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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119090
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240827BHJP
   A42B 1/0181 20210101ALI20240827BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A42B1/0181
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025722
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】593157736
【氏名又は名称】株式会社アーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】藤原 悦
(57)【要約】
【課題】搬送時や保管時に嵩張らず、安価で、顔との間に熱気の籠りにくいフェイスシールドの提供を目的とする。
【解決手段】使用者の顔Fの前面をシールドするシールド部21xを含むシールド本体21と、使用者の額と当接した状態で、シールド部21xと顔Fとの間にスペースを確保する額当接部24を備えているフェイスシールド1であって、シールド本体21がPETシートからなり、額当接部24が可撓性樹脂からなる帯状材22からなり、この帯状材22が、シールド本体21から顔F側に突出し輪状または半輪状をした湾曲形状に保持されて額当接部24を形成した状態と前記湾曲形状解除状態とを選択可能に設けられている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の顔の前面をシールドするシールド部を含むシールド本体と、
前記使用者の額と当接した状態で、前記シールド部と顔との間にスペースを確保する額当接部を備えているフェイスシールドであって、
前記シールド本体が透明な可撓性樹脂シートからなり、
前記額当接部が可撓性樹脂からなる帯状材からなり、
この帯状材が、前記シールド本体から前記顔側に突出し輪状または半輪状をした湾曲形状に保持されて前記額当接部を形成した状態と前記湾曲形状解除状態とを選択可能に設けられていることを特徴とするフェイスシールド。
【請求項2】
前記シールド本体および帯状材が、一枚の可撓性透明樹脂材のブランクシートから形成されるとともに、
前記帯状材は、その長手方向の一端が前記ブランクシートに連設され、短手方向の両側および長手方向の他端が前記ブランクシートから切り離された状態になっていて、前記長手方向の他端側の一部が前記ブランクシートの帯状体の前記一端の近傍に穿設された係止孔に係合されて湾曲状態に保持される請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項3】
前記ブランクシートが、その中心軸を対称中心にして、一対の前記帯状材および係止孔を備えている請求項2に記載のフェイスシールド。
【請求項4】
前記帯状材が、長手方向の他端側に、短手方向の端縁が切り欠かれた形状をして、前記係止孔の内縁に係止される切欠溝を備えている請求項2または請求項3に記載のフェイスシールド。
【請求項5】
前記ブランクシートの、使用時に顔に対面する面が、剥離可能な保護フィルムによって被覆されている請求項2または請求項3に記載のフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔の前面を覆い、他人のくしゃみやせきによって放出される鼻汁や唾液等の飛沫が顔にかからないようにするフェイスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
フェイスシールド(フェイスガード)は、感染症の患者からのくしゃみやせきによって放出される鼻汁や唾液等の飛沫が顔にかかり、感染症の治療にあたる医師や医療従事者が、二次感染することを防止するために用いられている。
また、特効薬がなく、重症化リスクの高い新型コロナウイルス感染症の流行により、学校教育現場や講演会現場などで先生や講演者等がフェイスシールドをした状態で授業や講演が行われることが多くなっている。
【0003】
ところで、従来のフェイスシールドは、透明樹脂シートを顔の形状に沿う湾曲状態に保形したフェイスシールド本体と、装着時に、このフェイスシールド本体の額に臨む部分に、フェイスシールド本体と額との間に介在する発泡樹脂等からなるクッション材を一体に設けた形状になっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6997979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のフェイスシールド本体は、上記のように、フェイスシールド本体が予め湾曲状態に保形されているとともに、厚みのある発泡樹脂等からなるクッション材がこのフェイスシールド本体に一体化されているので、保管時や搬送時に嵩張るという問題がある。
また、クッション材が額のほぼ全体にわたって密着状態で使用されるため、通気性に問題があり、夏場などの気温が高い時期には熱気が籠り、長時間の使用に苦痛がともなう。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、搬送時や保管時に嵩張らず、安価で、顔との間に熱気の籠りにくいフェイスシールドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のフェイスシールドは、使用者の顔の前面をシールドするシールド部を含むシールド本体と、前記使用者の額と当接した状態で、前記シールド部と顔との間にスペースを確保する額当接部を備えているフェイスシールドであって、前記シールド本体が透明な可撓性樹脂シートからなり、前記額当接部が可撓性樹脂からなる帯状材からなり、この帯状材が、前記シールド本体から前記顔側に突出し輪状または半輪状をした湾曲形状に保持されて前記額当接部を形成した状態と前記湾曲形状解除状態とを選択可能に設けられていることを特徴としている。
