IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カーメイトの特許一覧

<>
  • 特開-チャイルドシート 図1
  • 特開-チャイルドシート 図2
  • 特開-チャイルドシート 図3
  • 特開-チャイルドシート 図4
  • 特開-チャイルドシート 図5
  • 特開-チャイルドシート 図6
  • 特開-チャイルドシート 図7
  • 特開-チャイルドシート 図8
  • 特開-チャイルドシート 図9
  • 特開-チャイルドシート 図10
  • 特開-チャイルドシート 図11
  • 特開-チャイルドシート 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011910
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】チャイルドシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B60N2/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114248
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】田村 尚之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 孔明
(72)【発明者】
【氏名】岡 拓孝
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA07
3B087BA12
3B087CE06
(57)【要約】
【課題】車両シートの固定強度及びシートの強度を保持すると共に小型化したチャイルドシートを提供する。
【解決手段】本発明のチャイルドシート10は、 乳幼児が着座するシート20と、車両シートに取り付けて前記シートが軸回りに回転又は前記シートが直線状に移動するスライドのいずれか1以上の動作を可能に支持するベース30を備えたチャイルドシートであって、
前記ベース30を前記車両シートに固定する一対のコネクター40の間に前記コネクター40の強度を補強するコネクター補強部50と、前記シートを把持する爪部70を配置したことを特徴としている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児が着座するシートと、車両シートに取り付けて前記シートが軸回りに回転又は前記シートが直線状に移動するスライドのいずれか1以上の動作を可能に支持するベースを備えたチャイルドシートであって、
前記ベースを前記車両シートに固定する一対のコネクターの間に前記コネクターの強度を補強するコネクター補強部と、前記シートを把持する爪部を配置したことを特徴とするチャイルドシート。
【請求項2】
乳幼児が着座するシートと、車両シートに取り付けて前記シートが軸回りに回転、前記シートが異なる傾斜角度に倒れるリクライニング、前記シートが直線状に移動するスライドの動作を可能に支持するベースを備えたチャイルドシートであって、
前記ベースを前記車両シートに固定する一対のコネクターの間に前記コネクターの強度を補強する一対のコネクター補強部と、前記一対のコネクター補強部の間にリクライニングフレームと、前記シートを把持する爪部を配置したことを特徴とするチャイルドシート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたチャイルドシートであって、
前記爪部は、前記シートの回転軸を中心として対向するように一対配置していることを特徴とするチャイルドシート。
【請求項4】
請求項3に記載されたチャイルドシートであって、
前記シートの回転軸の直径は、前記一対の爪部の間の長さとほぼ同じ長さに設定していることを特徴とするチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シートに取り付けたベースに対して、乳幼児が着座するシートが固定位置からスライド(例えば車両のドア側となる左右方向など)等するチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児を車両に乗せて運転するときは必ずチャイルドシートを使用することが法令で義務付けられている。
従来、種々のチャイルドシートが提案されている。特許文献1に開示のチャイルドシートは、ベースを車両シートに固定する固定ユニットを備え、固定ユニットは、上面に樹脂フレームと、両側面および底面を沿うように曲げ加工されて樹脂フレームに固定された曲げ加工板金を有している。これにより前方への慣性力によって、固定ユニットに対する上下方向及び幅方向の動きを効果的に防止できる。
【0003】
