(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119029
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】シュノーケリング用呼吸用マスク及びその呼吸管
(51)【国際特許分類】
B63C 11/16 20060101AFI20240826BHJP
B63C 11/14 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B63C11/16
B63C11/14
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216297
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】63/486,145
(32)【優先日】2023-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/505,238
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508126022
【氏名又は名称】誠加興業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100183564
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 伸也
(72)【発明者】
【氏名】薛志誠
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シュノーケリング用の呼吸用マスクであって、本体と、本体に連結され、管体を備える呼吸管と、を備える呼吸用マスクが提供される。
【解決手段】管体は、上端部と該上端部の反対に位置する下端部とを有し、吸気管路及び排気管路とに長手方向に仕切られた内部をさらに有する。管体が下端部を介して本体に接続されていることで、呼吸管が本体の内部と好適に流体連通する。上端部は吸気口を有し、吸気口を介して、吸入空気が進入し、吸気管路に沿って下端部に流れる。上端部と下端部との間には、排気一方向弁が設けられており、下端部から排気管路に流れ込む呼気が、排気一方向弁を介して外部に向けて排出される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュノーケリング用の呼吸管であって、
上端部と該上端部の反対に位置する下端部とを有すると共に、吸気管路及び排気管路が形成された管体を備えており、
前記排気管路及び前記吸気管路は、仕切り壁によって長手方向に仕切られ、
前記上端部は吸気口を有し、該吸気口を介して、吸入空気が進入し、前記吸気管路に沿って前記下端部に流れ、
前記上端部と前記下端部との間には、排気一方向弁が設けられており、前記下端部から前記排気管路に流れ込む呼気が、前記排気一方向弁を介して外部に向けて排出され、
前記仕切り壁は、前記下端部から上方に延び、前記仕切り壁が前記管体の前側壁又は後側壁と合流して、前記排気一方向弁の上方の領域で終端とされている、呼吸管。
【請求項2】
前記仕切り壁は前記管体の前記後側壁と合流し、前記排気一方向弁は、前記管体の前記後側壁の開口に配置されている、請求項1記載の呼吸管。
【請求項3】
前記排気一方向弁は傘型弁である、請求項1記載の呼吸管。
【請求項4】
前記下端部が呼吸用マスクの本体と接続され、前記呼吸管が前記本体の内部と流体連通しており、
前記本体は、
メインフレームと、
前記メインフレーム内に埋め込まれたレンズと、
その少なくとも一部が前記メインフレーム及び前記レンズに埋め込まれ、使用者の顔にフィットするように構成された防水スカートであって、前記本体の内部を上部チャンバと下部チャンバとに仕切る仕切りを有し、固定装置により使用者が前記呼吸用マスクを装着すると、前記仕切りは使用者の鼻の上に載置され、使用者の目は前記上部チャンバに収容され、使用者の鼻は前記下部チャンバに収容される、防水スカートと、
前記吸気管路と前記下部チャンバとの間に形成された吸気経路と、
前記排気管路と前記下部チャンバとの間に形成され、前記吸気経路とは互いに独立している排気経路と、を備えている、請求項1記載の呼吸管。
【請求項5】
前記排気経路は、2本の排気トンネルによって形成されており、
