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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119102
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電子機器、測位方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/32 20100101AFI20240827BHJP
【FI】
G01S19/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025747
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 宗隆
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062CC07
5J062DD03
5J062HH00
(57)【要約】
【課題】測位精度を向上させるとともに測位を開始する際の待ち時間を短縮する。
【解決手段】電子機器1は、測位衛星から送信されるL1帯(第1の周波数帯)の信号に基づいて測位を行う第1測位部(第1の測位手段)201と、測位衛星から送信されるL1帯とL5帯の信号に基づいて第1測位部201による測位と並行して測位を行う第2測位部(第2の測位手段)202と、を備える。また、電子機器1のCPU11は、第1測位部201による最初の測位が完了したことを示す情報を音声出力部(通知部)19に通知する。また、電子機器1のCPU11は、第1測位部201による測位の結果と第2測位部202による測位の結果とに基づいて第1測位部201による測位の結果を補正する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星から送信される第1の周波数帯の信号に基づいて測位を行う第1の測位手段と、
前記測位衛星から送信される前記第1の周波数帯の信号を含む複数の周波数帯の信号に基づいて前記第1の測位手段による測位と並行して測位を行う第2の測位手段と、
前記第1の測位手段による最初の測位が完了したことを示す情報を通知部に通知する通知制御手段と、
前記第1の測位手段による測位の結果と前記第2の測位手段による測位の結果とに基づいて前記第1の測位手段による測位の結果を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記補正手段は、
前記第2の測位手段による最初の測位が完了する前の前記第1の測位手段による測位の結果を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の測位手段は、
前記第2の測位手段による最初の測位が完了した場合、前記第1の周波数帯の信号に基づく測位を停止する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の測位手段は、前記測位衛星から送信されるL1帯の信号に基づいて測位を行い、
前記第2の測位手段は、前記測位衛星から送信される前記L1帯の信号とL5帯の信号とに基づいて測位を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
地図データを取得する取得手段と、
前記地図データに、前記第2の測位手段による測位の結果と、前記補正手段により補正された前記第1の測位手段による測位の結果とを重ねて表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記地図データに、前記第2の測位手段による測位の結果と、前記補正手段により補正された前記第1の測位手段による測位の結果とを重ねて前記表示部に表示させる際に、前記第2の測位手段による測位の結果と、前記補正手段により補正された前記第1の測位手段による測位の結果と、を識別可能な態様で表示する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記補正手段は、前記第1の測位手段による測位の結果と前記第2の測位手段による測位の結果との差分に基づいて前記第1の測位手段による測位の結果を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
測位衛星から送信される第1の周波数帯の信号に基づいて測位を行う第1の測位工程と、
前記測位衛星から送信される前記第1の周波数帯の信号を含む複数の周波数帯の信号に基づいて前記第1の測位工程による測位と並行して測位を行う第2の測位工程と、
前記第1の測位工程による最初の測位が完了したことを示す情報を通知部に通知する通知制御工程と、
前記第1の測位工程による測位の結果と前記第2の測位工程による測位の結果とに基づいて前記第1の測位工程による測位の結果を補正する補正工程と、
を含むことを特徴とする測位方法。
【請求項9】
電子機器のコンピュータを、
測位衛星から送信される第1の周波数帯の信号に基づいて測位を行う第1の測位手段、
前記測位衛星から送信される前記第1の周波数帯の信号を含む複数の周波数帯の信号に基づいて前記第1の測位手段による測位と並行して測位を行う第2の測位手段、
前記第1の測位手段による最初の測位が完了したことを示す情報を通知部に通知する通知制御手段、
