全く滑走しないで垂直方向に離着陸する航空機(飛行体)であり、有人機では、「空飛ぶクルマ」「空飛ぶタクシー」として実用化に近づいており、無人機ではドローンによる物品の配送などに広く使われ始めている。
【0003】
なお、本発明において、飛行体とは、垂直離着陸機のほかに、ヘリコプターなど、垂直ではない離着陸勾配を有するものも含まれるものとする。
【0004】
将来的な垂直離着陸機の普及に伴い、垂直離着陸機の離着陸場が多数必要となる。そのような状況の下で、既存のビルなどの建造物の屋上に離着陸場を設けることができれば、利用者にとって極めて便利であり、運航者にとっても利用の拡大が期待でき、垂直離着陸機の普及が急速に進むものと思われる。
【0005】
しかしながら、現在建屋屋上などに設けられ また、ている、緊急離着陸場(Hマーク)や緊急救助用スペース(Rマーク)は、硬着陸時の耐荷重はおろか、通常着陸の荷重を繰返し使用として耐える耐荷重を満足していない。
【0006】
特に、屋上などに設置されたコンクリー製の離着陸場(ヘリポートなど)は、衝撃荷重によって表面のコンクリートが欠けてしまうことがあり、このコンクリートの欠片が飛行体のダウンウォッシュによって飛ばされると危険である。
【0007】
またコンクリートが欠けることにより防水層を痛めてしまえば長期的には鉄筋爆裂などにより鉄筋コンクリート自体の強度がなくなることがある。
【0008】
今後、屋上などの離着陸場における飛行体の離発着が増加しそうな状況であり、既存のコンクリート製の離着陸場を補強する必要がある。
【0009】
また、既存建物の屋上の場合、クレーンを使わずに、人力のみで比較的簡易にコンクリートの補強ができることが望ましい。
【0010】
更に背景技術の詳細について説明する。このような需要の増大から、「H」マークや「R」マークを、飛行体の繰返し離着陸、ひいては硬着陸を可能とする離着陸場への改修方法が求められている。
【0011】
特に、建屋屋上に施工されている防水押えコンクリートは、その目的(防水層の保護)のため、強度が低く、普通コンクリートに比べ軽量のコンクリートが採用されている。その強度の低いコンクリート上面に、緊急離着陸場(Hマーク)や緊急救助用スペース(Rマーク)が設けられている場合が多い。
【0012】
緊急離着陸場は、火災の場合に緊急的に使用が認められるものであり、生涯に1度使用されるかどうかの施設である。また、緊急救助用スペース(Rマーク)に関しては救助用のホバリングスペースであり、どちらも繰り返しの離着陸荷重を想定していない。
【0013】
現状そのような施設に繰り返しの離着陸荷重を掛けることは、コンクリートにクラックが発生したり、破砕片が欠落し、防水層の損傷や垂直離着陸機の離着陸時のダウンウォッシュによるコンクリート片飛散による二次災害を引き起こす可能性が高い。これらの施設を、飛行体の離着陸場に改修する方法が強く求められている。
【0014】
なお、特許文献1には、道路、道、及び他の交通用の面の上層を製造する方法であって、 無機材料及びポリウレタン反応混合物(イソシアネート基を含む)及び、所望により、更なる添加剤を含む混合物を製造し、該混合物を基礎材料上に施し、施した混合物を少なくとも5N/cm2の押圧力で圧縮し、及び硬化させる処理が行われ、且つ、溶媒が使用されないことを特徴とする方法に関する技術思想が開示され、更に、このような方法によって得られる道路、道、及び他の交通用の面(滑走路を含む)のための上層に関する技術思想が開示されている。
【0015】
しかしながら、特許文献1はポリウレタン反応混合物を用いるとされているが、ポリウレタンは加水分解されることから長期に性能を維持することが困難であるという問題点がある。
【0016】
また、特許文献2には、連続した強化繊維を含むシート状の或いは板状の強化繊維含有材料(繊維シート)を使用して、梁及び桁部材、更には、壁、柱、床版等のスラブ部材など、建築、土木建造物であるコンクリート構造物を補修補強するコンクリート構造物の補強方法及び補強構造体、並びに、コンクリート構造物補強用弾性層形成材に関する技術思想が記載されている。
【0017】
ここで、補強用弾性層としては ポリウレア樹脂パテ剤が好適であるとされる。その理由は、ポリウレア樹脂パテ剤は、コンクリート構造物補強用弾性層形成材として使用し、剥離防止、補修補強効果を達成することができ、定着強度、曲げ強度(耐力)及び靭性を増大させ、コンクリート構造物の補強工法に極めて好適に使用し得るためである。
【0018】
しかしながら、特許文献2では、コンクリート構造物の表面に弾性層としてポリウレア樹脂パテ剤を塗布し、それが硬化した後に、接着剤を用いて繊維シートを接着する方法を採用しており、構成や工程が複雑であり、施工時間も長いなど、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特表2010-538954号公報
【特許文献2】特許第478661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこで上記の問題点に鑑み、発明が解決しようとする課題は、飛行体の離着陸場であって、離着陸面の強度を増すこと、離着陸場基部や離着陸場設置個所(建物)の破壊や損傷を防止すること、安全な離着陸を可能とすることのいずれかまたは全てを実現する飛行体の離着陸場を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る第1の態様は、飛行体用の離着陸場であって、