前記2本の排気トンネルはそれぞれ、前記防水スカート及び前記レンズの内面によって共同して画定されると共に、前記レンズの外周に沿って配置されている、請求項4記載の呼吸管。
【請求項6】
ボタンをさらに備え、
該ボタンは、前記管体に覆われ、前記排気一方向弁に対向し、前記排気一方向弁から離間して配置されており、使用者が前記ボタンを作動させた際、前記ボタンは前記排気一方向弁の開放を防ぐことができ、前記ボタンを作動させなかった際、前記排気一方向弁を通常通り開放できるものである、請求項1記載の呼吸管。
【請求項7】
シュノーケリング用の呼吸用マスクであって、
本体と、
前記本体に連結され、管体を備える呼吸管とを備え、
前記管体は、上端部と該上端部の反対に位置する下端部とを有すると共に、内部に吸気管路及び排気管路が形成されており、
前記排気管路及び前記吸気管路は、仕切り壁によって長手方向に仕切られ、
前記上端部は吸気口を有し、該吸気口を介して、吸入空気が進入し、前記吸気管路に沿って前記下端部に流れ、
前記上端部と前記下端部との間には、排気一方向弁が設けられており、前記下端部から前記排気管路に流れ込む呼気が、前記排気一方向弁を介して外部に向けて排出され、
前記仕切り壁は、前記下端部から上方に延び、前記仕切り壁が前記管体の前側壁又は後側壁と合流して、前記排気一方向弁の上方の領域で終端とされており、
前記管体が、前記下端部を介して前記本体に接続され、前記呼吸管が前記本体の内部と流体連通している、呼吸用マスク。
【請求項8】
前記仕切り壁は前記管体の前記後側壁と合流し、前記排気一方向弁は、前記管体の前記後側壁の開口に配置されている、請求項7記載の呼吸用マスク。
【請求項9】
前記排気一方向弁は傘型弁である、請求項7記載の呼吸用マスク。
【請求項10】
前記本体は、
メインフレームと、
前記メインフレーム内に埋め込まれたレンズと、
その少なくとも一部が前記メインフレーム及び前記レンズに埋め込まれ、使用者の顔にフィットするように構成された防水スカートであって、前記本体の内部を上部チャンバと下部チャンバとに仕切る仕切りを有し、固定装置により使用者が前記呼吸用マスクを装着すると、前記仕切りは使用者の鼻の上に載置され、使用者の目は前記上部チャンバに収容され、使用者の鼻は前記下部チャンバに収容される、防水スカートと、
前記吸気管路と前記下部チャンバとの間に形成された吸気経路と、
前記排気管路と前記下部チャンバとの間に形成され、前記吸気経路とは互いに独立している排気経路とを備えている、請求項7記載の呼吸用マスク。
【請求項11】
前記排気経路は、2本の排気トンネルによって形成されており、
前記2本の排気トンネルはそれぞれ、前記防水スカート及び前記レンズの内面によって共同して画定されると共に、前記レンズの外周に沿って配置されている、請求項10記載の呼吸用マスク。
【請求項12】
前記下端部は、少なくとも部分的に前記レンズから一体的に延在している、請求項10記載の呼吸用マスク。
【請求項13】
前記呼吸管は、ボタンをさらに備え、
該ボタンは、前記排気一方向弁に対向し、前記排気一方向弁から離間した配置で、前記管体に設けられており、使用者が前記ボタンを作動させた際、前記ボタンは前記排気一方向弁の開放を防ぐことができ、前記ボタンを作動させなかった際、前記排気一方向弁を通常通り開放できるものである、請求項7記載の呼吸用マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2023年2月21日に出願された米国暫定特許出願第63/486,145号及び2023年5月31日に出願された米国暫定特許出願第63/505,238号に対する優先権の利益を主張するものであり、上記出願の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、呼吸用マスク、特に、排気口が吸気口から独立している呼吸管を有する呼吸用マスクに関する。
【背景技術】
【0003】
使用者が口と鼻で自由に呼吸できるようにし、マスクと呼吸管を持ち運ぶ不便を回避するために、様々なフルフェイスシュノーケリングマスク(FFSM)が開発されている。FFSMの設計では、快適性と安全性を達成する目的において、呼吸管は、マスク本体の上に固定されると同時に、その内部と流体連通しており、呼吸管の吸気経路と排気経路が分離されていることで、使用者が吸入した新鮮な空気が、直前の呼吸サイクル中に使用者が吐き出した汚れた空気(CO2を含む)と混ざるのを可能な限り防ぐ。
