(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119019
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】多孔質タングステン酸化物薄膜を含むエレクトロクロミックミラー素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1523 20190101AFI20240826BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20240826BHJP
【FI】
G02F1/1523
G02F1/15 501
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023190643
(22)【出願日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】10-2023-0022536
(32)【優先日】2023-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年11月9日 2022年韓国材料学会 秋季大会
(71)【出願人】
【識別番号】517279964
【氏名又は名称】コリア・ユニバーシティ・オブ・テクノロジー・アンド・エデュケーション・インダストリー-ユニバーシティ・コーポレーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】ナ ユンチェ
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンス
(72)【発明者】
【氏名】カン クァンモ
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DB03
2K101DB26
2K101DB34
2K101DB53
2K101DB62
2K101DC02
2K101DC04
2K101DC05
2K101DC06
2K101DC25
2K101DC54
2K101EG52
2K101EG56
2K101EK07
2K101EL26
(57)【要約】
【課題】多孔質タングステン酸化物薄膜を含むエレクトロクロミックミラー素子を提供する。
【解決手段】本発明のエレクトロクロミックミラー素子は、作用電極構造体と、前記作用電極構造体に対抗する対電極構造体と、前記作用電極構造体と対電極構造体との間に位置する電解質と、を含むエレクトロクロマチックミラー素子であって、前記対電極構造体は、基板と、前記基板上のエレクトロクロミック層と、を含み、前記エレクトロクロミック層は、空隙率50~70%の多孔質タングステン酸化物薄膜を含むことを特徴とし、前記作用電極構造体上にミラーが形成されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作用電極構造体と、
前記作用電極構造体に対抗する対電極構造体と、
前記作用電極構造体と前記対電極構造体との間に位置する電解質と、を含むエレクトロクロマチックミラー素子であって、
前記対電極構造体は、
基板と、
前記基板上のエレクトロクロミック層と、を含み、
前記エレクトロクロミック層は、空隙率50~70%の多孔質タングステン酸化物薄膜を含むことを特徴とし、
前記作用電極構造体上にミラーが形成されることを特徴とする、エレクトロクロミックミラー素子。
【請求項2】
前記ミラーは、-2.5~-3.0Vの電圧を印加することにより形成されることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー素子。
【請求項3】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、+2.5~+3.0Vの電圧を印加して変色されることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー素子。
【請求項4】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、下記計算式1によるΔRが35~60%であることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー素子。
[計算式1]
(式中、R
lはAg蒸着時の可視光の反射度、R
dはAg剥離時の可視光の反射度、ΔRはAg蒸着-剥離間の可視光の反射度変化幅をそれぞれ意味する。)
【請求項5】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、下記計算式2によるΔTが20~45%であることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー素子。
[計算式2]
(式中、T
cは電気変色時の可視光の透過度、T
bは脱色時の可視光の透過度、ΔTは変色と脱色間の可視光の透過度変化幅をそれぞれ意味する。)
