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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119103
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】検出装置及び検出システム
(51)【国際特許分類】
   F27D 1/00 20060101AFI20240827BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F27D1/00 V
F27D21/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025748
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】中陳 堅志郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 成一
(72)【発明者】
【氏名】園部 勝
【テーマコード(参考)】
4K051
4K056
【Fターム(参考)】
4K051AA05
4K051BH01
4K056AA09
4K056CA01
4K056FA19
(57)【要約】
【課題】炉の消費電力を抑制し環境負荷を低減できる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置80は、炉20の外壁21の温度である外壁温度を取得する外壁温度取得部810と、外壁温度と炉20の劣化の程度を示す劣化度との対応関係を記憶する記憶部830と、外壁温度取得部810が取得した外壁温度、及び記憶部830が記憶している対応関係に基づいて、劣化度を検出する検出部820とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製部材に対して浸炭処理を行う炉の劣化を検出する検出装置であって、
前記炉の外壁の温度である外壁温度を取得する外壁温度取得部と、
前記外壁温度と前記炉の劣化の程度を示す劣化度との対応関係を記憶する記憶部と、
前記外壁温度取得部が取得した前記外壁温度、及び前記記憶部が記憶している前記対応関係に基づいて、前記劣化度を検出する検出部と、
を備えることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記炉の内部の温度である炉内温度を取得する炉内温度取得部をさらに備え、
前記検出部は、前記炉内温度が所定時間において所定範囲内の温度である場合に前記劣化度を検出することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記記憶部は、さらに予め定められている前記炉内温度毎に前記対応関係を記憶するとともに前記所定範囲を記憶しており、
前記所定範囲は、前記予め定められている前記炉内温度毎に定められていることを特徴とする請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記劣化度は、前記外壁の内側に設けられている断熱材の重量の増加の程度を示す重量増加率であることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記外壁温度取得部は、前記外壁のうち前記炉の底面側の前記外壁の温度を前記外壁温度として取得することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記検出部が検出した前記劣化度が所定の値以上である場合、前記炉の劣化を示す通知をする通知部をさらに備えることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
金属製部材に対して浸炭処理を行う炉と、
前記炉の外壁に接続され、前記外壁の温度である外壁温度を測定する外壁温度測定部と、
前記炉から前記炉の内部の温度である炉内温度を取得する炉内温度取得部と、前記外壁温度測定部から前記外壁温度を取得する外壁温度取得部と、前記炉内温度が所定時間において所定範囲内の温度である場合、前記炉の劣化の程度を示す劣化度及び前記外壁温度の前記炉内温度毎に予め定められている対応関係、前記炉内温度取得部が取得した前記炉内温度、及び前記外壁温度取得部が取得した前記外壁温度に基づいて前記劣化度を算出し検出する検出部とを有する検出装置と、
を備えることを特徴とする検出システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製部材に対して熱処理を行う炉の劣化を検出する検出装置及び検出装置を備える検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属製部材に対して炉を用いて浸炭処理とよばれる熱処理を行うことによって、金属製部材の表面から炭素を浸入させて金属製部材の機械的強度を向上させる技術が知られている。浸炭処理は、炭素を含む材料を原料として使用するため、炭素が断熱材に吸収されることによって炉の断熱性能が悪化する。よって、炉の性能の劣化を検出するために炉の断熱性能を測定することは、重要である。
【0003】
