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特開2024-119168引戸付きアイランドケース用の結露防止装置
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  • 特開-引戸付きアイランドケース用の結露防止装置 図1
  • 特開-引戸付きアイランドケース用の結露防止装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119168
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】引戸付きアイランドケース用の結露防止装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20240827BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20240827BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A47F3/04 F
F25D23/02 302
F25D21/04 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025884
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】関山 博幸
【テーマコード(参考)】
3B110
3L102
【Fターム(参考)】
3B110AA05
3B110CA07
3B110CA20
3L102JA03
3L102KB18
(57)【要約】
【課題】アイランドケースの商品出し入れ口を覆っているスライド可能な透明の引戸に結露が生じることを防止し、アイランドケース内に陳列されている商品を引戸を通して見易くする。
【解決手段】本体ケース3の上部に上方向きに開口した商品出し入れ口6が形成され、この商品出し入れ口6を解放する解放位置と閉止する閉止位置とにスライド可能な透明な引戸7が設けられたアイランドケース1において、閉止位置に位置する引戸7の外側面に沿って送風する送風ファン19を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの上部に上方向きに開口した商品出し入れ口が形成され、この商品出し入れ口を解放する解放位置と閉止する閉止位置とにスライド可能な透明な引戸が設けられたアイランドケースにおいて、
閉止位置に位置する前記引戸の外側面に沿って送風する送風ファンを有することを特徴とする引戸付きアイランドケース用の結露防止装置。
【請求項2】
前記本体ケースの長手方向に沿って前記商品出し入れ口の中央部を覆う長尺状の透明板が設けられ、送風ファン収容ケース内に前記送風ファンを収容してユニット化したものが前記透明板上に取付けられていることを特徴とする請求項1記載の引戸付きアイランドケース用の結露防止装置。
【請求項3】
前記送風ファン収容ケースの上面側に、POPレールが配置されていることを特徴とする請求項2記載の引戸付きアイランドケース用の結露防止装置。
【請求項4】
前記引戸の外側面の温度が露点以下であることを検出する露点温度検出器と、この露点温度検出器の検出結果に応じて前記送風ファンを始動させる制御部とを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の引戸付きアイランドケース用の結露防止装置。
【請求項5】
前記引戸が閉止位置に位置していないことを検出する非閉止状態検出器と、この非閉止状態検出器の検出結果に応じて前記送風ファンの駆動を停止させる制御部とを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の引戸付きアイランドケース用の結露防止装置。
【請求項6】
前記送風ファンを手動操作により始動させる始動スイッチが設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の引戸付きアイランドケース用の結露防止装置。
【請求項7】
前記本体ケースの長手方向に沿った前記引戸の横幅寸法と、前記本体ケースの長手方向に沿った前記送風ファン収容ケースの横幅寸法とは略同じ寸法に形成され、前記本体ケースの長手方向に沿った方向の前記引戸の配列個数と前記送風ファン収容ケースの配列個数とは同数とされていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか一項に記載の引戸付きアイランドケース用の結露防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なスライド式の透明な引戸を備えたアイランドケースにおいて、引戸に結露が生じることを防止するようにした引戸付きアイランドケース用の結露防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、冷凍食品や冷蔵商品等を陳列して販売するためにアイランドケースが使用されている。