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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118997
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】包装用容器の蓋体及び包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/08 20060101AFI20240826BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B65D43/08 210
B65D1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025651
(22)【出願日】2023-02-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名:スーパーマーケット・トレードショー2023内中央化学展示商談会2023 開催日 :令和5年2月15日
(71)【出願人】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003498
【氏名又は名称】弁理士法人アイピールーム
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】甲地 歩
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA14
3E033BA17
3E033BA22
3E033CA07
3E033CA18
3E033DD01
3E033FA04
3E033GA03
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084DA03
3E084DB09
3E084DB13
3E084DC03
3E084FC09
3E084GA08
3E084GB12
3E084GB17
3E084JA10
3E084LD30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容器本体への装着に必要な力が伝わりやすく、計画どおりに成型しやすくすることができる包装用容器の蓋体を提供すること。
【解決手段】蓋体Cは、天面部1と、天面部1の周端から下方に形成された側壁部2と、側壁部2の下端から外方に形成されたフランジ部3と、フランジ部3の一部に形成されて容器本体Tと嵌合する嵌合部4と、側壁部2から外方に張り出すように側壁部2及びフランジ部3と一体的に形成された張出部5とを備え、張出部5は水平断面略V字状である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部と、
天面部の周端から下方に形成された側壁部と、
側壁部の下端から外方に形成されたフランジ部と、
フランジ部の一部またフランジ部の下端から外方に形成されて容器本体と嵌合する嵌合部と、
側壁部から外方に張り出すように側壁部及びフランジ部と一体的に形成された張出部と、を備え、
張出部は、水平断面略V字状である
ことを特徴とする包装用容器の蓋体。
【請求項2】
張出部の谷部分に相当する頂部の曲率半径は、1~5mmである
ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器の蓋体。
【請求項3】
厚み0.18~1mmmmの合成樹脂シートを基材として成型された
ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器の蓋体。
【請求項4】
フランジ部は、側壁部側から外側に向かって上方に傾斜するフランジ平面部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器の蓋体。
【請求項5】
請求項4に記載の包装用容器の蓋体と、
前記蓋体のフランジ部と面するフランジ部を有する容器本体と、を備えた
ことを特徴とする包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品を載置する容器本体に装着する包装用容器の蓋体、及び上記容器本体と上記蓋体とを備えた包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売される弁当や惣菜等の食品を収容する包装用容器の蓋体は、食品の種類や容器本体の形状を考慮して選択されていた。しかしながら、蓋体によっては、容器本体への装着の仕方を工夫しなければならなかった。すなわち、蓋体の閉め方の良し悪しで、蓋体が完全に閉まらなかったり、蓋体や容器本体が折れ曲がったり破損したりしてしまうおそれがあった。
