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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119164
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240827BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B41J2/165 305
B41J2/165 101
B41J2/165 303
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025879
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】飯澤 慶吾
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056EC22
2C056EC23
2C056FA13
2C056HA29
2C056JA01
2C056JB04
2C056JB09
2C056JC25
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制した液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置11は、ノズルが開口するノズル面18を有する吐出部15と、キャッピングを実行するキャップユニット22と、ワイピングを実行するワイパーユニット25と、吐出部に取り付けられ、ワイパーユニットに対してクリーニングを実行するクリーニング部45と、備え、ワイパーユニットは、一方向A1に移動する払拭部26を有し、払拭部は、ノズル面に接触するワイパーを有し、クリーニング部は、ワイパーに対してクリーニングを実行するクリーナー47を有し、キャップユニットは、ノズル面の垂直方向A2において、吐出部がキャップユニットに接近することによって吐出部と接触し、垂直方向におけるクリーナーの位置は、キャッピング時において、垂直方向におけるワイパーの位置と重なり、ワイピング時において、垂直方向におけるワイパーの位置と重ならない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有する吐出部と、
前記吐出部に接触することによって前記ノズルと通じる空間を形成するキャッピングを実行するキャップユニットと、
前記ノズル面を払拭するワイピングを実行するワイパーユニットと、
前記吐出部に取り付けられ、前記ワイパーユニットに対してクリーニングを実行するクリーニング部と、備え、
前記ワイパーユニットは、一方向に移動する払拭部を有し、
前記払拭部は、前記ノズル面に接触するワイパーを有し、
前記クリーニング部は、前記ワイパーに対して前記クリーニングを実行するクリーナーを有し、
前記キャップユニットは、前記ノズル面の垂直方向において、前記吐出部が前記キャップユニットに接近することによって前記吐出部と接触し、
前記垂直方向における前記クリーナーの位置は、
前記キャッピング時において、前記垂直方向における前記ワイパーの位置と重なり、
前記ワイピング時において、前記垂直方向における前記ワイパーの位置と重ならないことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記クリーナーは、前記ワイパーと接触することによって前記クリーニングを実行するクリーニング部分と、前記ワイパーを収納する収納部分とを有し、
前記クリーニング部分及び前記収納部分は、前記一方向に並ぶことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記ワイパーを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記キャッピング時において、前記ワイパーが前記クリーニング部分に接触する状態で前記ワイパーを前記一方向に移動させることによって、前記ワイパーを前記収納部分に収納させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記クリーナーは、前記垂直方向から見た場合に、前記吐出部と重ならない位置に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記吐出部は、前記一方向に並ぶ複数のヘッドを有するラインヘッドであり、
前記キャップユニットは、複数の前記ヘッドそれぞれに対して前記キャッピングを実行する複数のキャップを有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記吐出部から液体が吐出される媒体を支持する支持部を備え、
前記支持部には、複数の前記キャップとそれぞれ対応する複数の開口が形成され、
複数の前記キャップ及び複数の前記ヘッドの少なくともいずれかが複数の前記開口を通過することによって前記キャッピングが実行されることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有する吐出部と、吐出部をキャッピングするキャップと、吐出部をワイピングするワイパーと、ワイパーをクリーニングするクリーナーとを備える液体吐出装置が記載されている。クリーナーは、吐出部に取り付けられ、ワイパーと接触することによってワイパーをクリーニングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-216496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される液体吐出装置では、クリーナーは、ノズル面と連なるように位置する。そのため、ワイパーがクリーナーと対向する状態では、ヘッドがキャップに接近する場合に、ワイパーがクリーナーと干渉するおそれがある。すなわち、ワイパーがクリーナーと対向する状態では、ワイパーがクリーナーと干渉することによって、キャップが吐出部をキャッピングできないおそれがある。