このようなアイランドケースでは、下記特許文献1に記載されているように、冷気の漏れ出しを抑えて省エネを図るという観点から商品出し入れ口をスライド式の透明な引戸で覆ったものが普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-152313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような引戸を備えたアイランドケースにおいては、店舗内の環境により、特に店舗内の湿度条件により引戸の外側面に結露が生じやすくなる場合がある。そして、引戸の外側面に結露が生じて引戸が曇ることにより、アイランドケース内に陳列されている商品が見難くなるという問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、開閉可能なスライド式の透明な引戸を備えたアイランドケースにおいて、引戸に結露が生じることを防止できる引戸付きアイランドケース用の結露防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る引戸付きアイランドケース用の結露防止装置は、本体ケースの上部に上方向きに開口した商品出し入れ口が形成され、この商品出し入れ口を解放する解放位置と閉止する閉止位置とにスライド可能な透明な引戸が設けられたアイランドケースにおいて、閉止位置に位置する前記引戸の外側面に沿って送風する送風ファンを有することを特徴とする。
【0007】
また、前述の引戸付アイランドケース用の結露防止装置において、前記本体ケースの長手方向に沿って前記商品出し入れ口の中央部を覆う長尺状の透明板が設けられ、送風ファン収容ケース内に前記送風ファンを収容してユニット化したものが前記透明板上に取付けられていることが望ましい。
【0008】
また、前述の引戸付アイランドケース用の結露防止装置において、前記送風ファン収容ケースの上面側に、POPレールが配置されていることが望ましい。
【0009】
また、前述の引戸付アイランドケース用の結露防止装置において、前記引戸の外側面の温度が露点以下であることを検出する露点温度検出器と、この露点温度検出器の検出結果に応じて前記送風ファンを始動させる制御部とを有することが望ましい。
【0010】
また、前述の引戸付アイランドケース用の結露防止装置において、前記引戸が閉止位置に位置していないことを検出する非閉止状態検出器と、この非閉止状態検出器の検出結果に応じて前記送風ファンの駆動を停止させる制御部とを有することが望ましい。
【0011】
また、前述の引戸付アイランドケース用の結露防止装置において、前記送風ファンを手動操作により始動させる始動スイッチが設けられていることが望ましい。
【0012】
また、前述の引戸付アイランドケース用の結露防止装置において、前記本体ケースの長手方向に沿った前記引戸の横幅寸法と、前記本体ケースの長手方向に沿った前記送風ファン収容ケースの横幅寸法とは略同じ寸法に形成され、前記本体ケースの長手方向に沿った方向の前記引戸の配列個数と前記送風ファン収容ケースの配列個数とは同数とされていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る引戸付アイランドケース用の結露防止装置によれば、送風ファンを駆動させることにより引戸の外側面に沿って送風され、この送風により引戸の外側面に結露が生じることが防止される。
【0014】
また、送風ファン収容ケース内に送風ファンを収容してユニット化したものが設けられており、このユニット化したものが透明板に取付けられているため、アイランドケースへの送風ファンの取付けを容易に行える。
【0015】
また、送風ファン収容ケースの上面側にPOPレールが配置されているため、POPレールに値札等が取付けられることにより送風ファン収容ケース内に収容されている送風ファンが目立たなくなり、送風ファンの存在が買物客に対して違和感を与えるということがなくなる。
【0016】
また、送風ファンは引戸の外側面の温度が露点以下であることが検出された場合に始動され、引戸の外側面の温度が露点以上であって結露が生じない状況下では送風ファンは停止されているので、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0017】
引戸が閉止位置に位置していないことが検出された場合には送風ファンの駆動は停止されるので、引戸が解放されている状態のときに送風ファンが駆動され、本体ケース外の温度の高い空気が本体ケース内に流入して引戸の内側面に結露が生じるということが防止される。
【0018】
また、引戸の外側面における結露の発生が気になる場合には、始動スイッチを操作して送風ファンを始動させることができ、結露の発生をより一層確実に防止できる。
【0019】