【0004】
しかし、このような典型的な設計では、吸入空気は、呼吸管を通り、上部チャンバ(使用者の目に対応するよう覆う)を経て、吸気一方向バルブを介して下部チャンバ(使用者の鼻と口に対応するよう覆う)に進入する。これにより、吸入空気が使用者に供給される。一方、呼気は、本体の周囲に形成された排気経路に沿って、半円を描きながら呼吸管に入り、最終的に、呼吸管の全長を通って外部に排出される。このような配置では、排気経路が吸気経路よりはるかに長くなることは明らかであり、排気動作をより完全に完了するために使用者が行うことは、呼気量を増やすことである。このような激しい呼気は、吸気と呼気のバランスサイクルを確立するため、激しい吸入を必要とし、使用者の身体エネルギーが多く消費される。
【0005】
また、左右2本の導管を配置しても、あるいは、中央の導管を吸気用、左右の2本の導管を排気用として、3本の導管を配置しても、吸気管路及び排気管路の両方が呼吸管内に配置されているため、管体が非常に太くなり、体積・重量が増加し、美観も損なわれてしまう。
【0006】
さらに、ほとんどのマスクはよりバランスの取れたデザインにするために、本体の中央部を吸気用に配置し、本体の2つの外周に沿った経路を排気用に配置している。呼吸管が左右にそれぞれ2本の導管を持つように設計されている場合、本体と呼吸管の間の流体連通は、その間の接合部で困難になる。呼吸管の内部に3本の導管があり、中央部が吸気に使用され、左右の導管が排気に使用されるように設計されている場合、流体連通は全く問題にはならない。ただし、この設計では、呼吸管の直径が限られているため、呼吸管内部の吸気管路及び排気管路の直径が小さくなり、吸気管路及び排気管路を流れる空気が阻害されるため、使用者の呼吸負荷が増加する。また、外部との空気交換を行うための吸気口及び排気口が呼吸管の上部に配置されている(すなわち、呼吸管の上部の開口部が吸気口と排気口の両方を兼ねる)ため、フロータも必然的に内部に配置される。これにより、こうした呼吸管(特にドライトップ呼吸管)の上部は、構造が複雑になるばかりでなく、また、サイズが大きくなるため、持ち運びが不便で、美観も損なわれ、製造コストが高くなる。上記の構造については、米国特許第10,793,239号明細書(特許文献1)の内容を参照することができる。
【0007】
上記の課題を解決するために、メーカーは排気経路を短くする設計に着手している。具体的には、排気管路と呼吸管が分離することで、呼吸管を新鮮な空気を吸い込むための経路としてのみ使用し、排気経路の排気口はマスクの本体上に配置される。これにより、使用者の呼気は、呼吸管に入らずにマスクの周囲を半周した後、外部に排出することができるため、排気経路を大幅に短縮することができる。米国特許第11,312,457号明細書(特許文献2)は、この関連技術を例示している。しかし、この設計には多くの重大な問題がある。まず、シュノーケルマスクのメインフレーム、レンズ、スカートは防水性を確保するため、互いにしっかりと嵌め合わせる必要がある。そのため、メインフレームに排気口を配置し、本体周囲の排気経路と連通させると、構造の複雑化が回避できず、製造コストが増加し、また、結果的にマスク本体の水密性が低下してしまう。第二に、水中でシュノーケリングをする際、使用者は通常、マスク本体を下に向けるか、頭を少し上げる。そのため、マスク本体全体を水に浸した状態で水中の風景を眺める場合、使用者は息を吐くために水圧に打ち勝たなければならず、これにより使用者の体力がかなり消耗する。一方、多くの排気気泡が発生し、シュノーケリング時にこれらの気泡が使用者の耳に非常に近い位置に発生するため、使用者の視界を著しく遮り、不快な騒音の原因となる。
【0008】
また、シュノーケリングは水中でのアクティビティであり、マスク内に水が溜まりやすい。したがって、使用者は通常、マスクを完全に水面上に出して、溜まった水を排水バルブから排出するか、マスクを外して溜まった水を取り除く必要がある。このような排水動作は、大きく息を吐くことによって、水圧に抗して溜まった水を直接排水することが困難であるため、非常に不便である。したがって、排水は既存のFFSMが依然として直面している課題の1つである。
【0009】
これに鑑みて、上記の問題の一部又は全てを解決することが、業界共通の課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第10,793,239号明細書
