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特開2024-119157コンピュータプログラム、サーバ、および、システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119157
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、サーバ、および、システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H04N1/00 C
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025867
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001058
【氏名又は名称】鳳国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 丈史
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC34
5C062AC61
5C062AC67
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
5C062AF10
(57)【要約】
【課題】 読取画像を使用して推奨を行う。
【解決手段】
光学的に読み取られる文書を表す読取画像データを取得する。読取画像データによって表される読取画像中の文書の縦横比と相関を有するパラメータを使用して、文書の光学的な読み取りのための推奨読取装置を複数の候補読取装置から選択する。推奨読取装置に対応付けられる特定情報を出力する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータプログラムであって、
光学的に読み取られる文書を表す読取画像データを取得する取得機能と、
前記読取画像データによって表される読取画像中の前記文書の縦横比と相関を有するパラメータを使用して、前記文書の光学的な読み取りのための推奨読取装置を複数の候補読取装置から選択する選択機能と、
前記推奨読取装置に対応付けられる特定情報を出力する出力機能と、
をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンピュータプログラムであって、
前記読取画像データは、携帯型装置に含まれるデジタルカメラによって撮影される画像のデータである、
コンピュータプログラム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンピュータプログラムであって、
前記複数の候補読取装置は、原稿台を有するスキャナであるフラットベッドスキャナと、複数枚のシートを自動的に送る自動送り装置を有するスキャナである自動送りスキャナと、原稿台と自動送り装置との両方を有するスキャナである多機能スキャナと、を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項4】
請求項1または2に記載のコンピュータプログラムであって、
前記複数の候補読取装置は、複数枚のカードを自動的に送る自動カード送り装置を有する自動カード送りスキャナを含み、
前記選択機能は、前記縦横比が黄金比を含む第1範囲内にあることを前記パラメータが示すことを含む第1条件が満たされる場合には、前記推奨読取装置として前記自動カード送りスキャナを選択する、
コンピュータプログラム。
【請求項5】
請求項1または2に記載のコンピュータプログラムであって、
前記複数の候補読取装置は、複数枚のシートを自動的に送る自動送り装置を有するスキャナである自動送りスキャナを含み、
前記選択機能は、前記縦横比が白銀比を含む第2範囲内にあることを前記パラメータが示すことを含む第2条件が満たされる場合には、前記推奨読取装置として前記自動送りスキャナを選択する、
コンピュータプログラム。
【請求項6】
請求項1または2に記載のコンピュータプログラムであって、
前記複数の候補読取装置は、原稿台を有するスキャナを含み、
前記選択機能は、前記縦横比が黄金比よりも細長い第3範囲内にあることを前記パラメータが示すことを含む第3条件が満たされる場合には、前記推奨読取装置として前記原稿台を有するスキャナを選択する、
コンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項1または2に記載のコンピュータプログラムであって、
前記複数の候補読取装置は、原稿台を有するスキャナを含み、
前記選択機能は、前記読取画像中において前記文書の特定の部分が前記文書の他の部分と比べて暗いことを含む第4条件が満たされる場合には、前記推奨読取装置として前記原稿台を有するスキャナを選択する、
コンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項1に記載のコンピュータプログラムであって、
前記複数の候補読取装置は、複数枚のシートを自動的に送る自動送り装置を有するスキャナである自動送りスキャナを含み、
前記選択機能は、前記読取画像データが据え置き型のスキャナによって読み取られた画像のデータであることと、前記縦横比が黄金比を含む第1範囲内または白銀比を含む第2範囲内にあることを前記パラメータが示すことと、前記読取画像データが複数枚の文書の読み取りによって生成されたデータであることと、を含む第5条件が満たされる場合には、前記推奨読取装置として前記自動送りスキャナを選択する、
コンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項1または2に記載のコンピュータプログラムであって、
前記複数の候補読取装置は、印刷実行部と読取実行部とを含む複合機を含み、
前記選択機能は、前記読取画像データが印刷に使用されたことを含む第6条件が満たされる場合には、前記推奨読取装置として前記複合機を選択する、
コンピュータプログラム。
【請求項10】
サーバであって、
光学的に読み取られる文書を表す読取画像データを端末装置から取得する取得部と、
前記読取画像データによって表される読取画像中の前記文書の縦横比と相関を有するパラメータを使用して、前記文書の光学的な読み取りのための推奨読取装置を複数の候補読取装置から選択する選択部と、
前記推奨読取装置に対応付けられる特定情報を前記端末装置に出力する出力部と、
を備える、サーバ。
【請求項11】
システムであって、
サーバと、
デジタルカメラと表示部とを有するとともにネットワークを介して前記サーバと通信するように構成された端末装置と、
を備え、
前記端末装置は、前記デジタルカメラによって光学的に読み取られる文書を表す読取画像データを、前記サーバに送信する送信部を備え、
前記サーバは、
前記読取画像データを前記端末装置から取得する取得部と、
前記読取画像データによって表される読取画像中の前記文書の縦横比と相関を有するパラメータを使用して、前記文書の光学的な読み取りのための推奨読取装置を複数の候補読取装置から選択する選択部と、
前記推奨読取装置に対応付けられる特定情報を前記端末装置に出力する出力部と、
を備え、
前記端末装置は、前記特定情報を前記表示部に表示させる表示処理部を備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、光学的に読み取られた画像を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジタルカメラやスキャナなどの読取装置によって光学的に読み取られた対象物(例えば、文書)の画像が使用されている。また、読取画像に関する種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1は、原稿における特徴的な構成(罫線等)、項目の配置の特徴、図面または画像の挿入位置、フォントの種類またはサイズ等の要素に基づいて原稿種別を特定し、原稿種別ごとに推奨コピー機能と推奨送信機能を提示する技術を説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-15348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、読取画像を使用して推奨を行うには、工夫の余地があった。
【0005】
本明細書は、読取画像を使用して推奨を行う技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]コンピュータプログラムであって、光学的に読み取られる文書を表す読取画像データを取得する取得機能と、前記読取画像データによって表される読取画像中の前記文書の縦横比と相関を有するパラメータを使用して、前記文書の光学的な読み取りのための推奨読取装置を複数の候補読取装置から選択する選択機能と、前記推奨読取装置に対応付けられる特定情報を出力する出力機能と、をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【0008】
この構成によれば、読取画像中の文書の縦横比と相関を有するパラメータを使用して、文書の光学的な読み取りのための推奨読取装置が選択され、推奨読取装置に対応付けられる特定情報が出力されるので、適切な読取装置の推奨が可能である。
【0009】
[適用例2]システムであって、サーバと、デジタルカメラと表示部とを有するとともにネットワークを介して前記サーバと通信するように構成された端末装置と、を備え、前記端末装置は、前記デジタルカメラによって光学的に読み取られる文書を表す読取画像データを、前記サーバに送信する送信部を備え、前記サーバは、前記読取画像データを前記端末装置から取得する取得部と、前記読取画像データによって表される読取画像中の前記文書の縦横比と相関を有するパラメータを使用して、前記文書の光学的な読み取りのための推奨読取装置を複数の候補読取装置から選択する選択部と、前記推奨読取装置に対応付けられる特定情報を前記端末装置に出力する出力部と、を備え、前記端末装置は、前記特定情報を前記表示部に表示させる表示処理部を備える、システム。
【0010】
なお、本明細書に開示の技術は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、データ処理方法およびデータ処理装置、サーバ、端末装置、サーバと端末装置とを備えるシステム、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施例としてのシステムを示す説明図である。
図2】読取データ処理の例を示すシーケンス図である。
