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特開2024-119085登山キャンセル補償型保険システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119085
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】登山キャンセル補償型保険システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20240827BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025709
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】523152178
【氏名又は名称】株式会社ヤマップネイチャランス損害保険
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 彰宏
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB61
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】登山環境の変化に伴う登山の中止や中断を後押しする。
【解決手段】本システムは、登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する記憶部と、登山当日の登山環境が、所定の登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第1判定部と、登山当日の加入者の位置情報に基づいて登山を中止または中断したかを判定する第2判定部と、第1判定部及び第2判定部の各判定結果に基づいて、加入者への補償金の支払い可否を決定する支払い管理部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
登山キャンセル補償型保険システムであって、
登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する記憶部と、
登山当日の登山環境が、所定の登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第1判定部と、
登山当日の加入者の位置情報に基づいて登山を中止または中断したかを判定する第2判定部と、
前記第1判定部及び前記第2判定部の各判定結果に基づいて、加入者への補償金の支払い可否を決定する支払い管理部と、
を有することを特徴とする登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項2】
加入者が登録した登山計画書及び加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、
前記第2判定部は、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山計画書に登録された目的地まで行かなかった場合に、登山を中止または中断したと判定することを特徴とする請求項1に記載の登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項3】
加入者が登録した登山計画書及び加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、
前記第2判定部は、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山計画書に登録された登山ルートの登山実績がない場合は登山中止と判定し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山計画書に登録された登山ルートの登山実績があるが目的地まで行かずに下山した場合は登山中断と判定し、
登山中止の補償金と登山中断の補償金とが異なることを特徴とする請求項1に記載の登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項4】
加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、
前記第2判定部は、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山実績に基づく歩行実績が所定値未満である場合、登山を中止または中断したと判定することを特徴とする請求項1に記載の登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項5】
前記所定の登山キャンセル事由は、登山キャンセル気象条件を含み、
前記第1判定部は、登山当日の気象が、前記登山キャンセル気象条件に該当するか否かを判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項6】
前記所定の登山キャンセル事由は、噴火警戒レベルを含み、
前記第1判定部は、登山当日の噴火警戒レベルが、所定の噴火警戒レベル以上であるか否かを判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項7】
前記第1判定部は、登山当日においてリアルタイムに登山環境が前記所定の登山キャンセル事由に該当するか否かを判定し、
前記所定の登山キャンセル事由に該当すると判定された場合、登山当日現地に居る加入者が携帯する端末装置に、請求勧奨情報を送信する通知制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項8】
登山キャンセル補償型保険システムの管理装置で実行されるプログラムであって、前記管理装置に、
登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する第1機能と、
登山当日の登山環境が、所定の登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第2機能と、
登山当日の加入者の位置情報に基づいて登山を中止または中断したかを判定する第3機能と、
前記第2機能及び前記第3機能の各判定結果に基づいて、加入者への補償金の支払い可否を決定する第4機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪天候等により登山を中止または中断した登山者に補償金を支払う保険技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、登山保険(又は山岳保険)がある。登山保険は、救援者費用等の補償を含めた様々な補償内容があり、また、1日単位、月単位、年単位などの契約タイプがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-005151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
