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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119048
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】磁性壁取付物品システム
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20240826BHJP
   A47G 29/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
E04F13/08 H
A47G29/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024021500
(22)【出願日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2023025484
(32)【優先日】2023-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000110893
【氏名又は名称】ニチレイマグネット株式会社
(72)【発明者】
【氏名】常岡 仁
(72)【発明者】
【氏名】笠原 修
【テーマコード(参考)】
2E110
3K100
【Fターム(参考)】
2E110AA57
2E110AA60
2E110AB04
2E110AB23
3K100AA13
3K100AB01
3K100AD07
3K100AE01
3K100AF03
3K100AG01
3K100AJ02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磁性壁と、マグネットシートの磁力により磁性壁に着脱自在とされた取付物品を備える磁性壁取付物品システムにおいて、磁性壁の外観特徴との調和を図ることで、壁面全体としての美観や高級感を保つことのできるシステムを提供する。
【解決手段】磁性壁1と、マグネットシート3の磁力により磁性壁1に着脱自在とされた取付物品2を備え、取付物品2が、互いに直交する載置板21と背面板22とを備える物品本体20と、背面板22の裏側面に固着されたマグネットシート3を備える磁性壁取付物品システム100において、背面板22の表側面に対し着脱自在であると共に表側面を被覆可能な被覆部材4を備え、被覆部材4は、取付物品2を磁性壁1に取り付けたときにおける物品本体20の周囲における磁性壁1の装飾模様14と略同一または同系列の装飾模様14Aを表側面に有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性壁と、マグネットシートの磁力により磁性壁に着脱自在とされた取付物品とを備え、当該取付物品が、互いに直交する載置板と背面板とを備える物品本体と、背面板の裏側面に固着されたマグネットシートとを備える磁性壁取付物品システムにおいて、
背面板の表側面に対し着脱自在であると共に該表側面を被覆可能な被覆部材を備え、
被覆部材は、取付物品を磁性壁に取り付けたときにおける物品本体の周囲における磁性壁の装飾模様と略同一または同系列の装飾模様を表側面に有することを特徴とする磁性壁取付物品システム。
【請求項2】
磁性壁に取り付けるための互いに同一形状の四角形の装飾板を複数備え、被覆部材は、装飾板に対して、物品本体における載置板の厚さ分だけ短い縦幅とされ、当該縦幅以外は、装飾板と同様の構成である請求項1に記載の磁性壁取付物品システム。
【請求項3】
磁性壁に取り付けるための互いに同一形状の四角形の装飾板を複数備えるとともに、取付物品における背面板の表側面に磁着させるための補助マグネットシートを備え、
補助マグネットシートは、背面板の表側面に該補助マグネットシートを磁着させた状態で、取付物品を磁性壁に磁着させたときの表側面が、磁性壁に磁着した装飾板の表側面よりも外側に突出する厚さとされる請求項1に記載の磁性壁取付物品システム。
【請求項4】
取付物品の縦幅が装飾板の縦幅以下とされ、
背面板の厚さと背面板に固着したマグネトシートの厚さとの合計値が、装飾板における本体パネルの厚さと本体パネルに固着したマグネットシートの厚さとの合計値よりも小さく設定される請求項3に記載の磁性壁取付物品システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性壁取付物品システムに関する。より詳しくは、磁性壁と、マグネットの磁力により磁性壁に着脱自在とされた取付物品とを備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁性壁取付物品システムが人気を呼んでいる。このシステムは、磁性壁と取付物品からなる。磁性壁はマグネットのつく壁であり、取付物品は、裏面にマグネットを固着した棚や額などである。取付物品は、マグネットの磁着力により磁性壁に着脱自在に固定でき、取付金具や工具を要さないため、元々の壁面状態が維持できるとともに配置変えなどが自由且つ容易にできる。
