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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011908
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】貼付剤
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20240118BHJP
   A61M 35/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61M37/00
A61M35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114246
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】淺野 稔浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】小柳 朋彦
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA71
4C267AA72
4C267BB06
4C267CC01
4C267EE08
4C267GG14
4C267HH08
4C267HH22
4C267HH30
(57)【要約】
【課題】使用前に通信不可状態とすることができるとともに、容易に通信可能状態とすることができる貼付剤を提供すること。
【解決手段】貼付剤は、支持体と、前記支持体の一方の主面に設けられた膏体と、前記支持体の他方の主面に設けられた、通信端末と無線通信する通信デバイスと、前記膏体及び前記通信デバイスの少なくとも一方に設けられ、前記通信デバイスを通信不可状態とする電磁波遮蔽材と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体の一方の主面に設けられた膏体と、
前記支持体の他方の主面に設けられた、通信端末と無線通信する通信デバイスと、
前記膏体及び前記通信デバイスの少なくとも一方に設けられ、前記通信デバイスを通信不可状態とする電磁波遮蔽材と、
を備える貼付剤。
【請求項2】
前記電磁波遮蔽材は、前記膏体を覆う保護フィルムである、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項3】
前記膏体は、前記通信デバイスよりも大きい、請求項2に記載の貼付剤。
【請求項4】
前記膏体は、前記通信デバイスより小さく、
前記電磁波遮蔽材は、前記膏体を覆い、且つ、前記通信デバイスより大きい保護フィルムである、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項5】
前記膏体を覆う第1保護フィルムを備え、
前記電磁波遮蔽材は、前記通信デバイスを覆う第2保護フィルムである、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項6】
前記支持体は、前記通信デバイスを着脱可能な粘着性を有する、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項7】
電磁波を遮蔽する包装袋を備え、
前記支持体、前記膏体、前記通信デバイス及び前記電磁波遮蔽材は、前記包装袋に収容される、請求項1に記載の貼付剤。
【請求項8】
前記通信デバイスは、周囲の電磁波からエネルギーを得て動作する無線タグである、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の貼付剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤の使用を支援するシステムに用いられる貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関や調剤薬局から処方された薬剤は、患者が誤った薬剤を使用しないように、薬剤使用方法が記載された薬袋や指導箋に従って薬剤使用の指導をする手段が取られている。
【0003】
また、患者の薬剤使用忘れ防止のため、無線通信機器を利用し、患者の薬剤使用状況を管理し通知する手段も知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、患者の皮膚(肌)に貼付する貼付剤に電子部品を設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表第2016-523159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術は、貼付剤に接着剤により電子部品を設け、電子部品の上にカバーフィルムを設ける構成である。しかしながら、電子部品を無線タグ等とする場合には、無線タグが意図せずに通信可能状態となる虞がある。例えば、無線タグを操作することで通信状態を切り替え可能とすると、無線タグが大型となる虞もある。また、通信状態の切り替え作業が煩雑となる虞もある。