-離着陸場の基となる離着陸場基部と、
-前記離着陸場基部の上面を覆うように形成されるポリウレア樹脂を含む補強層と
を有することを特徴とする。
【0022】
ここで、ポリウレア樹脂とは、イソシアネートとアミンとの化学反応によって生成される樹脂化合物であり、作業現場においてスプレーガンで混合衝突させて塗布することによって被覆層(塗膜)を形成することができるものであり、防水・防食性が高く、耐薬品性、耐摩耗性、耐衝撃性に優れており、また、環境安全性が高いことから狭い場所での施工も安全であり、速乾性であることから工期の短縮も図れるなどの利点を有している。
【0023】
また、施工するための材料やスプレーガンやタンクのような器具には大型から小型なものまで様々なタイプの製品があるが、小型のものは通常のエレベータで運搬することができ、屋上施工の場合に、大掛かりな準備を必要としないという利点もある。
【0024】
ここで、本発明に使用するポリウレア樹脂を含む補強層を形成する方法は、塗装によるものであることが好適である。
【0025】
具体的にはウレタンやエポキシと同様の2液を混合して重合反応を進行させてポリウレア塗膜を生成する。2液混合して重合反応させるには、高圧環境下スプレーガンの中で2液を衝突混合して1液化したミストをスプレーする方法、もしくは、スタティックミキサーの中で2液混合して1液化した液をエアーでミスト化してスプレーする方法を用いる。
【0026】
このようにして形成したポリウレア被膜の補強層は、ウレタンやエポキシより紫外線への耐性が圧倒的に高く、そして加水分解しやすいウレタンより加水分解抵抗性にも非常に優れ、さらに化学耐性もウレタンやエポキシより高いため、雨やVOC(揮発性有機化合物)にさらされる屋外環境で、引裂強度・引張強度・伸長率などに優れた高い物理性能を長期間保ち続けることができるため、構造物の補強や保護に最適な材料である。
【0027】
このようにすれば、補強層によって離着陸場基部が補強され、離着陸面の強度が増し、離着陸場基部や、離着陸場が設置される建物の屋上などの構造体の損傷が防止できる。
【0028】
なお、離着陸場基部は、コンクリート製の、例えばヘリポートで、建物の屋上に設置されることを想定しているが、それ以外の、金属製、樹脂製、木材製などであってもよく、ヘリポート以外の垂直離着陸機用の離着陸場などであってもよく、また、建物の屋上でなくても、地表面や水上などどのようなところに設置されてもよい。
【0029】
特に、屋上設置のコンクリート製の場合は、防水層の保護を目的としたいわゆる防水押えコンクリートの場合も多く、その場合は、普通コンクリートに比べ軽量のコンクリートが採用されており、強度的にも問題が多いため、補強層がより有効である。
【0030】
次に、本発明に係る第2の態様は、第1の態様の飛行体用の離着陸場であって、
前記ポリウレア樹脂を含む補強層に含入させた繊維素材を有することを特徴としてもよい。
【0031】
ここで、繊維素材は、更なる強度向上(補強)の目的であり、炭素繊維、金属繊維(スチール、ステンレス、アモルファス金属等)、高強度繊維(アラミド繊維、バサルト繊維、ガラス繊維等)が好適である。
【0032】
このようにすると、繊維素材により、補強層が更に強化され、高い有用性が得られる。
【0033】
次に、本発明に係る第3の態様は、第1の態様の飛行体用の離着陸場であって、
前記ポリウレア樹脂を含む補強層に含入された、または前記ポリウレア樹脂を含む補強層の表面に吹き付けされた微粒子を有することを特徴としてもよい。
【0034】
ここで、微粒子とは、50μmから1mmの大きさの粒子で、珪砂やガラス粒子などを指し、ポリウレア塗装の際に微粒子を含入させる、あるいは、微粒子をポリウレア塗装の表面に吹き付けることにより形成する。
【0035】
このようにすると、離着陸場表面の滑り止め効果や、夜間照明による拡散反射による飛行体からの視認性を高める効果など、より安全な飛行体用離着陸場を提供することができる。
【0036】
特に、ポリウレア樹脂の塗装の後で、すぐに珪砂を撒くことによって、高い滑り止め効果があることが認められている。
【0037】
なお、一般的に照明の反射効果を用いた塗装の用途としては、再帰反射であり、再帰反射の場合は、光源に反射光が戻ることによって視認性を向上させるものであり、この場合、飛行体からの光源が必要となるが、本発明の拡散反射を促す塗装を用いることによって、地上の着陸帯照明を拡散反射することができ、飛行体からの光源を必要とせず、視認性の高い、より安全な離着陸場が提供できる。
【0038】
次に、本発明に係る第4の態様は、第1の態様の飛行体用の離着陸場であって、
前記ポリウレア樹脂を含む補強層を、前記離着陸場の中央部分にのみ設けたことを特徴としてもよい。
【0039】
ここで、中央部分とは、飛行体の離着陸に供する部分であり、このようにすると、施工部分が少なくて済み、費用の発生及び工期の短縮などの点で有利になる。
【0040】
次に、本発明に係る第5の態様は、第1の態様の飛行体用の離着陸場であって、
前記離着陸場基部と前記補強層としてのポリウレア樹脂との間に、衝撃吸収層を設けたことを特徴としてもよい。
【0041】
ここで、衝撃吸収層としては、ゴム材などが好適であるが、それに限定せず、衝撃吸収できるものであれば、板バネなど、どのようなものであってもよく、相応の効果を発揮する。なお、ポリウレア樹脂の塗膜は離着陸場基部全体を覆うようにすることが好ましい。
.