本体ケースの長手方向に沿った引戸の横幅寸法と、本体ケースの長手方向に沿った送風ファン収容ケースの横幅寸法とは略同じ寸法に形成され、本体ケースの長手方向に沿った方向の引戸の配列個数と送風ファン収容ケースの配列個数とは同数とされているので、本体ケースの長手方向の寸法が異なる各種サイズのアイランドケースにおいても、送風ファン収容ケース内に送風ファンを収容してブロック化したものを引戸の数と同数準備することにより送風ファンを用いた引戸の結露防止を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態の平型ショーケースを示す断面側面図である。
図2】送風ファン、POPレールの取付構造を拡大して示す断面側面図である。
図3】送風ファン収容ケース内に風ファンを収容してユニット化したものを示す斜視図である。
図4】送風ファンの始動・停止に関する制御を行う回路構成について説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について図面に基いて説明する。図1はアイランドケース1を示す断面側面図であり、図2はその一部を拡大して示す断面側面図である。このアイランドケース1は、台座部2と、台座部2の上に固定された本体ケース3とを有している。
【0022】
本体ケース3は、断熱材により凹形状に形成されるとともに平面視形状が矩形に形成された断熱箱体4と、断熱箱体4の四方の外周部に位置する側壁部4aの上縁に立設された4つの透明壁5とを有している。この本体ケース3の上方(透明壁5の上端側)には商品出し入れ口6が形成され、商品出し入れ口6は透明な引戸7に覆われ、引戸7は商品台入れ口6を解放する解放位置と閉止する閉止位置とへスライド可能とされている。本体ケース3の内部であって引戸7により覆われた部分は、冷蔵商品や冷凍商品等の販売対象商品が陳列される商品陳列室8とされている。商品陳列室8の底部にはデッキパン9が配置され、販売対象商品はこのデッキパン9上に陳列されている。なお、引戸7は、本体ケース3の長手方向(横幅方向)に沿って複数配列されている。
【0023】
商品陳列室8の中央部には、中央仕切壁10が設けられている。この中央仕切壁10は、本体ケース3の長手方向に沿った方向に延出し、商品陳列室8内を前後方向の2つの区画に仕切っている。
【0024】
中央仕切壁10の内部には冷気通路11が形成され、この冷気通路11はデッキパン9の下方に形成されている冷気通路12に連通されている。冷気通路12内には冷却器13とファン14とが配置され、冷却器13により冷却された冷気通路12内の冷気が、ファン14の駆動により送風され、冷気通路11内を流れて冷気通路11の上端部から商品陳列室8内に送風されている。商品陳列室8内に送風された冷気は、商品陳列室8内の販売対象商品を冷却した後、本体ケース3の内周面に沿って形成されている冷気通路15を通って冷気通路12内に戻され、冷却器13により再び冷却される。図1において示す黒矢印は、冷気の流れを示している。
【0025】
本体ケース3における商品出し入れ口6が形成されている部分には、その中央部を覆うように本体ケース3の長手方向(横幅方向)に沿って延出する長尺状の透明板16が設けられている。この透明板16の長手方向の両端は、本体ケース3の長手方向の両端に設けられている一対の端部フレーム17に支持されている。そして、これらの一対の端部フレーム17と、端部フレーム17間に位置して端部フレーム17と平行に配置された複数の中間フレーム(図示せず)と、透明板16とにより、引戸7が図1に示す矢印a方向にスライド可能に支持されている。
【0026】
透明板16の上部には、図3に示すように、送風ファン収容ケース18内に送風ファン19を収容してユニット化したものが、本体ケース3の長手方向に沿って複数取付けられている。送風ファン収容ケース18は断面形状が逆U字形に形成された本体ケース18aと、本体ケース18aの底面に取付けられた底板18bと、本体ケース18aの両側に取付けられた側面板18cとを有している。底板18bの中央部には、山形に屈曲した屈曲部18dが形成されている。送風ファン収容ケース18内への送風ファン19の取付けは、送風ファン19の空気吸込側の上面部が送風ファン収容ケース18の表面と面一となるように行われている。なお、この送風ファン19は、上方から空気を吸込み、吸い込んだ空気を送風ファン19の外周方向に向けて送風する遠心ファン方式のものが使用されている。本体ケース18aの側面には、送風ファン19により送風された空気が引戸7の外側面に向けて吹出す複数の吹出口20が形成されている。
【0027】
本体ケース3の長手方向に沿った送風ファン収容ケース18の横幅寸法“L”と、本体ケース3の長手方向に沿った引戸7の横幅寸法とは略同じ寸法に形成されている。そして、一つのアイランドケース1においては、本体ケース3の長手方向に沿って配列された、送風ファン収容ケース18内に送風ファン19を収容してユニット化したもの数と、引戸7の数とが同数とれている。
【0028】
