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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119021
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】動物捕獲用檻
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/20 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
A01M23/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194118
(22)【出願日】2023-11-15
(62)【分割の表示】P 2023025298の分割
【原出願日】2023-02-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年10月12日~14日 第12回農業Weekウェブサイト中出展社詳細 写し 1 令和4年10月12日~14日 第12回農業Weekチラシ 1 令和5年1月19日 千葉県君津市 市長 石井宏子 納品書 1
(71)【出願人】
【識別番号】521211262
【氏名又は名称】房総プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】酒井 直樹
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA02
2B121BA12
2B121BA16
2B121BA21
2B121EA21
2B121FA05
(57)【要約】
【課題】本発明は、より少人数で、小型動物を捕獲することのできる動物捕獲用檻を提供する。
【解決手段】本発明の一観点に係る動物捕獲用檻1は、床部材2と、開口領域31を形成しつつ床部材に対して略垂直に固定される壁部材3と、壁部材によって支持され、床部材に対向して配置される天井部材4と、開口領域の開閉を行う扉部材5と、扉部材の開閉を制御する開閉制御部材6と、を備えた動物捕獲用檻であって、開閉制御部材は、扉部材の閉動作を開始する閉動作開始部材61と、扉部材の開状態、逆止状態、及び閉状態のいずれかを実現する状態制御部材62と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部材と、
開口領域を形成しつつ前記床部材に対して略垂直に固定される壁部材と、
前記壁部材によって支持され、前記床部材に対向して配置される天井部材と、
前記開口領域の開閉を行う扉部材と、
前記扉部材の開閉を制御する開閉制御部材と、を備えた動物捕獲用檻であって、
前記開閉制御部材は、前記扉部材の閉動作を開始する閉動作開始部材と、前記扉部材の開状態、逆止状態、及び閉状態のいずれかを実現する状態制御部材と、を備える動物捕獲用檻。
【請求項2】
前記扉部材は、前記床部材、前記天井部材及び前記壁部材によって檻内部を閉じた空間とする扉本体部と、前記壁部材に固定され前記扉本体部の鉛直方向上下の移動を実現する扉支持部と、を備えており、
前記扉本体部には、一方向に連続して配置される複数の貫通孔が形成されており、
前記開閉制御部材は、前記扉本体部の前記貫通孔に挿入される差込部材と、前記差込部材を固定する固定部材と、前記固定部材に接続されかつ前記檻内部に設けられる前記閉動作開始部材と、を有する請求項1記載の動物捕獲用檻。
【請求項3】
前記差込部材は、所定の角度範囲だけ回転軸に回転可能に支持されることで、前記扉部材の開状態、逆止状態、及び閉状態のいずれかを実現する請求項2記載の動物捕獲用檻。
【請求項4】
前記閉動作開始部材は、前記檻内部に設けられる踏板と、前記固定部材に接続され前記踏板を引き上げる引上部材と、を備える請求項2記載の動物捕獲用檻。
【請求項5】
前記壁部材の前記踏板が配置されている領域に、貫通孔が設けられる請求項4記載の動物捕獲用檻。
【請求項6】
前記床部材、前記天井部材、及び、前記壁部材に複数の貫通孔が形成されてなる請求項1記載の動物捕獲用檻。
【請求項7】
前記引上部材は前記壁部材に沿って配置されており、
前記壁部材には、前記引上部材を保護する保護部材が設けられている請求項4記載の動物捕獲用檻。
【請求項8】
前記固定部材は、前記天井部材上面に固着される固着部材と、
前記固着部材に摺動可能に支持される棒状部材と、
前記棒状部材を押し出して前記差込部材に挿入し前記差込部材を固定する弾性部材と、を備える請求項2記載の動物捕獲用檻。
【請求項9】