これに関し、特許文献1に、断熱容器(例えば炉)が、内部容器と、温度測定センサが密接するための測定部位が一箇所に形成されている外装材と、内部容器と外装材との間に封入され断熱材が真空封入された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-143602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、改造しないままでは既存の断熱容器の断熱性能の劣化を検出できず、劣化した炉の使用による消費電力の増大をもたらしてしまう。したがって、特許文献1に記載の技術では、環境負荷を増大させてしまう可能性があるという問題があった。
【0006】
また、金属製部材に対して浸炭処理を行うための炉は、断熱性能のために複数の断熱材が重なることによって形成されていたり、内部が全て真空になるように形成されていたりする場合が多い。特許文献1に記載の技術では、複数の断熱材が重なっている場合において、最も外側の断熱材の断熱性能しか劣化を検出できないため、断熱性能の劣化を高精度で検出できなかった。また、特許文献1に記載の技術では、断熱容器の内部が全て真空になるように形成されている場合において、断熱性能の劣化を高精度で検出できなかった。したがって、特許文献1に記載の技術では、環境負荷を増大させてしまう可能性があるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、炉の消費電力を抑制し環境負荷を低減できる検出装置及び検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の検出装置は、金属製部材に対して浸炭処理を行う炉の劣化を検出する検出装置であって、前記炉の外壁の温度である外壁温度を取得する外壁温度取得部と、前記外壁温度と前記炉の劣化の程度を示す劣化度との対応関係を記憶する記憶部と、前記外壁温度取得部が取得した前記外壁温度、及び前記記憶部が記憶している前記対応関係に基づいて、前記劣化度を検出する検出部と、を備える。
【0009】
また、本発明の検出装置は、前記炉内の温度である炉内温度を取得する炉内温度取得部をさらに備え、前記検出部は、前記炉内温度が所定時間において所定範囲内の温度である場合に前記劣化度を検出する。
【0010】
また、前記記憶部は、さらに予め定められている前記炉内温度毎に前記対応関係を記憶するとともに前記所定範囲を記憶しており、前記所定範囲は、前記予め定められている前記炉内温度毎に定められている。
【0011】
また、前記劣化度は、前記外壁の内側に設けられている断熱材の重量の増加の程度を示す重量増加率である。
【0012】
また、前記外壁温度取得部は、前記外壁のうち前記炉の底面側の前記外壁の温度を前記外壁温度として取得する。
【0013】
また、本発明の検出装置は、検出部が検出した前記劣化度が所定の値以上である場合、前記炉の劣化を示す通知をする通知部をさらに備える。
【0014】
また、本発明の検出システムは、金属製部材に対して浸炭処理を行う炉と、前記炉の外壁に接続され、前記外壁の温度である外壁温度を測定する外壁温度測定部と、前記炉から前記炉内の温度である炉内温度を取得する炉内温度取得部と、前記外壁温度測定部から前記外壁温度を取得する外壁温度取得部と、前記炉内温度が所定時間において所定範囲内の温度である場合、前記炉の劣化の程度を示す劣化度及び前記外壁温度の前記炉内温度毎に予め定められている対応関係、前記炉内温度取得部が取得した前記炉内温度、及び前記外壁温度取得部が取得した前記外壁温度に基づいて前記劣化度を算出し検出する検出部とを有する検出装置と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、炉の消費電力を抑制し環境負荷を低減できる検出装置及び検出システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る検出システムの構成を概略的に示す図である。
図2図1に示す熱処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図1に示す検出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図1に示す熱処理装置における機能的構成を検出システムにおける他の構成とともに概略的に示す図である。
図5図1に示す検出装置における機能的構成を検出システムにおける他の構成とともに概略的に示す図である。
図6図1に示す検出装置における周囲温度及び炉内温度と外壁温度との対応関係の一例を示す表である。
図7図1に示す検出装置における周囲温度及び炉内温度と外壁温度との対応関係の一例を示すグラフである。
図8図1に示す検出装置の記憶部が記憶する外壁温度及び劣化度の対応関係の一例を示すグラフである。
図9図1に示す検出装置の一連の処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の複数の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0018】
<全体構成>
図1は、本実施形態に係る検出システム1の構成を概略的に示す図である。図1に示すように、検出システム1は、熱処理装置10と、検出装置80と、炉20と、ガス容器40と、ガス制御弁41と、ポンプ50と、排気制御弁51と、ヒータ電源60と、外壁温度測定部70とを含んで主要部が構成される。なお、炉20としては、例えば真空浸炭装置が挙げられる。
【0019】
