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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119150
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】速結端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H01R4/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025847
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明義
(57)【要約】
【課題】保持体が電流経路となることを回避できる速結端子を提供する。
【解決手段】速結端子1は、電線100が挿入される挿入穴3Bを有している本体3と、本体3に収容され、電線100と接触して電線100と電気的に接続される端子5と、本体3に収容され、端子5に対する電線100の接触状態を保持する保持体7であって、導電性を有する該保持体7と、端子5と保持体7との間に介在しており、端子5と保持体7との電気的な接続を絶縁する絶縁体9と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と電気的に接続される速結端子であって、
前記電線が挿入される挿入穴を有している本体と、
前記本体に収容され、前記電線と接触して前記電線と電気的に接続される端子と、
前記本体に収容され、前記端子に対する前記電線の接触状態を保持する保持体であって、導電性を有する該保持体と、
前記端子と前記保持体との間に介在しており、前記端子と前記保持体との電気的な接続を絶縁する絶縁体と、を備える、速結端子。
【請求項2】
前記端子は、
前記電線と接触する第一端子部と、
前記第一端子部と対向して配置される第二端子部と、
前記第一端子部と前記第二端子部とを連結している第三端子部と、を有し、
前記保持体は、前記第一端子部と前記第二端子部との間に配置されており、
前記絶縁体は、前記第二端子部及び前記第三端子部と前記保持体との電気的な接続を絶縁する、請求項1に記載の速結端子。
【請求項3】
前記絶縁体は、
前記第二端子部と前記保持体との間に配置されている第一絶縁部と、
前記第三端子部と前記保持体との間に配置されている第二絶縁部と、を有する、請求項2に記載の速結端子。
【請求項4】
電線と電気的に接続される速結端子であって、
前記電線が挿入される挿入穴を有している本体と、
前記本体に収容され、前記電線と接触して前記電線と電気的に接続される端子と、
前記本体に収容され、前記端子に対する前記電線の接触状態を保持する保持体であって、導電性を有する該保持体と、を備え、
前記端子と前記保持体とが接触していない、速結端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、速結端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の速結端子として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の速結端子は、樹脂製の本体と、電線と電気的に接続される端子と、電線を端子に向かって押圧して、電線と端子との接触状態を保持する保持体と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-92846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
速結端子では、電線と端子との接触状態を保持するために、保持体を金属製の弾性部材によって形成して、保持体により電線を端子側に向かって押圧している。この構成では、保持体の弾性力に対する耐久性が保持体を収容している本体に求められるが、樹脂製の本体において剛性を確保しようとすると、本体が大型化する。そのため、速結端子では、端子によって、剛性を確保している。具体的には、端子は、互いに対向して配置される第一端子部(接触部)及び第二端子部と、第一端子部と第二端子部とを連結している連結部と、を有している。この構成において、保持体は、第一端子部と第二端子部との間に配置されている。このように、速結端子では、金属製の第一端子部と第二端子部との間に保持体が配置されるため、本体において剛性を確保しなくとも、保持体の弾性力に耐え得る構造とすることができる。
【0005】
このような構成の速結端子では、端子の第一端子部と電線との間に接触不良等が発生すると、保持体を介して電線と端子の第二端子部との間に電流経路が形成され、保持体に電流が流れ得る。この場合、保持体が発熱したりするおそれがある。
【0006】
本発明は、保持体が電流経路となることを回避できる速結端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る速結端子は、電線と電気的に接続される速結端子であって、電線が挿入される挿入穴を有している本体と、本体に収容され、電線と接触して電線と電気的に接続される端子と、本体に収容され、端子に対する電線の接触状態を保持する保持体であって、導電性を有する該保持体と、端子と保持体との間に介在しており、端子と保持体との電気的な接続を絶縁する絶縁体と、を備える。
【0008】
本発明に係る速結端子は、絶縁体を備えている。絶縁体は、端子と保持体との間に介在しており、端子と保持体との電気的な接続を絶縁する。これにより、速結端子では、端子と電線との間に接触不良等が発生したとしても、保持体を介して電線と端子との間に電流経路が形成されない。そのため、速結端子では、保持体に電流が流れることがない。したがって、速結端子では、保持体が電流経路となることを回避できる。その結果、速結端子では、保持体が発熱したりすることを回避できる。
【0009】