図3】読取データ処理の例を示すシーケンス図である。
図4】(A)は、読取画像の例を示す図である。(B)は、対象読取画像の例を示す図である。(C)は、候補読取装置の例を示す図である。(D)は、特定情報Iz1の例を示す図である。(E)は、特定情報Iz2の例を示す図である。
図5】推奨読取装置RDの選択処理の例を示すフローチャートである。
図6】推奨読取装置RDの選択処理の例を示すフローチャートである。
図7】推奨読取装置RDの選択処理の例を示すフローチャートである。
図8】文書種類PDの推定処理の例を示すフローチャートである。
図9】(A)、(B)は、文書の影の説明図である。(C)は、対象読取画像IMtと特定部分SP1-SP3を示す図である。(D)は、縦横比と範囲との説明図である。
図10】推奨読取装置RDの選択処理の別の実施例を示すフローチャートである。
図11】推奨読取装置RDの選択処理の別の実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.第1実施例:
A1.システムの構成:
図1は、一実施例としてのシステムを示す説明図である。このシステム1000は、複合機100と、端末装置200と、サーバ300と、を含む。
【0013】
複合機100は、画像の印刷と文書の読み取りとを実行可能である。端末装置200は、携帯型の端末装置である(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯ゲーム機、など)。端末装置200は、デジタルカメラ270を備えている。ユーザは、端末装置200のデジタルカメラ270に文書を読み取らせることができる。このように携帯型装置に含まれるカメラによる文書の読み取りは、カメラスキャンとも呼ばれる。
【0014】
端末装置200は、文書の読み取り後、サーバ300に、読み取りに関連する情報を送信する。サーバ300は、受信した情報を使用して、文書の読み取りのための推奨読取装置をユーザに提案する。例えば、読み取られた文書が細長い場合には、その文書は、お店のレシートの可能性がある。このような文書の読み取りには、自動文書送り装置よりも、原稿台が、好ましい。そこで、サーバ300は、原稿台を備える読取装置を提案する。推奨読取装置の提案の詳細については、後述する。
【0015】
複合機100と端末装置200とは、ローカルエリアネットワークLNに接続されている。ローカルエリアネットワークLNは、ユーザによって、管理されている。ローカルエリアネットワークLNは、図示しないルータを介して、インターネットITに接続されている。サーバ300は、インターネットITに接続されている。
【0016】
次に、ハードウェア構成について説明する。まず、複合機100について説明する。複合機100は、プロセッサ110と、記憶装置115と、表示部140と、操作部150と、印刷実行部160と、読取実行部170と、通信インタフェース180とを、有している。これらの要素は、図示しないバスを介して互いに接続されている。
【0017】
表示部140は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの、画像を表示するように構成された装置である。操作部150は、ボタン、レバー、表示部140上に重ねて配置されたタッチパネルなどの、ユーザによる操作を受け取るように構成された装置である。通信インタフェース180は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、有線LAN、IEEE802.11の無線LAN、のうちの1種以上のインタフェースを含む)。複合機100の通信インタフェース180は、ローカルエリアネットワークLNに接続されている。
【0018】
印刷実行部160は、画像を印刷する装置である。本実施例では、印刷実行部160は、いわゆるインクジェットプリンタである。印刷実行部160は、1種類以上の印刷材(例えば、シアンとマゼンタとイエローとブラックの4色のインク)を使用して、画像を印刷するように構成されている。なお、印刷実行部160は、他の方式で画像を印刷する装置であってよい(例えば、レーザープリンタ)。
【0019】
読取実行部170は、文書を光学的に読み取る装置である。本実施例では、読取実行部170は、図示しない光学センサ(例えば、Contact Image Sensor(CIS)、または、Charge Coupled Device(CCD))を備えている。読取実行部170は、文書を光学的に読み取ることによって、読み取った文書を表すスキャンデータを生成する。読取実行部170は、原稿台(フラットベッドとも呼ばれる)と、自動文書送り装置と、の一方または両方を備えてよい。自動文書送り装置は、複数枚の文書を1枚ずつ自動的に搬送する装置である
【0020】
プロセッサ110は、データを処理するように構成された装置である。プロセッサ110は、例えば、Central Processing Unit(CPU)、または、System on a chip(SoC)である。記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を含む。揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置130は、例えば、フラッシュメモリである。
【0021】
不揮発性記憶装置130は、プログラムPG1のデータを格納している。プログラムPG1に従ってプロセッサ110によって実行される処理は、印刷実行部160に画像を印刷させる処理と、読取実行部170に文書を読み取らせる処理と、を含んでいる。プログラムPG1のデータは、複合機100の製造時に、不揮発性記憶装置130に格納される。なお、プログラムPG1は、ネットワークを通じて図示しないサーバから、または、複合機100に接続された図示しない携帯記憶装置(例えば、USBフラッシュドライブ)から、複合機100の不揮発性記憶装置130に格納されてよい。
【0022】
端末装置200は、プロセッサ210と、記憶装置215と、表示部240と、操作部250と、デジタルカメラ270と、通信インタフェース280とを、有している。これらの要素は、図示しないバスを介して互いに接続されている。
【0023】
表示部240は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの、画像を表示するように構成された装置である。操作部250は、ボタン、レバー、表示部240上に重ねて配置されたタッチパネルなどの、ユーザによる操作を受け取るように構成された装置である。通信インタフェース280は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、有線LAN、IEEE802.11の無線LAN、携帯電話ネットワークのインタフェースのうちの1種以上のインタフェースを含む)。本実施例では、通信インタフェース280は、ローカルエリアネットワークLNに接続可能である。
【0024】
プロセッサ210は、データを処理するように構成された装置である(例えば、CPU、または、SoC)。記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230と、を含む。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置230は、例えば、フラッシュメモリである。
【0025】
不揮発性記憶装置230は、プログラムPG2のデータを格納している。プログラムPG2は、端末装置200上で動作するアプリケーションのプログラムである。プログラムPG2は、サーバ300を運営するサービス事業者によって、提供される。プログラムPG2は、ネットワークを通じて図示しないサーバから、または、端末装置200に接続された図示しない携帯記憶装置(例えば、USBフラッシュドライブ)から、端末装置200の不揮発性記憶装置230に格納されてよい。
【0026】
不揮発性記憶装置230の記憶領域は、読取画像データを格納するように構成される読取記憶領域SRを含んでいる。デジタルカメラ270によって読み取られる画像を表す読取データは、読取記憶領域SRに格納される。
【0027】
サーバ300は、プロセッサ310と、記憶装置315と、通信インタフェース380とを、有している。これらの要素は、図示しないバスを介して互いに接続されている。通信インタフェース380は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、有線LAN、IEEE802.11の無線LAN、のうちの1種以上のインタフェースを含む)。通信インタフェース380は、インターネットITに接続されている。プロセッサ310は、データを処理するように構成された装置である(例えば、CPU、または、SoC)。記憶装置315は、揮発性記憶装置320と、不揮発性記憶装置330とを、含む。揮発性記憶装置320は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置330は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置330は、プログラムPG3のデータを格納している。プロセッサ310は、プログラムPG3を実行することによって、サービスを提供するための種々の処理を実行する(詳細は、後述)。プログラムPG3は、サービスを提供するサービス事業者によって、サーバ300にアップロードされる。
【0028】
A2.読取データ処理:
図2図3は、読取データ処理の例を示すシーケンス図である。図3は、図2の続きを示している。図中には、ユーザと、アプリケーションAPPと、デジタルカメラ270と、不揮発性記憶装置230と、サーバ300と、複合機100と、の種々のステップが示されている。アプリケーションAPPのステップは、端末装置200のプロセッサ210によって実行される。サーバ300と複合機100のステップは、プロセッサ310、110によって、それぞれ実行される。ここで、プロセッサ210、310、110が処理を実行することを、アプリケーションAPP、サーバ300、複合機100が処理を実行する、とも表現する。
【0029】
S115では、ユーザは、端末装置200の操作部250を操作することによって、アプリケーションAPPを起動する。ユーザは、端末装置200のデジタルカメラ270の撮影範囲内に文書DCが位置するように、端末装置200の位置と向きとを調整する。そして、ユーザは、操作部150を操作することによって、カメラスキャンの指示を入力する。
【0030】