【0003】
取付物品の一つとして、下記特許文献1に記載のL字棚がある。このL字棚は、互いに直交しL字型断面をなす載置板と背面板を有し、背面板の裏側面にマグネットシートを固着している。このL字棚では、載置板を水平とした状態で、背面板のマグネットシートを磁性壁に磁着させることで、載置板に物を載せる棚として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-61285号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記L字棚のマグネットシートは、載置板に置かれた物の荷重をシート面の磁着力により支えることから、相応の広い面積が必要となる。従って、マグネットシートを固着するための背面板も、一般にはマグネットシートに応じた広い面積が必要となる。ここで、磁性壁に取り付けたL字棚の背面板は、垂直面に平行であるため、壁面に直交する方向からこれを見た場合、背面板の表側面のもつ外観特徴(例えば色彩や模様等の装飾)が壁面の外観特徴と大きく異なると、その存在が目立ってしまう。このため、磁性壁面の中でL字棚だけが浮いた感じとなり、美観や高級感を損なうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、磁性壁と、マグネットシートの磁力により磁性壁に着脱自在とされた取付物品とを備える磁性壁取付物品システムにおいて、磁性壁の外観特徴との調和を図ることで、壁面全体としての美観や高級感を保つことのできる磁性壁取付物品システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために次のような手段をとる。なお、本欄(「課題を解決するための手段」の欄)において各構成手段に付した括弧書きの符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すための参考用のものであり、本発明の構成手段をこれに限定するものではない。
【0008】
本発明の一の態様は、磁性壁(1)と、マグネットシート(3)の磁力により磁性壁(1)に着脱自在とされた取付物品(2)とを備え、当該取付物品(2)が、互いに直交する載置板(21)と背面板(22)とを備える物品本体(20)と、背面板(22)の裏側面に固着されたマグネットシート(3)とを備える磁性壁取付物品システム(100,200,300)において、背面板(22)の表側面(22a)に対し着脱自在であると共に該表側面(22a)を被覆可能な被覆部材(4,6,8)を備え、被覆部材(4,6,8)は、取付物品(2)を磁性壁(1)に取り付けたときにおける物品本体(20)の周囲における磁性壁(1)の装飾模様(14,64)と略同一または同系列の装飾模様(14A,64A)を表側面(4a,6a,8a)に有することを特徴とする。
【0009】
本態様によると、磁性壁(1)に取付物品(2)を取り付けた状態で、取付物品(2)の背面板(22)の表側面(22a)に被覆部材(4,6,8)を取り付けることができる。被覆部材(4,6,8)は、周囲における磁性壁(1)の装飾模様(14,64)と略同一または同系列の装飾模様(14A,64A)を表側面(4a,6a,8a)に有するため、背面板(22)の存在が目立たず、磁性壁(1)に施された装飾との調和を図ることができ、壁面全体としての美観や高級感を保つことができる。
【0010】
本発明の他の態様では、磁性壁(1)に取り付けるための互いに同一形状の四角形の装飾板(6)を複数備え、被覆部材(8)は、装飾板(6)に対して、物品本体(20)における載置板(21)の厚さ(t1)分だけ短い縦幅(h3)とされ、当該縦幅(h3)以外は、装飾板(6)と同様の構成である。
【0011】
本態様によると、図12のように、上下2枚の装飾板(6)間の空隙(S1)に挿入して磁着させた背面板(22)の表側面(22a)に、被覆部材(8)をちょうどのサイズで取り付けることができる。
【0012】
本発明の他の態様では、図13のように、磁性壁(1)に取り付けるための互いに同一形状の四角形の装飾板(6)を複数備えるとともに、取付物品(2)における背面板(22)の表側面(22a)に磁着させるための補助マグネットシート(30)を備え、補助マグネットシート(30)は、背面板(22)の表側面(22a)に該補助マグネットシート(30)を磁着させた状態で、取付物品(2)を磁性壁(1)に磁着させたときの表側面(30a)が、磁性壁(1)に磁着した装飾板(6)の表側面(6a)よりも外側に突出する厚さ(t6)とされる。
【0013】