熱処理装置10は、金属製部材30に対して行う熱処理の制御を行う。熱処理装置10は、炉内温度測定部25から炉20内の温度である炉内温度の測定結果を取得する。また、熱処理装置10は、ヒータ24の加熱の実行及び停止に関する制御命令をヒータ電源60に伝達する。また、熱処理装置10は、ガス制御弁41の開弁及び閉弁を制御することによって、ガス容器40から炉20内へのガスの流入、流入の停止及び流入させる場合の流量を制御する。また、熱処理装置10は、排気制御弁51の開弁及び閉弁を制御することによって、炉20内から炉20外へのガスの排気及び排気の停止を制御する。
【0020】
また、熱処理装置10は、熱処理装置10が予め記憶しているプログラムや熱処理装置10の操作者からの入力、熱処理装置10とは異なる外部の装置から伝達される制御信号に基づく制御命令に従って、上述したヒータ電源60、ガス制御弁41及び排気制御弁51に対する制御を行う。これによって、熱処理装置10は、炉20に収容された金属製部材30に対して炭素を添加する処理である浸炭処理の制御を行う。
【0021】
検出装置80は、外壁温度測定部70から取得した外壁温度と、予め記憶している外壁温度及び炉20の劣化の程度の対応関係とに基づいて、炉20の断熱性能の劣化の程度を示す劣化度を検出する。検出装置80は、劣化度が所定の値以上である場合、炉20の断熱性能が劣化していることを炉20の使用者に通知する。また、検出装置80は、炉20の劣化度の検出にあたって、炉内温度測定部25から取得した炉20内の温度である炉内温度を用いる。
【0022】
炉20は、金属製部材30の収容及び取り出しが可能であり、収容された金属製部材30に対して浸炭処理を行う炉である。炉20は、例えば、外壁21と、外側断熱材22と、内側断熱材23と、ヒータ24と、炉内温度測定部25と、ガスを炉20内に流入させるための流入口26と、ガスを炉20内から排気させるための排気口27とを含んで主要部が構成される。炉20は、熱処理装置10によって炉20内の温度が制御される。また、炉20は、炉内温度測定部25によって炉20内の温度を測定し、当該温度測定結果を熱処理装置10及び検出装置80に伝達する。
【0023】
外壁21は、炉20の最も外側に設けられており、炉20の外部及び内部を仕切る真空容器である。外壁21は、例えば、外側の面が上面、底面及び側面によって形成されており、底面には外壁21の温度を測定するための外壁温度測定部70の熱電対72が接続されている。また、外壁21は、外側と異なり金属製部材30が収容される空間の側である内側の面が外側断熱材22の外側の面に接続されており、外側断熱材22の外側の面を覆う様に形成されている。
【0024】
外側断熱材22は、外壁21及び内側断熱材23の間に設けられている断熱材である。具体的には、外側断熱材22は、外壁21の内側の面を覆うように、かつ内側断熱材23の外側の面を覆うように設けられている。また、外側断熱材22は、外側の面が外壁21の内側に接続されており、内側の面が内側断熱材23の外側の面に接続されている。外側断熱材22は、例えば、セラミックなどの熱伝導率が所定の値以下であって熱が伝動しにくく、かつ内側断熱材23よりも比重が重い素材で形成されている。
【0025】
内側断熱材23は、外側断熱材22のさらに内側に設けられている断熱材である。具体的には、内側断熱材23は、内側の面が金属製部材30を収容する空間を覆う様に、かつ外側の面が外側断熱材22の内側の面を覆うように設けられている。また、内側断熱材23は、外側の面が外側断熱材22の内側に接続されている。内側断熱材23は、例えば、セラミックなどの熱伝導率が所定の値以下であって熱が伝動しにくく、かつ外側断熱材22よりも比重が軽く高温環境における断熱性能が高い素材で形成されている。なお、外壁21、外側断熱材22及び内側断熱材23を含む炉壁の一部には、例えば、金属製部材30の収容及び取り出しが可能なように扉が設けられている。
【0026】
基台28は、金属製部材30を載置するための台であり、炉20内に設けられている。なお、基台28は、例えば、炉20に対する金属製部材30の収容及び取り出しを行うために、熱処理装置10による動作制御に従って炉壁の扉を介して炉20の内外を移動しても良い。
【0027】
ヒータ24は、ヒータ電源60の温度制御に従って炉20内を加熱する。ヒータ24は、例えば、円柱状の形状であり、外壁21の上面から炉20の底面方向に向かって垂直方向に延在するように、炉20内に複数設けられる。また、ヒータ24は、基部が外壁21の上面に接続されており、ヒータ電源60の制御命令を受信できるように形成されている。
【0028】
ヒータ電源60は、ヒータ24の加熱の実行及び停止を行うための電源である。ヒータ電源60は、熱処理装置10による動作制御に従って、各ヒータ24における加熱の実行及び停止を制御する。
【0029】
炉内温度測定部25は、例えば、一端に測定端子を有し、他端に出力端子を有する柱状の熱電対である。炉内温度測定部25は、測定端子によって炉20内の温度である炉内温度を測定し、出力端子から当該測定結果を熱処理装置10及び検出装置80に伝達する。炉内温度測定部25は、外壁21の上面から炉20の底面方向に向かって垂直方向に延在するように炉20内に設けられる。
【0030】
流入口26は、炉20外からガスを炉20内に流入させるための口であり、外壁21に設けられる。具体的には、流入口26は、ガス容器40からガス制御弁41を介して送られる浸炭ガスを炉20外から炉20内に流入させる。
【0031】
ガス容器40は、浸炭ガスを保存するためのボンベである。ガス容器40は、ガス制御弁41が開弁している間、ガス制御弁41を介して保存している浸炭ガスを炉20の流入口26に送る。また、ガス容器40は、ガス制御弁41が閉弁している間、浸炭ガスが外部に漏れないように保存する。浸炭ガスは、炭化水素系のガスであり、例えば、エチレンガス(C2H4)やアセチレンガス(C2H2)などである。
