IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フオルクスヴアーゲン アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

特開2024-119057バッテリセル用の電極を製作するための方法、バッテリセル用の電極を製作するための装置およびバッテリ
<>
  • 特開-バッテリセル用の電極を製作するための方法、バッテリセル用の電極を製作するための装置およびバッテリ 図1
  • 特開-バッテリセル用の電極を製作するための方法、バッテリセル用の電極を製作するための装置およびバッテリ 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119057
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】バッテリセル用の電極を製作するための方法、バッテリセル用の電極を製作するための装置およびバッテリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20240826BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240826BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/139
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024023929
(22)【出願日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】10 2023 201 530.7
(32)【優先日】2023-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルートガー ブースヴィンケル
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ロイバー
(72)【発明者】
【氏名】ローラント シュミット-ローバッハ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン ショップフ
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA07
5H050CA08
5H050CB08
5H050CB11
5H050FA17
5H050GA03
5H050GA12
5H050GA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バッテリセル用の電極を製作するための有利な方法、バッテリセル用の電極を製作するための有利に形成された装置および有利に形成されたバッテリを提供する。
【解決手段】バッテリセル用の電極を製作するための方法であって、材料テープ(4)を少なくとも第1の面(14)においてコーティング材料(6)によってコーティングし、このコーティング材料(6)を第1の面(14)に第1の被着ロール(10)によって被着する、方法とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセル用の電極を製作するための方法であって、材料テープ(4)を少なくとも第1の面(14)においてコーティング材料(6)によってコーティングし、該コーティング材料(6)を前記第1の面(14)に第1の被着ロール(10)によって被着する、方法。
【請求項2】
前記コーティング材料(6)を溶媒なしで被着する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記コーティング材料(6)を粉末として前記第1の被着ロール(10)に施与する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
粉末として施与された前記コーティング材料(6)を前記第1の被着ロール(10)において緻密化する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記コーティング材料(6)を前記第1の被着ロール(10)と第1の押付けロール(24)との間に導き通す間、粉末として施与された前記コーティング材料(6)を前記第1の押付けロール(24)によって緻密化する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング材料(6)を、予め設定された第1のコーティング幅(36)にわたって前記第1の面(14)に被着し、前記第1のコーティング幅(36)を、前記第1の被着ロール(10)に設けられたスコアカッタ(28)によって予め設定する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記スコアカッタ(28)の押付け圧を空気圧式に調整する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング材料(6)を、予め設定された第1のコーティング幅(36)にわたって前記第1の面(14)に被着し、前記コーティング材料(6)を前記第1の被着ロール(10)から掻き取るスクレーパ(30)によって、前記第1のコーティング幅(36)を予め設定する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法によりバッテリセル用の電極を製作するように構成された装置(8)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法によって製作された少なくとも1つの電極を備えたバッテリセルを有するバッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリセル用の電極を製作するための方法に関する。さらに、本発明は、バッテリセル用の電極を製作するための装置に関し、本発明は、バッテリに関する。
