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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119074
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】減速装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20240827BHJP
   G01L 3/14 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F16H1/32 B
G01L3/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025678
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】中田 一秀
【テーマコード(参考)】
3J027
【Fターム(参考)】
3J027FA43
3J027FB32
3J027GB02
3J027GB03
3J027GC07
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD07
3J027GD08
3J027GD12
3J027GD13
3J027GE01
3J027GE11
(57)【要約】
【課題】トルクセンサを波動歯車減速機にねじ留めした場合でも、波動歯車減速機の弾性変形に起因したトルクセンサの曲げ変形を抑制することができる減速装置を提供する。
【解決手段】減速装置100は、波動歯車減速機10の出力軸と共に回転する出力側部材16と、波動歯車減速機10の出力トルクを検出するトルクセンサ30に設けられ、出力トルクの大きさに応じて歪む起歪体31と、トルクセンサ30に設けられ、起歪体31の歪み量を検出するセンシング部32と、出力側部材16と起歪体31とを固定する第1ねじ41と、出力軸と出力側部材16とを固定する第2ねじ42とを備え、第1ねじ41は、第2ねじ42よりも径方向内側に配置され、センシング部32は、第1ねじ41よりも径方向外側に配置され、出力側部材16と起歪体31とは、第2ねじ42のピッチ円直径の径方向外側領域において非接触である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波動歯車減速機の出力軸と共に回転する出力側部材と、
前記波動歯車減速機の出力トルクを検出するトルクセンサに設けられ、出力トルクの大きさに応じて歪む起歪体と、
前記トルクセンサに設けられ、前記起歪体の歪みを検出するセンシング部と、
前記出力側部材と前記起歪体とを固定する第1ねじと、
前記出力軸と前記出力側部材とを固定する第2ねじとを備え、
前記第1ねじは、前記第2ねじよりも径方向内側に配置され、
前記センシング部は、前記第1ねじよりも径方向外側に配置され、
前記出力側部材と前記起歪体とは、前記第2ねじのピッチ円直径の径方向外側領域において非接触である
ことを特徴とする減速装置。
【請求項2】
前記センシング部は、前記第2ねじよりも径方向外側に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の減速装置。
【請求項3】
前記出力側部材は、
前記起歪体側に向けて突出し、前記出力側部材と前記起歪体との間に隙間を形成する突出部を有し、
前記第1ねじは、前記突出部と前記起歪体とを固定する
ことを特徴とする請求項1記載の減速装置。
【請求項4】
前記起歪体は、
前記出力側部材側に向けて突出し、前記出力側部材と前記起歪体との間に隙間を形成する突出部を有し、
前記第1ねじは、前記出力側部材と前記突出部とを固定する
ことを特徴とする請求項1記載の減速装置。
【請求項5】
波動歯車減速機の出力軸と共に回転する出力側部材と、
前記波動歯車減速機の出力トルクを検出するトルクセンサに設けられ、出力トルクの大きさに応じて歪む起歪体と、
前記トルクセンサに設けられ、前記起歪体の歪みを検出するセンシング部と、
前記出力側部材と前記起歪体との間に設けられるスペーサと、
前記起歪体と前記スペーサとを固定する第1ねじと、
前記出力軸と前記出力側部材とを固定する第2ねじと、
前記出力側部材と前記スペーサとを固定する第3ねじとを備え、
前記第1ねじは、前記第2ねじ及び前記第3ねじよりも径方向内側に配置され、
前記センシング部は、前記第1ねじよりも径方向外側に配置され、
前記起歪体と前記スペーサとは、前記第3ねじのピッチ円直径の径方向外側領域において非接触である
ことを特徴とする減速装置。
【請求項6】
前記第3ねじは、前記第2ねじよりも径方向内側に配置される
ことを特徴とする請求項5記載の減速装置。
【請求項7】
前記センシング部は、前記第2ねじ及び前記第3ねじよりも径方向外側に配置される
ことを特徴とする請求項5記載の減速装置。
【請求項8】
前記起歪体は、
前記スペーサから遠ざかるように凹み、前記起歪体と前記スペーサとの間に隙間を形成する環状凹部を有する
ことを特徴とする請求項5記載の減速装置。
【請求項9】
前記出力軸は、前記波動歯車減速機のサーキュラスプラインである
ことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の減速装置。