【0003】
一方、別の包装用容器が蓋体の上に段積みされる場合もある。例えば、特許文献1には、天面部の外縁から下方に向かう周壁部の一部に外方かつ円弧状に膨らむ丸隅部と、天面部と丸隅部とが交わる角部付近に内方かつ凹曲面状に凹んだ凹曲面部とを備えた蓋体により、段積み時に丸隅部と凹曲面部とが一体的に機能して上下方向の荷重に対する蓋体の強度を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-140787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の蓋体であれば、いずれの閉め方であっても蓋体が閉まりやすく、また蓋体や容器本体が破損しにくい効果を期待できそうだが、実際には蓋体のフランジ部の一部に形成された係合部に容器本体を嵌合させやすいわけではなく、特に上から押して蓋体を容器本体に装着しようとしても、フランジ部や係合部に力が伝わりにくく、特許文献1の丸隅部のように周壁部から単に張り出す部位があっても所望の効果を得にくい。
【0006】
また、例えば蓋体が装着された状態の包装用容器ごと食品を電子レンジ等で加熱したり、食品が高温のまま容器本体に収容されて蓋体が装着されたりすることもあるため、蓋体の耐熱性能も重視されている。しかしながら、特許文献1の丸隅部のような水平断面が円弧状だと、設計上の寸法や形状どおりに成型しにくいこともあるため、上述した所望の効果を得にくいばかりでなく、成型に必要な加熱時間や冷却時間が長めになり、結果的に成型時間が長くなってしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、容器本体への装着に必要な力が伝わりやすく、計画どおりに成型しやすい包装用容器の蓋体、及び上記蓋体と容器本体とを備えた包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明における包装用容器の蓋体は、天面部と、天面部の周端から下方に形成された側壁部と、側壁部の下端から外方に形成されたフランジ部と、フランジ部の一部またフランジ部の下端から外方に形成されて容器本体と嵌合する嵌合部と、側壁部から外方に張り出すように側壁部及びフランジ部と一体的に形成された張出部とを備え、張出部は、水平断面略V字状であることを特徴とする。
【0009】
張出部の谷部分に相当する頂部の曲率半径は、1~5mmであることが望ましい。
【0010】
上記蓋体は、厚み0.18~1mmの合成樹脂シートを基材として成型されたことが望ましい。
【0011】
フランジ部は、側壁部側から外側に向かって上方に傾斜するフランジ平面部を有することが望ましい。
【0012】
本発明における包装用容器は、上記蓋体と、上記蓋体のフランジ部と面するフランジ部を有する容器本体とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明において、「成形」とは、製法を限定せず単に形作ること又は形作られたこと、「成型」とは、所定の型に嵌めて形作ること又は形作られたことを意味し、換言すると、「成形」は「成型」を含む表現とし、「内嵌合」とは、嵌合する方(例えば、容器本体)の篏合部分が外側、嵌合される方(例えば、蓋体)の嵌合部分が内側に位置する構造を示し、「側面外嵌合」又は単に「外嵌合」とは、嵌合する方の嵌合部分が内側、嵌合される方の嵌合部分が外側に位置する構造を示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器本体への装着に必要な力として、例えば蓋体の天面部を上から押す力が伝わりやすいばかりでなく、計画どおりに所望の時間内での成型を実現しやすい効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本発明の一実施形態における包装用容器の蓋体(上)及び容器本体(下)の斜視図である。
図1B図1Aに示す上記蓋体の部分拡大斜視図である。
図2】上記蓋体の平面図(上)及び正面図(下)である。
図3】上記平面図のA-A部分におけるB-B部分拡大端面図である。
図4】上記平面図のC-C部分における上記正面図のD-D部分拡大端面図である。
図5】上記蓋体の底面図(上)及び左側面図(下)である。
図6】上記容器本体の平面図(上)及び正面図(下)である。
図7】上記平面図のE-E部分におけるF-F部分拡大端面図である。
図8】上記容器本体の底面図(上)、背面図(中)、及び左側面図(下)である。
