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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119068
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】筆記具のキャップ
(51)【国際特許分類】
   B43K 23/12 20060101AFI20240827BHJP
   B43K 25/02 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B43K23/12 130
B43K25/02 100
B43K23/12 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025657
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慶幸
【テーマコード(参考)】
2C041
【Fターム(参考)】
2C041AA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、キャップ本体とクリップを繋ぐ支柱の強度を保ちながら、通気路の機能をより確実に発揮できる筆記具のキャップを提供することを課題とする。
【解決手段】キャップ本体、クリップ及び前記キャップ本体と前記クリップを繋ぐ支柱を備える筆記具のキャップであって、前記キャップ本体は、前端が閉じられ、後端が開口した有底筒形状に形成されており、前記支柱に通気路が形成されており、前記通気路は、前端が前記キャップの前端に開口し、後端が前記キャップ本体の外周面と前記クリップとの間の空間に開口しており、前記通気路は、前端の前記キャップ本体の軸方向に直交する断面の面積と、後端の前記キャップ本体の軸方向に直交する断面の面積が異なるように形成されていることを特徴とする筆記具のキャップ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ本体、クリップ及び前記キャップ本体と前記クリップを繋ぐ支柱を備える筆記具のキャップであって、
前記キャップ本体は、前端が閉じられ、後端が開口した有底筒形状に形成されており、
前記支柱に通気路が形成されており、
前記通気路は、前端が前記キャップの前端に開口し、後端が前記キャップ本体の外周面と前記クリップとの間の空間に開口しており、
前記通気路は、前端の前記キャップ本体の軸方向に直交する断面の面積と、後端の前記キャップ本体の軸方向に直交する断面の面積が異なるように形成されていることを特徴とする筆記具のキャップ。
【請求項2】
前記通気路は、前端の前記キャップ本体の軸方向に直交する断面の面積が、後端の前記キャップ本体の軸方向に直交する断面の面積よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載された筆記具のキャップ。
【請求項3】
前記支柱の外側面が凹状になるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載された筆記具のキャップ。
【請求項4】
前記クリップは、前記キャップ本体の軸方向に直交する断面がアーチ形状に形成されており、前記キャップ本体の外周面に対向する面に溝部を有することを特徴とする請求項1に記載された筆記具のキャップ。
【請求項5】
前記通気路の形状及び前記溝部の形状が、前記通気路の前端から前記クリップの後端近傍までを1つの金型で形成できるような形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載された筆記具のキャップ。
【請求項6】
前記支柱は、前記クリップから前記キャップ本体の外周面につながるように2本の脚を有することを特徴とする請求項1に記載された筆記具のキャップ。
【請求項7】
前記キャップ本体、前記クリップ及び前記支柱が一体成形されていることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載された筆記具のキャップ。
【請求項8】
前記クリップの後端近傍には、2つのクリップ玉が前記キャップ本体の軸方向に直交する方向に間隔をおいて形成されており、