【請求項10】
前記出力軸は、前記波動歯車減速機のフレックススプラインである
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の減速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トルクセンサを波動歯車減速機にねじ留めした減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットアームには、複数のアームを関節部を介して接続したものがある。また、それらの関節部には、トルクセンサがそれぞれ設けられている。ロボットアームは、トルクセンサによって検出されたトルク、又は、その検出したトルクから推定した力を、制御することで、所定の動作を可能としている。このような、従来のロボットアームは、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたロボットアームの関節部には、トルクセンサと共に波動歯車減速機が設けられている。このため、特許文献1に開示されたロボットアームは、入力軸の回転数を波動歯車減速機によって減速させて出力し、その出力トルクをトルクセンサによって検出するようにしている。このとき、トルクセンサは、波動歯車減速機にねじ留めされることが多くある。このような、トルクセンサを波動歯車減速機にねじ留めするようにした減速装置は、例えば、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-955号公報
【特許文献2】特開2017-203645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、トルクセンサを波動歯車減速機にねじ留めする場合、トルクセンサによって検出されたトルクには、波動歯車減速機の機械的変形がトルク外乱として含まれることがある。そのトルク外乱は、主に、波動歯車減速機における歯車機構の弾性変形に起因するものである。例えば、波動歯車減速機の歯車機構が、径方向に向けて弾性変形すると、その変形は、トルクセンサを取り付けるためのねじ等を介して、当該トルクセンサに伝達される。この結果、トルクセンサには、曲げ変形が発生してしまい、その検出精度が、低下するおそれがある。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、トルクセンサを波動歯車減速機にねじ留めした場合でも、波動歯車減速機の弾性変形に起因したトルクセンサの曲げ変形を抑制することができる減速装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る減速装置は、波動歯車減速機の出力軸と共に回転する出力側部材と、波動歯車減速機の出力トルクを検出するトルクセンサに設けられ、出力トルクの大きさに応じて歪む起歪体と、トルクセンサに設けられ、起歪体の歪み量を検出するセンシング部と、出力側部材と起歪体とを固定する第1ねじと、出力軸と出力側部材とを固定する第2ねじとを備え、第1ねじは、第2ねじよりも径方向内側に配置され、センシング部は、第1ねじよりも径方向外側に配置され、出力側部材と起歪体とは、第2ねじのピッチ円直径の径方向外側領域において非接触としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、トルクセンサを波動歯車減速機にねじ留めした場合でも、波動歯車減速機の弾性変形に起因したトルクセンサの曲げ変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る減速装置の断面図である。
図2】フレックススプラインの弾性変形を示す図である。
図3】実施の形態1に係るトルクセンサの曲げ変形を示す概略断面図である。
図4】実施の形態2に係る減速装置の断面図である。
図5】実施の形態3に係る減速装置の断面図である。
図6】実施の形態3に係るトルクセンサの曲げ変形を示す概略断面図である。
図7】従来の減速装置におけるトルクセンサの曲げ変形を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る減速装置100について、図1から図3図7を用いて説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る減速装置100の断面図である。図2は、フレックススプライン12の弾性変形を示す図である。図3は、実施の形態1に係るトルクセンサ30の曲げ変形を示す概略断面図である。
【0013】
図1に示す減速装置100は、例えば、ロボットアーム(図示省略)に適用されるものである。ロボットアームは、複数のアーム及び複数の関節部を備えており、複数のアームを関節部を介して接続したものである。即ち、互いに隣接した2つのアーム同士は、関節部によって接続されている。減速装置100は、各関節部にそれぞれ設けられている。
【0014】
図1に示すように、減速装置100は、ハット型の波動歯車減速機10、モータ20、及び、トルクセンサ30を備えている。減速装置100は、ロボットアーム先端側に位置するアームの基端部と、ロボットアーム基端側に位置するアームの先端部との間に、配置されている。減速装置100においては、モータ20、波動歯車減速機10、トルクセンサ30が、ロボットアーム基端側から先端側に向けて、順に配置されている。
