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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119133
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】投写型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240827BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240827BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 E
H04N9/31 820
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025813
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】シャープNECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(74)【代理人】
【識別番号】100131473
【弁理士】
【氏名又は名称】覚田 功二
(72)【発明者】
【氏名】北野 泰弘
【テーマコード(参考)】
2K203
5C060
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FB03
2K203GA22
2K203GA33
2K203GA36
2K203GA40
2K203GA50
2K203GA54
2K203HA02
2K203HA14
2K203HA22
2K203HA53
2K203HA60
2K203HB22
2K203KA52
2K203KA77
2K203MA06
2K203MA11
5C060BA09
5C060BB18
5C060BC05
5C060JA13
5C060JB01
(57)【要約】
【課題】投写型表示装置ごとにカラーセンサの位置を設定しなくても、カラーセンサに過度な出力の光が照射されることを抑制できるようにする。
【解決手段】投写型表示装置は、入射された光を複数の色光に分離する色光分離部32と、複数の色光をそれぞれ反射する反射面34aを有する複数の反射ミラー34と、複数の色光の出力をそれぞれ検出する複数のカラーセンサ71と、を備える。カラーセンサ71は、反射面34aと反対側に向く反射ミラー34の裏面34b側に配置され、反射ミラー34を透過した色光の出力を検出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射された光を複数の色光に分離する色光分離部と、
前記複数の色光をそれぞれ反射する反射面を有する複数の反射ミラーと、
前記複数の色光の出力をそれぞれ検出する複数のカラーセンサと、を備え、
前記カラーセンサは、前記反射面と反対側に向く前記反射ミラーの裏面側に配置され、前記反射ミラーを透過した前記色光の出力を検出する投写型表示装置。
【請求項2】
前記複数の反射ミラー及び前記複数のカラーセンサが取り付けられるベース、を備え、
前記カラーセンサは、前記ベースの壁部の外面側に取り付けられ、
前記壁部には、前記ベースの壁部の内面から前記外面に貫通する貫通孔が形成されている請求項1に記載の投写型表示装置。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記反射ミラーをその厚さ方向から見て、前記反射ミラーの縁の内側に位置する請求項2に記載の投写型表示装置。
【請求項4】
前記カラーセンサが搭載される搭載面を有し、前記カラーセンサが前記貫通孔に向くように前記壁部の外面に重ねて配置されるセンサ基板と、
環状に形成され、前記壁部と前記センサ基板の搭載面との間に挟まれる弾性変形可能な環状クッションと、を備え、
前記カラーセンサは、前記環状クッションの内側に位置し、
前記貫通孔は、前記環状クッションの内側に開口する請求項2又は請求項3に記載の投写型表示装置。
【請求項5】
前記壁部の外面には、当該外面から窪む収容凹部が形成され、
前記収容凹部の底面には、前記貫通孔が開口し、
前記環状クッションは、前記収容凹部に収容され、前記収容凹部の底面と前記センサ基板の搭載面との間に挟まれる請求項4に記載の投写型表示装置。
【請求項6】
前記カラーセンサが搭載される搭載面を有するセンサ基板を備え、
