(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119054
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】相手側コネクタとの差し込み接続が可能なコネクタのためのハウジング部材と、旋回可能にハウジング部材に取り付けることが可能な旋回レバーとを備えるアセンブリ、コネクタ、および差込みアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20240826BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/639 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024022517
(22)【出願日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】10 2023 104 185.1
(32)【優先日】2023-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】カルシュテン ブック
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン ファイール
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FC25
5E021FC36
5E021HB02
5E021HC11
5E021HC31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】相手側コネクタとの差し込み接続が可能なコネクタの簡単な組み付けを可能とする。
【解決手段】ハウジング部材(20)と、旋回可能にハウジング部材(20)に取り付けることが可能な旋回レバー(50)と、ロック要素(70)と、を備えるロック機構(77)とを備える。ロック要素(70)は、ロック位置(170)から解放位置(180)へと相手側コネクタ(200)により摺動可能であり、ロック位置(170)において旋回レバー(50)を初期位置(150)に固定し、解放位置(180)においてハウジング部材(20)に対する旋回レバー(50)の旋回動作を可能とする。本発明は加えて、そのようなアセンブリを備えるコネクタ(10)に関する。本発明はさらに、そのようなアセンブリおよび相手側コネクタ(200)を備えるコネクタアセンブリ(300)に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリ(100)であって、
前記アセンブリ(100)は、
- 相手側コネクタ(200)との差し込み接続が可能なコネクタ(10)のためのハウジング部材(20)と、
- 旋回可能に前記ハウジング部材(20)に取り付けられている旋回レバー(50)と、
- ロック要素(70)を備えるロック機構(77)と、
を備えており、
前記ロック要素(70)は、ロック位置(170)から解放位置(180)へと前記相手側コネクタ(200)により摺動可能であり、前記ロック位置(170)において前記旋回レバー(50)を初期位置(150)に固定し、前記解放位置(180)において前記ハウジング部材(20)に対する前記旋回レバー(50)の旋回動作を可能とする、
アセンブリ(100)。
【請求項2】
前記ロック要素(70)は、前記ハウジング部材(20)に対して摺動可能である前記旋回レバー(50)の部分(57)により形成されている、
請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記ロック位置(170)における前記ロック要素(70)は、前記ハウジング部材(20)のスロット(21)に挿入されている、
請求項1または2に記載のアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記スロット(21)における前記ロック要素(70)は、摺動可能にのみ案内される、
請求項3に記載のアセンブリ(100)。
【請求項5】
前記ロック要素(70)は、前記解放位置(180)において前記スロット(21)から押し出される、
請求項3または4に記載のアセンブリ(100)。
【請求項6】
前記スロット(21)は、前記ハウジング部材(20)の、前記相手側コネクタ(200)に面する側(22)に開口する、
請求項3から5のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項7】
前記旋回レバー(50)は、前記ハウジング部材(20)に対して接続リンク(90、95)に沿って案内される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項8】