【0032】
排気口27は、炉20内からガスを炉20外に排気させるための口であり外壁21に設けられる。具体的には、排気口27は、ポンプ50よって、排気制御弁51を介して炉20内のガスを炉20外に排気させる。
【0033】
ポンプ50は、炉20内を真空にするための真空ポンプであり、炉20の排気口27から排気制御弁51を介して送られてくるガスを検出システム1の外部に排気する。ポンプ50は、一端が配管を通じて排気制御弁51の他端に接続され、他端が配管を通じて検出システム1の外部に通じる。
【0034】
排気制御弁51は、熱処理装置10の動作制御に従って、所定の流量のガスを炉20の排気口27から排気させるためのバルブである。排気制御弁51は、一端が配管を通じて炉20の排気口27に接続され、他端が配管を通じてポンプ50の一端に接続される。
【0035】
外壁温度測定部70は、外壁21の温度である外壁温度を測定する機器であり、一端が炉20の外壁21の底面に接続され、他端が検出装置80に接続される。外壁温度測定部70は、外壁21の底面の外壁温度を測定し、測定した結果を検出装置80に送信する。外壁温度測定部70は、例えば、温度計71と、熱電対72とを含んで主要部が構成される。
【0036】
温度計71は、温度を測定する計測器であり、熱電対72及び検出装置80に接続されている。温度計71は、外壁21の底面に接続されている熱電対72によって発生する電位差を取得し、取得した電位差に基づいて外壁21の温度である外壁温度を測定する。温度計71は、測定した外壁温度を検出装置80に送信する。
【0037】
熱電対72は、異なる種類の金属の導線を含んで構成される温度センサであり、一端がカプトンテープなどによって外壁21の底面に接続され、他端が温度計71に接続される。熱電対72は、外壁温度に基づいて電位差を発生させ、発生させた電位差を温度計71に伝達する。
【0038】
<ハードウェア構成>
図2は、図1に示す熱処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、熱処理装置10は、例えば、記憶装置11と、CPU(Central Processing Unit)12と、メモリ13と、通信装置14と、入出力装置15とを含んで主要部が構成される。
【0039】
記憶装置11は、ハードディスク等で構成される。この記憶装置11は、CPU12における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
【0040】
CPU12は、メモリ13或いは記憶装置11等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能手段として機能する。この機能手段の詳細については後述する。
【0041】
メモリ13は、所定のプログラムや、CPU12が所定のプログラムを実行する際に必要なデータなどを一時的に記憶する。
【0042】
通信装置14は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置14は、例えば、ガス制御弁41、排気制御弁51及びヒータ電源60に制御信号を送信する。また、通信装置14は、例えば、炉内温度測定部25から対応する測定結果を含む信号を受信する。また、通信装置14は、例えば、検出装置80や、検出システム1の熱処理装置10とは異なる装置などの間で各種の情報を送受信する。
【0043】
入出力装置15は、熱処理装置10の操作者が熱処理装置10に対して操作を行うための入力を受け付けるとともに、熱処理装置10に関する情報を操作者に対して表示する。具体的には、入出力装置15は、操作者による熱処理装置10に対する各種命令(金属製部材30に対する浸炭処理の実行や実行中の処理の状況の表示など)を受け付ける。また、入出力装置15は、金属製部材30に対する浸炭処理など実行中の処理の状況を操作者に対して表示する。
【0044】
なお、熱処理装置10は、専用又は汎用のコンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができる。また、熱処理装置10は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。また、図2は、熱処理装置10が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、熱処理装置10は、コンピュータが一般的に備える他の構成を備えても良い。
【0045】
図3は、図1に示す検出装置80のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、検出装置80は、例えば、記憶装置81と、CPU(Central Processing Unit)82と、メモリ83と、通信装置84と、入出力装置85とを含んで主要部が構成される。
【0046】
記憶装置81は、ハードディスク等で構成される。この記憶装置81は、CPU82における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
【0047】
CPU82は、メモリ83或いは記憶装置81等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能手段として機能する。この機能手段の詳細については後述する。