前記センサ基板は、前記カラーセンサが前記貫通孔に向くように、前記壁部の外面に重ねて配置され、
前記壁部の外面には複数の位置決め突起が設けられ、
前記センサ基板は、前記搭載面から窪んで形成され、前記複数の位置決め突起がそれぞれ挿入される複数の位置決め凹部を有する請求項2又は請求項3に記載の投写型表示装置。
【請求項7】
前記反射ミラーと前記カラーセンサとの間に設けられ、前記反射ミラーを透過した色光が通過する孔を有する孔付きフィルタを備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の投写型表示装置。
【請求項8】
前記反射ミラーと前記カラーセンサとの間に設けられ、前記カラーセンサで検出する所定色の色光を透過し、前記所定色以外の色光を吸収若しくは反射する色付きフィルタを備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の投写型表示装置。
【請求項9】
前記色光分離部は、白色光のうち第一色光を反射し、前記白色光のうち第二色光及び第三色光を透過させるための第一ダイクロイックミラーと、前記第一ダイクロイックミラーを透過した前記第二色光を反射し、前記第三色光を透過させるための第二ダイクロイックミラーと、を有し、
前記第二ダイクロイックミラーにおいては、前記第三色光よりも光量が小さい前記第二色光も透過し、
前記複数の反射ミラーには、前記第一色光を反射する第一反射ミラーと、前記第二ダイクロイックミラーを透過した前記第三色光及び前記第二色光を反射する第二反射ミラーと、前記第二反射ミラーで反射した前記第三色光及び前記第二色光をさらに反射する第三反射ミラーと、があり、
前記複数のカラーセンサには、前記第一反射ミラーを透過した前記第一色光の出力を検出するための第一カラーセンサと、前記第二反射ミラーを透過した前記第二色光の出力を検出するための第二カラーセンサと、前記第三反射ミラーを透過した前記第三色光の出力を検出するための第三カラーセンサと、があり、
前記色付きフィルタは、少なくとも、前記第二反射ミラーと前記第二カラーセンサとの間に設けられ、前記第二反射ミラーを透過した前記第三色光及び前記第二色光のうち前記第二色光を透過し、当該第二色光以外の色光を吸収若しくは反射する請求項8に記載の投写型表示装置。
【請求項10】
前記反射ミラーと前記カラーセンサとの間に設けられ、透過する色光の光量を減らす減光フィルタを備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の投写型表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光源から出射された光を複数の色光(赤色光、緑色光、青色光)に分離した上で、各色光を液晶パネルで変調し、変調された複数の色光を合成してスクリーンなどに投写する投写型表示装置(プロジェクタ)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-10181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、投写型表示装置においては、光源、液晶パネル、ミラーなどを含む照明系の経年劣化などに起因して、スクリーン等に投射される合成光(画像、映像)における色のバランスが崩れ、投射される合成光に影響が出る可能性がある。これを抑制することを目的として、各色光の出力を検出するカラーセンサを投写型表示装置に設けることが考えられている。
【0005】
しかしながら、カラーセンサに過度な出力の光が照射され続けるとカラーセンサが故障しやすい。また。出力される光の強さ(明るさ)は、投写型表示装置ごとに異なる。このため、カラーセンサに過度な出力の光が照射されないように、投写型表示装置ごとにカラーセンサの位置を設定することが考えられる。この場合、カラーセンサが保持される照明系のベース、あるいは、カラーセンサを照明系のベースに保持させるための保持構造を、投写型表示装置ごとに製作(設計)する必要があり、好ましくない。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、投写型表示装置ごとにカラーセンサの位置を設定しなくても、カラーセンサに過度な出力の光が照射されることを抑制できる投写型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、入射された光を複数の色光に分離する色光分離部と、前記複数の色光をそれぞれ反射する反射面を有する複数の反射ミラーと、前記複数の色光の出力をそれぞれ検出する複数のカラーセンサと、を備える投写型表示装置である。