【請求項6】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、変色効率が25cm2C-1以上であることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー素子。
【請求項7】
前記エレクトロクロミック層は、200~500nmの厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー素子。
【請求項8】
前記エレクトロクロミック層は、着色時間が3~10秒であることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー素子。
【請求項9】
前記エレクトロクロミック層は、変色時に350~700nmの波長で吸光度(absorbance)の極大値となることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー素子。
【請求項10】
前記電解質は、DMSO(Dimethyl Sulfoxide)、TBABr(Tetrabutylammonium Bromide)、LiBr及びAgNO3を含むことを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質タングステン酸化物薄膜を含むエレクトロクロミックミラー素子に関するもので、エレクトロクロミック層の着色機能と対電極構造体上のミラー機能がそれぞれ独立して発生することを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
エレクトロクロミック素子(Electrochromic devices)は、素子に電圧の変化を加えることによりエレクトロクロミック素材の電気化学的酸化/還元反応が発生し、これにより物質の色が可逆的に変化する特性がある。
【0003】
このように電気変色が可能な物質としては、WO3、V2O5、TiO2及びNiOなどの遷移金属酸化物がある。このような遷移金属酸化物は、イオンと電子の伝導が全て可能なハイブリッド伝導特性を示すものであり、薄膜化して素子内に適用することにより、電解質と薄膜との界面でイオンによって物質を酸化/還元することで電気変色特性を有する。
【0004】
その中でも、WO3は、ほとんどの可視光領域の波長を透過して透明な特性を持つため、エレクトロクロミック素子への適用範囲が非常に広いという特徴がある。しかし、従来のWO3の適用分野は、単に可視光の透過度を変化させることが可能なエレクトロクロミック素子に止まり、可視光の透過度を下げながら反射度を付与することが可能なエレクトロクロミック素子は研究されていない。
【0005】
本発明では、このようなWO3の適用分野をさらに増やすために多孔質タングステン酸化物薄膜を製造し、これをエレクトロクロミック層に適用したエレクトロクロミックミラー素子を提供しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-2048279号(2019年11月26日)
【特許文献2】韓国登録特許公報第10-2056596号(2019年12月17日)
【特許文献3】韓国登録特許公報第10-0779245号(2007年11月29日)
【特許文献4】韓国公開特許公報第10-2006-0092362号(2006年8月23日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためのもので、多孔質タングステン酸化物薄膜を含むエレクトロクロミックミラー素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、作用電極構造体と、前記作用電極構造体に対抗する対電極構造体と、前記作用電極構造体と前記対電極構造体との間に位置する電解質と、を含む、エレクトロクロマチックミラー素子を提供する。
【0009】
このとき、前記対電極構造体は、基板と、前記基板上のエレクトロクロミック層と、を含み、前記エレクトロクロミック層は、空隙率50~70%の多孔質タングステン酸化物薄膜を含むものであり得る。
【0010】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、-2.5~-3.0Vの電圧を印加することにより、前記作用電極造体上にAgが蒸着されてAg層が形成されることでミラーとして機能し、以後、+0.5~+1.0Vの電圧を印加することにより、前記Ag層が酸化して剥離する可逆性を有するものであり得る。
【0011】
また、前記エレクトロクロミックミラー素子は、+2.5~+3.0Vの電圧を印加して前記エレクトロクロミック層の空隙内でLi+及びAg+が還元されてナノ粒子を形成することにより着色し、以後、-0.5~-1.0Vの電圧を印加して前記ナノ粒子が酸化することにより脱色するものであり得る。
【0012】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、下記計算式1によるΔRが35~60%であり得る。
[計算式1]
(式中、R
lはAg蒸着時の可視光の反射度、R
dはAg剥離時の可視光の反射度、ΔRはAg蒸着-剥離間の可視光の反射度変化幅をそれぞれ意味する。)