【0006】
そこで、本発明は、使用前に通信不可状態とすることができるとともに、容易に通信可能状態とすることができる貼付剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る貼付剤は、支持体と、前記支持体の一方の主面に設けられた膏体と、前記支持体の他方の主面に設けられた、通信端末と無線通信する通信デバイスと、前記膏体及び前記通信デバイスの少なくとも一方に設けられ、前記通信デバイスを通信不可状態とする電磁波遮蔽材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、使用前に通信不可状態とすることができるとともに、容易に通信可能状態とすることができる貼付剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る貼付剤を用いた薬剤使用支援システムの構成の一例を示す説明図。
図2】同薬剤使用支援システムの構成の一例を示す説明図。
図3】同貼付剤の構成を示す平面図。
図4】同貼付剤の構成を示す断面図。
図5】同貼付剤の構成を示す下面図。
図6】同貼付剤を包装袋に収容した状態を示す平面図。
図7】同包装袋を開封した状態を示す説明図。
図8】同貼付剤の使用の一例を示す説明図。
図9】他の実施形態に係る貼付剤の構成を示す平面図。
図10】同貼付剤の構成を示す断面図。
図11】他の実施形態に係る貼付剤の構成及び使用の一例を示す説明図。
図12】同貼付剤の構成を示す下面図。
図13】他の実施形態に係る貼付剤の構成及び使用の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る貼付剤1を用いた薬剤使用支援システム2の構成を示す説明図であり、図2は、薬剤使用支援システム2の構成であって、使用の一例を示す説明図である。図3は、貼付剤1の構成を示す平面図であり、図4は、貼付剤1の構成を示す断面図であり、図5は、貼付剤1の構成を示す下面図である。図6は、貼付剤1を包装袋25に収容した状態を示す平面図であり、図7は、包装袋25を開封した状態を示す説明図である。図8は、貼付剤1の使用の一例を示す説明図である。
【0011】
貼付剤1は、例えば、薬剤である貼付剤本体10に通信デバイス11が設けられ、通信端末と無線通信が可能に形成される。このような貼付剤1は、図1及び図2に示すように、例えば、患者が貼付剤1を使用するときに支援(管理)を行う薬剤使用支援システム2に用いられる。先ず、薬剤使用支援システム2について説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、薬剤使用支援システム2は、貼付剤1、管理サーバ12及び端末13を有する。図2に示すように、薬剤使用支援システム2は、端末13により、第1のトリガー情報としてのコード28、例えばQRコード(登録商標)を読み取り、医療機関が定めた貼付剤本体10の投与方法を端末13に記憶し、更にこれをトリガーに、貼付剤本体10の種類、説明、画像等の貼付剤本体10の管理情報を管理サーバ12から取得し端末13に記憶する。また、薬剤使用支援システム2は、第2のトリガー情報を通信デバイス11から取得し、これら取得した各種情報に基づいて端末13によって貼付剤1の使用状況を取得及び/又は判定し、使用者(患者)の薬剤の使用を管理するシステムである。また、薬剤使用支援システム2は、例えば、端末13が第2のトリガー情報を取得すると、記憶した管理情報に基づいて薬剤使用支援を管理するアプリケーションの画面を端末13に表示し、該アプリケーションの画面に貼付剤本体10の管理情報を表示し、患者が管理情報を視認可能とすることで、貼付剤本体10の管理情報を患者に提供する。また、薬剤使用支援システム2は、通信デバイス11との通信により通信デバイス11から取得する使用状況、QRコード28及び管理サーバ12から取得した管理情報に基づいて、端末13により患者の貼付剤本体10の使用状況を判定し、誤った使用と判断すると、端末13により、アラートを患者へ発報する。
【0013】
図1に示すように、薬剤使用支援システム2において、各構成要素は通信手段によって情報の送受信が行われる。具体例として、通信デバイス11と端末13とは、Bluetooth(登録商標)等の比較的近距離の無線通信手段により接続されることを想定する。また、具体例として、管理サーバ12と端末13とは、ネットワークNWを介して、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimaxなどの比較的遠距離の無線通信回線を介して接続される。なお、管理サーバ12と端末13とは、USB(Universal Serial Bus)やケーブルによるLAN(Local Area Network)接続といった有線通信回線を介して接続されてもよい。また、通信デバイス11、管理サーバ12及び端末13は、上述した通信手段に限定されず、他の通信手段によって接続される構成であってもよい。
【0014】
次に、貼付剤1の構成について説明する。図3及び図4に示すように、貼付剤1は、貼付剤本体10と、貼付剤本体10に着脱可能に設けられた通信デバイス11と、を備える。