本態様によると、装飾板(6)に対して縦幅の短い装飾板(8)を別途用意することなく、装飾板(6)そのものを背面板(22)の表側面(22a)を被覆する手段として利用することができる。なお、突出量は、0.1mm~2mm程度が好ましい。
【0014】
本発明の他の態様では、取付物品(2)の縦幅(h1,h4)が装飾板(6)の縦幅(h2)以下とされ、背面板(22)の厚さ(t2)と背面板(22)に固着したマグネトシート(3)の厚さ(t3)との合計値〔t2+t3〕が、装飾板(6)における本体パネル(61)の厚さ(t4)と本体パネル(61)に固着したマグネットシート(7)の厚さ(t5)との合計値〔t4+t5〕よりも小さく設定される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、磁性壁と、マグネットシートの磁力により磁性壁に着脱自在とされた取付物品とを備える磁性壁取付物品システムにおいて、磁性壁の外観特徴との調和を図ることで、壁面全体としての美観や高級感を保つことのできる磁性壁取付物品システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の磁性壁取付物品システムの斜視図である。
図2】磁性壁の斜視図である。
図3】L字棚の斜視図である。
図4】装飾シートの斜視図である。
図5】磁性壁にL字棚を取り付ける手順を示す斜視図である。
図6】第2実施形態の磁性壁取付物品システムの斜視図である。
図7】装飾板付の磁性壁の斜視図である。
図8】装飾板の斜視図である。
図9】L字棚用の装飾板の斜視図である。
図10】装飾板付の磁性壁の施工法を示す斜視図である。
図11】装飾板付の磁性壁にL字棚を取り付ける手順を示す斜視図である。
図12】第2実施形態の磁性壁取付物品システムの横断面図である。
図13】第3実施形態の磁性壁取付物品システムの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、添付図面に図示した部材などの縮尺や角度は、必ずしも実物と一致するものではなく、適宜明示しやすい大きさに調整している。また本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
【0018】
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態の磁性壁取付物品システム100の斜視図、図2は磁性壁1の斜視図、図3はL字棚2の斜視図である。また図4は装飾シート4の斜視図であり、(a)は外観を示し、(b)はL字棚2に取り付けたときの状態を示す。
図1のように、磁性壁取付物品システム100は、室内に施工された磁性壁1と、磁性壁1に取り付けられたL字棚2と、L字棚2の背面板22に取り付けられた装飾シート4を有する。
【0019】
磁性壁1は、壁表面にマグネットがつく壁であり、図2のように、軟磁性ボード10と壁材フィルム13を有する。
軟磁性ボード10は、石膏ボード11と、石膏ボード11の片面に塗布により積層された軟磁性層12とを備える。このような軟磁性ボード10の具体例として、吉野石膏株式会社製のタイガーFeボード(登録商標)を挙げることができる。なお、上記した軟磁性層付きの石膏ボードに代えて、マグピタボード(登録商標)を用いることもできる。マグピタボードは、無機ボードの片面に化粧鋼板層を積層させたものである。また、鋼板、または鋼板に表装シート若しくは機能性シートをラミネートしたボードを用いてもよい。
【0020】
壁材フィルム13は、厚さ数十μ~1mmとされたフィルム状の装飾壁面材であり、ベースフィルムの上面に絵柄等の模様が印刷された装飾模様(インキ層)14を備える。ベースフィルムとしては、表面にインキ受理層を形成したポリ塩化ビニール系樹脂、ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂、または薄い紙材などを使用することができる。このインキ受理層に用途に応じた印刷によりインクを定着させる。印刷方式には、オフセット印刷、凸版印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを挙げることができる。
【0021】
磁性壁1は、軟磁性ボード10に壁材フィルム13を例えばウレタン系の接着剤を介して積層させた構成とされ、壁材フィルム13を表側、すなわち室内空間に向けた状態で、合板、コンクリート、または軽金属などを基材とした壁下地(図示せず)に対し、釘、ビス、接着剤、ステープルなどで留付け固定される。
【0022】
L字棚2は、図3のように、本体部20とマグネットシート3を備える。
本体部20は、一枚ものからなる四角形のスチール板をその中心線を折り目として直角に折り曲げ加工して、載置板21と背面板22とを形成した構成とされ、断面はL字形状を成す。上記スチール板のサイズとして、例えば縦約300mm×横約300mm、厚さt1として0.5~2mmのものが用いられるが、これに限定されない。