【特許文献2】米国特許第11,312,457号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、呼吸用マスクに適用可能な、シュノーケリング用の呼吸管を提供することである。
本発明では、呼吸管の吸気方法は変更せず、例えば、吸気口から空気が流入するか否かをフロータで制御する、ドライトップ呼吸管と同様のものとした。一方、排気に関して、本発明では、呼吸管の管体、特に、管体幅が大きい箇所に排気口を設け、排気口に排気一方向弁を設けた。
このように、本発明の呼吸用マスクをシュノーケリング用として装着した場合、排気経路が呼吸管上部まで延在していないため、長さを大幅に短縮でき、また、呼吸管全体で見ても、排気口の位置が低すぎないため、使用時に排気口を常時水面に近づけることができる。その結果、排気が高い水圧を上回る必要がなく、使用者の視界を妨げ、不快な騒音の原因となる気泡も発生しなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、管体を含むシュノーケリング用呼吸管を提供する。管体は、上端部と、該上端部の反対に位置する下端部とを有する。管体は、吸気管路及び排気管路で形成された内部をさらに有する。排気管路と吸気管路は、仕切り壁によって長手方向に仕切られている。上端部は吸気口を有し、吸気口を介して、吸入空気が進入し、吸気管路に沿って下端部に流れる。上端部と下端部との間には、排気一方向弁が設けられており、下端部から排気管路に流れ込む呼気が、排気一方向弁を介して外部に向けて排出される。仕切り壁は、下端部から上方に延び、仕切り壁が管体の前側壁又は後側壁と合流して、排気一方向弁の上方の領域で終端する。
【0013】
さらに、本発明は、本体と呼吸管とを備える、シュノーケリング用の呼吸用マスクを提供する。呼吸管は、本体と接続され、管体を含む。管体は、上端部と該上端部の反対に位置する下端部とを有する。管体は、吸気管路及び排気管路で形成された内部をさらに有する。排気管路及び吸気管路は、仕切り壁によって長手方向に仕切られる。上端部は吸気口を有し、該吸気口を介して、吸入空気が進入し、吸気管路に沿って下端部に流れる。上端部と下端部との間には、排気一方向弁が設けられており、下端部から排気管路に流れ込む呼気が、排気一方向弁を介して外部に向けて排出される。仕切り壁は、下端部から上方に延び、仕切り壁が管体の前側壁又は後側壁と合流して、排気一方向弁の上方の領域で終端する。管体が下端部を介して本体に接続されていることで、呼吸管が本体の内部と好適に流体連通する。
【0014】
一例では、仕切り壁は管体の後側壁と合流し、排気一方向弁は、管体の後側壁の開口に配置されている。
【0015】
一例において、排気一方向弁は傘型弁である。
【0016】
一例では、本体は、メインフレームと、メインフレーム内に埋め込まれたレンズと、その少なくとも一部がメインフレームとレンズに埋め込まれた防水スカートと、吸気経路及び排気経路と、を含む。防水スカートは、使用者の顔に適切にフィットさせ得る。防水スカートは、本体の内部を上部チャンバと下部チャンバとに仕切る仕切りを有する。固定装置により使用者が呼吸用マスクを装着すると、仕切りは使用者の鼻の上に載置され、使用者の目は上部チャンバに収容され、使用者の鼻は下部チャンバに収容される。吸気経路は、吸気管路と下部チャンバとの間に形成されている。排気経路は、排気管路と下部チャンバとの間に形成されている。排気経路と吸気経路は互いに独立している。
【0017】
一例では、排気経路は、防水スカートとレンズの内面とによってそれぞれ共同して画定された2本の排気トンネルによって形成され、レンズの外周に沿って配置されている。
【0018】
一例では、下端部は、少なくとも部分的にレンズから一体的に延在している。
【0019】
一例では、呼吸管は、ボタンをさらに備える。該ボタンは、管体に鞘付けされ、排気一方向弁に対向し、排気一方向弁から離間して配置されている。使用者がボタンを作動させた場合、ボタンは排気一方向弁の開放を防ぐことができ、使用者がボタンを作動させなかった場合、排気一方向弁を通常通り開放できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るシュノーケリング用呼吸管の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るシュノーケリング用呼吸用マスクの概略図であり、呼吸用マスクには、