【0015】
ここで、以下の説明においては、減速装置100におけるロボットアーム先端側を「前方側」又は「出力側」とし、減速装置100におけるロボットアーム基端側を「後方側」又は「入力側」としている。
【0016】
波動歯車減速機10は、モータ20から入力された回転数を減速させて出力するものである。このような、波動歯車減速機10は、ウェブジェネレータ11、フレックススプライン12、サーキュラスプライン13、クロスローラベアリング14、固定板15、出力側部材16、及び、軸受17,18を有している。
【0017】
ウェブジェネレータ11は、回転軸方向から見て、楕円形をなしている(図2参照)。このウェブジェネレータ11の中心孔には、後述するモータ20の入力軸24が嵌入されている。このため、ウェブジェネレータ11は、入力軸24が回転すると、当該入力軸24と共に回転する。
【0018】
フレックススプライン12は、円筒状に形成された弾性体となっている。このため、フレックススプライン12は、その径方向において弾性変形可能となっている。フレックススプライン12は、例えば、金属材料又は樹脂材料で形成されている。
【0019】
フレックススプライン12は、ウェブジェネレータ11と同軸状に配置されている。フレックススプライン12は、ウェブジェネレータ11の径方向外側に配置されている。図2に示すように、フレックススプライン12の内周面には、ウェブジェネレータ11の長径方向両端部が摺動可能となっている。このため、フレックススプライン12は、ウェブジェネレータ11が回転すると、その回転した楕円形をなすウェブジェネレータ11の外周形状に倣うように、弾性変形しながら回転する。
【0020】
フレックススプライン12は、外歯歯車12a及びフランジ部12bを有している。外歯歯車12aは、フレックススプライン12の外周面における前端側に形成されている。フランジ部12bは、フレックススプライン12の後端に形成されている。
【0021】
サーキュラスプライン13は、環状に形成された剛性体となっている。このサーキュラスプライン13は、例えば、金属材料又は樹脂材料で形成されている。サーキュラスプライン13は、ウェブジェネレータ11と同軸状に配置されている。サーキュラスプライン13は、フレックススプライン12の径方向外側に配置されている。なお、サーキュラスプライン13は、波動歯車減速機10の出力軸を構成するものである。
【0022】
サーキュラスプライン13は、内歯歯車13aを有している。この内歯歯車13aは、サーキュラスプライン13の内周面に形成されている。内歯歯車13aは、フレックススプライン12の外歯歯車12aと噛み合い可能となっている。このため、サーキュラスプライン13は、フレックススプライン12が回転すると、その内歯歯車13aが、弾性変形したフレックススプライン12における長径方向両端部の外歯歯車12aと噛み合うことで、回転する。即ち、フレックススプライン12とサーキュラスプライン13とは、フレックススプライン12が楕円状に撓んだ状態で、互いの噛み合い位置が順次回転していく。なお、外歯歯車12aの歯数は、内歯歯車13aの歯数よりも少ない。このため、フレックススプライン12は、ウェブジェネレータ11が回転すると、その歯数差に応じて、減速回転することになる。
【0023】
クロスローラベアリング14は、フレックススプライン12及びサーキュラスプライン13の径方向外側に配置されている。また、クロスローラベアリング14は、ウェブジェネレータ11及びサーキュラスプライン13と同軸状に配置されている。クロスローラベアリング14は、内輪14a及び外輪14bを有しており、それらの間の転動体として、ローラを使用している。内輪14aの前端面は、サーキュラスプライン13の後端面と接続されている。外輪14bは、後述する固定板15及びモータ20に対して、複数の第1固定ねじ51を用いて固定されている。
【0024】
固定板15は、円形状をなしている。この固定板15は、フレックススプライン12及びクロスローラベアリング14を後方側から覆うように配置されている。固定板15の前面とクロスローラベアリング14における内輪14aの後端面との間には、フレックススプライン12のフランジ部12bが配置されている。また、固定板15は、その後面側がモータ20に嵌め込まれている。そして、固定板15の中心孔には、軸受17が設けられている。
【0025】
出力側部材16は、円形状をなしている。出力側部材16は、ウェブジェネレータ11、フレックススプライン12、及び、サーキュラスプライン13を前方側から覆うように配置されている。また、出力側部材16は、ウェブジェネレータ11及びサーキュラスプライン13と同軸状に配置されている。
【0026】
出力側部材16は、円筒突出部16a及びフランジ部16bを有している。円筒突出部16aは、出力側部材16の前面中心部から、円筒状で、且つ、前方に向けて突出するように形成されている。この円筒突出部16aの内周面、即ち、出力側部材16の中心孔には、軸受18が設けられている。また、円筒突出部16aの外周面には、フランジ部16bが、その周方向に沿って、環状に形成されている。
【0027】