【0002】
バッテリ、例えばリチウムイオンバッテリは現在広範に普及している。バッテリは、特に自動車に使用され、自動車では、例えば、いわゆる駆動バッテリ、つまり、電動式の駆動機械に給電するためのエネルギー貯蔵器として使用される。
【0003】
相応のバッテリは、互いに接続された複数のバッテリセルを有していることが多い。これらのバッテリセルは、通常、実質的に一様に形成されている。特にリチウムイオンバッテリでは、各々のバッテリセルが、典型的には、2つの電極と、1つのセパレータと、1つの電解質とを有している。
【0004】
このことを前提として、本発明の根底にある課題は、バッテリセル用の電極を製作するための有利な方法、バッテリセル用の電極を製作するための有利に形成された装置および有利に形成されたバッテリを提供することである。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有する方法、請求項9の特徴を有する装置ならびに請求項10の特徴を有するバッテリによって解決される。好適な構成および改良形態は従属請求項の対象である。方法に関して記載した利点および構成は、装置および/またはバッテリにも類似に転用可能であり、また、その逆も可能である。
【0006】
本発明に係る方法は、バッテリセル用の電極を製作するために用いられ、これに相応して、このために設計されている。方法、つまり、本発明に係る方法は、好適には本発明に係る装置によって実施される。この装置自体は、本発明に係る方法によりバッテリセル用の電極を製作するように形成かつ構成されている。この場合、方法を使用することによって、バッテリセル用の電極、さらに好適にはバッテリセル、特に本発明に係るバッテリが製作される。各々のバッテリ、つまり、各々の本発明に係るバッテリは、本発明に係る方法によって製作された少なくとも1つの電極を備えた少なくとも1つのバッテリセルを有している。
【0007】
しかしながら、大抵の事例では、本発明に係るバッテリは、互いに接続された複数のバッテリセルを有している。これらのバッテリセルは、通常、実質的に一様に形成されている。各々のバッテリセルは、好都合には、2つの電極と、1つのセパレータと、1つの電解質とを有している。さらに、バッテリは、好適にはリチウムイオンバッテリとして形成されている。使用事例に応じて、バッテリは、例えば自動車に使用するために、つまり、例えば電動式の駆動機械に給電するためのエネルギー貯蔵器として設計されている。
【0008】
バッテリセル用の電極を製作するためには、本発明に係る方法を実施する際、コーティングされた材料テープが製作される。したがって、方法、つまり、本発明に係る方法を実施する際に材料テープの加工が行われる。
【0009】
このような材料テープは、典型的には既製の帯材である。この帯材は、通常、金属箔、例えば銅箔もしくはアルミニウム箔を有しているかまたはそのような金属箔によって形成されている。さらに、材料テープは、典型的には、いわゆるエンドレス材料またはロール材料として存在している。材料テープは、その幅または厚さもしくは高さよりも十分に大きく寸法設定された長さを有している。材料テープは、好適には、400mm以上、特に500mm以上の値の幅、つまり、例えば600mmの幅を有している。
【0010】
加工時には、材料テープが、少なくとも第1の面においてコーティング材料によってコーティングされる。このコーティング材料は、活物質、つまり、いわゆる電極活物質または略して電極材料を有している。この場合、相応の活物質は原理的に知られている。負極を形成するための活物質に対する例は、黒鉛およびケイ素である。正極を形成するための電極材料に対する例は、NMC(リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト酸化物)、LFP(リン酸鉄リチウム)およびNCA(リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム酸化物)である。使用事例に応じて、コーティング材料は、さらに、いわゆるバインダーおよび/またはいわゆる導電助剤を有している。
【0011】
コーティング材料は、第1の被着ロールによって第1の面に被着されるかまたは施与される。この場合、特に、第1の被着ロールから材料テープへのコーティング材料の直接的な転写が行われる。したがって、この場合には、コーティング材料が材料テープに、いわば、ロール塗布される。
【0012】