前記キャップ本体の外周面の、前記2つのクリップ玉に対向する位置の前記キャップ本体の軸方向で前側に、それぞれ、1つの突部が形成されていることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載された筆記具のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーカー、筆ペン、サインペン、ボールペンなどの筆記具のほか、アイライナーペンなどの化粧具など(以下、これらをまとめて筆記具という)に使用され、筆記具の先端を保護するキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記具の先端を保護するキャップには、種々の構造が知られている。
また、キャップは、底面を有する筒状の小さい部品であり、乳幼児などが誤って飲み込んでしまったときに、喉に詰まってしまい、呼吸を妨げてしまうことがある。
そこで、キャップがのどに詰まってしまっても、呼吸を可能にするための通気路を確保できる形状や構造にすることが求められており、その規格がJIS S6060で定められている。
通気路には、クリップなどの突起物でキャップ外部に確保される外部通気路と、キャップ内部の孔により確保される内部通気路がある。
通気路の一例として、キャップ本体とクリップを繋ぐ支柱に、通気路を形成したキャップが知られている。(特許文献1~2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-54186号公報
【特許文献2】特開平11-208183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のキャップ本体とクリップを繋ぐ支柱に通気路を形成したキャップでは、通気路の断面の大きさは、通気路全体において、一様に、JIS S6060で定められた流量を確保できる大きさに形成されていた。
しかし、喉に詰まったキャップには、口腔内から流れてきたもの、例えば、唾液、食べ物のかすなどが付着し、通気路の開口を塞いでしまうおそれがある。
そこで、通気路が塞がれることを抑制するために、通気路を一様に大きくすると、支柱に通気路を形成する構成では、支柱の強度が落ちてしまう。すると、クリップに大きな力が加わったときに、支柱が破損して、クリップがキャップ本体から取れてしまうといった問題が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、キャップ本体とクリップを繋ぐ支柱の強度を保ちながら、通気路の機能をより確実に発揮できる筆記具のキャップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
キャップ本体、クリップ及び前記キャップ本体と前記クリップを繋ぐ支柱を備える筆記具のキャップであって、前記キャップ本体は、前端が閉じられ、後端が開口した有底筒形状に形成されており、前記支柱に通気路が形成されており、前記通気路は、前端が前記キャップの前端に開口し、後端が前記キャップ本体の外周面と前記クリップとの間の空間に開口しており、前記通気路は、前端の前記キャップ本体の軸方向に直交する断面の面積と、後端の前記キャップ本体の軸方向に直交する断面の面積が異なるように形成されていることを特徴とする筆記具のキャップ。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、キャップ本体とクリップを繋ぐ支柱に形成した通気路が、前端の前記キャップ本体の軸方向に直交する断面の面積と、後端の前記キャップ本体の軸方向に直交する断面の面積が異なるように形成されていることにより、キャップ本体とクリップを繋ぐ支柱の強度を保ちながら、通気路の機能をより確実に発揮できる筆記具のキャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施形態のキャップ1の使用状態の図である。
図2】本発明に係る実施形態のキャップ1の、(a)前側から見た図、(b)斜め前側から見た斜視図である。
図3】本発明に係る実施形態のキャップ1の縦断面図である。
図4図3の、(a)a-a線横断面図、(b)b-b線横断面図である。
図5】本発明に係る実施形態のキャップ1の、(a)後側から見た図、(b)斜め後側から見た斜視図である。
図6】本発明に係る実施形態のキャップ1の斜め後側から見た一部切断斜視図である。
図7】本発明に係る実施形態のキャップ1を一体成形する金型の斜視図である。
図8】本発明に係る実施形態のキャップ1を一体成形する金型のうち、2つのコアピンの縦断面図である。
図9】本発明に係る実施形態のキャップ1を一体成形する金型を抜く工程を説明する図であり、クリップ玉122のある位置での横断面図である。
図10】本発明に係る実施形態のキャップ1を一体成形する金型を抜く工程を説明する図であり、突部117のある位置での横断面図である。