【0015】
図6に示すように、貼付剤1は、例えば、包装袋25を備え、貼付剤本体10及び通信デバイス11が包装袋25に収容され、密封される。貼付剤1は、例えば、薬局から処方されたときに、所定数の包装袋25に包装された貼付剤1が、図2に示すように、管理用の薬袋26に、指導箋27とともに収容される。また、図7に示すように、貼付剤1は、使用時に、包装袋25を開封し、包装袋25から取り出されることで、使用される。
【0016】
貼付剤本体10は、種々の疾患に用いられ、人体に貼付する貼付剤である。貼付剤本体10は、例えば、気管支喘息、虚血性心疾患、高血圧、過活動膀胱、アルツハイマー病、パーキンソン病、注意欠陥・多動性障害、総合失調症、うつ、閉経後骨粗鬆症、吐き気、アレルギー、鎮痛、禁煙、不妊等の治療において用いられる。貼付剤本体10は、経皮吸収によって薬物を患者の体内に送り込む。貼付剤本体10は、使用する種類、時間、回数等が定められる。
【0017】
具体例として、図3及び図4に示すように、貼付剤本体10は、シート状の支持体21と、支持体21の一方の主面に設けられた膏体22と、膏体22の表面を保護する保護フィルム23と、を備える。貼付剤本体10は、例えば、エストラーナテープ(久光製薬株式会社製)である。
【0018】
支持体21は、一方の主面に膏体22が設けられる。また、支持体21は、他方の主面に通信デバイス11が設けられる。支持体21は、粘着性を有する材料で形成されるか、又は、通信デバイス11が設けられる面に粘着性を有する粘着層が形成され、通信デバイス11を着脱可能に構成される。例えば、通信デバイス11を着脱可能な支持体21は、通信デバイス11が設けられる面に粘着剤が設けられていてもよく、また、支持体21全体が粘着性を有している材料によって形成されていてもよい。具体例として、支持体21は、粘着パッドにより形成されるか、粘着ポリマーを含有する層を含む。また、支持体21は、電磁波を遮蔽する機能を有する材料で形成されていてもよい。
【0019】
支持体21は、一方の主面に膏体22が設けられ、他方の主面に通信デバイス11が設けられる。支持体21は、主面の形状が膏体22及び通信デバイス11と同じ形状か、又は、膏体22及び通信デバイス11よりも大きい形状に形成される。具体例として、支持体21の主面は、通信デバイス11及び膏体22よりも大きい矩形状に形成される。支持体21は、長方形状に形成される。
【0020】
膏体22は、薬物及び粘着剤により形成される。膏体22は、皮膚に接触することで、含有される薬物を経皮吸収可能に構成される。膏体22の形状は、主面方向において、支持体21の大きさと同じか、若干小さく、且つ、通信デバイス11よりも大きく形成される。図5に示すように、膏体22は、例えば、楕円形状に形成される。図5に示すように、膏体22は、楕円形状の長軸の長さ及び単軸の長さが、支持体21の長辺及び短辺と同じか若干小さく設定され、通信デバイス11よりも大きく形成される。
【0021】
保護フィルム23は、患者の皮膚に膏体22を貼付する前において、膏体22を覆うことで、膏体22を保護する。患者の皮膚(肌)に膏体22を貼付させるときに、図8に示すように、保護フィルム23は、膏体22から剥がされる。保護フィルム23は、少なくとも膏体22を覆う形状に形成される。よって、保護フィルム23は、例えば、通信デバイス11よりも大きい形状に形成される。また、保護フィルム23は、例えば、支持体21に設けられた通信デバイス11と、厚さ方向で対向する。ここで、厚さ方向とは、例えば、通信デバイス11、支持体21、膏体22の積層方向と同じ方向である。
【0022】
保護フィルム23は、例えば、電磁波を遮蔽する機能を有する材料で形成される電磁波遮蔽材である。例えば、保護フィルム23は、電磁波を遮蔽するシールド性を有する。保護フィルム23は、膏体22を保護しているときに、支持体21に設けられた通信デバイス11からの電磁波を遮蔽するか、又は、通信デバイス11を通信不可状態とする。例えば、保護フィルム23は、膏体22に貼付されているときに、通信デバイス11を通信不可状態とし、膏体22から剥がされることで、通信デバイス11が起動し、通信デバイス11を通信可能状態とする。このような保護フィルム23は、例えば、アルミ箔、金属蒸着フィルム、ハイドロゲルフィルム等により形成される。
【0023】
包装袋25は、単数又は複数の貼付剤本体10を包装し、密封する。包装袋25は、電磁波を遮蔽する機能を有する材料で形成される電磁波遮蔽材である。包装袋25は、例えば、電磁波を遮蔽するシールド性を有する。包装袋25は、貼付剤本体10を包装しているときに、支持体21に設けられた通信デバイス11からの電磁波を遮蔽するか、又は、通信デバイス11を通信不可状態とする。
【0024】
図2に示すように、薬袋26は、例えば、患者の氏名、用法、用量、調剤年月日、調剤した薬剤師名、調剤した薬局又は病院若しくは診療所等の名称及び所在地等の情報が表示された袋である。図2に示すように、指導箋27は、薬剤の名称、効能、用法、用量、治療スケジュール等の薬剤情報が表示された患者向け資材である。