第1の被着ロールは、典型的には、対応ロールによって補足されている。運転中、第1の被着ロールと対応ロールとは、通常、互いに逆方向に回転している。その際、この事例では、コーティングのために、材料テープが第1の被着ロールと対応ロールとの間に導き通され、第1の被着ロールと対応ロールとの間の中間スペースにおいて、コーティング材料が、第1の被着ロールによって材料テープの第1の面に被着されるかまたは施与される。
【0013】
引き続き、材料テープのコーティング、つまり、材料テープへのコーティング材料の被着または施与が、好ましくは溶媒なしで、つまり、特に液状の溶媒なしで行われる。つまり、例えば活物質と液状の溶媒とを有する懸濁液の製造が、好適には省略される。液状の溶媒の省略に基づき、本明細書に記載した方法は、乾式の電極製作またはまさに無溶媒の電極製作とも呼ばれる。
【0014】
さらに、コーティング材料が粉末または粉末混合物として存在していて、特に粉末として第1の被着ロールに施与または被着される方法変化形態が好適である。さらに、引き続き、第1の被着ロールに施与されたコーティング材料が緻密化されると好都合である。緻密化は、好適には、コーティング材料を材料テープに被着または施与する前に行われる。
【0015】
特に、コーティング材料が第1の被着ロール上で第1の押付けロールによって緻密化される方法変化形態が有利である。したがって、この場合、第1の被着ロールは第1の押付けロールによって補足されている。運転中、第1の被着ロールと第1の押付けロールとは、通常、互いに逆方向に回転している。その際、この事例では、コーティング材料が第1の被着ロールと第1の押付けロールとの間に導き通され、第1の被着ロールと第1の押付けロールとの間の中間スペースにおいて、コーティング材料が緻密化される。
【0016】
さらに、コーティング材料が、予め設定された第1のコーティング幅にわたって材料テープの第1の面に被着されると有利である。第1のコーティング幅は、材料テープの第1の面上のコーティングの特定の幅、つまり、材料テープの長手方向に対して横方向のコーティングの特定の延在長さに相当している。
【0017】
長手方向に対して横方向のコーティング材料の特定の延在長さは、さらに好適には、第1の被着ロール上で予め設定され、ひいては、典型的には、まだコーティング材料が材料テープに施与される前に予め設定される。さらに好適には、長手方向に対して横方向のコーティング材料の特定の延在長さは、長手方向に対して横方向のコーティング材料の延在長さが、第1の被着ロール上にて、予め設定された第1のコーティング幅に減少させられることによって予め設定される。つまり、コーティング材料は、通常、まずは、長手方向に対して横方向の暫定的な延在長さで第1の被着ロールに施与され、引き続き、この暫定的な延在長さが第1のコーティング幅に減少させられる。したがって、この場合、好都合には、長手方向に対して横方向の暫定的な延在長さが第1のコーティング幅よりも大きい。さらに、暫定的な延在長さが、少なくとも1つの機械的な要素、つまり、特にカッタおよび/またはスクレーパのように作用する機械的な要素によって第1のコーティング幅に減少させられると有利である。
【0018】
好ましくは、第1のコーティング幅はスコアカッタによって予め設定され、しかも、特に第1の被着ロールに対する押し切りによって予め設定される。相応のスコアカッタは、典型的には、例えば楔状の切刃を有するカッタディスクである。この場合には、このようなカッタディスクが、好ましくは第1の被着ロールに接触し、コーティング材料を特定の縁部に沿って互いに押し離す。
【0019】
有利な改良形態では、スコアカッタに対して、このスコアカッタを第1の被着ロールに接触させる際の押付け圧が予め設定される。実施変化形態に応じて、この押付け圧は、例えばばね要素を用いて予め設定される。代替的には、押付け圧は空気圧装置を介して予め設定され、したがって、空気圧式に調整可能となる。
【0020】
さらに、第1のコーティング幅が、コーティング材料を第1の被着ロールから掻き取るスクレーパによって予め設定されると有利である。特に、このスクレーパが、前述したスコアカッタを補足している構成が好適であり、これによって、スコアカッタによる押し切りにより切り離された余剰のコーティング材料が、スクレーパによって第1の被着ロールから掻き取られる。
【0021】
さらに、前述した形態の2つのスコアカッタが第1のコーティング幅の設定のために使用される構成が有利である。この場合、両方のスコアカッタは、好都合には、第1の被着ロールの長手方向軸線の方向で見て、互いに離間させられて配置されている。この場合、両方のスコアカッタの間の間隔が第1のコーティング幅を予め設定している。さらに、有利な改良形態では、2つのスコアカッタの各々に、前述した形態のスクレーパが並置されている。
【0022】
つまり、本明細書に記載した方法によれば、好ましくは、コーティング材料が、まず、材料テープの第1の面におけるコーティングの特定の幅よりも大きい幅にわたって第1の被着ロールに施与される。その後、続いて、第1の被着ロール上の幅が第1のコーティング幅に減少させられ、最終的にコーティング材料が第1のコーティング幅で材料テープに施与される。
【0023】