出力側部材16のフランジ部16b及びサーキュラスプライン13は、クロスローラベアリング14の内輪14aに対して、複数の第2ねじ42を用いて固定されている。このため、出力側部材16は、サーキュラスプライン13が回転すると、当該サーキュラスプライン13と共に回転する。
【0028】
第2ねじ42は、出力側部材16の回転軸を中心として、同心円状に一定のピッチで配置されている。即ち、第2ねじ42は、出力側部材16の周方向において、一定のピッチで配置されている。第2ねじ42は、波動歯車減速機10の前方側から、出力側部材16のフランジ部16b及びサーキュラスプライン13に挿入されている。
【0029】
モータ20は、モータケース21、ステータ22、ロータ23、及び、入力軸24を有している。
【0030】
モータケース21は、円筒状をなしている。モータケース21の後端は、減速装置100の後端に隣接するアームの先端に固定されている。モータケース21の前端は、波動歯車減速機10の後端を支持している。即ち、モータケース21の前端には、フレックススプライン12のフランジ部12b、クロスローラベアリング14の外輪14b、及び、固定板15が、複数の第1固定ねじ51によって固定されている。このため、サーキュラスプライン13は、クロスローラベアリング14を介して、固定板15及びモータケース21に回転可能に支持されている。
【0031】
ステータ22は、モータケース21の径方向内側に設けられている。ロータ23は、ステータ22の径方向内側に配置されている。入力軸24は、ロータ23の中心孔に嵌入されている。また、入力軸24は、波動歯車減速機10の軸受17,18に回転可能に支持されている。即ち、入力軸24は、軸受17を介して、固定板15に回転可能に支持されている。また、入力軸24は、軸受18を介して、出力側部材16に回転可能に支持されている。
【0032】
従って、モータ20においては、ステータ22に電力が供給されると、ロータ23は、ステータ22に対して回転する。この結果、入力軸24が回転するため、ウェブジェネレータ11が回転する。
【0033】
トルクセンサ30は、波動歯車減速機10によって減速されたモータ20の回転数の出力トルクを検出するものである。このため、トルクセンサ30は、波動歯車減速機10の出力側に対して、複数の第1ねじ41を用いて固定されると共に、アーム外装61の後端に対して、複数の第2固定ねじ52を用いて固定されている。なお、アーム外装61は、減速装置100の前端に隣接するアームの外装部材である。
【0034】
トルクセンサ30は、1つの起歪体31及び複数のセンシング部32を有している。
【0035】
起歪体31は、円板状に形成されている。この起歪体31は、外力の大きさに比例して変形することで、歪みが発生する部材である。起歪体31は、出力側部材16と同軸状に配置されている。この起歪体31は、その円筒突出部16aの前端面(締結面)に対して、複数の第1ねじ41を用いて固定されている。このため、起歪体31は、サーキュラスプライン13及び出力側部材16と共に回転する。
【0036】
第1ねじ41は、トルクセンサ30の回転軸を中心として、同心円状に一定のピッチで配置されている。即ち、第1ねじ41は、トルクセンサ30の周方向において、一定のピッチで配置されている。また、第1ねじ41は、出力側部材16の回転軸を中心として、同心円状に一定のピッチで配置されている。第1ねじ41は、波動歯車減速機10の前方側から、起歪体31及び円筒突出部16aに挿入されている。
【0037】
また、上述したように、トルクセンサ30における起歪体31の後面と、出力側部材16における円筒突出部16aの前端面とを、第1ねじ41を用いて固定することにより、起歪体31の後面と出力側部材16の前面との間には、意図した隙間S1が発生する。この隙間S1の詳細については、後述する。
【0038】
起歪体31は、トルクを伝達する際に、トルクセンサ30の回転軸を中心とする周方向(せん断方向)への歪みを生じる。センシング部32は、その起歪体31の変形量となる歪みを検出するものである。このような、センシング部32は、例えば、せん断歪みゲージである。センシング部32は、起歪体31における前面の外周部に設けられている。センシング部32は、起歪体31の周方向において、一定のピッチで配置されている。また、センシング部32は、第1ねじ41及び第2ねじ42よりも径方向外側に配置されている。
【0039】
従って、減速装置100においては、モータ20に電圧が印加されて、入力軸24が回転すると、当該入力軸24に固定されたウェブジェネレータ11が回転する。このため、フレックススプライン12の弾性変形によって、波動が発生し、サーキュラスプライン13が、入力軸24の回転数に一定の減速比を乗じた回転数で回転する。このとき、アーム外装61は、出力側部材16及びトルクセンサ30を介して、サーキュラスプライン13に固定されているため、減速された回転数で回転する。そして、その減速された回転数におけるトルクは、トルクセンサ30によって検出される。
【0040】
ここで、減速装置100においては、フレックススプライン12の弾性変形が、トルクセンサ30が出力トルクを検出する際のトルク外乱となる場合がある。例えば、楕円形のウェブジェネレータ11が回転すると、フレックススプライン12は、ウェブジェネレータ11の長径方向両端部による摺動に倣うように、その径方向において弾性変形する。このフレックススプライン12の弾性変形は、ねじ等を介して、トルクセンサ30に曲げ変形として伝達するおそれがある。