登山にはリスクが伴う。このため、登山者は上述のような登山保険に加入して「なにかあった場合」に備えるが、これまでの登山関連の保険商品には、山岳遭難の防止や怪我等の防止の観点の保険商品がなかった。つまり、従来の登山保険は、実際にリスクや損害等が発生したことで保険金が支払われるものであり、リスクや損害等の発生を事前に抑制する観点の保険商品が、いままでなかった。
【0005】
例えば、悪天候での登山は危険である。このため、登山当日の天気が悪天候であれば、登山を中止した方がよい。近年、山の天気を配信するサービスが多数あり、事前に登山当日の山岳天気(予報)を把握して、悪天候下の登山を避け、天候の良い日に登山するようスケジューリングすることができる。登山者は、なるべく悪天候での登山を避けたスケジューリングを行い、山岳遭難や怪我等の防止に努めている。
【0006】
しかしながら、登山当日、山岳の現地に到着すると、予報と違って悪天候であったり、登山途中に急に天候が悪くなったりする場合がある。このとき、登山者は、悪天候だから登山を中止または中断するという選択肢以外に、多少悪天候でも「折角ここまで来たのだから登山をしたい」、「このまま登山を続けたい」という心理が働いたり、このくらいの悪天候なら自分は大丈夫と判断したりし、悪天候の中、登山をする登山者が後を絶たない実情がある。
【0007】
登山は、原則、自己責任であり、登山を決行する、登山を中止する(中断する)といった判断は、登山者に一任されるが、登山者もやみくもに悪天候の中、登山を決行したいわけではない。登山者は、登山リスクが念頭にあるものの、悪天候に伴う登山の中止(中断)を後押ししてくれる手立てが今までなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、登山環境の変化による登山の中止や中断を支払い条件とした保険商品を提供し、登山者に対して登山の中止や中断を後押しすることができる登山キャンセル補償型保険システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の登山キャンセル補償型保険システムは、登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する記憶部と、登山当日の登山環境が、所定の登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第1判定部と、登山当日の加入者の位置情報に基づいて登山を中止または中断したかを判定する第2判定部と、上記第1判定部及び第2判定部の各判定結果に基づいて、加入者への補償金の支払い可否を決定する支払い管理部と、を有する。
【0010】
(2)上記(1)において、加入者が登録した登山計画書及び加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携するように構成することができ、上記第2判定部は、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山計画書に登録された目的地まで行かなかった場合に、登山を中止または中断したと判定するように構成することができる。
【0011】
(3)上記(1)において、加入者が登録した登山計画書及び加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携するように構成することができる。上記第2判定部は、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山計画書に登録された登山ルートの登山実績がない場合は登山中止と判定し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山計画書に登録された登山ルートの登山実績があるが目的地まで行かずに下山した場合は登山中断と判定することができる。そして、登山中止の補償金と登山中断の補償金とが異なるように構成することができる。
【0012】
(4)上記(1)において、加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携するように構成することができる。上記第2判定部は、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山実績に基づく歩行実績が所定値未満である場合、登山を中止または中断したと判定するように構成することができる。
【0013】
(5)上記(1)から(4)において、上記所定の登山キャンセル事由は、登山キャンセル気象条件を含むことができる。このとき、上記第1判定部は、登山当日の気象が、登山キャンセル気象条件に該当するか否かを判定することができる。
【0014】
(6)上記(1)から(4)において、上記所定の登山キャンセル事由は、噴火警戒レベルを含むことができる。このとき、上記第1判定部は、登山当日の噴火警戒レベルが、所定の噴火警戒レベル以上であるか否かを判定することができる。
【0015】
(7)上記(1)から(4)において、上記第1判定部は、登山当日においてリアルタイムに登山環境が所定の登山キャンセル事由に該当するか否かを判定するように構成することができる。このとき、本システムは、通知制御部をさらに備えることができ、通知制御部は、所定の登山キャンセル事由に該当すると判定された場合、登山当日現地に居る加入者が携帯する端末装置に、請求勧奨情報を送信するように構成することができる。
【0016】
(8)本発明のプログラムは、登山キャンセル補償型保険システムの管理装置で実行され、以下の機能を実現させる。
登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する第1機能、
登山当日の登山環境が、所定の登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第2機能、
登山当日の加入者の位置情報に基づいて登山を中止または中断したかを判定する第3機能、及び
上記第2機能及び上記第3機能の各判定結果に基づいて、加入者への補償金の支払い可否を決定する第4機能。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、登山当日に現地に赴いた登山者が、登山環境の変化のために登山を中止又は中断したことに対し、未然に山岳遭難や怪我等の登山リスクを回避した報酬として、補償金が支払われる。このため、登山者に対し、登山環境の変化による登山リスクの回避を後押しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態の登山キャンセル補償型保険システムのネットワーク構成図である。
図2】第1実施形態の登山キャンセル補償型保険システムを構成する各機器の機能ブロック図である。
図3】第1実施形態の登山キャンセル補償型保険の仕組みを説明するための図である。
図4】第1実施形態の登山キャンセル補償型保険システムの処理フローを示す図である。