図1に示す呼吸管が装備されている。
【
図3】
図3は、
図2の呼吸用マスクの本体の縦断面図(冠状面断面図)である。
【
図4】
図4は、
図2の呼吸用マスクの横断面図(矢状面断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、本発明を種々の実施形態を用いて説明する。本発明のこれらの実施形態により、これらの実施形態に記載される実施の際の特定環境、用途、又は特定の方法に本発明を限定することを意図するものではない。したがって、これらの実施形態の説明は、例示のみを目的としており、本発明を限定するものではない。なお、以下の実施形態及び添付図面において、本発明に直接関係しない要素は図示から省略し、添付図面における個々の要素間の寸法比率は、理解を容易にするためにのみ提示されるが、本発明の実際の寸法を限定するものではないことは了承されたい。
【0022】
本発明の第1実施形態を
図1に示し、シュノーケリング用の呼吸管1を例示する。呼吸管1は、管体11を備えている。
管体11は、上端部11aと、上端部11aの反対に位置する下端部11bと、を有する。管体11は、吸気管路116と排気管路118とに長手方向に仕切られた内部をさらに有する。上端部11aは吸気口112を有し、該吸気口112を介して、吸入空気が進入し、吸気管路116に沿って下端部11bに流れる。上端部11aと下端部11bとの間には、排気一方向弁11eが設けられており、下端部11bから排気管路118に流れ込む呼気が、排気一方向弁11eを介して外部に向けて排出される。
【0023】
管体11では、吸気管路116と排気管路118とが仕切壁11cによって仕切られており、排気管路116と吸気管路118とが互いに独立している。
仕切り壁11cは、下端部11bから上方に延び、排気一方向弁11eの上方で、仕切り壁11cが管体の側壁に合流する部位で終端する。また、排気一方向弁11eは、管体11の側壁の開口に配置されている。
【0024】
好ましくは、本発明の排気管路118は、吸気管路116の前方又は後方に位置する。例えば、
図1に示すように、管体11の内部は、仕切り壁11cによって吸気管路116と排気管路118とに前後方向に仕切られている。排気管路118は、管体11の後側壁11d、左右の側壁、及び、仕切り壁11cによって画定されている。この場合、仕切り壁11cは、下端部11bから上方に延び、その後、仕切り壁11cが後側壁11dと合流する、排気一方向弁11eの上方の領域で終端する。したがって、本発明の排気気流は、管体11の仕切り壁11cと後側壁11dとの間を上方向に走り、最終的に排気一方向弁11eを通って外部に流れるため、管体11の上端部11aで吸気気流と混ざり合うことはない。また、後側壁11dには、排気一方向弁11eを配置可能な開口部114が設けられている。
【0025】
但し、他の実施形態では、吸気管路116及び排気管路118の位置を入れ替えてもよく、管体11の前側壁の開口に排気一方向弁を配置してもよい。また、他の実施形態では、吸気管路116及び排気管路118が左右配置で長手方向に分離されている場合、排気一方向弁は、管体11の左側側壁又は右側側壁の開口部に配置され得る。
【0026】
そこで、本発明では、呼吸管1の吸気管路116と排気管路118とを、すなわち、吸気用と排気用として、仕切り壁11cによって長手方向に隔てて、両導管の径が十分に大きく、吸気と排気とのバランスが取れるようにした。
これにより、1本の吸気管路と2本の排気管路の径が充分に確保されていない、あるいは、不均衡であるという、従来の呼吸管の問題を解決することができる。
【0027】
呼吸管1は、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、又は、これらの組み合わせから選択される硬質材料で構成することができるが、これに限定されるものではない。
【0028】
本実施形態では、排気一方向弁11eは、傘型弁であってもよいが、これに限定されるものではない。なお、他の実施形態では、複数の案内孔を含む保護カバー(図示せず)を排気一方向弁11eの上方に配置してもよい。これらの案内孔は、シュノーケリング中に排気一方向弁11eの皮膜が開放されたときに、排気一方向弁11を介して排気管路118に海水が入らないよう、網目状、ハニカム状、グリル状(格子状)、又はこれらの任意の組み合わせで配置され得る。
