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特開2024-119028インクカートリッジ、インクカートリッジの製造方法及び印刷装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119028
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】インクカートリッジ、インクカートリッジの製造方法及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
B41J2/175 173
B41J2/175 169
B41J2/175 141
B41J2/175 143
B41J2/175 153
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214918
(22)【出願日】2023-12-20
(62)【分割の表示】P 2023025430の分割
【原出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 哲治
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA19
2C056KC02
2C056KC05
2C056KC09
2C056KC14
(57)【要約】
【課題】環境に負担が大きいプラスチックの使用量を低減する。
【解決手段】インクカートリッジは、インクを収容しインクの残量が少なくなるにつれてインクを収容する体積が収縮する袋部材と、平板状であり袋部材の収縮に伴って移動するように袋部材に固定されたリブ部とを有するインクパック部と、インクパック部に連結され印刷装置に接続されるヘッド部と、ヘッド部の一部が露出するようにインクパック部及びヘッド部を収容するケース部とを備え、インクパック部は、袋部材のうちリブ部が固定される部分とは反対側の面がケース部の内面に固定され、ケース部は、内外を貫通する貫通穴を有し、リブ部は、インクの残量が所定値よりも少なくなった場合に貫通穴から外部に突出する突起部を有し、リブ部及びヘッド部は、印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成され、ケース部は、第2材料を用いて形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容し前記インクの残量が少なくなるにつれて前記インクを収容する体積が収縮する袋部材と、平板状であり前記袋部材の収縮に伴って移動するように前記袋部材に固定されたリブ部とを有するインクパック部と、
前記インクパック部に連結され、印刷装置に接続されるヘッド部と、
前記ヘッド部の一部が露出するように前記インクパック部及び前記ヘッド部を収容するケース部と
を備え、
前記インクパック部は、前記袋部材のうち前記リブ部が固定される部分とは反対側の面が前記ケース部の内面に固定され、
前記ケース部は、内外を貫通する貫通穴を有し、
前記リブ部は、前記インクの残量が所定値よりも少なくなった場合に前記貫通穴から外部に突出するように設けられた突起部を有し、
前記リブ部及び前記ヘッド部は、印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成され、
前記ケース部は、前記第1材料とは異なる第2材料を用いて形成される
インクカートリッジ。
【請求項2】
前記第2材料は、紙材料又は生分解性材料である
請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記第2材料は、紙材料であり、
前記ケース部は、前記インクに関する情報が印刷された印刷面を表面側に有する
請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記ヘッド部及び前記ケース部は、それぞれ対応する位置に位置合わせ部を有する
請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記インクパック部は、前記袋部材に設けられ前記インクを排出するスパウトを有し、
前記ヘッド部は、前記インクパック部を位置決めしつつ前記スパウトを装着するスパウト装着部を有する
請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
前記リブ部及び前記ヘッド部は、引張強度が630~800kg/cm、曲げ弾性率が25000~30000kg/cmである
請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