【0048】
メモリ83は、所定のプログラムや、CPU82が所定のプログラムを実行する際に必要なデータなどを一時的に記憶する。
【0049】
通信装置84は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置84は、例えば、炉内温度測定部25及び外壁温度測定部70から対応する測定結果を含む信号を受信する。また、通信装置84は、例えば、熱処理装置10や、検出システム1の検出装置80とは異なる装置などの間で各種の情報を送受信する。
【0050】
入出力装置85は、検出装置80の操作者が検出装置80に対して操作を行うための入力を受け付けるとともに、検出装置80に関する情報を操作者に対して表示する。具体的には、入出力装置85は、操作者による検出装置80に対する各種命令(炉20の劣化の程度の検出を行う処理など)を受け付ける。また、入出力装置85は、炉20の劣化の程度の検出を行う処理など実行中の処理の状況を操作者に対して表示する。
【0051】
なお、検出装置80は、専用又は汎用のコンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができる。また、検出装置80は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。また、図3は、検出装置80が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、検出装置80は、コンピュータが一般的に備える他の構成を備えても良い。
【0052】
<機能的構成>
図4は、図1に示す熱処理装置10の機能的構成の一例を、検出システム1における他の構成とともに示す図である。図4に示すように、熱処理装置10は、機能的構成として、炉内温度取得部100と、温度調整部120と、ガス調整部130と、排気調整部140と、制御部150と、記憶部160と、入力部170と、通知部180とを含んで構成される。記憶部160以外の機能的構成は、CPU12がプログラムをメモリ13上に展開して実行することにより実現される。記憶部160は、記憶装置11又は/及びメモリ13により実現される。
【0053】
炉内温度取得部100は、炉20の炉内温度測定部25から送信される炉内温度の測定結果を取得する。炉内温度取得部100は、取得した炉内温度の測定結果を制御部150及び温度調整部120に伝達する。
【0054】
温度調整部120は、制御部150から伝達される制御命令に従って、炉内温度取得部100から伝達される炉内温度の測定結果、及び制御部150から伝達される炉20内に対する設定温度を参照する。また、温度調整部120は、制御部150から伝達される制御命令に従って、炉20内の温度が参照した設定温度になるように、ヒータ電源60による炉20内の加熱及び当該加熱の停止の動作を調整する。
【0055】
ガス調整部130は、制御部150から伝達される制御命令に従って、ガス制御弁41の開弁及び閉弁の動作を調整する。具体的には、ガス調整部130は、制御部150から伝達される時間だけ、制御部150から伝達される流量の浸炭ガスをガス容器40から流入口26を介して炉20内に流入させる。
【0056】
排気調整部140は、制御部150から伝達される制御命令に従って、排気制御弁51の開弁及び閉弁の動作を調整する。具体的には、排気調整部140は、制御部150から伝達される時間だけ、炉20内のガスを排気口27から炉20外に排気させる。
【0057】
制御部150は、炉内温度取得部100から伝達される炉内温度の測定結果、検出装置80から伝達される制御命令及び入力部170から伝達される制御命令を受け付ける。制御部150は、記憶部160に記憶されているプログラム、検出装置80から伝達される制御命令又は入力部170から受け付けた制御命令に従って、炉20に収容されている金属製部材30に対して浸炭処理や炉20の劣化の程度を検出する処理などを行うために、温度調整部120、ガス調整部130及び排気調整部140に制御命令及び制御に必要な各種情報を伝達する。また、制御部150は、炉20内の状態を示す各種情報を通知部180に伝達する。
【0058】
記憶部160は、制御部150から伝達される炉内温度を炉内温度が取得された時間とともに記憶し、炉20が設けられている空間の温度である周囲温度や、炉20の劣化度を検出する際に炉20内の温度として設定される設定温度などを記憶する。
【0059】
入力部170は、熱処理装置10の操作者による熱処理装置10に対する各種命令を受け付け、受け付けた命令を制御部150に伝達する。
【0060】
通知部180は、制御部150から伝達される各種情報を画面表示や音などによって操作者に対して出力する。
【0061】
図5は、図1に示す検出装置80の機能的構成の一例を、検出システム1における他の構成とともに示す図である。図5に示すように、熱処理装置10は、機能的構成として、炉内温度取得部800と、外壁温度取得部810と、検出部820と、記憶部830と、入力部840と、通知部850とを含んで構成される。記憶部830以外の機能的構成は、CPU82がプログラムをメモリ83上に展開して実行することにより実現される。記憶部830は、記憶装置81又は/及びメモリ83により実現される。
【0062】
炉内温度取得部800は、炉20の炉内温度測定部25から送信される炉内温度の測定結果を取得する。炉内温度取得部800は、取得した炉内温度の測定結果を検出部820に伝達する。