【0042】
次に、本発明に係る第6の態様は、第1の態様の飛行体用の離着陸場であって、
前記離着陸場基部と前記補強層としてのポリウレア樹脂の塗膜を前記離着陸場基部の側面または底面まで延伸させて設けたことを特徴としてもよい。
【0043】
ここで、側面とは離着陸場基部の鉛直方向の面のことで、底面とは離着陸場基部の下側の面のことであり、いずれも、ポリウレア樹脂の塗膜のめくれを防止する目的であり、更に、側面または底面においてビス止めなどのめくれ防止手段を設けてもよい。
【0044】
次に、本発明に係る第7の態様は、第1の態様の飛行体用の離着陸場であって、
前記離着陸場基部の表面に前記ポリウレア樹脂の注入可能な穴部及び/又は溝部を設けたことを特徴としてもよい。
【0045】
このようにすると、ポリウレア樹脂の塗装の際に、この穴部または溝部にポリウレア樹脂を注入させることによって表面のポリウレア樹脂と一体化させ、将来「めくれ」が生じないようにすることもできる。
【0046】
次に、本発明に係る第8の態様は、第1の態様の飛行体用の離着陸場であって、
前記離着陸場基部の上面と前記ポリウレア樹脂を含む補強層との間に補強のための鋼材を有することを特徴としてもよい。
【0047】
補強のための鋼材とは、溶接金網やエキスパンドメタルなどで、これらを離着陸場基部の上面に固定するのが好ましい。このようにすると、補強の効果がより高まる。
【0048】
次に、本発明に係る第9の態様は、第1の態様の飛行体用の離着陸場であって、
前記ポリウレア樹脂の表面に、防汚処理を行うことを特徴としてもよい。
【0049】
防汚処理とは汚れの付着などを防ぐ処理であり、プラスイオン化コーティング剤処理して形成したプラスイオン荷電バリアを設けること、表面を親水性にすることなどが好適であるが、それに限定するものではない。
【0050】
このようにすると、汚れとなる塵や泥水などが表面に固着できない状態を形成し、ポリウレア樹脂塗膜への塵や泥水からの曝露を低減し、ポリウレア樹脂塗膜の一層の長寿命化が実現できる。
【0051】
次に、本発明に係る第10の態様は、第1の態様の飛行体用の離着陸場であって、前記ポリウレア樹脂の上面に、不燃性が証明されている不燃ポリウレア樹脂塗装部を有することを特徴としてもよい。
【0052】
このようにすると、ポリウレア補強層の不燃対応が可能となり、飛行体の離着陸場の安全性が高まる。
【0053】
次に、本発明に係る第11の態様は、第1の態様の飛行体用の離着陸場であって、前記ポリウレア樹脂の補強層が、複数の予め形成されたポリウレア樹脂の平板状部材と、該平板状部材の隙間を埋め、かつ、前記離着陸場基部に固着させるためのポリウレア樹脂塗布部とを有することを特徴としてもよい。
【0054】
すなわち、予め形成された平板状部材を敷き詰めて、所定の離着陸場の寸法とし、更に、平板状部材の隙間にポリウレア樹脂等をスプレーガンなどで塗布するようにする。
【0055】
このようにすると、施工現場での作業が少なくなることから、工期の短縮が可能であり、また、平板状部材をエレベータ運搬可能な寸法にしておけば、運搬に要する時間やコストの低減が可能である。
【0056】
次に、本発明に係る第12の態様は、飛行体用の離着陸場を補強するために、離着陸場の基となる離着陸場基部の上面を覆うように、ポリウレア樹脂を含む補強層を形成する飛行体用の離着陸場の施工方法であって、2液混合して重合反応させるために、
-高圧環境下スプレーガンの中で2液を衝突混合して1液化したミストをスプレーする方法、
-スタティックミキサーの中で2液混合して1液化した液をエアーでミスト化してスプレーする方法
のいずれかであることを特徴とする。
【0057】
このようにすると、施工現場でのスプレー施工が可能であり、特に主剤と硬化剤とを1対1で反応させる場合は、計量も容易であり、また効果反応が超速で完結することから、反応の均一性に優れ、また、作業の効率化・時間短縮も実現できる。
【0058】
次に、本発明に係る第13の態様は、飛行体用の離着陸場を補強するための飛行体用の離着陸場の施工方法であって、離着陸場の基となる離着陸場基部の上面を覆うように、ポリウレア樹脂を含む補強層を形成する際に繊維素材を含入させる飛行体用の離着陸場の施工方法であって、
a)前記繊維素材を繊維の間隔を広げた格子状の織物状態とし、該織物を離着陸場基部の表面に敷設した後、ポリウレア樹脂塗装を行う方法。
b)離着陸場基部の表面に第1層目のポリウレア樹脂塗装し、その表面に繊維の間隔を広げた格子状の織物状態の前記繊維素材を敷設した後、該織物をポリウレア樹脂塗膜に内包させるように第2層目のポリウレア樹脂塗装を行う方法。
c)前記繊維をポリウレア樹脂吹付け塗装時に、同時に混合吹付け塗装を行う方法。
のいずれか一つの方法であることを特徴とする。
【0059】