【0013】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、下記計算式2によるΔTが20~45%であり得る。
[計算式2]
(式中、T
cは電気変色時の可視光の透過度、T
bは脱色時の可視光の透過度、ΔTは変色と脱色間の可視光の透過度変化幅をそれぞれ意味する。)
【0014】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、変色効率が25cm2C-1以上であり得る。
前記多孔質タングステン酸化物薄膜は、200~500nmの厚さを有することができる。
前記エレクトロクロミック層は、着色時間が3~10秒であり得る。
前記エレクトロクロミック層は、変色時に350~700nmの波長で吸光度の極大値となることができる。
【0015】
前記電解質は、DMSO(Dimethyl Sulfoxide)、TBABr(Tetrabutylammonium Bromide)、LiBr及びAgNO3を含むことができる。
【発明の効果】
【0016】
単純変色のみが可能であった従来のタングステン酸化物素子とは異なり、本発明に係るエレクトロクロミックミラー素子は、電解質にAg+イオンを含むことにより、電圧印加に応じてミラーとしての機能が可能であり、多孔質テンステン酸化物薄膜により、従来現れる青色ではなく、黒色への着色状態の実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明で提供するエレクトロクロミックミラー素子のメカニズムを簡略に示す模式図である。
【
図2】本発明で提供するエレクトロクロミックミラー素子の構造及び製造方法を簡略に示す模式図である。
【
図3】本発明で提供するエレクトロクロミックミラー素子の作動シーンを撮影した写真である。
【
図4】実施例1~3及び比較例のミラー化反応時の可視光に対する反射度を測定した結果を示すグラフである。
【
図5】実施例2のAg蒸着によるミラー化反応及びAg剥離による透明化が作動するシーンを撮影した写真である。
【
図6】実施例1~3及び比較例の着色及び脱色の繰り返し時の素子の可視光透過度を測定した結果を示すグラフである。
【
図7】実施例1~3及び比較例の電荷量負荷による変色効率を示すグラフである。
【
図8】実施例2及び比較例の着色及び脱色の繰り返し時の時間経過による可視光の透過度変化を示すグラフ、及び可視光の波長別吸光度を示すグラフである。
【
図9】本発明で提供するエレクトロクロミックミラー素子内のITOとエレクトロクロミック層とからなる対電極構造体の断面をSEM(Scanning Electron Microscope)で撮影した写真である。
【
図10】実施例1及び比較例の着色時のXPS(X-Ray Photoelectron Spectroscopy)分析結果を示すグラフである。
【
図11】実施例1及び比較例の着色時の素子内構造を簡略に描写した模式図である。
【
図12】本発明のエレクトロクロミック層を製造する方法における三電極セルの構造を示す模式図及び電圧プログラムを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明によるエレクトロクロミックミラー素子について詳細に説明する。次に紹介する図面は、当業者に本発明の思想が十分に伝達されるように例として提供するものである。したがって、本発明は、以下に提示される図面に限定されず、他の形態で具体化されてもよく、以下に提示される図面は、本発明の思想を明確にするために誇張して図示されてもよい。この際、本発明で使用される技術用語及び科学用語において他の定義がなければ、この発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明及び添付図面において本発明の要旨を不要に不明確にするおそれのある公知の機能及び構成についての説明は省略する。
【0019】
本発明は、作用電極構造体と、前記作用電極構造体に対抗する対電極構造体と、前記作用電極構造体と前記対電極構造体との間に位置する電解質と、を含む、エレクトロクロマチックミラー素子を提供する。
【0020】
このとき、前記対電極構造体は、基板と、前記基板上のエレクトロクロミック層と、を含み、前記エレクトロクロミック層は、空隙率50~70%の多孔質タングステン酸化物薄膜を含むものであり得る。
【0021】
前記基板は、ITO(Indium Tin Oxide)を使用するものであり得る。ITOは、十分に薄く製作する場合に光を透過する特性があり、本発明のようにエレクトロクロミック素子の色を発現するための透明な電極として使用可能である。
【0022】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、-2.5~-3.0Vの電圧を印加することにより、前記作用電極構造体上にAgが蒸着されてAg層が形成されることでミラーとして機能し、以後、+0.5~+1.0Vの電圧を印加することにより前記Ag層が酸化して剥離することで再び透明になることができる。このとき、電解質中のAg+イオンが作用電極の表面に還元されて蒸着されることによりAg層を形成し、前記Ag層がミラーの役割を果たすことができる。
