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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119045
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】戸当たり
(51)【国際特許分類】
   E05C 17/56 20060101AFI20240826BHJP
   E05C 17/50 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
E05C17/56
E05C17/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024020765
(22)【出願日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2023024816
(32)【優先日】2023-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000205476
【氏名又は名称】大阪金具株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507201636
【氏名又は名称】南 卓司
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】南 卓司
(57)【要約】      (修正有)
【課題】戸当たりに関し、特に、あおり止め部により開扉状態を保持することができるようにした戸当たりに関するもので、マグネット部の磁力を高めるとともに、開扉時に発生する音を抑制することができる戸当たりを提供すること。
【解決手段】扉側に取り付け、マグネット部及びあおり止め部を配設した戸当たり本体と、床面に取り付け、床面より突出するようにストッパ片を揺動可能に配設したストッパ台座とからなり、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、マグネット部の磁着作用によりストッパ片を床面より突出させて戸当たり本体に当接させ、それ以上の開扉を阻止するとともに、あおり止め部をストッパ片に選択的に係止できるように構成した戸当たりにおいて、戸当たり本体のマグネット部2は、0.4~1.0mm厚のステンレス薄板製のプレス部品からなるマグネット片収納ケース20を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉側に取り付け、マグネット部及びあおり止め部を配設した戸当たり本体と、床面に取り付け、床面より突出するようにストッパ片を揺動可能に配設したストッパ台座とからなり、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、マグネット部の磁着作用によりストッパ片を床面より突出させて戸当たり本体に当接させ、それ以上の開扉を阻止するとともに、あおり止め部をストッパ片に選択的に係止できるように構成した戸当たりにおいて、前記マグネット部が、0.4~1.0mm厚のステンレス薄板製のプレス部品からなるマグネット片収納ケースを備えてなることを特徴とする戸当たり。
【請求項2】
前記マグネット片収納ケースに、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、床面より突出したストッパ片の先端部が当接する第1の突起を一体に形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の戸当たり。
【請求項3】
前記マグネット片収納ケースに、扉が跳ね返ったときに、ストッパ片の突出部が当接する第2の突起を一体に形成するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の戸当たり。
【請求項4】
前記マグネット片収納ケースに、2個のマグネット片を重ね合わせて配設するとともに、マグネット片収納ケースの開口側に、マグネット片が脱落するのを防止するピンを配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の戸当たり。
【請求項5】
前記あおり止め部のあおり止め本体を支持する軸に、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、床面より突出したストッパ片の先端部が当接する当接部材を配設するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の戸当たり。
