(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011906
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】運転支援方法及び運転支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240118BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240118BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/09 F
G01C21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114242
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】玉越 千尋
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB19
2F129DD13
2F129DD19
2F129DD21
2F129DD25
2F129DD27
2F129DD53
2F129EE02
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2F129EE43
2F129EE52
2F129EE75
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2F129EE95
2F129FF07
2F129FF43
2F129FF62
2F129FF65
2F129FF72
2F129GG04
2F129GG05
2F129GG06
2F129GG07
2F129GG14
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH33
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181DD02
5H181FF04
5H181FF12
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】自車両を目標経路に沿って目的地まで走行させる際に、目標経路で計画された進路変更が可能な車線に、自車両の前方で車線変更できることを乗員に通知する。
【解決手段】目標経路に基づいて自車両が走行する予定の車線を表す車線計画を設定し(S2)、目標経路上の道路の車線毎の混雑状態の情報である混雑情報を取得し(S6)、自車両が走行する自車線が車線計画と整合する車線である計画車線と異なる場合に、混雑情報に基づいて、自車両の進路前方の目標経路上の進路変更地点の手前で自車線から計画車線への車線変更が可能な車線変更可能地点を推定し(S7)、車線変更可能地点を乗員に通知する(S13)。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置から目的地までの目標経路を設定し、
前記目標経路に基づいて前記自車両が走行する予定の車線を表す車線計画を設定し、
前記目標経路上の道路の車線毎の混雑状態の情報である混雑情報を取得し、
前記自車両が同一の通行方向の複数車線を有する道路を走行し、且つ前記自車両が走行する自車線が前記車線計画と整合する車線である計画車線と異なる場合に、前記混雑情報に基づいて、前記自車両の進路前方の前記目標経路上の進路変更地点の手前で前記自車線から前記計画車線への車線変更が可能な車線変更可能地点を推定し、
前記車線変更可能地点を乗員に通知する、
ことを特徴とする運転支援方法。
【請求項2】
前記自車両の周辺の道路状況を検出し、前記計画車線が混雑している場合に、前記車線変更可能地点を推定することを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項3】
前記道路状況に基づいて、前記計画車線が前記自車線よりも混雑しているか否かを判定し、
前記計画車線が前記自車線よりも混雑している場合に、前記車線変更可能地点を推定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の運転支援方法。
【請求項4】
前記自車両の周辺の車両の車速、又は前記自車両の周辺の車間距離の少なくとも1つに基づいて前記計画車線が前記自車線よりも混雑しているか否かを判定する、ことを特徴とする請求項3に記載の運転支援方法。
【請求項5】
前記自車両のセンサにより前記自車両の周辺に存在する車両を検出するか、又は前記自車両の周辺に存在する車両の位置情報をインフラストラクチャから取得することにより、前記道路状況を検出する、ことを特徴とする請求項2に記載の運転支援方法。
【請求項6】
前記目標経路上の道路を走行する他車両のセンサにより検出された前記他車両の周辺に存在する車両の検出結果を前記他車両から受信することにより、前記混雑情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項7】
インフラストラクチャから前記目標経路上の道路を走行する車両の位置情報を取得することにより、前記混雑情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項8】
前記目標経路上の道路の過去の交通量の履歴データに基づいて前記混雑情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項9】
前記自車両と前記進路変更地点との間の距離が閾値未満になったときに前記車線変更可能地点を乗員に通知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項10】
前記自車両の周辺で前記自車線を走行する車両の車速の低下又は前記自車両の周辺で前記計画車線を走行する車両の車速の低下に応答して前記車線変更可能地点を乗員に通知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項11】