図5】第2実施形態の登山キャンセル補償型保険システムを構成する各機器の機能ブロック図である。
図6】第2実施形態の登山キャンセル補償型保険システムの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態)
図1から図4は、第1実施形態を説明するための図である。図1は、本実施形態の登山キャンセル補償型保険システムのネットワーク構成図である。
【0020】
本システムは、登山当日に現地に赴いた登山者に対し、登山環境が所定の登山キャンセル事由に該当した場合に、登山を中止又は中断すれば、未然に山岳遭難や怪我等の登山リスクを回避した報酬として補償金を支払う仕組みを実現するものであり、登山管理装置300で収集・蓄積される登山者の登山履歴及び外部サービス400が提供する気象情報や災害・防災情報に基づいて、補償金を支払う。
【0021】
保険管理装置100は、登山キャンセル補償型保険の契約処理及び補償金支払い可否判定処理を行う。
【0022】
登山キャンセル補償型保険の契約処理は、保険加入処理であり、公知の手法を採用することができる。例えば、ユーザ端末200から保険管理装置100に接続し、所定の保険加入手続き(必要事項(住所、氏名、年齢、連絡先など)の入力、同意、保険料の支払い(決済)処理等)を、オンラインで行うことができる。また、書面でのオフラインの保険加入手続きであってもよい。オンラインまたはオフラインでの保険加入手続きが完了すると、登山キャンセル補償型保険の加入者情報が蓄積される。書面によるオフライン手続きの場合は、登山者が記入した保険加入申請書に基づいて、作業者が保険管理装置100に加入者情報を入力する。
【0023】
本登山キャンセル補償型保険の加入は、登山予定日の前であれば任意のタイミングで行うことができ、例えば、登山予定日の1週間前までに加入することができるように制御することができる。
【0024】
また、保険タイプは、複数のタイプを用意することができる。例えば、1日払い保険、月額払い保険、年額払い保険の保険商品として提供することができる。また、複数日に跨る登山日程に合わせてカスタマイズした保険商品とすることもできる。登山者が支払う保険料(徴収する保険料)の金額は、適宜設定することができ、複数の各タイプにおいて、それぞれ異なる保険料を設定することができる。
【0025】
一方、補償金は、登山者に一定額が支払われる。また、後述するように、登山の中止と登山の中断で異なる補償金が支払われるように構成することができる。なお、補償金は、本登山キャンセル補償型保険の加入に基づき、加入者である登山者からの請求に基づいて、諸条件を満たしている場合に、当該登山者に補償金が支払われる。また、補償金の請求回数も任意に設定することができる。例えば、月額払い保険や年額払い保険の場合、月に1回まで、月に2回まで、年間トータルで15回までといった制限を設けるように構成したりすることもできる。
【0026】
そして、図1に示すように、保険管理装置100、登山管理装置300、及び外部サービス400は、IP網や専用回線などで接続され、ユーザ端末200は、保険管理装置100及び登山管理装置300に対し、IP網や4G/5G/LTE回線(携帯電話回線を介したモバイルデータ通信)などの移動通信網で接続される。
【0027】
本システムは、保険管理装置100が、登山者の登山計画情報や登山実績情報を管理する登山管理装置300と、気象情報や火山計画レベルなどの情報を提供する外部サービス(外部サービス装置)400と連携したシステム構成を備える。言い換えれば、登山管理機能を提供する登山管理装置300に対して保険管理装置100が連携し、登山キャンセル補償型保険が管理される側面を有する。
【0028】
登山者は、ユーザ端末200を通じて登山管理装置300とデータ通信を行い、登山計画書を作成し、登録することができる。また、ユーザ端末200は、GPS装置230を用いて登山者の位置情報を取得する。ユーザ端末200は、登山管理装置300に位置情報を送信し、登山実績(登山履歴)を蓄積する。
【0029】
外部サービス400は、気象情報を提供する気象情報提供サービスや、噴火警戒レベルや地震情報などの災害・防災情報を提供するサービスである。保険管理装置100は、これら外部サービスを提供するサーバ装置(外部サービス提供装置)とネットワークを介して接続し、各種情報を取得する。なお、保険管理装置100は、提供される情報別に複数の外部サービス400と接続したり、気象情報や災害・防災情報などを取りまとめて提供する1つの外部サービス400と接続したりすることができる。
【0030】
図2は、本実施形態の登山キャンセル補償型保険システムを構成する各機器の機能ブロック図である。
【0031】
保険管理装置100は、通信装置110、制御装置120及び記憶装置130を含んで構成されている。制御装置120は、判定部121、登山キャンセル事由判定部121A,位置・行動判定部121B、支払い管理部122、情報管理部123、保険契約制御部124を含む。
【0032】
記憶装置130は、登山キャンセル補償型保険の加入者情報131、登山キャンセル事由情報132、外部サービス情報133、及び保険情報134を保持する。
【0033】
ユーザ端末200は、例えば、スマートフォンなどの多機能携帯電話機やタブレット端末などの持ち運び可能な携帯端末(モバイル端末)であり、通信部210は、IP網や移動通信網での無線通信制御制御を行う。例えば、Wi-Fi(無線LAN)機能やSIMカードを利用したモバイルデータ通信機能を備えている。また、通話機能を備えるように構成してもよい。
【0034】
ユーザ端末200は、制御部220、GPS装置230、タッチパネル方式の表示・入力部240、及びメモリ250をさらに備えることができる。
【0035】
ユーザ端末200の制御部220は、登山管理アプリケーションとして機能し、登山管理装置300との間で登山計画を登録する機能、GPS装置230によって取得される位置情報に基づく登山実績を記録する機能、及び記録した登山実績(位置情報)を登山管理装置300に送信する機能、を備える。また、制御部220は、これら各機能で使用する画面の表示制御、メモリ250への各種情報の記憶制御など、ユーザ端末200全体の制御を司ると共に、登山管理アプリケーションの制御を行う。
【0036】
GPS(Global Positioning System)装置230は、現在位置(緯度、経度など)を特定する機能であり、公知の機器を適用することができる。制御部220は、例えば、登山管理アプリケーションの起動に伴い、GPS装置230による位置情報取得処理を開始させ、取得した位置情報を時系列にメモリ250に記憶する。GPS装置230で取得される位置情報は、その時刻における現在位置を示すものであり、メモリ250に記憶される位置情報は、時間情報を含み、登山管理装置300に蓄積される(送信される)位置情報も時間情報を含む形で管理される。なお、制御部220は、時系列に取得した各位置情報をリアルタイムに順次登山管理装置300に送信したり、所定タイミングで、それまでに取得した時系列の各位置情報を集約して登山管理装置300に送信したりすることができる。