【請求項6】
前記あおり止め部の揺動操作片を、戸当たり本体の底蓋部に一体に形成したばね片により付勢するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の戸当たり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、戸当たりに関し、特に、あおり止め部により開扉状態を保持することができるようにした戸当たりに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、あおり止め部により開扉状態を保持することができるようにした戸当たりが提案され、実用化されている(例えば、特許文献1~2参照。)。
この戸当たりは、扉側に取り付け、マグネット部及びあおり止め部を配設した戸当たり本体と、床面に取り付け、床面より突出するようにストッパ片を揺動可能に配設したストッパ台座とからなり、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、マグネット部の磁着作用によりストッパ片を床面より突出させて戸当たり本体に当接させ、それ以上の開扉を阻止するとともに、あおり止め部をストッパ片に選択的に係止できるように構成されている。
【0003】
ところで、従来の戸当たりは、あおり止め部の操作部を、ストッパ台座の上面部(特許文献1参照。)や側面部(特許文献2参照。)に設けるようにしているため、開扉時にあおり止め部の操作部を操作しにくいという問題があった。
【0004】
そこで、この問題に対処するため、本件出願人らは、先に、開扉時にあおり止め部の操作部を操作しやすい戸当たりを提案した(特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-90162号公報
【特許文献2】特開2004-263377号公報
【特許文献3】特開2023-71128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3の戸当たりは、図1図4に示すように、扉側に取り付け、マグネット部2及びあおり止め部3を配設した戸当たり本体1と、床面に取り付け、床面より突出するようにストッパ片5を揺動可能に配設したストッパ台座4とからなり、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、マグネット部2の磁着作用によりストッパ片5を床面より突出させて戸当たり本体1に当接させ、それ以上の開扉を阻止するとともに、あおり止め部3をストッパ片5に選択的に係止できるように構成した戸当たりにおいて、あおり止め部3をストッパ片5に選択的に係止するようにするあおり止め部3の操作部32が、ストッパ片5が当接する戸当たり本体1の背面側に設けた揺動操作片32aを備えるようにする。
【0007】
そして、マグネット部2及びあおり止め部3を配設した戸当たり本体1を、昇降機構6を介して、扉の下隅部分の木口(戸先側の端面)から底面に亘って形成した格納部に取り付けるようにしている。
【0008】
ここで、マグネット部2及びあおり止め部3のあおり止め本体31は、戸当たり本体1の本体部11に、軸21を介して、揺動可能に取り付けるようにしている。
【0009】
マグネット部2は、合成樹脂製の成型部品からなり、段差を設けた収納部23a、23bに、2個のマグネット片24a、24bを重ね合わせて配設するようにしている。
これにより、マグネット片24a、24bを、マグネット部2の段差を設けた収納部23a、23bに、マグネット片24a、24bの反発作用を利用して、容易かつ確実に装着することができる。
【0010】
あおり止め部3は、あおり止め本体31と、操作部32とからなり、あおり止め本体31に、ストッパ片5に係止する係止爪31aと、揺動操作片32aの操作突起32bによって操作される被操作突起31cとを形成するようにしている。
【0011】
揺動操作片32aは、中心部に穴部32cを形成した板状部材からなり、穴部32cに、鋼球及びばねを含む軸受部材32dを配設し、揺動操作片32aを押圧操作することで揺動させ、あおり止め部3が作用する位置(図1(a1)及び(a2))と、作用しない位置(図1(b1)及び(b2))とに切り換えることができるようにしている。
【0012】
揺動操作片32aがあおり止め部3が作用する位置(図1(a1)及び(a2))にあるとき、あおり止め本体31の被操作突起31cが揺動操作片32aの操作突起32bによって操作されないため、あおり止め本体31は自重によって先端の係止爪31aがマグネット部2の下面より突出し、ストッパ片5の突出部53に係止されるようにすることができる。