前記自車両の周辺における前記計画車線の車間距離が閾値以上になったときに前記車線変更可能地点を乗員に通知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項12】
前記車線変更可能地点として、前記進路変更地点より所定距離手前でありかつ前記計画車線の車間距離が閾値以上となる地点を推定することを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項13】
前記計画車線上の車両密度が高い場合には前記車両密度が低い場合よりも前記所定距離を大きな値に設定することを特徴とする請求項12に記載の運転支援方法。
【請求項14】
前記計画車線上の車両密度が高い場合には前記車両密度が低い場合よりも前記閾値を小さな値に設定することを特徴とする請求項12に記載の運転支援方法。
【請求項15】
前記車線変更可能地点における前記計画車線の車間距離が短い場合には前記車間距離が長い場合よりも車線変更が成功する確率が低いことを、前記車線変更可能地点とともに乗員に通知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項16】
前記車線変更可能地点における前記計画車線の車間距離が所定距離未満である場合には前記目標経路を再設定する可能性があることを、前記車線変更可能地点とともに乗員に通知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項17】
前記車線変更可能地点を前記自車両内の表示装置又は前記乗員が利用する端末装置に表示することを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の運転支援方法。
【請求項18】
自車両の現在位置から目的地まで設定された目標経路に基づいて前記自車両が走行する予定の車線を表す車線計画を設定する処理と、前記目標経路上の道路の車線毎の混雑状態の情報である混雑情報を取得する処理と、前記自車両が同一の通行方向の複数車線を有する道路を走行し、且つ前記自車両が走行する自車線が前記車線計画と整合する車線である計画車線と異なる場合に、前記混雑情報に基づいて、前記自車両の進路前方の前記目標経路上の進路変更地点の手前で前記自車線から前記計画車線への車線変更が可能な車線変更可能地点を推定する処理と、前記車線変更可能地点を乗員に通知する処理と、を実行するコントローラを備えることを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援方法及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自動運転機能を有する自車両が、将来、交差点等において停車することを乗員に事前に提示する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、自車両の前方の道路状況を把握することができない。このため、自車両を目標経路に沿って目的地まで走行させる際に、目標経路で計画された進路変更(例えば交差点での右左折や分岐車線への進入)が可能な車線と自車両が現在走行している自車線とが異なる場合に、進路変更地点に到達するまでに、進路変更が可能な車線に車線変更できるか否かを判断できないことがある。
本発明は、自車両を目標経路に沿って目的地まで走行させる際に、目標経路で計画された進路変更が可能な車線に、自車両の前方で車線変更できることを乗員に通知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による運転支援方法では、自車両の現在位置から目的地までの目標経路を設定し、目標経路に基づいて自車両が走行する予定の車線を表す車線計画を設定し、目標経路上の道路の車線毎の混雑状態の情報である混雑情報を取得し、自車両が同一の通行方向の複数車線を有する道路を走行し、且つ自車両が走行する自車線が車線計画と整合する車線である計画車線と異なる場合に、混雑情報に基づいて、自車両の進路前方の目標経路上の進路変更地点の手前で自車線から計画車線への車線変更が可能な車線変更可能地点を推定し、車線変更可能地点を乗員に通知する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車両を目標経路に沿って目的地まで走行させる際に、目標経路で計画された進路変更が可能な車線に、自車両の前方で車線変更できることを乗員に通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の運転支援装置の概略構成図である。
【
図2】実施形態の運転支援方法の一例の説明図である。
【
図3】計画車線への車線変更が可能な車線変更可能地点を知らせる通知の一例を示す図である。
【
図4】
図1のコントローラの機能構成の一例のブロック図である。
【
図5】(a)~(d)は進路変更地点と計画車線の例を示す図である。
【
図6】(a)~(h)は、個別の状況における実施形態の運転支援装置の作用の一例の説明図である。
【
図7】実施形態の運転支援方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(第1実施形態)
(構成)
図1は、実施形態の運転支援装置の例の概略構成図である。自車両1は、自車両1の走行を制御する運転支援装置10を備える。運転支援装置10は、自車両1の現在位置から目的地までの目標経路を設定し、目標経路に沿って自車両1を走行させる運転を支援する運転支援制御を行う。
例えば運転支援装置10による運転支援制御は、運転者が関与せずに自動で自車両1を目標経路に沿って走行させる自律運転制御であってよい。また例えば運転支援装置10による運転支援制御は、目標経路上の進路変更地点において運転者に進路変更を促すナビゲーション制御であってもよい。以下の説明では、運転支援装置10による運転支援制御が自律運転制御である場合を例示する。
【0010】
運転支援装置10は、物体センサ11と、車両センサ12と、測位装置13と、地図データベース(地