一実施形態においては、端子は、電線と接触する第一端子部と、第一端子部と対向して配置される第二端子部と、第一端子部と第二端子部とを連結している第三端子部と、を有し、保持体は、第一端子部と第二端子部との間に配置されており、絶縁体は、第二端子部及び第三端子部と保持体との電気的な接続を絶縁してもよい。この構成では、保持体の機能を維持しつつ、端子と保持体との電気的な絶縁性を確保できる。
【0010】
一実施形態においては、絶縁体は、第二端子部と保持体との間に配置されている第一絶縁部と、第三端子部と保持体との間に配置されている第二絶縁部と、を有していてもよい。この構成では、第二端子部及び第三端子部と保持体との電気的な絶縁性をより確実に確保できる。
【0011】
本発明に係る速結端子は、電線と電気的に接続される速結端子であって、電線が挿入される挿入穴を有している本体と、本体に収容され、電線と接触して電線と電気的に接続される端子と、本体に収容され、端子に対する電線の接触状態を保持する保持体であって、導電性を有する該保持体と、を備え、端子と保持体とが接触していない。
【0012】
本発明に係る速結端子では、端子と保持体とが接触していない。そのため、速結端子では、端子と電線との間に接触不良等が発生したとしても、保持体を介して電線と端子との間に電流経路が形成されない。そのため、速結端子では、保持体に電流が流れることがない。したがって、速結端子では、保持体が電流経路となることを回避できる。その結果、速結端子では、保持体が発熱したりすることを回避できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保持体が電流経路となることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第一実施形態に係る速結端子と電線とを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す速結端子の側面図である。
図3図3は、端子、保持体及び絶縁体を示す斜視図である。
図4図4は、端子を示す斜視図である。
図5図5は、絶縁体を示す斜視図である。
図6図6は、第二実施形態に係る速結端子と電線とを示す斜視図である。
図7図7は、図6に示す速結端子の側面図である。
図8図8は、端子及び保持体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態係る速結端子と電線とを示す斜視図である。図2は、図1に示す速結端子の側面図である。図1及び図2に示される速結端子1は、主に壁面に設置されるコンセントに設けられている。速結端子1は、電線100を差し込むだけで電気的接続を行うことができ、ネジ止め等をしなくても電線100が抜けることがないため、簡易な操作で電線100を接続できる。図1及び図2に示されるように、速結端子1は、本体3と、端子5と、保持体7と、絶縁体9と、を備えている。
【0017】
本体3は、端子5、保持体7及び絶縁体9を保持している。本体3は、電気的に絶縁性を有する材料で形成されている。本体3は、例えば樹脂で形成されている。本体3は、収容部3Aと、挿入穴3Bと、を有している。収容部3Aは、端子5、保持体7及び絶縁体9を収容する部分である。挿入穴3Bは、電線100が挿入される部分である。挿入穴3Bは、収容部3Aに連通している。
【0018】
端子5は、電線100と電気的に接続される部材である。端子5は、コンセントの刃受け(図示省略)に電気的に接続されている。図3及び図4に示されるように、端子5は、接触部(第一端子部)5Aと、基部(第二端子部)5Bと、連結部(第三端子部)5Cと、を有している。接触部5A、基部5B及び連結部5Cは、一体に形成されている。端子5は、略U字形状(チャンネル形状)を呈している。端子5は、導電性を有する材料で形成されている。端子5では、接触部5A、基部5B及び連結部5Cが電気的に接続されており、主電路の一部を構成している。
【0019】
接触部5Aは、電線100と接触する部分である。接触部5Aは、電線100の進入方向に沿って延在している。基部5Bは、接触部5Aと対向する位置に配置されている。基部5Bは、電線100の進入方向に沿って延在している。連結部5Cは、接触部5Aと基部5Bとを連結している。
【0020】
保持体7は、本体3に挿入された電線100が端子5(接触部5A)に接触した状態(接触状態)を保持するための部材である。図3に示されるように、保持体7は、押圧部7Aと、係止部7Bと、連結部7Cと、を有している。押圧部7A、係止部7B及び連結部7Cは、一体に形成されている。保持体7は、弾性及び導電性を有する帯状金属(板ばね)を折り曲げて形成されている。本実施形態では、保持体7は、例えばステンレスで形成されている。保持体7は、電線100が本体3に挿入されると、電線100によって押し下げられて弾性変形する。保持体7は、電線100が本体3から引き抜かれると、弾性力によって初期状態(図2に示す状態)に戻る。
【0021】
押圧部7Aは、電線100の進入方向において、前方(奥)側に位置している。押圧部7Aは、保持体7の端部(一端部)で構成されている。押圧部7Aは、端子5の接触部5Aと離間している。押圧部7Aは、電線100が本体3に挿入されると電線100に接触し、電線100を端子5の接触部5A側に付勢して電線100を押圧する。
【0022】
係止部7Bは、電線100の進入方向において、後方(手前、挿入穴3B)側に位置している。係止部7Bは、保持体7の端部(他端部)で構成されている。係止部7Bは、端子5の接触部5Aと離間している。係止部7Bは、電線100の進入方向に対して傾斜している。係止部7Bは、電線100が本体3に挿入されると電線100に接触して(引っ掛かって)電線100を係止し、電線100が本体3から抜ける方向に移動することを規制する。
【0023】
連結部7Cは、押圧部7Aと係止部7Bとを連結している。連結部7Cは、絶縁体9の基部9A(後述)上に配置されている。連結部7Cは、絶縁体9の基部9Aを介して、端子5の基部5B上に配置されているともいえる。