前記床部材、前記壁部材、及び前記天井部材はアルミニウム又はアルミニウム合金により構成される請求項1記載の動物捕獲用檻。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物捕獲用檻に関し、より具体的には野生小型動物を捕獲するための捕獲用檻に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数十年、エネルギーとして木材ではなく石油等の化石燃料の輸入が増大し、また、外国から安い木材等の輸入が増大しつつあり、日本国内の木材消費が減少しつつあることを背景に、森林の植生は回復しつつあるが同時にイノシシやシカ等の野生動物の生息数が増加しつつあり、これらが農地や住宅などの人の生活領域に出没することで、農作物の被害や野生動物と遭遇してけがを負わされるなど様々な問題が生じてきている。
【0003】
人の生活領域に近い領域では、このような問題を回避するために、これら領域に野生動物を捕獲するための罠を設置して一定数野生動物を駆除していかざるを得ないといった状況がある。
【0004】
また、上記動物を捕獲するための罠(動物捕獲罠)としては、例えば下記特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6663071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献で開示されるような動物捕獲罠は、鉄等の重量の大きな材質で行わざるを得ず、その持ち運びには多数の者の協力が必要となる。昨今の少子高齢化及び労働者不足を背景に、罠の設置やその後の処理に多人数を確保することは容易ではない。
【0007】
一方で、上記のような大きな動物だけではなく、アライグマやハクビシン等の小型動物の捕獲のニーズも大きくなりつつあり、これに最適な形態の動物捕獲用の罠が望まれている。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、より少人数で、小型動物を捕獲することのできる動物捕獲用檻を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の一観点にかかる動物捕獲用檻は、床部材と、開口領域を形成しつつ床部材に対して略垂直に固定される壁部材と、壁部材によって支持され、床部材に対向して配置される天井部材と、開口領域の開閉を行う扉部材と、扉部材の開閉を制御する開閉制御部材と、を備えた動物捕獲用檻であって、開閉制御部材は、扉部材の閉動作を開始する閉動作開始部材と、扉部材の開状態、逆止状態、及び閉状態のいずれかを実現する状態制御部材と、を備えるものである。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけではないが、扉部材は、床部材、天井部材及び壁部材によって檻内部を閉じた空間とする扉本体部と、壁部材に固定され扉本体部の鉛直方向上下の移動を実現する扉支持部と、を備えており、扉本体部には、一方向に連続して配置される複数の貫通孔が形成されており、状態制御部材は、扉本体部の貫通孔に挿入される差込部材と、差込部材を固定する固定部材と、固定部材に接続されかつ檻内部に設けられる閉動作開始部材と、を有することが好ましい。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけではないが、差込部材は、所定の角度範囲だけ回転軸に回転可能に支持されることで、扉部材の開状態、逆止状態、及び閉状態のいずれかを実現することが好ましい。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけではないが、閉動作開始部材は、檻内部に設けられる踏板と、固定部材に接続され踏板を引き上げる引上部材と、を備えることが好ましい。
【0013】
壁部材の踏板が配置されている領域に、貫通孔が設けられることが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけではないが、床部材、天井部材、及び、壁部材に複数の貫通孔が形成されてなることが好ましい。
【0015】
また、本観点において、限定されるわけではないが、引上部材は壁部材に沿って配置されており、壁部材には、引上部材を保護する保護部材が設けられていることが好ましい。
【0016】
また、本観点において、限定されるわけではないが、固定部材は、天井部材上面に固着される固着部材と、固着部材に摺動可能に支持される棒状部材と、棒状部材を押し出して差込部材に挿入し差込部材を固定する弾性部材と、を備えることが好ましい。
【0017】