前記旋回レバー(50)は、前記ロック位置(170)において前記相手側コネクタ(200)の摺動ブロック(98)を挿入することが可能な接続リンク(95)を備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項9】
前記接続リンク(90、95)は、前記旋回レバー(50)のための強制案内部を形成する、
請求項7または8に記載のアセンブリ(100)。
【請求項10】
前記旋回レバー(50)は、並進および回転を行うように強制的に案内される、
請求項1から9のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項11】
前記旋回レバー(50)は、ピン(25、55、225)において旋回可能であるように装着されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項12】
前記ピン(25、55、225)は、溝(61)において摺動可能である、
請求項11に記載のアセンブリ(100)。
【請求項13】
前記相手側コネクタ(200)は、前記旋回動作により前記コネクタ(10)に向かって引き付けられる、
請求項1から12のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)と、
コンタクト要素とを備える、
コネクタ(10)。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)と、
相手側コネクタ(200)とを備える、
差込みアセンブリ(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手側コネクタとの差し込み接続が可能なコネクタのためのハウジング部材と、旋回可能にハウジング部材に取り付けることが可能な旋回レバーとを備えるアセンブリに関する。
【0002】
本発明はさらに、そのようなアセンブリを備えるコネクタに関する。
【0003】
本発明は加えて、そのようなアセンブリおよび相手側コネクタを備える差込みアセンブリに関する。
【背景技術】
【0004】
旋回レバーを有するコネクタが知られている。一部の既知のコネクタでは、旋回レバーは、例えばコネクタを相手側コネクタに押し付けるまたは押し込むために用いられる。しかしながら、そのようなコネクタの組み付けは、複雑である場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、相手側コネクタへのコネクタの簡単な組み付けを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ロック位置から解放位置へと相手側コネクタにより摺動可能であり、ロック位置において旋回レバーを初期位置に固定し、解放位置においてハウジング部材に対する旋回レバーの旋回動作を可能とするロック要素を備えるロック機構を有するアセンブリにより、この目的を果たす。
【0007】
この解決策によれば、コネクタがまだ相手側コネクタに接続されていないとき、旋回レバーが初期位置に固定される。このとき、旋回レバーの煩雑な位置合わせを行う必要なく、コネクタを相手側コネクタに簡単に接続することができる。コネクタが相手側コネクタと組み付けられると、旋回レバーが自動的に解放され、例えばてこの力を用いてコネクタを相手側コネクタに固定する(secure)またはコネクタを相手側コネクタに引き付けるもしくは引き込むために、旋回動作を行うことが可能となる。
【0008】
本発明は、各々が単独で有利であり互いに無作為に組み合わされ得る以下の発展例および構成により、さらに改善することができる。
【0009】
有利な実施形態において、ロック要素は、ハウジング部材に対して摺動可能である旋回レバーの部分により形成される。これは、必要な構成要素の数が少なくなることを意味する。旋回レバーは、ハウジング部材に対して旋回可能であることに加えて、ハウジング部材に対して摺動可能であってもよい。ここで、1つの位置において旋回可能性(pivotability)が、別の位置において摺動可能性(slidability)が与えられてよい。
【0010】
ロック要素は、旋回レバーに取り付けられるスライドの一部であってよい。これにより、容易な操作が可能となる。
【0011】
省スペースな構成において、ロック位置におけるロック要素は、ハウジング部材におけるスロットに挿入されてよい。スロットは、容易な摺動を可能とするために、実質的に差込み方向に沿って、ある程度差込み方向に沿って、または、差込み方向に角度を付けて、特に60度未満の角度を付けて延びる方向に沿って延びてよい。スロットは、少なくとも部分的に直線状かつ/または少なくとも部分的に曲線状であってよい。スロットは、容易な案内を可能とするために、一様な断面を有してよい。
【0012】
操作をより容易にするために、ロック要素が摺動可能にのみスロットにおいて案内されることが定められてよい。
