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特開2024-119170医薬組成物、医薬組成物の製造方法および医薬組成物の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119170
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】医薬組成物、医薬組成物の製造方法および医薬組成物の製造装置
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/00 20060101AFI20240827BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20240827BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240827BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240827BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240827BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240827BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61K39/00 H
A61K9/51
A61K47/10
A61K31/7105
A61P37/04
A61P31/00
A61P35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025886
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】518207351
【氏名又は名称】ライラックファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】石井 武彦
(72)【発明者】
【氏名】谷 道子
(72)【発明者】
【氏名】須佐 太樹
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA65
4C076CC27
4C076CC29
4C076CC31
4C076DD37E
4C076FF21
4C085AA03
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA38
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZB32
(57)【要約】
【課題】本発明は、生理活性成分を内包するナノ粒子を含む医薬組成物であって、輸送利便性や保管利便性に優れ、かつハンドリングが容易な医薬組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、生理活性成分を内包するナノ粒子と、水混和性有機溶媒とを含有する医薬組成物に関する。また、本発明は、当該医薬組成物の製造装置及び製造方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理活性成分を内包するナノ粒子と、水混和性有機溶媒とを含有する医薬組成物。
【請求項2】
前記生理活性成分がワクチン成分である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ワクチン成分が核酸である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記核酸がmRNAまたはmRNA化学修飾物である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ナノ粒子が脂質ナノ粒子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記水混和性有機溶媒がエタノールである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物が、ワクチン接種用組成物であり、
前記ワクチン接種用組成物に含まれるエタノール量が接種1回分あたり50mg以下である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物に含まれるエタノールの濃度が1~25体積%である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物に含まれるエタノールの濃度が9~18体積%である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物の製造方法であって、以下の工程を含む製造方法;