また、本観点において、限定されるわけではないが、床部材、壁部材、及び天井部材はアルミニウム又はアルミニウム合金により構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上本発明によって、より少人数で、小型動物を捕獲することのできる動物捕獲用檻を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る動物捕獲用檻の外観(開状態)の概略を示す図である。
図2】実施形態に係る動物捕獲用檻の外観(閉状態)の概略を示す図である。
図3】実施形態に係る動物捕獲用檻の床部材を上面から見た場合の概略を示す図である。
図4】実施形態に係る動物捕獲用檻の天井部材の蓋部が開いた場合のイメージ図である。
図5】実施形態に係る動物捕獲用檻の開閉制御部材の説明をするための図である。
図6】実施形態に係る動物捕獲用檻の開閉制御部材近傍の概略を示す図である。
図7】実施形態に係る動物捕獲用檻の開閉制御部材近傍の概略を示す図である。
図8】実施形態に係る動物捕獲用檻の扉本体部と差込部材の開閉状態を示すイメージ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態に記載の具体的な例示に限定されるわけではない。
【0021】
図1、2は、本実施形態にかかる動物捕獲用檻(以下「本捕獲檻」という。)1の外観の概略を示す図であり、図1は開状態を、図2は閉状態をそれぞれ示している。これらの図で示すように、本捕獲檻1は、床部材2と、開口領域31を形成しつつ床部材2に対して略垂直に固定される壁部材3と、壁部材3によって支持され、床部材2に対向して配置される天井部材4と、開口領域31の開閉を行う扉部材5と、扉部材5の開閉を制御する開閉制御部材6と、を備えており、さらに、開閉制御部材6は、扉部材5の閉動作を開始する閉動作開始部材61と、扉部材5の開状態、逆止状態及び閉状態のいずれかを実現する状態制御部材62と、を備えるものである。
【0022】
本捕獲檻1による具体的な動作や効果については後述の記載によって明らかとなるが、上記の構成により、本捕獲檻1は、より少人数で、小型動物を捕獲することのできる動物捕獲用檻となる。具体的には、本捕獲檻1は扉部材5を開状態とし、本捕獲檻1内に餌等を設置する。この状態で小型動物が本捕獲檻1内に入り、本捕獲檻1内に設けられる閉動作開始部材61を動作させると、扉が逆止状態となり、完全に閉まる(扉部材5の下端が最下端まで到達する)と閉状態となる。なお逆止状態において扉部材5は、下がることはあるが上に上げることはできない。本捕獲檻1は、後述の様々な工夫を有しているが、逆止状態を設けることで小型動物が自力で扉部材5を上げてしまうおそれを格段に下げることができる。また、本捕獲檻1で捕獲対象となるものは小型動物であり、小型動物としては、例えばタヌキ、アライグマ、アナグマ、ハクビシン、イタチ等であるがこれに限定はされない。特に、本捕獲檻1は小型軽量にすることが可能であり、簡便に持ち運び及び設置が可能である。本捕獲檻1の設置に時間を要しないため、設置場所に設置者すなわち人間のにおいが残ってしまうことで小型動物に罠の存在を気づかれてしまうおそれを少なくすることが可能である。
【0023】
まず、本捕獲檻1の床部材2は、本捕獲檻1の底に設けられる板状の部材である。床部材2を設けることで、壁部材3、天井部材4、扉部材5と相まって捕獲対象となる小型動物を閉じ込めることが可能となる。
【0024】
また、本捕獲檻1において、床部材2の材質は、捕獲対象が暴れたとしても破損しにくい材質であることが好ましく、木材やプラスチックとすることも不可能ではないが、金属、より具体的にはアルミニウム又はアルミニウム合金により構成されることが好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることで、強度と軽量化の両立を図ることができるといった利点がある。
【0025】
また、本捕獲檻1における床部材2の形状および大きさは、捕獲対象によって異ならせることが可能であるが、形状としては四角形状であることが好ましい。またその寸法としては、限定されるわけではないが、幅は20cm以上60cm以下の範囲、奥行き40cm以上90cm以下の範囲にあることが好ましい。この範囲とすることで一人でも持ち運びができる程度の大きさ、軽さを維持することができる。
【0026】