【0008】
本発明のフェイスシールドは、特に限定されないが、たとえば、シールド本体および帯状材が、一枚の可撓性透明樹脂材のブランクシートから形成されるとともに、帯状材は、その長手方向の一端が前記ブランクシートに連設され、短手方向の両側および長手方向の他端が前記ブランクシートから切り離された状態になっていて、前記長手方向の他端側の一部が前記ブランクシートの帯状体の前記一端の近傍に穿設された係止孔に係合されて湾曲状態に保持される構成としてもよい。
すなわち、上記構成のようにすれば、1枚のブランクシートの一部に設けられた帯状体を輪状または半輪状の湾曲状態にして、帯状体の他端の一部をブランクシートに設けられた係止孔に係止させるだけで、容易にフェイスシールドを組み立てることができる。
また、帯状体の一部が、シールド本体と連設状態になっており、フェイスシールドの組立分解が容易となる。
【0009】
本発明のフェイスシールドは、特に限定されないが、前記ブランクシートが、その中心軸を対称中心にして、一対の前記帯状材および係止孔を備えている構成としてもよい。
すなわち、上記構成のようにすれば、額当接部が2つ形成され、バランスがよい。
【0010】
本発明のフェイスシールドは、特に限定されないが、前記帯状材が、長手方向の他端側に、短手方向の端縁が切り欠かれた形状をして、前記係止孔の内縁に係止される切欠溝を備えている構成としてもよい。
すなわち、上記構成のようにすれば、切欠溝に係止孔の内縁が嵌まり込み、しっかりとした額当接部を確保することができる。
【0011】
本発明のフェイスシールドは、特に限定されないが、前記ブランクシートの、使用時に顔に対面する面が、剥離可能な保護フィルムによって被覆されていることが好ましい。
すなわち、使用時において保護フィルムを剥離すれば、清浄な状態のフェイスシールドを提供できる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明のフェイスは、使用者の顔の前面をシールドするシールド部を含むシールド本体と、前記使用者の額と当接した状態で、前記シールド部と顔との間にスペースを確保する額当接部を備えているフェイスシールドであって、前記シールド本体が透明な可撓性樹脂シートからなり、前記額当接部が可撓性樹脂からなる帯状材からなり、この帯状材が、前記シールド本体から前記顔側に突出し輪状または半輪状をした湾曲形状に保持されて前記額当接部を形成した状態と、前記湾曲形状解除状態とを選択可能に設けられているので、帯状体を湾曲形状解除状態とすれば、可撓性樹脂シートからなるシールド本体および帯状体を平坦なシート状態に搬送時や保管時など不使用時に嵩張らない。
また、額当接部が帯状体を輪状または半輪状をした湾曲形状にして形成されているので、輪状または半輪状をした額当接部の輪の隙間から通気できるため、通気性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のフェイスシールドの第1の実施形態であって、その額当接部形成前の状態を背面方向から見た図である。
図2図1のフェイスシールドから保護フィルムを取り除く方法を説明する図である。
図3図1のフェイスシールドの帯状片を用いて額当接部を形成した状態を背面方向から見た図である。
図4図3のフェイスシールドのゴム紐の長さ調整方法を説明する図である。
図5図1のフェイスシールドを装着した状態を説明する顔の側面方向から見た図である。
図6図5の状態からゴム紐の長さ調整したのちの状態を説明する顔の側面方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1図6は、本発明のフェイスシールドの第1の実施の形態をあらわしている。
【0015】
図1に示すように、このフェイスシールド1は、ブランクシート2と、ゴム紐3からなる。
ブランクシート2は、0.2mm厚のPET (ポリエチレンテレフタレート)のシートを打ち抜き加工して形成され、顔の前面を覆うように配置されるシールド部21xを含むシールド本体21と、2つの帯状体22と、コム紐端部支持部23を備え、図2に示すように、曇り止め加工が施されているとともに、両面が保護フィルム4で被覆されている。
【0016】
シールド本体21は、顔の額の下側部分の前面に配置されるシールド部21xと、その上側に配置される額対面部21yを備えている。
シールド部21aの幅は、特に限定されないが、幼児など小顔に人用には、220mm前後、一般用には280mm前後である。
額対面部21yは、2つの上下方向に長い長円形状をした係止孔21aが、その中央部に対称に穿設されている。
係止孔21aは、特に限定されないが、その幅が2mm、長手方向寸法(上下寸法)が12~13mm程度である。
また、シールド本体21は、そのシールド部21xと額対面部21yとの境界付近の両側縁に、後述するゴム紐3の端部が係止されるスリット21bが設けられている。
スリット21bの長さは、後述するゴム紐3が挟み込まれた状態でズレ動かなければ、特に限定されないが、5mm前後である。
【0017】
2つの帯状体22は、それぞれ額対面部21yの係止孔21aより外側で、額対面部21yの中央側の一端22aがそれぞれシールド本体21に連設されていて、その短手方向(フェイスシールド1の使用時に上下方向)の両側および他端22bまでシールド本体21から切り離されている。
また、帯状体22は、他端22b側に短手方向の両側から他方に向かう切欠溝22cを備えている。