図DB)14と、通信装置15と、ナビゲーション装置16と、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)17と、コントローラ18と、アクチュエータ19と、を備える。
物体センサ11は、自車両1に搭載されたレーザレーダやミリ波レーダ、カメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)など、自車両1の周辺の物体を検出する複数の異なる種類の物体検出センサを備える。
【0011】
車両センサ12は、自車両1に搭載され、自車両1から得られる様々な情報(車両信号)を検出する。車両センサ12には、例えば、自車両1の車速を検出する車速センサ、自車両1のタイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、自車両1の3軸方向の加速度及び減速度を検出する3軸加速度センサ、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、操向輪の転舵角を検出する転舵角センサ、自車両1の角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ、自車両のアクセル開度を検出するアクセルセンサ、運転者によるブレーキ操作量を検出するブレーキセンサが含まれる。
【0012】
測位装置13は、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備え、複数の航法衛星から電波を受信して自車両1の現在位置を測定する。GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置13は、例えば慣性航法装置であってもよい。
地図データベース14は、道路地図データを記憶している。例えば地図データベース14は、自動運転用の地図情報として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という)を記憶してよい。地図データベース14は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビ地図」という)を記憶してもよい。
通信装置15は、自車両1の外部の通信装置との間で無線通信を行う。通信装置15による通信方式は、例えば公衆携帯電話網による無線通信や、車車間通信、路車間通信、又は衛星通信であってよい。
【0013】
ナビゲーション装置16は、測位装置13により自車両の現在位置を認識し、その現在位置における地図情報を地図データベース14から取得する。ナビゲーション装置16は、自車両1の現在位置から乗員(例えば自車両1の運転者)が入力した目的地までの目標経路を設定し、目標経路に従って乗員に経路案内を行う。また、ナビゲーション装置16は、目標経路の情報をコントローラ18へ出力する。自律運転制御の際に、コントローラ18はナビゲーション装置16が設定した目標経路に沿って走行するように自車両1を自動で運転する。
【0014】
HMI17は、運転支援装置10と乗員との間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI17は、自車両1の乗員が視認可能な表示装置(例えば、ナビゲーションシステムの表示画面)や、警報音や通知音、音声情報を出力するためのスピーカやブザーを備える。
またHMI17は、運転支援装置10への乗員の操作入力を受け付ける操作子を備える。操作子は、ボタンやスイッチ、レバー、ダイヤル、キーボード等の機械的なインタフェース装置であってもよく、タッチパネル上に表示されたボタンやスイッチ、レバー、ダイヤル、キーボード等であってもよい。
【0015】
コントローラ18は、自車両1の運転支援制御を行う電子制御ユニットである。コントローラ18は、プロセッサ18aと、記憶装置18b等の周辺部品とを含む。プロセッサ18aは、例えばCPUやMPUであってよい。
記憶装置18bは、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置18bは、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM及びRAM等のメモリを含んでよい。
【0016】
以下に説明するコントローラ18の機能は、例えばプロセッサ18aが、記憶装置18bに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ18を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。例えば、コントローラ18は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ18はFPGA等のPLD等を有していてもよい。
【0017】
アクチュエータ19は、コントローラ18からの制御信号に応じて、自車両のステアリングホイール、アクセル開度及びブレーキ装置を操作して、自車両の車両挙動を発生させる。アクチュエータ19は、ステアリングアクチュエータと、アクセル開度アクチュエータと、ブレーキ制御アクチュエータを備える。ステアリングアクチュエータは、自車両のステアリングの操舵方向及び操舵量を制御する。アクセル開度アクチュエータは、自車両のアクセル開度を制御する。ブレーキ制御アクチュエータは、自車両のブレーキ装置の制動動作を制御する。
【0018】
次に、コントローラ18による運転支援制御の一例を説明する。
図2を参照する。参照符号Rdは、自車両1が走行する道路を示す。図示のとおり、道路Rdは同一の通行方向の複数車線(
図2の例では2つの車線Lp、Le)を有する。
また、参照符号Pcは、ナビゲーション装置16が設定した目標経路上の進路変更地点Pcを示す。
図2は、目標経路上の進路変更が、進路変更地点Pcである交差点における左折である場合の例を示す。
【0019】
コントローラ18は、目標経路に基づいて、自車両1が走行する予定の車線を表す車線計画を設定する。参照符号Lpは、車線計画と整合する車線である計画車線を示す。