図11】抜くことができない金型を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態のキャップ1を説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0010】
[キャップ]
図1~6を参照して、実施形態のキャップ1を説明する。
図1に示すように、二点鎖線で示す筆記具(筆ペン)の先端を覆って、ペン先を保護するものであり、キャップ本体11、クリップ12、キャップ本体11とクリップ12とを繋ぐ支柱13を備えている。これらキャップ本体11、クリップ12及び支柱13は、合成樹脂により一体成形されて、キャップ1を構成している。
なお、本実施形態のキャップ1は、キャップ本体11、クリップ12及び支柱13が一体成形されたものであるが、これに限られず、クリップ及び支柱を一体成形し、キャップ本体を別体として、これら2つを組み立てたもの、キャップ本体、クリップ、支柱をそれぞれ別体として、これら3つを組み立てたものなど、どのような構成であってもよい。また、筆記具は、筆ペンに限らず、マーカー、サインペン、ボールペンなどの筆記具のほか、アイライナーペンなどの化粧具などでもよい。
【0011】
[キャップ本体]
キャップ本体11は、筒部111、筒部111の一端の開口112、筒部111の他端の底面113を有する有底筒形状に形成されている。以下、有底筒形状のキャップ本体11の開口112がある側を後、底面113がある側を前という。また、略円筒状に形成された筒部111の軸が延在する方向を、キャップ本体11の軸方向又は単に軸方向という。
【0012】
筒部111は、開口112から底面113までの深さが筆記具のペン先等を保護できるために十分な寸法となるように設計されている。
開口112は、不使用時には、筆記部を保持するために、筆記具の軸筒の先端側に嵌合できるとともに、使用時には、キャップ1の紛失などを防止するために、筆記具の軸筒の後端側に嵌合することができる。
筒部111の後端側の内周面には、筆記具の軸筒の後端側の外周面に摩擦により固定できるような縦リブ114が複数形成されている。
また、縦リブ114の前側には、キャップ1を筆記具の軸筒の先端側に摩擦により固定できるような突起115が複数形成されている。この複数の突起115により、キャップ1は、筆記具の軸筒の先端側にしっかりと嵌合固定される。
底面113の内面には、筒部111の内径より小さい径を有し、筆記具の先端を保護する保護筒部116が形成されている。
筒部111の外周面の、クリップ12と対向する位置には、2つの突部117が形成されている。2つの突部117は、軸方向に直交する方向に間隔をおいて並べて配置されている。
【0013】
なお、キャップ本体11と筆記具の軸筒との固定は、摩擦による固定に限らず、係合部の係合による固定、雄ネジと雌ネジのネジ締めによる固定など、どのような固定構造であってもよい。
【0014】
[クリップ]
クリップ12は、前側が支柱13によりキャップ本体11に繋がっており、後側が自由端になっている。
クリップ12は、キャップ本体11の軸方向に直交する断面(横断面)がアーチ形状に形成されている(図6を参照)。このアーチ形状により、クリップ12の強度、特に、クリップ持ち上げ方向の強度が向上する。また、このアーチ形状により、クリップ12の内側の面(キャップ本体11の外周面に対向する面)には、クリップ12の後端近傍から前端側まで延在する溝部121が形成されることになる。この溝部は、後述する通気路131と連続していて、通気路131の通気性を向上することができる。
クリップ12の後端近傍には、2つのクリップ玉122が形成されている。2つのクリップ玉122は、クリップの長手方向に直交する方向に間隔をおいて並べて配置されている。2つのクリップ玉122は、溝部121を挟んで対向するように配置されており、2つのクリップ玉122の互いに対向する面は、溝部121の内面と面一に連続するように形成されている。
【0015】
[支柱]
支柱13は、クリップ12の前側とキャップ本体11の前側を繋いでいる。
支柱13には、キャップ1を誤って飲み込んでしまったときの安全のための通気路131が形成されている。
支柱13は、通気路131により、2つの脚132に分けられている。図2に示すように、2つの脚132は、クリップ12の外面から、通気路131の前側の開口を挟んで、キャップ本体11の筒部111の外周面に連続的に繋がるような形状とされている。キャップ1を前側から見ると、クリップ12と2つの脚132が、全体として、略U字のアーチ形状となっている(図2(a)参照)。
【0016】
通気路131は、軸方向に形成されていて、前端は、キャップ1の前端に開口しており、後端は、キャップ本体11の筒部111の外周面とクリップ12の内側の面との間の空間Sの前端に開口している。