【0037】
また、制御部220は、例えば、予めダウンロードされた山岳地図情報に、時系列に取得された各位置情報をマッピングし、登山軌跡を山岳地図に表示する表示制御を行うこともできる。他の態様としては、登山管理装置300が受信した位置情報を山岳地図情報にマッピングし、当該登山者の登山軌跡が描かれた登山地図をユーザ端末200に提供するように構成してもよい。登山者は、ユーザ端末200で、登山中の現在位置の確認や登山ルートの確認を行うことができる。
【0038】
次に、登山管理装置300について説明する。登山管理装置300は、通信装置310、制御装置320、及び記憶装置330を含んで構成され、制御装置320は、登山計画管理部321と登山実績管理部322とを含む。
【0039】
登山者は、予め登山管理装置300にユーザ登録を行う。登山管理装置300の制御装置320は、所定のユーザ登録画面を提供し、ユーザ情報331を記憶装置330に保持している。ユーザ情報は、住所、氏名、年齢、生年月日、電話番号、電子メールアドレスなどユーザの個人を特定する情報やユーザと連絡を取るための情報が含まれる。
【0040】
登山者は、事前に、登山計画書を作成し、提出することができる。登山計画書は、登山する山、スタート地点(登山口)、目的地、目的地までの登山ルート、登山ルート上の通過予定時刻、登山予定日、日数、予定人数、入山予定時刻、下山予定時刻、氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、緊急連絡先(電話番号、電子メールアドレス)などの情報を含むように構成することができる。なお、登山計画書として提出される情報はこれに限るものではなく、また、必要に応じて任意に設定することができる。登山計画管理部321は、ユーザ端末200との間の登山計画の作成及び登録を制御し、登山計画情報332を記憶装置330に記憶する。
【0041】
なお、上述のように、本登山キャンセル補償型保険は、登山管理装置300と連携したシステム構成であるため、例えば、登山者が登山計画書を登録する際に、保険に加入するといったボタンを用意し、当該ボタンを通じて保険管理装置100にユーザ端末200を接続するように構成することができる。その後、保険管理装置100の保険契約制御部124は、接続されたユーザ端末200に対し、上述した保険加入処理を行うことができる。また、保険契約制御部124は、当該ボタンの選択を契機に、保険加入のための必要書類の送付受け付け処理や、必要書類のダウンロード処理などを提供する構成を備えるようにしてもよい。
【0042】
本実施形態では、保険管理装置100に登録される加入者と、登山管理装置300に登録されるユーザ、すなわち、保険加入者と登山者が一対一で紐付いて管理される。例えば、保険加入条件として、登山管理装置300へのユーザ登録を前提とし、ユーザ端末200を通じて登山実績(登山当日の位置情報)を取得可能な登山者に対し、登山キャンセル補償型保険を提供するように構成することができる。
【0043】
登山実績管理部322は、ユーザ端末200から登山者の位置情報を取得する。登山者の位置情報を時系列に蓄積して登山実績情報333として記憶装置330に記憶する。位置情報には時間情報が紐付いており、その時間に、経度及び緯度で特定される位置に登山者が居たことを把握することができる。
【0044】
図3は、本実施形態の登山キャンセル補償型保険の仕組みを説明するための図である。
【0045】
登山キャンセル補償型保険は、登山当日の登山環境と登山当日の登山履歴とが補償金を支払う条件として設定される。
【0046】
つまり、登山当日の登山環境が悪化した又は悪化している場合に、登山者が登山を中止又は中断したことに対する報酬として補償金を支払う仕組みとして、登山当日の登山環境に基づく登山キャンセル事由適合判定(登山キャンセル事由判定部121A,第1判定部に相当)と、登山実績に基づく登山中止/中断適合判定(位置・行動判定部121B、第2判定部に相当)と、を備える。
【0047】
登山環境の一例として、気象がある。例えば、登山当日の登山口から目的地までの登山ルートにおいて、降水量、風速、雷などの気象状態を登山環境とすることができる。そこで、登山キャンセル事由132(登山キャンセル気象条件)として、降水量〇〇mm/h以上、風速〇〇以上などを設定し、記憶装置130に記憶する。そして、登山キャンセル事由適合判定として、外部サービス400から提供される気象情報(登山環境に関連する情報)に基づいて、登山当時の気象が、降水量〇〇mm/h以上、風速〇〇以上など登山キャンセル事由に該当する気象であるかを判定し、該当する場合は、登山を中止又は中断した方が望ましい登山環境であると判定する。
【0048】
また、登山環境の他の例としては、噴火警戒レベルや地震情報などがある。登山キャンセル事由として、所定の噴火警戒レベルを設定し、例えば、噴火警戒レベルが「2」である場合は、登山を中止又は中断した方が望ましい登山環境であると判定する。また、登山キャンセル事由として、所定震度以上の地震の発生を設定することもできる。この場合、例えば、山又は山周辺において所定震度以上の地震が24時間以内に発生した場合に、登山を中止又は中断した方が望ましい登山環境であると判定することができる。
【0049】
なお、上述の登山環境及び登山キャンセル事由は、一例であり、登山に関係する他の自然環境情報を適宜採用した登山キャンセル事由適合判定とすることができる。また、気象、噴火警戒レベル、地震情報それぞれを個別の登山キャンセル事由として設定したり、これらを組み合わせた登山キャンセル事由を設定したりすることができる。つまり、登山キャンセル事由適合判定は、1つ又は複数の登山キャンセル事由に基づいて判定処理を行うことができる。登山キャンセル事由適合判定は、複数の登山キャンセル事由のうちいずれか1つに該当するか、又は、24時間以内に所定震度の地震が発生し、かつ降水量〇〇mm/h以上の雨が降ったという複数の各登山キャンセル事由に該当するか、などの登山キャンセル事由適合判定を行うことができる。
【0050】
図2に戻り、登山者Xが、登山当日、山Pの登山口Aまで赴いたが、登山口Aから目的地までの登山ルートにおいて、天候が悪かった。そこで、登山者Xは、登山自体を中止し、登山をしなかった。このようなケースにおいて、外部サービス400から取得される登山当日の気象情報を用いて、登山当日の登山環境が所定の登山キャンセル事由に該当するかを判定する登山キャンセル事由適合判定が行われる。
【0051】
一方、登山者Xが登山自体を中止し、登山をしなかったことを判定するために、登山実績に基づく登山中止/中断適合判定が行われる。登山中止/中断適合判定は、位置適合判定と、行動適合判定とを含み、位置適合判定は、登山当日の位置情報から、登山予定の現地に居たかを判定する。行動適合判定は、登山当日の位置情報から、登山口から目的地までの登山ルートを歩いた実績があるかを判定する。
【0052】