特許文献2に開示のチャイルドシートは、シートがベースに対してリクライニング、回転可能であり、さらにベースからシートが着脱できる。シートが回転機能を有する場合、シートとの連結強度を確保するためにシートを保持する爪の位置をコネクターとベースフレームに近い位置に配置する必要がある。このため、爪の位置はシートの回転中心から外側に離れた位置(段落番号0051の延出部67f、図13、14参照)に広くなり、シート側の回転円筒部も大型化する。
【0004】
特許文献1に開示の技術によれば、確かに固定ユニットの上部に樹脂フレーム、曲げ加工板金を配置すると強度を出しやすくできるが、高さ方向に積み上げて強度を確保しようとすると、シートの位置、換言すると着座位置が高くなり安全性が低下してしまう。またチャイルドシート全体も高くなって乳幼児の使用制限が短くなってしまう。
また特許文献2に開示の技術によれば、シートの脱離を防ぐために爪の位置をなるべく広く配置している。図12は従来のベース側の爪とシートの回転軸の関係を示す図である。図示のようにシートのフランジ1が嵌る爪2を広く配置すると強度を確保できるが、その分シートの回転軸3との接触を回避するため回転軸3の直径が細くなってしまい十分な強度を得にくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-199865号公報
【特許文献2】特開2020-199861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、車両シートの固定強度及びシートの強度を保持すると共に小型化したチャイルドシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、乳幼児が着座するシートと、車両シートに取り付けて前記シートが軸回りに回転又は前記シートが直線状に移動するスライドのいずれか1以上の動作を可能に支持するベースを備えたチャイルドシートであって、
前記ベースを前記車両シートに固定する一対のコネクターの間に前記コネクターの強度を補強するコネクター補強部と、前記シートを把持する爪部を配置したことを特徴とするチャイルドシートを提供することにある。
上記第1の手段によれば、コネクターによる車両シートの固定強度を確保すると共に、爪部によりシートの連結部分の強度も確保できる。またシート全体を小型化でき、シートの位置、換言すると着座位置が低くなり安全性を確保できる。またチャイルドシート全体も低くなって乳幼児の使用制限を長く設定できる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、乳幼児が着座するシートと、車両シートに取り付けて前記シートが軸回りに回転、前記シートが異なる傾斜角度に倒れるリクライニング、前記シートが直線状に移動するスライドの動作を可能に支持するベースを備えたチャイルドシートであって、
前記ベースを前記車両シートに固定する一対のコネクターの間に前記コネクターの強度を補強する一対のコネクター補強部と、前記一対のコネクター補強部の間にリクライニングフレームと、前記シートを把持する爪部を配置したことを特徴とするチャイルドシートを提供することにある。
上記第2の手段によれば、コネクターによる車両シートの固定強度を確保すると共に、爪部によりシートの連結部分の強度も確保できる。またシート全体を小型化でき、シートの位置、換言すると着座位置が低くなり安全性を確保できる。またチャイルドシート全体も低くなって乳幼児の使用制限を長く設定できる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、前記爪部は、前記シートの回転軸を中心として対向するように一対配置していることを特徴とするチャイルドシートを提供することにある。
上記第3の手段によれば、平面視で爪部とフランジの重なる部分の面積を広くすることがき、ベースとシートの連結部分における十分な強度を確保することができる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第3の手段において、前記シートの回転軸の直径は、前記一対の爪部の間の長さとほぼ同じ長さに設定していることを特徴とするチャイルドシートを提供することにある。
上記第4の手段によれば、シートの回転軸を太くすることができ、シート回転時の強度を確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コネクターによる車両シートの固定強度を確保すると共に、爪部によりシートの連結部分の強度も確保できる。またシート全体を小型化でき、シートの位置、換言すると着座位置が低くなり安全性を確保できる。また使用制限を長く設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1のチャイルドシートの斜視図である。