【0063】
外壁温度取得部810は、外壁温度測定部70から送信される外壁温度の測定結果を取得する。外壁温度取得部810は、取得した外壁温度の測定結果を検出部820に伝達する。
【0064】
検出部820は、炉内温度取得部800から炉内温度の測定結果、外壁温度取得部810から外壁温度の測定結果、及び入力部840からの制御命令を受け付ける。検出部820は、記憶部830に記憶されているプログラム又は入力部840から受け付けた制御命令に従って、炉20の劣化の程度を検出する処理を行う。また、検出部820は、炉20内の状態や劣化の程度の検出結果などを示す各種情報を通知部850に伝達する。
【0065】
また、検出部820は、外壁温度取得部810が取得した外壁温度と、記憶部830が記憶している外壁温度及び炉20の劣化の程度を示す劣化度の対応関係とに基づいて、当該劣化度を検出する。劣化度を検出する具体的な方法については、追って説明するため、ここではその説明を省略する。
【0066】
記憶部830は、検出部820から伝達される炉内温度を炉内温度が取得された時間とともに記憶し、炉20が設けられている空間の温度である周囲温度や、炉20の劣化度を検出する際に炉20内の温度として設定される設定温度などを記憶する。また、記憶部830は、設定温度に対する所定範囲を記憶する。所定範囲は、例えば、設定温度±1%の範囲や、設定温度±10℃の範囲などである。また、記憶部830は、炉20の劣化を検出する際に、炉内温度が継続して所定範囲内の温度である必要がある時間の基準値である所定時間を記憶する。所定時間は、例えば、5分から30分程度までの時間である。
【0067】
また、記憶部830は、外壁温度と、炉20の劣化の程度を示す劣化度との対応関係を記憶する。具体的には、記憶部830は、予め定められている複数の周囲温度及び予め定められている複数の設定温度の組み合わせ毎に、外壁温度と炉20の劣化の程度を示す劣化度である重量増加率との対応関係を記憶する。ここで、記憶部830が記憶する対応関係の詳細について、図8を参照しつつ説明する。
【0068】
図8は、図1に示す検出装置80の記憶部830が記憶する外壁温度及び劣化度の対応関係の一例を示すグラフである。図8には、炉内温度が400℃である場合の外壁21の底面の温度、炉内温度が850℃である場合の外壁21の底面の温度、炉内温度が850℃である場合の外壁21の側面の温度、及び炉内温度が850℃である場合の外壁21の上面の温度と、重量増加率との対応関係がグラフとして示されている。なお、図8において、検出装置80は、周囲温度を20℃として記憶するものと仮定する。ここで、重量増加率は、金属製部材30に対する浸炭処理などによって内側断熱材23が炭素を吸収していない状態における内側断熱材23の重量に対する内側断熱材23の重量の比を示す程度であり、劣化度である。重量増加率は、値が大きいほど、炉20の断熱性能の劣化の程度が大きいことを示す。図8に示すように、熱電対72が接続されている箇所及び炉内温度によってグラフの傾きや温度に差があるもの、重量増加率は、取得した外壁温度が高いほど高くなる。記憶部830は、予め定められている複数の周囲温度、及び予め定められている複数の炉内温度の組み合わせ毎に、外壁温度と、重量増加率との対応関係を示す情報を記憶している。
【0069】
さらに、周囲温度及び炉内温度の組み合わせと、外壁温度との対応関係について、図6及び図7を参照しつつ説明する。図6は、図1に示す検出装置80における周囲温度及び炉内温度と、外壁温度との対応関係の一例を示す表である。また、図7は、図1に示す検出装置80における周囲温度及び炉内温度と、外壁温度との対応関係の一例を示すグラフである。なお、図6及び図7においては、炉20は、劣化しておらず、重量増加率が0であるものと仮定する。図6及び図7に示すように、外壁温度は、炉内温度が高くなるほど高くなり、また、周囲温度が高くなるほど高くなる。記憶部830は、例えば、図6に示すような8つの炉内温度及び6つの周囲温度の各組み合わせについて、図8に示すような外壁温度と重量増加率との対応関係を記憶する。
【0070】
図5に戻って、入力部840は、検出装置80の操作者による検出装置80に対する各種命令を受け付け、受け付けた命令を検出部820に伝達する。
【0071】
通知部850は、検出部820から伝達される各種情報を画面表示や音などによって操作者に対して出力する。
【0072】
<一連の処理の流れの一例>
以上、検出装置80の機能的構成について説明した。次に、検出装置80の一連の処理の流れについて、図7を参照しつつ説明する。図9は、図1に示す検出装置80の一連の処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【0073】
(ステップSP10)
検出装置80は、検出部820によって、炉20内の温度を炉20の劣化度を検出する際に用いる設定温度にするための調整を開始する。具体的には、検出装置80は、検出部820によって、熱処理装置10に炉20の劣化度の検出の処理を行う制御命令を伝達する。これにより、熱処理装置10は、検出装置80から伝達される劣化度の検出の処理を行う制御命令を受け、炉20内の温度の調整を開始する。具体的には、熱処理装置10は、炉内温度取得部100によって、炉内温度測定部25から炉内温度を取得し、取得した炉内温度を温度調整部120に伝達する。続いて、熱処理装置10は、温度調整部120によって、伝達された炉内温度及び設定温度に基づいて、炉20内の温度が設定温度になるようにヒータ電源60による炉20内の加熱及び当該加熱の停止の動作を行う調整を開始する。そして、処理は、ステップSP12の処理に移行する。