【0013】
旋回動作を簡単にするために、解放位置におけるロック要素は、スロットから押し出されてよい。
【0014】
さらなる有利な実施形態によれば、スロットは、ハウジング部材の、相手側コネクタに面する側に開口する。結果として、ロック要素を相手側コネクタに対してアクセス可能とすることができ、相手側コネクタによる簡単な偏向を可能とすることができる。
【0015】
単純かつ省スペースな構造において、旋回レバーは、ハウジング部材に対して接続リンクに沿って案内されてよい。
【0016】
有利な実施形態において、旋回レバーは、ロック位置において相手側コネクタの摺動ブロックを挿入することが可能な接続リンクを有する。これにより、簡単な組み付けを可能とすることができる。特に、摺動ブロックは、ロック位置のみにおいて接続リンクに挿入可能であってよい。ここで、接続リンクは、対応する摺動ブロックのための案内アセンブリとして理解されるべきであり、摺動ブロックが単一の動作経路に沿ってのみ移動することを可能とする。接続リンクは、案内要素または支持要素として用いられる側壁を備えてよく、溝、スロットとして、かつ/または突出するストリップによりある程度形成されてよい。
【0017】
接続リンクは、旋回レバーのための強制案内部を形成してよい。これにより、動作を所定の方向において特に容易にかつ確実に行うことが可能となる。
【0018】
旋回レバーは、並進および回転を行うように強制的に案内されてよく、すなわち、規定された動作のみが旋回レバーに対して強制される。ハウジング部材に対する旋回レバーの位置を、規定された経路に沿って配される様々な位置に制限することができる。特に、旋回レバーは、接続リンクの第1の部分においては並進し、接続リンクの第2の部分においては回転するように、強制的に案内されてよい。第2の部分は、接続リンクの第1の部分に後続してよい。これらの構成により、各場合において動作方向が規定されるため、操作をより容易にすることができる。
【0019】
特に単純な構成において、旋回レバーは、ピンにおいて旋回可能に装着されてよい。ピンは、特にスタブ軸(stab axis)であってよい。ピンは、容易な回転を可能とするために、円筒形であるように構成されてよい。
【0020】
さらなる実施形態によれば、ピンは、好ましくは直線状である溝において摺動可能であってよい。
【0021】
可能な構成において、ピンはハウジング部材に配置され、溝は旋回レバーに配置される。
【0022】
さらなる可能な構成によれば、ピンは旋回レバーに配置されてよく、溝はハウジング部材に配置されてよい。結果として、移動させる必要があるレバーの質量をより小さくすることができ、それにより操作がより容易になる。
【0023】
アセンブリは、相手側コネクタが旋回動作によりコネクタに向かって引き付けられるように構成されてよい。特に、コネクタを相手側コネクタに押し込むまたは引き込む、あるいはその逆を行うことができる。旋回動作により、コネクタと相手側コネクタとの間の距離を短くすることができる。
【0024】
さらなる構成によれば、コネクタと相手側コネクタとの間の距離は、旋回動作中に一定のままであってよい。このとき、旋回動作は、例えばコネクタおよび相手側コネクタを互いに押し付けることなくコネクタを相手側コネクタに固定するように働くことができる。
【0025】
有利な構成において、旋回レバーのレバー長さは、ロック位置よりも解放位置において長い。結果として、ユーザにより必要とされる力をより小さくすることができる。同時に、ロック位置における損傷のリスクを最小限にすることができる。これは、てこの作用がより小さいことに起因して、外力がより小さい力を生成するためである。
【0026】
運搬のための体積を可能な限り小さくし、損傷のリスクを低減するために、ハウジング部材に対して差込み方向に測定される旋回レバーの張り出し長さは、ロック位置よりも解放位置において大きくてよい。
【0027】
有利な構成によれば、固定位置において、旋回動作が阻止されてよい。固定位置においては、コネクタおよび/または相手側コネクタに対する旋回レバーの並進動作のみが可能であってよい。旋回可能性をなくすことにより、特にコネクタが相手側コネクタから、意図せず外れることを防止することができる。
【0028】
安全性を高めるために、固定位置は、旋回動作に関して初期位置の反対側に配されてよい。旋回動作の旋回範囲は、初期位置と固定位置との間であってよい。特に、初期位置は、一端部において到達可能であってよく、固定位置は、旋回動作の当該一端部とは反対側の別の端部において到達可能であってよい。これにより、アセンブリがまず旋回動作を行う必要があるため、アセンブリが固定位置から初期位置に意図せず移動するリスクを低減することができる。
【0029】
製造が容易な構成において、旋回レバーは、一体品(one piece)として形成されてよい。代替的に、旋回レバーは、互いに移動不可能に接続される複数の要素からなってもよい。