図2】実施例1のチャイルドシートの分解斜視図である。
図3】上部カバーを外したベースの斜視図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】ベース側の爪部とシートの回転軸の関係を示す説明図である。
図6】実施例2のチャイルドシートの分解斜視図である。
図7】上部カバーを外したベースの斜視図である。
図8】実施例3のチャイルドシートの斜視図である。
図9】実施例3のチャイルドシートの分解斜視図である。
図10】上部カバーを外したベースの斜視図である。
図11】ベースの凹部の中心を通る前後方向の断面図である。
図12】従来のベース側の爪とシートの回転軸の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のチャイルドシートの実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。本実施形態の前後方向(前方・後方)とは、車両のフロント・リア方向を示し、左右方向とは車両のドア間、換言すると車両の前後方向と直交する方向を示している。
【0014】
[実施例1:回転とスライド]
図1は実施例1のチャイルドシートの斜視図である。図2は実施例1のチャイルドシートの分解斜視図である。
実施例1のチャイルドシート10は、乳幼児が着座するシート20と、車両シートに取り付けて前記シートが軸回りに回転又は前記シートが直線状に移動するスライドのいずれか1以上の動作を可能に支持するベース30を備えたチャイルドシートであって、前記ベース30を前記車両シートに固定する一対のコネクター40の間に前記コネクター40の強度を補強するコネクター補強部50を横並びに配置し、前記コネクター補強部50は、前記シート20を把持する爪部70を中心に備えている。
コネクター40は車両シートの連結金具に着脱可能に連結する国際標準規格であるISOFIXを採用し、ベース30の左右方向に所定間隔を開けて一対設けている。
【0015】
実施例1に示すチャイルドシートは、フランジ付き部材21がツバ付き円形状である。フランジ付き部材21の中心には、凸部22を設けている。凸部22は、シート20の下面からベース30の凹部54に向けて突出するように付勢されて係合しシート20をベース30に固定できる。
またフランジ付き部材21は、下面からベース30の上部カバー34のT溝32の上面に向けて進退移動するロックピン24を備え、T溝32は、上面にロックピン24が嵌るピン穴56を設けている。実施例1のフランジ付き部材21は、ツバ付き円形状であり、ツバ部分がT溝32のフランジに嵌り合う。このためシート20を凸部22の軸回りで自由に回転させることができる。また、フランジ付き部材21の下面から突出し、シート20の前方側に設けたロックピン24は、シート20の両側面に設けた2つの操作部材28のいずれか1のレバー操作により、フランジ付き部材21の下面から突き出た状態と、先端がフランジ付き部材21の下面と一致する引っ込んだ状態に変えることができる。ロックピン24が嵌るT溝32上面のピン穴56は、凹部54を中心として前後方向に2つ設けている。シート20のロックピン24がベース30に設けたピン穴56に嵌る位置は、シート20が正面又は背面に向く位置となる。
このようなチャイルドシートは、2つの操作部材28の操作でシート20をスライドさせて取り付け及び取り外しが実現できる(実施例2参照)。またシート20の固定は、ロックピン24の突き出しによりシート20の任意向き(正面、背面)で固定できる。
【0016】
図3は上部カバーを外したベースの斜視図である。図4図3のA-A断面図である(上部カバーを含む)。上部カバー34を外したベース30の内部にはコネクター40とコネクター補強部50を配置している。コネクター補強部50は、一対のコネクター40の間で横並びに配置して、ベース30に対するコネクター40の取り付け強度を補強する部材である。コネクター40とコネクター補強部50は、ベース30の左右方向に沿って前後左右の4か所をアンカーピン52で連結している(図3中の鎖線参照)。コネクター補強部50は、中心部分からベース30の前方へ向けて延出し、延出した箇所にシート20の凸部22が嵌る凹部54と、シート20のロックピン24が嵌るピン穴56を2つ設けている。コネクター補強部50の凹部54とピン穴56は、T溝32の凹部54とピン穴56と平面視で重なるように同心状に配置している。コネクター補強部50は、材質に一例としてプラスチック樹脂を用いている。
【0017】
図5はベース側の爪部とシートの回転軸の関係を示す説明図である。図示のようにコネクター補強部50は、凹部54を通るベース30の前後方向に沿ってシート20のフランジ26が嵌る爪部70を設けている。コネクター補強部50の爪部70はT溝32のフランジに覆われており、フランジ付き部材21のツバ部分が嵌り合う構成としている。