また、本捕獲檻1では、金属の細い棒を網状に組み合わせたものとすることもできるが、板状の床部材2に複数の貫通孔21が形成されてなることが好ましい。板状の床部材2に貫通孔21を形成することで強度と軽量化の両立を図ることができるといった利点がある。また、床部材2に貫通孔21を設けておくことで、床部材2を水などで洗浄した場合に水を排出しやすくして乾燥させやすいといった利点がある。ただし、改めて後述するが、閉動作開始部材61において踏板611を用いる場合、この踏板611の下部領域には貫通孔21が設けられていないことが好ましい。踏板611は小型動物が踏むことで閉動作を開始することになるが、本捕獲檻1が設置する場所が草や小石が多い場所であると、貫通孔21等の隙間から檻の中に入り込み、踏板611を踏んでもその草や小石が障害となり十分に踏板611を下げることができず、本捕獲檻1の閉動作が開始できなくなってしまう恐れがある。そのため、踏板611を設ける場合、この下の領域には貫通孔21を極力設けないこととし、床部分を孔のない平らな板状部分としておくことが好ましい。また、本捕獲檻1の床部材2上に餌を直接設置する領域を設ける場合は、この餌を設置する領域にも貫通孔21を設けないようにしておくことが好ましい。図3に、床部材2を上面から見た場合の概略について示しておく。
【0027】
また、本捕獲檻1では、開口領域31を形成しつつ床部材2に対して略垂直に固定される壁部材3を備える。壁部材3は上記の通り、床部材2に対して固定されており、捕獲対象を閉じ込める部材である。より具体的に、床部材2の形状が四角形状である場合、一つの辺に対応する領域を開口領域31として選択し、それ以外の三辺に壁部材3が設けられていることが好ましい。また開口領域31として選択する一つの辺としては、短辺であることが好ましい。短辺を開口領域31として選択することで間口を奥行きに対して狭くすることが可能となり、捕獲対象が入りやすくなる。
【0028】
また、本捕獲檻1において、壁部材3の材質は、捕獲対象が暴れたとしても破損しにくい材質であることが好ましく、木材やプラスチックとすることも不可能ではないが、金属、より具体的にはアルミニウム又はアルミニウム合金により構成されることが好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることで、強度と軽量化の両立を図ることができるといった利点がある。
【0029】
また、本捕獲檻1において、床部材2と壁部材3は、しっかりと固定接続されていることが好ましい。この固定方法としては、限定されるわけではないが、例えば溶接、ねじ等による固定が可能であるが限定されない。また、床部材2と壁部材3は、例えば一枚の板を切り出し、これを折り曲げて構成する等の構成としてもよい。
【0030】
また、本捕獲檻1における壁部材3の形状および大きさは、捕獲対象によって異ならせることが可能であるが、形状としては四角形状であることが好ましい。またその寸法としては、床部材2の大きさに応じて限定されるわけではないが、奥行き40cm以上90cm以下、高さ20cm以上60cm以下の範囲にあることが好ましい。この範囲とすることで一人でも持ち運びができる程度の大きさ、軽さを維持することができる。
【0031】
また、本捕獲檻1では、金属の細い棒を網状に組み合わせたものとすることもできるが、板状の壁部材3に複数の貫通孔32が形成されてなることが好ましい。板状の壁部材3に貫通孔32を形成することで強度と軽量化の両立を図ることができるといった利点がある。また、壁部材3に貫通孔32を設けておくことで、壁部材3内を見やすくして捕獲対象を捕獲できたか否かを判断しやすくなり、また本捕獲檻1を持ち運ぶ際に捕獲対象に引っかかれたり噛みつかれるおそれを少なくすることができる。
【0032】
特に、改めて後述することとなるが、閉動作開始部材61の踏板611が配置されている領域、より具体的には踏板611の側面に踏板用の貫通孔33が設けられることが好ましい。この貫通孔33を設けることで、踏板611の下に餌、土、石等が入り込むことによって踏板611が下がらなくなってしまったとしても、この貫通孔33から容易にこれらを掻き出して排出させることが可能となるといった利点がある。特に、この踏板611の下の領域となる床部材2の部分に貫通孔21を設けていない場合、貫通孔21から土、石等が入り込んで踏板611が下がらなくなってしまうおそれがない一方で踏板611の下に餌や土等が隙間から入り込んでしまった場合はなかなか取り出せないことになるが、このように貫通孔33を設けておくことで容易に掻き出せるようになる。
【0033】
また、本捕獲檻1では、上記の通り壁部材3によって支持され、床部材2に対向して配置される天井部材4を有する。これにより、開口領域31を形成しつつ、床部材2、壁部材3、天井部材4によって捕獲対象を捕獲する領域を確保できる。
【0034】