この場合、キャッピングのためにワイパーをクリーナーから退避させる必要があるため、液体吐出装置が大型化するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有する吐出部と、前記吐出部に接触することによって前記ノズルと通じる空間を形成するキャッピングを実行するキャップユニットと、前記ノズル面を払拭するワイピングを実行するワイパーユニットと、前記吐出部に取り付けられ、前記ワイパーユニットに対してクリーニングを実行するクリーニング部と、備え、前記ワイパーユニットは、一方向に移動する払拭部を有し、前記払拭部は、前記ノズル面に接触するワイパーを有し、前記クリーニング部は、前記ワイパーに対して前記クリーニングを実行するクリーナーを有し、前記キャップユニットは、前記ノズル面の垂直方向において、前記吐出部が前記キャップユニットに接近することによって前記吐出部と接触し、前記垂直方向における前記クリーナーの位置は、前記キャッピング時において、前記垂直方向における前記ワイパーの位置と重なり、前記ワイピング時において、前記垂直方向における前記ワイパーの位置と重ならない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】液体吐出装置の一実施例を示す正面図である。
図2】吐出部、ワイパーユニット、キャップユニット、及び、クリーニング部の斜視図である。
図3】吐出部及びクリーニング部の下面図である。
図4図2とは異なる角度から見た斜視図である。
図5】ワイパーユニット及びキャップユニットの上面図である。
図6】移動部を示す正面図である。
図7】ワイパーが収納されているときの正面図である。
図8】ワイパーがワイピングの開始位置に位置するときの正面図である。
図9】ワイピングが開始されるときの正面図である。
図10】ワイピングの途中であるときの正面図である。
図11】ワイピングが終了したときの正面図である。
図12】ワイパーがクリーニングされるときの正面図である。
図13】クリーニング部の比較例を示す正面図である。
図14】クリーナーの変更例を示す断面図である。
図15】クリーナーについて別の変更例を示す断面図である。
図16】液体吐出装置が排出部を備える例を示す断面図である。
図17】排出部の変更例を示す断面図である。
図18】支持部の変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、液体吐出装置の一実施例について図を参照しながら説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛などの媒体に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0008】
<液体吐出装置>
図1に示すように、液体吐出装置11は、筐体12を備える。
液体吐出装置11は、支持部13を備える。支持部13は、媒体99を支持する。支持部13は、例えば、矩形、又は、矩形状の板材である。支持部13は、媒体99を搬送する搬送ベルトでもよい。一例では、支持部13に、1以上の開口14が形成されている。開口14は、後述する吐出部15と対応するように位置する。開口14を通じて、後述するメンテナンスユニット21に吐出部15が接触する。
【0009】
図1図2、及び、図3に示すように、液体吐出装置11は、吐出部15を備える。吐出部15は、液体を吐出するように構成される。吐出部15は、1以上のヘッド16を有する。一例では、吐出部15は、4つのヘッド16を有する。ヘッド16は、1以上のノズル17が開口するノズル面18を有する。ヘッド16は、ノズル17から液体を吐出する。複数のノズル17は、ノズル面18においてノズル列を構成してもよい。一例では、複数のノズル17は、一方向A1に並ぶことによってノズル列を構成する。一方向A1は、後述する払拭部26が移動する方向である。
【0010】
吐出部15は、媒体99の幅にわたって一斉に液体を吐出可能なラインヘッドでもよい。すなわち、吐出部15は、一方向A1に延びるように構成されてもよい。この場合、一方向A1における媒体99の長さは、媒体99の幅を示す。例えば、複数のヘッド16は、一方向A1に並ぶ。詳しくは、4つのヘッド16は、一方向A1に2列で並ぶ。4つのヘッド16は、互い違いになるようにそれぞれずれて並ぶ。これにより、吐出部15は、一方向A1に延びる。吐出部15は、一方向A1に長尺な1つのヘッド16を有するラインヘッドでもよい。吐出部15は、ラインヘッドに限らず、媒体99に対して走査するシリアルヘッドでもよい。
【0011】
吐出部15は、液体貯留部19を有してもよい。液体貯留部19は、液体を収容する。液体貯留部19は、ヘッド16と接続される。液体貯留部19に貯留される液体は、ヘッド16に供給される。液体貯留部19は、1以上の接続管20を有する。1以上の接続管20には図示しない供給流路の一端が接続される。供給流路の他端は図示しない液体収容体に接続される。液体収容体に収容される液体は、供給流路及び接続管20を介して液体貯留部19に供給される。
【0012】
吐出部15は、垂直方向A2に移動するように構成される。詳しくは、吐出部15は、支持部13に対して昇降するように構成される。垂直方向A2は、ノズル面18に対して垂直な方向である。垂直方向A2は、例えば、鉛直方向を示す。吐出部15は、垂直方向A2に移動することによって、メンテナンスユニット21に接近する。このとき、吐出部15は、開口14に進入することによって、メンテナンスユニット21に接近してもよい。吐出部15は、メンテナンスユニット21に接近することによって、メンテナンスユニット21によりメンテナンスされる。
【0013】
図4及び図5に示すように、液体吐出装置11は、メンテナンスユニット21を備える。メンテナンスユニット21は、吐出部15をメンテナンスするように構成される。メンテナンスユニット21は、例えば、キャッピング及びワイピングによって、吐出部15をメンテナンスする。メンテナンスユニット21は、支持部13を基準に吐出部15とは反対に位置する。一例では、メンテナンスユニット21は、支持部13よりも下方に位置する。したがって、垂直方向A2において、吐出部15、支持部13、及び、メンテナンスユニット21は、この順で並ぶ。