(1)水混和性有機溶媒を含むナノ粒子原料溶液が充填された第1のシリンジと、ナノ粒子形成促進液が充填された第2のシリンジを接続し、前記ナノ粒子原料溶液と、前記ナノ粒子形成促進液を混合しつつ、マイクロ流路デバイスに送液する工程(但し、前記ナノ粒子原料溶液および前記ナノ粒子形成促進液から選択される少なくとも一方が生理活性成分を含有する);
(2)マイクロ流路デバイスを通過することで形成された、生理活性成分を内包するナノ粒子の懸濁液を回収する工程。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物の製造装置であって、少なくとも以下の構成を含む製造装置;
(1)水混和性有機溶媒を含むナノ粒子原料溶液が充填される第1のシリンジ及びピストン;
(2)ナノ粒子形成促進液が充填され第2のシリンジ及びピストン(但し、前記ナノ粒子原料溶液および前記ナノ粒子形成促進液から選択される少なくとも一方が生理活性成分を含有する);
(3)第1のシリンジおよび第2のシリンジの押し子;
(4)前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジに充填された充填液を送液チューブに送り込むための前記押し子の駆動部;
(5)前記第1のシリンジおよび前記第2のシリンジの下流に接続されたマイクロ流路デバイスであって、前記ナノ粒子原料溶液と前記ナノ粒子形成促進液を混合するように設計され、前記ナノ粒子原料溶液と前記ナノ粒子形成促進液の導入口と、形成された生理活性成分を内包するナノ粒子の懸濁液を排出する導出口とを備えたマイクロ流路デバイス;
(6)前記マイクロ流路デバイスの導出口から排出されたナノ粒子の懸濁液の少なくとも一部を回収するための分岐チューブおよびピンチバルブ;
(7)前記分岐チューブから回収された液体を収容するための容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物、医薬組成物の製造方法および医薬組成物の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品やワクチン成分を、脂質やポリマーなどを構成成分とするナノ粒子に内包する方法は以前から試みられている。内包化により内包成分の分解抑制、徐放化、特定臓器や細胞への送達効率促進などが期待される。
【0003】
一例として核酸をナノ粒子に内包したワクチン製剤が注目されている。例えば抗原遺伝子の転写産物であるmRNAを脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticles;以下、LNPと略すこともある)で包んだmRNA-LNPワクチンが臨床でも使われている。mRNAなどの核酸を内包したLNPワクチン(核酸LNPワクチン)は、例えば、「脂質を水混和性有機溶媒で溶かした溶液(ナノ粒子原料溶液)」と「核酸を溶かした水溶液(ナノ粒子形成促進液)」の2つを混合し、「脂質溶液を水で希釈することによる脂質分子自己集合化(ナノ粒子化)」と「形成されたナノ粒子内へのワクチン成分内包化」を促進させることで調製することができる。
【0004】
「ナノ粒子原料溶液」と「ナノ粒子形成促進液」を混合する形でのナノ粒子製剤調製は、脂質粒子以外にポリマー粒子でも実施されている。例えば非特許文献1によれば両親媒性ポリマーと疎水性薬剤を水混和性有機溶媒で溶解した溶液(ナノ粒子原料溶液)と水(ナノ粒子形成促進液)を混合することで、当該薬剤を内包したポリマーナノミセル粒子を調製する方法が開示されている。
【0005】
2液の混合方法としては、例えば特許文献1にあるようなT字配管を用いた連続送液混合や、オリフィスからナノ粒子原料溶液を水中に噴出させる方法(特許文献2)の他に、マイクロ流路デバイスと呼ばれる流路幅や深さが通常1~1000マイクロメートルの流路構造体で迅速混合する方法が知られている(特許文献3)。マイクロ流路デバイスを使用することでナノ粒子を少量から調製可能となり、かつ微小空間で混合状態の再現性が良好なことからナノ粒子製剤の製造再現性向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-253088号公報
【特許文献2】国際公開第2002/036257号
【特許文献3】国際公開第2013/059922号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Adv Mater. 2012 Feb 7; 24(6): 733-739.