このようにすると、いずれの方法であっても、繊維素材が、接着剤を用いることなく、確実に補強層に含入され、補強効果が更に高まる。
【0060】
次に、本発明に係る第14の態様は、飛行体用の離着陸場を補強するための飛行体用の離着陸場の施工方法であって、
-離着陸場の基となる離着陸場基部の上面に鋼材補強をするステップと、
-その後、補強された鋼材の上部にポリウレア樹脂を含む補強層を形成するステップと
を有することを特徴とする。
【0061】
ここで、鋼材補強とは、溶接金網やエキスパンドメタル等を離着陸場基部に固定することを言い、このようにすると、鋼材補強によって更に補強効果が高まる。
【0062】
次に、本発明に係る第15の態様は、飛行体用の離着陸場の長寿命化のための飛行体用の離着陸場の施工方法であって、ポリウレア樹脂からなる補強層の表面に、防汚処理を行うステップを有することを特徴とする。
【0063】
防汚処理とは汚れの付着などを防ぐ処理であり、プラスイオン化コーティング剤処理して形成したプラスイオン荷電バリアを設けること、表面を親水性にすることなどが好適であるが、それに限定するものではない。
【0064】
このようにすると、汚れとなる塵や泥水などが補強層の表面に固着できない状態を形成し、ポリウレア樹脂塗膜への塵や泥水からの曝露を低減し、ポリウレア樹脂塗膜の一層の長寿命化が実現できる。
【0065】
次に、本発明に係る第16の態様は、飛行体用の離着陸場の安全性の向上のための飛行体用の離着陸場の施工方法であって、ポリウエア樹脂からなる補強層の上面に、不燃性が証明されている不燃ポリウレア樹脂を塗装するステップを有することを特徴とする。
【0066】
このようにすると、ポリウレア補強層の不燃対応が可能となり、飛行体の離着陸場の安全性が高まる。
【発明の効果】
【0067】
上記のように、本発明の飛行体用の離着陸場、あるいは離着陸場の施工方法によれば、離着陸面の強度を増すこと、離着陸場基部や離着陸場設置個所(建物)の破壊や損傷を防止すること、安全な離着陸を可能とすることのいずれかまたは全てを実現する飛行体の離着陸場を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る飛行体用の離着陸場の斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る飛行体用の離着陸場の断面図である。
【
図3】従来技術の問題点を示す模式的な説明図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の離着陸場の別の例の断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の離着陸場の更に別の例の断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の離着陸場の更に別の例の断面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態の離着陸場の更に別の例の断面図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態の離着陸場の更に別の例の断面図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態の離着陸場の更に別の例の断面図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態の離着陸場の更に別の例の断面図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態の離着陸場の更に別の例の断面図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態の離着陸場の更に別の例の断面図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る飛行体用の離着陸場の斜視図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る飛行体用の離着陸場の断面図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態の離着陸場の別の例の断面図である。
【
図17】本発明の第3の実施形態に係る飛行体用の離着陸場の斜視図である。
【
図18】本発明の第3の実施形態に係る飛行体用の離着陸場の断面図である。
【
図19】本発明の第4の実施形態の離着陸場の補強層の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、図面を参照し、本発明の第1の実施形態にかかる飛行体用の離着陸場について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0070】