【0014】
メンテナンスユニット21は、吐出部15に接触することによって吐出部15をメンテナンスする。メンテナンスユニット21は、吐出部15に接近するように構成されてもよい。すなわち、メンテナンスユニット21は、垂直方向A2に移動するように構成されてもよい。例えば、キャップユニット22は、支持部13に対して昇降するように構成されてもよい。メンテナンスユニット21は、開口14に進入することによって、吐出部15に接近してもよい。
【0015】
メンテナンスユニット21は、キャップユニット22を有する。キャップユニット22は、キャッピングを実行するように構成される。キャップユニット22は、キャッピングによって吐出部15をメンテナンスするように構成される。キャッピングは、吐出部15に接触することによって、ノズル17と通じる空間を形成する動作である。キャッピングによって、ノズル17が保湿される。これにより、ノズル17に目詰まりが生じるおそれが低減される。
【0016】
キャップユニット22は、1以上のキャップ23を有する。キャップユニット22は、例えば、ヘッド16と同等数のキャップ23を有する。一例では、キャップユニット22は、4つのキャップ23を有する。4つのキャップ23は、4つのヘッド16にそれぞれ接触する。詳しくは、4つのキャップ23は、4つのノズル面18にそれぞれ接触する。これにより、4つのキャップ23は、ノズル17と通じる空間をそれぞれ形成する。このように、一例では、キャップユニット22は、複数のキャップ23によってヘッド16を1つずつキャッピングする。キャップユニット22は、1つのキャップ23によって複数のヘッド16をキャッピングしてもよい。
【0017】
4つのキャップ23は、4つのヘッド16と対応するように位置する。4つのキャップ23は、一方向A1に並ぶ。詳しくは、4つのキャップ23は、一方向A1に2列で並ぶ。4つのキャップ23は、互い違いになるようにそれぞれずれて並ぶ。
【0018】
キャップユニット22は、ベース部材24を有してもよい。ベース部材24は、キャップ23を支持する部材である。ベース部材24は、例えば、トレイである。ベース部材24は、キャップ23から零れた液体を受けてもよい。この場合、液体吐出装置11内が汚損するおそれが低減される。
【0019】
キャップユニット22は、吐出部15に接近するように構成されてもよい。すなわち、キャップユニット22は、垂直方向A2に移動するように構成されてもよい。例えば、キャップユニット22は、支持部13に対して昇降するように構成されてもよい。キャップユニット22は、開口14に進入することによって、吐出部15に接近してもよい。一例では、吐出部15が開口14に進入することによって、吐出部15がキャップユニット22に接触する。吐出部15がキャップユニット22に接近することによって吐出部15がキャッピングされてもよいし、吐出部15及びキャップユニット22が互いに接近することによって吐出部15がキャッピングされてもよい。
【0020】
メンテナンスユニット21は、ワイパーユニット25を有する。ワイパーユニット25は、ワイピングを実行するように構成される。ワイパーユニット25は、ワイピングによって吐出部15をメンテナンスするように構成される。ワイピングは、ノズル面18を払拭する動作である。ワイピングによって、ノズル面18に付着する液体、異物などが除去される。
【0021】
ワイパーユニット25は、払拭部26を有する。払拭部26は、ノズル面18に払拭するように構成される。払拭部26は、1以上のワイパーを有する。一例では、払拭部26は、2つのワイパーを有する。払拭部26は、例えば、第1ワイパー27と、第2ワイパー28とを有する。第1ワイパー27及び第2ワイパー28は、一方向A1に並ぶ。詳しくは、第2ワイパー28及び第1ワイパー27は、この順で一方向A1に並ぶ。
【0022】
払拭部26は、一方向A1に移動することによって、吐出部15をワイピングする。ワイピングにおいて、ワイパーがノズル面18に接触する。払拭部26は、一方向A1に並ぶ複数のヘッド16を順次ワイピングする。払拭部26は、一方向A1に移動することによって、第1ワイパー27、第2ワイパー28の順でノズル面18を払拭する。払拭部26は、2つのワイパーでノズル面18を払拭することによって、ノズル面18から液体及び異物を効果的に除去する。
【0023】
払拭部26は、保持部29を有する。保持部29は、ワイパーを保持する。一例では、保持部29は、第1ワイパー27及び第2ワイパー28を保持する。保持部29は、ワイパーが払拭した液体を受ける。詳しくは、保持部29は、ワイパーを伝って流れる液体を受ける。保持部29は、上部が開口するボックス、トレイなどで構成される。
【0024】
保持部29は、底面30を有する。底面30は、保持部29がワイパーから液体を受ける面である。底面30には、払拭部26が払拭した液体が溜まる。底面30は、ワイパーと垂直である。
【0025】
保持部29は、底壁31を有する。底壁31は、底面30を有する。一例では、底壁31は、底面30と対向する位置から見た場合に矩形状である。底壁31には、ワイパーが取り付けられる。
【0026】
保持部29は、側壁32を有する。側壁32は、底壁31から垂直に延びる。一例では、側壁32は、底壁31の4辺から垂直に延びる。側壁32にワイパーが取り付けられてもよい。
【0027】
保持部29には、側壁32によって収容開口33が形成される。収容開口33は、側壁32の上端によって形成される開口である。収容開口33からワイパーが突出する。収容開口33を通じて、ワイパーから保持部29に液体が流れる。
【0028】
保持部29は、ガイド軸34を有する。ガイド軸34は、保持部29をガイドする軸である。ガイド軸34によって、保持部29は、一方向A1にガイドされる。すなわち、ガイド軸34によって、払拭部26が一方向A1にガイドされる。
【0029】
保持部29は、通常、一方向A1において、吐出部15の位置と異なる位置で待機する。すなわち、保持部29は、通常、垂直方向A2から見た場合に、吐出部15と重ならない位置で待機する。詳しくは、保持部29は、通常、吐出部15よりも一方向A1にずれた位置で待機する。保持部29は、吐出部15よりも一方向A1の反対方向にずれた位置で待機してもよい。