【0023】
以後、前記エレクトロクロミックミラー素子に+0.5~+1.0Vの電圧を印加すると、前記Ag層が酸化されてAg+イオンが前記作用電極構造体から電解質に拡散することができる。
【0024】
また、前記エレクトロクロミックミラー素子は、+2.5~+3.0Vの電圧を印加して前記エレクトロクロミック層の空隙内にLi+イオンが挿入され、Ag+が還元されてナノ粒子を形成することにより着色し、以後、-0.5~-1.0Vの電圧を印加して前記ナノ粒子が酸化することにより脱色することができる。さらに具体的には、前記エレクトロクロミックミラー素子の対電極に+2.5~+3.0Vの電圧を印加するとき、電解質中のLi+イオンが挿入され、Ag+イオンがエレクトロクロミック層の空隙内で還元されてナノ粒子として付着し、このように付着したAgナノ粒子により素子の可視光反射及び吸収パターンに変化が発生して変色特性が発現することができる。
【0025】
このとき、従来の高密度のタングステン酸化物を使用する場合に空隙が存在せず、これによりAg+の還元がほとんど発生しないため、前記Agナノ粒子が形成される量が少なくて青色を呈するが、本発明のエレクトロクロミックミラー素子は、空隙が存在してイオンと電子の伝導度が高いため、前記Agナノ粒子の形成が盛んに発生し、Agナノ粒子の最大収容量が増加するので、エレクトロクロミック層の可視光吸光度が向上して黒色に変色することができる。
【0026】
このように形成されたAgナノ粒子は、エレクトロクロミックミラー素子に-0.5~-1.0Vの電圧を印加することにより再び酸化してAg+イオンが電解質に拡散することができる。
【0027】
上述した電圧領域は、前記エレクトロクロミックミラー素子内に存在する物質(Ag、Li、DMSOなど)の標準還元電位(Standard Reduction Potential)と関連があるものであり、副反応を最小限に抑えるためには上記の電圧領域(ミラー化反応時~-3.0V、変色反応時~+3.0V)内で運用しなければならない。上記の電圧領域から外れると、電解質を構成するDMSO又はTBABr(Tetrabutylammonium)の分解といった副反応が発生するおそれがあって良くない。
【0028】
前記多孔質タングステン酸化物薄膜は、空隙率が50~70%であり得る。このような空隙率は、後述する本発明の特徴的なパルス電圧プログラムによって形成されるものであり得る。本発明で提供する多孔質タングステン酸化物薄膜は、空隙率20~30%の従来技術に比べて空隙率が非常に高く、本発明は、このような空隙率を有する多孔質タングステン酸化物薄膜をエレクトロクロミック層で構成することにより電子伝導性、空隙を介した電解質の含浸によるイオン伝導性、物質が酸化及び還元できる面積がいずれも増加して、変色時間がより速く、多量のAgナノ粒子形成により特徴的な黒色への着色が可能である。このとき、従来技術では、空隙率が低いためイオン伝導度が低く、空隙を介して電解質が含浸されず、電気変色の際にもAgナノ粒子がほとんど形成されないため青色に変色する。
【0029】
また、前記多孔質タングステン酸化物薄膜は、200~500nmの厚さを有することができる。前記多孔質タングステン酸化物薄膜は、前記基板上にパルス電圧を印加することにより、タングステン酸化物の電気化学的還元反応によって形成されるもので、ランダムに成長した柱、チップまたは「ミミズ構造(worm-like structure)」と呼ばれる形態であり得る。
【0030】
このとき、前記多孔質タングステン酸化物薄膜がこれより薄い厚さを有する場合には、電気変色効果が低いため使用が難しく、これより厚い場合には、電気変色に必要なイオンと電子の伝導度が低下して電気変色効果が低くなり、脱色の際にもエレクトロクロミック層の厚さにより可視光に対する透過度が低くなるおそれがあって良くない。
【0031】
また、前記多孔質タングステン酸化物薄膜の密度が上記の範囲未満である場合、空隙率が高すぎて外力によってタングステン酸化物の物理的破損が発生する可能性があり、前記密度が上記の範囲以上である場合、電子及びイオン伝導度が低下して、本発明の特徴である黒色への電気変色と同時にミラー化される現象が現れない可能性がある。
【0032】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、下記計算式1によるΔRが35~60%のものであり得る。
[計算式1]
式中、R
lはAg蒸着時の可視光の反射度、R
dはAg剥離時の可視光の反射度、ΔRはAg蒸着-剥離間の可視光の反射度変化幅をそれぞれ意味する。前記エレクトロクロミックミラー素子のΔRが高いほど、ミラー形成と剥離との視認性がより向上するという効果がある。このとき、前記ΔRが35%未満である場合には、変色による素子の反射度の変化が微小であって、ミラー形成及び剥離時のコントラストが際立たないため、エレクトロクロミックミラー素子への適用が難しいか、或いは応用可能な分野が縮小する可能性がある。