一方、揺動操作片32aがあおり止め部3が作用しない位置(図1(b1)及び(b2))にあるとき、あおり止め本体31の被操作突起31cが揺動操作片32aの操作突起32bによって操作され、あおり止め本体31は先端の係止爪31aが上向きに移動し、係止爪31aがマグネット部2の下面より突出せず、ストッパ片5の突出部53に係止されないようにすることができる。
ここで、マグネット部2の上方には、ストッパ片5を吸着していないマグネット部2が、水平状態を維持するようにする鋼棒等からなる磁性部材34を架設するようにしている。
【0013】
ストッパ片5を、軸51を介して揺動可能に配設したストッパ台座4は、音が発生しないように合成樹脂材料で形成するようにしている。
【0014】
マグネット部2とストッパ片5とが当接する当接面、すなわち、マグネット部2の下面及びストッパ片5の上面に、摺動抵抗付与部22、52をそれぞれ設けるようにしている。
摺動抵抗付与部22、52は、扉を勢いよく開操作した場合等で開扉時の扉の移動速度が大きいと、跳ね返りによって、戸当たり本体1に当接したストッパ片5と戸当たり本体1に配設したマグネット部2との磁着作用による吸着状態が維持できなくなって両者が離脱することを防止するために、吸着状態のマグネット部2及びストッパ片5の当接面に摺動抵抗を付与し、跳返力を吸収することができるものであれば、その形状は特に限定されないが、本実施例においては、扉の移動方向と直交する方向に形成した凸条22と、この凸条22が嵌入する扉の移動方向と直交する方向に形成した凹溝52との組み合わせからなり、より具体的には、マグネット部2の下面に2本の凸条22を、ストッパ片5の上面に複数本(本実施例においては5本)の凹溝52を、それぞれ設けるようにしている。
なお、マグネット部2の下面に凹溝を、ストッパ片5の上面に凸条、それぞれ設けるようにすることもできる。
ここで、凸条22は、直径0.5~2.0mm程度の半円柱状とし、凹溝52は、凸条22が入り込む半円柱状の窪みとするようにしている。
これにより、吸着状態のマグネット部2及びストッパ片5の当接面に付与される摺動抵抗の大きさが過大にならないようにすることができ、開扉状態の扉を閉操作する際に必要以上に大きな力を要することなく、ストッパ片5と戸当たり本体1に配設したマグネット部2との磁着作用による吸着状態を解除することができる。
【0015】
昇降機構6は、戸当たり本体1の本体部11を昇降可能に収容する外ケース61と、調節ねじ62と、調節ねじ62に螺合し、調節ねじ62を操作することによって水平方向に移動する移動体63と、戸当たり本体1に取り付けられた、移動体63が嵌挿される傾斜溝64を備えた昇降体65とからなる。
そして、昇降機構6の調節ねじ62の操作部62a、62bを、外ケース61の両側に設けるようにすることにより、マグネット部2及びあおり止め部3を配設した戸当たり本体1の本体部11の高さ位置の調節を行うことができるとともに、左開きの扉と右開きの扉の両方に適用することができる。
調節ねじ62は、操作部62aを形成したねじと、操作部62bを形成した袋ナットとを、長さ調節用ピン62cを介して螺合し、ねじ緩み止め用接着剤で固定することにより、汎用部品を用いて構成するようにしている。
【0016】
この戸当たりによれば、あおり止め部3をストッパ片5に選択的に係止するようにするあおり止め部3の操作部32が、ストッパ片5が当接する戸当たり本体1の背面側に設けた揺動操作片32aを備えるようにすることにより、開扉時にあおり止め部3の操作部32の揺動操作片32aを、扉のストッパ片5を配設したストッパ台座4の反対側に位置させることができ、あおり止め部3の操作部32の操作性を良好にすることができる。
【0017】
また、この戸当たりは、戸当たり本体1の形状をコンパクトにできるため、戸当たり本体1を、例えば、扉の底面に形成した凹状の格納部に填め込むようにして配設し、開扉時にあおり止め部3の操作部32の揺動操作片32aを扉の下方からストッパ片5を配設したストッパ台座4の反対の表面側に位置させることができ、あおり止め部3の操作部32の操作性を良好にすることができる。
【0018】