図9】上記蓋体を上記容器本体に装着する様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1A図9を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器(以下「本包装用容器」もという。)について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番した部分もある。説明の便宜上、所定の部位やこの引き出し線をかくれ線(破線)や想像線(二点鎖線)で示し、断面部分をハッチングで示した部分もある。説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等の方向を示す用語は、基本的に通常使用する向きで包装用容器を設置した状態を基準にし、これ以外を基準とする場合は適宜説明する。図5は、図1A図4に準じているため、付番を省略する。図8は、図1A図6、及び図7に準じているため、付番を省略する。本包装用容器の蓋体の背面図及び右側面図は、正面図及び左側面図と同一に表れるため、図示を省略する。本包装用容器の容器本体の右側面図は、左側面図と同一に表れるため、図示を省略する。
【0017】
<本包装用容器の基本構成>
図1Aに示すとおり、本包装用容器は、内容物としてスーパーマーケット等の小売店内で販売される惣菜・弁当・寿司・刺身・サラダといった食品を包装するものであり、蓋体Cと、蓋体Cが装着される容器本体Tとを備えている。本包装用容器は、平面視で八角形状だが、三角形以上であればいずれでもよく、また、小売店内の陳列棚に載置できる程度のサイズであればよく、縦・横・高さといった寸法を限定しない。
【0018】
<蓋体Cの概要>
図1Aに示すように、蓋体Cは、平面状の天面部1と、天面部1の周端から下方に形成された側壁部2と、側壁部2の下端から外方に形成されたフランジ部3と、フランジ部3の一部に形成されて容器本体Tと嵌合する嵌合部4と、側壁部2から外方に張り出すように側壁部2及びフランジ部3と一体的に形成された張出部5と、側壁部2とフランジ部3とで形成された溝部6とを備えている。蓋体Cは、平面視で八角形状だが、三角形以上であればいずれでもよい。
【0019】
<天面部1の詳細>
図1Aに示すように、天面部1は、平面視で四隅が隅切られたように形成されているが、単に上記四隅がR状に形成されてもよく、また、平面状ではなく球面状でもよい。
【0020】
<側壁部2の詳細>
図1A図2に示すように、側壁部2は、天面部1の周端から下方に形成された第1側壁部2aと、第1側壁部2aより下方に位置して外方に拡がるように形成された第2側壁部2bとを有する。第1側壁部2aは、平面視で四隅が隅切られたように形成された隅切り部分に相当する第1側壁隅切り部2axを有するが、単に上記四隅がR状に形成されてもよい。第2側壁部2bは、第1側壁隅切り部2axを除く第1側壁部2aの下端から連続して形成されている。側壁部2は、第1側壁部2aがなく第2側壁部2bのみで形成されてもよく、この場合に第2側壁部2bの上方のみ平面視で四隅が隅切られたように形成されてもよい。第1側壁部2aは、別の包装用容器の容器本体の段積み用として、上記容器本体の脚部の形状及びサイズと一致してもよい。
【0021】
<フランジ部3の詳細>
図1A図2に示すように、フランジ部3は、平面視で長手側に相当するフランジ長手部3aと、短手側に相当するフランジ短手部3bと、四隅が隅切られたように形成された隅切り部分に相当するフランジ隅切り部3cを有するが、フランジ隅切り部3cを有さず単に上記四隅がR状に形成されてもよい。フランジ長手部3a及びフランジ短手部3bは、第2側壁部2bの下端から上方に形成されたフランジ内側部31と、フランジ内側部31の上端から外方に形成されたフランジ平面部32と、フランジ平面部32の外端から下方に形成されたフランジ外側部33とを有する。フランジ長手部3a及びフランジ短手部3bがフランジ内側部31を有さない場合、フランジ平面部32が第2側壁部2bの下端から外方に連続して形成されてもよい。
【0022】
フランジ隅切り部3cは、フランジ平面部32と連続していて側壁部2側から外側に向かって上方に傾斜するフランジ隅切り平面部3cxと、フランジ外側部33と連続していてフランジ隅切り平面部3cxの外端から下方に形成されたフランジ隅切り外側部3cyとを有する。フランジ隅切り平面部3cxが傾斜していない場合と比べて、蓋体Cの天面部1を上から押す力が張出部5を介して伝わってもフランジ隅切り平面部3cxが下方に折れ曲がりにくく変形しにくい効果を期待できる。
【0023】
フランジ隅切り平面部3cxは、フランジ平面部32に対して高く位置してもよく、換言すると、フランジ隅切り平面部3cxとフランジ平面部32との境界が段差状でもよい。フランジ短手部3bのフランジ平面部32は、フランジ隅切り平面部3cxと同方向又は同方向かつ同角度で傾斜しているが、傾斜しておらず水平状でもよい。