【0030】
保持部29には、撥液処理が施されていてもよい。特に、底面30に撥液処理が施されているとよい。撥液処理は、撥液性を高める処理である。撥液処理は、例えば、コート剤を塗布する処理である。撥液処理によって、保持部29において液体の接触角が大きくなる。これにより、液体が保持部29の表面を流れやすくなる。
【0031】
ワイパーユニット25は、移動部35を有する。移動部35は、払拭部26を移動させるように構成される。移動部35は、払拭部26を一方向A1に移動させるように構成される。詳しくは、移動部35は、払拭部26を一方向A1に往復移動させる。移動部35が払拭部26を移動させることによって、払拭部26がノズル面18を払拭する。
【0032】
移動部35は、ガイド機構36を有する。ガイド機構36は、払拭部26をガイドする機構である。ガイド機構36は、払拭部26が一方向A1に移動するようにガイドする。ガイド機構36は、例えば、2つのガイドレール37を有する。ガイドレール37は、払拭部26をガイドするレールである。ガイドレール37は、一方向A1に延びる。ガイドレール37には、ガイド溝38が形成される。ガイド溝38には、ガイド軸34が挿入される。これにより、払拭部26は、ガイドレール37に沿って移動する。
【0033】
図6に示すように、移動部35は、移動機構39を有する。移動機構39は、払拭部26を一方向A1に移動させる機構である。移動機構39は、例えば、タイミングベルト40と、第1ローラー41と、第2ローラー42とを有する。タイミングベルト40は、第1ローラー41及び第2ローラー42に巻き掛けられる。タイミングベルト40には、保持部29が取り付けられる。第1ローラー41及び第2ローラー42が回転するとともに、タイミングベルト40が第1ローラー41及び第2ローラー42に沿って回転する。これにより、保持部29が一方向A1に移動する。移動機構39は、タイミングベルト40,第1ローラー41、第2ローラー42で構成されることに限らず、例えば、ボールねじで構成されてもよい。
【0034】
図1図2、及び、図3に示すように、液体吐出装置11は、クリーニング部45を備える。クリーニング部45は、ワイパーユニット25に対してクリーニングを実行するように構成される。クリーニング部45は、吐出部15に取り付けられる。
【0035】
クリーニング部45は、取付部分46を有する。取付部分46は、吐出部15に取り付けられる部分である。取付部分46は、例えば、液体貯留部19に取り付けられる。一例では、取付部分46は、液体貯留部19の下部に取り付けられる。取付部分46は、ヘッド16を露出させるように液体貯留部19に取り付けられる。取付部分46は、例えば、垂直方向A2から見た場合に、液体貯留部19と重なるように位置する。
【0036】
クリーニング部45は、クリーナー47を有する。クリーナー47は、ワイパーと接触する。一例では、クリーナー47は、第1ワイパー27及び第2ワイパー28と接触する。クリーナー47は、ワイパーと接触することによって、ワイパーに対してクリーニングを実行する。詳しくは、クリーナー47は、ワイパーと接触することによって、ワイパーに付着する液体、異物などを除去する。クリーナー47は、取付部分46に取り付けられる。
【0037】
垂直方向A2におけるクリーナー47と払拭部26との距離は、垂直方向A2における吐出部15と払拭部26との距離よりも大きい。例えば、クリーナー47は、ノズル面18よりも上方に位置する。すなわち、クリーナー47は、ワイパーに対してノズル面18よりも引っ込んだ位置に位置する。
【0038】
キャッピング時において、垂直方向A2におけるクリーナー47の位置は、垂直方向A2におけるワイパーの位置と重なる。すなわち、キャッピング時において、一方向A1から見た場合にワイパーがクリーナー47と重なる。詳しくは、キャッピング時においては、一方向A1から見た場合にワイパーの先端がクリーナー47と重なる。そのため、キャッピング時における吐出部15と払拭部26との位置関係においては、ワイパーの先端がクリーナー47に到達する。キャッピング時における吐出部15と払拭部26との位置関係において、クリーナー47は、キャッピングを阻害しない程度の圧力でワイパーと接触可能となるように、ノズル面18よりも引っ込んだ位置に位置する。したがって、吐出部15がキャッピングされる状態で、クリーナー47は、ワイパーをクリーニングできる。
【0039】
ワイピング時において、垂直方向A2におけるクリーナー47の位置は、垂直方向A2におけるワイパーの位置と重ならない。すなわち、ワイピング時において、一方向A1から見た場合にワイパーがクリーナー47と重ならない。詳しくは、ワイピング時においては、一方向A1から見た場合にワイパーの先端がクリーナー47と重ならない。そのため、ワイピング時における吐出部15と払拭部26との位置関係においては、ワイパーの先端がクリーナー47に到達しない。ワイピング時における吐出部15と払拭部26との位置関係において払拭部26が一方向A1に移動してもクリーナー47がワイパーの先端と接触しないように、クリーナー47は、ノズル面18よりも引っ込んだ位置に位置する。
【0040】
クリーナー47は、キャッピング時においてワイパーの先端がクリーナー47に到達可能、且つ、ワイピング時においてワイパーの先端がクリーナー47に到達不能となる位置に位置する。そのため、払拭部26がクリーナー47と対向する位置に位置する場合でも、吐出部15をキャッピングできる。したがって、キャッピングのため払拭部26をクリーナー47から退避させる必要がない。これにより、液体吐出装置11の大型化が抑制される。
【0041】
クリーナー47は、一方向A1において吐出部15と異なる位置に位置する。すなわち、クリーナー47は、垂直方向A2から見た場合に、吐出部15と重ならない位置に位置する。クリーナー47は、例えば、一方向A1において吐出部15と並ぶように位置する。一例では、クリーナー47は、吐出部15よりも一方向A1にずれた位置に位置する。