図2の例では目標経路上の進路変更が進路変更地点Pcにおける左折であるため、コントローラ18は、進路変更地点Pcにおいて左折できる左側車線を計画車線Lpとする車線計画を設定している。
また、参照符号Leは、自車両1が現在走行している自車線を示す。ここでは、自車線Leが計画車線Lpと異なる場合(例えば自車線Leが計画車線Lpの隣接車線である場合)を想定する。
【0020】
参照符号20は、自車両1の周辺の区間(以下の説明において「周辺区間20」と表記することがある)を示す。例えば周辺区間20は、物体センサ11による物体検出が可能な範囲内の区間であってよい。参照符号21は、自車両1の前方であって周辺区間20よりも遠い区間(以下の説明において「遠方区間21」と表記することがある)を示す。例えば遠方区間21は、物体センサ11による物体検出ができない区間であってよい。
【0021】
このように、進路変更地点Pcにおける進路変更が可能な車線(
図2の例では車線Lp)と自車両1が走行している車線(
図2の例では車線Le)とが異なる際に、自車両1の周辺の周辺区間20において道路Rdが混雑していると、進路変更地点Pcに到達する前に、進路変更が可能な車線へ車線変更できるか否かを乗員が判断できないことがある。
例えば
図2に示す例では、乗員は、ナビゲーション装置16の経路案内画面等に基づいて、左折すべき交差点(進路変更地点Pc)が近づいていることを知ることができる。または乗員は、自分でナビゲーション装置16に目的地に基づいて、左折すべき交差点(進路変更地点Pc)に接近していることを予想できる。
このような場合に、進路変更地点Pcで左折可能な左側の車線Lp(計画車線)が、自車両1の周辺の周辺区間20において混雑していると、自車両1が現在走行している右側の車線Leから左側の車線Lpに、進路変更地点Pcに到達する前に車線変更できるか否か判断できない。
【0022】
そこでコントローラ18は、目標経路上の道路の車線毎の混雑状態の情報である混雑情報を取得し、自車両1が走行する自車線Leが計画車線Lpと異なる場合に、混雑情報に基づいて、自車両1の進路前方の目標経路上の進路変更地点Pcの手前で自車線Leから計画車線Lpへの車線変更が可能な車線変更可能地点を推定し、車線変更可能地点を乗員に通知する。例えば、遠方区間21のうち進路変更地点Pcの手前において車線変更可能地点を推定し、車線変更可能地点を乗員に通知してよい。
【0023】
図3は、計画車線Lpへの車線変更が可能な車線変更可能地点を知らせる通知の一例を示す図である。
例えばコントローラ18は、HMI17の表示装置に、計画車線Lpへの車線変更が可能な車線変更可能地点を表す通知画像22を表示してもよい。例えば、通知画像22は、進路前方で計画車線Lpへの車線変更が可能であることを表す文字列23と、自車両1の現在位置から進路変更地点Pcまでの道路状況を説明する模式
図24を含んでよい。模式
図24は、進路変更地点Pcを表す図形24aと、進路変更地点Pcにおける進路変更方向を表す図形24bと、自車両1の現在位置から進路変更地点Pcまでの車線の混雑状態を表す図形24cと、車線変更可能地点を表す表示(例えば図形等)24dを含んでいてよい。
【0024】
このように、自車両1の進路前方の車線変更可能地点を通知することで、自車両1の周辺の周辺区間20に計画車線Lpが混雑していることにより計画車線Lpへの車線変更が可能であるか否か乗員が判断できない場合に、自車両1の進路前方において(例えば遠方区間21において)計画車線Lpへの車線変更が可能であることを乗員が判断することが容易になる。これにより、進路変更地点Pcまでに計画車線Lpへの車線変更できないかもしれないという乗員の不安を解消できる。
なお、コントローラ18は、通知画像22に加えて又は代えて、車線変更可能地点を知らせる音声メッセージ(例えば「この先○○m先で左車線への車線変更が可能です」等)をHMI17から出力してもよい。また、自車両1の乗員が利用する携帯端末装置(例えばスマートフォン、タブレット、モバイルパーソナルコンピュータ等)に通知画像22を表示したり、車線変更可能地点を知らせる音声メッセージを携帯端末装置から出力してもよい。
【0025】
図4を参照して、コントローラ18の機能を詳しく説明する。コントローラ18は、自車両位置検出部30と、道路状況検出部31と、混雑情報取得部32と、運転行動計画設定部33と、走行軌道生成部34と、車両制御部35を備える。
自車両位置検出部30は、測位装置13による測定結果や、車両センサ12からの検出結果を用いたオドメトリに基づいて、自車両1の絶対位置、すなわち、所定の基準点に対する自車両1の位置、姿勢及び速度を計測する。
【0026】
道路状況検出部31は、物体センサ11の検出信号に基づいて、自車両1の周辺の周辺区間20における道路Rdの道路状況を検出する。例えば道路状況検出部31は、周辺区間20における車線毎の交通流の走行速度(例えば、自車両1の周辺の車両の車速)を道路状況として検出してよい。また例えば、道路状況検出部31は、周辺区間20における車間距離や車両密度を道路状況として検出してもよい。
【0027】
混雑情報取得部32は、目標経路上の道路Rdの車線毎の混雑状態の情報である混雑情報を取得する。
図2の例では計画車線Lp及び自車線Leの各々の混雑情報を取得する。
例えば混雑情報取得部32は、通信装置15の車車間通信によって、遠方区間21に位置する他車両から混雑情報を受信してもよい。遠方区間21に位置する他車両は、この他車両が有するセンサによって、周辺に存在する車両の位置や台数を検出することにより、混雑情報を生成してもよい。
【0028】
また例えば混雑情報取得部32は、通信装置15の路車間通信によって、インフラストラクチャから遠方区間21における混雑情報を取得してもよい。例えば混雑情報取得部32は、遠方区間21における道路Rd上の車両の位置情報を混雑情報としてインフラストラクチャから受信してもよい。
また例えば混雑情報取得部32は、道路Rdの過去の交通量の履歴データに基づいて混雑情報を取得してもよい。例えば、遠方区間21における計画車線Lpと自車線Leとをそれぞれ小区間に分割し、時間帯毎の各区間における車両密度の統計値(平均値、中間値、最大値、最小値など)を混雑情報として取得してもよい。