位置適合判定は、登山当日に登山者が現地に居たか、つまり、登山者が現地まで赴いたかをチェックする判定処理である。現地とは、例えば、登山予定の山の登山口や当該登山口の周辺を含むことができる。なお、現地に居ると判定する範囲の設定は、任意であり、少なくても現地まで赴いている状況が把握できればよい。例えば、登山口の最寄り駅や駐車場などを含む範囲を設定し、登山当日の登山者の位置情報が設定した範囲に含まれていれば、登山当日に登山者が現地に居たと判定することができる。位置適合判定は、登山予定の山に対して予め設定された位置適合範囲情報を用い、登山当日の登山者の位置情報が位置適合範囲情報内であるか否かを判別することにより、行われる。
【0053】
行動適合判定は、登山口から目的地までの登山ルートを歩いた実績があるかをチェックし、登山当時の行動が、登山中止行動であるか、又は登山中断行動であるかを判定する。登山者の登山実績において、登山口から目的地までの歩行実績がない場合、その登山者は、登山中止行動をしたと判定される。また、登山者の登山実績において、登山口から目的地に向かった歩行実績があるものの、目的地まで到達していない場合、登山中断行動であると判定される。なお、登山中断行動の判定は、例えば、登山口から目的地までの距離に対し、登山口から歩行距離が所定割合以下である場合に、登山中断行動をしたものと判定し、所定割合以上歩行した実績がある場合は、登山中断行動をしていないと判定するように構成することができる。
【0054】
本実施形態では、登山当日に、登山計画書に登録された山に加入者が居り、かつ登山計画書に登録された登山ルートの登山実績がない場合は登山中止と判定する。また、登山当日に、登山計画書に登録された山に加入者が居り、かつ登山計画書に登録された登山ルートの登山実績があるが目的地まで行かずに下山した場合は登山中断と判定する。つまり、目的地まで行かなかった場合、当該登山者の行動は、登山中止行動又は登山中断行動であると判定される。
【0055】
図2の例において、登山者Xの登山実績を参照すると、登山計画書に登録された山に加入者が居り、かつ登山計画書に登録された登山ルートの登山実績がなかったので、登山を中止したと判定される。一方、登山者Yは、登山計画書に登録された登山ルートの登山実績があるものの。目的地まで行かずに下山していたので、登山を中断したと判定される。
【0056】
そして、登山キャンセル事由適合判定で、登山当日の登山状況が登山キャンセル事由に該当していることを前提に、登山者の行動が、登山中止又は登山中断に該当していた場合、加入者への補償金の支払いを決定する。
【0057】
ここで、登山者の登山中止行動と登山中断行動とで、異なる補償金を支払うように構成することができる。例えば、登山中止行動は、登山を全くしなかった点に鑑みて補償金として設定された金額の満額を支払う。一方、登山中断行動は、目的地まで行かなかったものの、少なからず登山をしたという点に鑑み、補償金として設定された金額の満額未満、例えば、補償金として設定された金額の半額(登山中止行動に対して支払われる補償金よりも少ない金額)を登山者に支払うよう、構成することができる。
【0058】
なお、登山中止行動又は登山中断行動を把握する際に、上記例では、登山計画書に登録された登山ルートの登山実績を検証しているが、登山計画書を使用せずに、登山者の位置情報から把握される歩行実績に基づいて、登山を中止または中断したかを把握するように構成してもよい。例えば、登山当日に現地に居る登山者の歩行実績が所定値未満である場合、登山を中止または中断したと判定するように構成することができる。つまり、地図情報から登山口や登山道を予め把握することができるので、例えば、登山道の歩行実績がなければ(登山口から登山道への歩行距離が、登山中止とみなせる所定距離未満であれば)、登山者が登山を中止したと判定することができる。また、登山道の歩行実績があるものの、登山口からの歩行距離が所定距離未満であれば、登山者が登山を中断したと判定することができる。
【0059】
図4は、本実施形態の登山キャンセル補償型保険システムの処理フローを示す図である。
【0060】
図4の例は、既に登山者が登山管理装置300へのユーザ登録を行い、ユーザ端末200を通じて登山計画書の登録機能及び登山実績の記録機能を使用可能な状態である。登山者は、ユーザ端末200を通じて、登山キャンセル補償型保険の保険加入処理を行う(S201,S010)。保険契約に必要な情報は、保険情報134として記憶装置130に記憶されており、保険契約制御部124は、保険情報134を適宜参照して保険加入処理を遂行する。保険管理装置100(保険契約制御部124)は、保険加入処理に伴い、登山キャンセル補償型保険の加入者情報131を記憶する(S011)。このとき、上述のように、加入者情報131は、登山管理装置300に登録されたユーザ情報331と、一対一で紐付き、登山者と加入者とが紐付けられる。
【0061】
登山者は、登山をするにあたり、登山計画書を作成して登山管理装置300に提出(登録)する(S202,S301)。保険管理装置100は、提出された登山計画書から、加入者が登山を行う対象地域を抽出する(S101)。
【0062】
登山当日、現地に到着すると、登山者は、ユーザ端末200において、登山管理アプリケーションを起動し、GPS装置230による位置情報取得処理を開始させる(S203)。ユーザ端末200(制御部220)は、取得した位置情報を登山管理装置300に送信し、登山管理装置300は、受信した位置情報を登山者別に登山履歴として格納する(S204,S302)。
【0063】
また、保険管理装置100(情報管理部123)は、外部サービス400から、気象情報、噴火警戒レベルや地震情報といった登山環境に関する情報を取得する。図4では、一例として、登山当日の気象情報を登山環境に関する情報として取得している。また、保険管理装置100は、対象地域を登山計画書から把握することができるので、把握された対象地域の気象情報などの登山環境に関する情報を取得するように構成することができる。保険管理装置100は、取得した気象情報を外部サービス情報133として記憶装置130に記憶する。気象情報などの登山環境に関する情報は、所定の時間間隔で時系列に連続して観測情報であり、各時刻での気象状態を把握可能な情報である。
【0064】
登山者は、後日、登山キャンセル補償型保険の加入に基づき、補償金請求を行う(S205)。補償金請求は、ユーザ端末200を通じて行ったり、補償金請求に係る書類を送付することで行うことができる。ユーザ端末200を通じて請求する場合は、ユーザ端末200で保険管理装置100に接続する。制御装置120は、ユーザ端末200に補償金請求画面を提供し、当該画面を通じて補償金請求を受け付けることができる。また、郵送等で書面にて受領した補償金請求については、保険管理装置100に、当該登山者の補償金請求を入力することにより、受け付ける。なお、ユーザ端末200以外の他のコンピュータ装置を通じて、保険管理装置100に接続して補償金請求を行うこともできる。
【0065】
保険管理装置100の判定部121は、登山者からの補償金請求の受け付けを契機に、補償金支払い可否判定処理を行う(S104)。