【0042】
クリーナー47は、吐出部15が垂直方向A2に移動することによって、垂直方向A2に移動する。これにより、クリーナー47は、払拭部26に接近する。クリーナー47は、下降することによって、自身と対向する払拭部26と接触可能となる。クリーナー47は、例えば、開口14を通じて払拭部26と接触する。
【0043】
クリーナー47は、クリーニング部分48を有する。クリーニング部分48は、クリーナー47において、ワイパーに接触することによってワイパーをクリーニングする部分である。一例では、クリーニング部分48は、後述する吸収材56である。クリーニング部分48は、後述する保護部材50で構成されてもよい。
【0044】
クリーナー47は、収納部分49を有してもよい。収納部分49は、クリーナー47において、ワイパーを収納する部分である。ワイパーが収納部分49に収納されることによって、ワイパーに付着する液体が固化するおそれが低減される。収納部分49は、保護部材50で構成される。
【0045】
クリーニング部分48及び収納部分49は、クリーナー47において、一方向A1に並ぶ。一例では、クリーニング部分48及び収納部分49は、一方向A1にこの順で並ぶ。これにより、払拭部26は、一方向A1に移動することによって、クリーニング部分48、収納部分49の順に移動する。したがって、ワイパーは、クリーニング部分48によりクリーニングされた後、収納部分49によりスムーズに収納される。
【0046】
クリーナー47は、保護部材50を有する。保護部材50は、ワイパーを保護する部材である。保護部材50は、ワイパーをクリーニング、ワイパーを収納、又は、その双方によって、ワイパーを保護する。
【0047】
保護部材50は、外壁51を有する。外壁51は、収納空間を画定する。外壁51によって囲まれる空間が収納空間である。収納空間は、ワイパーを収納する空間でもよいし、吸収材56を収納する空間でもよい。吐出部15が垂直方向A2に移動することによって、収納空間にワイパーが到達する。これにより、ワイパーが保護部材50に保護される。
【0048】
保護部材50は、区画壁52を有してもよい。区画壁52は、収納空間を二分するように外壁51から延びる。これにより、保護部材50には、2つの収納空間が形成される。2つの収納空間は、それぞれワイパーを収納する空間でもよいし、吸収材56を収納する空間でもよい。
【0049】
保護部材50は、対向面53を有する。対向面53は、払拭部26と対向する面である。対向面53は、垂直方向A2を向く。対向面53は、例えば、外壁51の端面、及び、区画壁52の端面によって構成される。対向面53は、ノズル面18よりも上方に位置する。
【0050】
保護部材50には、1以上の凹部が形成される。保護部材50には、例えば、第1凹部54と、第2凹部55とが形成される。凹部は、対向面53に開口する。そのため、保護部材50において、凹部は、垂直方向A2に開口する。第1凹部54及び第2凹部55は、外壁51及び区画壁52によって形成される。第1凹部54内の空間、及び、第2凹部55内の空間は、収納空間である。第1凹部54及び第2凹部55は、一方向A1に並ぶ。一例では、第1凹部54及び第2凹部55は、この順で一方向A1に並ぶ。
【0051】
クリーナー47は、吸収材56を有してもよい。吸収材56は、液体を吸収する部材である。吸収材56は、例えば、第1凹部54に収納される。ワイパーが吸収材56に接触することによって、吸収材56がワイパーに付着する液体を吸収する。これにより、ワイパーがクリーニングされる。このように、吸収材56は、ワイパーに付着する液体を吸収することによって、クリーナー47におけるクリーニング部分48として機能する。
【0052】
クリーナー47において、第1凹部54内には吸収材56が位置する一方で、第2凹部55内には、吸収材56が位置しない。これは、第2凹部55は、ワイパーを収納する凹部であるためである。すなわち、保護部材50において、第2凹部55を形成する部分が収納部分49である。詳しくは、保護部材50において外壁51の一部と区画壁52とが、収納部分49に相当する。
【0053】
図1に示すように、液体吐出装置11は、制御部57を備える。制御部57は、移動部35を制御する。制御部57は、吐出部15、キャップユニット22などを制御してもよい。制御部57は、液体吐出装置11を統括的に制御してもよい。
【0054】
制御部57は、コンピュータープログラムにしたがって各種処理を実行する1つ以上のプロセッサーで構成されてもよい。制御部57は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路などの1つ以上の専用のハードウェア回路で構成されてもよい。制御部57は、プロセッサー及びハードウェア回路の組み合わせを含む回路で構成されてもよい。プロセッサーは、CPU、ならびに、RAM及びROMなどのメモリーを含む。メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は、指令を格納する。メモリー、すなわちコンピューター可読媒体は、汎用又は専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0055】
<制御部による動作>
次に、制御部57が移動部35を制御することによる動作について説明する。制御部57は、移動部35を制御することによって、ワイピング動作、及び、クリーニング動作などを実行する。すなわち、移動部35が払拭部26を移動させることによって、ワイピング動作、及び、クリーニング動作が実行される。
【0056】
まず、ワイピング動作について説明する。ワイピング動作は、制御部57が移動部35により払拭部26を移動させることによってノズル面18を払拭部26に払拭させる動作である。
【0057】
図7に示すように、吐出部15は、通常、キャッピングされた状態で待機する。このとき、払拭部26は、保護部材50に収納される。詳しくは、第1ワイパー27及び第2ワイパー28が第2凹部55に収納される。これにより、待機時において、ワイパーに付着する液体が固化するおそれが低減される。例えば、印刷が開始される場合には、吐出部15が上昇することによって、キャップ23から離れる。これに伴い、ワイパーが保護部材50から露出する。