前記カラーセンサは、前記反射面と反対側に向く前記反射ミラーの裏面側に配置され、前記反射ミラーを透過した前記色光の出力を検出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、投写型表示装置ごとにカラーセンサの位置を設定しなくても、カラーセンサに過度な出力の光が照射されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る投写型表示装置の外観を正面側から見た斜視図である。
図2図1の投写型表示装置に備える光源装置、色分離光学装置、電気光学装置、色合成光学装置、カラーセンサユニット及びベースを示す斜視図である。
図3図1の投写型表示装置に備える色分離光学装置、電気光学装置、色合成光学装置、カラーセンサユニット及びベースを示す断面図である。
図4図3の領域IVを拡大して示す図である。
図5図4の構成をV方向から見た図である。
図6図2において、ベースから第三カラーセンサユニット、環状クッション、孔付きフィルタ、色付きフィルタを取り外した状態を示す分解斜視図である。
図7図5の構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図6を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態に係る投写型表示装置1(プロジェクタ)は、画像光(画像)をスクリーンなどの表示面に投写する装置である。図1図3に示すように、投写型表示装置1は、光源装置2と、色分離光学装置3と、3つの電気光学装置4と、色合成光学装置5と、投写レンズ6と、3つのカラーセンサユニット7と、ベース8と、筐体9と、を備える。
【0011】
光源装置2、色分離光学装置3、電気光学装置4、色合成光学装置5、カラーセンサユニット7、ベース8は、いずれも筐体9の内側に配置される。図1において、投写レンズ6は筐体9の外側に配置されているが、例えば筐体9の内側に配置されてもよい。
【0012】
図2に示す光源装置2は、白色光を色分離光学装置3に向けて出力する。光源装置2の具体的な構成は任意であってよい。
【0013】
図3に示す色分離光学装置3は、光源装置2から出力された白色光を赤色光(第一色光)、緑色光(第二色光)、青色光(第三色光)の3つの色光に分離し、これら3つの色光にそれぞれ対応する3つの電気光学装置4にそれぞれ出力する。色分離光学装置3は、インテグレータユニット31と、色光分離部32と、3つの反射ミラー34と、を有する。
【0014】
インテグレータユニット31は、光源装置2から出力された白色光の照度の均一化を行う。
色光分離部32は、白色光を3つの色光に分離するための第一ダイクロイックミラー33-1及び第二ダイクロイックミラー33-2を有する。
【0015】
第一ダイクロイックミラー33-1は、インテグレータユニット31を通過した白色光のうち赤色光(第一色光)を反射し、白色光のうち緑色光(第二色光)及び青色光(第三色光)を透過させる。ここで、厳密には、第一ダイクロイックミラー33-1を透過する光には、赤色光がわずかながら混在する。しかし、本実施形態の投写型表示装置1の動作にはほとんど影響しない。
第二ダイクロイックミラー33-2は、第一ダイクロイックミラー33-1を透過した緑色光を反射し、青色光を透過させる。本実施形態の第二ダイクロイックミラー33-2においては、大半の緑色光が反射するが、青色光よりも光量が小さい緑色光が青色光と共に透過する。例えば第二ダイクロイックミラー33-2では、90%以上の緑色光が反射し、100%の青色光及び10%未満の緑色光が透過する。
【0016】
3つの反射ミラー34のうち第一反射ミラー34-1は、第一ダイクロイックミラー33-1において反射した赤色光を反射し、赤色光用の電気光学装置4(赤色電気光学装置4-R)に入射させる。第二反射ミラー34-2は、第二ダイクロイックミラー33-2を透過した青色光及び光量が小さい緑色光を反射する。第三反射ミラー34-3は、第二反射ミラー34-2で反射した青色光及び緑色光を反射し、青色光用の電気光学装置4(青色電気光学装置4-B)に入射させる。なお、青色電気光学装置4-Bに入射する光の大半は青色光であるため、青色電気光学装置4-Bには、実質的に青色光が入射する。