本発明は、上記戸当たりのマグネット部を改良することで、マグネット部の磁力を高めるとともに、開扉時に発生する音を抑制することができる戸当たりを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の戸当たりは、扉側に取り付け、マグネット部及びあおり止め部を配設した戸当たり本体と、床面に取り付け、床面より突出するようにストッパ片を揺動可能に配設したストッパ台座とからなり、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、マグネット部の磁着作用によりストッパ片を床面より突出させて戸当たり本体に当接させ、それ以上の開扉を阻止するとともに、あおり止め部をストッパ片に選択的に係止できるように構成した戸当たりにおいて、前記マグネット部が、0.4~1.0mm厚のステンレス薄板製のプレス部品からなるマグネット片収納ケースを備えてなることを特徴とする。
【0020】
この場合において、前記マグネット片収納ケースに、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、床面より突出したストッパ片の先端部が当接する第1の突起を一体に形成するようにすることができる。
【0021】
また、前記マグネット片収納ケースに、扉が跳ね返ったときに、ストッパ片の突出部が当接する第2の突起を一体に形成するようにすることができる。
【0022】
また、前記マグネット片収納ケースに、2個のマグネット片を重ね合わせて配設するとともに、マグネット片収納ケースの開口側に、マグネット片が脱落するのを防止するピンを配設するようにすることができる。
【0023】
また、前記あおり止め部のあおり止め本体を支持する軸に、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、床面より突出したストッパ片の先端部が当接する当接部材を配設するようにすることができる。
【0024】
また、前記あおり止め部の揺動操作片を、戸当たり本体の底蓋部に一体に形成したばね片により付勢するようにすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の戸当たりによれば、マグネット部のマグネット片収納ケースが、0.4~1.0mm厚のステンレス薄板製のプレス部品からなることから、合成樹脂製の成型部品からなる従来のものと比較して、マグネット部の磁力を高めるとともに、開扉時に発生する音を抑制することができる。
【0026】
また、マグネット片収納ケースに、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、床面より突出したストッパ片の先端部が当接する第1の突起と、扉が跳ね返ったときに、ストッパ片の突出部が当接する第2の突起とを一体に形成することができる。
【0027】
また、マグネット片収納ケースに、2個のマグネット片を重ね合わせて配設するとともに、マグネット片収納ケースの開口側に、マグネット片が脱落するのを防止するピンを配設するようにすることにより、マグネット片収納ケースに、2個のマグネット片を容易かつ確実に収納することができる。
【0028】
また、あおり止め部のあおり止め本体を支持する軸に、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、床面より突出したストッパ片の先端部が当接する当接部材を配設するようにすることにより、床面より突出したストッパ片の先端部が当接する当接部材の支持強度を高めることができる。
【0029】
また、あおり止め部の揺動操作片を、戸当たり本体の底蓋部に一体に形成したばね片により付勢するようにすることにより、部品数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】先願発明の戸当たりの一実施例を示し、(a1)は戸当たり本体のあおり止め部の作用時の正面断面図、(a2)は同底面断面図、(b1)は戸当たり本体のあおり止め部の非作用時の正面断面図、(b2)は同底面断面図である。
図2】同戸当たりの昇降機構(戸当たり本体の下部構造省略)を示し、(a)は昇降機構の正面断面図、(b)は昇降機構の移動体の説明図、(c)及び(d)は昇降機構の動作状態を示す側面断面図である。
図3】同戸当たりの構成部材を示し、(a1)はあおり止め本体の正面図、(a2)は同底面図、(b1)はマグネット部の平面図、(b2)は同正面図、(b3)は同底面図、(b4)は同側面図、(b5)は(b2)のA-A断面図である。
図4】同戸当たりのストッパ台座を示し、(a)は正面断面図、(b)は同平面図である。
図5】本発明の戸当たりの第1実施例を示し、(a1)は戸当たり本体の正面断面図、(a2)は同底面断面図、(b1)は戸当たり本体のマグネット部のマグネット片収納ケースの正面断面図、(b2)は同右側面図、(b3)は同展開図、(c1)はストッパ台座の平面図、(c2)は同正面図、(d1)はストッパ片の平面図、(d2)は同正面図である。
図6】同戸当たりの動作状態を示す説明図である。