【0066】
まず、登山キャンセル事由判定部121Aは、登山キャンセル事由適合判定処理を行う。登山キャンセル事由判定部121Aは、登録された登山計画書の登山予定の対象地域における気象情報を外部サービス情報から抽出し、登山当日の気象が登山キャンセル事由情報132に該当するか否かを判定する(S105)。
【0067】
登山当日の気象が登山キャンセル事由情報132に該当すると判定された場合(S106のYES)、位置・行動判定部121Bは、登山管理装置300から登山当日の登山実績を取得し(S107,S303)、位置適合判定処理を行う(S108)。位置適合判定処理によって登山当日、現地に居たと判定された場合(S109のYES)、位置・行動判定部121Bは、さらに行動適合判定処理を行う(S110)。登山者が目的地まで行かなかったと判定された場合(S111のYES)、支払い管理部122は、補償金の支払い判定結果を「可」とする(S112)。
【0068】
このように、登山キャンセル事由に該当し、登山当日に現地いる登山者が登山を中止または中断したと判定された場合に、支払い管理部122は、補償金の支払い可否の判定結果として、支払い「可」を出力する。このとき、上述したように、位置・行動判定部121Bは、行動適合判定処理において、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山計画書に登録された登山ルートの登山実績がない場合は登山中止と判定し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山計画書に登録された登山ルートの登山実績があるが目的地まで行かずに下山した場合は登山中断と判定し、登山中止又は登山中断の行動適合結果も出力する。
【0069】
一方、登山キャンセル事由に該当に該当しない場合、登山当日に現地に居なかった場合、又は目的地まで登山した場合は、支払い管理部122は、補償金の支払い可否の判定結果として、支払い「否」を出力する(S113)。
【0070】
その後、支払い管理部122は、補償金の支払い可否の判定結果を、判定結果をユーザ端末200に通知することができる。また、補償金の支払い可否の判定結果が「可」である場合、登山者への補償金の入金処理などが行われる。なお、上述のように、支払い管理部122は、行動適合結果を加味して、登山中止と登山中断とで、異なる補償金を支払うように制御することができる。
【0071】
本実施形態の登山キャンセル事由補償型保険システムは、登山当日に現地に赴いた登山者が、登山環境の変化のために登山を中止又は中断したことに対し、未然に山岳遭難や怪我等の登山リスクを回避した報酬として、補償金を支払う仕組みを実現する。このため、登山者に対し、登山環境の変化による登山リスクの回避を後押しすることができる。
【0072】
(第2実施形態)
図5及び図6は、第2実施形態を説明するための図である。図5は、本実施形態の登山キャンセル補償型保険システムのネットワーク構成図である。
【0073】
本実施形態は、保険管理装置100が通知制御部125をさらに備え、登山当日に登山キャンセル事由適合判定処理を行い、登山環境が所定の登山キャンセル事由に該当する場合に、現地に居る登山者(保険加入者)が携帯するユーザ端末200に、請求勧奨情報を送信する。
【0074】
図6は、本実施形態の登山キャンセル補償型保険システムの処理フローを示す図である。上記第1実施形態と同様の処理については、同符号を付して説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0075】
保険管理装置100は、気象情報を外部サービス400から取得した際(S102,S103)、その気象情報が登山キャンセル事由に該当するか否かの判定処理をリアルタイムに行う(S1001)。例えば、登山キャンセル事由判定部121Aは、ステップS101において抽出された対象地域を対象に、その気象が登山キャンセル事由に該当するか否かを判定し、判定結果を出力する。登山キャンセル事由に該当すると判定された場合(S1002のYES)、通知制御部125による請求勧奨プッシュ通知処理が行われる(S1003)。
【0076】
なお、登山キャンセル事由に該当すると判別された場合であっても、登山者が現地に居ない場合は、通知制御部125による請求勧奨プッシュ通知処理を行わないように制御することもできる。例えば、登山キャンセル事由判定部121Aによって登山キャンセル事由に該当すると判別された後、登山管理装置300から登山者の位置情報を取得し、位置・行動判定部121Bで位置適合判定を行う。そして、登山者が現地に居る場合は、請求勧奨プッシュ通知処理を行い、登山者が現地に居ない場合は、請求勧奨プッシュ通知処理を行わないように構成することができる。
【0077】
ここで、請求勧奨の通知例としては、例えば、登山キャンセル事由に基づく補償金の請求が可能になった旨を通知することができる。また、補償金請求の請求フォームをユーザ端末200に送信することもできる。さらに、登山者の電子メールアドレス宛に補償金請求の請求フォームを添付して送信し、請求勧奨案内を行うこともできる。
【0078】
本実施形態は、登山キャンセル事由に該当する登山環境であることを通知するので、登山当日の登山者に対して登山環境の悪化を客観的に知らせることができ、登山の中止や中断の判断をより後押しすることができる。また、登山当日に、補償金の請求が可能になった旨を把握できるので、登山の中止や中断の判断をさらに後押しすることができる。
【0079】
本実施形態の請求勧奨プッシュ通知機能は、気象予報(気象予測)情報を用いて登山キャンセル事由判定部121Aが登山キャンセル事由適合判定処理を行うように構成することもできる。このように構成することで、今後予想される登山環境の悪化(天候の悪化)に対して請求勧奨プッシュ通知を行うことができるので、山岳遭難や怪我等の登山リスクの回避を、より後押しすることができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記第1及び第2実施形態において、保険管理装置100が備える保険契約制御部124は、個別の保険契約装置として構成し、保険管理装置100とは独立して保険契約処理を行うように構成することができる。この場合、保険管理装置100は、独立した保険契約装置から加入者情報の提供を受け、記憶装置130に記憶する。
【0081】
また、上記第2実施形態において、保険管理装置100が備える通知制御部125は、登山管理装置300が備えるように構成してもよい。例えば、保険管理装置100側の登山キャンセル事由適合判定の判定結果を登山管理装置300に送信し、登山管理装置300がユーザ端末200に通知するように構成することができる。
【0082】
また、保険管理装置100、登山管理装置300を構成する各制御装置及び各記憶装置は、1つ又は複数のコンピュータ装置で実現することができ、また、複数のコンピュータ装置に各処理部を任意に分散させて構築することもできる、