爪部70は、シート20の凸部22、換言するとベース30側の凹部54を中心として対向するように一対配置している。このような配置により従来、シート20の脱離を防ぐために爪の位置をなるべく広く配置していた構成よりも爪部70とシート20のフランジ26の投影面積を広くすることができ十分な強度を確保できる。
【0018】
またシート20の回転軸23の直径は、一対の爪部70の間の長さとほぼ同じ長さに設定している。これによりシート20の連結強度を確保できる。
このようなコネクター補強部50は、一対のコネクター40の間に横並びに配置して、平面視でコネクター40の上部と重なっていない。このため従来のコネクターの上部に設けて補強する構造と比べて、シート20の位置、換言すると着座位置が低くなり安全性を確保できる。また使用制限を長く設定できる。
【0019】
[実施例2:スライドのみ]
図6は実施例2のチャイルドシートの分解斜視図である。図7は上部カバーを外したベースの斜視図である。
実施例2のチャイルドシート10Aは、乳幼児が着座するシート20Aと、車両シートに取り付けて前記シートが軸回りに回転又は前記シートが直線状に移動するスライドのいずれか1以上の動作を可能に支持するベース30Aを備えたチャイルドシートであって、前記ベース30Aを前記シート20Aに固定する一対のコネクター40の間に前記コネクター40の強度を補強するコネクター補強部50Aを横並びに配置し、前記コネクター補強部50Aは、前記シート20Aを把持する爪部70を中心に備えている。
実施例2に示すチャイルドシート10Aは、シート20Aにフランジ付き部材21Aと凸部22を備え、ベース30Aの上部カバー34AにT溝32と凹部54を備えている。
【0020】
T溝32は、断面形状がT字型の溝であり、ベースA30の上部カバー34Aの水平方向に沿ってベース30Aの両側面に跨るように形成している。T溝32の中心となるシート20Aの固定位置には凹部54を設けている。
フランジ付き部材21Aは、断面形状がT字型の矩形部材であり、T溝32に嵌るフランジ26を備えている。フランジ付き部材21Aの中心には、凸部22を設けている。凸部22は、シート20Aの下面からベース30の凹部54に向けて突出するように付勢されて係合しシート20Aをベース30Aに固定できる。
シート20Aの両側面には操作部材28を設けている。操作部材28は、凸部22に連結され反付勢方向に操作することによってシート20Aの下面から凸部22の突出量を0に減少できる操作レバーである。本実施形態の操作部材28は、どちらか一方の操作で凸部22の突出量を0にできる。
【0021】
このようなチャイルドシート10Aは、シート20Aの側面に設けたどちらか一方の操作部材28を操作して凸部22の突出量を0にする。操作部材28を操作したままの状態でシート20Aを持ち上げて車両シートに固定したベース30Aの側方まで移動させる。そしてベース20Aのいずれか一方のT溝32側面からT溝32にフランジ付き部材21Aを嵌め合わせてから水平移動させる。フランジ付き部材21Aの下面がT溝32上面に接触した後は、操作部材28から手を離しても凸部22がT溝32の上面に抑えられた状態となる。そのままベース30Aの中心の固定位置まで水平方向にスライド移動させると、固定位置の凹部54で付勢状態の凸部22が突出して嵌り、ベース30Aにシート20Aを固定できる。
【0022】
シート20Aの取り外し操作は、どちらかの操作部材28を操作しても凸部22の突出量が0になり、凹部54から凸部22が外れた状態で水平方向にスライド移動させる。スライド移動中は、操作部材28から手を離しても、凸部22がT溝32の上面に抑えられた状態となる。そのままT溝32側面の取り付け又は取り外し位置まで水平方向にスライド移動させると、T溝32とフランジ付き部材21Aの嵌め合いが外れてシート20Aを取り外すことができる。
コネクター補強部50Aは、ピン穴を設けていない構成以外は、実施例1のコネクター補強部50と同一構成である。
このような実施例2のチャイルドシートは、実施例1と同様に一対のコネクター40の間に横並びに配置して、平面視でコネクター40の上部と重なっていない。このため従来のコネクターの上部に設けて補強する構造と比べて、シート20の位置、換言すると着座位置が低くなり安全性を確保できる。またチャイルドシート全体も低くなって乳幼児の使用制限を長く設定できる。
【0023】
[実施例3:回転とスライドとリクライニング]
図8は実施例3のチャイルドシートの斜視図である。図9は実施例3のチャイルドシートの分解斜視図である。図10はカバーを外したベースの斜視図である。図11はベースの凹部の中心を通る前後方向の断面図である。