3つの反射ミラー34は、それぞれ入射した光の大半を反射し、小さい光量の光を透過させる。すなわち、各反射ミラー34を透過する光の光量は、反射ミラー34で反射する光の光量と比較して十分に小さい。
【0017】
色分離光学装置3では、光源装置2から出力されインテグレータユニット31を通過した白色光のうち赤色光が、第一ダイクロイックミラー33-1で反射し、第一反射ミラー34-1でさらに反射した上で、赤色電気光学装置4-Rに入射する。また、上記の白色光のうち緑色光が、第一ダイクロイックミラー33-1を通過し、主に第二ダイクロイックミラー33-2で反射した上で、緑色光用の電気光学装置4(緑色電気光学装置4-G)に入射する。また、上記の白色光のうち青色光が、第一、第二ダイクロイックミラー33-1,33-2を通過し、第二反射ミラー34-2、第三反射ミラー34-3で反射した上で、青色電気光学装置4-Bに入射する。
なお、上記した色分離光学装置3では、例えば、青色光が第一色光として第一ダイクロイックミラー33-1で反射し、赤色光が第三色光として第一、第二ダイクロイックミラー33-1,33-2を通過してもよい。
【0018】
図3に示すように、3つの電気光学装置4は、それぞれ液晶パネル41(光変調装置)を備える。液晶パネル41は、色分離光学装置3(図3参照)から入射された各色光(赤色光、緑色光、青色光)を変調する。
また、図3に例示する各電気光学装置4は、光学補償板42及び偏光板43をさらに備える。光学補償板42と偏光板43とは、液晶パネル41と後述する色合成光学装置5との間に位置する。液晶パネル41を通過した色光は、光学補償板42と偏光板43とを順番に通過した上で、色合成光学装置5に入射される。
3つの電気光学装置4は、色合成光学装置5に取り付けられる。
【0019】
色合成光学装置5は、クロスダイクロイックプリズムであり、3つの液晶パネル41において変調された3つの色光を合成する。色合成光学装置5において合成された光(合成光)は、投写レンズ6に出力される。
投写レンズ6は、色合成光学装置5から出力された合成光を拡大してスクリーン等の表示面に投射する。
【0020】
図3図4に示すように、3つのカラーセンサユニット7は、3つの色光の出力をそれぞれ検出する。各カラーセンサユニット7は、色光を検出するためのカラーセンサ71と、カラーセンサ71を搭載するセンサ基板72と、を備える。センサ基板72は、カラーセンサ71を搭載する搭載面72aを有する。
3つのカラーセンサ71は、3つの反射ミラー34の裏面34b側にそれぞれ配置される。各反射ミラー34の裏面34bは、色光を反射する反射ミラー34の反射面34aと反対側に向く面である。各カラーセンサ71は、主に反射ミラー34を透過した色光の出力を検出する。本実施形態のカラーセンサ71は、PIN型フォトダイオードであるが、例えばPN型フォトダイオードであってもよいし、その他の受光素子であってもよい。
【0021】
3つのカラーセンサユニット7のうち第一カラーセンサユニット7-1の第一カラーセンサ71-1は、第一反射ミラー34-1を透過した赤色光の出力の検出を目的としている。第二カラーセンサユニット7-2の第二カラーセンサ71-2は、第二反射ミラー34-2を透過した緑色光の出力の検出を目的としている。第三カラーセンサユニット7-3の第三カラーセンサ71-3は、第三反射ミラー34-3を透過した青色光の出力の検出を目的としている。
なお、第一反射ミラー34-1が第一色光として青色光を反射する場合、第一カラーセンサ71-1は、第一反射ミラー34-1を透過した青色光の検出を目的とする。一方、第二、第三反射ミラー34-2,34-3が第三色光として赤色光を反射する場合、第三カラーセンサ71-3は、第三反射ミラー34-3を透過した赤色光の検出を目的とする。
【0022】
ベース8には、前述した色分離光学装置3、色合成光学装置5、カラーセンサユニット7が取り付けられる。ベース8は、箱状に形成されている。色分離光学装置3は、外部の光の影響を受けないように、箱状とされたベース8の内側に配置される。色分離光学装置3のインテグレータユニット31、2つのダイクロイックミラー33、3つの反射ミラー34は、ベース8の内側において適宜位置決めされる。
【0023】
図3図4に示すように、3つの反射ミラー34は、それぞれベース8に取り付けられる。より詳細には、3つの反射ミラー34は、それぞれベース8の壁部81の内面81a側に取り付けられる。この状態では、反射ミラー34の裏面34bがベース8の壁部81の内面81aに対向する。