なお、運転支援装置10の外部の情報処理装置(例えば、自車両1の外部のサーバ装置)によって、他車両やインフラストラクチャからの混雑情報の収集や、過去の履歴データに基づく混雑情報の取得を行い、外部の情報処理装置から混雑情報を取得してもよい。
【0029】
運転行動計画設定部33は、自車両位置検出部30による検出結果、道路状況検出部31による検出結果及び混雑情報取得部32が取得した混雑情報に基づいて、自車両1を目標経路に沿って走行させるための概略的な運転行動の計画を設定する。
運転行動計画設定部33により設定される運転行動は、例えば、自車両1の停止、一時停止、走行速度、減速、加速、進路変更、右折、左折、直進、合流区間や複数車線を有する道路における車線変更、車線維持、追越、障害物への対応などの行動が含まれる。運転行動計画設定部33の詳細については後述する。
【0030】
走行軌道生成部34は、運転行動計画設定部33が設定した運転行動に基づいて、自車両1を走行させる目標走行軌道と速度プロファイルを生成する。例えば走行軌道生成部34は、目標走行軌道と速度プロファイルの複数の候補を生成し、自車両1の周辺の走行場の危険度を数値化したリスクマップに基づいて各候補の将来リスクを評価して、最適な目標走行軌道及び速度プロファイルを選択する。
車両制御部35は、走行軌道生成部34が生成した目標車速プロファイルに従う速度で自車両1が目標走行軌道を走行するように、アクチュエータ19を駆動する。
【0031】
次に、運転行動計画設定部33の詳細について説明する。ここでは、運転行動計画設定部33が、複数車線を有する道路において自車線から隣接車線に車線変更する運転行動を計画する場合の処理について説明する。
運転行動計画設定部33は、車線計画設定部40と、車線変更可能位置取得部41と、車線変更判断部42と、通知処理部44を備える。
車線計画設定部40は、目標経路に沿って自車両1が走行する予定の車線を表す車線計画を設定する。
【0032】
例えば車線計画設定部40は、目標経路上の道路Rdが複数の車線を有し、且つ道路Rdの進路前方に進路変更地点Pcが存在する場合、進路変更地点Pcにおける進路変更が可能な車線を計画車線として設定する。
図5(a)~
図5(d)は進路変更地点Pcと計画車線Lpの例を示す図である。
図5(a)~
図5(d)において一点鎖線Rtは目標経路Rtを示す。
例えば目標経路Rt上の進路変更は、
図5(a)及び
図5(b)に示すように進路変更地点Pcである交差点における左折や右折であってよい。
【0033】
図5(a)に示すように、進路変更地点Pcで左折する場合には、道路Rdに含まれる複数の車線L1及びL2のうち進路変更地点Pcで左折可能な車線L1を計画車線Lpとして設定してよい。
図5(b)に示すように、進路変更地点Pcで右折する場合には、道路Rdに含まれる複数の車線L1及びL2のうち、進路変更地点Pcでの右折が許可された右折専用レーンL3に隣接する車線L2を計画車線Lpとして設定してよい。
【0034】
また、目標経路Rt上の進路変更は、例えば
図5(c)及び
図5(d)に示すように進路変更地点Pcである分岐区間における本線道路Rmから分岐道路Rjへの進出であってもよい。
図5(c)に示すように、本線道路Rm上の複数車線L4及びL5のうち車線L4から分岐道路Rjへ進出する出口車線L6が分岐している場合、出口車線L6に隣接する車線L4を計画車線Lpとして設定してよい。
図5(d)に示すように、本線道路Rm上の複数車線L7及びL8のうち、車線L7が本線道路Rmから分離して分岐道路Rjの車線となる場合には、車線L7を計画車線Lpとして設定してよい。
なお、
図5(c)及び
図5(d)では分岐道路Rjが本線道路Rmから左側に分岐する例について説明したが、分岐道路Rjが右側に分岐する場合についても同じ要領で計画車線Lpを設定してよい。
【0035】
図4を参照する。車線変更判断部42は、自車両1が走行している自車線Leと計画車線Lpとが異なるときに、道路状況検出部31が検出した自車両1の周辺の道路状況に基づいて、自車両1の周辺の周辺区間20において計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多いか否かを判定する。
例えば、車線変更判断部42は、周辺区間20における計画車線Lp上の車両の車速と自車線Le上の車両の車速に基づいて、計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多いか否かを判定してよい。例えば計画車線Lp上の車両の車速が車線Le上の車両の車速よりも遅く、計画車線Lp上の車両と車線Le上の車両の間の車速差が閾値以上となる状態が、所定時間以上継続した場合に、周辺区間20において計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多いと判定してよい。
【0036】
また例えば、車線変更判断部42は、周辺区間20における計画車線Lpと自車線Leの車間距離や車両密度に基づいて、周辺区間20において計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多いか否かを判定してもよい。例えば、計画車線Lpの車間距離が自車線Leの車間距離よりも短い場合や、計画車線Lpの車両密度が自車線Leの車両密度よりも高い場合に、計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多いと判断してもよい。すなわち、計画車線Lpの方が自車両Leよりも混雑しているか否かを判定してよい。
【0037】
周辺区間20において計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多いと車線変更判断部42が判定した場合、車線変更可能位置取得部41は、混雑情報取得部32から計画車線Lpの混雑情報を取得する。例えば車線変更可能位置取得部41は、遠方区間21における計画車線Lpの混雑情報を取得してよい。