【0024】
<嵌合部4の詳細>
図1A図3に示すように、嵌合部4は、フランジ外側部33及びフランジ隅切り外側部3cyの周方向の全部又は一部が凹凸状に形成された外嵌合構造であるが、フランジ外側部33及びフランジ隅切り外側部3cyの下端から連続して外方かつ上方に立ち上がる部位の周方向の全部又は一部が凹凸状に形成された内嵌合構造でもよい。嵌合部4は、蓋体Cが容器本体Tに装着された状態で、容器本体Tに形成された付番しない摘み部と干渉する位置に相当するフランジ隅切り外側部3cyの一部に形成されていなくてもよい。
【0025】
<張出部5の詳細>
図1A図4に示すように、張出部5は、第2側壁部2bの長手側と短手側とが交わって形成される角部分に相当する位置にある。張出部5は、第1側壁隅切り部2axの下端から外方に形成された張出上面部51と、張出上面部51と第2側壁部2bとフランジ隅切り平面部3cxと連続して外方に張り出すように形成された張出側面部52、52と、張出側面部52、52とが交わった張出部5の谷部分に相当する張出頂部53とを有する。張出部5は、上方から下方に向かって末広がり状であるが、末広がらずに上方と下方とが同幅でもよい。
【0026】
張出部5は、水平断面略V字状である。これによれば、水平断面円弧状と比べて、容器本体Tへの装着に必要な力として蓋体Cの天面部1を上から押した力が平面状の張出側面部52、52及び直線状の張出頂部53を介してフランジ隅切り平面部3cxに伝わりやすく、換言すると、張出側面部52、52及び張出頂部53が蓋体Cの天面部1を上から押した力で折れ曲がったり上記力を分散させたりしにくいのみならず、張出側面部52、52が平面状かつ張出頂部53が直線状であることから加熱時間や冷却時間を含めて計画どおりに成型しやすい効果を期待でき、また、平面状の天面部1、側壁部2、及びフランジ部3との意匠的な一体性の向上や、曲面が減ったことにより中身の視認性の向上も期待できる。
【0027】
張出頂部53の曲率半径は、1~5mmであり、好ましくは2~4mmであり、より好ましくは2.5~3.5mmであり、1mmより小さいと張出頂部53が尖り過ぎて強度不足になるおそれがあり、5mmより大きいと張出部5の水平断面が円弧状に近くなって成型性の低下を招くおそれがある。
【0028】
張出上面部51は、平面視で略二等辺三角形状であるが、二等辺でなくてもよい。張出側面部52は、側面視で略台形状であり、水平端面視で左右対称だが、非対称でもよい。張出側面部52、52の上端の形状と下端の形状とは相似していないが、相似していてもよい。張出側面部52、52の上端部分(以下「張出側面上端部52a」ともいう。)の角度(以下「第1角度」ともいう。)は、下端部分(以下「張出側面下端部52b」ともいう。)の角度(以下「第2角度」ともいう。)より大きくても小さくてもよく、第1角度及び第2角度は鋭角でも鈍角でもよい。水平面を基準とする張出頂部53の傾斜角度d1は、第2側壁部2bの傾斜角度より緩やかであり、30~50°である。張出側面下端部52bの先端部分であり張出頂部53の下端部分でもある張出頂部下端部53aは、フランジ隅切り平面部3cxの外端(フランジ隅切り外側部3cyの上端)と略同位置にあるが、上記外端より内側にあってもよく、少なくとも溝部6を越えて外側にあればよい。
【0029】
<溝部6の詳細>
図1A及び図1Bに示すように、溝部6は、第2側壁部2bの下端側とフランジ内側部31とで形成され、フランジ内側部31の高さと同等の深さである。溝部6は、張出部5が形成されている部位に形成されておらず、換言すると、張出部5の両脇まで形成されていてもよい。溝部6の幅は、水平面を基準とする第2側壁部2bの傾斜角度及びフランジ内側部31の傾斜角度に応じて定まる。
【0030】
<蓋体Cの素材・形成方法・寸法等の仕様>
蓋体Cは、合成樹脂シートを基材として成型したものである。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製やポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製、二軸延伸ポリスチレン(OPS;Oriented Polystyrene)といったポリスチレン系樹脂製で、単層又は複数層で構成されてもよく、有色又は無色透明でも、不透明であってもよく、耐熱性を有する素材で形成されてもよい。合成樹脂シートは、真空成型・熱板圧空成型・真空圧空成型・両面真空成型等といった熱成型法により所望の形状に形成される。合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで積層してもよい。合成樹脂フィルムは、耐熱性・耐油性・印刷層との積層適性・ガスバリア性等を有する単層又は複数層で構成されてもよく、合成樹脂シートの表面を積層した場合は印刷層を含んでもよい。例えば、二軸延伸ポリスチレン製の合成樹脂シート及び熱板圧空成型を採用することで、設計どおりの蓋体Cを成型しやすい。