<構成>
図1は本発明の第1の実施形態に係る飛行体用の離着陸場の斜視図であり、
図2は同じく飛行体用の離着陸場の断面図である。
【0071】
離着陸場1は建造物KZの屋上RFに設けられ、離着陸場基部10と補強層20とを有する。なお、建造物KZの屋上RFと離着陸場基部10との間には、図示しない防水層を設けることもある。
【0072】
離着陸場基部10は、屋上RFの一部の設けられ、飛行体の離着陸に必要な上面の面積を有する直方体形状であり、屋上RF周囲のパラペットPPより高くなるようにかさ上げされている。これは離着陸時の障害とならないようにするためである。
【0073】
離着陸場基部10の材質はコンクリート製あるいはモルタル製であって、通常、建造物KZ本体の構造体よりも強度は小さい。
【0074】
補強層20は、離着陸場基部10の上面をもれなく覆うように平板状に設けられ、その材質はポリウレア樹脂である。
【0075】
ポリウレア樹脂の特徴については既に述べたが、強度が高く、かつ、柔軟性に富んでいることから、補強用として最適である。
【0076】
ここで、補強層20の効果について説明する。
図3は従来技術の問題点を示す模式的な説明図であって、
図3(a)が概要、
図3(b)が詳細を示している。ここで、補強層を有しない飛行体用の離着陸場、特に緊急離着陸場においては、飛行体、例えばヘリコプターHCが降下してきて、一方のスキッドSKのみが接地する状況となると、大きな衝撃荷重Lがかかり、離着陸場基部10にはひび割れが生じ、更に離着陸場基部10の下部の防水層BSにも破損が生じる。
【0077】
そのような状態になると、それ以降、雨水などが浸透して、防水層BSの下方の建造物KZ本体の鉄筋コンクリートを劣化させることになり、大きな問題となる。
【0078】
また、衝撃荷重で離着陸場基部10が破壊され、一部が小片となって周囲に飛散し、物的・人的被害を生ずる恐れもあり、特に屋上設置のため、そのような小片が建造物の下方に落下すると、大きな災害を引き起こす危険性もある。
【0079】
図4は本発明の効果を示す模式的な断面図であり、
図4(a)が概要、
図4(b)が詳細を示している。この飛行体用の離着陸場は、離着陸場基部10の上部にポリウレア樹脂による補強層20を設けたものである。
【0080】
このようにすると、先に述べた衝撃荷重Lに関し、補強層20が伸長するなどして衝撃を吸収する。そのため、離着陸場基部10には損傷が生じず、離着陸場として、繰り返し、あるいは長期間使用することができる。
【0081】
次に、本発明の第1の実施形態の飛行体用の離着陸場の別の例を説明する。
図5はその別の例の断面図であり、離着陸場基部10、補強層20に加えて、ポリウレア樹脂の補強層20に含入させた繊維素材21を有する。
【0082】
ここで、繊維素材は、更なる強度向上(補強)の目的であり、炭素繊維、金属繊維(スチール、ステンレス、アモルファス金属等)が好適である。
【0083】
なお、繊維素材のポリウレア樹脂への含入方法としては、例えば、繊維の間隔を広げた格子状の織物状態とし、その織物を離着陸場基部10に敷設した後、ポリウレア樹脂塗装を行うことが好適であるが、それに限定されない。
【0084】
次に、本発明の第1の実施形態の飛行体用の離着陸場の更に別の例を説明する。
図6はその更に別の例の断面図であり、離着陸場基部10、補強層20に加えて、補強層20の表面に吹き付けされた微粒子22を有する。
【0085】
ここで、微粒子とは、50μmから1mmの大きさの粒子で、珪砂・ガラス粒子・ケイ素粒子などの微粒子をポリウレア塗装の表面に吹き付けることにより形成する。
【0086】
このようにすると、離着陸場表面の滑り止め効果や、夜間照明による拡散反射による飛行体からの視認性を高める効果など、より安全な飛行体用離着陸場を提供することができる。
【0087】
次に、本発明の第1の実施形態の飛行体用の離着陸場の更に別の例を説明する。
図7はその更に別の例の断面図であり、離着陸場基部10の中央部分にのみ補強層20を設けたものである。
【0088】
ここで、中央部分とは、飛行体の離着陸に供する部分、すなわち、飛行体の脚部が接する領域を言い、一例としては、ヘリポートの場合、全体が25mx25mのうち、中央部分として、6mx6m程度を対象とする。
【0089】
このようにすると、施工部分が少なくて済み、費用の発生及び工期の短縮などの点で有利になる。
【0090】
次に、本発明の第1の実施形態の飛行体用の離着陸場の更に別の例を説明する。
図8はその更に別の例の断面図であり、離着陸場基部10、補強層20に加えて、離着陸場基部10と補強層20との間に衝撃吸収層22を設けたものである。