【0030】
アセンブリは、旋回動作および/または並進動作のためにハウジング部材および/または旋回レバーを支持するための少なくとも1つの支持要素を備えてよい。支持要素は、トラック、孔、細長孔、突起、ストリップ、平坦面、曲面、または部分的に円筒形の面として構成されてよい。追加の支持要素が、相手側コネクタに存在してもよい。
【0031】
本発明によれば、本発明に係るアセンブリを備えるコネクタも提供される。コネクタはさらに、相手側コネクタとの接触を確立するためのコンタクト要素、特に電気コンタクト要素を有してよい。コンタクト要素は、相手側コネクタの対応する相手側コンタクト要素に対してアクセス可能なコンタクト要素レセプタクルに配置されてよい。コンタクト要素レセプタクルは、差込み方向を画定してよい。コンタクト要素レセプタクルは、差込み方向に沿って細長でありかつ/または延びてよい。
【0032】
本発明に係る差込みアセンブリは、特に、本発明に係るアセンブリと、相手側コネクタとを備える。相手側コネクタは、ハウジング部材の一部であるコネクタと差し込み接続されるように構成されてよい。コネクタおよび/または相手側コネクタの仕様は、国内的な、国際的な、独自のまたは他の基準において規定されてよい。
【0033】
有利な構成において、差込みアセンブリは、コネクタと相手側コネクタとの間の距離を小さくするための歯車機構を備えてよい。歯車機構は、差込み方向に対して横方向に突出する少なくとも1つの歯を備えてよい。歯車機構は、歯車、歯車セグメント、または歯車ラックを備えてよい。
【0034】
さらなる構成によれば、差込みアセンブリは、コネクタと相手側コネクタとの間の距離を小さくするための螺旋状案内機構を備えてよい。螺旋状案内機構は、ピンにより画定され得る回転中心までの距離が角度方向に沿って小さくなる壁を備えてよい。
【0035】
本発明によれば、本発明に係るアセンブリのためのハウジング部材も提供される。さらに、本発明に係るアセンブリのための旋回レバーが提供される。
【0036】
以下、図面を参照して、有利な構成に基づき、本発明を例としてより詳細に説明する。そこに示される有利なさらなる発展例および構成は各々、互いに独立であり、どの程度応用に必要であるかに応じて互いに無作為に組み合わされてよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1A~
図1Cは、差込みアセンブリの第1の実施形態の様々な部分の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2A~
図2Eは、接続プロセスの様々な段階における差込みアセンブリの第1の実施形態の模式的な断面側面図である。
【
図3】
図3A~
図3Dは、差込みアセンブリの第2の実施形態の様々な部分の模式的な斜視図である。
【
図4】
図4A~
図4Eは、接続プロセスの様々な段階における差込みアセンブリの第2の実施形態の模式的な断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
2つの異なる例示的な差込みアセンブリ300を図面に示す。これらは、いくつかの点で類似する。
【0039】
それらは各々、コネクタ10、旋回レバー50、および相手側コネクタ200を備える。コネクタ10は、ここではハウジング部材20により単に模式的に表されている。しかしながら、コネクタ10は、コンタクト要素、相手側コンタクト要素のためのレセプタクル、ケーブルのための取り付け要素等のようなさらなる要素を備えてもよい。同じことが、差込み方向Sに沿ってコネクタ10と差し込み接続されるように構成される相手側コネクタ200にも当てはまる。これは特に、コネクタ10および/または相手側コネクタ200における案内要素、少なくともそれらのうちの一部がそのように構成され、例えばそれらが差込み方向Sに沿って延びることで、実現可能である。
【0040】
旋回レバー50は、ハウジング部材20に取り付けられるように構成される。取り付けられると、ハウジング部材20と旋回レバー50との間の可動性が、互いに対する様々な位置に制限される。特定の位置において、旋回レバー50は、ハウジング部材20に対して旋回、すなわち回転することが可能である。他の位置においては、ハウジング部材20と旋回レバー50との間の並進摺動(translational slidability)のみが可能となる。さらに、旋回レバー50とハウジング部材20との間で回転および並進の複合動作が可能であることも考えられるが、これは図示の例では示されていない。
【0041】