【0058】
図8に示すように、ワイピング動作を実行する場合には、制御部57は、払拭部26をワイピングの開始位置に移動させる。詳しくは、制御部57は、吐出部15よりも、一方向A1の反対方向にずれた位置に移動させる。ワイピング動作は、例えば、印刷終了後に実行される。
【0059】
図9に示すように、払拭部26がワイピングの開始位置に位置すると、吐出部15が下降する。これにより、ワイパーの先端が吐出部15に到達する。すなわち、一方向A1から見た場合に、ワイパーが吐出部15と重なる。したがって、ワイパーの先端がノズル面18に接触可能となる。
【0060】
図10に示すように、ワイパーの先端がノズル面18に接触可能となると、制御部57は、移動部35によって払拭部26を一方向A1に移動させる。これにより、払拭部26は、ノズル面18を払拭する。
【0061】
図11に示すように、払拭部26がノズル面18を払拭し終えると、制御部57は、移動部35を停止させる。すなわち、払拭部26が吐出部15と対向する領域を通過すると、制御部57は、払拭部26を停止させる。これにより、ワイピング動作が完了する。このとき、払拭部26は、クリーナー47と対向する位置で停止する。詳しくは、払拭部26は、ワイパーが第1凹部54の直下に位置する状態で停止する。
【0062】
次に、クリーニング動作について説明する。クリーニング動作は、制御部57が移動部35により払拭部26を移動させることによってクリーナー47にワイパーをクリーニングさせる動作である。
【0063】
図12に示すように、クリーニング動作を実行する場合には、払拭部26がクリーナー47と対向する位置に位置する状態で、吐出部15が下降する。このとき、吐出部15は、キャッピングされてもよい。すなわち、吐出部15がキャッピングされた状態で、クリーニング動作が実行されてもよい。この場合、キャッピングと並行してクリーニングが実行される。吐出部15がキャッピングされていない状態で、クリーニング動作が実行されてもよい。例えば、ノズル面18とキャップ23との間に隙間が生じる状態で、クリーニング動作が実行されてもよい。
【0064】
吐出部15が下降することによって、ワイパーの先端がクリーナー47に到達する。すなわち、一方向A1から見た場合に、ワイパーがクリーナー47と重なる。したがって、ワイパーの先端がクリーニング部分48に接触可能となる。一例では、ワイパーの先端が吸収材56に接触する。
【0065】
制御部57は、ワイパーがクリーニング部分48に接触する状態で、移動部35によって払拭部26を一方向A1に移動させる。このとき、払拭部26は、ワイパーがクリーニング部分48に擦り付けられながら移動する。これにより、ワイパーがクリーニング部分48によってクリーニングされる。
【0066】
制御部57は、ワイパーがクリーニング部分48に接触する状態でワイパーを一方向A1に移動させることによって、ワイパーを収納部分49に収納させる。吐出部15がキャッピングされる状態でクリーニング動作が実行される場合には、制御部57は、キャッピング時において、ワイパーがクリーニング部分48に接触する状態でワイパーを一方向A1に移動させることによって、ワイパーを収納部分49に収納させる。すなわち、ワイパーが第1凹部54から第2凹部55に移動し終えると、制御部57は、払拭部26を停止させる。これにより、クリーニング動作が完了する。ワイパーは、第2凹部55に収納されることによって保護される。クリーニング動作が完了すると、吐出部15及び払拭部26は、再び待機する。クリーニング動作の完了後に、吐出部15がキャッピングされてもよい。
【0067】
クリーニング動作の完了後、クリーナー47は、保持部29と接触してもよい。詳しくは、クリーニング動作の完了後、対向面53が保持部29と接触してもよい。例えば、クリーニング動作の完了後、吐出部15がさらに下降することによって、対向面53が保持部29と接触する。これにより、ワイパーに付着する液体が固化するおそれが一層低減される。クリーナー47が保持部29と接触する状態でクリーニング動作が実行されてもよい。
【0068】
<比較例>
次に、比較例について説明する。比較例は、対向面53とノズル面18とが同じ高さに位置するようにクリーナー47が位置する例である。そのため、比較例では、ワイピング時において、一方向A1から見た場合に、ワイパーがクリーナー47と重なる。
【0069】
図13に示すように、比較例においては、吐出部15をキャッピングする場合に、払拭部26がクリーナー47から退避する必要がある。詳しくは、吐出部15をキャッピングする場合には、払拭部26がクリーナー47よりも一方向A1にずれた位置に退避する必要がある。これは、吐出部15がキャップユニット22に接近することによって、払拭部26がクリーナー47に干渉するおそれがあるためである。特に、保持部29が保護部材50に干渉すると、吐出部15が下降できなくなる。すなわち、払拭部26がキャッピングを阻害する。したがって、吐出部15をキャッピングする場合に、払拭部26をクリーナー47から退避させるために払拭部26の移動量が大きくなる。この点、上記実施例では、吐出部15をキャッピングする場合に払拭部26をクリーナー47から退避させる必要がないため、液体吐出装置11が大型化するおそれが低減される。
【0070】
比較例においては、キャッピング時に払拭部26がクリーナー47から退避するため、クリーニングとキャッピングとを並行して実行することができない。そのため、例えば、ワイパーをクリーニングした後に、吐出部15をキャッピングする。この場合、吐出部15がキャッピングされるまでに時間を要するため、ノズル17の目詰まりが生じやすくなるおそれがある。この点、上記実施例では、キャッピングしながらクリーニングできるため、吐出部15がキャッピングされるまでの時間が低減される。
【0071】
<作用及び効果>
次に、上記実施例の作用及び効果について説明する。