【0091】
ここで、衝撃吸収層としては、例えば厚さ5mm程度の薄いゴム材が好適であり、それを先に説明した離着陸場の中央部分に設ける。中央部分が衝撃荷重を受ける部分であることから、その衝撃荷重を吸収することで、より安全な離着陸場が実現できる。
【0092】
次に、本発明の第1の実施形態の飛行体用の離着陸場の更に別の例を説明する。
図9はその更に別の例の断面図であり、補強層20としてのポリウレア樹脂の塗膜を離着陸場基部10の側面まで延伸させ、更に、補強層20は側面部分でビス(ネジ)24で固定されている。
【0093】
なお、補強層20の延伸は、4面すべてが好適であるが、3面以下であっても相応の効果がある。固定用のビス24の数は、ポリウレア樹脂の塗膜のめくれを防止する目的に合うように、適宜、決定すればよい。
【0094】
また、ビス止め以外にも、ハトメなど、機械的固定手段であれば、相応の効果を奏すことができる。更に、構造上、可能な状況であれば、側面までの延伸でなく、底面まで延伸し、側面または底面で固定するようにしてもよい。
【0095】
次に、本発明の第1の実施形態の飛行体用の離着陸場の更に別の例を説明する。
図10はその更に別の例の断面図であり、離着陸場基部10の表面にポリウレア樹脂の注入可能な穴部25を設けたものである。
【0096】
穴部25の寸法は、例えば直径1cm、深さ3cm程度とし、複数個を設けるようにする。このようにすると、ポリウレア樹脂の塗装の際に、この穴部にポリウレア樹脂を注入させることによって表面のポリウレア樹脂と一体化させ、将来「めくれ」が生じないようにすることもできる。
【0097】
なお、穴725に代えて、あるいは穴部25に加えて、平面視で直線状または曲線状に延伸する溝部を設けても同様の効果を生ずる。
【0098】
次に、本発明の第1の実施形態の飛行体用の離着陸場の更に別の例を説明する。
図11はその更に別の例の断面図であり、離着陸場基部10の上面とポリウレア樹脂を含む補強層20との間に補強のための鋼材26を有するものである。
【0099】
補強のための鋼材26とは、溶接金網やエキスパンドメタルなどで、これらを離着陸場基部の上面に固定する。このようにすると、補強の効果がより高まる。
【0100】
次に、本発明の第1の実施形態の飛行体用の離着陸場の更に別の例を説明する。
図12はその更に別の例の断面図であり、補強層20の表面に、プラスイオン化コーティング剤処理して形成したプラスイオン荷電バリア27を設けたものである。
【0101】
このようにすると、汚れの付着を防止する防汚効果を生じる。なお、防汚効果については、表面を親水性にすることも有効である。
【0102】
次に、本発明の第1の実施形態の飛行体用の離着陸場の更に別の例を説明する。
図13はその更に別の例の断面図であり、補強層20の上面に、不燃性が証明されている不燃ポリウレア樹脂塗装部28を設けたものである。
【0103】
このようにすると、ポリウレア補強層の不燃対応が可能となり、飛行体の離着陸場の安全性が高まる。
【0104】
なお、これまで説明した本発明の第1の実施形態の種々の例は、単独で実施される場合のほか、組み合わせて実施される場合も含むものとする。
【0105】
<施工>
次に、本発明の第1の実施形態の飛行体用の離着陸場の施工方法について説明する。
まず、ポリイソシアネート類溶液とポリアミン類溶液とを用意する。
【0106】
次に、それら2液を高圧環境下、スプレーガンの中で衝突混合させる。(ステップS01)
【0107】
その結果生じる2液ミストを混合しながらスプレーし、重合反応を進行させてポリウレア塗膜を生成する。(ステップS02)
【0108】
この作業については、均一な塗布厚さを得るため、熟練の作業員が行うことが好適であるが、自動で塗布が可能な装置またはロボットを用いて行うようにしてもよい。その場合は、人手によるよりも、早く、かつ、正確に塗膜を生成できる場合もある。
【0109】
なお、このような施工方法であると、施工現場でのスプレー施工が可能であり、特に主剤(ポリイソシアネート類)と硬化剤(ポリアミン類)とを1対1で反応させる場合は、計量も容易であり、また効果反応が超速で完結することから、反応の均一性に優れ、また、作業の効率化・時間短縮も実現できる。
【0110】
次に、飛行体用の離着陸場を補強するために、離着陸場基部10の上面を覆うように、ポリウレア樹脂を含む補強層20を形成する際に繊維素材を含入させる施工方法について説明する。
【0111】
まず、繊維素材を繊維の間隔を広げた格子状の織物状態とし、その織物を離着陸場基部10の表面に敷設する。(ステップS11)
【0112】
次に、その上から、先に述べたポリウレア樹脂塗装を行う。(ステップS12)
【0113】
このようにすると、特に接着剤を用いる必要がなく、繊維素材を補強層20に含入させることができる。