前記第1の測位手段による測位の結果と前記第2の測位手段による測位の結果とに基づいて前記第1の測位手段による測位の結果を補正する補正手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、測位方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、L1測位信号およびL1測位信号に関する補正情報に基づいて出力された第1の測位結果と、L1測位信号、L5測位信号およびL5測位信号に関する補正情報に基づいて出力された第2の測位結果と、の比較結果に基づいて、第1の測位結果または第2の測位結果の一方を選択して測位情報として出力する測位装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/013874号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている測位装置では、測位を開始するにあたり、第1の測位結果と第2の測位結果の両方が得られるまでユーザを待たせる必要があるため、ユーザの利便性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、測位精度を向上させるとともに測位を開始する際の待ち時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器は、
測位衛星から送信される第1の周波数帯の信号に基づいて測位を行う第1の測位手段と、
前記測位衛星から送信される前記第1の周波数帯の信号を含む複数の周波数帯の信号に基づいて前記第1の測位手段による測位と並行して測位を行う第2の測位手段と、
前記第1の測位手段による最初の測位が完了したことを示す情報を通知部に通知する通知制御手段と、
前記第1の測位手段による測位の結果と前記第2の測位手段による測位の結果とに基づいて前記第1の測位手段による測位の結果を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、測位精度を向上させるとともに測位を開始する際の待ち時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子機器の機能構成を示すブロック図である。
図2】走行軌跡表示制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図3】ユーザの走行軌跡を生成する過程を示す図である。
図4】ユーザの走行軌跡を生成する過程を示す図である。
図5】ユーザの走行軌跡を生成する過程を示す図である。
図6】ユーザの走行軌跡が重畳された地図データの表示例を示す図である。
図7】ユーザの走行軌跡が重畳された地図データの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
<電子機器の構成>
まず、図1を参照して、本実施の形態の電子機器1を説明する。図1は、電子機器1の機能構成を示すブロック図である。
電子機器1は、例えば、ランニングウォッチなどの腕装着型端末であり、ランニング時にユーザとともに移動して、当該ユーザの走行軌跡を確認可能なものである。
【0011】
図1に示すように、電子機器1は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、操作部14と、表示部15と、通信部16と、計時部17と、センサ部18と、音声出力部19と、衛星電波受信処理部20と、を備えている。電子機器1は、各部がバスBを介して接続されている。
【0012】
CPU(通知制御手段、補正手段、取得手段、表示制御手段)11は、電子機器1の各部を制御するプロセッサである。CPU11は、記憶部13に記憶されたプログラムを読み出してRAM12に展開し、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。
【0013】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM12は、不揮発性メモリを含んでいてもよい。
【0014】
記憶部13は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等により構成される。記憶部13には、CPU11で実行されるシステムプログラムやアプリケーションプログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。
【0015】
操作部14は、各種の操作ボタン(図示省略)や、表示部15上に設けられる図示しないタッチセンサ等を有して構成され、ユーザの入力操作を受け付けて、操作内容を電気信号に変換してCPU11に出力する。
【0016】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、CPU11からの表示制御信号に従って画面表示を行う。また、表示部15の表示画面上には上記タッチセンサが設けられており、タッチパネル方式の操作表示手段として機能する。
【0017】
通信部16は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部16は、この通信動作により、ネットワークを介して外部機器との間で情報の送受信を行う。
【0018】
計時部17は、例えば、タイマーや計時回路等を備えて構成され、現在の時刻等を計時し、計時された情報をCPU11に出力する。
【0019】
センサ部18は、3軸加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ等のユーザの動き情報を検出可能なモーションセンサを備え、検出結果をCPU11に出力する。
【0020】
音声出力部(通知部)19は、DAコンバーター、アンプ、スピーカー等により構成される。音声出力部19は、音声出力時に音声データをアナログ音声データに変換してスピーカーから出力する。
【0021】
衛星電波受信処理部20は、GNSS(Global Navigation Satellite System)などに係る測位衛星からの電波を受信して測位演算を行い、自機の現在の位置(緯度・経度)を特定する衛星測位(測位)を行う。
【0022】