(1)垂直方向A2におけるクリーナー47の位置は、キャッピング時において、垂直方向A2におけるワイパーの位置と重なる。垂直方向A2におけるクリーナー47の位置は、ワイピング時において、垂直方向A2におけるワイパーの位置と重ならない。キャッピング時においては一方向A1から見た場合にワイパーがクリーナー47と重なる一方で、ワイピング時においては一方向A1から見た場合にワイパーがクリーナー47と重ならない。すなわち、クリーナー47は、ワイパーに対してノズル面18よりも引っ込んだ位置に位置する。そのため、ワイパーがクリーナー47に接触する状態において、キャップユニット22が吐出部15をキャッピングできる。したがって、上記構成によれば、キャッピング時にワイパーをクリーナー47から退避させる必要がない。これにより、液体吐出装置11の大型化が抑制される。
【0072】
(2)クリーニング部分48及び収納部分49は、一方向A1に並ぶ。上記構成によれば、ワイパーは、一方向A1に移動することによって、クリーニング部分48によってクリーニングされた後に、収納部分49によってスムーズに収納される。
【0073】
(3)制御部57は、キャッピング時において、ワイパーがクリーニング部分48に接触する状態でワイパーを一方向A1に移動させることによって、ワイパーを収納部分49に収納させる。上記構成によれば、吐出部15がキャッピングされる状態で、ワイパーは、クリーニング部分48によってクリーニングされた後に、収納部分49によって収納される。そのため、ワイパーを収納するために、ワイパーのクリーニング後に吐出部15が移動する構成と比べて、吐出部15の移動量が低減される。
【0074】
(4)クリーナー47は、垂直方向A2から見た場合に、吐出部15と重ならない位置に位置する。上記構成によれば、キャッピング時にワイパーが吐出部15に干渉しにくい。
【0075】
(5)キャップユニット22は、複数のヘッド16をそれぞれキャッピングする複数のキャップ23を有する。上記構成によれば、1つのキャップ23が複数のヘッド16をキャッピングする場合と比べて、キャッピングの精度が向上する。
【0076】
<変更例>
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0077】
図14に示すように、保護部材50は、1つの凹部が形成される構成でもよい。例えば、保護部材50には、1つの共通凹部59が形成されていてもよい。共通凹部59には、吸収材56が収納されてもよい。共通凹部59においては、吸収材56が位置する領域と、吸収材56が位置しない領域とが存在する。すなわち、この変更例は、上記実施例と比べて、保護部材50が区画壁52を有しない例である。ワイパーは、吸収材56によってクリーニングされた後、共通凹部59において吸収材56が位置しない領域で収納される。この変更例においても、クリーニング部分48及び収納部分49は、一方向A1に並ぶ。
【0078】
図15に示すように、クリーナー47は、保護部材50によってワイパーをクリーニングしてもよい。例えば、ワイパーを外壁51に接触させることによって、ワイパーがクリーニングされてもよい。このとき、図15において実線で示すように、ワイパーを外壁51の外面に接触させることによって、ワイパーがクリーニングされてもよい。また、図15において2点鎖線で示すように、ワイパーを外壁51の内面に接触させることによって、ワイパーがクリーニングされてもよい。後者の場合、ワイパーがクリーニングされた後、払拭部26を一方向A1の反対方向に移動させることによって、ワイパーが共通凹部59に収納されてもよい。外壁51に限らず、ワイパーを区画壁52に接触させることによって、ワイパーがクリーニングされてもよい。この変更例においては、クリーニング部分48は、保護部材50によって構成される。
【0079】
図16に示すように、液体吐出装置11は、排出部60を備えてもよい。排出部60は、払拭部26から液体を排出するように構成される。詳しくは、排出部60は、保持部29に溜まる液体を排出するように構成される。これにより、保持部29から液体が溢れるおそれが低減される。
【0080】
図16に示す例では、排出部60は、払拭部26がクリーナー47に収納される位置に位置する場合に、保持部29と接続される。排出部60は、保持部29と接続される状態で保持部29内を吸引することによって、保持部29から液体を排出する。排出部60は、保持部29に常に接続されていてもよい。例えば、排出部60は、払拭部26の移動に追従可能な可撓性のチューブを有してもよい。
【0081】
図17に示すように、液体吐出装置11は、排出部60を備えてもよい。図16に示す例と異なり、図17に示す例では、排出部60は、クリーナー47に接続される。詳しくは、排出部60は、保護部材50と接続される。保護部材50には、第1流路61が開口する。第1流路61は、保護部材50を貫通するように延びる。一例では、第1流路61は、外壁51内を延びる。排出部60は、第1流路61と通じる。第1流路61は、区画壁52内を延びてもよい。保持部29には、第2流路62が開口する。第2流路62は、底壁31内及び側壁32内を延びる。払拭部26がクリーナー47に収納される位置に位置する場合に、第2流路62は、第1流路61と通じる。詳しくは、保持部29が保護部材50と密着することによって、第2流路62が第1流路61と通じる。この状態で、排出部60は、吸引する。このように、排出部60は、第1流路61及び第2流路62を通じて払拭部26から液体を吸引する。その結果、保持部29内から液体が排出される。
【0082】
図18に示すように、支持部13には、複数の開口14が形成されていてもよい。複数の開口14は、複数のキャップ23と対応するように形成される。すなわち、複数の開口14は、複数のヘッド16と対応するように形成される。これにより、1つの開口14が複数のヘッド16を露出させる場合と比べて、支持部13における媒体99の支持面積が増加する。支持部13には、ヘッド16と対応する開口14とは別に、クリーナー47と対応する開口14が形成されていてもよい。
【0083】