【0033】
前記エレクトロクロミックミラー素子は、下記計算式2によるΔTが20~45%のものであり得る。
[計算式2]
式中、T
cは、電気変色時の可視光の透過度、T
bは脱色時の可視光の透過度、ΔTは変色と脱色間の可視光の透過度変化幅をそれぞれ意味する。エレクトロクロミック素子は、ΔT(透過度の変化)が大きいほど着色と脱色による色変化がより明瞭に現れるという効果があるため、ΔTは高いほど良い。このとき、好ましくは、前記ΔTが25~45%、さらに好ましくは35~45%であり得る。本発明は、上述した多孔質タングステン酸化物薄膜を用いることにより、従来の平坦で密集したタングステン酸化物薄膜と比較して可視光の透過率変化幅がさらに大きいことができる。このとき、前記ΔTが20%未満の場合には、変色に伴う素子の透過度変化が微小であるため、着色及び脱色の色コントラストが際立たないため、エレクトロクロミック素子への適用が難しいか、或いは応用可能な分野が縮小する可能性がある。
【0034】
このような構成を有する本発明のエレクトロクロミックミラー素子は、変色効率が25cm2C-1以上であり得る。前記変色効率とは、単位電荷当たり変色が可能な面積を示すものであり、大きな値を有するほど消費する電荷量に対して電気変色の効率が高いことを意味する。このとき、好ましくは、本発明のエレクトロクロミックミラー素子の変色効率が30cm2C-1以上、さらに好ましくは35cm2C-1以上であり得る。前記変色効率の上限は、特に定められてはいないが、例えば50cm2C-1以下であってもよい。
【0035】
前記エレクトロクロミック層は、着色時間が3~10秒であり得る。ここで、前記着色時間は、前記エレクトロクロミックミラー素子に電圧を印加した後に前記可視光透過度が最小値に収束する時間を意味することができる。このとき、前記着色時間は、好ましくは3~9秒、さらに好ましくは3~8秒であり得る。このような着色時間が短いほど、電圧を印加した時点から色変化が完了する時点までの所要時間が減少して、より多様なエレクトロクロミック技術の応用分野に適用することができる。
【0036】
前記エレクトロクロミック層は、変色時に350~700nmの範囲内で吸光度の極大値を有するものであり得る。このような吸光度は、光電分光光度計(Photoelectric Photometer)、光電比色計(Photometer)又はUV-vis分光光度計(Ultraviolet-Visable Spectrophotometer)などの装備で測定できる。従来のWO3エレクトロクロミック層を使用する場合、このような範囲内で極大値を持たず、むしろ極小値を有するか或いは可視光波長領域内の最低値が現れることもある。これにより、従来のWO3エレクトロクロミック層は青色を呈するが、本発明のエレクトロクロミック層はAgナノ粒子の多量形成により青色光を大部分吸収し、他の可視光波長領域の吸光度が全ての区間で従来よりも高いため、黒色に近い着色が発生する。
【0037】
本発明において、上述したように前記エレクトロクロミックミラー素子に+2.5~+3.0Vの電圧を印加する場合、空隙内でAg+イオンが均一に還元されてAgナノ粒子が分布するため、前記着色したエレクトロクロミック層の物質分析の際にAgナノ粒子が検出できる。
【0038】
このとき、このように着色したエレクトロクロミック層に形成されるAgナノ粒子は、エレクトロクロミック層を構成する物質のうち、15~30原子%を占めるものであってもよい。このとき、好ましくは、前記エレクトロクロミック層中のAgナノ粒子の含有量は17.5~30.0原子%、さらに好ましくは20.0~30.0原子%であり得る。より具体的には、ミラー化されたエレクトロクロミック層のXPS(X線スペクトロスコープ)測定及び分析の際にAg 3d3/2及びAg 3d5/2のピークが発生し、このようなピークを逆畳み込みして原子%を計算すると、Ag含有量が上記の範囲内で観察できる。本発明では、前記エレクトロクロミック層中のAgナノ粒子の含有量をこのように調節することにより、エレクトロクロミック層が黒色に着色することができる。
【0039】
このとき、前記エレクトロクロミック層のAgの含有量が15原子%未満である場合、Agナノ粒子の量が少ないため、エレクトロクロミック層が黒色ではなく青色に着色して色中立性の面で良くない。また、30原子%を超える場合、エレクトロクロミック層中のAgナノ粒子の量が増えることにより色がより明瞭になり、色変化に対する視認性がより向上することができる。しかし、これを達成するためには、電解質中のAg塩の量が多くなければならないが、このような有機溶媒(DMSO)内でAg塩の溶解度を高めることが困難であるという問題点がある。また、過剰にAgナノ粒子が形成されている場合、これを電気化学的にAg+に酸化させても電解質中のAgイオンに対する溶解度が十分ではないため、Ag塩またはAgが析出することがあるので、反応の可逆性が低下し、素子の持続的な活用が難しくなるおそれがある。
【0040】