載置板21は、物品を載せるための載せ台として機能する。背面板22は、取り付けの相手方となる磁性壁1への対向部となる部分であり、裏面にマグネットシート3が接着剤を介して固着されている。
【0023】
マグネットシート3は、背面板22と同等かまたは背面板22よりも縦方向および横方向に一回り小さなサイズの可撓性シート状の磁石体である。
このようなマグネットシート3は、硬磁性材料の微粉末と、粘結材となる少量の有機高分子エラストマーとの混合体を、圧延または押出しなどの方式により成形したシート状体の表面に着磁を施して製作される。マグネットシート3は、多極着磁型となっている。すなわち、表面に互いに極性の異なる一定幅の磁極(N極とS極)が交互に等間隔の縞状に形成され、一定ピッチの着磁ラインを有する。マグネットシート3の厚さt3は例えば0.4mm~5mm、着磁ピッチは2~7mmの中から選ばれたものとされる。なお、後述する各マグネットシート5,7,9,30も同様な製法で製作される。
【0024】
装飾シート4は、図4のように、マグネットシート5と装飾フィルム41を有する。
マグネットシート5は、その厚さが0.2mm~1mm、着磁ピッチが2~3mmとされるが、これに限定されない。
装飾フィルム41は、上記した壁材フィルム13と同一の材質および厚さであり、表面に、壁材フィルム13と同様な装飾模様14Aを備える。装飾フィルム41のサイズはマグネットシート5と同一である。
装飾シート4は、マグネットシート5の表面に接着剤を介して装飾フィルム41を積層させた構成とされる。また、装飾シート4は、背面板22の表側面22aに磁着させたときに背面板22の外周からはみ出ることなく背面板22を被覆できるサイズとされる。
【0025】
次に、磁性壁取付物品システム100に特有な作用効果を、図5を用いて説明する。図5は磁性壁1にL字棚2を取り付ける手順を示す斜視図である。
磁性壁1にL字棚2を取り付ける際、まず、両手を使って載置板21の左右端付近を持ち、図5(a)のように、載置板21が水平を保つと共に磁性壁1における取り付け予定位置P1に背面板22が対向するようにL字棚2を配置する。次いで、矢印Y1のように、L字棚2を磁性壁1に向けて移動させる。背面板22のマグネットシート3が磁性壁1に接したところでマグネットシート3は磁性壁1に磁着し、図5(b)のように、L字棚2は磁性壁1に固定される。
【0026】
次いで、両手または片手を使って装飾シート4を持ち、図5(c)のように、装飾シート4のマグネットシート5が磁性壁1上のL字棚2の背面板22に対向するように装飾シート4を配置する。次いで、矢印Y2のように、装飾シート4を背面板22に向けて移動させる。装飾シート4のマグネットシート5が背面板22に接したところでマグネットシート5が背面板22の表側面22aに磁着し、図5(d)のように、装飾シート4は背面板22に固定される。
【0027】
L字棚2を磁性壁1に取り付けたとき、図5(b)の状態では、背面板22の表側面のもつ外観特徴が壁面の装飾模様14と大きく異なるので、磁性壁1の壁面に直交する方向からL字棚2を見た場合、背面板22の存在が目立ってしまう。これに対して図5(d)の状態では、背面板22の表側面のもつ外観特徴が磁性壁1と同じ装飾模様14Aであるため、背面板22の存在が目立たない。つまり載置板21だけが磁性壁1から自然に延設されているかのように見える。
このように磁性壁取付物品システム100では、L字棚2を取り付けたとき、取り付け対象となる磁性壁1に施された装飾との調和を図ることができ、壁面全体としての美観や高級感を保つことができる。
【0028】
〔第2実施形態〕
図6は第2実施形態の磁性壁取付物品システム200の斜視図、図7は装飾板6付の磁性壁1の斜視図、図8は装飾板6の斜視図である。また図9はL字棚2用の装飾板8の斜視図であり、(a)は外観を示し、(b)はL字棚2に取り付けたときの状態を示す。なお、これら各図において、第1実施形態の磁性壁取付物品システム100と同一の構成要素については、同一の符号を付しそれらの説明を省略する。
図6のように、磁性壁取付物品システム200は、室内に施工された装飾板6付の磁性壁1と、この磁性壁1に取り付けられたL字棚2と、L字棚2の背面板22(図3参照)に取り付けられた装飾板8を有する。
【0029】
装飾板付の磁性壁1は、図7のように、第1実施形態の磁性壁1に複数の装飾板6を取り付けた構成とされる。
【0030】