【非特許文献2】PLoS ONE 12(11): e0187962
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、脂質ナノ粒子製剤においては、製造過程で使用されるエタノールなどの水混和性有機溶媒は除去され、水混和性有機溶媒濃度を検出限度未満にした上で、冷蔵または冷凍もしくは凍結乾燥して輸送・使用されている。このため、保管や輸送の費用がかさみ、また、医薬品としてのハンドリングが煩雑であるため問題となっていた。
【0009】
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、輸送利便性や保管利便性に優れ、さらに医薬品としてのハンドリングが容易な脂質ナノ粒子製剤(医薬組成物)を提供することを目的として検討を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の具体的な態様の例を以下に示す。
[1]生理活性成分を内包するナノ粒子と、水混和性有機溶媒とを含有する医薬組成物。
[2]生理活性成分がワクチン成分である、[1]に記載の医薬組成物。
[3]ワクチン成分が核酸である、[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[4]核酸がmRNAまたはmRNA化学修飾物である、[3]に記載の医薬組成物。
[5]ナノ粒子が脂質ナノ粒子である、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]水混和性有機溶媒がエタノールである、[1]~[5]のいずれかに記載の医薬組成物。
[7]医薬組成物が、ワクチン接種用組成物であり、
ワクチン接種用組成物に含まれるエタノール量が接種1回分あたり50mg以下である、[6]に記載の医薬組成物。
[8]医薬組成物に含まれるエタノールの濃度が1~25体積%である、[6]に記載の医薬組成物。
[9]医薬組成物に含まれるエタノールの濃度が9~18体積%である、[6]に記載の医薬組成物。
[10][1]~[9]のいずれかに記載の医薬組成物の製造方法であって、以下の工程を含む製造方法;
(1)水混和性有機溶媒を含むナノ粒子原料溶液が充填された第1のシリンジと、ナノ粒子形成促進液が充填された第2のシリンジを接続し、ナノ粒子原料溶液と、ナノ粒子形成促進液を混合しつつ、マイクロ流路デバイスに送液する工程(但し、ナノ粒子原料溶液およびナノ粒子形成促進液から選択される少なくとも一方が生理活性成分を含有する);
(2)マイクロ流路デバイスを通過することで形成された、生理活性成分を内包するナノ粒子の懸濁液を回収する工程。
[11][1]~[9]のいずれかに記載の医薬組成物の製造装置であって、少なくとも以下の構成を含む製造装置;
(1)水混和性有機溶媒を含むナノ粒子原料溶液が充填される第1のシリンジ及びピストン;
(2)ナノ粒子形成促進液が充填される第2のシリンジ及びピストン(但し、ナノ粒子原料溶液およびナノ粒子形成促進液から選択される少なくとも一方が生理活性成分を含有する);
(3)第1のシリンジおよび第2のシリンジの押し子;
(4)第1のシリンジおよび第2のシリンジに充填された充填液を送液チューブに送り込むための押し子の駆動部;
(5)第1のシリンジおよび第2のシリンジの下流に接続されたマイクロ流路デバイスであって、ナノ粒子原料溶液とナノ粒子形成促進液を混合するように設計され、ナノ粒子原料溶液とナノ粒子形成促進液の導入口と、形成された生理活性成分を内包するナノ粒子の懸濁液を排出する導出口とを備えたマイクロ流路デバイス;
(6)マイクロ流路デバイスの導出口から排出されたナノ粒子の懸濁液の少なくとも一部を回収するための分岐チューブおよびピンチバルブ;
(7)分岐チューブから回収された液体を収容するための容器。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生理活性成分を内包するナノ粒子を含む医薬組成物であって、輸送利便性や保管利便性に優れ、かつハンドリングが容易な医薬組成物を得ることができる。また、本発明の製造装置や製造方法を用いれば、ナノ粒子を含む医薬品のオンサイト調製が可能となるため、輸送利便性や保管利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】マウス大腿部に筋肉注射したFluc mRNA-LNPについてIVISによる発光イメージングを行い発光量を定量した結果である。
図2】オンサイト調製用の装置の要部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
[医薬組成物]