本体ケース3の長手方向に沿って配列された複数の送風ファン収容ケース18の上面側にはPOPレール21が配置され、このPOPレール21には本体ケース3内に陳列されている販売対象商品の値札等が挿着可能とされている。POPレール21は、このPOPレール21に値札等が挿着された場合であっても、送風ファン19が上方から空気を吸い込むことを妨げない構造に形成されている。
【0029】
このアイランドケース1には、図4に示すように引戸7の外側面の温度が露点以下であることを検出する露点温度検出器22と、引戸7が閉止位置に位置していないことを検知する非閉止状態検出器23と、これらの露点温度検出器22や非閉止状態検出器23の検出結果に応じて送風ファン19を始動させ又は停止させる制御部24とが設けられている。露点温度検出器22は、湿度計と温度系とを組み合わせて構成されている。非閉止状態検出器23は、例えばリミットスイッチが用いられている。さらに、このアイランドケース1には、送風ファン19を手動操作により始動させ又は停止させる始動スイッチ25が設けられている。
【0030】
このような構成において、このアイランドケース1では、引戸7の外側面の温度が露点温度検出器22により常時検出されており、引戸7の外側面の温度が露点以下になったことが検出されると、その検出結果に応じて制御部24からの制御により送風ファン19が始動される。送風ファン19が始動されると、図2において白抜矢印で示すように、送風ファン19の上方の空気が送風ファン19により吸引され、吸引された空気は送風ファン19の外周方向に向けて送風される。送風された空気は吹出口20から吹出し、引戸7の外側面に沿って流れる。このような空気の流れが発生することにより、引戸7の外側面に結露が生じることが防止される。
【0031】
ここで、送風ファン19は、引戸7の外側面の温度が露点以下になった場合に始動され、引戸7の外側面の温度が露点以上であって結露が生じない環境下では送風ファン19は停止されている。このため、無駄な電力消費を抑えることができ、引戸7の外側面の温度が露点以下になったときには送風ファン19を始動させることにより、結露の発生を確実に防止するができる。
【0032】
また、このアイランドケース1には、送風ファン19を手動操作により始動させる始動スイッチ25が設けられている。このため、引戸7の外側面における結露の発生が気になる場合には、始動スイッチ25を操作して送風ファン19を始動させることができ、これにより結露の発生をより一層確実に防止することができる。
【0033】
また、このアイランドケース1には、引戸7が閉止位置に位置していないことを非閉止状態検出器23で検出し、引戸7が閉止位置に位置していない場合には、送風ファン19の駆動が停止される。このため、引戸7が解放されている状態のときに送風ファン19が駆動されて本体ケース3外の温度の高い空気が本体ケース3内に流入することが防止され、温度の高い空気の流入により引戸7の内側面に結露が生じるということが防止される。
【0034】
一つの送風ファン収容ケース18と一つの送風ファン19とがユニット化され、このユニット化されたものが透明板16に取付けられている。このため、アイランドケース1への送風ファン19の取付を容易に行える。また、本体ケース3の長手方向に沿った送風ファン収容ケース18の横幅寸法“L”と、本体ケース3の長手方向に沿った引戸7の横幅寸法とは略同じ寸法に設定されている。このため、一台のアイランドケース1においては、送風ファン収容ケース18内に送風ファン19を収容してユニット化したものと、引戸7との本体ケース3の長手方向に沿った数とは同数とされている。従って、横幅寸法が異なり使用している引戸7の数が異なる各種のサイズのアイランドケース1であっても、送風ファン収容ケース18内に送風ファン19を収容してユニット化したものをそのアイランドケース1で使用されている引戸7の数と同じ数用意すればよく、横幅寸法が異なる各種サイズのアイランドケース1においても、送風ファン19を用いた引戸7の結露防止を容易に行うことができる。
【0035】
ここで、送風ファン19を収容した送風ファン収容ケース18の上面側にはPOPレール21が取付けられており、送風ファン19の上方はPOPレール21に覆われている。このため、POPレール21に商品の値札等を挿着することにより、送風ファン19を買物客から見えにくくすることができ、送風ファン19の存在が買物客に対して違和感を与えるということを防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 アイランドケース
2 台座部
3 本体ケース
4 断熱箱体
4a 側壁部
5 透明壁
6 商品出し入れ口
7 引戸
8 商品陳列室
9 デッキパン
10 中央仕切壁
11 冷気通路
12 冷気通路
13 冷却器
14 ファン
15 冷気通路
16 透明板
17 端部フレーム
18 送風ファン収容ケース
18a 本体ケース
18b 底板
18c 側面板
18d 屈曲部
19 送風ファン
20 吹出口
21 POPレール
22 露点温度検出器
23 非閉止状態検出器
24 制御部
25 始動スイッチ
図1
図2
図3
図4