【0029】
本発明の第2実施形態を
図2に示す。
図2は、本発明に係るシュノーケリング用呼吸用マスク3の背面図である。呼吸用マスク3には、
図1に示す呼吸管1が装備されている。具体的には、呼吸用マスク3は、本体13と呼吸管1とを備えている。呼吸管1は本体13に接続されており、
図2に示すように、呼吸管11が本体13の内部と好適に流体が連通するように、下端部11bを介して本体13に接続されている。
【0030】
好ましくは、本体13は、メインフレーム13aと、レンズ13bと、防水スカート13cと、2本の吸気一方向弁13dと、ドレン弁13eとを備える。レンズ13bは、メインフレーム13a内に埋め込まれている。防水スカート13cは、使用者の顔(図示せず)に好適にフィットすることが可能である。防水スカート13cは、その少なくとも一部がメインフレーム13a及びレンズ13bに埋め込まれており、仕切り13c1を有している。仕切り13c1は、本体13の内部を上部チャンバ202と下部チャンバ204とに仕切る。
【0031】
使用者が固定装置15(例えば、弾性ヘッドストラップ)により呼吸用マスク3を装着すると、仕切り13c1が使用者の鼻の上に載置され、使用者の目が上部チャンバ202に収容される。また、呼吸用マスクの下部チャンバの設計に応じて、防水スカート13cは、使用者の鼻のみを覆う(鼻のみを使用して吸入を行う)か、鼻と口の両方を覆う(鼻及び/又は口を使用して吸入を行う)ことができる。これにより、鼻(又は鼻及び口)が下部チャンバ204に収容される。つまり、少なくとも使用者の鼻は、下部チャンバ204に収容される。
図3に示す呼吸用マスク3では、使用者の鼻と口の両方が下部チャンバ204に収容されている。
【0032】
言い換えれば、本発明の呼吸管は、目と鼻のみを覆う従来のダイビングマスクや、従来のマウスピース呼吸管など、様々なタイプのマスクに適用することができる。マスクの設計において、吸気気流と排気気流が独立しており、吸気管路及び排気管路が1つの呼吸管に結合され、排気一方向弁が管体(上部以外)に配置されている限り、こうしたマスクはすべて実現可能な代替手段であり、すべて本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
加えて、実施形態では、下端部11bは、少なくとも部分的にレンズ13bから一体的に延在している。勿論、下端部11bは、本体13のその他の部分、例えば、メインフレーム13aから一体的に延在してもよい。つまり、いわゆる呼吸管1は、必ずしも実際に独立した管体である必要はない。呼吸用マスク3の本体13から上方に延びる任意の要素は、呼吸管1に属する。
【0034】
図3及び
図4は、本発明の第3実施形態を例示するために併せて参照される。
図3は、
図2の呼吸用マスク3の本体13の冠状面断面図(縦断面図)である。また、
図4は、
図2に示した呼吸用マスク3の矢状面断面図(横断面図)である。
【0035】
本体13は、図示しない吸気経路と排気経路206とを有する。吸気管路116と下部チャンバ204との間には吸気経路が形成され、排気管路118と下部チャンバ204との間には排気経路206が形成されている。吸気経路と排気経路206は、互いに独立している。
図3及び
図4に例示するように中空気流路(吸気経路を示す)からの吸気経路の機構について理解できるよう、明瞭さと簡略化の観点から、吸気経路を特に符号で表記しない。
【0036】
図3に示すように、排気経路206は、2本の排気トンネルによって形成されていてもよい。各排気トンネルは、防水スカート13cとレンズ13bの内面によって共同で画定され、レンズ13bの外周に沿って配置されている。
【0037】
使用者が吸入すると、新鮮な空気は、吸気口112を介して呼吸管1の上端部11aに入り、次に吸気管路116に沿って呼吸用マスク3の本体13の上部チャンバ202に入り、最後に吸気一方向弁13dを介して下部チャンバ204に入る。これにより、使用者の鼻及び/又は口で息を吸い込む(
図3及び
図4の中空気流路で示す)。
【0038】
一方、使用者が息を吐くと、汚れた空気は、下部チャンバ204から排気経路206上方に入り、呼吸管1の下端部11bから排気管路118に入り、仕切り壁11cの端部に当たり、その結果、管体11の後側壁11dにある開口114に配置された排気一方向弁11eを通過する。これにより、汚れた空気が外部に排出される(