減少によって、好都合には、コーティング幅の的確な調整、つまり、特に一種のエッジトリミングが行われる。減少は、好適には押し切り、つまり、前述したスコアカッタによって行われる。代替的な変化形態に相応して、減少は、いわゆるキスカットまたはロールパンチングによって行われる。
【0024】
さらに、減少のために、方形の刃(かみそり)を備えたカッタが使用されると好都合である。代替的には、例えば駆動されるかまたは引きずり運転で使用される丸形カッタが使用される。
【0025】
このことに左右されずに、好ましくは、第1の被着ロールと、使用されるカッタとの間の間隔がマイクロメートル精度で調整され、ひいては、マイクロメートル精度で予め設定される。
【0026】
さらに、前述した幅の減少の際には、典型的には、コーティング材料が第1の被着ロールから再び解離される。引き続き、この第1の被着ロールから解離されたコーティング材料は、特にコントロールされずに落下してしまわないように、好適には捕集されるかまたは吸い取られる。捕集されたかまたは吸い取られたコーティング材料が再利用されると好都合である。
【0027】
さらに、材料テープは、典型的には、前述した第1の面と、反対側の第2の面とを有している。使用事例に応じて、第1の面に対して付加的に第2の面も、前述した形態のコーティング材料、特に第1の面と同じコーティング材料でコーティングされる。
【0028】
好都合には、コーティング材料は、材料テープの第2の面に第2の被着ロールによって被着される。この場合、この事例では、典型的には、この第2の被着ロールが、さらに、第1の被着ロールに対する前述した対応ロールとしても働き、第1の被着ロールが、類似して、第2の被着ロールに対する対応ロールとして働く。
【0029】
さらに、第2の被着ロールも、好適には押付けロール、つまり、第2の押付けロールによって補足されている。この場合、第1の押付けロールに類似して、第2の押付けロールによってもコーティング材料、しかも、第2の被着ロール上のコーティング材料が緻密化される。
【0030】
さらに、コーティング材料が、予め設定された第2のコーティング幅にわたって材料テープの第2の面に被着されると有利である。第2のコーティング幅の設定は、好適には、第1のコーティング幅に対して前述した形態と同様に行われる。
【0031】
まとめると、また、言い換えると、本明細書には、電極製作、しかも、特に無溶媒のまたは乾式の電極製作を可能にするコンセプトが記載してある。この場合、以下のことが特に重要である。
- 電極製作は、好適には、複数のロール、特に複数のカレンダロールによって行われる。典型的には、コーティングを形成するために、コーティング材料から成るロール支持された少なくとも1つの電極フィルムが帯材に施与される。施与は、典型的には、2つのロールの間のカレンダニップ内で行われる。
- さらに、このコンセプトによって、好ましくは、コーティングの幅の正確な設定/正確な調整も可能となる。このためには、各々の電極フィルム縁部が、好適には押し切りによって形成される。各々の押し切りは、典型的には、複数のロールのうちの1つのロールに対して直接的に行われ、これによって、最終的に、変わらずに質的に高価値のコーティング縁部を有する正確なコーティング幅が得られる。さらに好適には、各々の押し切りは、電極フィルム縁部における余剰のコーティング材料を取り除くためのドクタプロセスによって補足される。
- さらに、余剰のコーティング材料は、好適には、容器内に直接捕集されるかまたは吸い取られ、別個の容器内に搬送される。そこから、余剰のコーティング材料は、好ましくは、先行した複数のプロセスステップのうちの1つのプロセスステップに再び直接供給される(直接的なリサイクル)。
- 使用されるスコアカッタならびに使用されるドクタの位置および押付け力は、好ましくは、プロセス要件に応じて可変に調整される。このために、好適な構成によれば、不変の当付け力および位置を保証するために、空気圧式の制御が使用される。
- 選択肢として、コーティング幅の光学的なエッジ認識が設けられている。さらに、このエッジ認識によって、好適には閉ループ制御を介してスコアカッタおよびドクタの正確な位置決めが可能となる。
- 方法の代替的な実施変化形態では、押し切りの代わりに、カッタが対応体(カレンダロール)に対して数μmの規定の間隔を有するロールパンチング時のような、いわゆるキスカットが使用される。この場合には、カッタとして、例えば方形の刃(かみそり)または丸形カッタが(駆動されるかまたは引きずり運転で)使用される。
- 空気圧式の押付けの代替手段として、ばね要素による機械式の押付けが設けられている。
【0032】
コンセプトは、実施変化形態に応じて以下の利点を提供する。
- ロール/カレンダロールへのスコアカッタの空気圧式の押付けによる押し切りの使用によって、切断力を的確に調整することができる。
- 空気圧式の押付けによって、正確に調整可能かつ制御可能である不変の押付け力が可能となる。
- 切断位置を正確かつ再現可能に調整することができ、関連するスクレーパ/ドクタによって、切り離された耳をロール/カレンダロールから直接的に取り除くことができる。
- 押し切りによって、再現可能に調整可能な切断縁部クオリティが規定の押付け力で保証される。
- キスカットの使用は、カッタとロールとの間に接触がないという利点を有している。これによって、刃の寿命が延ばされ、カレンダロールの摩耗が減少させられる(走行跡)。