通気路131は、前側部分1311と後側部分1312に分けられ、両者は軸方向に直交する断面の面積が異なっている。
前側部分1311と後側部分1312の境界は、傾斜面133によりなめらかにつなげられている。
【0017】
上述したとおり、喉に詰まったキャップには、口腔内に存在するもの、例えば、唾液、食べ物のかすなどが付着し、通気路の開口を塞いでしまうおそれがある。かと言って、通気路が塞がれることを抑制するために、通気路を一様に大きくすると、支柱が薄くなってしまい、支柱の強度が落ちてしまう。
そこで、通気路131の一方の開口の面積を他方の開口の面積より大きくすることにより、通気路131の通気量を増やすとともに、支柱13の強度の低下を抑制するために、前側部分1311の断面の面積と、後側部分1312の断面の面積が異なるように形成した。
本実施形態では、前側部分1311の断面の面積が、後側部分1312の断面の面積よりも大きくなるように形成されている。なお、前側部分1311の断面の面積が、後側部分1312の断面の面積よりも小さくなるように形成されてもよい。
【0018】
本実施形態では、通気路131の後端は、空間Sの前端に開口しているから、クリップ12に覆われていて、唾液、食べ物のかすなどの口腔内のものにより塞がれる可能性が低い。これに対して、通気路131の前端は、キャップ1の前端で外側に露出していて、唾液、食べ物のかすなどの口腔内のものにより塞がれる可能性が高い。
そこで、本実施形態のように、塞がれる可能性の高い前側部分1311の断面を、塞がれる可能性の低い後側部分1312の断面よりも大きくなるように形成すると、通気路131の両端の開口が塞がれる可能性をより効果的に抑制することができるとともに、後側部分1312を形成する脚132を厚く形成することができ、支柱13の強度の低下を抑制することができる(図4を参照)。
また、前側部分1311の断面が後側部分1312の断面よりも大きくなるように形成することにより、後述するように、通気路131の前端の開口からクリップ12の後端近傍までを1つの外周側コアピン24により形成することができる。この外周側コアピン24は、キャップ1の前側に抜くことができる。
さらに、通気路131の前側部分1311の断面を大きくして、前側部分1311を形成する脚132を薄くすることにより、クリップ12及び2つの脚132をきれいなアーチ形状にすることができ、意匠性を向上することもできる。
【0019】
本実施形態では、支柱13の2本の脚132の外側面が凹状になるように形成されている。この脚132の凹状の外側面により、支柱13の両外側面の側方が外部通気路134として機能するともに、クリップ12及び2つの脚132を、さらにきれいなアーチ形状にすることができ、意匠性をさらに向上することができる。
【0020】
なお、通気路131を、断面の異なる前側部分1311と後側部分1312の2つの領域に分割したが、これに限らず、断面の異なる3つ以上の領域に分割してもよい。
また、通気路131の前端の開口と後端の開口の間を、断面を連続的になめらかに変化させるようにしてもよい。
さらに、断面の異なる3つ以上の領域に分割するとき、また、断面を連続的になめらかに変化させるときも、通気路131の前端の断面を最も大きく、後端の断面を最も小さくして、これらの間は、前端から後端に向けて断面を小さくするような形状にすることが好ましい。このようにすることにより、通気路131の前端の開口からクリップ12の後端近傍までを1つの外周側コアピン24により形成することができる。
そして、最も小さい断面の大きさは、JIS S6060で規定された流量を満たす大きさであればよいが、それより大きくしてもよい。
【0021】
[キャップ本体の突部とクリップ玉]
上述したとおり、筒部111の外周面のクリップ12と対向する位置に、2つの突部117が、軸方向に直交する方向に間隔をおいて並べて配置されている。
また、クリップ12の後端近傍には、2つのクリップ玉122が、クリップの長手方向に直交する方向に間隔をおいて並べて配置されている。
これら2つの突部117と2つのクリップ玉122は、1つの突部117と1つのクリップ玉122が、対になって、軸方向に並ぶように、また、突部117がクリップ玉122の前側になるように配置されている。すなわち、前側、後側から見て、対になった突部117とクリップ玉122が重なるように配置されている。また、同様に、前側、後側から見て、2つの突部117が互いに対向する面は、それぞれ、対になった2つのクリップ玉122が互いに対向する面と、面一となるように形成されている(図5(a)参照)。
【0022】