【0041】
そこで、減速装置100は、フレックススプライン12の弾性変形に起因したトルクセンサ30の曲げ変形を抑制するためのトルク外乱抑制構造を、備えている。
【0042】
具体的には、図1及び図3に示すように、減速装置100は、第1ねじ41のピッチ円直径を、第2ねじ42のピッチ円直径よりも小さくしている。即ち、第1ねじ41は、第2ねじ42よりも減速装置100の径方向内側に配置されている。また、減速装置100は、出力側部材16と起歪体31との間に隙間S1を形成することで、出力側部材16に曲げ変形が発生した場合でも、出力側部材16と起歪体31とを、第2ねじ42のピッチ円直径の径方向外側領域において非接触としている。
【0043】
このため、減速装置100は、出力側部材16と起歪体31とを、第2ねじ42のピッチ円直径の径方向外側領域において非接触にすることができるので、出力側部材16の曲げ変形に、起歪体31が倣うことを抑えることができる。
【0044】
また、減速装置100は、第1ねじ41とセンシング部32との間における径方向距離を長くすることができる。この結果、減速装置100は、センシング部32に対する、第1ねじ41の座面に作用する曲げモーメントの影響を抑えることができる。
【0045】
これに対して、図7は、従来の減速装置におけるトルクセンサ30の曲げ変形を示す概略断面図である。図7に示すように、従来の減速装置においては、2種類の第1ねじ41及び第2ねじ42を用いるのではなく、1種類のねじ46を用いている。ねじ46の長さは、第1ねじ41の長さ及び第2ねじ42の長さよりも長くなっている。ねじ46は、トルクセンサ30を、サーキュラスプライン13及び出力側部材16に固定するためのものである。このねじ46は、トルクセンサ30の起歪体31、出力側部材16、及び、サーキュラスプライン13に挿入され、それらを共締めしている。
【0046】
従来の減速装置においては、出力側部材16と起歪体31とが常に密着しているため、出力側部材16の曲げ変形に、起歪体31が倣ってしまう。このため、従来の減速装置においては、センシング部32に、大きな曲げ変形が発生してしまう。
【0047】
また、従来の減速装置においては、ねじ46とセンシング部32との間における径方向距離が短くなってしまう。更に、従来の減速装置においては、センシング部32に対する、ねじ46の座面に作用する曲げモーメントの影響を抑えることができない。
【0048】
以上、実施の形態1に係る減速装置100は、波動歯車減速機10の出力軸と共に回転する出力側部材16と、波動歯車減速機10の出力トルクを検出するトルクセンサ30に設けられ、出力トルクの大きさに応じて歪む起歪体31と、トルクセンサ30に設けられ、起歪体31の歪み量を検出するセンシング部32と、出力側部材16と起歪体31とを固定する第1ねじ41と、出力軸と出力側部材16とを固定する第2ねじ42とを備え、第1ねじ41は、第2ねじ42よりも径方向内側に配置され、センシング部32は、第1ねじ41よりも径方向外側に配置され、出力側部材16と起歪体31とは、第2ねじ42のピッチ円直径の径方向外側領域において非接触である。このため、減速装置100は、トルクセンサ30を波動歯車減速機10にねじ留めした場合でも、波動歯車減速機10の弾性変形に起因したトルクセンサ30の曲げ変形を抑制することができる。
【0049】
また、減速装置100においては、出力側部材16は、起歪体31側に向けて突出し、出力側部材16と起歪体31との間に隙間S1を形成する円筒突出部16aを有し、第1ねじ41は、円筒突出部16aと起歪体31とを固定する。このため、減速装置100は、出力側部材16と起歪体31とを、第2ねじ42のピッチ円直径の径方向外側領域において、出力側部材16の曲げ変形時に容易に非接触にすることができる。
【0050】
実施の形態2.
実施の形態2に係る減速装置200について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態2に係る減速装置200の断面図である。なお、上述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図4に示すように、実施の形態2に係る減速装置200は、カップ型の波動歯車減速機70、モータ20、及び、トルクセンサ30を備えている。
【0052】
波動歯車減速機70は、モータ20から入力された回転数を減速させて出力するものである。このような、波動歯車減速機70は、ウェブジェネレータ71、フレックススプライン72、サーキュラスプライン73、クロスローラベアリング74、固定板75、出力側部材76、及び、軸受77,78を有している。
【0053】
ウェブジェネレータ71は、回転軸方向から見て、楕円形をなしている。このウェブジェネレータ71の中心孔には、モータ20の入力軸24が嵌入されている。このため、ウェブジェネレータ71は、入力軸24が回転すると、当該入力軸24と共に回転する。
【0054】
フレックススプライン72は、円筒状に形成された弾性体となっている。このため、フレックススプライン72は、その径方向において弾性変形可能となっている。フレックススプライン72は、例えば、金属材料又は樹脂材料で形成されている。