装飾板6は、図8のように、長方形の板状体であり、表側面に装飾模様64を有した本体パネル61と、本体パネル61の裏側面に接着剤を介して固着したマグネットシート7とを有する。本体パネル61はタイル、石膏、木材や合成樹脂などを材質とする(図中ではその厚さはt4で示されている)。装飾模様64は、例えば本体パネル61の表面に直接印刷することにより、または意匠性のある凹凸を設けることにより、または前述した壁材フィルム13の類を貼着させることにより形成される。装飾板6のサイズとして、例えば長辺約300mm×短辺約150mm、厚さとして10mm~20mmのものが用いられるが、これに限定されない。裏面に固着されるマグネットシート7は、前述したマグネットシート3と同様な材質成分からなり、その厚さt5は例えば0.4mm~3mm、着磁ピッチは例えば2~7mmの中から選ばれたものとされるが、これに限定されない。
【0031】
装飾板8は、装飾板6の縦幅h2に対して、本体部20の載置板21の厚さt1分だけ、縦幅が短くh3の長さである。これは、上下2枚の装飾板6間の空隙S1に挿入して磁着させた背面板22の表側面22aに、被覆部材8をちょうどのサイズで取り付けることができるようにするためである。縦幅以外は、装飾板6と同様の構成であり、図9のように、表側面8aに装飾板6の装飾模様64と同様な装飾模様64Aを備える。なおL字棚2の縦幅(背面板22の縦幅)h1は、装飾板6の縦幅h2に等しい。数式で表すと、次の関係がある。
h1=h2, h3=h2-t1=h1-t1
ここで、h1は背面板22の縦幅、h2は装飾板6の縦幅、h3は装飾板8の縦幅、t1は載置板21の厚さである。
【0032】
次に、磁性壁取付物品システム200に特有な作用効果を、図10,11,12を用いて説明する。図10は装飾板付の磁性壁1の施工法を示す斜視図、図11は装飾板付の磁性壁1にL字棚2を取り付ける手順を示す斜視図である。図12は第2実施形態の磁性壁取付物品システム200の横断面図であり、(a)は基本例を示し、(b)は変形例を示す。なお、図12において、断面を示すハッチングは省略している。
はじめに装飾板付の磁性壁1の施工法を説明する。
図10(a)~図10(c)のように、装飾板付の磁性壁1は、磁性壁1に装飾板6を1枚ずつ、互いに隣合うもの同士が接するように取り付けていくことで施工される。取り付けは、外観視が略格子柄状になるような配置として、裏面のマグネットシート7を壁面に磁着させることで行う。全ての装飾板6を磁性壁1に取り付けることで、装飾模様64の装飾性をもつ壁が形成される(図10(d)参照)。
【0033】
次に、装飾板付の磁性壁1にL字棚2を取り付ける手順を説明する。
装飾板付の磁性壁1にL字棚2を取り付ける際、まず、図11(a)のように、磁性壁1におけるL字棚2の取り付け予定位置P2に対応する位置の装飾板6を取り外す。装飾板6を取り外した箇所は、磁性壁1の表側面が現れた空隙S1となる。
次いで、この空隙S1に背面板22が対向するようにL字棚2を配置する。次いで、L字棚2を矢印Y3のように磁性壁1の空隙S1に向けて移動させる。背面板22のマグネットシート3がこの空隙S1に入り磁性壁1に接したところでマグネットシート3は磁性壁1に磁着し、L字棚2は磁性壁1に固定される(図11(b)、図12(a)参照)。
L字棚2は、その縦幅h1が、装飾板6の縦幅h2と同等であることから、一面に装飾板6を格子状に磁着した磁性壁1の中から1枚の装飾板6を取り除いて形成される上下2枚の装飾板6間の空隙S1に挿入して磁着させることができるのである。
【0034】
次いで、両手または片手を使って装飾板8を持ち、マグネットシート9がL字棚2の背面板22に対向するように装飾板8を配置する。次いで、装飾板8を矢印Y4の方向に移動させる。装飾板8のマグネットシート9が背面板22に接したところでマグネットシート9が背面板22の表側面22aに磁着し、装飾板8は背面板22に固定される(図11(d)参照)
【0035】
L字棚2を磁性壁1に取り付けたとき、図11(b)の状態では、背面板22の表側面22aのもつ外観特徴(無地)が壁面と大きく異なるので、壁面に直交する方向からこれを見た場合、その存在が目立ってしまう。これに対して図11(d)の状態では、背面板22の表側面のもつ外観特徴(装飾模様64A)が壁面と同じであるため、その存在が目立たない。つまり載置板21だけが装飾板付の磁性壁1から自然に延設されているかのように見える。このように磁性壁取付物品システム200でも、L字棚2を取り付けたとき、取り付け対象となる磁性壁1に施された装飾との調和を図ることができ、壁面全体としての美観や高級感を保つことができる。
【0036】
なお、図12(b)のように、h4<h2、つまり背面板22の縦幅h4が、装飾板6の縦幅h2よりも短い形態も可能である。この場合、背面板22とその真上の装飾板6との間に形成される隙間S2も、背面板22に磁着させた装飾板8により覆い隠すことができる。
【0037】
〔第3実施形態〕
図13は第3実施形態の磁性壁取付物品システム300の横断面図であり、(a)は基本例を示し、(b)は変形例を示す。なお、図13において、断面を示すハッチングは省略している。