【0031】
合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.18~1mmであればよく、好ましくは0.23~0.75mm、さらに好ましくは0.25~0.5mmであり、0.18mmより薄いと薄肉過ぎて成型中や成型後に破断しやすくなるおそれがあり、1mmより厚いと厚肉過ぎて加熱時間や冷却時間が長めになってしまうおそれがある。発泡倍率が1.5~3倍の低発泡樹脂製の場合は0.5~3mmであればよく、好ましくは1~2mmである。発泡倍率が5~15倍の高発泡樹脂製の場合は1.5~5mmであればよく、好ましくは1.8~4mmであり、より好ましくは2.0~3.5mmである。なお、発泡倍率とは、発泡前のもの(発泡性組成物)と発泡後のもの(発泡シート)の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものをいう。
【0032】
<容器本体Tの概要>
図1A図6に示すように、容器本体Tは、食品を載置する底部101と、底部101の周端縁から連続して上方に拡がりながら立ち上がる側壁部102とで形成される付番しない収容部と、収容部の上端縁でもある側壁部102の上端縁から連続して外方に延出するフランジ部103とを備えている。容器本体Tは、平面視で八角形状だが、蓋体Cが装着可能な形状であればいずれでもよい。
【0033】
<底部101の詳細>
底部101は、食品の載置範囲を決める付番しない仕切り部及、個々の食品が載置される位置に相当する六角形状の付番しない載置部、及び段積み時に別の包装用容器の蓋体Cの第1側壁部2aに一致する付番しない脚部を有するが、これらを有さず単に平坦状であってもよい。
【0034】
<フランジ部103の詳細>
図1A図6、及び図7に示すように、フランジ部103は、平面視で長手側に相当するフランジ長手部103aと、短手側に相当するフランジ短手部103bと、四隅が隅切られたように形成された隅切り部分に相当するフランジ隅切り部103cを有するが、フランジ隅切り部103cを有さず単に上記四隅がR状に形成されてもよい。フランジ長手部103a及びフランジ短手部103bは、側壁部102の上端から外方に形成された付番しないフランジ平面部131と、フランジ平面部131の外端から下方に形成されたフランジ外側部132とを有する。対角上に位置するフランジ隅切り部103c、103Cの各々は、最外端から外方に延出するように形成された付番しない摘み部を有する。
【0035】
フランジ隅切り部103cは、フランジ平面部131と連続していて側壁部102側から外側に向かって上方に傾斜するフランジ隅切り平面部103cxと、フランジ外側部132と連続していてフランジ隅切り平面部103cxの外端から下方に形成されたフランジ隅切り外側部103cyとを有する。フランジ隅切り平面部103cxが傾斜していない場合と比べて、蓋体Cの天面部1を上から押す力が張出部5を介して伝わってもフランジ隅切り平面部103cxが下方に折れ曲がりにくく変形しにくい効果を期待でき、さらに上記力に対するフランジ隅切り部103cの弾性力の向上も期待できる。換言すると、フランジ隅切り平面部103cxが水平の場合、上記力により下方に折れ曲がって撓みやすいことから、蓋体Cが容器本体Tに装着しにくかった。
【0036】
フランジ隅切り平面部103cxは、フランジ平面部131に対して高く位置してもよく、換言すると、フランジ隅切り平面部103cxとフランジ平面部131との境界が段差状でもよい。フランジ短手部103bのフランジ平面部131は、フランジ隅切り平面部103cx及び蓋体Cのフランジ隅切り平面部3cxと同方向又は同方向かつ同角度で傾斜しているが、傾斜しておらず水平状でもよい。
【0037】
フランジ外側部132及びフランジ隅切り外側部103cyの最外端に位置する先端部分が蓋体Cの嵌合部4に嵌合(外嵌合)することで、容器本体Tに蓋体Cが装着された状態となる。蓋体Cの嵌合部4が内嵌合構造の場合、容器本体Tは側壁部102とフランジ部103との間に位置するように側壁部102の上端から連続して上方に形成された図示しない嵌合部を備えてもよい。
【0038】
フランジ外側部132及びフランジ隅切り外側部103cyには、連続して周方向全部に段差状のフランジ外側段差部103dが形成されている。これによれば、フランジ外側部132及びフランジ隅切り外側部103cyの強度及び剛性が高まることから、蓋体Cの嵌合部4にフランジ外側部132及びフランジ隅切り外側部103cyの先端部分が嵌合した直後に、弾性の勢いで上記先端部が嵌合部4に当たって甲高い衝突音が生じやすいため、蓋体Cが容器本体Tに装着したことを確認しやすい効果を期待でき、水平方向におけるフランジ部103の短手幅が短いほど上記効果を得やすい。