【0074】
(ステップSP12)
検出装置80は、炉内温度取得部800によって、炉内温度を取得する。また、検出装置80は、炉内温度取得部800によって、取得した炉内温度を検出部820に伝達し、取得した炉内温度の値を取得した時刻の炉内温度として記憶部830に記憶する。そして、処理は、ステップSP14の処理に移行する。
【0075】
(ステップSP14)
検出装置80は、検出部820によって、炉内温度が所定時間、所定範囲内の温度であるか否かを判定する。具体的には、検出装置80は、検出部820によって、記憶部830に記憶されている過去の炉内温度、所定時間、及び所定範囲を参照する。続いて、検出装置80は、検出部820によって、参照した過去の炉内温度が所定時間、所定範囲内であるか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定である場合、処理は、ステップSP16の処理に移行し、当該判定が否定判定である場合、処理は、ステップSP12の処理に戻る。
【0076】
(ステップSP16)
検出装置80は、外壁温度取得部810によって、外壁温度を取得する。また、検出装置80は、外壁温度取得部810によって、取得した外壁温度を検出部820に伝達する。そして、処理は、ステップSP18の処理に移行する。
【0077】
(ステップSP18)
検出装置80は、検出部820によって、炉20が設けられている空間の温度である周囲温度を取得する。具体的には、検出装置80は、検出部820によって、記憶部830に記憶されている周囲温度を参照することによって取得する。そして、処理は、ステップSP20の処理に移行する。
【0078】
(ステップSP20)
検出装置80は、検出部820によって、外壁温度取得部810が取得した外壁温度、及び記憶部830に記憶されている炉20の劣化の程度を示す劣化度の対応関係に基づいて劣化度を検出する。具体的には、検出装置80は、検出部820によって、記憶部830を参照し、取得した周囲温度及び炉内温度の組み合わせに対応する、壁温度及び劣化度の対応関係を取得する。検出装置80は、取得した外壁温度を取得した対応関係に入力することによって、外壁温度に対応する重量増加率を算出する。検出装置80は、算出した重量増加率の値を劣化度として検出する。そして、処理は、ステップSP22の処理に移行する。
【0079】
(ステップSP22)
検出装置80は、検出部820によって、劣化度が所定の値以下であるか否かを判定する。具体的には、検出装置80は、検出部820によって、記憶部830に記憶されている所定の値及び劣化度を参照し、劣化度が所定の値以下であるか否かを判定する。ここで、所定の値は、例えば、150や200など少なくとも100以上の値である。そして、当該判定が肯定判定である場合、処理は、ステップSP24の処理に移行し、当該判定が否定判定である場合、図9に示す一連の処理は、終了する。
【0080】
(ステップSP24)
検出装置80は、通知部850によって、炉20が劣化していることを炉20の使用者や外部の装置などにメッセージなどを画面に表示したり、音をスピーカーから再生したり、ランプを点灯又は点滅させたりすることによって通知する。そして、図9に示す一連の処理は、終了する。
【0081】
<効果>
以上、本実施形態では、検出装置80は、炉20の外壁温度を取得し、取得した外壁温度と、記憶部830が記憶している外壁温度及び劣化度の対応関係とに基づいて、炉20の劣化の程度を示す劣化度を検出する。したがって、検出装置80は、炉20の劣化の程度を検出することによって炉20の劣化に伴う消費電力の増大が抑制されるため、消費電力を抑制できる。また検出装置80は、消費電力の抑制に伴い、環境負荷を低減でき、SDGs(Sustainable Development Goals)に貢献できる。
【0082】
また、本実施形態では、検出装置80は、炉内温度を取得し、炉内温度が所定時間、所定範囲内の温度である場合に劣化度を検出する。したがって、検出装置80は、炉内温度が安定している場合に劣化度を検出するため、高精度で炉20の劣化を検出できる。また、検出装置80は、高精度で炉20の劣化を検出できるため、さらに消費電力を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【0083】
また、本実施形態では、検出装置80は、炉内温度毎に外壁温度及び劣化度の対応関係を記憶し、さらに炉内温度毎に所定範囲を記憶する。したがって、検出装置80は、炉20の劣化を検出する際、一つの炉内温度だけでなく、記憶している炉内温度のうちの任意の炉内温度で炉20の劣化を検出できる。
【0084】
また、本実施形態では、劣化度は、内側断熱材23の重量の増加の程度を示す重量増加率である。したがって、検出装置80は、内側断熱材23が炭素を吸収し、断熱性能が劣化し重量が増加した場合における内側断熱材23の劣化の程度を検出できる。
【0085】
また、本実施形態では、検出装置80は、外壁21のうち炉20の底面側の外壁21の温度を外壁温度として取得する。したがって、検出装置80は、外壁21のうち最も外乱による影響を受けにくい底面の温度を取得することによって、高精度で炉20の劣化を検出できるため、さらに消費電力を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【0086】