【0055】
フレックススプライン72は、ウェブジェネレータ71と同軸状に配置されている。フレックススプライン72は、ウェブジェネレータ71の径方向外側に配置されている。フレックススプライン72の内周面には、ウェブジェネレータ71の長径方向両端部が摺動可能となっている。このため、フレックススプライン72は、ウェブジェネレータ71が回転すると、その回転した楕円形をなすウェブジェネレータ71の外径形状に倣うように、弾性変形しながら回転する。
【0056】
フレックススプライン72は、外歯歯車72aを有している。外歯歯車72aは、フレックススプライン72の外周面における後端側に形成されている。なお、フレックススプライン72は、波動歯車減速機70の出力軸を構成するものである。
【0057】
サーキュラスプライン73は、環状に形成された剛性体となっている。このサーキュラスプライン73は、例えば、金属材料又は樹脂材料で形成されている。サーキュラスプライン73は、ウェブジェネレータ71と同軸状に配置されている。サーキュラスプライン73は、フレックススプライン72の径方向外側に配置されている。また、サーキュラスプライン73は、後述する固定板75及びモータ20に対して、複数の第1固定ねじ53を用いて固定されている。
【0058】
サーキュラスプライン73は、内歯歯車73aを有している。この内歯歯車73aは、サーキュラスプライン73の内周面に形成されている。内歯歯車73aは、フレックススプライン72の外歯歯車72aと噛み合い可能となっている。このため、サーキュラスプライン73は、フレックススプライン72が回転すると、その内歯歯車73aが、弾性変形したフレックススプライン72における長径方向両端部の外歯歯車72aと噛み合うことで、回転する。なお、外歯歯車72aの歯数は、内歯歯車73aの歯数よりも少ない。このため、フレックススプライン72は、ウェブジェネレータ11が回転すると、その歯数差に応じて、減速回転することになる。
【0059】
クロスローラベアリング74は、フレックススプライン72の径方向外側に配置されている。また、クロスローラベアリング74は、ウェブジェネレータ71及びサーキュラスプライン73と同軸状に配置されている。クロスローラベアリング74は、内輪74a及び外輪74bを有しており、それらの間の転動体として、ローラを使用している。内輪74aは、後述する出力側部材76を回転可能に支持している。外輪74bは、サーキュラスプライン73に接続されている。
【0060】
固定板75は、円形状をなしている。この固定板75は、フレックススプライン72及びサーキュラスプライン73を後方側から覆うように配置されている。また、固定板75は、その後面側がモータ20に嵌め込まれている。固定板15の中心孔には、軸受77が設けられている。このため、入力軸24は、軸受77を介して、固定板75に回転可能に支持されている。そして、固定板75は、サーキュラスプライン73と共に、複数の第1固定ねじ53によって、モータ20のモータケース21に固定されている。
【0061】
出力側部材76は、円形状をなしている。この出力側部材76は、クロスローラベアリング74を介して、サーキュラスプライン73に回転可能に支持されている。また、出力側部材76は、フレックススプライン72と同軸状に配置されている。出力側部材76に後面には、軸受78が設けられている。このため、入力軸24は、軸受78を介して、出力側部材76に回転可能に支持されている。
【0062】
出力側部材76は、フレックススプライン72に対して、複数の第2ねじ45を用いて固定されている。このため、出力側部材76は、フレックススプライン72と共に回転する。
【0063】
第2ねじ45は、出力側部材76の回心軸を中心として、同心円状に一定のピッチで配置されている。即ち、第2ねじ42は、出力側部材16の周方向において、一定のピッチで配置されている。第2ねじ45は、波動歯車減速機70の後方側から、サーキュラスプライン73及び出力側部材76に挿入されている。
【0064】
これに対して、トルクセンサ30は、波動歯車減速機70の出力側に対して、複数の第1ねじ44を用いて固定されると共に、アーム外装61の後端に対して、複数の第2固定ねじ54を用いて固定されている。
【0065】
トルクセンサ30の起歪体31は、円筒突出部31aを有している。円筒突出部31aは、起歪体31の後面中心部から、円筒状で、且つ、後方に向けて突出するように形成されている。また、起歪体31は、出力側部材76と同軸状に配置されている。この起歪体31は、その出力側部材76の前端面に対して、複数の第1ねじ44を用いて固定されている。このため、トルクセンサ30は、フレックススプライン72及び出力側部材76と共に、偏心して回転する。
【0066】
第1ねじ44は、トルクセンサ30の回転軸を中心として、同心円状に一定のピッチで配置されている。即ち、第1ねじ44は、トルクセンサ30の周方向において、一定のピッチで配置されている。また、第1ねじ44は、出力側部材76の回転軸を中心として、同心円状に一定のピッチで配置されている。第1ねじ44は、波動歯車減速機70の前方側から、起歪体31及び出力側部材76に挿入されている。
【0067】