また、本捕獲檻1において、天井部材4の材質は、捕獲対象が暴れたとしても破損しにくい材質であることが好ましく、木材やプラスチックとすることも不可能ではないが、金属、より具体的にはアルミニウム又はアルミニウム合金により構成されることが好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることで、強度と軽量化の両立を図ることができるといった利点がある。
【0035】
また、本捕獲檻1において、壁部材3と天井部材4は、しっかりと固定接続されていることが好ましい。この固定方法としては、限定されるわけではないが、例えば溶接、ねじ等による固定が可能であるが限定されない。またこの壁部材3と天井部材4の関係も上記床部材2と壁部材3と同様、一体で構成される構成としてもよい。
【0036】
また、本捕獲檻1における天井部材4の形状および大きさは、捕獲対象によって異ならせることが可能であるが、形状としては四角形状であることが好ましい。またその寸法としては、床部材2の大きさに応じて限定されるわけではないが、床部材2と同様の形状、具体的には幅20cm以上60cm以下の範囲、奥行き40cm以上90cm以下の範囲にあることが好ましい。この範囲とすることで一人でも持ち運びができる程度の大きさ、軽さを維持することができる。
【0037】
また、本捕獲檻1では、金属の細い棒を網状に組み合わせたものとすることもできるが、板状の天井部材4に複数の貫通孔41が形成されてなることが好ましい。板状の天井部材4に貫通孔41を形成することで強度と軽量化の両立を図ることができるといった利点がある。また、天井部材4に貫通孔41を設けておくことで、天井部材4内を見やすくして捕獲対象を捕獲できたか否かを判断しやすくなり、また本捕獲檻1を持ち運ぶ際に捕獲対象に引っかかれたり噛みつかれる恐れを少なくすることができる。
【0038】
また、本捕獲檻1の天井部材4には、軸部材で回転可能に支持された蓋部42を備えることとしてもよい。なお、蓋部42が開いた場合のイメージを図4に示しておく。蓋部42を備えることで、天井部分が開閉可能となり、例えば床部材2上に餌を設置しやすくなるといった利点がある。この蓋部42は、内部はもちろん、外から容易に開閉できないよう、鍵が付されていることが好ましい。
【0039】
さらに、本捕獲檻1においては、天井部材4又は壁部材3に、本捕獲檻1を持ち運びするための把持部材7を設けておくことも好ましい。把持部材7を設けることで容易に持ち運びが可能となるといった利点がある。把持部材7の構造としては、限定されるわけではないが、折り畳みが可能となるよう軸によって回転可能に固定されるコの字状に折り曲げられた棒状部材であることが好ましい。
【0040】
また、本捕獲檻1では、開口領域31の開閉を行う扉部材5を備える。扉部材5を
備えることで、開いた状態(開状態)では捕獲対象をこの内部に入れることが可能となり、閉じる(閉状態とする)ことで、この内部に捕獲対象を閉じ込めることができる。ここで「開状態」とは、開口領域31を十分に広く維持されている状態、扉部材5が十分に高い位置に維持された状態をいい、「閉状態」とは、開口領域31が閉じた状態、より具体的には扉部材5の下端が最下端の位置、例えば床部材2と接触することによってこれ以上、下がらず動かない状態(上がらない状態)となっていることをいう。
【0041】
また、本捕獲檻1では、逆止状態が実現可能である。ここで「逆止状態」とは、扉部材5が閉じる方向に移動することはできるがその逆(開く方向に移動すること)はできない状態をいう。本捕獲檻1ではこのような状態を実現することで、仮に捕獲対象が本捕獲檻1の外側に体がはみ出した状態で扉の閉動作を開始し、扉部材5が捕獲対象の体に当たり完全に閉まらないような状態になっても、扉部材5が上がることはなく、下がる一方となり、いずれ完全に閉じた状態(閉状態)とすることができる。この具体的な構成については後述する。
【0042】
また、本捕獲檻1の扉部材5の構造は、限定されるわけではないが、床部材2、天井部材4及び壁部材3によって檻内部を閉じた空間とする扉本体部51と、壁部材3に固定され扉本体部51の鉛直方向上下の移動を実現する扉支持部52と、を備えていることが好ましい。
【0043】
また、本捕獲檻1の扉部材5における扉本体部51は、上記の記載からも明らかなように、扉部材5の主要な部材であり、扉そのものである。扉本体部51としては限定されるわけではないが、板状の部材であることが好ましい。
【0044】
また、本捕獲檻1の扉本体部51には、一方向に連続して配置される複数の貫通孔511が形成されていることが好ましい。この点については後述するが、複数の貫通孔511を一方向に並んで配置させることで、状態制御部材62、より具体的には状態制御部材62の差込部材621を差し込み、逆止状態、閉状態を維持することができるようになる。