各カラーセンサユニット7は、各反射ミラー34が取り付けられた壁部81の内面81aと反対側に向く壁部81の外面81b側に取り付けられる。
各反射ミラー34と各カラーセンサユニット7との間に位置するベース8の壁部81には、その内面81aから外面81bまで貫通する貫通孔82が形成されている。貫通孔82は、曲がらず、直線状に延びている。このため、反射ミラー34を透過した色光は、壁部81の内面81a側から貫通孔82を通して壁部81の外面81b側に抜けることができる。図4の符号LP1は、反射ミラー34を透過して貫通孔82を通り抜ける色光の光路を示している。
【0024】
図5に示すように、本実施形態の貫通孔82は、反射ミラー34をその厚さ方向から見て、反射ミラー34の縁の内側に位置する。すなわち、貫通孔82は反射ミラー34の縁の外側まで到達しない。
【0025】
図4図6に示すように、カラーセンサユニット7が取り付けられる壁部81の外面81bには、当該外面81bから窪む収容凹部83が形成されている。収容凹部83の底面83bには、貫通孔82が開口する。貫通孔82の貫通方向から見て、貫通孔82は収容凹部83よりも小さい。また、貫通孔82は、収容凹部83の底面83bの中央の領域に開口する。すなわち、収容凹部83の底面83bは貫通孔82の開口を囲む。
【0026】
カラーセンサユニット7のセンサ基板72は、カラーセンサ71が貫通孔82に向くように、ベース8の壁部81の外面81bに重ねて配置される。この状態では、センサ基板72の搭載面72aが壁部81の外面81bに対向する。また、この状態において、センサ基板72は、壁部81の外面81b側に向く貫通孔82及び収容凹部83の開口を覆う。
センサ基板72を上記のように壁部81の外面81bに重ねた状態において、センサ基板72は、ねじ止め等によって壁部81の外面81bに固定される。
【0027】
図6に示すように、ベース8の壁部81の外面81bには、複数(図6では2つ)の位置決め突起85が設けられている。一方、センサ基板72は、搭載面72aから窪んで形成された複数(図6では2つ)の位置決め凹部75を有する。本実施形態の位置決め凹部75は、センサ基板72をその板厚方向に貫通している。複数の位置決め凹部75には、複数の位置決め突起85がそれぞれ挿入される。
【0028】
図4図6に示すように、本実施形態の投写型表示装置1は、環状クッション11をさらに備える。環状クッション11は、環状に形成され、弾性変形可能である。環状クッション11は、遮光性を有していることが好ましい。環状クッション11は、例えばゴムなどであってよい。
環状クッション11は、ベース8の壁部81とセンサ基板72の搭載面72aとの間に挟まれる(図4参照)。
【0029】
環状クッション11が壁部81とセンサ基板72との間に挟まれた状態においては、カラーセンサ71が環状クッション11の内側に位置し、かつ、貫通孔82が環状クッション11の内側に開口する。このため、貫通孔82を通過した色光は、環状クッション11の内側を通してカラーセンサ71に到達できる。また、この状態において、環状クッション11は弾性的に圧縮されるため、センサ基板72と環状クッション11との間の隙間、及び、壁部81と環状クッション11との間の隙間を確実に埋めることができる。すなわち、環状クッション11は、センサ基板72と壁部81との隙間を埋めることができる。
本実施形態において、環状クッション11は、収容凹部83に収容され、収容凹部83の底面83bとセンサ基板72の搭載面72aとの間に挟まれる。環状クッション11が収容凹部83に収容されることで、環状クッション11がカラーセンサ71や貫通孔82に対して位置ずれすることを効果的に抑制できる。
【0030】
本実施形態の投写型表示装置1は、孔付きフィルタ12をさらに備える。孔付きフィルタ12は、板状に形成され、その板厚方向に貫通する通過用孔121(孔)を有する。孔付きフィルタ12の表面は、光が反射しない又は反射し難い色(例えば黒色)であることが好ましい。孔付きフィルタ12を構成する材料は、例えばポリカーボネートなどの樹脂材料であってもよいし、例えば金属材料であってもよい。孔付きフィルタ12の板厚は、薄い方がより好ましい。
孔付きフィルタ12は、反射ミラー34とカラーセンサ71との間に設けられる。
【0031】