本実施形態は、生理活性成分を内包するナノ粒子と、水混和性有機溶媒とを含有する医薬組成物に関する。本実施形態の医薬組成物は、水混和性有機溶媒を含有しており、液体状の医薬組成物である。なお、本明細書において、生理活性成分とは、生命現象に微量で関与し影響を与える成分であり、治療薬成分やワクチン成分などが挙げられる。
【0015】
本実施形態の医薬組成物は、生理活性成分を内包するナノ粒子を有効成分として含む。本実施形態の医薬組成物は、ヒトの疾病の診断、治療若しくは予防に用いることができる。本実施形態の医薬組成物には、診断、治療若しくは予防に効果がある生理活性成分を内包するナノ粒子のほかに安定剤、賦形剤等の添加物、および製造過程で残存する不純物、溶媒等が含まれてもよい。
【0016】
本実施形態の医薬組成物は、ワクチン接種用組成物であることが好ましい。ワクチン接種用組成物は、注射剤や経口剤であってよく、経皮投与剤であってもよい。経皮投与剤としては、シート状物の表面に本実施形態の医薬組成物を含む層を設けたものが例示される。また、このようなシート状物は、皮膚面貼付側にマイクロニードルを有しており、マイクロニードルが皮膚に微細孔を開けることで医薬組成物を投与してもよい。
【0017】
本実施形態の医薬組成物は、生理活性成分を内包するナノ粒子と、水混和性有機溶媒とを含有するため、冷蔵または冷凍での輸送や使用が必要なく、輸送利便性や保管利便性に優れており、かつ使用時のハンドリング性にも優れている。
【0018】
従来、生理活性成分を内包するナノ粒子懸濁液の調製方法が報告されている。このようなナノ粒子懸濁液においては、ナノ粒子懸濁液の中にエタノールなどの水混和性有機溶媒が高濃度で残存した場合、粒子が不安定状態となり、ひいては粒子間の融合や凝集を引き起こすものと考えられていた。このため、製造過程で使用されるエタノールなどの水混和性有機溶媒は除去され、水混和性有機溶媒濃度を検出限度未満にした上で、冷蔵または冷凍もしくは凍結乾燥して輸送・使用されていた。
【0019】
例えば、生理活性成分を内包するナノ粒子懸濁液を遠方の製剤工場ではなく、病院または調剤薬局等で少量調製(オンサイト調製)し短期間のうちに使用する場合においては、冷蔵または冷凍条件下の輸送が不要となる。また、mRNAなどの医薬組成物原料は乾燥状態であれば一般に安定であるため、医薬組成物原料を乾燥粉末などの安定状態で流通させて現地にて無菌的に溶解し、混合装置を用いて脂質ナノ粒子などを調製できれば上記課題は解決可能である。本発明はこのような課題を解決した医薬組成物であり、病院または調剤薬局等で少量調製(オンサイト調製)することが可能な医薬組成物を提供するものである。
【0020】
なお、人体に影響が無いと考えられる水混和性有機溶媒の投与量に関しては、エタノールを例に取ると、以下のとおりである。エタノールは「医薬品の残留溶媒ガイドライン」においてクラス3「低毒性」に分類されており、PDE値(医薬品中に残留する溶媒の1日あたりに摂取が許容される最大量)は50mgに設定されている。すなわち、ワクチンの場合を例にとると、1日に1回0.3mL接種として接種液(ワクチン用組成物)のエタノール濃度は50mg/0.3mL(166mg/mL)までガイドライン上では許容できることになっている。エタノールの比重を約0.79とした場合では0.063mL/0.3mL(0.21mL/mL=21%(v/v))である。しかし一方で、ワクチンとしての効果も有するエタノール等の残存水混和性有機溶媒の許容量については明らかになっていない。本発明は、ワクチンとしての効果を発揮する残存水混和性有機溶媒の許容量についても検討を行い、その知見を提供するものでもある。
【0021】
また、生理活性成分を内包するナノ粒子懸濁液を製造するための混合装置についても、臨床用の医薬組成物を製造する従来のものは、大量生産が前提となっており連続送液が可能な大型装置となっていることから上述したオンサイト調製には適していない。このように、病院または調剤薬局等で少量調製(オンサイト調製)し、短期間のうちに使用する医薬組成物の製造装置は実用化されていない。本発明は、生理活性成分を内包するナノ粒子懸濁液を製造するための製造装置であって、オンサイト調製に用いることができる製造装置および製造装置を提供するものでもある。
【0022】
[生理活性成分]
本実施形態における生理活性成分は、例えば、傷病に対して治療効果がある成分(ワクチン成分を除く)である。治療薬成分としてはその作用機序や投与方法に応じて低分子化合物、中分子化合物、高分子化合物、タンパク質、核酸、細胞、天然由来抽出物などから選択される。
【0023】