S120では、アプリケーションAPPは、デジタルカメラ270に撮影指示を供給する。S125では、デジタルカメラ270は、撮影指示に応じて、撮影を行う。これにより、デジタルカメラ270は、文書DCを光学的に読み取り、読み取った文書DCを表す読取画像データを生成する(単に、読取データとも呼ぶ)。
【0031】
図4(A)は、読取データによって表される読取画像の例を示す図である。読取画像IM1は、第1方向D1(ここでは、横方向)に平行な2辺と、第1方向D1に垂直な第2方向D2(ここでは、縦方向)に平行な2辺と、を有する矩形状の画像である。読取画像IM1は、第1方向D1と第2方向D2とに沿ってマトリクス状に並ぶ複数の画素のそれぞれの色値によって、表されている。本実施例では、色値は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3個の成分値で表されている。各成分値は、例えば、0から255までの256段階で表されている。本実施例では、後述する他の画像も、矩形状を有している。
【0032】
読取画像IM1は、第1文書DC1を表す文書部分DP1と、背景部分BP1と、を表している。読取画像IM1中では、第1文書DC1は、傾き得る。また、第1文書DC1の実際の形状は、矩形であることとする。読取画像IM1中では、第1文書DC1の形状は、矩形、または、矩形に類似する形状であり得る。
【0033】
S130(図2)では、アプリケーションAPPは、デジタルカメラ270から読取データを取得する。S135では、アプリケーションAPPは、読取データを補正することによって、補正済読取データを生成する(この補正を、スキャン補正とも呼ぶ(詳細は、後述))。S140(図2)では、アプリケーションAPPは、補正済読取データを、不揮発性記憶装置230の読取記憶領域SRに格納する。補正済読取データは、ユーザによる閲覧や、印刷処理や、後述する推奨読取装置の選択処理などの種々の処理で使用される。このような読取データを、対象読取データと呼ぶ。本実施例では、対象読取データは、補正済読取データである。
【0034】
図4(B)は、対象読取データによって表される対象読取画像の例を示す図である。対象読取画像IM1cは、図4(A)の読取画像IM1のスキャン補正によって得られる画像の例を示している。対象読取画像IM1cは、第1方向Dx(ここでは、横方向)に平行な2辺と、第1方向Dxに垂直な第2方向Dy(ここでは、縦方向)に平行な2辺と、を有する矩形状の画像である。図示するように、対象読取画像IM1c中で、第1文書DC1の傾きは、おおよそゼロである。また、背景は、除かれている。幅Wは、対象読取画像IM1cの短辺(ここでは、第1方向Dxに平行な辺)の長さであり、高さHは、対象読取画像IM1cの長辺(ここでは、第2方向Dyに平行な辺)の長さである(単位は、画素数)。幅Wと高さHとは、第1文書DC1の幅と高さと、おおよそ同じである。以下、第1方向Dxとして、対象読取画像の短辺に平行な方向を採用し、第2方向Dyとして、対象読取画像の長辺に平行な方向を採用することとする。すなわち、高さH>幅Wであることとする。
【0035】
本実施例では、スキャン補正は、読取画像中の文書の傾きを小さくし、そして、背景部分を取り除く処理を含んでいる。このような処理は、種々の処理であってよい。例えば、アプリケーションAPPは、以下の処理を実行してよい。アプリケーションAPPは、読取画像IM1(図4(A))を背景部分BP1と文書部分DP1とに分離する。アプリケーションAPPは、文書部分DP1の輪郭を近似する四角形を形成する4本の直線L1-L4を取得する。アプリケーションAPPは、上辺L1と下辺L3とのそれぞれの方向が第1方向D1に近づき、右辺L2と左辺L4とのそれぞれの方向が第2方向D2に近づくように、回転角度を決定する。アプリケーションAPPは、読取画像IM1を回転角度で回転させ、回転済の文書部分DP1を含むとともに、第1方向D1に平行な2辺と第2方向D2に平行な2辺とで構成される最小矩形の画像を、対象読取画像IM1cとして抽出する。2つの部分BP1、DP1は、例えば、読取画像IM1のグレースケール画像の二値化(例えば、大津の二値化)によって、決定されてよい。4本の近似直線L1-L4は、例えば、複数の点を近似する直線を決定するアルゴリズム(例えば、ハフ変換、最小二乗法など)に従って、文書部分DP1の輪郭を示す複数の画素を使用して決定されてよい。
【0036】
なお、文書の撮影時に、端末装置200(具体的には、デジタルカメラ270)は、文書に対して、傾き得る。従って、読取画像中では、文書の形状は、矩形から歪み得る。例えば、読取画像IM1(図4(A))中では、第1文書DC1の形状は、台形、または、平行な辺の無い四角形であり得る。スキャン補正は、このような歪みを補正する処理を含んでよい。歪み補正は、例えば、読取画像中の文書部分の4個の角を、対象読取画像の4個の角に、それぞれ対応付ける射影変換を含んでよい。例えば、図4(A)の文書部分DP1の4個の角P1-P4が、図4(B)の対象読取画像IM1cの4個の角P1c-P4cに、対応付けられてよい。文書部分DP1の4個の角P1-P4は、例えば、近似直線L1-L4によって形成される4個の角であってよい。なお、対象読取画像IM1cの幅Wは、対向する近似直線のペア(例えば、上辺L1と下辺L3)の一方の長さ、または、両方の長さを使用して決定されてよい(例えば、辺L1、L3から予め選択された一方の長さと同じ、または、両方の長さの平均)。対象読取画像IM1cの高さHは、対向する近似直線の他のペア(例えば、右辺L2と左辺L4)の一方の長さ、または、両方の長さを使用して決定されてよい(例えば、辺L2、L4から予め選択された一方の長さと同じ、または、両方の長さの平均)。
【0037】
以上のS115-S140を含む読取処理S110は、1枚の文書のための処理である。文書の総数がN枚(Nは1以上の整数)である場合、ユーザは、N回の読取処理S110を進行する。N回の読取処理S110の後、S142で、ユーザは、操作部150を操作することによって、スキャン終了の指示を入力する。
【0038】
S145では、アプリケーションAPPは、処理情報のデータを、サーバ300に送信する。処理情報は、以下の情報を含んでいる。
(1)読取装置種類PA
(2)読取数PB
(3)印刷フラグPC
(4)対象読取画像IMt
【0039】
読取装置種類PAは、文書の読取に使用された読取装置の種類である。本実施例では、読取装置種類PAとして、読取装置のモデル名が採用される。読取データの生成に端末装置200のデジタルカメラ270が使用される場合、読取装置種類PAは、端末装置200のモデル名に設定される。端末装置200のモデル名は、読取装置が携帯型装置に含まれることを示している。
【0040】
なお、読取処理S110では、端末装置200のデジタルカメラ270に代えて、据え置き型の読取装置(例えば、複合機100)が使用されてよい。例えば、ユーザは、S115で、複合機100による読取の指示を入力してよい。この指示に応じて、アプリケーションAPPは、複合機100に読取指示を送信する。複合機100は、この指示に応じて文書を読み取り、読取データを端末装置200に送信する。この場合、読取装置種類PAは、複合機100のモデル名に設定される。複合機100のモデル名は、読取装置が据え置き型の読取装置であることを示している。なお、スキャン補正(S135)は、端末装置200によって実行されてよく、これに代えて、複合機100によって実行されてよい。
【0041】
読取数PBは、読み取られた文書の枚数である。印刷フラグPCは、対象読取データが印刷に使用されたか否かを示している。「PC=ON」は、対象読取データが印刷に使用されたことを示し、「PC=OFF」は、対象読取データが印刷に使用されていないことを示している。S145では、印刷フラグPCは「OFF」に設定される。
【0042】
対象読取画像IMtは、読取処理S110によって生成される対象読取画像である。2枚以上の対象読取画像が生成される場合、それらを代表する1枚の対象読取画像が採用される(例えば、1枚目の対象読取画像)。以下、対象読取画像IMtが、文書DCを表すこととする。
【0043】
S150では、サーバ300は処理情報を使用して、推奨読取装置を複数の候補読取装置から選択する。図4(C)は、候補読取装置の例を示す図である。本実施例では、5種類の候補読取装置CD1-CD5から、推奨読取装置が選択される。
【0044】
第1候補CD1(モデルA)は、自動文書送り装置の無いフラットベッドスキャナである。フラットベッドは、原稿台とも呼ばれ、文書などの読み取りの対象物を載せる台である。本実施例では、フラットベッドスキャナは、スキャン専用機である。スキャン専用機は、印刷機能の無いスキャン専用の装置である。以下、「FB」を、フラットベッドの略称として使用し、「ADF」を、自動文書送り装置の略称として使用する。
【0045】
第2候補CD2(モデルB)は、ADFを有するスキャン専用機である。モデルBは、FBを有してよく、FBを有していなくてもよい。
【0046】
第3候補CD3(モデルC)は、自動カード送り装置を有するスキャナである。自動カード送り装置は、クレジットカードなどの小型のカードを自動的に搬送する装置である。モデルCは、FBを有してよく、FBを有していなくてもよい。
【0047】
第4候補CD4(モデルD)は、FBを有する複合機である。複合機は、複合機100(図1)のように、印刷実行部と読取実行部とを含む装置である。モデルDは、ADFを備えていない
【0048】
第5候補CD5(モデルE)は、ADFとFBの両方を有する複合機である。
【0049】
S150(図2)では、サーバ300は、対象読取画像IMt中の文書DCの縦横比と相関を有するパラメータを使用して、その文書DCの光学的な読み取りのための推奨読取装置を選択する。例えば、文書DCの縦横比がA4サイズのものと同じであり、読取数PBが1であり、印刷フラグPCが「OFF」である場合には、FBを有する第1候補CD1が推奨され得る。推奨読取装置の選択処理の詳細については、後述する。
【0050】
S152では、サーバ300は、推奨読取装置に対応付けられる特定情報Iz1を生成する。本実施例では、特定情報Iz1のデータは、推奨読取装置の説明文と、推奨読取装置のウェブページへのリンクと、を含む表示用のデータである。説明文とリンクとは、推奨読取装置毎に、予め決められている。特定情報Iz1のデータ形式は、テキスト形式など、種々の形式であってよい。S155では、サーバ300は、特定情報Iz1のデータを、端末装置200に送信する。S160では、アプリケーションAPPは、受信したデータを使用して、特定情報Iz1を、表示部240に表示する。
【0051】