本実施形態において、孔付きフィルタ12は、その通過用孔121が貫通孔82と連なるように、貫通孔82が開口する壁部81の外面81b側に配置される。また、孔付きフィルタ12は、環状クッション11と同様に、収容凹部83に収容される。孔付きフィルタ12は、収容凹部83の底面83bと環状クッション11との間に挟まれる。孔付きフィルタ12が収容凹部83に収容されることで、孔付きフィルタ12がカラーセンサ71や貫通孔82に対して位置ずれすることを効果的に抑制できる。
貫通孔82の貫通方向(孔付きフィルタ12の板厚方向)から見て、孔付きフィルタ12の通過用孔121の大きさは、壁部81の貫通孔82よりも小さい。
【0032】
本実施形態の投写型表示装置1は、色付きフィルタ13をさらに備える。色付きフィルタ13は、反射ミラー34とカラーセンサ71との間に設けられる。色付きフィルタ13は、所定のカラーセンサ71で検出する所定色の色光を透過し、所定色以外の色光を吸収する。ここで、色付きフィルタ13は、所定色以外の色光を反射してもよい。
図4に例示するように、色付きフィルタ13は、第三反射ミラー34-3と青色光の出力を検出する第三カラーセンサ71-3との間に設けられる。この色付きフィルタ13は、青色光を透過し、青色光以外の色光(例えば緑色光)を吸収若しくは反射する。具体的に、この色付きフィルタ13は、青色に着色される。
【0033】
また、図示しないが、色付きフィルタ13は、第二反射ミラー34-2と緑色光の出力を検出する第二カラーセンサ71-2との間にも設けられる。この色付きフィルタ13は、緑色光を透過し、緑色光以外の色光(例えば青色光)を吸収若しくは反射する。具体的に、この色付きフィルタ13は、緑色に着色される。
なお、色付きフィルタ13は、例えば第一反射ミラー34-1と赤色光の出力を検出する第一カラーセンサ71-1との間にも設けられてもよい。この色付きフィルタ13は、赤色光を透過し、赤色光以外の色光を吸収若しくは反射するとよい。具体的に、この色付きフィルタ13は、赤色に着色される。
【0034】
本実施形態において、色付きフィルタ13は、板状に形成され、収容凹部83に収容される。また、収容凹部83の底面83bと環状クッション11との間に挟まれる。図4図6に示す例では、色付きフィルタ13が環状クッション11と孔付きフィルタ12との間に位置するが、例えば収容凹部83の底面83bと孔付きフィルタ12との間に位置してもよい。
【0035】
以上のように構成される本実施形態の投写型表示装置1において、反射ミラー34を透過した色光は、図4に例示するように、壁部81の貫通孔82を透過し、さらに孔付きフィルタ12の通過用孔121、及び、色付きフィルタ13を通った上で、各カラーセンサ71に到達する。
【0036】
図3に示すように、第一カラーセンサ71-1には、第一ダイクロイックミラー33-1で反射した赤色光の一部が、第一反射ミラー34-1を透過して到達する。第一ダイクロイックミラー33-1では、赤色光以上の波長の光が反射するため、他の色光(可視光線)が第一反射ミラー34-1に入射することはほぼない。このため、第一反射ミラー34-1と第一カラーセンサ71-1との間には、例えば赤色に着色された色付きフィルタ13を設けなくてもよい。ただし、第一反射ミラー34-1と第一カラーセンサ71-1との間に、赤色に着色された色付きフィルタ13を設けることで、第一カラーセンサ71-1に入射される赤色光の光量を調整することはできる。
【0037】
第二カラーセンサ71-2には、第二ダイクロイックミラー33-2を透過した青色光(第三色光)及び青色光よりも光量が小さい緑色光(第二色光)の一部が、第二反射ミラー34-2を透過して向かう。ここで、第二反射ミラー34-2と第二カラーセンサ71-2との間には、緑色に着色された色付きフィルタ13が設けられている。このため、第二反射ミラー34-2を透過した緑色光だけが色付きフィルタ13を透過して第二カラーセンサ71-2に到達する。なお、第二反射ミラー34-2を透過した青色光は、色付きフィルタ13において吸収若しくは反射される。
【0038】