また、本実施形態では、検出装置80は、劣化度が所定の値以上である場合、炉20の劣化を示す通知を行う。したがって、炉20が劣化した場合に検出装置80が炉20の使用者に対して劣化を通知するため、炉20の使用者は、炉20の劣化を知ることができる。
【0087】
また、本実施形態では、検出システム1は、金属製部材30に対して浸炭処理を行う炉20と、炉20の外壁21の温度を測定する外壁温度測定部70と、外壁温度を取得し、取得した外壁温度と、記憶部830が記憶している外壁温度及び劣化度の対応関係とに基づいて、炉20の劣化の程度を示す劣化度を検出する検出装置80とを備える。
【0088】
したがって、検出システム1は、炉20の劣化の程度を検出することによって炉20の劣化に伴う消費電力の増大が抑制されるため、消費電力を抑制でき、消費電力の抑制に伴い環境負荷を低減できる。また、検出システム1は、既存の炉20に対しても、外壁温度測定部70及び検出装置80を接続するのみで炉20の劣化を検出するため、簡易な構成で容易に、消費電力を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【0089】
また、本実施形態では、炉20は、外壁21の内側の面を覆うように設けられている外側断熱材22と、外側断熱材22の内側の面を覆うように設けられている内側断熱材23とを有する。したがって、検出システム1は、炉20の外壁21の内側の断熱材が複数層に形成されている場合においても、消費電力を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【0090】
また、本実施形態では、内側断熱材23は、外側断熱材22よりも比重が軽い素材で形成されている。したがって、検出システム1は、内側断熱材23が炭素を吸収し易い素材で形成されている場合においても、消費電力を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【0091】
<変形例>
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0092】
例えば、本実施形態では、検出システム1は、外壁21の底面の温度を外壁温度測定部70が測定し、底面の温度を外壁温度として検出装置80が取得するが、これに限られるものではない。検出システム1は、外壁21の側面や上面の温度を外壁温度測定部70が測定し、測定した温度を外壁温度として取得しても良い。
【0093】
この構成によれば、検出システム1は、炉20の外壁21のうち底面に外壁温度測定部70の熱電対72が接続できない場合や、外乱の影響などにより底面の温度が外壁温度に適さない場合においても、炉20の劣化を検出するため、消費電力を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【0094】
また、本実施形態では、検出システム1は、予め周囲温度を検出装置80の記憶部830に記憶しているが、これに限られるものではない。検出システム1は、炉20が設けられている空間の温度を測定する周囲温度測定部をさらに備えていても良い。この場合において、検出装置80は、周囲温度測定部が測定した温度を周囲温度として取得して、取得した周囲温度と、炉内温度と、外壁温度と、記憶部830に記憶されている周囲温度及び炉内温度の組み合わせ毎の外壁温度及び劣化度の対応関係とに基づいて、劣化度を検出しても良い。
【0095】
この構成によれば、検出システム1は、炉20が設けられている空間の温度が変動する場合においても、炉20の劣化を検出するため、消費電力を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【0096】
また、検出装置80は、炉20内に金属製部材30などが収容されていない状態において、酸素ガスを送り込んで、炉20内を加熱することによって、内側断熱材23が吸収している炭素を燃焼させ内側断熱材23の断熱性能を回復させる燃焼工程の効果の程度を検出しても良い。具体的には、検出装置80は、燃焼工程の前に、上述した劣化度の検出を行い、検出した劣化度を記憶部830に記憶する。続いて、検出装置80は、燃焼工程を実行する。さらに、検出装置80は、燃焼工程の後に、再び劣化度の検出を行う。そして、検出装置80は、燃焼工程後に検出した劣化度から記憶部830に記憶している燃焼工程前の劣化度を減算し、減算した結果を燃焼工程の効果の程度として検出する。検出装置80は、検出した燃焼工程の効果の程度を記憶部830に記憶する。
【0097】
この構成によれば、検出装置80は、炉20に対する燃焼工程の効果の程度を検出できるため、どの程度の頻度で、どの程度の時間、どの程度の流量の酸素ガスを送り込み、どの程度の温度で炉20を加熱させればよいのかなど、高効率で燃焼工程を行うことができる。したがって、検出装置80は、燃焼工程の高効率化に伴い、燃焼工程によって消費される電力や酸素ガスなどの量を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【符号の説明】
【0098】
1…検出システム、20…炉、21…外壁、22…外側断熱材、23…内側断熱材、30…金属製部材、70…外壁温度測定部、80…検出装置、800…炉内温度取得部、810…外壁温度取得部、820…検出部、830…記憶部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9