- 方法によって、コーティング縁部を正確に位置決めすることができ、製品に必要となるクオリティで製作することができる。
- 余剰の材料を取り除くことができ、先行したプロセスステップに再び直接供給することができる。
【0033】
つまり、前述したように、本発明に係る方法を実施する際には、コーティングされた材料テープが製作される。このコーティングされた材料テープの製作は、好都合には、バッテリセル用の電極を製作するための方法の一工程において行われる。この工程は、好適には、バッテリセル用の電極を製作するための本発明に係る装置の一部である加工ステーションによって実施される。
【0034】
その後、好都合には、方法の後続の工程において、コーティングされた材料テープが裁断される。この場合、電極は完全に分離されるかまたは切り離される。後続の工程は、好適には、本発明に係る装置の別の加工ステーションによって実施される。
【0035】
本発明の更なる利点、特徴および詳細は、特許請求の範囲、以下の好適な実施形態の説明ならびに概略的な図面に基づき明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】バッテリセル用の電極を製作するための装置の側面図である。
図2】装置を下方から見た図である。
【0037】
全ての図面において、互いに対応する部材には同一の符号が付してある。
【0038】
以下に例示的に説明する方法は、バッテリセル用の電極を製作するために用いられる。方法は2つの工程、つまり、コーティング工程と裁断工程とを有している。コーティング工程を実施する際には、既製の材料テープ4が、例えば黒鉛を有するコーティング材料6によってコーティングされることにより、コーティングされた材料テープ2が製作される。その後、裁断工程を実施する際、コーティングされた材料テープ2が裁断され、電極が完全に分離されるかまたは切り離される。
【0039】
以下にコーティング工程を詳しく説明する。コーティング工程は、図1および図2に簡単な形で示した装置8によって実施される。この装置8は、図1には側面図で示してあり、図2には下方から見た図で示してある。
【0040】
装置8は、本実施例では2つの被着ロール10,12、つまり、第1の被着ロール10と第2の被着ロール12とを有している。装置8の運転中には、第1の被着ロール10によってコーティング材料6が材料テープ4の第1の面14に施与される。この場合、第1の被着ロール10から材料テープ4へのコーティング材料6の直接的な転写が行われる。したがって、コーティング材料6は材料テープ4に、いわば、ロール塗布される。類似して、第2の被着ロール12によってコーティング材料6が材料テープ4の第2の面16に施与される。この場合にも、コーティング材料6は材料テープ4に、いわば、ロール塗布される。
【0041】
2つの被着ロール10,12は一緒に1つのロール対を形成している。2つの被着ロール10,12は互いに僅かな間隔を置いて配置されていて、運転中、互いに逆方向に回転している。その際、材料テープ4が2つの被着ロール10,12の間に導き通されていて、これらの2つの被着ロール10,12の間の中間スペースにおいて両面でコーティング材料6によってコーティングされる。したがって、2つの被着ロール10,12は、いわば、いわゆるカレンダロールのように作用する。
【0042】
材料テープ4は、典型的には既製の帯材である。通常、この帯材は金属箔、例えば銅箔またはアルミニウム箔によって形成されている。材料テープ4は、2つの被着ロール10,12に、いわば、連続的に供給される、好適には、いわゆるエンドレス材料またはロール材料として存在している。
【0043】
被着ロール10,12から材料テープ4に被着されるコーティング材料6は、まず、被着ロール10,12に施与される。このためには、各々の被着ロール10,12に供給ユニット18,20が割り当てられている。この供給ユニット18,20内には、コーティング材料6が粉末として存在していて、粉末形態でも被着ロール10,12に施与される。したがって、被着のための液状の溶媒の使用が省略される。
【0044】
つまり、コーティング材料6は粉末として施与され、その後、緻密化されてフィルム22となる。このフィルム22は各々の被着ロール10,12に付着し、その後、この被着ロール10,12同士の間の中間スペース内で材料テープに転写される。このことは、両方の被着ロール10,12において行われる。
【0045】
緻密化は2つの押付けロール24,26によって行われる。第1の押付けロール24は第1の被着ロール10に割り当てられており、第2の押付けロール26は第2の被着ロール12に割り当てられている。両方の事例では、被着ロール10,12と、それぞれ割り当てられた押付けロール24,26とが、ロール対を形成している。このロール対では、そのロールが互いに僅かな間隔を置いて配置されていて、運転中、互いに逆方向に回転している。
【0046】
さらに、本実施例では、各々の被着ロール10,12に2つのスコアカッタ28が割り当てられており、各々のスコアカッタ28に1つのスクレーパ30が並置されている。したがって、装置8は、4つのスコアカッタ28と4つのスクレーパ30とを有している。
【0047】