【0083】
また、保険管理装置100、登山管理装置300の各機能は、プログラムによって実現可能であり、各機能を実現するために予め用意されたコンピュータプログラムが補助記憶装置に格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行することで、各部の機能を動作させることができる。
【0084】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、コンピュータに提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD-ROM等の光ディスク、DVD-ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【符号の説明】
【0085】
100 保険管理装置
110 通信装置
120 制御装置
121 判定部
121A 登山キャンセル事由判定部(第1判定部)
121B 位置・行動判定部(第2判定部)
122 支払い管理部
123 情報管理部
124 保険契約制御部
125 通知制御部
130 記憶装置
131 加入者情報
132 登山キャンセル事由情報
133 外部サービス情報
134 保険情報
200 ユーザ端末
210 通信部
220 制御部(登山管理アプリ)
230 GPS装置
240 表示・入力部
250 メモリ
300 登山管理装置
310 通信装置
320 制御装置
321 登山計画管理部
322 登山実績管理部
330 記憶装置
331 ユーザ情報
332 登山計画情報
333 登山実績情報
400 外部サービス
500 保険契約サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
登山キャンセル補償型保険システムであって、
登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する第1記憶部と、
登山キャンセル気象条件又は噴火警戒レベルを含む登山キャンセル事由を記憶する第2記憶部と、
登山当日の気象が前記登山キャンセル気象条件に該当するか否か、又は登山当日の噴火警戒レベルが所定の噴火警戒レベル以上であるか否かを判定し、登山当日の登山環境が、前記登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第1判定部と、
加入者が登録した登山計画書及び加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山計画書に登録された目的地まで行かなかった場合に、登山を中止または中断した判定する第2判定部と、
前記第1判定部によって登山当日の登山環境が前記登山キャンセル事由に該当すると判定され、かつ前記第2判定部によって登山を中止または中断したと判定された場合に、加入者補償金支払うよう決定する支払い管理部と、
を有することを特徴とする登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項2】
前記第2判定部は、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山計画書に登録された登山ルートの登山実績がない場合は登山中止と判定し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山計画書に登録された登山ルートの登山実績があるが目的地まで行かずに下山した場合は登山中断と判定し、
前記支払い管理部は、登山中止と登山中断とで金額が異なる補償金の支払いを決定することを特徴とする請求項1に記載の登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項3】
登山キャンセル補償型保険システムであって、
登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する第1記憶部と、
登山キャンセル気象条件又は噴火警戒レベルを含む登山キャンセル事由を記憶する第2記憶部と、
登山当日の気象が前記登山キャンセル気象条件に該当するか否か、又は登山当日の噴火警戒レベルが所定の噴火警戒レベル以上であるか否かを判定し、登山当日の登山環境が、前記登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第1判定部と、
加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山実績に基づく歩行実績が所定値未満である場合、登山を中止または中断したと判定する第2判定部と、
前記第1判定部によって登山当日の登山環境が前記登山キャンセル事由に該当すると判定され、かつ前記第2判定部によって登山を中止または中断したと判定された場合に、加入者補償金支払うよう決定する支払い管理部と、
を有することを特徴とする登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項4】
前記第1判定部は、登山当日においてリアルタイムに登山環境が前記登山キャンセル事由に該当するか否かを判定し、
前記登山キャンセル事由に該当すると判定された場合、登山当日現地に居る加入者が携帯する端末装置に、請求勧奨情報を送信する通知制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の登山キャンセル補償型保険システム。
【請求項5】
登山キャンセル補償型保険システムの管理装置で実行されるプログラムであって、前記管理装置に、
登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する第1機能と、
登山キャンセル気象条件又は噴火警戒レベルを含む登山キャンセル事由を記憶する第2機能と、
登山当日の気象が前記登山キャンセル気象条件に該当するか否か、又は登山当日の噴火警戒レベルが所定の噴火警戒レベル以上であるか否かを判定し、登山当日の登山環境が、前記登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第機能と、
加入者が登録した登山計画書及び加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山計画書に登録された目的地まで行かなかった場合に、登山を中止または中断した判定する第機能と、
前記第3機能によって登山当日の登山環境が前記登山キャンセル事由に該当すると判定され、かつ前記第4機能によって登山を中止または中断したと判定された場合に、加入者補償金支払うよう決定する第機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
登山キャンセル補償型保険システムの管理装置で実行されるプログラムであって、前記管理装置に、
登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する第1機能と、
登山キャンセル気象条件又は噴火警戒レベルを含む登山キャンセル事由を記憶する第2機能と、