【0039】
<容器本体Tの素材・形成方法・寸法等の仕様>
容器本体Tは、合成樹脂シートを基材として成型したものである。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂製、ポリスチレン系樹脂製のポリスチレンペーパー(PSP)、GPポリスチレンにブタジエン共重合体などの弾性体を配合して耐衝撃性を改良した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂製であり、単層又は複数層で構成されてもよく、有色又は無色透明でも、不透明であってもよく、耐熱性を有する素材で形成されてもよい。合成樹脂シートは、真空成型・熱板圧空成型・真空圧空成型・両面真空成型等といった熱成型法により所望の容器本体の形状に形成される。合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで積層してもよい。合成樹脂フィルムは、耐熱性・耐油性・印刷層との積層適性・ガスバリア性等を有する単層又は複数層で構成されてもよく、合成樹脂シートの表面を積層した場合は印刷層を含んでもよい。
【0040】
合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.18~1mmであればよく、好ましくは0.3~0.8mm、さらに好ましくは0.35~0.6mmである。発泡倍率が1.5~3倍の低発泡樹脂製の場合は0.5~3mmであればよく、好ましくは1~2mmである。発泡倍率が5~15倍の高発泡樹脂製の場合は1.5~5mmであればよく、好ましくは1.8~4mmであり、より好ましくは2.0~3.5mmである。なお、発泡倍率とは、発泡前のもの(発泡性組成物)と発泡後のもの(発泡シート)の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものをいう。
【0041】
発泡樹脂製の場合、坪量(単位面積あたりの質量)は120~220g/mであればよいが、重くなると樹脂量が多くなるので相対的に所望の強度が得られやすく好ましいが、その分材料コストが高くなるのでそのバランスを鑑みて選択する必要があり、好ましくは130~220g/m、さらに好ましくは140~200g/m、より好ましくは150~200g/mである。
【0042】
<蓋体Cを容器本体Tに装着する様子>
図9に示すように、蓋体Cの天面部1を上から押す力が張出部5を介してフランジ隅切り平面部3cxからフランジ隅切り外側部3cyまで伝わりやすいため、容器本体Tのフランジ隅切り外側部103cyの先端部分が嵌合部4を構成する凸状部を越えて凹状部に嵌りやすい。このとき、蓋体Cの張出側面下端部52b及びフランジ隅切り平面部3cxが容器本体Tのフランジ隅切り平面部103cxに面して接して上から押しても、これが内側から外側に向かって上方に傾斜しているため、下方に折れ曲がりにくく変形しにくい。蓋体Cが容器本体Tに完全に装着された状態で、蓋体Cのフランジ隅切り平面部3cxと容器本体Tのフランジ隅切り平面部103cxとは面しているが接しておらず離れている。
【0043】
なお、本実施形態に示した包装用容器の蓋体及び容器本体は、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆる部位の位置・形状・寸法及び部位同士の関係や所定の工程の順序及び工程同士の関係を含む。
【符号の説明】
【0044】
C 蓋体
1 天面部
2 側壁部
2a 第1側壁部、2b 第2側壁部
2ax 第1側壁隅切り部
3 フランジ部
31 フランジ内側部、32 フランジ平面部、33 フランジ外側部
3a フランジ長手部、3b フランジ短手部、3c フランジ隅切り部
3cx フランジ隅切り平面部、3cy フランジ隅切り外側部
4 嵌合部
5 張出部
51 張出上端面部、52 張出側面部、53 張出頂部
52a 張出側面上端部、52b 張出側面下端部
53a 張出頂部下端部
6 溝部
T 容器本体
101 底部
102 側壁部
103 フランジ部
131 フランジ内側部、132 フランジ平面部、133 フランジ外側部
103a フランジ長手部、103b フランジ短手部、103c フランジ隅切り部
103d フランジ外側段差部
103cx フランジ隅切り平面部、103cy フランジ隅切り外側部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9