また、本実施形態においては、生理活性成分はワクチン成分であることが好ましい。ワクチン成分は、感染症や悪性新生物の予防・治療に効果があるものであり、当該感染症や悪性新生物に対する免疫を獲得または増強する作用機序を有する成分である。生理活性成分には、免疫を惹起する効果を奏する成分のほかにワクチン効果を上昇させる免疫賦活剤(アジュバンド)が更に含まれていてもよい。ワクチン成分としては、特定の病原体に対する免疫を惹起する天然由来の抗原(全部又は一部)、抗原(全部又は一部)を失活させた物、抗原の全部又は一部を模倣した人工物、又は生体内で抗原又は抗原模倣物を発生させる物などから選択される。生体内で抗原又は抗原模倣物を発生させるものとしては抗原遺伝子を含む核酸(DNAまたはその化学修飾物、抗原遺伝子の転写物であるmRNAまたはその化学修飾物など)が挙げられるがこれらに限定されない。中でも、核酸は、mRNAまたはmRNA化学修飾物であることが好ましい。本明細書におけるDNAやRNAの化学修飾は、分解抑制や炎症抑制などの目的でそれぞれの機能を失わない範囲で施される。
【0024】
[ナノ粒子]
ナノ粒子は、直径がナノスケールの粒子である。ナノ粒子の構成分子は脂質、ポリマー、金属等から選択される。なお、ナノ粒子形成促進液が希釈液であり、ナノ粒子原料溶液が当該希釈液によって希釈されることでナノ粒子形成する場合、ナノ粒子構成分子としては両親媒性の分子が使用されることが好ましい。
【0025】
ナノ粒子の粒径は特に限定されるものではないが、例えば、平均粒径が20~200nmであることが好ましい。平均粒径が上記範囲内であれば、生体内におけるナノ粒子の動態やフィルター滅菌可能な点などから好ましい。また、平均粒径が上記範囲内であれば、医薬品用途として好ましく用いられる。
【0026】
[脂質ナノ粒子]
ナノ粒子の構成成分は脂質であることが好ましく、ナノ粒子は脂質ナノ粒子であることが好ましい。脂質ナノ粒子の構造は内水相を有する脂質膜粒子(リポソーム)や固体コアを内包する脂質膜粒子、アモルファス状の脂質凝集体などが例示されるがこれらに限定されず、またこれらの混合物であってもよい。
【0027】
脂質ナノ粒子の構成分子である脂質の種類は限定されないが室温付近において水混和性有機溶媒に易溶の両親媒性脂質であることが好ましい。
【0028】
[ポリマーナノ粒子]
ナノ粒子の構成成分がポリマーである場合、ナノ粒子はポリマーナノ粒子である。粒子の構造は粒子内部までポリマーが充填されているものや内部にリポソームのような内水相を有するものが例示されるがこれらに限定されず、またこれらの混合物であってもよい
【0029】
ポリマーナノ粒子の構成分子であるポリマーの種類は限定されないが室温付近において水混和性有機溶媒に易溶の両親媒性ポリマーが本発明の実施には好適である。
【0030】
[水混和性有機溶媒]
本実施形態の医薬組成物は、水混和性有機溶媒を含む。水混和性有機溶媒は、水と混和可能な有機溶媒である。水混和性有機溶媒は室温付近において脂質を溶解可能であり且つヒトに対して毒性が低い水混和性有機溶媒であることが好ましい。このような溶媒の一例としてエタノールが挙げられる。
【0031】
医薬組成物に含まれる水混和性有機溶媒の濃度については、生理活性成分を内包したナノ粒子の活性ないし安定性が失われない濃度であり、且つ生体への影響が医学的見地から許容範囲である濃度の中で上限および下限が規定される。例えば、医薬組成物が、ワクチン接種用組成物である場合、水混和性有機溶媒としてエタノールを例に取ると、ワクチン接種用組成物に含まれるエタノール量が接種1回分あたり50mg以下であることが好ましい。より具体的には、1日の接種ないし投与量を0.3mLと固定した場合、0.3mLの医薬組成物中に含まれるエタノールの含有量は、50mg以下であることが好ましい。
【0032】
一方でナノ粒子の安定性に注目した場合、医薬組成物に含まれるエタノールの濃度は、25体積%(v/v)以下であることが好ましく、21体積%(v/v)以下であることがより好ましく、18体積%(v/v)以下であることがさらに好ましい。また、医薬組成物に含まれるエタノールの濃度の下限値は特に制限されるものではないが、1体積%(v/v)以上であってもよく、3体積%(v/v)以上であってもよく、5体積%(v/v)以上であってもよく、9体積%(v/v)以上であってもよい。なお、非特許文献2によれば脂質ナノ粒子の一種であるリポソーム(内部が水で満たされた脂質ナノ粒子)の形成はエタノール濃度が60~80体積%(v/v)の時に進行しエタノール濃度が60体積%(47mg/mL)を切ると脂質ナノ粒子が安定に存在するとされている。この場合、前述のガイドラインに照らし、60体積%(v/v)のエタノールを含有する医薬組成物であっても約1mL以下の接種ないし投与量であれば医学的見地からも許容されると考えられる。
【0033】