図4(D)は、特定情報Iz1の例を示す図である。特定情報Iz1は、推奨読取装置を説明する第1メッセージMsg1と、推奨読取装置のウェブページへの第1リンクLK1と、を含んでいる。ウェブページへのリンクは、例えば、Uniform Resource Locator(URL)を表している。ユーザは、第1メッセージMsg1を観察することによって、より好ましい読取装置(ここでは、フラットベッドスキャナのモデルA)を知ることができる。また、ユーザは、操作部250を操作することによって、第1リンクLK1によって示されるウェブページを表示部240に表示させることができる(例えば、第1リンクLK1をタップすることによって、端末装置200上でウェブブラウザが起動してよい)。ユーザは、表示されるウェブページを参照することによって、推奨読取装置の詳細を知ることができる。なお、推奨読取装置のウェブページは、推奨読取装置の製造者、または、サービス事業者によって提供されてよい。
【0052】
対象読取データは、種々の用途に使用可能である。本実施例では、ユーザは、対象読取画像を複合機100に印刷させることとする。S215(図3)では、ユーザは、端末装置200の操作部150を操作することによって、印刷の指示を入力する。
【0053】
S220では、アプリケーションAPPは、不揮発性記憶装置230の読取記憶領域SRから、対象読取データを取得する。S225では、アプリケーションAPPは、印刷指示を複合機100に送信する。この指示は、対象読取データを含んでいる。S230では、複合機100は、受信した対象読取データを使用して、対象読取画像を印刷する。なお、S255で、アプリケーションAPPは、対象読取データを使用して、複合機100に適する印刷データを生成してよい。そして、アプリケーションAPPは、印刷データを、複合機100に送信してよい。
【0054】
S225の後、S245で、アプリケーションAPPは、処理情報のデータを、サーバ300に送信する。S145(図2)の処理情報との差異は、印刷フラグPCが「ON」である点である。
【0055】
S250では、サーバ300は、処理情報を使用して、推奨読取装置を複数の候補読取装置から選択する。S150(図2)とは異なり、印刷フラグPCが「ON」である。この場合、サーバ300は、文書の読み取りに加えて画像の印刷を実行可能な複合機を選択し得る(詳細は後述)。ここで、第4候補CD4(図4(C))が選択されることとする。
【0056】
S252では、サーバ300は、推奨読取装置に対応付けられる特定情報Iz2を生成する。サーバ300は、S152(図2)と同様に、推奨読取装置の説明文とリンクとを含む特定情報Iz2を生成する。S255では、サーバ300は、特定情報Iz2のデータを、端末装置200に送信する。S260では、アプリケーションAPPは、受信したデータを使用して、特定情報Iz2を、表示部240に表示する。
【0057】
図4(E)は、特定情報Iz2の例を示す図である。図4(D)の特定情報Iz1とは異なり、図4(E)の特定情報Iz2では、第2メッセージMsg2と第2リンクLK2とは、S250(図3)で選択された推奨読取装置に関連している。ユーザは、第2メッセージMsg2を参照することによって、より好ましい読取装置(ここでは、FBを有する複合機のモデルD)を知ることができる。また、ユーザは、第2リンクLK2によって示されるウェブページを参照することによって、推奨読取装置の詳細を知ることができる。
【0058】
以上により、図2図3の読取データ処理は、終了する。
【0059】
A3.推奨読取装置の選択処理:
図5図7は、推奨読取装置RDの選択処理(S150(図2)、S250(図3))の例を示すフローチャートである。S310では、サーバ300のプロセッサ310は、端末装置200からの処理情報のデータを取得する。処理情報の取得は、例えば、S145(図2)、S245(図3)で行われる。上述したように、処理情報は、読取装置種類PAと読取数PBと印刷フラグPCと対象読取画像IMtとを含んでいる。
【0060】
S315では、プロセッサ310は、文書種類PDの推定処理を実行する。この処理では、プロセッサ310は、対象読取画像IMtによって表される文書DCの種類である文書種類PDを推定する。本実施例では、文書種類PDは、「本」「カード」「定型文書」「お店のレシート」「その他」から選択される。
【0061】
図8は、文書種類PDの推定処理の例を示すフローチャートである。S410では、プロセッサ310は、対象読取画像IMtによって表される文書DCの特定の部分から、影を検索する。図9(A)、図9(B)は、文書の影の説明図である。以下に説明するように、影は、製本された文書(すなわち、本)の読み取り時に、生じ得る。本のページの読み取りには、原稿台を有するスキャナが使用され得る。ユーザは、本を開き、読取対象のページを原稿台に載せ、そして、スキャナにページを読み取らせる。ここで、右ページと左ページとの間の綴じ部分の近傍は、原稿台から離れ易い。文書の一部が原稿台から離れた状態でページが読み取られる場合、原稿台から離れた部分に影が生じ得る。
【0062】
図9(A)は、右ページPR2と左ページPL2との両方が1回の読み取りで読み取られる場合に生成される対象読取画像の例を示している。対象読取画像IM2c中の第2文書DC2は、右ページPR2と左ページPL2との両方を表している。第2文書DC2の綴じ部分DC2bは、対象読取画像IM2cのうちの第2方向Dyの中央に位置する第1特定部分SP1に位置している。第1特定部分SP1は、第1方向Dxに延びる矩形部分である。第1特定部分SP1は、対象読取画像IM2cの第1方向Dx側の端から反対側の端まで延びている。対象読取画像IM2cのうちの綴じ部分DC2bを含む一部分(すなわち、第1特定部分SP1)に、影が生じている。
【0063】
図9(B)は、1つのページが読み取られる場合に生成される対象読取画像の例を示している。対象読取画像IM3c中の第3文書DC3は、1つのページを表している。第3文書DC3の綴じ部分DC3bは、対象読取画像IM3cの第1方向Dxとは反対方向側の端に位置する第2特定部分SP2に位置している。第2特定部分SP2は、第2方向Dyに延びる矩形部分である。第2特定部分SP2は、対象読取画像IM3cの第2方向Dy側の端から反対側の端まで延びている。対象読取画像IM3cのうち綴じ部分DC3bを含む一部分(すなわち、第2特定部分SP2)に、影が生じている。
【0064】
図示を省略するが、1つのページが読み取られる場合、綴じ部分は、対象読取画像(例えば、対象読取画像IM3c)の第1方向Dx側の端に位置する第3特定部分SP3に位置し得る。第3特定部分SP3は、第2方向Dyに延びる矩形部分である。第3特定部分SP3は、対象読取画像の第2方向Dy側の端から反対側の端まで延びている。この場合、第3特定部分SP3に、影が生じ得る。
【0065】
図9(C)は、対象読取画像IMtと特定部分SP1-SP3を示す図である。S410(図8)では、プロセッサ310は、対象読取画像IMtのうちの特定部分SP1-SP3から、影を検索する。特定部分に影があると判断するための条件は、特定部分が他の部分と比べて暗いことを示す種々の条件であってよい。例えば、プロセッサ310は、特定部分の輝度値の代表値(例えば、平均値、中央値、最頻値など)が、対象読取画像IMtの全体の輝度値の代表値よりも小さく、かつ、代表値の差分が閾値より大きい場合に、特定部分に影があると判断してよい。
【0066】
代表値の差分の閾値は、種々の対象読取画像IMtから影を適切に検索できるように、特定部分SP1-SP3毎に、予め実験的に決定されてよい。また、特定部分SP1-SP3の幅W1-W3は、対象読取画像IMtのサイズに応じて、調整されてよい。例えば、第1特定部分SP1の幅W1は、対象読取画像IMtの高さHに所定の第1係数(ゼロより大きく、1未満)を乗じて得られる値であってよい。特定部分SP2、SP3の幅W2、W3は、対象読取画像IMtの幅Wに所定の第2係数(ゼロより大きく、1未満)を乗じて得られる値であってよい。第1係数と第2係数とは、種々の対象読取画像から本の影を適切に検索できるように、予め実験的に決定されてよい。
【0067】
S420(図8)では、プロセッサ310は、S410で1以上の特定部分から影が検出されるか否かを判断する。1以上の特定部分から影が検出される場合(SS420:Yes)、S425で、プロセッサ310は、文書種類PDを「本」に設定し、推定処理を終了する。
【0068】
全ての特定部分SP1-SP3から影が検出されない場合(S420:No)、S430で、プロセッサ310は、対象読取画像IMtの縦横比が黄金比RT1を含む第1範囲Rn1内であるか否かを判断する。図9(D)は、縦横比と範囲との説明図である。横軸は、縦横比RTを示している。図中には、文書DCを表す対象読取画像IMtと、対象読取画像IMtの幅Wと高さHとが示されている。ここで、大きい値と小さい値との比として、大きい値を小さい値で除算して得られる値を採用する。縦横比RTは、対象読取画像IMtの長辺の長さ(ここでは、高さH)を短辺の長さ(ここでは、幅W)で除算することによって算出される。図4(B)で説明したように、本実施例では、対象読取画像IMtの形状は、読み取られた文書DCの形状と、おおよそ同じである。すなわち、対象読取画像IMtの高さHと幅Wとから算出される縦横比RTは、文書DCの縦横比と、おおよそ同じである。プロセッサ310は、文書DCの縦横比を近似する対象読取画像IMtの縦横比RTを使用して、文書種類PDを推定する。
【0069】
図中の第1比RT1は、黄金比を示している(黄金比RT1と呼ぶ)。黄金比RT1は、(1+sqrt(5))/2で表され、約1.618である(sqrt(x)は、xの平方根)。黄金比RT1に近い縦横比RTを有する文書としては、例えば、クレジットカード、名刺などが知られている。クレジットカードのサイズは、国際規格「ISO/IEC7810」の「ID-1」に準拠している。ID-1の縦横比RTは、約1.586であり、黄金比RT1に近い。第1範囲Rn1は、黄金比RT1を含む縦横比RTの範囲である(第2閾値RTh2以上、第1閾値RTh1未満)。第1範囲Rn1(すなわち、閾値RTh1、RTh2)は、「ID-1」の縦横比RTを含むように、予め決定される。
【0070】