従来のタングステン酸化物(WO3)をエレクトロクロミック層として用いるエレクトロクロミック素子の場合、エレクトロクロミック層の密度が非常に高い状態で使用するため、電子の伝導度が低く、電解質中にAgを添加するにも拘らず、Ag+のイオン伝導度が低いため、タングステン酸化物構造内への拡散がうまく行われず、タングステン酸化物からAg+への電荷転移が発生し難いので、本発明のようなAgナノ粒子の形成が困難である。このような相違点は、後述する本発明の実施例及び比較例でより明確に確認することができる。
【0041】
前記電解質は、DMSO(Dimethyl Sulfoxide)、TBABr(Tetrabutylammonium Bromide)、LiBr及びAgNO3を含むことができる。
【0042】
前記TBABrは、直接的な化学反応に関与しない塩であり、DMSOに対する溶解度が高いため、電解質中に含まれるその他の塩に比べて多量に含まれてイオン伝導度を高める役割を果たす。前記電解質中のTBABrの濃度は100~500mMであり得るが、上記の範囲よりも過剰に含まれる場合、電解質の可視光透過度を下げることができるため、素子が脱色したときに透明度を下げることができなくて良くなく、上記の範囲よりも微量含む場合、イオン伝導度が低いためエレクトロクロミックミラー素子のイオン伝導度が低下して着色時間、脱色時間、並びにミラー化反応及びその逆反応にかかる時間などの素子の全体的な性能が低下するおそれがあって良くない。
【0043】
前記電解質は、LiBrを含むものであり、電解質内でイオン化してLi+及びBr-に解離され、前記Li+は、素子内の電圧印加に応じてエレクトロクロミック層の空隙に挿入されて着色し、脱離して電解質に拡散し、脱色するメカニズムで電気変色に寄与するものであり得る。前記電解質中のLiBrの濃度は100~500mMであってもよいが、上記の範囲よりも過剰に含まれる場合、電解質の可視光透過度を低くすることができ、脱色のための電圧印加時にも空隙内に過剰に密集して脱離しないことにより、エレクトロクロミック層が着色したまま残っている可能性があって良くない。また、上記の範囲よりも微量含まれる場合、着色時の透過度が高いため、色が変化する程度が大きくなくて良くよい。
【0044】
また、前記電解質は、AgNO3を含むものであり、これを電解質に含むことにより、電圧の変化に伴う電気変色とともに、Ag+が作用電極構造体で還元されて蒸着されることで素子をミラー化するか、或いは対電極構造体で還元されて黒色の着色を実現することができる。このために、前記電解質は、AgNO3を少なくとも20mM以上、好ましくは30mM以上、さらに好ましくは40mM以上含むことができる。AgNO3が上記の範囲よりも微量含まれる場合、本発明の特徴であるミラー化反応または黒色の着色反応が現れないおそれがある。前記電解質中のAgNO3含有量の上限は、特に限定されないが、例えば100mM以下であり得る。
【0045】
本発明は、前記エレクトロクロミックミラー素子のエレクトロクロミック層を製造するために、作用電極、基準電極、対電極及び電解質からなる三電極セルを用いるが、作用電極としてITO(Indium Tin Oxide)基板を使用することができる。
【0046】
前記基準電極は、水系セルで使用することができるものであれば制限されずに使用が可能である。例えば、Ag/AgCl基準電極又はSCE(Standard Calomel Electrode)などの基準電極を使用することができる。
【0047】
前記対電極は、従来の水系電解質システム内で基準電極に対して0.0~-1.0V区間で安定した物質であれば制限なく使用可能であるが、電気化学的に安定し且つ電解質内物質との反応性が少ないPtなどの金属を電極として使用することが良い。
【0048】
このとき、前記三電極セルの電解質として脱イオン水、Na2WO4*H2O、HClO4及びH2O2からなる溶液を使用し、パルス電圧プログラムを印加することにより、多孔質タングステン酸化物薄膜を形成することができる。
【0049】
前記パルス電圧プログラムは、(a)第1パルス電圧の印加、(b)休止期、(c)第2パルス電圧の印加、(d)休止期からなる(a)~(d)段階の繰り返し実行であり得る。
【0050】
前記第1パルス電圧は、酸化電極構造体を基準にして-0.6~-0.8Vに調節されて0.1~0.5秒間印加されることができる。このとき、好ましくは、前記第1パルス電圧が0.1~0.4秒間、さらに好ましくは0.1~0.3秒間印加されることができる。
【0051】
前記(b)休止期及び(d)休止期は、同様に0.5~2.0秒間持続されることができる。具体的には、前記休止期は、いかなる電圧も印加せずにエレクトロクロミックミラー素子の開回路電圧(Open Circuit Voltage)に放置するものであり得る。さらに好ましくは、このような休止期の持続時間が0.5~1.5秒であり得る。
【0052】
前記第2パルス電圧は、酸化電極構造体を基準にして+0.1~-0.1Vに調節されて0.05~0.20秒間印加されることができる。このとき、さらに好ましくは、前記第2パルス電圧が0.05~0.15秒間印加されることができる。
【0053】