【0045】
また、本捕獲檻1において、扉部材5の材質は、捕獲対象が暴れたとしても破損しにくい材質であることが好ましく、木材やプラスチックとすることも不可能ではないが、金属、より具体的にはアルミニウム又はアルミニウム合金により構成されることが好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることで、強度と軽量化の両立を図ることができるといった利点がある。また特に金属とすることで、扉部材5の開閉が滑らかに行うことができるといった利点もある。
【0046】
また、本捕獲檻1では、扉本体部51は、壁部材3に固定され扉本体部51の鉛直方向上下の移動を実現する扉支持部52によって支持されていることが好ましい。これにより、扉本体部51が動作する方向を制御、制限することができる。より具体的に、本捕獲檻1では、扉本体部51が鉛直方向上下に移動するため、扉支持部52は、スリット5211が設けられた柱状部材521としていることが好ましい。このスリット5211に上記板状の扉本体部51を嵌めてスライドさせることでそれ以外の方向に扉本体部51が移動してしまうことを防止できる。
【0047】
また、本捕獲檻1では、扉部材5の開閉を制御する開閉制御部材6を備える。開閉制御部材6とは、文字通り扉部材5の開閉を制御することで、捕獲対象を捕獲しようとするときは開状態を、捕獲対象が入り、閉動作を行った後は逆止状態を、扉本体部51が完全に下がったら閉状態を維持させることができるようになる。
【0048】
また、本捕獲檻1の開閉制御部材6は、上記の通り、扉部材5の開閉動作を制御するためのものであって、限定されるわけではないが、閉動作開始部材61と状態制御部材62と、を有して構成されている。
【0049】
本捕獲檻1の開閉制御部材6の閉動作開始部材61は、具体的には、捕獲対象が本捕獲檻1の内部に入った場合に、その閉動作を開始するトリガー(きっかけ)となる部材である。図5に、本捕獲檻1の開閉制御部材6の概略について説明をするための図を示す。なお図5(a)は、本捕獲檻1全体における断面の概略を示すものであり、(b)は本捕獲檻1の踏板611近傍の状態であって、扉部材5が開いた状態を表す図であり、(c)は本捕獲檻1の踏板611近傍の状態であって、扉部材5が閉じた状態(踏板611を踏み込んだ状態)を表す図である。
【0050】
本捕獲檻1の閉動作開始部材61は、上記の機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、本図で示すように、檻内部に設けられる踏板611と、踏板611を引き上げておくとともに、状態制御部材62の保持・解放を行うことができる引上部材612と、を備えることが好ましい。踏板611を備えることで小型動物が檻の中に入ったときにこの踏板611を踏むという単純動作で扉部材5の閉動作を開始しやすくすることができる。
【0051】
すでに説明したが、閉動作開始部材61において踏板611を用いる場合、床部材2におけるこの踏板611の下部領域には貫通孔21が設けられていないことが好ましい。踏板611は小型動物が踏むことで閉動作を開始することになるが、本捕獲檻1が設置する場所が草や小石が多い場所であると、貫通孔21等の隙間から檻の中に入り込んでしまい、踏板611を踏んだとしても十分に踏板611を下げることができず、閉動作が開始しなくなってしまう恐れがある。また、このようなことがないように、設置場所の草を刈る等平らにする作業を行おうとすると設置者すなわち人間のにおいがついてしまい、捕獲対象の小型動物に気づかれてしまうおそれがある。そのため、踏板611を設ける場合、この下には貫通孔を極力設けず、床部分を孔のない平らな板状部分としておくことが好ましい。一方で、壁部材3の踏板611の側面領域には貫通孔33が形成されていることが好ましい。踏板611の下部に貫通孔21がないため、踏板611の下に草や石、土や餌等が入り込んでしまった場合に、これを掻き出すことができるようになるといった利点がある。
【0052】
また、踏板611を設ける場合、踏板611は床部材2の中間的な位置に配置されていること、より具体的には開口領域31から最奥までの中間の位置に設置されていることが好ましい。このようにすることで、踏板611から最奥までの領域を餌設置箇所とすることができる。具体的には、小型動物が開口領域31から侵入した場合に、餌をめがけて最奥まで侵入する途中に踏板611が存在するため踏板611を確実に踏ませることが可能となるといった利点がある。これは上記図3で示したとおりである。