図中の第2比RT2は、白銀比を示している(白銀比RT2と呼ぶ)。白銀比RT2は、sqrt(2)で表され、約1.414である。白銀比RT2に近い縦横比RTを有する文書としては、例えば、A4、A5や、B5、B6などの定型サイズの文書が知られている。白銀比RT2に近い縦横比RTを有する定型サイズは、例えば、国際規格「ISO216」の「A、B、Cシリーズ」や、日本規格「JIS P 0138」の「A、Bシリーズ」などが、知られている。第2範囲Rn2は、白銀比RT2を含む縦横比RTの範囲である(第3閾値RTh3以上、第2閾値RTh2未満)。第2範囲Rn2(すなわち、閾値RTh2、RTh3)は、定型サイズの1以上のシリーズの縦横比RTを含むように、予め決定される(例えば、ISO216のAシリーズ(JIS P 0138のAシリーズと同じ)と、JIS P 0138のBシリーズと、の2つのシリーズ)。
【0071】
図中には、第3範囲Rn3が示されている。第3範囲Rn3は、第3閾値RTh3以上の縦横比RTの範囲である。第3範囲Rn3内の縦横比RTを有する文書は、細長い文書である。このような文書としては、例えば、お店のレシートが知られている。
【0072】
S430(図8)では、プロセッサ310は、縦横比RTが第1範囲Rn1内であるか否かを判断する。縦横比RTが第1範囲Rn1内である場合(S430:Yes)、S435で、プロセッサ310は、文書種類PDを「カード」に設定し、推定処理を終了する。
【0073】
縦横比RTが第1範囲Rn1内ではない場合(S430:No)、S440で、プロセッサ310は、縦横比RTが第2範囲Rn2内であるか否かを判断する。縦横比RTが第2範囲Rn2内である場合(S440:Yes)、S445で、プロセッサ310は、文書種類PDを「定型文書」に設定し、推定処理を終了する。
【0074】
縦横比RTが第2範囲Rn2内ではない場合(S440:No)、S450で、プロセッサ310は、縦横比RTが第3範囲Rn3内であるか否かを判断する。縦横比RTが第3範囲Rn3内である場合(S450:Yes)、S455で、プロセッサ310は、文書種類PDを「お店のレシート」に設定し、推定処理を終了する。
【0075】
縦横比RTが第3範囲Rn3内ではない場合(S450:No)、S465で、プロセッサ310は、文書種類PDを「その他」に設定し、推定処理を終了する。
【0076】
文書種類PDの推定処理(図5:S315)の後、S320で、プロセッサ310は、文書種類PDが「お店のレシート」であるか否かを判断する。「PD=お店のレシート」である場合(S320:Yes)、プロセッサ310は、S325で、FBを有する読取装置を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。S325では、FBを有する候補CD1、CD4、CD5(図4(C))から予め任意に選択された候補読取装置が、採用されてよい(例えば、フラットベッドスキャナの第1候補CD1)。ADFは、細長いレシートに対応していない場合が多い。FBを有する読取装置は、レシートの読み取りに適している。
【0077】
文書種類PDが「お店のレシート」とは異なる場合(S320:No)、S330で、プロセッサ310は、文書種類PDが「本」であるか否かを判断する。「PD=本」である場合(S330:Yes)、S333で、プロセッサ310は、選択可能な複数の候補CD1-CD5が、読取装置種類PAによって示されるモデルよりも新しく、かつ、FBを有する候補(新FB候補と呼ぶ)を含むか否かを判断する。FBを有する全ての候補CD1、CD4、CD5が、読取装置種類PAによって示されるモデルよりも古い場合、S333の判断結果はNoである。この場合、プロセッサ310は、S334で推奨読取装置RDを「無し」に設定し、選択処理を終了する。選択可能な候補CD1-CD5が新FB候補を含む場合(S333:Yes)、プロセッサ310は、S335で、新FB候補(候補CD1、CD4、CD5のいずれか)を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。新FB候補は、本の読み取りに適している。
【0078】
文書種類PDが「本」とは異なる場合(S330:No)、S340(図6)で、プロセッサ310は、読取装置種類PAが携帯型装置のカメラを示すか否かを判断する。読取装置種類PAが、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯ゲーム機、携帯型のデジタルカメラ、などの携帯型装置のモデルを示す場合、S340の判断結果はYesある。
【0079】
S340の判断結果がYesである場合、S345で、プロセッサ310は、印刷フラグPCが「ON」であるか否かを判断する。PC=ONの場合(S345:Yes)、S352で、プロセッサ310は、読取数PBが1であるか否かを判断する。PB=1である場合(S352:Yes)、プロセッサ310は、S354で、FBを有する複合機を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。S354では、FBを有する複合機の候補CD4、CD5(図4(C))から予め任意に選択された候補読取装置が、採用されてよい(例えば、ADFの無い複合機(第4候補CD4)。FBを有する複合機は、1枚の読取画像の印刷(すなわち、1枚の文書のコピー)に適している。
【0080】
S352の判断結果がNoである場合(すなわち、読取数PBが2以上である場合)、プロセッサ310は、S358で、ADFを有する複合機(ここでは、第5候補CD5)を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。ADFを有する複合機は、2枚以上の読取画像の印刷(すなわち、2枚以上の文書のコピー)に適している。
【0081】
S345の判断結果がNoである場合(すなわち、PC=OFFである場合)、S362で、プロセッサ310は、文書種類PDが「カード」であるか否かを判断する。「PD=カード」である場合(S362:Yes)、プロセッサ310は、S365で、自動カード送り装置を有するスキャナ(ここでは、第3候補CD3)を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。自動カード送り装置を有するスキャナは、カードの読み取りに適している。
【0082】
S362で文書種類PDが「カード」とは異なる場合(S362:No)、S372で、プロセッサ310は、読取数PBが1であるか否かを判断する。PB=1である場合(S372:Yes)、プロセッサ310は、S374で、FBを有する読取装置を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。S374では、FBを有する読取装置の候補CD1、CD4、CD5(図4(C))から予め任意に選択された候補読取装置が、採用されてよい(例えば、フラットベッドスキャナの第1候補CD1)。FBを有する読取装置は、レシート、本、カードのいずれとも異なる1枚の文書(例えば、定型文書)の読み取りに適している。
【0083】
S372の判断結果がNoである場合(すなわち、読取数PBが2以上である場合)、プロセッサ310は、S378で、ADFを有する読取装置を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。S378では、ADFを有する読取装置の候補CD2、CD5(図4(C))から予め任意に選択された候補読取装置が、採用されてよい(例えば、ADFを有するスキャン専用機の第2候補CD2)。ADFを有する読取装置は、レシート、本、カードのいずれとも異なる2枚以上の文書(例えば、2枚以上の定型文書)の読み取りに適している。
【0084】
S340の判断結果がNoである場合、読取装置種類PAは、据え置き型の読取装置を示している。この場合、S380(図7)で、プロセッサ310は、以下の条件1-3の全てが満たされるか否かを判断する。
(条件1)読取装置種類PAは、フラットベッドスキャナを示す。
(条件2)読取数PBは2以上。
(条件3)印刷フラグPCはOFF。
【0085】
全ての条件1-3が満たされる場合(S380:Yes)、プロセッサ310は、S385で、ADFを有するスキャン専用機(ここでは、第2候補CD2)を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。ADFを有するスキャン専用機は、フラットベッドスキャナと比べて、2枚以上の文書の読み取りに適している。
【0086】
条件1-3のうちの1以上の条件が満たされない場合(S380:No)、プロセッサ310は、S388で、推奨読取装置RDを「無し」に設定し、選択処理を終了する。
【0087】
以上のように、サーバ300のプロセッサ310は、推奨読取装置RDの選択処理(図5図7)を実行する。なお、S333(図5)の判断結果がNoである場合と、S380(図7)の判断結果がNoである場合とには、推奨読取装置RDは「無し」である。この場合、S152(図2)、S252(図3)では、プロセッサ310は、推奨読取装置が無いことを示す説明文を含む表示用のデータを、特定情報のデータとして生成する。これに代えて、プロセッサ310は、S155(図2)、S255(図3)で、特定情報の表示を省略する指示を、端末装置200に送信してよい。アプリケーションAPPは、この指示に応じて、特定情報の表示(S160、S260)をスキップしてよい。
【0088】
以上のように、本実施例では、サーバ300のプロセッサ310は、以下の処理を実行する。S145(図2)、S245(図3)では、プロセッサ310は、光学的に読み取られる文書DCを表す対象読取画像IMtのデータを取得する。S150(図2)、S250(図3)では、プロセッサ310は、対象読取画像IMtの縦横比RTを使用して、文書DCの光学的な読み取りのための推奨読取装置RDを複数の候補読取装置CD1-CD5から選択する。対象読取画像IMt(図2(C))の縦横比RTは、対象読取画像IMtのデータによって表される対象読取画像IMt中の文書DCの縦横比と相関を有するパラメータの例である。S155(図2)、S255(図3)では、プロセッサ310は、推奨読取装置RDに対応付けられる特定情報Iz1、Iz2を出力する。このように、プロセッサ310は、文書DCの縦横比と相関を有する縦横比RTを使用して推奨読取装置RDを選択し、推奨読取装置RDに対応付けられる特定情報Iz1、Iz2を出力するので、適切な読取装置の推奨が可能である。
【0089】
なお、本実施例では、サーバ300が、推奨読取装置RDの選択と特定情報Iz1、Iz2の出力とを実行する。S150(図2)、S250(図3)では、サーバ300のプロセッサ310は、端末装置200から、対象読取画像IMtのデータを取得する。S150(図2)、S250(図3)では、プロセッサ310は、対象読取画像IMtの縦横比RTを使用して、推奨読取装置RDを複数の候補読取装置CD1-CD5から選択する。S155(図2)、S255(図3)では、プロセッサ310は、特定情報Iz1、Iz2のデータを端末装置200に出力する。従って、ユーザは、端末装置200を使用することによって、特定情報Iz1、Iz2を使用できる。