車線変更可能位置取得部41は、所得した計画車線Lpの混雑情報に基づいて、自車両1の進路前方の進路変更地点Pcの手前で自車線Leから計画車線Laへの車線変更が可能な車線変更可能地点を推定する。例えば、遠方区間21のうち進路変更地点Pcの手前において車線変更可能地点を推定してよい。
【0038】
例えば車線変更可能位置取得部41は、自車両1の進路前方における計画車線Lp上の車間距離に基づいて、車線変更可能地点を推定してよい。例えば、計画車線Lp上の車間距離が閾値以上となる地点を車線変更可能地点として推定してよい。計画車線Lp上の車間距離は、例えば自車両1が走行予定の車線を走行している他車両に搭載されたカメラや車間距離を検出するレーダの情報をクラウド(サーバ)経由で受信することにより取得してよい。
例えば車線変更可能位置取得部41は、進路変更地点Pcより第1所定距離D1手前でありかつ計画車線Lp上の車間距離が閾値Dth以上となる地点を車線変更可能地点として推定してよい。
また例えば車線変更可能位置取得部41は、自車両1の進路前方における計画車線Lp上の車両密度に基づいて、車線変更可能地点を推定してよい。
【0039】
例えば、自車両1の進路前方における計画車線Lpを小区間に分割し、小区間ごとの車両密度を算出する。車両密度が閾値未満となる小区間内の任意の地点(例えば小区間の中央地点)を車線変更可能地点として推定してよい。
また例えば、計画車線Lp上の車両密度が高い場合には車両密度が低い場合よりも第1所定距離D1を大きな値に設定してよい。また例えば、計画車線Lp上の車両密度が高い場合には車両密度が低い場合よりも閾値Dthを小さな値に設定してよい。
なお、車線変更可能位置取得部41による処理の一部又は全部を、運転支援装置10の外部の情報処理装置(例えば、自車両1の外部のサーバ装置)において実行してもよい。
【0040】
車線変更判断部42は、車線変更可能位置取得部41が推定した車線変更可能地点を取得すると、推定された車線変更可能地点が複数存在するか否かを判定する。
推定された車線変更可能地点が複数存在する場合、車線変更判断部42は、混雑情報取得部32から自車線Leの混雑情報を取得する。
車線変更判断部42は、計画車線Lpの混雑情報と自車線Leの混雑情報とに基づいて、自車線Leから計画車線Lpへ車線変更可能地点で車線変更した場合に目的地に到達するまでに要する所要時間を、複数の車線変更可能地点のそれぞれに対して推定する。
【0041】
例えば、車線変更判断部42は、道路状況検出部31による検出結果及び混雑情報取得部32が取得した混雑情報に基づいて、周辺区間20及び遠方区間21における計画車線Lpと自車線Le上の車両の車速を推定する。
車線変更判断部42は、現在位置から車線変更可能地点までの所要時間を、現在位置から車線変更可能地点までの距離と自車線Le上の車速に基づいて算出する。また、車線変更可能地点から目的地までの所要時間を、車線変更可能地点から目的地までの距離と計画車線Lp上の車速とに基づいて算出する。この場合に車線変更判断部42は、自車両1が車線計画に従って車線変更可能地点から目的地まで走行すると仮定する(すなわち、車線変更可能地点から目的地まで区間は、車線計画で計画された車線を自車両が走行すると仮定する)。
【0042】
車線変更判断部42は、車線変更可能位置取得部41が推定した複数の車線変更可能地点のうち、所要時間が最短となる車線変更可能地点を選択する。
車線変更判断部42は、自車両1の運転行動として、選択された車線変更可能地点で車線変更することを決定する。
一方で、推定された車線変更可能地点が1つである場合、車線変更判断部42は、自車両1の運転行動として、車線変更可能位置取得部41が推定した車線変更可能地点で車線変更することを決定する。
【0043】
車線変更可能地点で車線変更することを自車両1の運転行動として決定すると、走行軌道生成部34は、車線変更可能地点で自車線Leから計画車線Lpへ車線変更する目標走行軌道を生成する。
一方で、自車両1の周辺の周辺区間20において計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多いと判定しない場合、車線変更判断部42は、自車両1の運転行動として直ちに自車線Leから計画車線Lpへ車線変更することを決定する。この場合に走行軌道生成部34は、自車線Leから計画車線Lpへ直ちに車線変更する目標走行軌道を生成する。
車両制御部35は、走行軌道生成部34が生成した目標走行軌道に基づいてアクチュエータ19を駆動することにより、自車両1の自動車線変更を実施する。
【0044】
車線変更可能地点で車線変更することを車線変更判断部42が決定すると、通知処理部44は、車線変更可能地点を通知する通知タイミングが到来したか否かを判定する。
例えば、通知処理部44は、自車両1と進路変更地点Pcとの間の距離が閾値距離未満になったときに、通知タイミングが到来したと判定してよい。
なお、通知処理部44は、自車両1と進路変更地点Pcとの間の距離が第2所定距離D2となったときに、進路変更地点Pcにおいて進路変更することを乗員に案内してよい。通知処理部44は、進路変更地点Pcにおいて進路変更することを案内するときに車線変更可能地点を通知する通知タイミングが到来したと判定してよい。
【0045】
また例えば、自車両1の周辺(例えば周辺区間20)における自車線Le上の車両の車速の低下、又は自車両1の周辺(例えば周辺区間20)における計画車線Lp上の車両の車速の低下に応答して、通知タイミングが到来したか否かを判定してもよい。例えば道路状況検出部31が検出した周辺区間20の道路状況に基づいて、自車線Le上の車両の車速や計画車線Lp上の車両の車速が低下していることを検出した場合に、通知タイミングが到来したと判定してもよい。
【0046】
また例えば、道路状況検出部31が検出した周辺区間20の道路状況に基づいて、自車両1の周辺(例えば周辺区間20)における計画車線Lp上の車間距離が閾値以上となったことを検出した場合に、通知タイミングが到来したと判定してもよい。