衛星電波受信処理部20は、第1測位部(第1の測位手段)201と、第2測位部(第2の測位手段)202とを有する。特には限られないが、第1測位部201は、GPS(Global Positioning System)におけるL1帯(1.57542GHz)の電波(第1の周波数帯の信号)を復調して信号(航法メッセージ)を解読、測位演算を行い、測位結果をCPU11へ出力する。第2測位部202は、上述のL1帯の電波に加えて、GPSにおけるL5帯(1.17645GHz)の電波を復調して信号(航法メッセージ)を解読、測位演算を行い、測位結果をCPU11へ出力する。このため、第2測位部202では、L1帯の電波の到着時間とL5帯の電波の到着時間とを比較することで、電離層遅延量を推測し補正することができるので、第1測位部201に比べて精度の高い測位結果を導出することができる。
【0023】
第1測位部201及び第2測位部202は、特には限られないが、それぞれ又はまとめて単一のモジュールとして形成されていてもよく、アンテナと、信号を抽出する受信回路(RFブロック)と、復調、復号し、また測位演算などを行って現在位置を算出する専用の論理回路及びCPUなどを含む制御回路(ベースバンドブロック)と、を有する。
【0024】
<電子機器の動作>
次に、電子機器1の動作について、図2を参照して説明する。
図2は、電子機器1により実行される走行軌跡表示制御処理の制御手順を示すフローチャートである。この走行軌跡表示制御処理は、例えば、操作部14を介してランニング計測の開始を指示する所定の操作がユーザUによってなされたことを契機として開始される。ここで、ユーザUは、図3に示されたスタート地点P1に位置しているものとする。
【0025】
[走行軌跡表示制御処理]
図2に示すように、走行軌跡表示制御処理が開始されると、電子機器1のCPU11は、自機の衛星電波受信処理部20を起動させて測位動作を開始させる(ステップS1)。これにより、第1測位部201による測位と第2測位部202による測位とが並行して開始される。
【0026】
次いで、CPU11は、第1測位部201による最初の測位が完了したか否かを判定する(ステップS2)。
【0027】
ステップS2において、第1測位部201による最初の測位が完了していないと判定された場合(ステップS2;NO)、CPU11は、第1測位部201による最初の測位が完了するまでの間、ステップS2の判定処理を繰り返し行う。
【0028】
また、ステップS2において、第1測位部201による最初の測位が完了したと判定された場合(ステップS2;YES)、CPU11は、音声出力部19を介して、第1測位部201による最初の測位が完了した旨(例えば、“最初の測位が完了しました。ランニングを開始してください。”の音声)を通知する(ステップS3)。ユーザはこの通知を聞いてスタート地点P1(図3参照)からランニングを開始する。
なお、第1測位部201による最初の測位が完了した旨の通知は、表示部15を介して行われるようにしてもよい。
【0029】
次いで、CPU11は、第1測位部201による測位の結果を記憶部13に順次記憶する(ステップS4)。
【0030】
次いで、CPU11は、第2測位部202による最初の測位が完了したか否かを判定する(ステップS5)。
【0031】
ステップS5において、第2測位部202による最初の測位が完了していないと判定された場合(ステップS5;NO)、CPU11は、処理をステップS4に戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
【0032】
また、ステップS5において、第2測位部202による最初の測位が完了したと判定された場合(ステップS5;YES)、CPU11は、第1測位部201による測位の結果と第2測位部202による測位の結果との差分(緯度経度オフセット)を導出する(ステップS6)。ここで、CPU11は、第1測位部201による測位を停止させる。
【0033】
例えば、図4(a)に示すように、第2測位部202による最初の測位が完了した位置(第2測位部202の測位結果が示す最初の位置情報)が地点P2である場合、当該地点P2の位置情報を取得したタイミングにおける第1測位部201による測位の結果である地点Pb(緯度経度)と第2測位部202による測位の結果である地点P2(緯度経度)との差分を導出する。具体的には、図4(a)に示すように、第1測位部201による測位の結果(緯度経度)が第2測位部202による測位の結果(緯度経度)を基準として南東方向に5mずれている場合、この南東方向に5mずれた分を差分として導出する。ここで、図4(a)に示されている破線L1は、第1測位部201による測位の結果(緯度経度)を複数プロットしたもので、ユーザUの走行軌跡を表している。ここで言う差分とは、緯度経度で表される2点の位置座標(上記の位置情報)間の距離(上記の例だと5m)と、一方の点を基準とした際の他方の点の位置座標の方位(上記の例だと南東方向)を示している。
【0034】
次いで、CPU11は、ステップS6で導出された差分(緯度経度オフセット)に基づいて、第1測位部201による測位の結果を補正する(ステップS7)。具体的には、上述のように第1測位部201による測位の結果(緯度経度)が南東方向に5mずれている場合、この差分を差し引いたものを補正後の第1測位部201による測位の結果として導出する。更に詳細に説明すると、第1測位部201による最初の測位の結果である地点Paから、第2測位部202によって地点P2の位置情報をしたタイミングでの第1測位部201による測位の結果である地点Pbまでに取得した複数の位置情報(走行軌跡である破線L1を構成する複数の位置情報)のそれぞれを差分(緯度経度オフセット)に基づいて補正する。ここで、図4(b)に示されている実線L2は、補正後の第1測位部201による測位の結果を表している。なお、実線L2は、差分(緯度経度オフセット)を用いて補正した測位の結果(緯度経度)を複数プロットしたもので、ユーザUの走行軌跡を表している。