概して、個々の部分の間での相対運動を制限するために、支持要素60が用いられる。支持要素60は、並進支持部および/または回転支持部の一部として機能してよい。特に、図示の支持要素60は、摺動支持部として構成される。2つの運動部の間には、ボールまたはローラなどのさらなる要素が存在しない。代わりに、関連する表面の間での滑り摩擦(sliding friction)により動作が実現する。滑り摩擦の間に生じる力を小さく保つために、個々の要素は、特定の材料から製造されてもよく、または摺動面における特別な構成を有してもよく、例えばそこに被膜を有してもよい。
【0042】
コネクタ10および旋回レバー50からなるアセンブリ100は各々、ロック位置170から解放位置180へと相手側コネクタ200により移動させることが可能なロック要素70を備えるロック機構77を備える。ロック位置170において、旋回レバー50は、初期位置150に固定される。初期位置150において、旋回レバー50は、ハウジング部材20に対して規定の回転位置を有する。しかしながら、解放位置180においては、ハウジング部材20に対する旋回レバー50の旋回動作が可能となる。
【0043】
図示の実施形態はさらに、固定位置(secured position)190における旋回レバー50が、コネクタ10が相手側コネクタ200に固定されるようにハウジング部材20に対して摺動可能であるように構成される。固定位置190は、旋回動作に関して初期位置150の反対側に配される。それらは各々、図示の例における旋回範囲の一端部にある。固定位置190において、コネクタ10と相手側コネクタ200との間の相対位置は、それ以上変化しないか、またはわずかにのみ変化する。固定位置においては、旋回レバー50とハウジング部材20との間の相対回転が不可能である。
【0044】
図示の2つの実施形態において、固定位置190において旋回レバー50により実行可能な動作は、差込み方向Sに垂直に延びる横方向Qに沿って延びる。これにより、形状嵌め接続(positive fit connection)を小さい力で容易に形成することが可能となる。完全に固定されると、ハウジング部材20、旋回レバー50、および相手側コネクタ200において、対応する形状嵌め要素または止め部56、206が互いに当接し、よって差込み方向Sに沿った相対運動を妨げる。
【0045】
図示の例においては、旋回動作により、コネクタ10を相手側コネクタ200に向かって引き付けることが可能となる。これにより、例えばコンタクト要素と相手側コンタクト要素との間の所望の接触力を生成することが可能となる。不図示の他の実施形態においては、コネクタ10および相手側コネクタ200の相対運動が強制されることなく、コネクタ10を相手側コネクタ200に対して固定するためにのみ旋回動作が用いられてもよい。
【0046】
図示の2つの実施形態は、コネクタ10を相手側コネクタ200に向かって引き付けるために用いられる、例として示す機構に関して異なる。
図1および
図2に係る実施形態においては、旋回レバー50の接続リンク95における相手側コネクタ200に配置される摺動ブロック98の案内された動作により、コネクタ10と相手側コネクタ200との間の距離が旋回動作中に短くなる螺旋状案内機構(spiral guide mechanism)320が用いられる。これは特に、接続リンク95と、ハウジング部材20における回転軸として用いられるピン25との間の距離が、回転動作の位置ごとに変動することで実現される。
【0047】
一方、
図3および
図4の実施形態においては、旋回レバー50における歯53および相手側コネクタ200のハウジング部材220における歯211が互いに噛み合い、それにより回転動作または旋回動作を並進動作に変換する歯車機構310が用いられる。
【0048】
両方の実施形態において、ロック機構77がロック位置170から解放位置180に向かう方向に移動すると、旋回レバー50のレバー長さ(lever length)59が伸長する。これは、旋回レバー50およびハウジング部材20が、細長孔51、および細長孔51に装着され細長孔51内で移動可能なピン25により互いに接続されることで実現される。円筒形のピン25は、旋回動作のための支持部として機能する。図示の実施形態において、細長孔51は旋回レバー50に、ピン25はハウジング部材20にそれぞれ配置される。代替的に、反転した構成も可能である。
【0049】
さらに、旋回レバー50がハウジング部材20に対して差込み方向Sに沿って突出する張り出し長さ(overhang length)52は、ロック位置170内でのそのような摺動の間に解放位置81に向かって伸長する。これは、運搬位置において旋回レバー50の突出が小さく、したがって固定型の旋回レバーよりも損傷のリスクが低いという利点を有する。ただし、旋回レバー50が依然として例えば外部要素に当たる場合、より小さいレバー長さ59は、アセンブリ100に働く力がより小さくなり、それにより何らかの考えられる損傷が防止される、またはより小さくなることを意味する。
【0050】
両方の実施形態において、アセンブリ100は、相手側コネクタ200により解放位置180まで摺動される。これは、初期の差込み動作で相手側コネクタ200がコネクタ10に挿入されたときに自動的に生じる。