本実施形態において生理活性成分が核酸である場合、核酸などを内包した脂質ナノ粒子を製造する際、内包液として、脂質のエタノール溶液と核酸水溶液を1:5~1:2の比率で混合するため、エタノール終濃度は約17~33体積%(v/v)となる。より一般的には脂質のエタノール溶液と核酸水溶液を1:3で混合することが好ましいため、この場合のエタノール終濃度は25体積%(v/v)となる。例えば終濃度25体積%(v/v)(約200mg/mL)の場合は前述のガイドラインに照らし1日あたり約0.25mLまでの接種ないし投与であれば医学的見地からも許容されると考えられる。
【0034】
[医薬組成物の製造方法]
本実施形態は、以下の工程を含む医薬組成物の製造方法に関する。
(1)水混和性有機溶媒を含むナノ粒子原料溶液が充填された第1のシリンジと、ナノ粒子形成促進液が充填された第2のシリンジを接続し、ナノ粒子原料溶液と、ナノ粒子形成促進液を混合しつつ、マイクロ流路デバイスに送液する工程(但し、ナノ粒子原料溶液およびナノ粒子形成促進液から選択される少なくとも一方が生理活性成分を含有する)。
(2)マイクロ流路デバイスを通過することで形成された、生理活性成分を内包するナノ粒子の懸濁液を回収する工程。
【0035】
[マイクロ流路デバイス]
本実施形態の医薬組成物の製造方法では、第1のシリンジから送液されるナノ粒子原料溶液と、第2のシリンジから送液されるナノ粒子形成促進液は、マイクロ流路デバイスで混合される。ここで、マイクロ流路デバイスは、2以上の導入口、合流部、液体混合部(合流部を兼ねる場合もある)、1以上の導出口、およびそれらを連結する流路部を備えるデバイスである。流路部分は一般に1~1000マイクロメートルの流路幅および深さであるが、幅又は深さのどちらかが1000マイクロメートルを超えるものもマイクロ流路デバイスと呼ばれる場合がある。液体混合部は障壁等がない一定幅および深さの流路であるものの他、混合を促進するために流路表面に凹凸を有するもの、流路が分岐しているもの、流路が立体交差しているものなどが例示されるがこれらに限定されない。マイクロ流路デバイスとしては、例えば、国際公開第2018/190423号に記載のマイクロ流路デバイスを用いることができる。
【0036】
[無菌的]
第1のシリンジから送液されるナノ粒子原料溶液と、第2のシリンジから送液されるナノ粒子形成促進液は、それぞれ無菌的な処理をされたものであることが好ましい。そして、これらの溶液は無菌的条件で混合される。すなわち、上述したマイクロ流路デバイスは無菌的マイクロ流路デバイスであることが好ましい。また、本実施形態の医薬組成物は無菌的な液体状の医薬組成物であることが好ましい。
【0037】
本明細書において、無菌的とは微生物およびウイルスが存在しないか極めて少ない(その量が生体内に投与されても影響を及ぼさない)状態、またはそれらが死滅または失活している状態を指す。微生物について無菌的な状態を判定する方法としては、被験物が液状のものはそのままを、固体のものは溶解するか固体表面を洗浄した液を、それぞれ適宜希釈して、得られた被験液を適切な培地に接種又は播種し、所定時間後の微生物増殖有無を確認する方法などが挙げられる。ウイルスの場合は宿主細胞又は微生物を含む培地に、上記方法により調製した被験液を接種又は播種し、所定時間後のウイルス増殖有無を確認する方法などが挙げられる。無菌的な状態にする方法としては乾熱滅菌、高圧蒸気滅菌、ガス滅菌、プラズマ滅菌、放射線・電子線滅菌、濾過滅菌、洗浄などが挙げられる。
【0038】
[医薬組成物の製造装置]
本実施形態は、少なくとも以下の構成を含む製造装置に関する。
(1)水混和性有機溶媒を含むナノ粒子原料溶液が充填される第1のシリンジ及びピストン。
(2)ナノ粒子形成促進液が充填される第2のシリンジ及びピストン(但し、ナノ粒子原料溶液およびナノ粒子形成促進液から選択される少なくとも一方が生理活性成分を含有する)。
(3)第1のシリンジおよび第2のシリンジの押し子。
(4)第1のシリンジおよび第2のシリンジに充填された充填液を送液チューブに送り込むための押し子の駆動部。なお、駆動部は、押し子の駆動速度を制御するための機構を備えていてもよい。
(5)第1のシリンジおよび第2のシリンジの下流に接続されたマイクロ流路デバイスであって、ナノ粒子原料溶液とナノ粒子形成促進液を混合するように設計され、ナノ粒子原料溶液とナノ粒子形成促進液の導入口と、形成された生理活性成分を内包するナノ粒子の懸濁液を排出する導出口とを備えたマイクロ流路デバイス。
(6)マイクロ流路デバイスの導出口から排出されたナノ粒子の懸濁液の少なくとも一部を回収するための分岐チューブおよびピンチバルブ。
(7)分岐チューブから回収された液体を収容するための容器。
【0039】