図7】本発明の戸当たりの第2実施例を示し、(a)は戸当たり本体の正面図、(b)は同左側面図、(c)は同右側面図、(d)は同底面図である。
図8】同戸当たりの戸当たり本体の斜視図である。
図9】同戸当たりの構成部材を示し、(a)は戸当たり本体の底蓋の斜視図、(b)は揺動操作片の斜視図、(c)はあおり止め本体の斜視図、(d1)は当接部材の正面図、(d2)は当接部材の側面図である。
図10】同戸当たりの構成部材を示し、(a1)は戸当たり本体のマグネット部のマグネット片収納ケースの正面断面図、(a2)は同右側面図、(a3)は同展開図、(b1)はストッパ台座の平面図、(b2)は同正面図、(c1)はストッパ片の平面図、(c2)は同正面図である。
図11】同戸当たりの動作状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の戸当たりの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0032】
図5図6に、本発明の戸当たりの第1実施例を示す。
この戸当たりは、図1図4に記載した先願発明の戸当たりと同様、扉側に取り付け、マグネット部2及びあおり止め部3を配設した戸当たり本体1と、床面に取り付け、床面より突出するようにストッパ片5を揺動可能に配設したストッパ台座4とからなり、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、マグネット部2の磁着作用によりストッパ片5を床面より突出させて戸当たり本体1に当接させ、それ以上の開扉を阻止するとともに、あおり止め部3をストッパ片5に選択的に係止できるように構成している。
【0033】
マグネット部2は、図5(b1)~(b3)に示すように、0.4~1.0mm厚、好ましくは、0.5~0.9mm厚(本実施例においては、0.8mm厚。)のステンレス(SUS304)薄板製のプレス部品(打ち抜き後、曲げ加工した部品)からなるマグネット片収納ケース20を備えるようにしている。
ここで、ステンレス(SUS304)薄板の板厚が、0.4mmより薄いと、強度が不足し、1.0mmより厚いと、マグネット部2の磁力が低下する。
これにより、合成樹脂製の成型部品からなる先願発明の戸当たりと比較して、マグネット片収納ケース20の肉厚が薄くなるため、マグネット部2の磁力を高めるとともに、開扉時に発生する音を抑制することができる。
【0034】
マグネット片収納ケース20には、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、床面より突出したストッパ片5の先端部が当接する第1の突起20aと、扉が跳ね返ったときに、ストッパ片5の突出部53が当接する第2の突起20bとを一体に形成するようにしている。
ここで、第2の突起20bの高さは、0.4~1.0mm程度(本実施例においては、0.8mm。)に設定するようにする。
【0035】
マグネット片収納ケース20には、2個のマグネット片24a、24bを重ね合わせて配設するとともに、マグネット片収納ケース20の開口側に、マグネット片24bが脱落するのを防止するピン20dを配設するようにしている。
ここで、マグネット片収納ケース20に、2個のマグネット片24a、24bを収納する場合、まず、マグネット片収納ケース20の開口からマグネット片24bを挿入し、マグネット片収納ケース20のマグネット片24bの背面の位置のピン孔20cにピン20dを打ち込むことで、マグネット片収納ケース20の開口からマグネット片24bが脱落するのを防止する。次に、マグネット片収納ケース20の開口からマグネット片24bを挿入すると、マグネット片24bは、マグネット片24bに磁着することで、マグネット片収納ケース20の開口から脱落することを防止できる。
これにより、マグネット片収納ケース20に、2個のマグネット片24a、24bを容易かつ確実に収納することができる。
【0036】
マグネット片収納ケース20は、戸当たり本体1の本体部11の扉の開扉側に、軸20eを介して、揺動可能に取り付けるようにしている。
【0037】
なお、あおり止め部3のあおり止め本体31は、図1図4に記載した先願発明の戸当たりと同様、戸当たり本体1の本体部11の扉の閉扉側に、軸21を介して、揺動可能に取り付けるようにしている。
【0038】
この戸当たりは、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、マグネット部2の2個のマグネット片24a、24bの磁着作用によりストッパ片5を床面より突出させ(図6(a))、マグネット部2のマグネット片収納ケース20の第1の突起20aに当接させ、それ以上の開扉を阻止するようにする(図6(b))。