【0051】
ロック要素70は各々、ロック位置170においてハウジング部材20に対して摺動可能である旋回レバー50の部分57により形成される。
図1および
図2の実施形態において、部分57は、旋回レバー50の側面に配される。
図3および
図4の実施形態においては、旋回レバー50における内方に突出するピン55が、ロック要素70として機能する。
【0052】
両方の場合において、ロック要素70は、ロック位置170においてハウジング部材20のスロット21に挿入される。ここで、ロック要素70は、摺動可能にのみ案内される。解放位置180において、ロック要素70は、スロット21から押し出される。並進のみの摺動可能な案内の回転ロックが解除される。スロット21は、差込み方向Sの反対方向に開口し、すなわち、ハウジング部材20の相手側コネクタ200に面する側22に開口する。
【0053】
他の実施形態において、ロック要素70は、旋回レバー50に取り付けられるスライドの一部であってもよい。
【0054】
旋回レバー50は、ハウジング部材20に対して接続リンク90、95に沿って案内される。接続リンク90、95は、旋回レバー50のための強制案内部を形成する。
【0055】
図1および
図2に係る実施形態において、旋回レバー50は、ロック位置170のみにおいて相手側コネクタ20の摺動ブロック98を挿入することが可能な接続リンク95を備える。
【0056】
図3および
図4の実施形態において、旋回レバー50は、接続リンク90の第1の部分91においては並進し、接続リンク90の第1の部分91に隣接する第2の部分92においては回転するように、強制的に案内される。
【0057】
図1および
図2の構成において、ピン225が、コネクタ10のハウジング部材20および相手側コネクタ200のハウジング部材220にそれぞれ存在し、旋回レバー50における対応する溝61に係合する。
【0058】
図3および
図4の構成において、それぞれのピン25、55および溝61が、ハウジング部材20および旋回レバー50に形成され、それぞれの他方の要素50、20における溝61またはピン55、25と相互作用する。
【0059】
所望の動作に応じて、溝61は、直線状、曲線状、角度付き、および/または部分的な円の形状であるように構成されてよい。
【0060】
図示の旋回レバー50は各々、一体品である。代替的に、旋回レバー50は、互いに移動不可能に接続される複数の要素からなってもよい。
【0061】
旋回レバー50は、U字形状であるように構成される。例えば手動操作または機械的操作が可能な操作部54が、2つの脚部の間に配され、その端部において、旋回レバー50がハウジング部材20に装着される。
【0062】
図示の実施形態において、相手側コネクタ200は、例えばコネクタ10のためのレセプタクル201を形成する、ハウジング部材220によってのみ示されている。他の実施形態においては、そのようなレセプタクル201が、相手側コネクタ200において欠落していてもよく、または側部においてさらに開口するように構成されてもよい。
【0063】
図3および
図4の実施形態において、相手側コネクタ200の歯211は、差込み方向に沿って延びる歯車ラック210としてのハウジング部材220に形成される。ここで、歯211は、横方向Qに沿って突出し、旋回レバー50における少なくとも1つの歯53と形状嵌め接続をなすように構成される。
【0064】
特に
図2A~
図2Eにおいて見ることができるように、この実施形態は、相手側コネクタ200のハウジング部材220のピン225または摺動ブロック98が、差込み方向Sに沿ってコネクタ10のハウジング部材20におけるピン25の厳密に後方に配されるように構成される。これにより、横方向の力に起因してコネクタ10が相手側コネクタ200と押し合うことなく、回転動作により生成される引張力の良好な伝達が可能となる。
【0065】
図2A~
図2Eおよび
図4A~
図4Eにおいて見ることができるように、接続プロセスは、両方の実施形態において同様に進行する。まず、相手側コネクタ200が差込み方向S(
図2Aおよび
図4A)に沿ってコネクタ10に接近する。ロック機構77は、旋回レバー50が初期位置150に固定されるロック位置170にある。
【0066】
アセンブリ100は、ロック位置170が解放位置180に移行するまで、ロック位置170に沿って相手側コネクタ200により摺動される(
図2Bおよび
図4B)。ここで、旋回レバー50の旋回が可能となる。
【0067】
それぞれ螺旋状案内機構320または歯車機構310の噛み合う部分により、コネクタ10が相手側コネクタ200に向かって引き付けられる(
図2Cおよび
図4C)。
【0068】
旋回動作の最後に、固定位置190が到達可能となり(
図2Dおよび