【0090】
また、本実施例では、システム1000は、サーバ300と、端末装置200と、を備えている。端末装置200は、デジタルカメラ270と表示部240とを有するとともにネットワーク(例えば、ネットワークLN、IT)を介してサーバ300と通信するように構成されている。端末装置200のプロセッサ210は、デジタルカメラ270によって光学的に読み取られる文書DCを表す対象読取画像IMtのデータを、S145(図2)、S245(図3)でサーバ300に送信する。サーバ300のプロセッサ310は、以下の処理を実行する。S145(図2)、S245(図3)では、プロセッサ310は、対象読取画像IMtのデータを端末装置200から取得する。S150(図2)、S250(図3)では、プロセッサ310は、対象読取画像IMtのデータによって表される対象読取画像IMt中の文書DCの縦横比と相関を有するパラメータ(ここでは、縦横比RT)を使用して、文書DCの光学的な読み取りのための推奨読取装置RDを複数の候補読取装置CD1-CD5から選択する。S155(図2)、S255(図3)では、プロセッサ310は、推奨読取装置RDに対応付けられる特定情報Iz1、Iz2を端末装置200に出力する。端末装置200のプロセッサ210は、S160(図2)、S260(図3)で、特定情報Iz1、Iz2を表示部240に表示させる。ユーザは、端末装置200の表示部240に表示される特定情報Iz1、Iz2を観察することによって、推奨読取装置RDを容易に知ることができる。
【0091】
また、本実施例では、対象読取画像IMtのデータは、携帯型装置の例である端末装置200に含まれるデジタルカメラ270によって撮影される画像のデータであり得る。この場合、撮影時のデジタルカメラ270と文書との間の距離は、任意に設定可能である。すなわち、読取画像中の文書の大きさは、種々に変化し得る。例えば、読取画像IM1(図4(A))中の第1文書DC1の大きさは、種々に変化し得る。従って、読取画像中の文書の大きさからは、文書の実際の大きさ(ひいては、文書種類PD)を特定することは、容易ではない。本実施例では、プロセッサ310は、文書DCの縦横比と相関を有するパラメータ(ここでは、縦横比RT)を使用して、推奨読取装置RDを選択する。文書DCの実際の縦横比は変化しない。従って、撮影時のデジタルカメラ270と文書DCとの間の距離が変化する場合であっても、読取画像中の文書DCの縦横比(ひいては、相関を有するパラメータ)は安定していることが期待される。さらに、文書DCの縦横比は、文書DCの種類に応じて、種々に変化する。従って、プロセッサ310は、読取画像データが携帯型装置に含まれるデジタルカメラによって撮影される画像のデータである場合であっても、縦横比RTを使用して適切な推奨読取装置RDを選択できる。
【0092】
また、読取画像データが携帯型装置に含まれるデジタルカメラによって撮影される画像のデータである場合、読取画像は、以下のような不具合を有し得る。
(1)読取画像の解像度(すなわち、画素密度)が低い
(2)読取画像中の文書が歪んでいる
(3)読取画像中に影が生じる(例えば、携帯型装置の影、携帯型装置を支える撮影者や固定具の影、など)
(4)読取画像中の白であるべき部分(例えば、文書の余白部分)が、グレー色を有している。この結果、読取画像を印刷する場合に、印刷材(インク、トナーなど)の消費量が増大する。
【0093】
据え置き型の読取装置は、文書の読み取りを考慮して設計されている場合が多い。種々の据え置き型の読取装置は、上記の不具合のうちの1以上の不具合の可能性を低減可能である。従って、据え置き型の読取装置を候補読取装置として採用することによって、プロセッサ310は、上記の不具合のうちの1以上の不具合の可能性を低減可能な推奨読取装置RDを選択可能である。
【0094】
また、本実施例では、複数の候補読取装置CD1-CD5(図4(C))は、原稿台を有するスキャナであるフラットベッドスキャナ(候補CD1、CD4)と、複数枚のシートを自動的に送る自動送り装置を有するスキャナである自動送りスキャナ(候補CD2)と、原稿台と自動送り装置との両方を有するスキャナである多機能スキャナ(CD5)と、を含む。従って、プロセッサ310は、種々の文書種類PDに適する推奨読取装置RDを選択できる。
【0095】
また、本実施例では、複数の候補読取装置CD1-CD5(図4(C))は、複数枚のカードを自動的に送る自動カード送り装置を有する自動カード送りスキャナ(第3候補CD3)を含む。そして、プロセッサ310は、S430、S435(図8)で説明したように、対象読取画像IMt(図9(C))の縦横比RTが黄金比RT1を含む第1範囲Rn1(図9(D))内にある場合(S430:Yes)、文書種類PDを「カード」に設定する。本実施例では、対象読取画像IMtの縦横比RTは、文書DCの縦横比とおおよそ同じである。従って、第1範囲Rn1内の縦横比RTは、文書DCの縦横比が第1範囲Rn1内にあることを示している。また、プロセッサ310は、S430の判断結果がYesであることを含む第1条件(後述)が満たされる場合には、図6のS365で、推奨読取装置RDとして自動カード送りスキャナ(第3候補CD3)を選択する。本実施例では、第1条件は、図8の推定処理で文書種類PDが「カード」に設定されるための種類カード条件と、図5図7の選択処理で処理がS365へ移行するための選択カード条件と、を含んでいる。種類カード条件(図8)は、「S420:No」と「S430:Yes」とを含んでいる。選択カード条件(図5図6)は、「S320:No」と「S330:No」と「S340:Yes」と「S345:No」と「S362:Yes」とを含んでいる。なお、文書種類PDに関する「S320:No」と「S330:No」と「S362:Yes」とは、種類カード条件が満たされる場合には、満たされる。
【0096】
このように、文書DCの縦横比が黄金比RT1を含む第1範囲Rn1内にあることを縦横比RTが示すことを含む第1条件が満たされる場合に、プロセッサ310は、推奨読取装置RDとして、文書DCに適する自動カード送りスキャナを選択できる。ユーザは、推奨読取装置RD(すなわち、自動カード送りスキャナ)を使用することによって、文書(例えば、クレジットカード、免許証のようなカード)を適切に読み取ることができる。
【0097】
また、本実施例では、複数の候補読取装置CD1-CD5(図4(C))は、原稿台を有するスキャナ(候補読取装置CD1、CD4、CD5)を含む。そして、プロセッサ310は、S450、S455(図8)で説明したように、対象読取画像IMtの縦横比RTが第3範囲Rn3内にある場合(S450:Yes)、文書種類PDをお店のレシートに設定する。図9(D)に示すように、第3範囲Rn3は、縦横比RTが黄金比RT1よりも細長い範囲である。第3範囲Rn3内の縦横比RTは、文書DCの縦横比が第3範囲Rn3内にあることを示している。また、プロセッサ310は、S450の判断結果がYesであることを含む第3条件(後述)が満たされる場合には、図5のS325で、推奨読取装置RDとして原稿台を有するスキャナ(例えば、第1候補CD1)を選択する。本実施例では、第3条件は、図8の推定処理で文書種類PDが「お店のレシート」に設定されるための種類レシート条件と、図5図7の選択処理で処理がS325へ移行するための選択レシート条件と、を含んでいる。種類レシート条件(図8)は、「S420:No」と「S430:No」と「S440:No」と「S450:Yes」とを含んでいる。「S450:Yes」の場合、「S430:No」と「S440:No」とは満たされる。選択レシート条件(図5)は、「S320:Yes」を含んでいる。文書種類PDに関する「S320:Yes」は、種類レシート条件が満たされる場合には、満たされる。
【0098】
このように、文書DCの縦横比が黄金比よりも細長い第3範囲Rn3内にある場合に、プロセッサ310は、推奨読取装置RDとして、原稿台を有するスキャナを選択できる。ADFは、お店のレシートのように細長い文書を搬送できない場合が多い。ユーザは、推奨読取装置RDを使用する場合、原稿台に文書(例えば、お店のレシート)を載せることによって、文書を適切に読み取ることができる。
【0099】
また、本実施例では、複数の候補読取装置CD1-CD5(図4(C))は、原稿台を有するスキャナ(候補読取装置CD1、CD4、CD5)を含む。そして、プロセッサ310は、S410、S420、S425(図8)で説明したように、対象読取画像IMt(図9(C))中において文書DCの特定部分SP1-SP3のいずれかから影が検出される場合に(S420:Yes)、文書種類PDを「本」に設定する。S410で説明したように、特定部分から影が検出されることは、特定部分が文書DCの他の部分と比べて暗いことを示している。また、プロセッサ310は、S420の判断結果がYesであることを含む第4条件(後述)が満たされる場合には、図5のS335で、推奨読取装置RDとして原稿台を有するスキャナ(候補CD1、CD4、CD5のいずれか)を選択する。本実施例では、第4条件は、図8の推定処理で文書種類PDが「本」に設定されるための種類本条件と、図5図7の選択処理で処理がS335へ移行するための選択本条件と、を含んでいる。種類本条件(図8)は、「S420:Yes」を含んでいる。選択本条件(図5)は、「S320:No」と「S330:Yes」と「S333:Yes」とを含んでいる。なお、文書種類PDに関連する「S320:No」と「S330:Yes」は、種類本条件が満たされる場合には、満たされる。
【0100】
このように、対象読取画像IMt(図9(C))中において文書DCの特定の部分(具体的には、特定部分SP1-SP3のいずれか)が文書DCの他の部分と比べて暗い場合に、プロセッサ310は、推奨読取装置RDとして、原稿台を有するスキャナを選択できる。ADFは、綴じられた複数枚のシートを搬送できない場合が多い。ユーザは、推奨読取装置RDを使用する場合、原稿台に文書(例えば、開かれた本のページ)を載せることによって、文書を適切に読み取ることができる。
【0101】
また、本実施例では、複数の候補読取装置CD1-CD5(図4(C))は、印刷実行部と読取実行部とを含む複合機を含む(候補CD4、CD5)。そして、プロセッサ310は、S354、S358(図6)で説明したように、対象読取画像IMtのデータが印刷に使用されたこと(S345:Yes)を含む第6条件が満たされる場合には、推奨読取装置RDとして複合機(ここでは、候補CD4、CD5)を選択する。本実施例では、第6条件は、図5図7の選択処理で処理がS354、または、S358へ移行するための「S320:No」と「S330:No」と「S340:Yes」と「S345:Yes」とを含んでいる。