本発明は、このようなパルス電圧プログラムを行ってエレクトロクロミック層を製造することにより、上述した多孔質タングステン酸化物を得ることができる。このとき、上述したパルス電圧プログラムは、(a)~(d)段階を1サイクルにして、1000~12000サイクル繰り返されるものであってもよい。但し、好ましくは、このようなパルス電圧プログラムが3000~9000サイクル繰り返し行われることが好ましく、さらに好ましくは4000~8000サイクル繰り返し行われることが好ましい。このような範囲内でパルス電圧プログラムを行うことにより製造されるエレクトロクロミック層の着色及び脱色時間がより短縮され、着色特性がより良く現れることができる。このとき、上記の範囲より少ないサイクルでパルス電圧プログラムを行う場合、エレクトロクロミック層の形成が十分に行われないため、エレクトロクロミック特性が著しく低下する可能性がある。また、上記の範囲よりも多いサイクルでパルス電圧プログラムを行う場合、エレクトロクロミック層が過剰に厚く形成されて電子及びイオンの伝達が難しくなり、着色がうまくなされず、脱色の際にも可視光の透過度が著しく低下して脱色と着色間の色コントラストが減少するため全体的なエレクトロクロミック性能が低下する可能性がある。
【実施例0054】
以下、実施例によって本発明によるエレクトロクロミックミラー素子についてさらに詳細に説明する。但し、下記の実施例は、本発明を詳細に説明するための一つの参照に過ぎず、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な形態で実現できる。
【0055】
また、他に定義されない限り、全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する当業者の一つによって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で説明に使用される用語は、特定の実施例を効果的に記述するためのものに過ぎず、本発明を限定することに意図されない。なお、明細書で特に記載しない添加物の単位は重量%であり得る。
[実施例1]
【0056】
ITO(Indium Tin Oxide)電極を用意し、これを作用電極とし、Ag/AgCl電極を基準電極として、Ptメッシュ電極を対電極とする三電極セルを用意し、20mlの脱イオン水、3mM Na2WO4*H2O、2mlのHClO4及び0.65mlのH2O2を混合した電解質を投入した。
【0057】
次に、前記三電極セルにパルス電圧プログラムを印加してタングステン酸化物の電気化学蒸着を行った。前記パルス電圧プログラムは、(a)0.2秒間基準電極対比-0.7Vの電圧印加、(b)1.0秒間休止、(c)0.1秒間基準電極対比0.0Vの電圧印加、(d)1.0秒間休止からなる(a)~(d)段階で構成され、これを合計3000サイクル繰り返し行うことにより、ITO電極上にエレクトロクロミック層を製造して還元電極構造体を形成した。
【0058】
次に、DMSO(Dimethyl Sulfoxide)10mLにTBABr(Tetrabutylammonium Bromide)が250mM、LiBrが250mM、AgNO3が50mMとなるように溶解して電解質を製造した。
【0059】
前記還元電極構造体上に、電解質の水槽として機能するSurlinTM(ダウケミカル製)を位置させた後、電解質を注入し、酸化電極構造体を位置させてエレクトロクロミックミラー素子を製造した。
[実施例2]
パルス電圧プログラムを6000サイクル繰り返し行った以外は、実施例1と同様にした。
[実施例3]
パルス電圧プログラムを9000サイクル繰り返し行った以外は、実施例1と同様にした。
[比較例]
パルス電圧プログラムの代わりに基準電極対比-0.7Vに定電圧を維持してタングステン酸化物を電気化学的に蒸着した以外は、実施例1と同様にした。
【0060】
[特性評価方法]
A.ミラー化特性の評価
実施例1~3と比較例に-3.0V電圧を40秒、+0.7V電圧を20秒間繰り返し印加して、素子のミラー化及び剥離を介して反射度に関する特性を確認した。
図4の(a)は比較例、(b)は実施例1、(c)は実施例2、(d)は実施例3に該当し、全ての素子において電圧印加に伴うAg層の蒸着が発生したことが分かる。素子のミラー化及び剥離時に測定された反射度を用いて、下記計算式1に従ってΔRを計算した。
[計算式1]
(式中、R
lはAg蒸着時の可視光の反射度、R
dはAg剥離時の可視光の反射度、ΔRはAg蒸着-剥離間の可視光の反射度変化幅をそれぞれ意味する。)
【0061】
このように計算されたΔRは、それぞれ比較例が43.4%、実施例1が37.3%、実施例2が51.4%、実施例3が51.2%であった。このとき、実施例1は、比較例よりもΔR値が低いが、Ag層が蒸着されているときに全ての可視光波長領域で実施例1~3の反射度が比較例よりも高いため、実施例1~3がミラーとしての性能にさらに優れていることが分かる。
図5を参照すると、実施例2に電圧を印加することにより、ミラー化反応及び剥離が進行することを確認することができる。
【0062】
B.変色特性の評価