図4D)、これにより、旋回レバー50を横方向Qに沿って摺動させることによって相手側コネクタ200へのコネクタ10の固定が行われる(
図2Eおよび
図4E)。
【符号の説明】
【0069】
10 コネクタ
20 ハウジング部材
21 スロット
22 相手側コネクタに面する側
25 ピン
26 止め部
50 旋回レバー
51 長孔
52 張り出し長さ
53 歯
54 操作部
55 ピン
56 止め部
57 部分
59 レバー長さ
60 支持要素
61 溝
70 ロック要素
77 ロック機構
90 ハウジング部材における接続リンク
91 第1の部分
92 第2の部分
95 旋回レバーにおける接続リンク
96 開口部
98 摺動ブロック
100 アセンブリ
150 初期位置
170 ロック位置
180 解放位置
190 固定位置
200 相手側コネクタ
201 レセプタクル
206 止め部
210 歯車ラック
211 歯
220 相手側コネクタのハウジング部材
225 ピン
300 差込みアセンブリ
310 歯車機構
320 螺旋状案内機構
Q 横方向
S 差込み方向
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリ(100)であって、
前記アセンブリ(100)は、
- 相手側コネクタ(200)との差し込み接続が可能なコネクタ(10)のためのハウジング部材(20)と、
- 旋回可能に前記ハウジング部材(20)に取り付けられている旋回レバー(50)と、
- ロック要素(70)を備えるロック機構(77)と、
を備えており、
前記ロック要素(70)は、ロック位置(170)から解放位置(180)へと前記相手側コネクタ(200)により摺動可能であり、前記ロック位置(170)において前記旋回レバー(50)を初期位置(150)に固定し、前記解放位置(180)において前記ハウジング部材(20)に対する前記旋回レバー(50)の旋回動作を可能とする、
アセンブリ(100)。
【請求項2】
前記ロック要素(70)は、前記ハウジング部材(20)に対して摺動可能である前記旋回レバー(50)の部分(57)により形成されている、
請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記ロック位置(170)における前記ロック要素(70)は、前記ハウジング部材(20)のスロット(21)に挿入されている、
請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記スロット(21)における前記ロック要素(70)は、摺動可能にのみ案内される、
請求項3に記載のアセンブリ(100)。
【請求項5】
前記ロック要素(70)は、前記解放位置(180)において前記スロット(21)から押し出される、
請求項3に記載のアセンブリ(100)。
【請求項6】
前記スロット(21)は、前記ハウジング部材(20)の、前記相手側コネクタ(200)に面する側(22)に開口する、
請求項3に記載のアセンブリ(100)。
【請求項7】
前記旋回レバー(50)は、前記ハウジング部材(20)に対して接続リンク(90、95)に沿って案内される、
請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項8】
前記旋回レバー(50)は、前記ロック位置(170)において前記相手側コネクタ(200)の摺動ブロック(98)を挿入することが可能な接続リンク(95)を備える、
請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項9】
前記接続リンク(90、95)は、前記旋回レバー(50)のための強制案内部を形成する、
請求項7に記載のアセンブリ(100)。
【請求項10】
前記旋回レバー(50)は、並進および回転を行うように強制的に案内される、
請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項11】
前記旋回レバー(50)は、ピン(25、55、225)において旋回可能であるように装着されている、
請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項12】
前記ピン(25、55、225)は、溝(61)において摺動可能である、
請求項11に記載のアセンブリ(100)。
【請求項13】
前記相手側コネクタ(200)は、前記旋回動作により前記コネクタ(10)に向かって引き付けられる、
請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)と、
コンタクト要素とを備える、
コネクタ(10)。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)と、
相手側コネクタ(200)とを備える、
差込みアセンブリ(300)。
【外国語明細書】