通知タイミングが到来したと判定した場合に通知処理部44は、計画車線Lpへの車線変更が可能な車線変更可能地点を乗員に通知する。例えば通知処理部44は、HMI17の表示装置に、車線変更可能地点を表す通知画像22(
図3参照)を表示してよい。
【0047】
通知処理部44は、通知画像22に加えて又は代えて、車線変更可能地点を知らせる音声メッセージをHMI17から出力してもよい。また、自車両1の乗員が利用する携帯端末装置に通知画像22を表示したり、車線変更可能地点を知らせる音声メッセージを携帯端末装置から出力してもよい。
なお、車線変更判断部42は、車線変更可能地点における計画車線Lpの車間距離の情報を取得してもよい。通知処理部44は、車線変更可能地点における計画車線Lpの車間距離が短い場合には長い場合よりも車線変更が成功する確率が低いことを、車線変更可能地点とともに乗員に通知してもよい。例えば、車線変更が成功する確率が低いことを知らせる赤字のメッセージをHMI17の表示装置に表示してよい。また、HMI17の表示装置に表示する通知画像22を赤字にすることにより、車線変更が成功する確率が低いことを間接的に知らせてもよい。
また、車線変更可能地点における計画車線Lpの車間距離が第1所定距離D1よりも短い第3所定距離D3未満である場合には、通知処理部44は、ナビゲーション装置16が目標経路を再設定する可能性があることを、車線変更可能地点とともに乗員に通知してもよい。
【0048】
(作用)
図6(a)~
図6(h)は、個別の状況における実施形態の運転支援装置10の作用の一例の説明図である。
図6(a)及び
図6(b)に示すように周辺区間20で計画車線Lpが混雑しており、且つその状態が遠方区間21まで続いている場合には、進路変更地点Pcで進路変更できる計画車線Lpへ確実に移動するために、早い時期に車線変更を開始することが望ましい。このため、直ちに自車線Leから計画車線Lpへの車線変更を開始する。
なお、
図6(b)に示すように周辺区間20で自車線Leが混雑していないのにもかかわらず、自車線Leから計画車線Lpへの車線変更を開始すると乗員に違和感を与える虞がある。このため、通知処理部44は、自車線Leから計画車線Lpへの車線変更を開始することと、車線変更の開始の理由を乗員に通知してもよい。例えば、計画車線Lpが混雑している状態が遠方区間21まで続いている(又は計画車線Lpの交通量の多い状態が進路変更地点Pcまで続いている)ために、早い時期に車線変更を開始することを通知してもよい。
【0049】
図6(c)及び
図6(d)に示すように周辺区間20で計画車線Lpが混雑しているが、遠方区間21では計画車線Lpが混雑しておらず車線変更可能地点が存在する場合、車線変更可能地点において自車線Leから計画車線Lpへ車線変更する。この場合、周辺区間20で計画車線Lpが混雑しているため、乗員は、進路変更地点Pcまでに計画車線Lpへ車線変更できるか否か不安を覚える虞がある。このため通知処理部44は、計画車線Lpへの車線変更が可能な車線変更可能地点を乗員に通知する。
【0050】
図6(e)及び
図6(g)に示すように、周辺区間20において計画車線Lpの交通量が自車線Leの交通量よりも少ない場合、直ちに自車線Leから計画車線Lpへ車線変更する。
図6(f)及び
図6(h)に示すように、周辺区間20において計画車線Lpと自車線Leの両方が空いており、計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多いと判定さない場合も同様に、直ちに自車線Leから計画車線Lpへ車線変更する。
【0051】
(動作)
図7は、実施形態の運転支援方法の一例のフローチャートである。
ステップS1においてナビゲーション装置16は、自車両1の現在位置から目的地までの目標経路を設定する。
ステップS2において車線計画設定部40は、目標経路に沿って自車両1が走行する予定の車線を表す車線計画を設定する。
ステップS3において道路状況検出部31は、自車両1の周辺の周辺区間20における道路Rdの道路状況を検出する。
【0052】
ステップS4において車線変更判断部42は、周辺区間20において計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多いか否かを判定する。計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多い場合(ステップS4:Y)に処理はステップS6へ進む。計画車線Lpの交通量の方が自車線Leの交通量よりも多くない場合(ステップS4:N)に処理はステップS5へ進む。
ステップS5において車線変更判断部42は、自車両1の運転行動として直ちに自車線Leから計画車線Lpへ車線変更することを決定する。走行軌道生成部34と車両制御部35は、自動車線変更により自車両1を自車線Leから計画車線Lpに車線変更する。その後に処理は終了する。
【0053】
ステップS6において混雑情報取得部32は、計画車線Lpの混雑情報を取得する。
ステップS7において車線変更可能位置取得部41は、計画車線Lpの混雑情報に基づいて、進路変更地点Pcの手前で自車線Leから計画車線Laへの車線変更が可能な車線変更可能地点を推定する。
ステップS8において車線変更判断部42は、推定された車線変更可能地点が複数存在するか否かを判定する。車線変更可能地点が複数存在する場合(ステップS8:Y)に処理はステップS9へ進む。車線変更可能地点が複数存在しない場合(ステップS8:N)に処理はステップS12へ進む。
【0054】
ステップS9において混雑情報取得部32は、自車線Leの混雑情報を取得する。
ステップS10において車線変更判断部42は、計画車線Lpの混雑情報と自車線Leの混雑情報とに基づいて、自車線Leから計画車線Lpへ車線変更可能地点で車線変更した場合に目的地に到達するまでに要する所要時間を、複数の車線変更可能地点のそれぞれに対して推定する。
ステップS11において車線変更判断部42は、複数の車線変更可能地点のうち、所要時間が最短となる車線変更可能地点を選択する。車線変更判断部42は、自車両1の運転行動として、選択した車線変更可能地点で自車線Leから計画車線Lpへ車線変更することを決定する。