インクを収容し前記インクの残量が少なくなるにつれて前記インクを収容する体積が収縮する袋部材に、平板状であり印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成され所定の突起部を有するリブ部を前記袋部材の収縮に伴って移動するように前記袋部材に固定してインクパック部を形成するインクパック形成工程と、
前記第1材料を用いて形成され印刷装置に接続されるヘッド部を、前記インクパック部に連結する連結工程と、
前記ヘッド部の一部が露出するように、前記インクパック部及び前記ヘッド部を、前記第1材料とは異なる第2材料を用いて形成され所定の貫通穴を有するケース部に収容する収容工程と
を含む
インクカートリッジの製造方法。
【請求項8】
前記収容工程は、
展開された状態の前記ケース部に対して前記インクパック部及び前記ヘッド部を位置合わせして取り付ける取り付け工程と、
前記インクパック部及び前記ヘッド部が取り付けられた状態で前記ケース部を組み立てる組み立て工程と、をさらに含む
請求項7に記載のインクカートリッジの製造方法。
【請求項9】
前記ヘッド部及び前記ケース部は、それぞれ対応する位置に位置合わせ部を有し、
前記ヘッド部側の前記位置合わせ部と前記ケース部の前記位置合わせ部が結合することで位置合わせする
請求項8に記載のインクカートリッジの製造方法。
【請求項10】
前記取り付け工程では、前記インクパック部の前記袋部材のうち前記リブ部が固定される部分とは反対側の面を前記ケース部の内面に固定し、
前記組み立て工程では、前記インクの残量が所定値よりも少なくなった場合に前記リブ部の前記突起部が前記ケース部の外部に突出する位置に前記貫通穴が配置されるように前記ケース部を組み立てる
請求項8に記載のインクカートリッジの製造方法。
【請求項11】
前記袋部材は、シート状部材を有し、
前記シート状部材は、前記インクを排出するスパウトに対応する部分を空けるように外周が接合されることで前記インクを収容する空間を形成し、
前記リブ部は、前記シート状部材の接合部分を含む基準面と平行に固定される
請求項7に記載のインクカートリッジの製造方法。
【請求項12】
前記リブ部及び前記ヘッド部は、引張強度が630~800kg/cm、曲げ弾性率が25000~30000kg/cmである
請求項7に記載のインクカートリッジの製造方法。
【請求項13】
前記第2材料は、紙材料又は生分解性材料である
請求項7に記載のインクカートリッジの製造方法。
【請求項14】
インクにより印刷を行う本体部と、
前記本体部に設けられ、前記インクの供給源である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインクカートリッジを装着する装着部と
を備える印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクカートリッジ、インクカートリッジの製造方法及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式のヘッドを有する印刷装置等においては、ヘッドにインクを供給する供給源として、インクカートリッジが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2011-519795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、各種製品において、環境に負担が大きいプラスチックの使用量を低減することへの要求が強まっている。これを受けて、インクカートリッジにおいても、このような環境に負担が大きいプラスチックの使用量を低減した構成が求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、環境に負担が大きいプラスチックの使用量を低減することが可能なインクカートリッジ、インクカートリッジの製造方法及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインクカートリッジは、インクを収容し前記インクの残量が少なくなるにつれて前記インクを収容する体積が収縮する袋部材と、平板状であり前記袋部材の収縮に伴って移動するように前記袋部材に固定されたリブ部とを有するインクパック部と、前記インクパック部に連結され、印刷装置に接続されるヘッド部と、前記ヘッド部の一部が露出するように前記インクパック部及び前記ヘッド部を収容するケース部とを備え、前記インクパック部は、前記袋部材のうち前記リブ部が固定される部分とは反対側の面が前記ケース部の内面に固定され、前記ケース部は、内外を貫通する貫通穴を有し、前記リブ部は、前記インクの残量が所定値よりも少なくなった場合に前記貫通穴から外部に突出するように設けられた突起部を有し、前記リブ部及び前記ヘッド部は、印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成され、前記ケース部は、前記第1材料とは異なる第2材料を用いて形成される。