また、上述したように、起歪体31における円筒突出部31aの後端面と出力側部材16の前面とを、第1ねじ44を用いて固定することにより、起歪体31の後面と出力側部材76の前面との間には、意図した隙間S2が発生する。
【0068】
センシング部32は、第1ねじ44及び第2ねじ45よりも径方向外側に配置されている。
【0069】
従って、減速装置200においては、モータ20に電圧が印加されて、入力軸24が回転すると、当該入力軸24に固定されたウェブジェネレータ71が回転する。このため、フレックススプライン72の弾性変形によって、波動が発生し、サーキュラスプライン73が、入力軸24の回転数に一定の減速比を乗じた回転数で回転する。このとき、アーム外装61は、出力側部材16及びトルクセンサ30を介して、サーキュラスプライン73に固定されているため、減速された回転数で回転する。そして、その減速された回転数におけるトルクは、トルクセンサ30によって検出される。
【0070】
ここで、図4に示すように、減速装置200は、第1ねじ44のピッチ円直径を、第2ねじ45のピッチ円直径よりも小さくしている。即ち、第1ねじ44は、第2ねじ45よりも減速装置200の径方向内側に配置されている。また、減速装置200は、出力側部材76と起歪体31との間に隙間S2を形成することで、出力側部材76に曲げ変形が発生した場合でも、出力側部材76と起歪体31とを、第2ねじ45のピッチ円直径の径方向外側領域において非接触としている。
【0071】
このため、減速装置200は、出力側部材76と起歪体31とを、第2ねじ45のピッチ円直径の径方向外側領域において非接触にすることができるので、出力側部材76の曲げ変形に、起歪体31が倣うことを抑えることができる。
【0072】
また、減速装置200は、第1ねじ44とセンシング部32との間における径方向距離を長くすることができる。この結果、減速装置200は、センシング部32に対する、第1ねじ44の座面に作用する曲げモーメントの影響を抑えることができる。
【0073】
以上、実施の形態2に係る減速装置200は、波動歯車減速機70の出力軸と共に回転する出力側部材76と、波動歯車減速機70の出力トルクを検出するトルクセンサ30に設けられ、出力トルクの大きさに応じて歪む起歪体31と、トルクセンサ30に設けられ、起歪体31の歪み量を検出するセンシング部32と、出力側部材76と起歪体31とを固定する第1ねじ44と、出力軸と出力側部材76とを固定する第2ねじ45とを備え、第1ねじ44は、第2ねじ45よりも径方向内側に配置され、センシング部32は、第1ねじ44よりも径方向外側に配置され、出力側部材76と起歪体31とは、第2ねじ45のピッチ円直径の径方向外側領域において非接触である。このため、減速装置200は、トルクセンサ30を波動歯車減速機70にねじ留めした場合でも、波動歯車減速機70の弾性変形に起因したトルクセンサ30の曲げ変形を抑制することができる。
【0074】
また、減速装置200において、起歪体31は、出力側部材76側に向けて突出し、出力側部材76と起歪体31との間に隙間S2を形成する円筒突出部31aを有し、第1ねじ44は、出力側部材76と円筒突出部31aとを固定する。このため、減速装置200は、出力側部材76と起歪体31とを、第2ねじ45のピッチ円直径の径方向外側領域において、出力側部材76の曲げ変形時に容易に非接触にすることができる。
【0075】
実施の形態3.
実施の形態3に係る減速装置300について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、実施の形態3に係る減速装置300の断面図である。図6は、実施の形態3に係るトルクセンサ30の曲げ変形を示す概略断面図である。なお、上述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図5に示すように、実施の形態3に係る減速装置300は、ハット型の波動歯車減速機10A、モータ20、及び、トルクセンサ30を備えている。減速装置300は、実施の形態1に係る減速装置100の構造に、環状凹部33、第3ねじ43、スペーサ81を追加した構造となっている。
【0077】
スペーサ81は、円筒状をなしている。スペーサ81は、出力側部材16の前面と起歪体31の後面との間に設けられている。スペーサ81は、ウェブジェネレータ11、サーキュラスプライン13、出力側部材16、及び、トルクセンサ30と同軸状に配置されている。このため、スペーサ81は、出力側部材16が回転すると、当該出力側部材16と共に回転する。このように、減速装置300は、出力側部材16とトルクセンサ30との間に、スペーサ81を挟持することにより、フレックススプライン12の弾性変形に対する、軸方向に直交する方向の曲げ剛性を向上させることができる。スペーサ81は、例えば、金属材料又は樹脂材料で形成されている。
【0078】
第3ねじ43は、スペーサ81の追加構成に伴って、設けられたものである。スペーサ81は、複数の第3ねじ43を用いて、出力側部材16の前面に固定されている。第3ねじ43は、出力側部材16の回転軸を中心として、同一円周状に一定のピッチで配置されている。即ち、第3ねじ43は、出力側部材16の周方向において、一定のピッチで配置されている。
【0079】