【0102】
このように、対象読取画像IMtのデータが印刷に使用される場合に、プロセッサ310は、推奨読取装置RDとして、複合機を選択できる。ユーザは、推奨読取装置RDを使用する場合、推奨読取装置RDを使用して、文書の読み取りと読み取った画像の印刷とを実行できる。
【0103】
B.第2実施例:
図10は、推奨読取装置RDの選択処理の別の実施例を示すフローチャートである。図中には、図6のS340の判断結果がYesである場合に実行される処理が、示されている。図6の実施例との差異は、以下の2点だけである。第1の差異は、S352とS358との間に、S356が追加されている点である。第2の差異は、S372とS378との間に、S376が追加されている点である。選択処理の他の部分の処理は、図5図7の選択処理の対応する部分の処理と同じである。図10において、図6のステップと同じステップには、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0104】
S352の判断結果がNoである場合(すなわち、読取数PBが2以上である場合)、プロセッサ310は、S356で、文書種類PDが「定型文書」であるか否かを判断する。「PD=定型文書」である場合(S356:Yes)、プロセッサ310は、S358で、ADFを有する複合機(ここでは、第5候補CD5)を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。
【0105】
S356で文書種類PDが「定型文書」とは異なる場合(S356:No)、プロセッサ310は、S354で、FBを有する複合機を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。
【0106】
S372の判断結果がNoである場合(すなわち、読取数PBが2以上である場合)、プロセッサ310は、S376で、文書種類PDが「定型文書」であるか否かを判断する。「PD=定型文書」である場合(S376:Yes)、プロセッサ310は、S378で、ADFを有する読取装置を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。
【0107】
S376で文書種類PDが「定型文書」とは異なる場合(S376:No)、プロセッサ310は、S374で、FBを有する読取装置を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。
【0108】
以上のように、本実施例では、複数の候補読取装置CD1-CD5(図4(C))は、複数枚のシートを自動的に送る自動送り装置を有するスキャナである自動送りスキャナ(候補CD2、CD5)を含む。そして、プロセッサ310は、S440、S445(図8)で説明したように、対象読取画像IMt(図9(C))の縦横比RTが白銀比RT2を含む第2範囲Rn2(図9(D))内にある場合(S440:Yes)、文書種類PDを「定型文書」に設定する。第2範囲Rn2内の縦横比RTは、文書DCの縦横比が第2範囲Rn2内にあることを示している。また、プロセッサ310は、S440の判断結果がYesであることを含む第2条件(後述)が満たされる場合には、図10のS358、または、S378で、推奨読取装置RDとして自動送りスキャナ(第2候補CD2、または、第5候補CD5)を選択する。本実施例では、第2条件は、図8の推定処理で文書種類PDが「定型文書」に設定されるための種類定型条件と、図5図7図10の選択処理で処理が図10のS358、または、S378へ移行するための選択定型条件と、を含んでいる。種類定型条件(図8)は、「S420:No」と「S430:No」と「S440:Yes」とを含んでいる。
【0109】
選択定型条件(図5図6図10)としては、以下の定型印刷条件、または、定型読取条件が、採用される。定型印刷条件は、「S320:No(図5)」と「S330:No(図5)」と「S340:Yes(図6)」と「S345:Yes(図10)」と「S352:No(図10)」と「S356:Yes(図10)」とを含んでいる。なお、文書種類PDに関する「S320:No」と「S330:No」と「S356:Yes」とは、種類定型条件が満たされる場合には、満たされる。定型読取条件は、「S320:No(図5)」と「S330:No(図5)」と「S340:Yes(図6)」と「S345:No(図10)」と「S362:No(図10)」と「S372:No(図10)」と「S376:Yes(図10)」とを含んでいる。なお、文書種類PDに関する「S320:No」と「S330:No」と「S362:No」と「S376:Yes」とは、種類定型条件が満たされる場合には、満たされる。
【0110】
このように、文書DCの縦横比が白銀比RT2を含む第2範囲Rn2内にあることを縦横比RTが示すことを含む第2条件が満たされる場合に、プロセッサ310は、推奨読取装置RDとして、自動送りスキャナを選択できる。ユーザは、推奨読取装置RD(すなわち、自動送りスキャナ)を使用することによって、文書(例えば、A4やB5の文書)を適切に読み取ることができる。
【0111】
C.第3実施例:
図11は、推奨読取装置RDの選択処理の別の実施例を示すフローチャートである。図中には、図7の代わりに実行される処理が、示されている。図7の実施例との差異は、S380がS380cに置換されている点だけである。選択処理の他の部分の処理は、図5図7の選択処理の対応する部分の処理と同じである。本実施例の選択処理は、図5図6図11の処理によって、構成される。なお、図11の処理は、図10の実施例に適用されてもよい。
【0112】
S340(図6)において、読取装置種類PAが据え置き型の読取装置を示す場合(S340:No)、プロセッサ310は、S380c(図11)で、以下の条件Ca-Cdの全てが満たされるか否かを判断する。
(Ca)読取装置種類PAは据え置き型の読取装置である
(Cb)文書種類PDは「カード」または「定型文書」
(Cc)読取数PBは2以上
(Cd)印刷フラグPCはOFF
【0113】
全ての条件Ca-Cdが満たされる場合(S380c:Yes)、プロセッサ310は、S385で、ADFを有するスキャン専用機(ここでは、第2候補CD2)を推奨読取装置RDとして選択し、選択処理を終了する。
【0114】
条件Ca-Cdのうちの1以上の条件が満たされない場合(S380c:No)、プロセッサ310は、S388で、推奨読取装置RDを「無し」に設定し、選択処理を終了する。
【0115】
以上のように、本実施例では、複数の候補読取装置CD1-CD5(図4(C))は、複数枚のシートを自動的に送る自動送り装置を有するスキャナである自動送りスキャナ(候補CD2、CD5)を含む。そして、プロセッサ310は、上記の条件Ca-Cdを含む第5条件が満たされる場合に、図11のS385で、推奨読取装置RDとして自動送りスキャナ(ここでは、第2候補CD2)を選択する。ユーザは、推奨読取装置RD(すなわち、自動送りスキャナ)を使用することによって、文書(例えば、複数枚のA5文書)を適切に読み取ることができる。なお、本実施例では、第5条件は、条件Ca-Cdに加えて、「S340:No(図6)」を含んでいる。「S340:No」である場合、条件Caは満たされる。
【0116】
D.変形例:
(1)複数の候補読取装置は、図4(C)の候補読取装置CD1-CD5に限らず、種々の読取装置を含んでよい。例えば、FBとADFとの両方を有するスキャン専用機が、複数の候補に含まれてよい。また、図4(C)の候補CD1-CD5から任意に選択される1以上の候補は、省略されてよい。また、同じ種類の複数のモデルが、複数の候補に含まれてよい。例えば、ADFとFBとを有する複合機の複数のモデルが、候補であってよい。この場合、推奨読取装置RDとして、同じ種類の複数のモデルが選択されてよい。
【0117】
いずれの場合も、プロセッサ310は、対象読取画像IMtの生成に使用された読取装置とは異なる読取装置を、推奨読取装置RDとして選択することが好ましい。例えば、推奨読取装置RDの選択処理で選択される推奨読取装置RDが、読取装置種類PAによって示されるモデルと同じモデルである場合には、プロセッサ310は、推奨読取装置RDを「無し」に変更してよい。
【0118】
(2)対象読取データの生成は、アプリケーションAPPとは異なる他のアプリケーション(例えば、読取アプリケーション)によって、実行されてよい。例えば、読取処理S110(図2)のアプリケーションAPPの処理は、読取アプリケーションによって実行されてよい。アプリケーションAPPは、読取アプリケーションによって生成される対象読取データを使用して、S145以降の処理を実行してよい。
【0119】
いずれの場合も、スキャン補正(S135)は、省略されてよい。スキャン補正(S135)が省略される場合、推奨読取装置RDの選択処理(S150、S250)で、サーバ300のプロセッサ310は、対象読取画像を分析することによって、対象読取画像中の文書DCの縦横比と相関を有するパラメータを算出してよい(縦横比パラメータと呼ぶ)。縦横比パラメータは、対象読取画像IMtの縦横比RTに限らず、文書DCの縦横比と相関を有する種々のパラメータであってよい。例えば、縦横比パラメータは、読取画像から分離された文書部分(例えば、図4(A)の文書部分DP1)の第1方向Dxの長さと第2方向Dyの長さとの比であってよい。この縦横比パラメータは、上記の縦横比RTの代わりに使用可能である。また、プロセッサ310は、図2のS135で説明した処理と同じ処理を実行することによって、背景部分が除かれた文書の画像を生成して
よい。そして、プロセッサ310は、生成した画像の縦横比(上記の縦横比RTと同じ)を縦横比パラメータとして取得してよい。
【0120】
(3)システム1000(図1)からは、サーバ300は省略されてよい。この場合、サーバ300の処理は、サーバ300に代えて、端末装置200によって実行されてよい。例えば、図2図3の読取データ処理において、サーバ300によって実行される処理は、端末装置200のアプリケーションAPPによって実行されてよい。S145、S245では、アプリケーションAPPは、不揮発性記憶装置230の読取記憶領域SRから、対象読取画像IMtのデータを取得してよい。S150、S250では、アプリケーションAPPは、上記の各実施例(図5-7、図8図10図11)と各変形例の選択処理と同じ推奨読取装置RDの選択処理を実行してよい。S152、S252では、アプリケーションAPPは、推奨読取装置RDに対応付けられる特定情報を生成してよい。S155、S255は、省略されてよい。S160、S260では、アプリケーションAPPは、特定情報のデータを表示部240に出力してよい。これにより、表示部240は、特定情報を表示する。このように、アプリケーションAPPによって出力される特定情報の宛先は、表示部240のような表示装置であってよい。