【0025】
また、貼付剤本体10、貼付剤本体10に設けられる通信デバイス11、貼付剤本体10を包装する包装袋25、薬袋26及び指導箋27の少なくともいずれかに、貼付剤本体10に情報を紐づけたコード28が印刷や印刷されたシールを貼付すること等により設けられる。
【0026】
コード28は、例えば、一次元コード又は二次元コードであり、具体例としてQRコードである。以下、コード28をQRコード28として説明する。QRコード28は、端末13において、管理する貼付剤本体10の情報を取得するための第1のトリガー情報である。QRコード28は、貼付剤本体10の情報がコード化されたものである。ここで、貼付剤本体10の情報とは、例えば、貼付剤本体10自体の情報、貼付剤本体10にあらかじめ定められている投与方法等の情報、又は、患者に合わせた貼付剤本体10の使用方法(用法、用量、治療スケジュール)等、薬剤の使用を医者又は薬剤師が患者ごとに定めた情報であり得る。なお、第1のトリガー情報は、管理サーバ12から端末13が取得する情報と紐付いていれば良いことから、貼付剤本体10の情報ではなく、患者の情報であってもよい。即ち、第1のトリガー情報は、貼付剤本体10の情報に加えて、その他の情報を含んでいてもよく、また、貼付剤本体10の情報自体であってもよい。
【0027】
通信デバイス11は、端末13と無線通信を行う。通信デバイス11の電波方式は一般的なものであり、記録されている情報を端末13が読み取ることのできるものであれば、その形式は問わず、周波数帯は433MHz、900MHz帯、2.45GHzのいずれのものを使用してもよい。通信デバイス11に用いられる無線通信技術は、例えば、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energy (BLE)(登録商標)である。通信デバイス11は、例えば、アクティブタグであってもよく、また、パッシブタグであってもよい。
【0028】
通信デバイス11がアクティブタグである場合には、通信デバイス11は、電池や電力供給回路等を有する構成であってもよく、また、環境発電を行うタグであってもよい。好適には、通信デバイス11は、環境発電を行い、バッテリーレスのタグである。即ち、通信デバイス11は、周囲の電磁波からエネルギーを得て動作する無線タグである。例えば、環境発電型無線タグとしては、IoTセンシング・ラベル「Wiliot IoT ピクセル」(Wiliot社製)が挙げられる。通信デバイス11は、温度センサが内蔵されているタイプもある。
【0029】
通信デバイス11は、矩形状又は略矩形状に形成される。具体例として、通信デバイス11は、例えば、整合回路を含むタグアンテナ11aと、ICチップ11bと、を備える。また、通信デバイス11は、例えば、温度センサ11cを有する。ICチップ11bは、固有のタグ識別情報を記憶し、端末13との通信時に、固有のタグ識別情報を送信する。温度センサ11cは、例えば、ICチップ11bに内蔵される。通信デバイス11は、リーダライタを介して端末13と通信するRFIDタグであってもよい。
【0030】
通信デバイス11は、例えば、貼付剤本体10の支持体21に固定され、包装袋25に貼付剤本体10とともに包装される。なお、通信デバイス11は、包装袋25から取り出した貼付剤本体10の支持体21に、患者が貼付する構成であってもよい。
【0031】
通信デバイス11は、保護フィルム23で膏体22が保護されているとき及び包装袋25に包装されているときに、電磁波が遮蔽され、通信不可となる。なお、通信デバイス11は、患者の皮膚に貼付剤本体10が貼付されると、通信不可となる構成であってもよい。通信デバイス11は、皮膚に貼付する前に、包装袋25から取り出し、保護フィルム23を剥がしたときに、電磁波の遮蔽が解除され、通信可能となる。通信デバイス11は、端末13と通信することで、第2のトリガー情報を端末13に送信する。また、通信デバイス11は、第2のトリガー情報に加えて、通信デバイス11が設けられる貼付剤本体10の情報を端末13に送信してもよい。
【0032】
このように構成された貼付剤1は、膏体22を覆う保護フィルム23を、電磁波を遮蔽する機能を有する構成とすることで、貼付剤本体10の使用前において、保護フィルム23が膏体22を覆うときに、通信デバイス11を通信不可状態とすることができる。また、貼付剤本体10を使用するときに、保護フィルム23を膏体22から剥がすことで、通信デバイス11を起動し、通信可能状態とすることができる。
【0033】
このように、貼付剤1は、使用前に通信デバイス11を通信不可状態とすることができるとともに、保護フィルム23を剥がすだけで通信デバイス11を通信可能状態とすることができることから、患者が容易に、通信デバイス11の通信状態を切り替えることができる。
【0034】
また、貼付剤1は、通信デバイス11を着脱可能に支持体21に粘着させることで、通信デバイス11を繰り返し使用することが可能となる。このため、通信デバイス11を再利用することで、貼付剤1の製造コストを抑制することができる。また、例えば、患者が通信デバイス11を支持体に着脱させる使用方法とすれば、処方された複数の貼付剤1のうち1つに通信デバイス11を設け、他の貼付剤1には通信デバイス11を設けない、即ち、他の貼付剤1として貼付剤本体10のみ処方することもできる。