【0055】
ステップS12において通知処理部44は、車線変更可能地点を通知する通知タイミングが到来したか否かを判定する。通知タイミングが到来した場合(ステップS12:Y)に処理はステップS13へ進む。通知タイミングが到来しない場合(ステップS12:N)に処理はステップS12に戻る。
ステップS13において通知処理部44は、計画車線Lpへの車線変更が可能な車線変更可能地点を乗員に通知する。
ステップS14において自車両1が車線変更可能地点に到達すると、走行軌道生成部34と車両制御部35は、自動車線変更により自車両1を自車線Leから計画車線Lpに車線変更する。
【0056】
(実施形態の効果)
(1)運転支援方法では、自車両1の現在位置から目的地までの目標経路を設定し、目標経路に基づいて自車両1が走行する予定の車線を表す車線計画を設定し、目標経路上の道路の車線毎の混雑状態の情報である混雑情報を取得し、自車両1が同一の通行方向の複数車線を有する道路を走行し、且つ自車両1が走行する自車線が車線計画と整合する車線である計画車線と異なる場合に、混雑情報に基づいて、自車両1の進路前方の目標経路上の進路変更地点の手前で自車線から計画車線への車線変更が可能な車線変更可能地点を推定し、車線変更可能地点を乗員に通知する。
例えば、自車両1の周辺の道路状況を検出し、計画車線が混雑している場合に、車線変更可能地点を推定してよい。例えば、道路状況に基づいて、計画車線が自車線よりも混雑しているか否かを判定し、計画車線が自車線よりも混雑している場合に、車線変更可能地点を推定してよい。
【0057】
これにより、自車両1の進路前方の車線変更可能地点を通知することで、自車両1の周辺において計画車線が混雑していることにより計画車線への車線変更が可能であるか否か乗員が判断できない場合に、自車両1の進路前方において計画車線への車線変更が可能であることを乗員が判断することが容易になる。これにより、進路変更地点までに計画車線への車線変更できないかもしれないという乗員の不安を解消できる。
【0058】
(2)自車両1の周辺の車両の車速、又は自車両1の周辺の車間距離の少なくとも1つに基づいて計画車線が自車線よりも混雑しているか否かを判定してよい。
また、自車両1のセンサにより自車両1の周辺に存在する車両を検出するか、又は自車両1の周辺に存在する車両の位置情報をインフラストラクチャから取得することにより、道路状況を検出してよい。
これにより、自車両1の周辺において計画車線が自車線よりも混雑しているか否かを判定できる。
【0059】
(3)また、目標経路上の道路を走行する他車両のセンサにより検出された他車両の周辺に存在する車両の検出結果を他車両から受信することにより、混雑情報を取得してもよい。
また、インフラストラクチャから目標経路上の道路を走行する車両の位置情報を取得することにより、混雑情報を取得してもよい。
目標経路上の道路の過去の交通量の履歴データに基づいて混雑情報を取得してもよい。
これにより、自車両1の車両センサ12の検知範囲よりも離れた遠方区間21における混雑情報を取得できる。
【0060】
(4)自車両1と進路変更地点との間の距離が閾値未満になったときに車線変更可能地点を乗員に通知してよい。
これにより、進路変更地点での進路変更を乗員に案内するタイミングに合わせて車線変更可能地点を乗員に通知できる。
(5)自車両1の周辺で自車線を走行する車両の車速の低下又は自車両1の周辺で計画車線を走行する車両の車速の低下に応答して車線変更可能地点を乗員に通知してもよい。
これにより、自車両1の周辺が混雑し始め車速が低下しているときに、前方で車線変更可能地点が存在することを乗員に通知することにより、乗員の不安感を解消できる。
(6)自車両1の周辺における計画車線の車間距離が閾値以上になったときに車線変更可能地点を乗員に通知してもよい。自車両の周辺において計画車線の車間距離が大きくなったにもかかわらず計画車線へ車線変更しない場合に、前方で車線変更可能地点が存在することを乗員に通知することにより、乗員の違和感を解消できる。
(7)車線変更可能地点として、進路変更地点より距離手前でありかつ計画車線の車間距離が閾値以上となる地点を推定してよい。これにより進路変更地点よりも手前で計画車線へ車線変更できる地点を推定できる。
計画車線上の車両密度が高い場合には車両密度が低い場合よりも所定距離を大きな値に設定してよい。車両密度が高く渋滞している場合には早めに車線変更の準備をすることで確実に車線変更できる。
計画車線上の車両密度が高い場合には車両密度が低い場合よりも閾値を小さな値に設定してよい。車両密度が高く渋滞している場合には速度も低いことが予想されるため、短い車間距離での車線変更を許容することにより、車線変更可能地点を推定し易くできる。
(8)車線変更可能地点における計画車線の車間距離が短い場合には車間距離が長い場合よりも車線変更が成功する確率が低いことを、車線変更可能地点とともに乗員に通知してもよい。これにより、実際に車線変更ができなかったときに運転支援制御に対する乗員の信頼度が低下するのを回避できる。
車線変更可能地点における計画車線の車間距離が所定距離未満である場合には目標経路を再設定する可能性があることを、車線変更可能地点とともに乗員に通知してもよい。これにより、実際に車線変更ができなかったときに走行経路が変更されることを予め乗員に知らせることができる。
(9)車線変更可能地点を自車両1内の表示装置又は乗員が利用する端末装置に表示してよい。
これにより、車線変更可能地点を乗員に通知できる。
【符号の説明】
【0061】
1…自車両、10…運転支援装置、11…物体センサ、12…車両センサ、13…測位装置、14…地図データベース、15…通信装置、16…ナビゲーション装置、17…ヒューマンマシンインタフェース、18…コントローラ、18a…プロセッサ、18b…記憶装置、19…アクチュエータ、30…自車両位置検出部、31…道路状況検出部、32…混雑情報取得部、33…運転行動計画設定部、34…走行軌道生成部、35…車両制御部、40…車線計画設定部、41…車線変更可能位置取得部、42…車線変更判断部、44…通知処理部