【0007】
本発明に係るインクカートリッジの製造方法は、インクを収容し前記インクの残量が少なくなるにつれて前記インクを収容する体積が収縮する袋部材に、平板状であり印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成され所定の突起部を有するリブ部を前記袋部材の収縮に伴って移動するように前記袋部材に固定してインクパック部を形成するインクパック形成工程と、前記第1材料を用いて形成され印刷装置に接続されるヘッド部を、前記インクパック部に連結する連結工程と、前記ヘッド部の一部が露出するように、前記インクパック部及び前記ヘッド部を、前記第1材料とは異なる第2材料を用いて形成され所定の貫通穴を有するケース部に収容する収容工程とを含む。
【0008】
本発明に係る印刷装置は、インクにより印刷を行う本体部と、前記本体部に設けられ、前記インクの供給源である上記のインクカートリッジを装着する装着部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、環境に負担が大きいプラスチックの使用量を低減することが可能なインクカートリッジ、インクカートリッジの製造方法及び印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係るインクカートリッジの一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るインクカートリッジの一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係るインクカートリッジの一例を示す図である。
図4図4は、インクカートリッジの内部の一部を拡大して示す図である。
図5図5は、本実施形態に係るインクカートリッジの製造方法の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、インクカートリッジの製造過程の一例を示す図である。
図7図7は、インクカートリッジの製造過程の一例を示す図である。
図8図8は、インクカートリッジの製造過程の一例を示す図である。
図9図9は、インクカートリッジの製造過程の一例を示す図である。
図10図10は、インクカートリッジの製造過程の一例を示す図である。
図11図11は、インクカートリッジを印刷装置に装着した状態の一例を示す図である。
図12図12は、インクカートリッジを印刷装置に装着した状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
図1から図3は、本実施形態に係るインクカートリッジ100の一例を示す図である。図1及び図2は斜視図、図2は分解斜視図である。図1から図3に示すように、インクカートリッジ100は、印刷装置に交換可能に装着され、印刷装置にインクを供給する供給源として用いられる。
【0013】
本実施形態に係るインクカートリッジ100は、例えば、一方向が長手の矩形板状である。以下、インクカートリッジ100の方向を説明する場合に、XYZ座標を用いて説明する。すなわち、インクカートリッジ100の長手方向をX方向とする。また、長手方向に直交する幅方向をY方向とし、X方向及びY方向に直交する厚さ方向をZ方向とする。インクカートリッジ100は、インクパック部10と、ヘッド部20と、ケース部30とを備える。なお、図3では、ケース部30を展開した状態で示している。
【0014】
インクパック部10は、袋部材11と、リブ部12とを有する。袋部材11は、可撓性を有する材料により袋状に形成される。袋部材11は、例えば外形が矩形状であるが、この形状に限定されない。袋部材11は、例えば2枚のシート状部材11aの各辺に沿った周縁部同士が融着等により接合された状態で形成される。シート状部材11aの接合部分11cの一部には、後述するスパウト13に対応する開口部分が形成される。袋部材11は、内部、すなわちシート状部材11aの接合部分11cの内側にインクQを収容する。袋部材11は、インクQを収容した状態で内部が密閉される。袋部材11は、内部に収容されるインクQの残量が少なくなるにつれてインクを収容する体積が収縮する。つまり、袋部材11は、インクQが充填された状態から消費されて排出されることにより、排出量に応じてZ方向に収縮する。なお、袋部材11は、例えば1枚のシート状部材を折り畳んで貼り合わせることで形成してもよい。
【0015】