第3実施形態の磁性壁取付物品システム300では、第2実施形態の磁性壁取付物品システム200に対して、補助マグネットシート30を備える点と、縦幅の短い装飾板8を有していない点が異なる。第3実施形態の磁性壁取付物品システム300では、次のような諸元をもつL字棚2と装飾板6とを備えることを前提としている。
すなわち、背面板22の厚さt2と、背面板22に固着したマグネットシート3の厚さt3との合計値であるt2+t3が、装飾板6における本体パネル61の厚さt4と本体パネル61に固着したマグネットシート7の厚さt5との合計値であるt4+t5よりも小さい。数式で表すと、t2+t3<t4+t5である。
【0038】
つまり背面板22の表側面22aは、周囲の装飾板6の表側面6aよりも内側にあり、それらの壁面に対して凹部を形成する。
ここで、補助マグネットシート30は、t4+t5>t2+t3+t6を満たす厚さt6を有する。なお、補助マグネットシート30の縦幅は、凹部S3の縦幅以下であればよい。この凹部S3に補助マグネットシート30を挿入して、背面板22の表側面22aに貼着することにより、補助マグネットシート30の表側面30aを周囲の装飾板6群の表側面6aから突出させることができる。この突出部分には装飾板6を磁着させることができる。
つまり、装飾板6に対して縦幅の短い装飾板8を別途用意することなく、装飾板6そのものを背面板22の表側面を被覆する手段として利用することができる。
【0039】
なお、図13(b)のように、h4<h2、つまり背面板22の縦幅h4が、装飾板6の縦幅h2よりも短い形態も可能である。この場合、背面板22とその真上の装飾板6との間に形成される隙間S2も、背面板22に磁着させた装飾板6により覆い隠すことができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上に開示した実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこの実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【0041】
すなわち本発明は、上述した3つの実施形態以外にも、各種に変形して実施することができる。例えば、各実施形態で、取付物品として断面形状がL字をなすL字棚2を示したが、断面形状がコ字をなす桝形の棚に適用することもできる。またL字棚2の本体部20は、スチール板を材料としたが、SUS430等の、磁性を有したステンレス鋼を用いてもよい。またマグネットシート3,5,7,9、補助マグネットシート30の各磁着面に弱粘着層を設けることで吸着力を高めてもよい。またL字棚2の本体部20は、上記したような強磁性体以外の金属や木材、合成樹脂で構成することもできる。この場合、背面板22の表側面22aに被覆シート4、装飾板6,8を着脱自在に取り付ける手段として、粘着テープやミクロ吸盤等の粘着手段を用いることができる。また複数個のL字棚を、縦、横、斜めの少なくとも一方向に、互いに間隔をあけて、或いは一部を接触させた状態で取り付けてもよい。
【0042】
また、第2、第3実施形態で装飾板6は、縦横格子柄状に並ぶように磁性壁1に固定した例を示したが、千鳥状に並ぶように固定してもよい。また、装飾模様14A,64Aは、それぞれ装飾模様14,64と同一としたが、完全に同じでなくてもよい。例えば濃淡や凹凸が全体として一つの意匠性をもつ場合などは、違和感を起こさせない程度、つまり同系列であればよい。
その他、磁性壁取付物品システム100,200,300の各部または全体の構成、構造、形状、サイズ、個数、材質、配置などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
磁性壁と、マグネットの磁力により磁性壁に着脱自在とされた取付物品とを備える磁性壁取付物品システムにおいて、磁性壁に施された装飾との調和を図ることができ、壁面全体としての美観や高級感を保つことができるシステムとして有効である。
【符号の説明】
【0044】
1 磁性壁
2 L字棚(取付物品)
3 マグネットシート
4 装飾シート(被覆部材)
4a 表側面
6 装飾板(被覆部材)
6a 表側面
8 装飾板(被覆部材)
8a 表側面
30 補助マグネットシート
30a 表側面
14 装飾模様
14A 装飾模様
20 本体部(物品本体)
21 載置板
22 背面板
22a 表側面
64 装飾模様
64A 装飾模様
100 磁性壁取付物品システム
200 磁性壁取付物品システム
300 磁性壁取付物品システム
h1 縦幅
h2 縦幅
h3 縦幅
t1 厚さ
t2 厚さ
t3 厚さ
t4 厚さ
t5 厚さ
t6 厚さ

図1
図2
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