【0035】
次いで、CPU11は、補正後の第1測位部201による測位の結果を記憶部13に記憶する(ステップS8)。具体的には、上記の地点Paから地点Pbまでの複数の位置情報(緯度経度)を差分(緯度経度オフセット)に基づいて補正し、補正後の複数の位置情報のそれぞれを記憶部13に記憶する。
【0036】
次いで、CPU11は、第2測位部202による測位の結果を記憶部13に順次記憶する(ステップS9)。ここで、図5(a)に示されている実線L3は、第2測位部202による測位の結果を表している。なお、実線L3は、第2測位部202による測位の結果(緯度経度)を複数プロットしたもので、ユーザUの走行軌跡を表している。
【0037】
次いで、CPU11は、操作部14を介して、ランニング計測の終了を指示する所定の操作がなされたか否かを判定する(ステップS10)。
【0038】
ステップS10において、ランニング計測の終了を指示する所定の操作がなされていないと判定された場合(ステップS10;NO)、CPU11は、第2測位部202による測位を継続する(ステップS11)。そして、CPU11は、処理をステップS9に戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
【0039】
また、ステップS10において、ランニング計測の終了を指示する所定の操作がなされたと判定された場合(ステップS10;YES)、CPU11は、マップマッチング処理を行う(ステップS12)。例えば、図5(b)に示すように、地点P3に到達したところで、ランニング計測の終了を指示する所定の操作がユーザUによってなされた場合、地点P1から地点P3までの走行軌跡を対象としたマップマッチング処理を行う。
【0040】
具体的には、CPU11は、通信部16を介して、地図データを外部のデータベースから取得する。なお、記憶部13に地図データが記憶されている場合には、記憶部13から地図データを取得するようにしてもよい。また、CPU11は、第2測位部202による測位の結果と補正後の第1測位部201による測位の結果とを取得する。そして、CPU11は、取得された地図データに基づいて、第2測位部202による測位の結果と、補正後の第1測位部201による測位の結果と、を当該地図データの該当する位置にマッチングする。
【0041】
次いで、CPU11は、図6に示すように、ステップS12でマップマッチング処理が行われた結果を表示部15に表示する(ステップS13)。図6に示すように、実線L4は、第2測位部202による測位の結果と補正後の第1測位部201による測位の結果をそれぞれ複数プロットしたものであって、ユーザUの走行軌跡を表している。ここで、図中の丸囲みのSの吹き出しは、ランニング計測を開始した地点を表している。また、図中の丸囲みのGの吹き出しは、ランニング計測を終了した地点を表している。そして、CPU11は、走行軌跡表示制御処理を終了する。
【0042】
以上のように、本実施形態の電子機器1は、測位衛星から送信されるL1帯(第1の周波数帯)の信号に基づいて測位を行う第1測位部(第1の測位手段)201と、測位衛星から送信されるL1帯とL5帯の信号に基づいて第1測位部201による測位と並行して測位を行う第2測位部(第2の測位手段)202と、を備える。また、電子機器1のCPU11は、第1測位部201による最初の測位が完了したことを示す情報を音声出力部(通知部)19に通知する。また、電子機器1のCPU11は、第1測位部201による測位の結果と第2測位部202による測位の結果とに基づいて第1測位部201による測位の結果を補正する。
したがって、電子機器1によれば、第1測位部201による最初の測位が完了したことを示す情報を音声出力部19に通知するので、第2測位部202による最初の測位が完了する前に、ユーザにランニングを開始させることができる。また、電子機器1によれば、第2測位部202による最初の測位が完了する前に、ユーザにランニングを開始させた場合であっても、第1測位部201による測位の結果と第2測位部202による測位の結果に基づいて第1測位部201による測位の結果を補正することができる。この結果、電子機器1によれば、測位精度を向上させるとともにユーザの運動を出来るだけ早く開始させることができる。
【0043】
また、本実施形態の電子機器1のCPU11は、第2測位部202による最初の測位が完了するタイミングまでに、第1測位部201によって取得された複数の測位の結果を補正する。
したがって、電子機器1によれば、第1測位部201によって測位がなされた区間を対象として当該区間の測位の結果を補正するので、当該補正に係る処理負荷を軽減することができる。
【0044】
また、本実施形態の電子機器1の第1測位部201は、第2測位部202による最初の測位が完了した場合、L1帯の信号に基づく測位を停止する。
したがって、電子機器1によれば、第2測位部202による最初の測位の完了後は第1測位部201による測位が行われないようにすることができるので、消費電力を抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態の電子機器1の第2測位部202は、測位衛星から送信されるL1帯の信号とL5帯の信号とに基づいて測位を行う。
したがって、電子機器1の第2測位部202によれば、L1帯の電波の到着時間とL5帯の電波の到着時間とを比較することで、電離層遅延量を推測し補正することができるので、第1測位部201に比べて精度の高い測位結果を導出することができる。
【0046】
また、本実施形態の電子機器1のCPU11は、地図データを取得し、当該地図データに、第2測位部202による測位の結果と、補正後の第1測位部201による測位の結果とを重ねて表示部15に表示させる。