【0114】
なお、繊維素材を含入させる施工方法としては、上記の方法に限定されず、
-離着陸場基部10の表面に第1層目のポリウレア樹脂塗装し、その表面に繊維の間隔を広げた格子状の織物状態の前記繊維素材を敷設した後、その織物をポリウレア樹脂塗膜に内包させるように第2層目のポリウレア樹脂塗装を行う方法。
-繊維をポリウレア樹脂吹付け塗装時に、同時に混合吹付け塗装を行う方法。
などであってもよい。
【0115】
このようにすると、いずれの方法であっても、繊維素材が、接着剤を用いることなく、確実に補強層に含入され、補強効果が更に高まる。
【0116】
次に、同様に飛行体用の離着陸場を補強するために、鋼材補強する方法について説明する。離着陸場基部10の上面に鋼材補強をする。(ステップS21) ここで、鋼材補強とは、溶接金網やエキスパンドメタル等を離着陸場基部10に固定することである。
【0117】
その後、補強された鋼材の上部にポリウレア樹脂を含む補強層20を形成する。(ステップS22)このようにすると、鋼材補強によって更に補強効果が高まる。
【0118】
次に、飛行体用の離着陸場の長寿命化のために、防汚処理を含む飛行体用の離着陸場の施工方法を説明する。防汚処理とは汚れの付着などを防ぐ処理である。
【0119】
離着陸場基部10に補強層20を形成した後に、プラスイオン化コーティング剤処理してプラスイオン荷電バリアを形成する。(ステップS31)
【0120】
このようにすると、汚れとなる塵や泥水などが補強層の表面に固着できない状態を形成し、ポリウレア樹脂塗膜への塵や泥水からの曝露を低減し、ポリウレア樹脂塗膜の一層の長寿命化が実現できる。
【0121】
次に、飛行体用の離着陸場の安全性の向上のために、不燃処理を行う方法につき説明する。ポリウエア樹脂からなる補強層20の上面に、不燃性が証明されている不燃ポリウレア樹脂を塗装する。(ステップS41)
【0122】
このようにすると、ポリウレア補強層20の不燃対応が可能となり、飛行体の離着陸場の安全性が高まる。
【0123】
<運用>
本発明に係る第1の実施形態の飛行体用の離着陸場1の運用は、ポリウレア補強層20を設けたことにより、ヘリコプター、垂直離着陸機などの離着陸に際して、衝撃荷重を吸収し、離着陸場基部10への損傷を防止することができるため、反復利用をすることができ、また、長期間の利用も可能となる。
【0124】
次に、図面を参照し、本発明の第2の実施形態にかかる飛行体用の離着陸場について説明する。なお、以下では本発明の第1の実施形態と同一の構造又は機能の個所は同一の番号を付し、また、説明を省略する場合もある。
【0125】
<構成>
図14は本発明の第2の実施形態に係る飛行体用の離着陸場の斜視図であり、
図15は同じく飛行体用の離着陸場の断面図である。離着陸場1は建造物KZの屋上RFに設けられ、離着陸場基部10と補強層20とを有する。なお、建造物KZの屋上RFと離着陸場基部10との間には、図示しない防水層を設けることもある。
【0126】
この実施形態では、屋上RF部分のパラペットPPが、ヘリコプターHCなどの離着陸の障害にならない程度に屋上RFの面積が大きい場合を想定している。
【0127】
離着陸場基部10は、屋上RFの全表面を覆うように構成され、更に、補強層20も離着陸場基部10を覆うように構成される。
【0128】
更に、実際に飛行体が離着陸するための目安として、中央部の領域を明示するための区分線30が設けられていてもよく、また、区分線30の内外で、別の色彩を付したり、あるいは、必要なマーキングを付したりしてもよい。
【0129】
このように、屋上RFの全面を離着陸場基部10として利用する場合でも、補強層20を設けることで、適切な補強の効果が得られる。
【0130】
なお、本発明の第1の実施形態で説明した
図5(繊維素材含入)、
図6(吹き付け微粒子)、
図7(離着陸場基部の中央部分にのみ補強層)、
図8(衝撃吸収層)、
図10(穴部)、
図11(鋼材補強)、
図12(プラスイオン荷電バリア)については、この第2の実施形態でも同様に適用が可能である。
【0131】
なお、
図9に相当するめくれ防止のビス止めについては、やや異なる。本発明の第2の実施形態の飛行体用の離着陸場の別の例を説明する。
図16はその別の例の断面図であり、補強層20としてのポリウレア樹脂の塗膜を屋上RFのパラペットPPに沿って上方まで延伸する。
【0132】
その上で、パラペットPP部分において、内側から補強層20をビス(ネジ)24で固定する。なお、ビス止め以外にも、ハトメなど、機械的固定手段であれば、相応の効果を奏すことができる。
【0133】
このようにすると、本発明の第1の実施形態の場合と同様にポリウレア樹脂の塗膜のめくれを防止することができる。目的に合うように、適宜、決定すればよい。