【0053】
引上部材612の材質についても上記床部材2、壁部材3、天井部材4、扉部材5と同様であって、木材やプラスチックであってもよいが、金属であることが好ましく、より好ましく錆びにくいアルミニウムやアルミニウム合金等である。
【0054】
また、本捕獲檻1において、引上部材612は上記の通り踏板611を引き上げておくものである。踏板611を引き上げておくことで小型動物が本捕獲檻1内部に侵入し、踏板611を踏むことで踏板611を引き下げ、閉動作を開始することができるようになる。引上部材612としては特に限定されるわけではないが、例えば踏板611に接続される棒状部材6121と、この棒状部材6121を引き上げる方向、又は、踏板611を持ち上げる方向に付勢するためのバネ等の弾性部材6122と、を有することが好ましい。またこの場合において、棒状部材6121は、天井部材4上に突出していることが好ましい。天井部材4の上に突出させることで、引上部材612に接続される閉動作の仕掛けを本捕獲檻1の内部空間に置かず例えば天井部材4上に配置することが可能となり、捕獲された小型動物の接触により生じる誤作動を防止できるといった利点がある。
【0055】
より具体的に、本捕獲檻1では、踏板611に接続される棒状部材6121を備えているが、棒状部材6121は、踏板611の両側の壁部材3すなわち壁部材3の一対の対抗する面それぞれに対称となるよう少なくとも二本配置されていることが好ましい。踏板611を両端から引き上げることで力のバランスをとり安定的な動作及び故障の防止を図ることができるといった利点がある。さらに、二本の棒状部材6121を用いる場合、棒状部材6121が天井部材4の上に突出し、さらにこれらを接続する接続部材6123を備えていることが好ましい。これにより二つの棒状部材6121の動きを連動させることが可能となるとともに、この引き上げ動作を接続部材6123だけを引っ張ることで容易に実現できるようになる。
【0056】
また、本捕獲檻1の例では、引上部材612において、棒状部材6121の先は、接続部材6123に接続される挿入ピン6124を備えており、この挿入ピン6124が状態制御部材62における差込部材621の貫通孔6211に挿入されている。この場合における開閉制御部材6近傍のイメージを図6に示す。本図は、天井部材4上に設けられる引上部材612及び状態制御部材62の差込部材621を上面から見た場合の部分拡大図である。なお本図において(a)は、挿入ピン6124が差込部材621に刺さった状態の図(扉部材が開状態)であり、(b)は、挿入ピン6124が差込部材621から抜けた状態の図(扉部材が逆止状態または閉状態)である。
【0057】
本図で示すように、弾性部材6122は、挿入ピン6124の近傍に配置され、挿入ピン6124が差込部材621に刺さる方向(棒状部材を引き上げる方向)に付勢していることが好ましい。このようにしておくことで、踏板611が踏まれていない場合(上がっている場合)は、そのまま差込部材621の貫通孔6211に挿入ピン6124が挿入されている状態を維持し、一方、踏板611が踏まれた場合は、棒状部材6121、接続部材6123、挿入ピン6124が引っ張られることとなるため、差込部材621から挿入ピン6124が抜けることで、差込部材621が解放され扉部材5が逆止状態、閉状態となるようになる。
【0058】
また、本捕獲檻1において、限定されるわけではないが、引上部材612、より具体的に引上部材612の棒状部材6121は壁部材3に沿って配置されており、壁部材3には、上記図5で示すように、引上部材612を保護する保護部材6125が設けられていることが好ましい。保護部材6125を設けることで、本捕獲檻1内に捕獲された小型動物が暴れて棒状部材6121等の部材を破損させてしまう等のおそれを防止することができる。このように、本捕獲檻1において、引上部材612を本捕獲檻1の内側の領域に形成する一方保護部材6125で保護することで、外部からの衝撃の保護が可能となる。捕獲対象となる小型動物は二匹以上で行動する場合があり、一方の小型動物が本捕獲檻1にかかってしまった場合、他方の小型動物が何とか本捕獲檻1を開けようと衝撃を加えたり操作しようとすることがある。この場合内部に閉じ込められた小型動物よりも強い動作を行うことが多いため、内部に設けておくことで外側からの衝撃による破損を防ぐことができるといった利点がある。もちろん、外部よりも内部に設けておくことで持ち運びの際、引上部材612が他の物に接触して破損してしまうのを防止できるといった効果もある。
【0059】