袋部材11は、スパウト13を有する。スパウト13は、X方向の端部に設けられる。図4は、インクカートリッジ100の内部の一部を拡大して示す図である。図4に示すように、スパウト13は、袋部材11の内部に収容されるインクQを外部に排出する。スパウト13は、インクカートリッジ100が印刷装置に装着された状態において、例えばヘッド部20を介して印刷装置に接続される。スパウト13から排出されたインクQは、印刷装置に供給される。スパウト13は、例えば矩形状に形成される袋部材11の長手方向の一方の端部11aに配置される。スパウト13は、径方向に張り出したフランジ部13aを有する。フランジ部13aは、後述するフランジ収容部23aに収容されて保持される。
【0016】
図2に戻り、リブ部12は、例えば印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成される。第1材料としては、例えばポリプロピレン等のプラスチック材料(非生分解性プラスチック材料)が挙げられる。このような非生分解性プラスチック材料を用いてリブ部12を形成することにより、コストを抑えつつリブ部12の剛性を確保できる。第1材料を用いて形成されるリブ部12は、引張強度が630~800kg/cm、曲げ弾性率が25000~30000kg/cmである。リブ部12は、袋部材11の収縮に伴って移動するように袋部材11に固定される。リブ部12は、袋部材11の2枚のシート状部材11aの接合部分11cを含む基準面Sに対して平行な状態で固定される。なお、基準面Sは、実際には存在しない仮想平面である。なお、基準面Sは、接合部分11cを含まない仮想平面として設定してもよい。シート状部材11aは、リブ部12が固定される固定部分11bが、リブ部12の形状に倣って平面状となる。なお、固定部分11bは、予め基準面Sに沿った平面状に形成されてもよい。リブ部12が設けられることにより、インク残量の減少により袋部材11が変形する際、リブ部12に沿って変形することになる。このため、袋部材11の歪みが抑制される。リブ12部は、袋部材11の取り付け面11bに固定される。取り付け面11bは、例えばXY平面に沿って形成される。
【0017】
リブ部12は、ベース部12aと、張り出し部12bと、突起部12cとを有する。ベース部12aは、矩形状であり、袋部材11に対応する寸法に形成される。ベース部12aは、袋部材11に固定される。張り出し部12bは、ベース部12aから幅方向(長手方向に直交する方向)に張り出した部分である。突起部12cは、張り出し部12bからベース部12aの厚さ方向に突出した部分である。突起部12cは、インクの残量が所定値よりも少なくなった場合に後述するケース部30の貫通穴31hから外部に突出するように設けられる。印刷装置には、例えば突起部12cが貫通穴31hから突出したこと、又は突起部12cが所定の突出量を超えて貫通穴31hから突出したことを検出する検出装置が設けられる。印刷装置では、当該検出装置が上記のような突起部12cの突出を検出した場合、インクカートリッジ100のインク残量が所定量以下である旨を判別する。
【0018】
ヘッド部20は、インクパック部10に連結される。ヘッド部20は、印刷装置に接続される。ヘッド部20は、本体部材21と、蓋部材22とを有する。本体部材21及び蓋部材22は、それぞれ、例えば印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成される。第1材料としては、例えばポリプロピレン等のプラスチック材料(非生分解性プラスチック材料)が挙げられる。このような非生分解性プラスチック材料を用いて本体部材21及び蓋部材22を形成することにより、コストを抑えつつ本体部材21及び蓋部材22の剛性を確保できる。第1材料を用いて形成される本体部材21及び蓋部材22は、引張強度が630~800kg/cm、曲げ弾性率が25000~30000kg/cmである。
【0019】
本体部材21は、基部21aと、側部21b、21cと、対向部21dとを有する。基部21aは、インクパック部10の袋部材11を支持する。側部21b、21cは、基部21aに対して幅方向の両側に配置される。対向部21dは、インクカートリッジ100を印刷装置に装着した状態において、印刷装置に対向する部分である。対向部21dには、位置決め孔21hが設けられる。位置決め孔21hは、対向部21dにおいて例えばY方向の両端部に設けられる。位置決め孔21hは、インクカートリッジ100を印刷装置に装着した状態において、印刷装置側の位置決めピンが挿入される。印刷装置側の位置決めピンが位置決め孔21hに挿入されることにより、印刷装置側とインクカートリッジ100との間で位置決めが行われる。本体部材21が非生分解性プラスチック材料を用いて形成されることにより、対向部21dの剛性が確保され、印刷装置側とインクカートリッジ100との間の位置決めが適切に行われる。
【0020】