トルクセンサ30の起歪体31は、複数の第1ねじ41を用いて、スペーサ81に固定されている。第1ねじ41は、トルクセンサ30の回転軸を中心として、同心円状に一定のピッチで配置されている。即ち、第1ねじ41は、トルクセンサ30の周方向において、一定のピッチで配置されている。また、センシング部32は、第1ねじ41、第2ねじ42、及び、第3ねじ43よりも径方向外側に配置されている。
【0080】
トルクセンサ30は、環状凹部33を有している。環状凹部33は、起歪体31の後面において、トルクセンサ30の回転軸を中心として、環状に設けられている。この環状凹部33は、スペーサ81の前面における外周縁部と対向するように形成されている。このように、減速装置300は、トルクセンサ30に環状凹部33を備えることにより、出力側部材16とスペーサ81との間に、環状凹部33の深さ寸法に対応した、意図した隙間S3を設けることができる。
【0081】
このとき、第1ねじ41のピッチ円直径は、第2ねじ42のピッチ円直径よりも小さくなっている。即ち、第1ねじ41は、第2ねじ42よりも減速装置300の径方向内側に配置されている。また、第1ねじ41のピッチ円直径は、第3ねじ43のピッチ円直径よりも小さくなっている。即ち、第1ねじ41は、第3ねじ43よりも減速装置300の径方向内側に配置されている。更に、第3ねじ43のピッチ円直径は、第2ねじ42のピッチ円直径よりも小さくなっている。即ち、第3ねじ43は、第2ねじ42よりも減速装置300の径方向内側に配置されている。
【0082】
ここで、図6に示すように、減速装置300は、第1ねじ41のピッチ円直径を、第2ねじ42のピッチ円直径及び第3ねじ43のピッチ円直径よりも小さくしている。即ち、第1ねじ41は、第2ねじ42及び第3ねじ43よりも減速装置300の径方向内側に配置されている。また、減速装置300は、出力側部材16とスペーサ81との間に隙間S3を形成することで、出力側部材16に曲げ変形が発生した場合でも、出力側部材16とスペーサ81とを、第3ねじ43のピッチ円直径の径方向外側領域において非接触としている。
【0083】
このため、減速装置300は、出力側部材16とスペーサ81とを、第3ねじ43のピッチ円直径の径方向外側領域において非接触にすることができるので、出力側部材16の曲げ変形に、スペーサ81が倣うことを抑えることができる。
【0084】
また、減速装置300は、第1ねじ41とセンシング部32との間における径方向距離を長くすることができる。この結果、減速装置300は、センシング部32に対する、第1ねじ41の座面に作用する曲げモーメントの影響を抑えることができる。
【0085】
以上、実施の形態3に係る減速装置300は、波動歯車減速機10Aの出力軸と共に回転する出力側部材16と、波動歯車減速機10Aの出力トルクを検出するトルクセンサ30に設けられ、出力トルクの大きさに応じて歪む起歪体31と、トルクセンサ30に設けられ、起歪体31の歪み量を検出するセンシング部32と、出力側部材16と起歪体31との間に設けられるスペーサ81と、起歪体31とスペーサ81とを固定する第1ねじ41と、出力軸と出力側部材16とを固定する第2ねじ42と、出力側部材16とスペーサ81とを固定する第3ねじ43とを備え、第1ねじ41は、第2ねじ42及び第3ねじ43よりも径方向内側に配置され、センシング部32は、第1ねじ41よりも径方向外側に配置され、起歪体31とスペーサ81とは、第3ねじ43のピッチ円直径の径方向外側領域において非接触である。このため、減速装置300は、トルクセンサ30を波動歯車減速機10Aにねじ留めした場合でも、波動歯車減速機10Aの弾性変形に起因したトルクセンサ30の曲げ変形を抑制することができる。
【0086】
また、減速装置300においては、起歪体31は、スペーサ81から遠ざかるように凹み、起歪体31とスペーサ81との間に隙間S3を形成する環状凹部33を有する。このため、減速装置300は、起歪体31とスペーサ81とを、第3ねじ43のピッチ円直径の径方向外側領域において、スペーサ81の曲げ変形時に容易に非接触にすることができる。
【0087】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、或いは、各実施の形態における任意の構成要素の変形、若しくは、各実施の形態における任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0088】
10,10A,70 波動歯車減速機、11,71 ウェブジェネレータ、12,72 フレックススプライン、12a,72a 外歯歯車、12b フランジ部、13,73 サーキュラスプライン、13a、73a 内歯歯車、14,74 クロスローラベアリング、14a,74a 内輪、14b,74b 外輪、15,75 固定板、16,76 出力側部材、16a 円筒突出部、16b フランジ部、17,18,77,78 軸受、20 モータ、21 モータケース、22 ステータ、23 ロータ、24 入力軸、30 トルクセンサ、31 起歪体、31a 円筒突出部32 センシング部、33 環状凹部41,44 第1ねじ、42,45 第2ねじ、43 第3ねじ、46 ねじ、51,53 第1固定ねじ、52,54 第2固定ねじ、61 アーム外装、81 スペーサ、100,200,300 減速装置、S1,S2,S3 隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7