扉を勢いよく開操作した場合等で開扉時の扉の移動速度が大きいと、扉が跳ね返り(図6(c))、これによって、戸当たり本体1に当接したストッパ片5と戸当たり本体1に配設したマグネット部2との磁着作用による吸着状態が維持できなくなって両者が離脱することとなる。これを防止するために、マグネット部2のマグネット片収納ケース20の第2の突起20bがストッパ片5の突出部53に当接することで、扉の跳ね返りを停止するようにしている(図6(d))。
閉扉時は、マグネット部2のマグネット片収納ケース20の第2の突起20bがストッパ片5の突出部53を強制的に乗り越えることで、扉を閉じることができる。
【0039】
この戸当たりは、あおり止め部3をストッパ片5に選択的に係止するようにするあおり止め部3の操作部32が、ストッパ片5が当接する戸当たり本体1の背面側に設けた揺動操作片32aを備えるようにすることにより、開扉時にあおり止め部3の操作部32の揺動操作片32aを、扉のストッパ片5を配設したストッパ台座4の反対側に位置させることができ、あおり止め部3の操作部32の操作性を良好にすることができる。
【0040】
なお、突出したストッパ片5がストッパ台座4上に復帰する際の衝突音を低減するために、ストッパ台座4上にフェルト等の緩衝材を設けることができる。
【0041】
本実施例の戸当たり本体1のあおり止め部3や昇降機構6を含むその他の構成及び作用は、図1図4に記載した先願発明の戸当たりと同様である。
【0042】
図7図11に、本発明の戸当たりの第2実施例を示す。
この戸当たりは、図1図4に記載した先願発明や図5図6に記載した第1実施例の戸当たりと同様、扉側に取り付け、マグネット部2及びあおり止め部3を配設した戸当たり本体1と、床面に取り付け、床面より突出するようにストッパ片5を揺動可能に配設したストッパ台座4とからなり、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、マグネット部2の磁着作用によりストッパ片5を床面より突出させて戸当たり本体1に当接させ、それ以上の開扉を阻止するとともに、あおり止め部3をストッパ片5に選択的に係止できるように構成している。
【0043】
マグネット部2は、図10(a1)~(a3)に示すように、0.4~1.0mm厚、好ましくは、0.5~0.9mm厚(本実施例においては、0.8mm厚。)のステンレス(SUS304)薄板製のプレス部品(打ち抜き後、曲げ加工した部品)からなるマグネット片収納ケース20を備えるようにしている。
ここで、ステンレス(SUS304)薄板の板厚が、0.4mmより薄いと、強度が不足し、1.0mmより厚いと、マグネット部2の磁力が低下する。
これにより、合成樹脂製の成型部品からなる先願発明の戸当たりと比較して、マグネット片収納ケース20の肉厚が薄くなるため、マグネット部2の磁力を高めるとともに、開
扉時に発生する音を抑制することができる。
【0044】
マグネット片収納ケース20には、扉が跳ね返ったときに、ストッパ片5の突出部53が当接する第2の突起20bとを一体に形成するようにしている。
ここで、第2の突起20bの高さは、0.5~4.0mm程度(本実施例においては、2.5mm。)に設定し、ストッパ片5の突出部53が当接する第2の突起20bの面を突出部53が離脱する方向の傾斜面に形成するようにする。
【0045】
マグネット片収納ケース20には、マグネット片24を配設するようにしている。
【0046】
マグネット片収納ケース20は、戸当たり本体1の本体部11の扉の開扉側に、軸20eを介して、揺動可能に取り付けるようにしている。
【0047】
第1実施例の戸当たりにおいては、マグネット片収納ケース20に、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、床面より突出したストッパ片5の先端部が当接する第1の突起20aを形成したが、本実施例においては、あおり止め部3のあおり止め本体31を支持する軸21に、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、床面より突出したストッパ片5の先端部が当接する当接部材7を配設するようにしている。
これにより、床面より突出したストッパ片5の先端部が当接する当接部材7の支持強度を高めることができる。
【0048】
あおり止め部3のあおり止め本体31は、図1図4に記載した先願発明の戸当たりと同様、戸当たり本体1の本体部11の扉の閉扉側に、軸21を介して、揺動可能に取り付けるようにしている。
【0049】