本体部材21は、スパウト装着部23及び位置合わせ部24を有する。スパウト装着部23及び位置合わせ部24は、基部21aに設けられる。スパウト装着部23は、インクパック部10の袋部材11に設けられるスパウト13を装着する。スパウト装着部23は、フランジ収容部23aを有する。フランジ収容部23aは、スパウト13のフランジ部13aを収容する。スパウト装着部23は、スパウト13のフランジ部13aをフランジ収容部23aに収容させることにより、インクパック部10を位置決めする構成となっている(図4参照)。位置合わせ部24は、本体部材21に形成される孔部である。位置合わせ部24は、後述するケース部30との間で位置合わせを行う際に用いられる。
【0021】
蓋部材22は、本体部材21の開口部分に被せるように装着する。蓋部材22は、基板装着部25を有する。基板装着部25は、基板26を装着する部分である。基板26は、インクカートリッジ100に関する情報が記憶された記憶媒体である。基板26に記憶される情報は、印刷装置で用いられる。
【0022】
ケース部30は、ヘッド部20の一部が露出するようにインクパック部10及びヘッド部20を収容する。ケース部30は、支持部31と、側部32、33と、対面部34と、端部35とを有する。ケース部30は、リブ部12及びヘッド部20とは異なる第2材料を用いて形成される。本実施形態において、第2材料は、例えば紙材料である。より具体的には、紙材料として、例えば段ボール、厚紙等を用いることができる。第2材料としては、紙材料に限定されず、例えば木製材料、生分解性プラスチック材料等の他の生分解性材料が用いられてもよい。
【0023】
ケース部30は、支持部31、側部32、33、対面部34及び端部35の各部が一部材として形成される。ケース部30は、各部の境界部分を折り曲げることにより、インクパック部10及びヘッド部20を収容可能な箱状に形成される。ケース部30は、各部を展開した状態においては、一枚の平らな紙として形成される。このため、組み立て前のケース部30を保管する場合には、所定のスペースに積層させることで省スペース化を図ることができる。
【0024】
支持部31は、内面31aに両面テープ等の接着部材が貼り付けられる。支持部31には、当該接着部材を介してインクパック部10が固定される。支持部31は、位置合わせ部37を有する。位置合わせ部37は、支持部31に形成される孔部である。位置合わせ部37は、上記したヘッド部20との間で位置合わせを行う際に用いられる。すなわち、ヘッド部20とケース部30との位置合わせを行う際には、ヘッド部20の位置合わせ部24とケース部30の位置合わせ部37とが重なるようにする。
【0025】
支持部31は、貫通穴31hを有する。貫通穴31hは、ケース部30を組み立てた状態において、ケース部30の内外を貫通するように形成される。支持部31にインクパック部10が固定された状態において、貫通穴31hは、リブ部12の突起部12cに対応する位置に配置される。より具体的には、支持部31にインクパック部10が固定された状態において、支持部31に垂直な方向から見た場合、貫通穴31hは、リブ部12の突起部12cに重なる位置に配置される。この配置により、袋部材11に収容されるインクの残量が所定値よりも少なくなった場合、ケース部30の貫通穴31hからリブ部12の突起部12cが外部に突出する。
【0026】
側部32、33は、支持部31に対して幅方向の両側に接続される。側部32は、折り曲げ代部36が設けられる。折り曲げ代部36には、係止孔36hが形成される。係止孔36hは、後述する対面部34の係止片34bが挿入される。
【0027】
対面部34は、側部33に接続される。対面部34は、ケース部30を組み立てた状態において、支持部31と対向するように配置される。対面部34は、表面側に印刷面34aを有する。印刷面34aには、例えばインクに関する情報が印刷される。このように、紙材料を用いてケース部30を形成することにより、ラベル等を用いることなくインクに関する情報を視認可能な状態でケース部30の表面に付与することができる。
【0028】
対面部34は、係止片34bを有する。係止片34bは、ケース部30を組み立てる際に、折り曲げ代部36の係止孔36hに挿入され、折り曲げ代部36に係止される。対面部34には、位置合わせ部38が形成される。位置合わせ部38は、対面部34に設けられる切り欠き部である。位置合わせ部38は、係止片34bを係止孔36hに挿入した状態において、ヘッド部20の蓋部材22の基板装着部25に対応する位置に配置される。
【0029】
次に、上記のように形成されたインクカートリッジ100の製造方法について説明する。図5は、本実施形態に係るインクカートリッジ100の製造方法の一例を示すフローチャートである。図6から図10は、インクカートリッジ100の製造過程の一例を示す図である。図5に示すように、本実施形態に係るインクカートリッジの製造方法は、インクパック形成工程(S10)と、連結工程(S20)と、収容工程(S30)とを含む。