第三カラーセンサ71-3には、第二ダイクロイックミラー33-2を透過し、第二反射ミラー34-2で反射した青色光(第三色光)及び青色光よりも光量が小さい緑色光(第三色光)の一部が、第三反射ミラー34-3を透過して向かう。ここで、第三反射ミラー34-3と第三カラーセンサ71-3との間には、青色に着色された色付きフィルタ13が設けられている。このため、第三反射ミラー34-3を透過した青色光だけが色付きフィルタ13を透過して第三カラーセンサ71-3に到達する。なお、第三反射ミラー34-3を透過した緑色光は、色付きフィルタ13において吸収若しくは反射される。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の投写型表示装置1では、カラーセンサ71が、色光分離部32によって分離された色光を反射する反射ミラー34の裏面34b側に配置され、反射ミラー34を透過した色光の出力を検出する。すなわち、カラーセンサ71には、反射ミラー34を透過した色光が到達する。このため、カラーセンサ71に到達する色光の光量を低く抑えることができる。したがって、投写型表示装置ごとにカラーセンサ71の位置を設定しなくても、カラーセンサ71に過度な出力の光が照射されることを抑制できる。
【0040】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、反射ミラー34をベース8の壁部81の内面81a側に取り付け、カラーセンサ71をベース8の壁部81の外面81b側に取り付けるだけで、簡単にカラーセンサ71を反射ミラー34の裏面34b側に配置することができる。そして、反射ミラー34を透過した色光は、壁部81の貫通孔82を通過した上で、カラーセンサ71に到達させることができる。
また、カラーセンサ71が反射ミラー34とベース8の壁部81の内面81aとの間に取り付けられる場合と比較して、高い位置精度が求められる反射ミラー34をベース8から取り外すことなく、カラーセンサ71をベース8から取り外すこともできる。すなわち、カラーセンサ71の交換を容易に行うこともできる。
【0041】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、反射ミラー34をその厚さ方向から見て、貫通孔82が反射ミラー34の縁の内側に位置する。このため、反射ミラー34の周囲を回り込んだ色光が貫通孔82を通過してカラーセンサ71に到達することを効果的に抑制できる。したがって、カラーセンサ71に到達する色光の光量を低く抑えることができる。
【0042】
また、本実施形態の投写型表示装置1は、ベース8の壁部81とカラーセンサ71が搭載されるセンサ基板72の搭載面72aとの間に挟まれる弾性変形可能な環状クッション11を備える。カラーセンサ71は環状クッション11の内側に位置し、壁部81の貫通孔82は環状クッション11の内側に開口する。これにより、センサ基板72の搭載面72aと壁部81の外面81bとの間に隙間があったとしても、外部の光(反射ミラー34側からカラーセンサ71に到達する色光以外の光)が当該隙間を通して、カラーセンサ71に到達することを抑制又は防止できる。これにより、カラーセンサ71に外部の光が到達することで、カラーセンサ71が誤った検出結果を出力してしまうことを抑制又は防止することができる。
【0043】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、環状クッション11を壁部81の外面81bから窪む収容凹部83に収容することで、センサ基板72の搭載面72aを壁部81の外面81bに面接触させることができる。これにより、センサ基板72を壁部81に対して安定に配置することができる。また、環状クッション11が収容凹部83に収容されることで、環状クッション11がカラーセンサ71や貫通孔82に対して位置ずれすることを効果的に抑制できる。
【0044】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、ベース8の壁部81の外面81bに複数の位置決め突起85が設けられ、センサ基板72は、複数の位置決め突起85がそれぞれ挿入される複数の位置決め凹部75を有する。これにより、センサ基板72を壁部81の外面81bに取り付ける際に、センサ基板72をベース8に対して簡単に位置決めできる。これにより、センサ基板72に搭載されたカラーセンサ71を簡単にベース8に取り付けることができる。
【0045】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、反射ミラー34とカラーセンサ71との間に、色光が通過する通過用孔121を有する孔付きフィルタ12が設けられる。このため、通過用孔121の大きさ(例えば径寸法)を変えることで、カラーセンサ71に到達する色光の光量を調整することができる。すなわち、通過用孔121の径寸法が異なる孔付きフィルタ12を反射ミラー34とカラーセンサ71との間に設けるだけで、カラーセンサ71に到達する色光の光量を簡単に調整できる。