各々の被着ロール10,12の2つのスコアカッタ28は、対応する被着ロール10,12の長手方向軸線32,34の方向で見て、互いに離間させられて配置されている。この場合、2つのスコアカッタ28の間の相応の間隔によって、コーティングの各々の幅、つまり、材料テープ4の第1の面14に対する第1のコーティング幅36と、材料テープ4の第2の面16に対する第2のコーティング幅38とが予め設定される。つまり、各々のスコアカッタ28を用いて押し切りすることによって、縁部が形成される。この縁部は、まず、各々の被着ロール10,12上で各々のフィルム22を画定していて、これによって、最終的には、材料テープ4の各々の面上で各々のコーティングの幅を画定している。
【0048】
図2から明らかであるように、本実施例では、材料テープ4の2つの面14,16におけるコーティングに対して一様な幅が予め設定されており、ひいては、材料テープ4の第1の面14に対する第1のコーティング幅36は、材料テープ4の第2の面16に対する第2のコーティング幅38に相当している。
【0049】
各々の縁部を越えて張り出した余剰のコーティング材料6は、並置されたスクレーパ30によって各々の被着ロール10,12から掻き取られる。その後、好適には、掻き取られたコーティング材料6が、詳しい図示は省略するが、供給ユニット18,20に再び供給され、最終的に再利用される。
【0050】
図1に示したように、装置8は、好ましくは、さらに、少なくとも1つの光学式のセンサ40を有している。このセンサ40は、運転中、例えば第2の面16上のコーティングを表すセンサデータを生成する。このセンサデータは、引き続き、好適には、装置8の制御および評価ユニット42によって評価される。これによって、例えば、特に光学的なエッジ認識によってコーティング幅の監視が行われる。その後、有利な改良形態によれば、瞬時のコーティング幅が求められ、目標値と比較される。さらに好適には、その後、例えば、スコアカッタ28とスクレーパ30との位置決めを追従制御する閉ループ制御を介して、制御が行われる。
【符号の説明】
【0051】
2 コーティングされた材料テープ
4 材料テープ
6 コーティング材料
8 装置
10 第1の被着ロール
12 第2の被着ロール
14 第1の面
16 第2の面
18 第1の供給ユニット
20 第2の供給ユニット
22 フィルム
24 第1の押付けロール
26 第2の押付けロール
28 スコアカッタ
30 スクレーパ
32 第1の長手方向軸線
34 第2の長手方向軸線
36 第1のコーティング幅
38 第2のコーティング幅
40 センサ
42 制御および評価ユニット
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセル用の電極を製作するための方法であって、材料テープ(4)を少なくとも第1の面(14)においてコーティング材料(6)によってコーティングし、該コーティング材料(6)を前記第1の面(14)に第1の被着ロール(10)によって被着する、方法。
【請求項2】
前記コーティング材料(6)を溶媒なしで被着する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記コーティング材料(6)を粉末として前記第1の被着ロール(10)に施与する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
粉末として施与された前記コーティング材料(6)を前記第1の被着ロール(10)において緻密化する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記コーティング材料(6)を前記第1の被着ロール(10)と第1の押付けロール(24)との間に導き通す間、粉末として施与された前記コーティング材料(6)を前記第1の押付けロール(24)によって緻密化する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング材料(6)を、予め設定された第1のコーティング幅(36)にわたって前記第1の面(14)に被着し、前記第1のコーティング幅(36)を、前記第1の被着ロール(10)に設けられたスコアカッタ(28)によって予め設定する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記スコアカッタ(28)の押付け圧を空気圧式に調整する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング材料(6)を、予め設定された第1のコーティング幅(36)にわたって前記第1の面(14)に被着し、前記コーティング材料(6)を前記第1の被着ロール(10)から掻き取るスクレーパ(30)によって、前記第1のコーティング幅(36)を予め設定する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法によりバッテリセル用の電極を製作するように構成された装置(8)。
【請求項10】
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法によって製作された少なくとも1つの電極を備えたバッテリセルを有するバッテリ。
【外国語明細書】