【0030】
インクパック形成工程S10は、インクが収容された袋部材11にリブ部12を固定してインクパック部10を形成する。インクパック形成工程S10では、図6に示すように、袋部材11の収縮に伴ってリブ部12が移動するように、当該袋部材11の取り付け面11bにリブ部12を固定する。
【0031】
連結工程S20では、ヘッド部20を、インクパック部10に連結する。図7に示すように、連結工程S20では、インクパック部10のスパウト13をヘッド部20の本体部材21のスパウト装着部23に装着する。このとき、スパウト13に設けられるフランジ部13aをスパウト装着部23のフランジ収容部23aに収容させる。これにより、インクパック部10と本体部材21とが位置決めされる。スパウト13をスパウト装着部23に装着した後、図8に示すように、蓋部材22を本体部材21に装着する。これにより、インクパック部10が連結された状態のヘッド部20が形成される。
【0032】
収容工程S30では、ヘッド部20の一部が露出するように、インクパック部10及びヘッド部20をケース部30に収容する。収容工程S30は、取り付け工程S31と、組み立て工程S32とを含む。
【0033】
取り付け工程S31では、図9に示すように、まず、展開された状態のケース部30に対してインクパック部10及びヘッド部20を位置合わせする。位置合わせの際、ヘッド部20の位置合わせ部24とケース部30の位置合わせ部37とが対応するように、また、ヘッド部20の基板装着部25とケース部30の位置合わせ部38とが対応するように、位置合わせを行う。
【0034】
位置合わせが完了した後、図10に示すように、インクパック部10の袋部材11のうちリブ部12が固定される部分とは反対側の面を、不図示の両面テープ等により、ケース部30の支持部31の内面31aに固定する。
【0035】
組み立て工程S32では、インクパック部10及びヘッド部20が取り付けられた状態からケース部30を組み立てる。組み立て工程S32では、支持部31と側部32との境界部分41、側部32と折り曲げ代部36との境界部分42、支持部31と側部33との境界部分43、側部33と対面部34との境界部分44、及び、支持部31と端部35との境界部分45をそれぞれ内側に折り曲げる。
【0036】
各部を折り曲げる際、例えば、まず端部35を内側に折り曲げ、端部35の一部を覆うように側部32及び折り曲げ代部36を折り曲げる。次に、折り曲げ代部36の係止孔36hに係止片34bを挿入するように対面部34を折り曲げる。これにより、リブ部12の突起部12cがケース部30の貫通穴31hに対応する位置に配置されるようにケース部30を組み立てることができる。
【0037】
図11及び図12は、インクカートリッジ100を印刷装置200に装着した状態の一例を示す図である。図11は斜視図であり、図12は部分断面図である。図11に示す印刷装置200は、例えばインクジェットプリンタである。図11に示すように、印刷装置200は、本体部51及び装着部52を備える。本体部51は、インクにより印刷を行う。装着部52は、本体部51に設けられる。装着部52は、インクの供給源である上記のインクカートリッジ100を装着する。
【0038】
本体部51は、例えばインクを噴射するヘッドを有する。ヘッドは、装着部52に装着されるインクカートリッジ100からインクの供給を受ける。印刷装置200は、インクカートリッジ100から供給されたインクをメディア等に噴射することで、メディアに印刷を行う。
【0039】
図11に示すように、インクカートリッジ100が印刷装置200に装着された状態において、装着前の形状を維持している。すなわち、インクパック部10のリブ部12及びヘッド部20は、装着する際に加わる圧力によって変形しない強度を有している。また、ケース部30においても同様に、装着する際に加わる圧力によって変形しない強度を有している。また、インクカートリッジ100において、ケース部30の貫通穴31hから突起部12cが突出するように構成される。突起部12cは、インクの残量が所定値よりも少なくなった場合に貫通穴31hから外部に突出する。印刷装置200には、検出装置53が設けられる。検出装置53は、突起部12cが貫通穴31hから突出したこと、又は突起部12cが所定の突出量を超えて貫通穴31hから突出したこと検出する。印刷装置200では、当該検出装置53が突起部12cの突出を検出した場合、インクカートリッジ100のインク残量が所定量以下である旨を判別する。
【0040】