実施例1~3と比較例に+2.5V電圧を20秒、-1.0V電圧を20秒間繰り返し印加して、素子の着色及び脱色に関連する変色特性を確認した。
図6の(a)は比較例、(b)は実施例1、(c)は実施例2、(d)は実施例3に該当し、時間経過によって電圧印加プログラムによる着色及び脱色が発生することが分かる。素子の着色及び脱色時に測定された透過度を用いて、下記計算式2に従ってそれぞれのΔTを計算した。
[計算式2]
(式中、T
cは電気変色時の可視光の透過度、T
bは脱色時の可視光の透過度、ΔTは変色と脱色間の可視光の透過度変化幅をそれぞれ意味する。)
【0063】
このとき、比較例はΔTが18.3%、実施例1~3はΔTがそれぞれ23.7%、37.0%、32.0%であるため、実施例1~3は着色及び脱色時の透過度の変化幅がより大きいことが分かる。
【0064】
次に、素子の電気変色効率を測定した。前記電気変色効率は、素子に印加される単位電荷量当たりの透過度変化幅を示すグラフ内の原点の微分係数値として現れる。
図7を参照すると、比較例と実施例1~3の電気変色効率を確認することができる。このとき、特に実施例2の電気変色効率が39.0cm
2C
-1と最も優れることが分かる。
【0065】
比較例と実施例1~3内のエレクトロクロミック層の脱色時間及び着色時間をまとめると、次の通りである。ここで、脱色時間は、電圧を印加した時点から脱色が完了する時点までの時間を意味し、着色時間は、電圧を印加した時点から脱色が完了する時点までの時間を意味する。
【0066】
【0067】
表1を参照すると、実施例1は、脱色及び着色にかかる時間がそれぞれ2.3秒、3.4秒と最も速いことを確認することができる。また、実施例2及び3は、脱色時間が比較例とほぼ同様であったが、着色時間はそれぞれ比較例が13.2秒、実施例2が8.0秒、実施例3が9.2秒であって、実施例2及び3が比較例よりもさらに速いことを確認することができる。
【0068】
実施例のうち、ΔTが最も高い実施例2と比較例を介して電気変色によって素子がミラーとして機能することができるかを考察した。
図8を参照すると、素子の電圧を-0.5V(脱色)、+2.5V(着色)に繰り返し調節したときの時間によるΔTを確認することができる。比較例の場合、ΔTが約9.5%であり、従来のタングステン酸化物(WO
3)の着色時に現れることが知られている青色の着色を示すが、実施例2の場合は、ΔTが約46.0%であって黒色に近い着色を示すことが分かる。さらに、
図8の(c)を考察すると、実施例2が全ての可視光波長領域でさらに高い吸光度を示すことを確認することができる。
【0069】
C.エレクトロクロミック層の特性評価
比較例及び実施例1~3のエレクトロクロミック層、エレクトロクロミックミラー素子内のITO泳ぎエレクトロクロミック層からなる対電極構造体の断面をSEM(Scanning Electron Microscope)で撮影し、その結果を
図9に示した。
図9を参照すると、実施例1は約200nm程度、実施例2は約300nm程度、実施例3は約400nm程度の厚さを有する多孔質タングステン酸化物が蒸着されたことが分かる。
【0070】
次に、比較例及び実施例2のエレクトロクロミック層をXPS(X線フォトエレクトロスペクトロスコープ)で分析し、その結果を
図10に示す。
図10を参照すると、比較例の場合は、Ag 3d
3/2及びAg 3d
5/2のピーク強度が実施例2に比べて約1/10レベルと小さいことが分かる。
【0071】
【0072】
表2を参照すると、比較例及び実施例2のエレクトロクロミック層の組成をそれぞれ確認することができる。実施例2の場合は、Ag 3dの組成が22.76原子%であって、比較例の0.17原子%に比べて非常に高いことが分かる。
【0073】
上述した原子組成から類推した比較例と実施例2の構造を模式図で示すと、
図9のようである。
図9を参照すると、比較例は、平坦で密度の高いタングステン酸化物薄膜を有することにより、タングステン酸化物内の電子及びAgイオンの伝導性が比較的低く、これにより表面のAgナノ粒子の数が少ないことを確認することができる。
【0074】
一方、実施例2の場合は、上述したように吸光度及びAgの含有量が高かったが、このような現象は、本発明の特徴であるエレクトロクロミック層内の多孔質タングステン酸化物薄膜によって発生するものであり、薄膜の多孔質構造により薄膜内の電子伝達がよりスムーズになりながらAg+の還元がさらに容易になり、比表面積が従来に比べて増えてAgナノ粒子の総量が増えることにより表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)現象が発生して黒色の着色を実現することができる。
【0075】
以上のように特定された事項と限定された実施例によって本発明を説明したが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。
したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等であるか或いは等価的変形があるすべてのものは、本発明の思想の範疇に属するというべきである。