複数のキャップ23は、複数の開口14を通じて複数のヘッド16をそれぞれキャッピングする。すなわち、キャップ23、ヘッド16、又は、その双方が開口14を通過することによって、ヘッド16がキャッピングされる。例えば、キャップ23が開口14を通過することによってキャップ23がヘッド16に接触してもよいし、ヘッド16が開口14を通過することによってキャップ23がヘッド16に接触してもよい。また、開口14内にてキャップ23がヘッド16に接触してもよい。この変更例によれば、上記実施例と同様に、支持部13を移動させることなく吐出部15をキャッピングできる。
【0084】
・吐出部15が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、吐出部15が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材又は画素材料などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0085】
<技術的思想>
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0086】
(A)液体吐出装置は、液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有する吐出部と、前記吐出部に接触することによって前記ノズルと通じる空間を形成するキャッピングを実行するキャップユニットと、前記ノズル面を払拭するワイピングを実行するワイパーユニットと、前記吐出部に取り付けられ、前記ワイパーユニットに対してクリーニングを実行するクリーニング部と、備え、前記ワイパーユニットは、一方向に移動する払拭部を有し、前記払拭部は、前記ノズル面に接触するワイパーを有し、前記クリーニング部は、前記ワイパーに対して前記クリーニングを実行するクリーナーを有し、前記キャップユニットは、前記ノズル面の垂直方向において、前記吐出部が前記キャップユニットに接近することによって前記吐出部と接触し、前記垂直方向における前記クリーナーの位置は、前記キャッピング時において、前記垂直方向における前記ワイパーの位置と重なり、前記ワイピング時において、前記垂直方向における前記ワイパーの位置と重ならない。
【0087】
キャッピング時においては一方向から見た場合にワイパーがクリーナーと重なる一方で、ワイピング時においては一方向から見た場合にワイパーがクリーナーと重ならない。すなわち、クリーナーは、ワイパーに対してノズル面よりも引っ込んだ位置に位置する。そのため、ワイパーがクリーナーに接触する状態において、キャップユニットが吐出部をキャッピングできる。したがって、上記構成によれば、キャッピング時にワイパーをクリーナーから退避させる必要がない。これにより、液体吐出装置の大型化が抑制される。
【0088】
(B)上記液体吐出装置において、前記クリーナーは、前記ワイパーと接触することによって前記クリーニングを実行するクリーニング部分と、前記ワイパーを収納する収納部分とを有し、前記クリーニング部分及び前記収納部分は、前記一方向に並んでもよい。上記構成によれば、ワイパーは、一方向に移動することによって、クリーニング部分によってクリーニングされた後に、収納部分によってスムーズに収納される。
【0089】
(C)上記液体吐出装置は、前記ワイパーを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記キャッピング時において、前記ワイパーが前記クリーニング部分に接触する状態で前記ワイパーを前記一方向に移動させることによって、前記ワイパーを前記収納部分に収納させてもよい。上記構成によれば、吐出部がキャッピングされる状態で、ワイパーは、クリーニング部分によってクリーニングされた後に、収納部分によって収納される。そのため、ワイパーを収納するために、ワイパーのクリーニング後に吐出部が移動する構成と比べて、吐出部の移動量が低減される。
【0090】
(D)上記液体吐出装置において、前記クリーナーは、前記垂直方向から見た場合に、前記吐出部と重ならない位置に位置してもよい。上記構成によれば、キャッピング時にワイパーが吐出部に干渉しにくい。
【0091】
(E)上記液体吐出装置において、前記吐出部は、前記一方向に並ぶ複数のヘッドを有するラインヘッドであり、前記キャップユニットは、複数の前記ヘッドそれぞれに対して前記キャッピングを実行する複数のキャップを有してもよい。上記構成によれば、1つのキャップが複数のヘッドをキャッピングする場合と比べて、キャッピングの精度が向上する。
【0092】
(F)上記液体吐出装置は、前記吐出部から液体が吐出される媒体を支持する支持部を備え、前記支持部には、複数の前記キャップとそれぞれ対応する複数の開口が形成され、複数の前記キャップ及び複数の前記ヘッドの少なくともいずれかが複数の前記開口を通過することによって前記キャッピングが実行されてもよい。上記構成によれば、支持部を移動させることなく吐出部をキャッピングできる。
【符号の説明】
【0093】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…支持部、14…開口、15…吐出部、16…ヘッド、17…ノズル、18…ノズル面、19…液体貯留部、20…接続管、21…メンテナンスユニット、22…キャップユニット、23…キャップ、24…ベース部材、25…ワイパーユニット、26…払拭部、27…第1ワイパー、28…第2ワイパー、29…保持部、30…底面、31…底壁、32…側壁、33…収容開口、34…ガイド軸、35…移動部、36…ガイド機構、37…ガイドレール、38…ガイド溝、39…移動機構、40…タイミングベルト、41…第1ローラー、42…第2ローラー、45…クリーニング部、46…取付部分、47…クリーナー、48…クリーニング部分、49…収納部分、50…保護部材、51…外壁、52…区画壁、53…対向面、54…第1凹部、55…第2凹部、56…吸収材、57…制御部、59…共通凹部、60…排出部、61…第1流路、62…第2流路、99…媒体、A1…一方向、A2…垂直方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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