あおり止め部3は、あおり止め本体31と、操作部32とからなり、あおり止め本体31に、ストッパ片5に係止する係止爪31aと、揺動操作片32aの操作突起32b1、32b2によって操作される被操作突起31c1、31c2とを形成するようにしている。
【0050】
揺動操作片32aは、中心部に穴部32cを形成した板状部材からなり、穴部32cに、戸当たり本体1の底蓋部12に一体に形成したばね片12aを配設することで揺動操作片32aを付勢し、揺動操作片32aを押圧操作することで揺動させ、あおり止め部3が作用する位置(図11(a))と、作用しない位置(図11(b))とに切り換えることができるようにしている。
このように、あおり止め部3の揺動操作片32aを、戸当たり本体1の底蓋部12に一体に形成したばね片12aにより付勢するようにすることにより、部品数を少なくすることができる。
【0051】
あおり止め本体31の被操作突起31c1が揺動操作片32aの揺動操作片32aの操作突起32b1によって操作されることで、あおり止め本体31は先端の係止爪31aが下向きに移動し、あおり止め部3が作用する位置(図11(a))となり、あおり止め本体31の先端の係止爪31aがマグネット部2の下面より突出し、ストッパ片5の突出部53に係止されるようにすることができる。
一方、あおり止め本体31の被操作突起31c2が揺動操作片32aの揺動操作片32aの操作突起32b2によって操作されることで、あおり止め本体31は先端の係止爪31aが上向きに移動し、あおり止め部3が作用しない位置(図11(b))となり、係止爪31aがマグネット部2の下面より突出せず、ストッパ片5の突出部53に係止されないようにすることができる。
【0052】
この戸当たりは、開扉時に扉が設定された位置にきたときに、マグネット部2のマグネット片24の磁着作用によりストッパ片5を床面より突出させ、当接部材7に当接させ、それ以上の開扉を阻止するようにする(図11(b))。
扉を勢いよく開操作した場合等で開扉時の扉の移動速度が大きいと、扉が跳ね返り、これによって、戸当たり本体1に当接したストッパ片5と戸当たり本体1に配設したマグネット部2との磁着作用による吸着状態が維持できなくなって両者が離脱することとなる。これを防止するために、マグネット部2のマグネット片収納ケース20の第2の突起20bがストッパ片5の突出部53に当接することで、扉の跳ね返りを停止するようにしている。
閉扉時は、マグネット部2のマグネット片収納ケース20の第2の突起20bがストッパ片5の突出部53を強制的に乗り越えることで、扉を閉じることができる。
【0053】
また、あおり止め部3をストッパ片5に選択的に係止するようにするあおり止め部3の操作部32が、ストッパ片5が当接する戸当たり本体1の背面側に設けた揺動操作片32aを備えるようにすることにより、開扉時にあおり止め部3の操作部32の揺動操作片32aを、扉のストッパ片5を配設したストッパ台座4の反対側に位置させることができ、あおり止め部3の操作部32の操作性を良好にすることができる。
【0054】
本実施例の戸当たり本体1のあおり止め部3や昇降機構6を含むその他の構成及び作用は、図1図4に記載した先願発明及び図5図6に記載した第1実施例の戸当たりと同様である。
【0055】
以上、本発明の戸当たりについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の戸当たりは、マグネット部の磁力を高めるとともに、開扉時に発生する音を抑制することができることから、戸当たりの用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 戸当たり本体
11 本体部
12 底蓋部
12a ばね片
2 マグネット部
20 マグネット片収納ケース
20a 第1の突起
20b 第2の突起
20c ピン孔
20d ピン
20e 軸
21 軸
22 摺動抵抗付与部(凸条)
23a 収納部
23b 収納部
24 マグネット片
24a マグネット片
24b マグネット片
3 あおり止め部
31 あおり止め本体
31a 係止爪
31c 被操作突起
31c1 被操作突起
31c2 被操作突起
32 操作部
32a 揺動操作片
32b 操作突起
32b1 操作突起
32b2 操作突起
32c 穴部
32d 軸受部材
34 磁性部材
4 ストッパ台座
5 ストッパ片
51 軸
52 摺動抵抗付与部(凹溝)
53 突出部
6 昇降機構
61 外ケース
62 調節ねじ
62a 操作部
62b 操作部
62c 長さ調節用ピン
63 移動体
64 傾斜溝
65 昇降体
7 当接部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11