本実施形態の医薬組成物の製造装置は2本のシリンジを備え、これらのシリンジは、マイクロ流路デバイスと直接またはチューブを介して接続可能である。直接接続する場合はマイクロ流路デバイスの導入口の形状をテーパー状(めす)に加工しテーパー状(おす)になっているシリンジ先端を挿入する方法などが採用できる。接続にチューブを用いる場合はマイクロ流路デバイス導入口にPDMS製のポートを接着し、ポートに接続可能な樹脂製継手を介してチューブと接続してもよい。ポートの接着方法は粘着剤による接着のほか、流路デバイス素材がガラスやPDMSであればプラズマ照射による表面活性化を介して接着も可能である。
【0040】
マイクロ流路デバイス排出口とチューブの接続も同様である。排出口から先のチューブは二股に分かれており更にピンチバルブが備えられている。送液開始直後は流れが安定せず粗大ナノ粒子が形成する恐れがあるため、送液開始直後の排出液は廃棄することが望ましい。従って送液開始時点では廃液側が解放となるようにピンチバルブを設定する。その後、任意時間後にピンチバルブを駆動して排出液を回収側に導く。ピンチバルブは手動で切り替えても良いし、制御部を介して自動で切り替えても良い。ピンチバルブを使用することで製剤調製ごとの当該バルブ区間の洗浄操作が不要となり、製剤調製終了後はチューブを入れ替えるだけでよい。ピンチバルブ区間を通過した脂質ナノ粒子を含む排出液は回収ボトルに回収される。回収ボトルは注射筒で代用してもよい。
【0041】
本実施形態の製造装置においては、原料液が触れる器具類は全て滅菌処理した使い捨て器具が用いられることが好ましい。例えば、製造装置で使用するシリンジ、チューブ、マイクロ流路デバイス、継手、回収ボトル等は全て滅菌処理した使い捨て器具であることが好ましい。これらは、調製1回ごとに取り替えが可能なため外来の微生物やウイルス、ほこり等が混入する恐れがなく、また臨床用製剤の製造においては都度の送液ライン洗浄およびその洗浄度確認(バリデーション)も不要となる。このように、滅菌処理した使い捨て器具が用いられることにより、オンサイト調製が可能となり、ヒトに投与する前提で無菌的に調製操作することができる。例えば、本実施形態の製造装置では、滅菌処理した使い捨てシリンジのピストンを押し子で押すシリンジポンプ式の送液機構を有し、同様に滅菌処理した原料混合用のマイクロ流路デバイスがその下流側に配置され、これらを滅菌処理したチューブで接続した構成を有している。更にマイクロ流路デバイスから排出されたナノ粒子の懸濁液が外気に触れずに滅菌容器に回収される構成も有している。
【0042】
本実施形態の製造装置は、廃液と回収液を分けるためのピンチコック式バルブを有してもよい。ピンチコック式バルブを使用することで、バルブ部分で接液する部品(チューブ)の使い捨てが可能となりバルブの都度洗浄が不要となる。オンライン調製では医薬品製造工場等で実施されている高度な器具洗浄および洗浄度確認を実施することが困難であるため、液体が触れる全ての部品が滅菌容易かつ使い捨て可能であることは極めて重要である。
【実施例0043】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0044】
実施例1 in vivo試験用Fluc mRNA-LNPの調製
ルシフェラーゼ遺伝子FLucをコードしたmRNAの5moU修飾物(ウリジンを5-メトキシウリジンに置換したもの)を脂質ナノ粒子に内包し、当該脂質ナノ粒子およびエタノールを含有する液体組成物を調製した。
mRNAはTriLink社のCleanCap FLuc mRNA (5moU)を使用し、これを10mM 酢酸バッファー(pH5.0)でmRNA濃度500ug/mLとなるように溶解した。一方、4種類の脂質(ALC―0315,DSPC,Cholesterol,ALC-0159)をエタノールで総脂質濃度約50mMとなるように溶解した。この時、各脂質のモル比がALC-315/DSPC/Cholesterol/ALC-0159=46.3/9.4/42.7/1.6となるようにした。
上述のmRNA溶液と脂質溶液をマイクロ流路デバイスで混合してmRNA内包脂質ナノ粒子を形成した。マイクロ流路デバイスは国際公開第2018/190423号に記載のものを使用し、流量比はmRNA溶液:脂質溶液=3:1、総流量は0.5mL/minとした。
得られた脂質ナノ粒子懸濁液は3つに分け(それぞれ被験薬番号1~3番とする)、5重量%のスクロースを含むダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS(-)、pH7.4)を外液として透析を行った。その後、3番についてはエタノールを終濃度18体積%(v/v)となるように加えた。また2番については3番の半分の濃度である9体積%(v/v)となるようにエタノールを加えた(すなわち被験薬1から3の順にエタノール濃度が高くなるように付番した。)