したがって、電子機器1によれば、第2測位部202による測位の結果と、補正後の第1測位部201による測位の結果と、を走行軌跡(移動軌跡)として地図データに重ねて表示部15に表示させるので、ユーザの走行軌跡を精度良く表示することができる。
【0047】
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る電子機器の一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、ランニング計測の終了を指示する所定の操作がなされた場合に、ユーザUの走行軌跡が表示された地図データが表示部15に表示されるようになっているが、これには限定されない。ユーザUがランニング中であっても(ランニング計測を終了する指示がなされていない場合であっても)、電子機器1の第1測位部201によって取得された測位の結果と、第2測位部202によって取得された測位の結果とを移動軌跡(走行軌跡)として地図データに重ねて表示部15に表示させるようにしてもよい。具体的には、図4(a)に示す走行軌跡L1(第1測位部201による測位の結果)と、図5(a)に示す走行軌跡L3(第2測位部202による測位の結果)とを、地図データ上に表示させる。この際、走行軌跡L1と走行軌跡L3とを識別可能な態様(線の種類や色等をそれぞれ変える)で表示するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、第1測位部201はL1帯の信号に基づいて、第2測位部202は、L1帯とL5帯の信号に基づいてそれぞれ測位が行われているが、L1帯の信号を含む複数の周波数帯の信号に基づいて測位が行われていればよく、例えば、L1帯とL2帯(1.2276GHz)の信号に基づいて測位が行われるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、第2測位部202は、L1帯とL5帯の信号に基づいて測位を行われているが、L5帯の信号のみで測位を行ってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、ユーザUの走行軌跡が重畳された地図データを表示部15に表示する際に、図7に示すように、第2測位部202による測位の結果(図中の実線部分)と、補正後の第1測位部201による測位の結果(図中の破線部分)と、を識別可能な態様で表示するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、走行軌跡表示制御処理(図2参照)のステップS5において、第2測位部202による最初の測位が完了したことを契機として、第1測位部201による測位の結果を補正するようにしているが、例えば、測位衛星から受信したL1帯とL5帯の少なくとも一方の信号の強度が所定値以上であることや、当該各信号がマルチパスの影響を受けていないこと、L5帯の信号を最初に受信してから所定時間が経過していること等の条件を加え、当該条件を更に満たした場合に、第1測位部201による測位の結果を補正するようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、ユーザUの走行軌跡が重畳された地図データを表示部15に表示しているが、例えば、電子機器1と通信接続されたスマートフォン(図示省略)の表示部にユーザUの走行軌跡が重畳された地図データを表示するようにしてもよい。この場合、電子機器1は、第2測位部202による測位の結果と、補正後の第1測位部201による測位の結果とを、通信部16を介してスマートフォンの通信部(図示省略)に送信するようにしてもよい。
【0053】
また、上記において、ユーザUがランニング中であっても、電子機器1の第1測位部201によって取得された測位の結果と、第2測位部202によって取得された測位の結果とを移動軌跡(走行軌跡)として地図データに重ねて表示部15に表示させるようにしてもよいとしたが、第2測位部202による最初の測位が完了した後に、第1測位部201によって取得された測位の結果に係る表示を、補正後の第1測位部の測位結果に係る表示に変更するようにしてもよい。なお、この表示の変更は所定のタイミングで行われるようにしてもよい。このタイミングとしては、測位衛星から受信したL1帯、L5帯の少なくとも一方の電波の強度が所定値以上となったタイミング、第2測位部202によって取得された測位の結果(緯度経度)が所定数以上となったタイミング、第2測位部202による最初の測位が完了してから(最初の測位の結果が得られてから)所定時間が経過したタイミング等がある。なお、第1測位部201によって取得された測位の結果に係る表示を、補正後の第1測位部の測位結果に係る表示に変更する際、補正後の測位の結果(走行軌跡)と、第2測位部202による測位の結果(走行軌跡)の表示態様(軌跡の線種、色等)を異ならせて識別可能に表示させるようにしてもよい。また、この表示の変更を行う前又は行った後に、表示部15や音声出力部19に変更を行う旨又は変更を行った旨を示す情報(表示や音声)を出力するようにしてもよい。また、上記のタイミングは、ユーザの任意のものを電子機器1の操作部14等を介して予め設定してもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲をその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0055】
1 電子機器
11 CPU
12 RAM
13 記憶部
14 操作部
15 表示部
16 通信部
17 計時部
18 センサ部
19 音声出力部
20 衛星電波受信処理部
201 第1測位部
202 第2測位部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7