【0024】
絶縁体9は、端子5と保持体7とを電気的に絶縁する部材である。図3及び図5に示されるように、絶縁体9は、基部(第一絶縁部)9Aと、側部(第二絶縁部)9Bと、を有している。基部9A及び側部9Bは、一体に形成されている。絶縁体9は、略L字形状を呈している。絶縁体9は、電気的に絶縁性を有する材料で形成されている。絶縁体9は、例えば樹脂で形成されている。絶縁体9は、耐熱性、不燃性を有する材料で形成されることが好ましい。
【0025】
基部9Aは、板状部材である。基部9Aは、保持体7の下部に配置されている。基部9Aは、端子5(基部5B)と保持体7(連結部7C)との間に配置されている。側部9Bは、板状部材である。側部9Bは、基部9Aの幅方向(電線100の進入方向に直交する方向)の端部に立設されている。側部9Bは、端子5(連結部5C)と保持体7との間に配置されている。
【0026】
速結端子1では、本体3の挿入穴3Bから電線100が挿入されると、保持体7の係止部7B及び押圧部7Aの順に電線100が接触し、電線100が係止部7B及び押圧部7Aを押し下げる。電線100は、押圧部7Aによって端子5の接触部5Aに押圧されると共に、係止部7Bによって本体3から抜ける方向への移動が規制される。これにより、速結端子1では、電線100と端子5とが電気的に接続される。
【0027】
速結端子1から電線100を引き抜く場合には、保持体7の係止部7Bをリリース部(図示省略)の操作によって押し下げ、係止部7Bと電線100との接触を解除する。
【0028】
以上説明したように、本実施形態に係る速結端子1は、絶縁体9を備えている。絶縁体9は、端子5と保持体7との間に介在しており、端子5と保持体7との電気的な接続を絶縁する。これにより、速結端子1では、端子5と電線100との間に接触不良等が発生したとしても、保持体7を介して電線100と端子5との間に電流経路が形成されない。そのため、速結端子1では、保持体7に電流が流れることがない。したがって、速結端子1では、保持体7が電流経路となることを回避できる。その結果、速結端子1では、保持体7が発熱したりすることを回避できる。
【0029】
本実施形態に係る速結端子1では、端子5は、電線100と接触する接触部5Aと、接触部5Aと対向して配置される基部5Bと、接触部5Aと基部5Bとを連結している連結部5Cと、を有している。保持体7は、接触部5Aと基部5Bとの間に配置されている。絶縁体9は、基部5B及び連結部5Cと保持体7との電気的な接続を絶縁する。この構成では、保持体7の機能を維持しつつ、端子5と保持体7との電気的な絶縁性を確保できる。
【0030】
本実施形態に係る速結端子1では、絶縁体9は、基部5Bと保持体7との間に配置されている基部9Aと、連結部5Cと保持体7との間に配置されている側部9Bと、を有している。この構成では、基部5B部及び連結部5Cと保持体7との電気的な絶縁性をより確実に確保できる。
【0031】
上記第一実施形態では、端子5と保持体7とを電気的に絶縁する部材として絶縁体9を備える形態を一例に説明した。しかし、保持体7の表面に絶縁被膜が形成されることによって、端子5と保持体7とが電気的に絶縁されてもよい。絶縁被膜は、保持体7の全体に形成されていてもよいし、保持体7が端子5の基部5B及び連結部5Cと接触し得る部分に形成されていてもよい。
【0032】
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態について説明する。図6は、第二実施形態係る速結端子と電線とを示す斜視図である。図7は、図6に示す速結端子の側面図である。図6及び図7に示されるように、速結端子1Aは、本体3と、端子11と、保持体7と、を備えている。速結端子1Aは、端子11の構造、及び、絶縁体9を備えていない点で、速結端子1の構成と異なっている。
【0033】
端子11は、電線100と電気的に接続される部材である。端子11は、コンセントの刃受け(図示省略)に電気的に接続されている。端子11は、導電性を有する材料で形成されている。端子11は、電線100と接触する。端子11は、電線100の進入方向に沿って延在している。端子11は、第一実施形態に係る端子5の接触部5Aの構成に相当する。端子11は、端子5の基部5B及び連結部5Cに相当する構成を有していない。
【0034】
図7及び図8に示されるように、速結端子1Aでは、端子11と保持体7とが接触していない。端子11と保持体7とは、離間して配置されている。すなわち、端子11と保持体7とは、電気的に接続されていない。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る速結端子1Aでは、端子11と保持体7とが接触していない。そのため、速結端子1Aでは、端子11と電線100との間に接触不良等が発生したとしても、保持体7を介して電線100と端子11との間に電流経路が形成されない。そのため、速結端子1Aでは、保持体7に電流が流れることがない。したがって、速結端子1Aでは、保持体7が電流経路となることを回避できる。その結果、速結端子1Aでは、保持体7が発熱したりすることを回避できる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0037】
上記実施形態では、速結端子1,1Aが一本の電線100と接続される形態を一例に説明した。しかし、速結端子1,1Aには、複数の電線100が接続されてもよい。この構成では、速結端子1,1Aが、複数の端子5,11、複数の保持体7及び複数の絶縁体9を備えていればよい。
【符号の説明】
【0038】
1,1A…速結端子、3…本体、3B…挿入穴、5…端子、5A…接触部(第一端子部)、5B…基部(第二端子部)、5C…連結部(第三端子部)、7…保持体、9…絶縁体、9A…基部(第一絶縁部)、9B…側部(第二絶縁部)、11…端子、100…電線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8