【0121】
(4)推奨読取装置RDに対応付けられる特定情報は、種々の情報であってよい。例えば、特定情報は、推奨読取装置RDに関する種々の情報(例えば、モデル名、仕様、価格、など)を表すメッセージを含んでよい。また、特定情報は、推奨読取装置RDを販売するウェブページへのリンクを示してよい。また、特定情報からは、メッセージとリンクとのいずれかが省略されてよい。また、特定情報のデータ形式は、種々の形式であってよい。例えば、特定情報のデータは、特定情報を表す画像データであってよい。
【0122】
いずれの場合も、特定情報の出力方法は、種々の方法であってよい。例えば、サーバ300のプロセッサ310は、S155(図2)、S255(図3)のように、特定情報のデータをユーザの端末装置200に送信してよい。また、プロセッサ310は、ユーザ宛のメッセージ(特定情報を含む)のデータを出力してよい。メッセージは、いわゆる電子メール、または、Short Message Service(SMS)であってよい。また、メッセージは、複数のユーザの間で情報の送信と受信を行うメッセージングシステムのメッセージであってよい。また、端末装置200のアプリケーションAPPが特定情報を生成する場合、アプリケーションAPPは、特定情報を、表示のために表示部240に出力してよい。
【0123】
(5)推奨読取装置RDの選択処理は、種々の処理であってよい。図6のS365では、自動カード送りスキャナが選択される。このための第1条件は、文書DCの縦横比が黄金比RT1を含む第1範囲Rn1内にあることを縦横比パラメータが示すこと(第1基準条件と呼ぶ。例えば、S430:Yes(図8))を含む種々の条件であってよい。第1条件は、第1基準条件のみを含んでよい。すなわち、第1基準条件が満たされる場合には、他の情報と他の条件とに拘わらずに、第1条件が満たされてよい。例えば、読取装置種類PAが据え置き型の読取装置を示し、印刷フラグPCは「ON」であっても、第1基準条件が満たされる場合に、第1条件は満たされてよい。第1条件は、第1基準条件に加えて、他の種々の条件を含んでよい。第1条件は、例えば、「読取装置種類PAがフラットベッドスキャナを示す」を含んでよい。なお、第1条件とは異なる条件に基づいて、自動カード送りスキャナが選択されてよい。また、第1条件の判断と、第1条件に基づく自動カード送りスキャナの選択とは、省略されてよい。
【0124】
また、図10のS358、または、S378では、自動送りスキャナが選択される。このための第2条件は、文書DCの縦横比が白銀比RT2を含む第2範囲Rn2内にあることを縦横比パラメータが示すこと(第2基準条件と呼ぶ。例えば、S440:Yes(図8))を含む種々の条件であってよい。第2条件は、第2基準条件のみを含んでよい。例えば、読取装置種類PAが据え置き型の読取装置を示し、読取数PBが1であっても、第2基準条件が満たされる場合に、第2条件は満たされてよい。第2条件は、第2基準条件に加えて、他の種々の条件を含んでよい。第2条件は、例えば、「読取装置種類PAがフラットベッドスキャナを示す」を含んでよい。なお、第2条件とは異なる条件に基づいて、自動送りスキャナが選択されてよい。また、第2条件の判断と、第2条件に基づく自動送りスキャナの選択は、省略されてよい。
【0125】
また、図5のS325では、原稿台を有するスキャナが選択される。このための第3条件は、文書DCの縦横比が黄金比RT1よりも細長い第3範囲Rn3内にあることを縦横比パラメータが示すこと(第3基準条件と呼ぶ。例えば、S450:Yes(図8))を含む種々の条件であってよい。第3条件は、第3基準条件のみを含んでよい。例えば、対象読取画像IMt(図9(C))の特定部分SP1-SP3から影が検出される場合であっても、第3基準条件が満たされる場合に、第3条件は満たされてよい。第3条件は、第3基準条件に加えて、他の種々の条件を含んでよい。第3条件は、例えば、「読取装置種類PAが携帯型装置のカメラを示す」を含んでよい。なお、第3条件とは異なる条件に基づいて、原稿台を有するスキャナが選択されてよい。また、第3条件の判断と、第3条件に基づく原稿台を有するスキャナの選択とは、省略されてよい。
【0126】
また、図5のS335では、原稿台を有するスキャナが選択される。このための第4条件は、対象読取画像IMt(図9(C))中において文書DCの特定の部分(例えば、特定部分SP1-SP3のいずれか)が文書の他の部分と比べて暗いこと(第4基準条件と呼ぶ。例えば、S420:Yes(図8))を含む種々の条件であってよい。第4条件は、第4基準条件のみを含んでよい。例えば、選択可能な複数の候補CD1-CD5が、読取装置種類PAによって示されるモデルよりも新しいモデルを含んでいない場合であっても、第4基準条件が満たされる場合に、第4条件は満たされてよい。第4条件は、第4基準条件に加えて、他の種々の条件を含んでよい。第4条件は、例えば、「読取装置種類PAがフラットベッドスキャナを示す」を含んでよい。また、第4基準条件の判断で使用される特定部分は、特定部分SP1-SP3(図9(C))から予め任意に選択された1以上の特定部分であってよい。なお、第4条件とは異なる条件に基づいて、原稿台を有するスキャナが選択されてよい。また、第4条件の判断と、第4条件に基づく原稿台を有するスキャナの選択とは、省略されてよい。
【0127】
また、図11のS385では、自動送りスキャナが選択される。このための第5条件は、以下の条件C1-C3を含む種々の条件であってよい。
(C1)読取画像データが据え置き型のスキャナによって読み取られた画像のデータである。
(C2)文書DCの縦横比が黄金比RT1を含む第1範囲Rn1内または白銀比RT2を含む第2範囲Rn2内にあることを縦横比パラメータが示す。
(C3)読取画像データが複数枚の文書の読み取りによって生成されたデータである。
図11のS380cの条件Ca-Ccは、それぞれ、条件C1-C3の例である。第5条件は、条件C1-C3のみを含んでよい。例えば、印刷フラグPCが「ON」であっても、条件C1-C3が満たされる場合に、第5条件は満たされてよい。第5条件は、条件C1-C3に加えて、他の種々の条件を含んでよい。第5条件は、例えば、「読取装置種類PAがフラットベッドスキャナを示す」を含んでよい。なお、第5条件とは異なる条件に基づいて、自動送りスキャナが選択されてよい。また、第5条件の判断と、第5条件に基づく自動送りスキャナの選択とは、省略されてよい。
【0128】
また、図6図10のS354、S358では、複合機が選択される。このための第6条件は、読取画像データが印刷に使用されたこと(第6基準条件と呼ぶ。例えば、S345:Yes(図6図10))を含む種々の条件であってよい。第6条件は、第6基準条件のみを含んでよい。例えば、読取装置種類PAが据え置き型の読取装置を示す場合であっても、第6基準条件が満たされる場合に、第6条件は満たされてよい。第6条件は、第6基準条件に加えて、他の種々の条件を含んでよい。第6条件は、例えば、「読取数PBが閾値以上である(閾値は、2以上の所定値)」を含んでよい。なお、第6条件とは異なる条件に基づいて、複合機が選択されてよい。また、第6条件の判断と、第6条件に基づく複合機の選択とは、省略されてよい。
【0129】
いずれの場合も、推奨読取装置RDの選択処理は、同じ文書DCの読み取りが再び行われる場合に作業効率を向上可能な読取装置が選択されるように、構成されることが好ましい。また、複数の条件を判断する順番は、図5図7図8図10図11の順番に限らず、種々の順番であってよい。
【0130】
(6)図9(D)の実施例では、範囲Rn1、Rn2、Rn3は、互いに重ならないように、構成されている。これに代えて、第1範囲Rn1と第2範囲Rn2とは、互いの一部が重なってもよい。また、第1範囲Rn1と第3範囲Rn3とは、互いの一部が重なってもよい。2つの範囲の重畳範囲に含まれる縦横比RTは、2つの範囲に含まれることとして、処理されてよい。この場合も、文書種類PDは、先の判断で参照される範囲に対応付けられる種類に、設定されてよい。例えば、縦横比RTが、第1範囲Rn1と第2範囲Rn2との重畳範囲に含まれると仮定する。この場合、第2範囲Rn2を参照するS440(図8)よりも先のS430で、縦横比RTが第1範囲Rn1に含まれると判断されてよい。そして、S435で、文書種類PDは、第1範囲Rn1に対応付けられる「カード」に設定されてよい。
【0131】
(7)ネットワークを介して互いに通信可能な複数の装置(例えば、コンピュータ)が、サーバ300によるデータ処理の機能を一部ずつ分担して、全体として、データ処理の機能を提供してもよい(これらの装置を備えるシステムがサーバに対応する)。
【0132】
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図5のS315の文書種類の推定処理の機能を、専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
【0133】
また、本開示の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
【0134】
上記の実施例と変形例とは、適宜に組み合わせることができる。また、上記の実施例と変形例とは、本開示の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0135】
100…複合機、110…プロセッサ、115…記憶装置、120…揮発性記憶装置、130…不揮発性記憶装置、140…表示部、150…操作部、160…印刷実行部、170…読取実行部、180…通信インタフェース、200…端末装置、210…プロセッサ、215…記憶装置、220…揮発性記憶装置、230…不揮発性記憶装置、240…表示部、250…操作部、270…デジタルカメラ、280…通信インタフェース、300…サーバ、310…プロセッサ、315…記憶装置、320…揮発性記憶装置、330…不揮発性記憶装置、380…通信インタフェース、1000…システム
図1
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図11