また、本捕獲檻1の状態制御部材62は、上記の通り、扉部材5の開状態、逆止状態及び閉状態のいずれかを実現するものであり、限定されるわけではないが、扉本体部51の貫通孔511に挿入される差込部材621と、差込部材621を固定する固定部材622を有することが好ましい。図7に、状態制御部材62の差込部材621と扉本体部51との関係を示す。本図で示すように、差込部材621の先端部分は、扉本体部51の貫通孔511のいずれかに挿入されている。これにより、差込部材621が固定されている限り、扉本体部51はその位置が固定される。
【0060】
本捕獲檻1において、限定されるわけではないが、差込部材621は、上記の通り挿入ピン6124が挿入される貫通孔6211が形成されたピン用板状部6212を備えており、所定の角度範囲だけ天井部材4において固定される回転軸に回転可能に支持されていることで、扉部材5の開状態、逆止状態及び閉状態のいずれかを実現することができる。
【0061】
上記に基づき、差込部材621、扉部材5の開閉の動作についてより具体的に説明する。図8は、扉本体部51と差込部材621の部分断面図であって、(a)は開状態を、(b)は逆止状態を、(c)は閉状態を、(d)は扉本体部51を引き上げ可能な状態のそれぞれを示す図である。
【0062】
まず、差込部材621は開状態(図8(a))では挿入ピン6124が貫通孔6211に挿入されており、動くことはない。またこの状態において差込部材621の差込用板状部6213は、扉本体部51の貫通孔511に挿入されており、扉本体部51を固定する。なおこの差込用板状部6213が挿入される貫通孔511は複数ある貫通孔のうち下側、好ましくは一番下又はその直近上程度の位置に形成された貫通孔であることが好ましい。
【0063】
一方、この差込部材621から挿入ピン6124が抜かれた場合(図8(b))、差し込み部材621はもはや扉部材5を支えることはできない。一方で、差込部材621は扉本体部51に形成された貫通孔511に順次挿入されていくことになるが、差込部材621は扉本体部51が落ちる方向に対しては抵抗がない一方、上がる方向に対しては抵抗となる。すなわち、仮に、扉本体部51が途中で止まった場合、そこで途中の貫通孔511内部において挿入された状態が維持され、扉本体部51が持ち上がってしまうことを防止できる。本捕獲檻1ではこの差込部材621等の構成により、逆止状態を実現することができる。一般に、小型動物は警戒心が強く、ゆっくりと檻内に入ってくるが、その体全部が入ってくる前に踏板611を踏んでしまうと体が扉本体部51にあたって閉まりきらない状態となってしまうことがある。この場合に、扉本体部51が上に移動できるようになってしまうと、ゆっくりと後退することで逃げられてしまうおそれがある。また、草等が挟まり完全に閉まりきっていない状態が他の理由で発生した場合、その隙間に前足等を挿入して扉本体部51を引き上げることができてしまうと結局逃げられてしまうおそれがある。しかし、このように扉本体部51が完全に閉まりきっていない場合でも逆止状態を実現することで、より確実に小型動物を捕獲することができる。
【0064】
そして、本捕獲檻1では、上記の逆止状態の最終状態として、閉状態(図8(c))となる。具体的には、上記の逆止状態では、扉本体部51が下がることはできるが上がることができない状態となっている。そして、最終的に扉本体部51の下端が床部材2に接触したら閉状態となる。この状態において、差込部材621はちょうど扉本体部51の上部に当たるように調整されており、差込部材621によって抑えられている限り扉本体部51がもう上がることはない。
【0065】
ただし、閉状態にした場合であっても、再使用のため、本捕獲檻1を開状態にすることが重要である。その場合は、差込部材621を軸を中心に回転させてさらに差込部材621を押し込むことで扉本体部51と接触しない位置まで先端を回転させ、扉本体部51を持ち上げることが可能な状態(図8(d))となり、再び捕獲檻として設置することが可能となる。
【0066】
なお、状態制御部材62は、限定されるわけではないが、天井部材4上に固定される固定部材622を備えており、上記の差込部材621及び回転軸はこの固定部材622に固定されていることが好ましい。これにより、上記差込部材621等は安定的に保持される。
【0067】
以上、本捕獲檻1は、より少人数で、小型動物を捕獲することのできるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、動物捕獲用檻として産業上の利用可能性がある。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8