図3及び
図4に実線で示す)。
【0039】
また、
図4から分かるように、仕切り壁11cは、下端部11bから上方に延び、排気一方向弁11eを過ぎた位置で終端し、管体11の後側壁11dと合流することにより、排気経路が極力短くなっている。ただし、他の実施形態において、排気経路を短くする目的が実際に達成され得る限り、仕切り壁11cの端部は、呼吸管1の上端部11aまでさらに延在し、その後、側壁に合流してもよい。
【0040】
本発明の第4実施形態を
図5に示す。本実施形態では、呼吸管1の管体11は、さらに、その上に鞘付けされたボタン11fを有する。このボタン11fは、排気一方向弁11eに対向し、排気一方向弁11eの作動を妨げないように排気一方向弁11eから離間して配置されている。使用者がボタン11fを作動させると、ボタン11fは、排気一方向弁11eの開放を完全に防止することができ、使用者がボタン11fを作動させない場合には、排気一方向弁11eを通常通り開放できる。好ましくは、ボタン11fの材質及び形状は、使用者の操作時に、柔軟な変形及び弾力的回復ができるものであれば、限定されない。
使用者が水中でシュノーケリングをしていて、排水弁13eを介して下部チャンバ204に溜まった水を排出したい場合には、まずボタン11fを指で押し、排気一方向弁11eを開放させないようボタン11fを排気一方向弁11eに当接させる。これにより、排気管路118と外部との連通を一時的に遮断する。同時に、排気経路206と外部との連通も一時的に遮断され、下部チャンバ204は密閉空間を形成し、自ずと呼気圧を大きく上昇させる。その結果、使用者は水圧をより簡単に克服して、浮上することなく水中で水を排出することができる。これは、使用者の身体的エネルギーを消耗させない点において、大いに役立つ。
図4に示すように、排水弁13eの設計位置が使用者の口に向いていれば、上述した排水性能が向上する。但し、ボタン11fは、排気一方向弁11eの位置の視認性をより高め、使用者の視覚と触覚を高め、使用者の指を排気一方向弁11eを閉じる正しい位置に素早く誘導する目的のために設けられている。一方、また、ボタン11fによってカバーされる面積を大きくすることにより、排気一方向弁11eの閉鎖をより容易かつ完全にすることが意図される。言い換えれば、ボタン11fの配置は不要であり、使用者は排気一方向弁11eを直接押して指で閉じることができ、それによっても同様の効果を奏することができる。
【0041】
要約すると、本発明の呼吸管は、吸気口から独立した排気口をさらに備えている。排気経路を短くするため、排気口の位置を高くしすぎないように設計し、シュノーケリングの際に、排気口の位置を水面に近づけ、水圧の障壁がなく、息を吐きやすくしている。さらに、排気口の位置も、排気から生じる気泡による騒音や使用者の視界遮蔽の問題を回避するために、低すぎない設計になっている。
【0042】
言い換えると、排気口が呼吸管体の中央に配置されているため、マスクの本体や呼吸管の上部に排気口を組み合わせるという複雑な構造(接続位置に排気バルブを追加する必要性)を考慮する必要がない。これにより、構造が簡易化され、製造コストが低くなる。排気口は呼吸管体の中央に配置されているため、呼吸管の上部は吸気機能のみを担い、排気機構を収容する役割はなくなる。したがって、呼吸管の上部の形状設計において、制約がなくなり、より柔軟で、可変的なものにできる。
【0043】
上記実施形態は、本発明の実施例を例示し、本発明の技術的特徴を説明するためにのみ用いられ、本発明の範囲を限定するために用いられるものではない。当業者が容易に達成し得るいかなる変更又は均等物による置換も、本発明の範囲に該当すると見なされ、本発明の範囲は、特許出願の特許請求の範囲によって限定されるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 呼吸管
3 呼吸用マスク
11 管体
11a 上端部
11b 下端部
11c 仕切壁
11d 後側壁
11e 排気一方弁
11f ボタン
112 吸気口
114 開口部
116 吸気管路
118 排気管路
13 本体
13a メインフレーム
13b レンズ
13c 防水スカート
13d 吸気一方向弁
13e ドレイン弁
15 固定装置
202 上部チャンバ
204 下部チャンバ
206 排気経路