図12に示すように、ヘッド部20の本体部材21において、対向部21dは、インクカートリッジ100を印刷装置200(装着部52)に装着した状態において、装着部52に対向する。対向部21dの位置決め孔21hは、インクカートリッジ100を装着部52に装着した状態において、装着部52側の位置決めピン52aが挿入される。印刷装置側の位置決めピンが位置決め孔21hに挿入されることにより、印刷装置側とインクカートリッジ100との間で位置決めが行われる。本体部材21が非生分解性プラスチック材料を用いて形成されることにより、対向部21dの剛性が確保され、印刷装置側とインクカートリッジ100との間の位置決めが適切に行われる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係るインクカートリッジ100は、インクを収容しインクの残量が少なくなるにつれてインクを収容する体積が収縮する袋部材11と、平板状であり袋部材11の収縮に伴って移動するように袋部材11に固定されたリブ部12とを有するインクパック部10と、インクパック部10に連結され、印刷装置に接続されるヘッド部20と、ヘッド部20の一部が露出するようにインクパック部10及びヘッド部20を収容するケース部30とを備え、インクパック部10は、袋部材11のうちリブ部12が固定される部分とは反対側の面がケース部30の内面に固定され、ケース部30は、内外を貫通する貫通穴31hを有し、リブ部12は、インクの残量が所定値よりも少なくなった場合に貫通穴31hから外部に突出するように設けられた突起部12cを有し、リブ部12及びヘッド部20は、印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成され、ケース部30は、第1材料とは異なる第2材料を用いて形成される。
【0042】
この構成によれば、リブ部12及びヘッド部20が印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成されるのに対して、ケース部30については、第1材料とは異なる第2材料を用いて形成される。したがって、第1材料として非生分解性プラスチックを用いる場合、当該ケース部30については、非生分解性プラスチックとは異なる第2材料により形成されることになる。この場合、インクカートリッジ100の全体における非生分解性プラスチック材料の使用量を低減することができる。また、リブ部12及びヘッド部20については印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成されるため、リブ部12及びヘッド部20の剛性を確保することができる。
【0043】
本実施形態に係るインクカートリッジ100において、第2材料は、紙材料又は生分解性プラスチック材料である。この構成によれば、ケース部30を構成する材料を容易にリサイクルすることができる。
【0044】
本実施形態に係るインクカートリッジ100において、第2材料は、紙材料であり、ケース部30は、インクに関する情報が印刷された印刷面34aを表面側に有する。この構成によれば、ラベル等を別途形成することなく、インクに関する情報をケース部30に視認可能な状態で付与することができる。
【0045】
本実施形態に係るインクカートリッジ100において、ヘッド部20及びケース部30は、それぞれ対応する位置に位置合わせ部24、37、38を有する。この構成によれば、インクカートリッジ100を組み立てる際の精度を確保することができる。
【0046】
本実施形態に係るインクカートリッジ100において、インクパック部10は、袋部材11に設けられインクを排出するスパウト13を有し、ヘッド部20は、インクパック部10を位置決めしつつスパウト13を装着するスパウト装着部23を有する。この構成によれば、スパウト13をスパウト装着部23に装着することで、インクパック部10とヘッド部20との間で位置決めを行うことができる。
【0047】
本実施形態に係るインクカートリッジ100において、リブ部12及びヘッド部20は、引張強度が630~800kg/cm、曲げ弾性率が25000~30000kg/cmである。この構成によれば、第1材料を用いて形成されるリブ部12及びヘッド部20について、印刷装置に接続する際に変形しない十分な曲げ強度を確保できる。
【0048】
本実施形態に係るインクカートリッジ100の製造方法は、インクを収容しインクの残量が少なくなるにつれてインクを収容する体積が収縮する袋部材11に、平板状であり印刷装置に接続する際に変形しない所定の曲げ強度を有する第1材料を用いて形成され所定の突起部12cを有するリブ部12を袋部材11の収縮に伴って移動するように袋部材11に固定してインクパック部10を形成するインクパック形成工程S10と、第1材料を用いて形成され印刷装置に接続されるヘッド部20を、インクパック部10に連結する連結工程S20と、ヘッド部20の一部が露出するように、インクパック部10及びヘッド部20を、リブ部12及びヘッド部20とは異なる第2材料を用いて形成され所定の貫通穴31hを有するケース部30に収容する収容工程S30とを含む。