【0035】
上述したように、本発明の実施形態に係る貼付剤1によれば、使用前に通信不可状態とすることができるとともに、容易に通信可能状態とすることができる。
【0036】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した例では、貼付剤1の一例として、貼付剤本体10が電磁波を遮蔽する保護フィルム23を有する構成を説明したが、これに限定されない。
【0037】
例えば、図9及び図10に示す他の実施形態のように、貼付剤1は、支持体21に設けられた通信デバイス11を覆う電磁波遮蔽材としての第2保護フィルム31を有する構成としてもよい。第2保護フィルム31は、通信デバイス11よりも大きい形状に形成される。第2保護フィルム31は、例えば、電磁波を遮蔽する機能を有する材料で形成される電磁波遮蔽材である。
【0038】
例えば、第2保護フィルム31は、電磁波を遮蔽するシールド性を有する。第2保護フィルム31は、通信デバイス11を覆い、通信デバイス11を保護する。第2保護フィルム31は、通信デバイス11を保護しているときに、通信デバイス11からの電磁波を遮蔽するか、又は、通信デバイス11を通信不可状態とする。例えば、第2保護フィルム31は、通信デバイス11に貼付されているときに、通信デバイス11を通信不可状態とし、通信デバイス11から剥がされることで、通信デバイス11が起動し、通信デバイス11を通信可能状態とする。このような第2保護フィルム31は、例えば、アルミ箔、金属蒸着フィルム、ハイドロゲルフィルム等により形成される。
【0039】
このように、貼付剤1が第2保護フィルム31を有する場合には、膏体22を保護する第1保護フィルム(保護フィルム)23は、電磁波を遮蔽するシールド性を有していても良く、また、電磁波を遮蔽するシールド性を有していなくても良い。即ち、貼付剤1は、第1保護フィルム23及び第2保護フィルム31の少なくとも一方を有する構成とし、そして、第1保護フィルム23及び第2保護フィルム31の少なくとも一方が電磁波を遮蔽するシールド性を有すればよい。このため、他の例としては、第1保護フィルム23及び第2保護フィルム31を有し、第1保護フィルム23が電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽材を構成し、第2保護フィルム31が電磁波を遮蔽するシールド性を有さない構成としてもよい。
【0040】
また、上述した例では、膏体22が、支持体21と同じか若干小さく、そして、通信デバイス11よりも大きい構成、具体例として、楕円形状の長軸の長さ及び単軸の長さ、支持体21の長辺及び短辺と同じか若干小さく設定され、そして、通信デバイス11よりも大きく形成される構成を説明した。しかしながら、膏体22の形状は、これに限定されない。例えば、図11及び図12に示す他の実施形態の貼付剤1のように、膏体22は、支持体21よりもかなり小さく、そして、通信デバイス11よりも小さい構成としてもよい。
【0041】
具体例として、膏体22は、楕円形状に形成され、楕円形状の長軸の長さ及び単軸の長さが、支持体21の長辺及び短辺の半分以下であって、且つ、通信デバイス11よりも小さく形成される構成であってもよい。このような構成の貼付剤1は、膏体22と同形状の保護フィルム23では、通信デバイス11よりも小さいことから、電磁波の遮蔽が難しく、上述した電磁波を遮蔽するシールド性を有する第2保護フィルム31を設ける構成とすればよい。
また、他の例としては、図13に示すように、保護フィルム23の形状を膏体22及び通信デバイス11よりも大きい形状としてもよい。なお、保護フィルム23を膏体22よりも大きい構成とした場合には、保護フィルム23及び支持体21の間に隙間が生じると、通信デバイス11が通信可能状態となる虞があることから、保護フィルム23の外周縁の全周が、少なくとも支持体21に接触していることが好ましい。
【0042】
また、上述した例では、貼付剤1は、電磁波を遮蔽する包装袋25を有する構成を説明したが、これに限定されない。貼付剤1は、電磁波を遮蔽しない包装袋25を有する構成であってもよく、また、包装袋25を有さない構成であってもよい。
【0043】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0044】
1…貼付剤、2…薬剤使用支援システム、10…貼付剤本体、11…通信デバイス、11a…タグアンテナ、11b…ICチップ、11c…温度センサ、12…管理サーバ、13…端末、21…支持体、22…膏体、23…保護フィルム(第1保護フィルム、電磁波遮蔽材)、25…包装袋(電磁波遮蔽材)、26…薬袋、27…指導箋、28…QRコード、31…第2保護フィルム(電磁波遮蔽材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13