調製したFluc mRNA-LNP被験薬1~3は、冷蔵保存で16日後でも粒径分布およびmRNA内包率に変化はなかった。
【0045】
実施例2 エタノール残存核酸LNPワクチンのin vivo評価
本実施形態の医薬組成物に含まれる脂質ナノ粒子に内包される生理活性成分がmRNAからなるワクチン成分だった場合に、当該医薬組成物中の残存エタノールがワクチンとしての効果に影響を及ぼすか否かを確認するために、マウスを用いた抗原発現能力の評価を行った。脂質ナノ粒子に内包されているmRNAは動物に接種後、細胞内で翻訳されることにより、mRNAにコードされたタンパク質(抗原)が生体内で産生されることが知られている。
実施例1で調製した各Fluc mRNA-LNPの0.05mL(mRNA投与量として0.01mg/マウス)をICRマウス(7週齢、メス、各3匹)の片側後肢大腿部に単回筋肉内注射で接種し、1日後、3日後、1週間後、2週間後にVivoGlo Luciferin(Promega)を150mg/kg/10mLで腹腔内投与しルシフェラーゼの発現量を発光量として定量した。接種したmRNAがもし適切に翻訳されルシフェラーゼが発現している場合は、ルシフェリンがルシフェラーゼの触媒作用により酸化され発光する。この光をIVIS imaging system(パーキンエルマー)で検出した。もしサンプルに含まれるエタノールがタンパク質の産生に影響を及ぼす場合は、エタノールなしの被験薬1と比較して被験薬2、3ではルシフェラーゼ発現量に増減がみられるはずである。結果は図1に示したように被験薬1~3の全てで同等の発光を示し、残存エタノールはワクチンとしての効果に顕著に影響を及ぼさないことが示された。なお全ての被験薬においてマウスの一般所見と体重変化に異常はみられなかった。
【0046】
実施例3 製造装置
本実施形態の医薬組成物の製造装置の一例として図2に示す装置を試作した。当該装置は2本のシリンジ(1)(2)を備え、これらのシリンジは、マイクロ流路デバイス(3)と直接またはチューブを介して接続可能である(図2では直接接続されている)。
マイクロ流路デバイス排出口(5)とチューブの接続も同様であり、排出口から先のチューブは二股に分かれており更にピンチバルブ(6)(7)が備えられている。送液開始直後は流れが安定せず粗大ナノ粒子が形成する恐れがあるため、送液開始直後の排出液は廃棄する。従って送液開始時点では廃液側が解放となるようにピンチバルブを設定する。その後、任意時間後にピンチバルブを駆動して排出液を回収側に導く。ピンチバルブは手動で切り替えても良いし、制御部を介して自動で切り替えても良い。ピンチバルブを使用することで製剤調製ごとの当該バルブ区間の洗浄操作が不要となり、製剤調製終了後はチューブを入れ替えるだけでよい。ピンチバルブ区間を通過した脂質ナノ粒子を含む排出液は回収ボトル(8)に回収される。回収ボトルは図2に示すように注射筒で代用してもよい。この装置で使用するシリンジ、チューブ、マイクロ流路デバイス、継手、回収ボトル等は全て滅菌済みのものが使用でき、かつ調製1回ごとに取り替えが可能なため(図2のグレー色掛け部分は使い捨て可能な部材とできる)外来の微生物やウイルス、ほこり等が混入する恐れがなく、また臨床用製剤の製造においては都度の送液ライン洗浄およびその洗浄度確認(バリデーション)も不要となる。
【0047】
なお、実施例3に記載の製造装置を用いることで、次の工程からなる粒子調整が可能となった。
(1)水混和性有機溶媒を含むナノ粒子原料溶液が充填された第1のシリンジと、ナノ粒子形成促進液が充填された第2のシリンジを接続し、ナノ粒子原料溶液と、ナノ粒子形成促進液を混合しつつ、マイクロ流路デバイスに送液する工程(但し、ナノ粒子原料溶液およびナノ粒子形成促進液から選択される少なくとも一方が生理活性成分を含有する)。
(2)マイクロ流路デバイスを通過することで形成された、生理活性成分を内包するナノ粒子の懸濁液を回収する工程。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に記載の医薬組成物、製法方法および製造装置を使用することで、ナノ粒子を含む医薬品のオンサイト調製が可能となり、輸送利便性や保管利便性が格段に向上する。これにより、生理活性成分を内包するナノ粒子の医薬品の接種、投与が容易となる。
【符号の説明】
【0049】
1 シリンジ及びピストン
2 シリンジ及びピストン
3 マイクロ流路デバイス
4 マイクロ流路デバイス導入口
5 マイクロ流路デバイス排出口
6 ピンチバルブ
7 ピンチバルブ
8 回収ボトル
9 押し子
図1
図2