登山当日の気象が前記登山キャンセル気象条件に該当するか否か、又は登山当日の噴火警戒レベルが所定の噴火警戒レベル以上であるか否かを判定し、登山当日の登山環境が、前記登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第3機能と、
加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山実績に基づく歩行実績が所定値未満である場合、登山を中止または中断したと判定する第4機能と、
前記第3機能によって登山当日の登山環境が前記登山キャンセル事由に該当すると判定され、かつ前記第4機能によって登山を中止または中断したと判定された場合に、加入者に補償金を支払うよう決定する第5機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
(1)本発明の登山キャンセル補償型保険システムは、登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する第1記憶部と、登山キャンセル気象条件又は噴火警戒レベルを含む登山キャンセル事由を記憶する第2記憶部と、登山当日の気象が登山キャンセル気象条件に該当するか否か、又は登山当日の噴火警戒レベルが所定の噴火警戒レベル以上であるか否かを判定し、登山当日の登山環境が、登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第1判定部と、加入者が登録した登山計画書及び加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山計画書に登録された目的地まで行かなかった場合に、登山を中止または中断した判定する第2判定部と、前記第1判定部によって登山当日の登山環境が登山キャンセル事由に該当すると判定され、かつ第2判定部によって登山を中止または中断したと判定された場合に、加入者補償金支払うよう決定する支払い管理部と、を有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
(2)上記(1)において、上記第2判定部は、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山計画書に登録された登山ルートの登山実績がない場合は登山中止と判定し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山計画書に登録された登山ルートの登山実績があるが目的地まで行かずに下山した場合は登山中断と判定することができる。そして、支払い管理部は、登山中止登山中断とで金額が異なる補償金の支払いを決定するように構成することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
(3)本発明の登山キャンセル補償型保険システムは、登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する第1記憶部と、登山キャンセル気象条件又は噴火警戒レベルを含む登山キャンセル事由を記憶する第2記憶部と、登山当日の気象が登山キャンセル気象条件に該当するか否か、又は登山当日の噴火警戒レベルが所定の噴火警戒レベル以上であるか否かを判定し、登山当日の登山環境が、登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第1判定部と、加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山実績に基づく歩行実績が所定値未満である場合、登山を中止または中断したと判定する第2判定部と、第1判定部によって登山当日の登山環境が登山キャンセル事由に該当すると判定され、かつ第2判定部によって登山を中止または中断したと判定された場合に、加入者に補償金を支払うよう決定する支払い管理部と、を有する
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
)上記(1)から()において、上記第1判定部は、登山当日においてリアルタイムに登山環境が登山キャンセル事由に該当するか否かを判定するように構成することができる。このとき、本システムは、通知制御部をさらに備えることができ、通知制御部は、登山キャンセル事由に該当すると判定された場合、登山当日現地に居る加入者が携帯する端末装置に、請求勧奨情報を送信するように構成することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
(5)本発明のプログラムは、登山キャンセル補償型保険システムの管理装置で実行され、以下の機能を実現させる。
登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する第1機能、
登山キャンセル気象条件又は噴火警戒レベルを含む登山キャンセル事由を記憶する第2機能、
登山当日の気象が登山キャンセル気象条件に該当するか否か、又は登山当日の噴火警戒レベルが所定の噴火警戒レベル以上であるか否かを判定し、登山当日の登山環境が、登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第3機能、
加入者が登録した登山計画書及び加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ登山計画書に登録された目的地まで行かなかった場合に、登山を中止または中断したと判定する第4機能、及び、
第3機能によって登山当日の登山環境が登山キャンセル事由に該当すると判定され、かつ第4機能によって登山を中止または中断したと判定された場合に、加入者に補償金を支払うよう決定する第5機能。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
(6)本発明のプログラムは、登山キャンセル補償型保険システムの管理装置で実行され、以下の機能を実現させる。
登山キャンセル補償型保険の加入者情報を記憶する第1機能、
登山キャンセル気象条件又は噴火警戒レベルを含む登山キャンセル事由を記憶する第2機能、
登山当日の気象が登山キャンセル気象条件に該当するか否か、又は登山当日の噴火警戒レベルが所定の噴火警戒レベル以上であるか否かを判定し、登山当日の登山環境が、登山キャンセル事由に該当するか否かを判定する第3機能、
加入者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、登山当日に加入者が現地に居り、かつ前記登山実績に基づく歩行実績が所定値未満である場合、登山を中止または中断したと判定する第4機能、及び、
第3機能によって登山当日の登山環境が登山キャンセル事由に該当すると判定され、かつ第4機能によって登山を中止または中断したと判定された場合に、加入者に補償金を支払うよう決定する第5機能。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】