【0049】
この構成によれば、非生分解性プラスチック材料の使用量を低減することが可能なインクカートリッジ100を効率的に製造することができる。
【0050】
本実施形態に係るインクカートリッジ100の製造方法において、収容工程S30は、展開された状態のケース部30に対してインクパック部10及びヘッド部20を位置合わせして取り付ける取り付け工程S31と、インクパック部10及びヘッド部20が取り付けられた状態でケース部30を組み立てる組み立て工程S32と、を更に含む。この構成によれば、収容工程S30を効率的に行うことができる。
【0051】
本実施形態に係るインクカートリッジ100の製造方法において、ヘッド部20及びケース部30は、それぞれ対応する位置に位置合わせ部24、37、38を有し、ヘッド部20側の位置合わせ部24とケース部30の位置合わせ部37、38とが結合することで位置合わせする。この構成によれば、ヘッド部20とケース部30とを精度よく位置合わせすることができる。
【0052】
本実施形態に係るインクカートリッジ100の製造方法において、取り付け工程S31では、インクパック部10の袋部材11のうちリブ部12が固定される部分とは反対側の面をケース部30の内面に固定し、組み立て工程S32では、インクの残量が所定値よりも少なくなった場合にリブ部12の突起部12cがケース部30の外部に突出する位置に貫通穴31hが配置されるようにケース部30を組み立てる。この構成によれば、取り付け工程S31及び組み立て工程S32により、リブ部12を適切に設けることができる。
【0053】
本実施形態に係るインクカートリッジ100の製造方法において、袋部材11は、シート状部材11aを有し、シート状部材11aは、インクの排出口に対応する部分を空けるように外周に沿った周縁部同士が接合されることでインクを収容する空間を形成し、リブ部12は、シート状部材11aの接合部分を含む基準面と平行に固定される。この構成によれば、袋部材11に対してリブ部12を適切な位置及び姿勢で配置することができる。
【0054】
本実施形態に係るインクカートリッジ100の製造方法において、リブ部12及びヘッド部20は、引張強度が630~800kg/cm、曲げ弾性率が25000~30000kg/cmである。この構成によれば、第1材料を用いて形成されるリブ部12及びヘッド部20について、印刷装置に接続する際に変形しない十分な曲げ強度を確保できる。
【0055】
本実施形態に係るインクカートリッジ100の製造方法において、第2材料は、紙材料又は生分解性プラスチック材料である。この構成によれば、ケース部30を構成する材料を容易にリサイクルすることができる。
【0056】
本実施形態に係る印刷装置200は、インクにより印刷を行う本体部51と、本体部51に設けられ、インクの供給源である上記のインクカートリッジ100を装着する装着部52とを備える。この構成によれば、環境への負担が少ないインクカートリッジ100を適切に接続可能な印刷装置200を提供することができる。
【0057】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、ケース部30の対面部34の印刷面34aにインクに関する情報を印刷する場合を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、ケース部30の表面に、インクに関する情報を印刷したラベルを添付する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
Q…インク、S10…インクパック形成工程、S20…連結工程、S30…収容工程、S31…取り付け工程、S32…工程、PR…印刷装置、10…インクパック部、11…袋部材、11a,35…端部、11b…取り付け面、12…リブ部、12a…ベース部、12b…張り出し部、12c…突起部、13…スパウト、20…ヘッド部、21…本体部材、21a…基部、21b,21c,32,33…側部、21d…対向部、21h…位置決め孔、22…蓋部材、23…スパウト装着部、24,37,38…位置合わせ部、25…基板装着部、26…基板、30…ケース部、31…支持部、31a…内面、31h…貫通穴、34…対面部、34a…印刷面、34b…係止片、36…折り曲げ代部、36h…係止孔、41,42,43,44,45…境界部分、100…インクカートリッジ
図1
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