この配置により、クリップ12の後端側には、2つのクリップ玉122がキャップ本体11の軸方向に直交する方向に間隔をおいて形成されており、キャップ本体11の外周面の、2つのクリップ玉122に対向する位置のキャップ本体11の軸方向前端側に、それぞれ、1つの突部117が形成されていることになる。
このように、突部117とクリップ玉122の対が、軸方向に直交する方向に間隔をおいて並べて、2対配置されているから、クリップ12のクリップ機能が向上して、ポケットや書類束などに、クリップ12で挟んで固定した筆記具が脱落しにくくなっている。
【0023】
[キャップの製造]
図7~11を参照して、実施形態のキャップ1を一体成形するときの金型について説明する。
図7は、本発明に係る実施形態のキャップ1を一体成形する4つの金型の斜視図である。図8は、本発明に係る実施形態のキャップ1を一体成形する金型のうち、2つのコアピンを重ね合わせた状態の縦断面図である。
図9,10は、本発明に係る実施形態のキャップ1を一体成形する金型を抜く工程を説明する図であり、図9は、クリップ玉122のある位置での横断面図、図10は、突部117のある位置での横断面図である。
図11は、抜くことができない金型を示す図である。
【0024】
金型2は、第1キャビティ21、第2キャビティ22、内周側コアピン23及び外周側コアピン24からなる。
第1キャビティ21と第2キャビティ22により、筒部111の外周面(2つの突部117も含む)とクリップ12の外面(2つのクリップ玉122も含む)と支柱13の外周面を成形する。
内周側コアピン23により、筒部111の内側の構造(保護筒部116も含む)を形成する。
外周側コアピン24により、筒部111の外周面の一部(クリップ12の溝部121に対向する面)と底面113とクリップ12の溝部121と支柱13の前面と通気路131を形成する。
【0025】
4つの金型により、キャップ1を一体成形した後、金型を抜く工程を図9,10を参照して、説明する。
図9(a),図10(a)に示すように、4つの金型により、キャップ1を一体成形する。
まず、図9(b),図10(b)に示すように、外周側コアピン24をキャップ1の前側に抜く。
次に、図9(c),図10(c)に示すように、第1キャビティ21及び第2キャビティ22の2つのキャビティを抜く。第1キャビティ21及び第2キャビティ22は、軸方向に直交する方向に、2つのキャビティを引き離すように抜く。
最後に、図9(d),図10(d)に示すように、内周側コアピン23をキャップ1の後側に抜く。
【0026】
通気路131、溝部121、突部117及びクリップ玉122の形状が、外周側コアピン24が、支柱13に形成される通気路131の前端の開口から、空間Sの2つのクリップ玉122部分(クリップ12の後端近傍)までを1つのコアピンで形成することができるような形状に設計されている。
2つの突部117及び2つのクリップ玉122は、クリップの長手方向(軸方向)に直交する方向に間隔をおいて並べて配置されている。2つの突部117の間及び2つのクリップ玉122の間に、前後方向に抜けるコアピンが挿通できないと、軸方向に直交する方向に引き離すように抜く2つのキャビティで形成しようとしても、2つの突部117及び2つのクリップ玉122がアンダーカットになって抜くことができず、一体成形することができない(図11参照)。
【0027】
しかし、本実施形態では、2つの突部117の間及び2つのクリップ玉122の間に、前方向に抜ける外周側コアピン24を挿通することができるから、アンダーカットになる部分がなく、第1キャビティ21、第2キャビティ22及び外周側コアピン24により、軸方向に直交する方向に間隔をおいて並べた、2つの突部117及び2つのクリップ玉122を形成することができる。
また、内周側コアピン23、外周側コアピン24が長くなり、第1キャビティ21及び第2キャビティ22の2つのキャビティと、内周側コアピン23及び外周側コアピン24の2つのコアピンとの合わせを容易に行うことができる。
【0028】
以上、本発明に係る実施形態のキャップ1を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1 キャップ
11 キャップ本体
111 筒部
112 開口
113 底面
114 縦リブ
115 突起
116 保護筒部
117 突部
12 クリップ
121 溝部
122 クリップ玉
13 支柱
131 通気路
1311 前側部分
1312 後側部分
132 脚
133 傾斜面
134 外部通気路
2 金型
21 第1キャビティ
22 第2キャビティ
23 内周側コアピン
24 外周側コアピン
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11