また、本実施形態の投写型表示装置1において、孔付きフィルタ12を利用する場合には、色光が通過するベース8の壁部81の貫通孔82の大きさを変える場合と比較して、カラーセンサ71に到達する色光の光量を簡単かつ低コストで調整できる。
【0046】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、反射ミラー34とカラーセンサ71との間に、当該カラーセンサ71で検出する所定色の色光を透過し、所定色以外の色光を吸収若しくは反射する色付きフィルタ13が設けられる。このため、反射ミラー34を透過した光がカラーセンサ71で検出する所定色以外の色光を含んでいても、この所定色以外の色光がカラーセンサ71に到達することを防止できる。これにより、カラーセンサ71に所定色以外の色光が到達することで、カラーセンサ71が誤った検出結果を出力してしまうことを抑制又は防止することができる。
【0047】
また、本実施形態の投写型表示装置1では、3つの色光(赤色光、緑色光、青色光)の出力をそれぞれ別個のカラーセンサ71において検出することができる。
また、第二ダイクロイックミラー33-2において反射した緑色光(第二色光)を反射ミラーにおいて反射させなくても、第二カラーセンサ71-2によって緑色光の出力を正しく検出することができる。以下、この点について説明する。
青色光(第三色光)と共に第二ダイクロイックミラー33-2を透過した小さい光量の緑色光(第二色光)の一部が第二反射ミラー34-2を透過することで、緑色光を第二カラーセンサ71-2に到達させることができる。また、緑色光と共に第二反射ミラー34-2を透過した青色光は、色付きフィルタ13により吸収若しくは反射されるため、第二カラーセンサ71-2に到達することはない。これにより、第二カラーセンサ71-2によって緑色光の出力を正しく検出することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0049】
本発明の投写型表示装置において、ベース8の壁部81に形成される貫通孔82は、例えば図7に示すように、反射ミラー34をその厚さ方向から見て、反射ミラー34の縁の外側まで延びるスリット状に形成されてもよい。図7においては、スリット状の貫通孔82が反射ミラー34の上側の縁の外側まで延びている。このような構成では、スリット状の貫通孔82を壁部81の端まで到達させることができるため、ベース8を成型する金型構造の簡素化を図ることができる。これにより、ベース8の製造コストを低く抑えることができる。
【0050】
本発明の投写型表示装置において、反射ミラー34とカラーセンサ71との間には、上記実施形態の色付きフィルタ13のように色光を透過させる透過フィルタとして、例えば減光フィルタ(Neutral Densityフィルタ)が設けられてもよい。減光フィルタは、これを透過する色光の種類を限定しないが、色付きフィルタ13の場合と同様に、透過する色光の光量を減らすことができる。この場合、光の透過率が異なる減光フィルタを反射ミラー34とカラーセンサ71との間に設けるだけで、カラーセンサ71に到達する色光の光量を簡単に調整できる。
なお、減光フィルタは、例えば色付きフィルタ13や孔付きフィルタ12の代わりに設けられてもよいが、色付きフィルタ13や孔付きフィルタ12と共に反射ミラー34とカラーセンサ71との間に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 投写型表示装置
7 カラーセンサユニット
8 ベース
11 環状クッション
12 孔付きフィルタ
13 色付きフィルタ
32 色光分離部
33-1 第一ダイクロイックミラー
33-2 第二ダイクロイックミラー
34 反射ミラー
34-1 第一反射ミラー
34-2 第二反射ミラー
34-3 第三反射ミラー
34a 反射面
34b 裏面
71 カラーセンサ
71-1 第一カラーセンサ
71-2 第二カラーセンサ
71-3 第三カラーセンサ
72 センサ基板
72a 搭載面
75 位置決め凹部
81 壁部
81a 内面
81b 外面
82 貫通孔
83 収容凹部
83b 底面
85 位置決め突起
121 通過用孔(孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7