【0134】
なお、本発明に係る第2の実施形態における、施工及び運用については、第1の実施形態と同様であり、その効果についても同様である。
【0135】
また、これまで説明した本発明の第2の実施形態の種々の例は、単独で実施される場合のほか、組み合わせて実施される場合、第1の実施形態の例と組み合わせて実施される場合も含むものとする。
【0136】
次に、図面を参照し、本発明の第3の実施形態にかかる飛行体用の離着陸場について説明する。なお、以下では本発明の第1及び第2の実施形態と同一の構造又は機能の個所は同一の番号を付し、また、説明を省略する場合もある。
【0137】
<構成>
図17は本発明の第3の実施形態に係る飛行体用の離着陸場の斜視図であり、
図18は同じく飛行体用の離着陸場の断面図である。離着陸場1は建造物KZの屋上RFに設けられ、離着陸場基部10と補強層20とを有する。なお、建造物KZの屋上RFと離着陸場基部10との間には、図示しない防水層を設けることもある。
【0138】
この実施形態では、屋上RF部分のパラペットPPが、ヘリコプターHCなどの離着陸の障害になる、離着陸場の下方に空間を設けて利用したいなどの理由で、第1の実施形態よりも更に高くかさ上げする場合を想定している。
【0139】
建造物KZの屋上RFに、複数本の支柱40を設け、その支柱40に支えられるように離着陸場基部10を設け、更に、離着陸場基部10の上面に補強層20を設けたものである。
【0140】
支柱40の材料は、コンクリート製、金属製など、強度を保てるものであれば、どのようなものであってもよい。また、支柱40を建造物KZの梁の上に設けることで、過大な荷重が加わった際に、建造物KZへの損傷の恐れを少なくすることもできる。
【0141】
なお、本発明の第1の実施形態で説明した
図5(繊維素材含入)、
図6(吹き付け微粒子)、
図7(離着陸場基部の中央部分にのみ補強層)、
図8(衝撃吸収層)、
図9(めくれ防止)、
図10(穴部)、
図11(鋼材補強)、
図12(プラスイオン荷電バリア)については、この第3の実施形態でも同様に適用が可能である。
【0142】
なお、本発明に係る第3の実施形態における、施工方法については、支柱40を設ける工程が追加されるだけで、第1の実施形態と同様であり、運用については、第1の実施形態と同様であり、効果についても同様である。
【0143】
また、これまで説明した本発明の第3の実施形態の種々の例は、単独で実施される場合のほか、組み合わせて実施される場合、第1あるいは第2の実施形態の例と組み合わせて実施される場合も含むものとする。
【0144】
次に、本発明に係る第4の実施形態について説明する。
図19は本発明の第4の実施形態の補強層の平面図であり、ポリウレア樹脂の補強層20が、複数(図では4枚)の予め形成されたポリウレア樹脂の平板状部材20aと、該平板状部材の隙間を埋め、かつ、前記離着陸場基部に固着させるためのポリウレア樹脂塗布部20bとを有する。
【0145】
すなわち、予め形成された平板状部材20aを敷き詰めて、所定の離着陸場1の寸法とし、更に平板状部材20aの隙間にポリウレア樹脂をスプレーガンなどで塗布し、ポリウレア樹脂塗布部20bを形成するようにする。
【0146】
なお、平板状部材20aの枚数は4枚に限定せず、それよりも少ない、あるいは多い枚数であってもよい。施工現場によって好適な枚数があり得る。
【0147】
このようにすると、施工現場での作業が少なくなることから、工期の短縮が可能であり、また、平板状部材20aをエレベータ運搬可能な寸法にしておけば、運搬に要する時間やコストの低減が可能である。
【0148】
なお、平板状部材20aは、平面視正方形としてあるが、この形状に限定せず、長方形や他の多角形、曲線部分を有する形状、嵌め合わせられる凹凸部を有する形状などどのようなものであってもよい。
【0149】
また、本発明の第4の実施形態は、単独で実施される場合のほか、第1ないしは第3の実施形態の例と組み合わせて実施される場合も含むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の飛行体用の離着陸場及びその施工方法は、今後急速に拡大が予想される垂直離着陸機(空飛ぶ車)などの飛行体用の離着陸場として、建造物の屋上などに簡便に施工することができるため、大いに産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0151】
1 離着陸場
10 離着陸場基部
20 補強層
20a 平板状部材
20b ポリウレア樹脂塗布部
21 繊維素材
22 微粒子
24 ビス
25 穴部
26 補強鋼材
27 プラスイオン荷電バリア
28 不燃ポリウレア樹脂塗装部
30 区分線
40 支柱