実施例3のチャイルドシート10Bは、乳幼児が着座するシート20と、車両シートに取り付けて前記シート20が軸回りに回転、前記シート20が異なる傾斜角度に倒れるリクライニング、前記シート20が直線状に移動するスライドの動作を可能に支持するベース30Bを備えたチャイルドシートであって、前記ベース30Bを前記シート20に固定する一対のコネクター40の間に前記コネクター40の強度を補強する一対のコネクター補強部50Bと、前記一対のコネクター補強部50Bの間にリクライニングフレーム60を横並びに配置し、前記リクライニングフレーム60は、前記シート20を把持する爪部70を備えている。
【0024】
実施例3に示すチャイルドシート10Bは、シート20にフランジ付き部材21と凸部22を備え、ベース30B側のリクライニングカバー64にT溝32と凹部54を備えている。シート20は実施例1のシートと同一の構成である。
T溝32は、断面形状がT字型の溝であり、ベース30B側のリクライニングカバー64の水平方向に沿って両側面に跨るように形成している。T溝32の中心となるシート20の固定位置には凹部54を設けている。
コネクター補強部50Bは、上部カバー34Bを外したベース30Bの内部に取り付けた部材であり、一対のコネクター40の間で横並びに配置して、ベース30Bに対するコネクター40の取り付け強度を補強する部材である。コネクター40とコネクター補強部50Bは、ベース30Bの幅方向に沿って前後左右の4か所をアンカーピン52で連結している(図10中の鎖線参照)。コネクター補強部50Bは、材質に一例としてプラスチック樹脂を用いている。
【0025】
リクライニングフレーム60は、リクライニングカバー64に取り付けた部材であり、一対のコネクター40及びコネクター補強部50Bの間で横並びに配置している。リクライニングフレーム60は、ベース30Bの前方へ向けて延出し、延出した箇所にシート20の回転中心となる凸部22が嵌る中心穴54と、シート20のロックピン24が嵌るピン穴56を2つ設けている。またリクライニングフレーム60は、中心穴54を通るベース30Bの前後方向に沿ってシート20のフランジ26が嵌る爪部70設けている。爪部70の構成は実施例1の爪部の構成と同様であり、詳細な説明は省略する。リクライニングフレーム60の凹部54とピン穴56は、リクライニングカバー64のT溝32の凹部54とピン穴56と平面視で重なるように同心状に配置している。またリクラニングフレーム60は後方の両側面にリクラニングバー62を水平方向に突出させている。コネクター補強部50はリクライニングバー62と対向する側面に円弧溝58を配置している。円弧溝58はシート20Aがリクラニングする範囲と角度に沿って設けた溝である。リクライニングフレーム60は、コネクター補強部50と同様に材質に一例としてプラスチック樹脂を用いている。
【0026】
このようなチャイルドシート10Bは、2つの操作部材28の操作でシート20をスライドさせて取り付け及び取り外しが実現できる。またシート20の固定は、シート20の操作部材28のいずれか1のレバー操作によりロックピン24の突き出しによりシート20の任意向き(正面、背面)で固定できる。
さらにリクライニング用操作部材(不図示)により、リクライニングバー62が円弧溝58の範囲を移動することにより、シート20Aが所定角度でリクライニングできる。
また実施例1と同様に、一対のコネクター40の間に横並びに配置して、平面視でコネクター40の上部と重なっていない。このため従来のコネクターの上部に設けて補強する構造と比べて、シート20の位置、換言すると着座位置が低くなり安全性を確保できる。またチャイルドシート全体も低くなって乳幼児の使用制限を長く設定できる。
【0027】
このような本発明によれば、コネクターによる車両シートの固定強度を確保すると共に、爪部によりシートの連結部分の強度も確保できる。またシート全体を小型化でき、シートの位置、換言すると着座位置が低くなり安全性を確保できる。またチャイルドシート全体も低くなって乳幼児の使用制限を長く設定できる。なお、本発明は、シートが回転のみする(スライドしない)チャイルドシートであっても同様に適用することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 フランジ
2 爪
3 回転軸
10,10A,10B チャイルドシート
20,20A シート
21,21A フランジ付き部材
22 凸部
23 回転軸
24 ロックピン
26 フランジ
28 操作部材
30,30A,30B ベース
32 T溝
34 上部カバー
40 コネクター
50,50A,50B コネクター補強部
52 アンカーピン
54 凹部
56 ピン穴
58 円弧溝
60 リクライニングフレーム
62 リクライニングバー
64 リクライニングカバー
70 爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12