なお、帯状体22は、特に限定されないが、その幅(上下方向の寸法)が25mm前後、長さが60~80mm前後で切込溝22cから他端22bまでが10mm程度である。
【0018】
そして、両帯状体22は、それぞれ使用時にシールド本体21の顔に対面する方向に向かって湾曲させるとともに、他端22b側を切欠溝22cに係止孔21aの内縁が入り込むように、係止孔21a内に挿入して、額当接部24を形成するようになっている。
シールド本体21は、この額当接部24の形成によって、額対面部21yに抜き孔21cが穿設された状態になる。
【0019】
額対面部21yは、その両側端部からシールド部21xより外側にはみ出るゴム紐端部支持部23を備え、このゴム紐端部支持部23にそれぞれゴム紐3が挿通可能なゴム紐挿通孔23aが穿設されている。
なお、ゴム紐挿通孔23a間の距離は、特に限定されないが、幼児用で240mm程度、一般用で300mm程度である。
ゴム紐3は、その両端にそれぞれ係止部31を備えている。
【0020】
2つの係止部31は、ゴム紐3の一端が一方のゴム紐挿通孔23aに、ゴム紐3の他端が他方のゴム紐挿通孔23aにそれぞれシールド本体21の顔に対面する面側から挿通されたのち、使用時に外側を向く面側にゴム紐3の端部を玉結びすることによって形成されている。
ゴム紐3に長さは、ゴム紐3を引っ張らない限り、ブランクシート2に負荷がかからない長さ、すなわち、ブランクシート2が平らな状態を保つ長さにすることが好ましい。
【0021】
このフェイスシールド1は、上記のようになっており、以下のようにして使用することができる。
(1)図2に示すように、ゴム紐3の片側の玉結びを解除してゴム紐3を抜き取ったのち、保護フィルム4を取り除いて、ブランクシート2のみの状態にする。
なお、保護フィルム4に、ゴム紐挿通孔23aまで達する切込みを設ければ、ゴム紐3は取り除かなくても保護フィルム4を取り除くこともできる。
(2)図3に示すように、ゴム紐3を元に戻すとともに、2つの帯状体22の他端22b側をシールド本体21の顔に対面する方向に起こして切欠溝22cに係止孔21aの内縁が嵌まり込むように他端22b側を係止孔21aに係止して半輪状をした2つの額当接部24を形成する。
(3)図4に示すように、必要に応じて、ゴム紐3の端部をシールド本体21の外側(顔に対面しない面側)から抜き孔21c内を通して、シールド本体21の顔に対面する面側に引き出して、スリット21bに係止させて、ゴム紐3のゴム紐挿通孔23a間の長さを調整する。
(4)図5に示すように、額当接部24が額に当接し、シールド本体21が顔Fの前面に臨むように配置するとともに、ゴム紐3の中間部を頭Hに後ろに回し、ゴム紐3の弾性収縮力によって、フェイスシールド1を係止させた状態に装着して使用する。
(5)必要に応じて、ゴム紐3による弾性収縮力が弱く、フェイスシールド1がずれ易い場合、図6に破線で囲むように、ゴム紐3の端部のスリット21bからの引き出し長さを長くして、ゴム紐3のゴム紐挿通孔23a間の長さを短くし、弾性収縮力を強くする。
【0022】
このフェイスシールド1は、上記のように構成されているので、以下のような優れた効果を備えている。
(1)可撓性樹脂シートを打ち抜き成形したブランクシート2からシールド本体21および額当接部24が形成されているので、軽量である。
(2)額当接部24が帯状体22を湾曲形状にするだけで形成されているので、通気性がよい。
(3)抜き孔21cもあるためより通気性に優れている。
(4)保護フィルム4を備えているので、使用時に保護フィルム4を外して清潔な状態で使用できる。
(5)シールド本体21および帯状体22がPETで形成されているので、水洗い・アルコール消毒が可能である。
【0023】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、ブランクシートの両面が保護フィルムで被覆されていたが、顔に対面する面だけを被覆するようにしても構わない。また、保護フィルムにはロゴなどを印刷しておいても構わない。
上記の実施の形態では、2つの帯状体が湾曲状態にされて額当接部を形成するようになっていたが、1つの帯状体のみでも構わない。
【0024】
上記の実施の形態では、帯状体の一端がシールド本体に連設されていたが、ブランクシートから帯状体を完全に切り離せるように設けて置き、帯状体の一端を2つの係止孔の一方の係止孔に係止した状態で帯状体を湾曲させたのち、他端を他方の係止孔に係止して額当接部を形成できるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、ゴム紐の長さを調整してゴム紐の弾性力によって、フェイスシールドを頭に支持固定するようにしていたが、たとえば、シールド本体の幅方向の一側から先端に係止鉤部を備えたフェイスシールド支持用の第1帯状体を延設するとともに、シールド本体の幅方向の他側から長手方向に複数の係止孔が長手方向に並設されたフェイスシールド支持用の第2帯状体を延設し、第1帯状体および第2帯状体を後頭部に回し、第1帯状体の係止鉤部を、頭の大きさに合わせて第2帯状体の係止孔のいずれかに係合させて第1帯状体と第2帯状体でフェイスシールドを頭に支持するようにしても構わない。また、ゴム紐は市販のものを後付けするようにしても構わない。
【符号の説明】
【0025】
1 フェイスシールド
2 ブランクシート
21 シールド本体
21a 係止孔
21b スリット
21c 抜き孔
21x シールド部
21y 額対面部
22 帯状体
22a 一端
22b 他端
22c 切欠溝
23 コム紐端部支持部
23a ゴム紐挿通孔
24 額当接部
3 ゴム紐
31 係止部
4 保護フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6