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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011919
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20240118BHJP
   C25D 5/56 20060101ALI20240118BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H05K3/18 Z
C25D5/56 Z
H05K3/46 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114269
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門脇 雄治
【テーマコード(参考)】
4K024
5E316
5E343
【Fターム(参考)】
4K024AA09
4K024AB15
4K024AB17
4K024BA12
4K024BB11
4K024DA07
4K024GA16
5E316AA12
5E316BB02
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC32
5E316CC60
5E316DD02
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE33
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG28
5E316HH26
5E343AA16
5E343AA17
5E343BB24
5E343DD25
5E343DD33
5E343DD43
5E343ER02
5E343ER60
5E343GG08
(57)【要約】
【課題】配線基板の品質向上。
【解決手段】一実施形態の配線基板の製造方法は、樹脂及びフィラーを含有する絶縁層10にシード層12を形成すること、シード層12上にパターンめっき層(例えば配線パターン層14)形成すること、エットエッチング又はドライエッチングのうち、一方のエッチングによりパターンめっき層から露出するシード層12の厚みを薄くすること、ウエットエッチング又はドライエッチングのうち、シード層12の厚みを薄くするエッチングとは異なるエッチングによりパターンめっき層から露出し、厚みが薄くなったシード層12を除去すること、を有する。
【選択図】図1E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂及びフィラーを含有する絶縁層上に、シード層を形成することと、
前記シード層上に、パターンめっき層を形成することと、
ウエットエッチング又はドライエッチングのうち、一方のエッチングにより、前記パターンめっき層から露出する前記シード層の厚みを薄くすることと、
ウエットエッチング又はドライエッチングのうち、前記シード層の厚みを薄くするエッチングとは異なるエッチングにより、前記パターンめっき層から露出し、厚みが薄くなった前記シード層を除去することと、
を有する配線基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板の製造方法において、
前記シード層の厚みを薄くするエッチングは、ドライエッチングであり、
前記シード層を除去するエッチングは、ウエットエッチングである。
【請求項3】
請求項2に記載の配線基板の製造方法において、前記シード層の厚みを薄くするドライエッチングは、前記シード層の厚さが50~95%の厚さとなるまで実施する。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板の製造方法において、前記絶縁層に対する前記フィラーの含有量が、55~80質量%である。
【請求項5】
請求項1に記載の配線基板の製造方法において、
前記ドライエッチングは、パターンめっき層上に、マスクを配置した状態で実施する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文獻1には、「無電解めっきにてめっき下地導電層を形成した後レジストパターンを形成し、めっき下地導電層を給電層にして電解銅めっきを行い、ビア及び導体層を形成し、レジストパターンを除去し、レジストパターン下部にあっためっき下地導電層をエッチングで除去し、配線層を形成するプリント配線板の製造方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-251894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、上記文献を含め、Semi Additive Process法を利用して、絶縁層上に、パターンめっき層を形成することが知られている。
Semi Additive Process法では、絶縁層上に、電解めっきにより、パターンめっき層を形成するため、絶縁層上に給電層として機能するシード層を設ける。このシード層は、パターンめっき層の形成後、ウエットエッチングにより除去される。
【0005】
一方、絶縁層は、樹脂及びフィラーを含む。そのため、絶縁層の表面には、樹脂とフィラーとの微小間隙が存在しており、シード層の金属が微小間隙に潜り込む。
シード層除去のとき、絶縁層の表面の微小間隙に潜り込んだシード層の金属が残渣として残ると、スパークショートの原因となる。
【0006】
シード層のウエットエッチング量を上昇させれば、シード層の残渣の除去率(以下、シード層の残渣除去性」とも称する)が上昇する。しかし、ウエットエッチングは、等方性のエッチングであり、パターンめっき層の幅減少量も大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配線基板の製造方法は、樹脂及びフィラーを含有する絶縁層上に、シード層を形成することと、前記シード層上に、パターンめっき層を形成することと、ウエットエッチング又はドライエッチングのうち、一方のエッチングにより、前記パターンめっき層から露出する前記シード層の厚みを薄くすることと、ウエットエッチング又はドライエッチングのうち、前記シード層の厚みを薄くするエッチングとは異なるエッチングにより、前記パターンめっき層から露出し、厚みが薄くなった前記シード層を除去することと、を有する。
【0008】
本開示の実施形態によれば、配線基板の製造方法において、パターンめっき層の幅減少を抑えつつ、シード層の残渣除去性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、本開示の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。
図1B図1Bは、本開示の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。
図1C図1Cは、本開示の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。
図1D図1Dは、本開示の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。
図1E図1Eは、本開示の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態の配線基板の製造方法の一例を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。
本開示の実施形態の配線基板の製造方法の一例は、次の通り、Semi Additive Process法を利用し、パターンめっき層として配線パターン層の形成を有する製造方法である。
【0011】
図1Aに示すように、まず、樹脂及びフィラーを含有する絶縁層10上に、シード層12が形成される。
具体的には、例えば、樹脂及びフィラーを含有する樹脂フィルムを下層上に積層した後、加熱及び加圧して、絶縁層10が形成される。
次に、例えば、無電解めっき、スパッタリング等により、絶縁層10上に、銅膜、ニッケル膜等からなるシード層12が形成される。
【0012】
ここで、絶縁層10において、樹脂は、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、フェノール樹脂等が例示される。
フィラーは、シリカ、アルミナ、ムライト等の無機フィラーが例示される。
絶縁層10に対するフィラーの含有量は、伝送ロス低減強化の観点から、55~80質量%がよい。
【0013】
なお、絶縁層10は、例えば、層間絶縁層として機能する層である。
また、シード層12は、例えば、パターンめっき層として、配線パターン層14を形成するための給電層として機能する層である。
【0014】
次に、図1Bに示すように、シード層12上に、パターンめっき層として、配線パターン層14が形成される。
具体的には、例えば、まず、シード層12上に、配線パターン層14の形成位置に対応する開口を有するレジスト(図示ぜず)が形成される。そして、例えば、シード層12を給電層とし、銅等の金属を電解めっきによって析出させ、レジストの開口内に配線パターン層14が形成される。
【0015】
次に、図1Cに示すように、メタルマスク16を用いて、ドライエッチングにより、配線パターン層14から露出するシード層12の厚みを薄くする。
具体的には、例えば、配線パターン層16上に、メタルマスク16を配置した状態で、ドライエッチングを実施し、配線パターン層14から露出するシード層12の厚みを薄くする。
ドライエッチングは、例えば、SF、CF、CHF等のガスによるプラズマ処理により実施する。
【0016】
ドライエッチングは、例えば、シード層12の厚さが50~95%の厚さ(好ましくは60~70%)となるまで実施する。それにより、ドライエッチングによるエッチング時間の増加を抑えつつ、後述するウエットエッチングによるエッチング時間の短縮化が実現できる。
【0017】
次に、図1Eに示すように、ウエットエッチングにより、配線パターン層14から露出する厚みが薄くなったシード層12を除去する。
具体的には、例えば、硫酸-過酸化水素系等のエッチング液を用い、20~40℃の温度で、スプレーにて上記エッチング液を噴出して、ウエットエッチングを実施する。
【0018】
以上の工程を経て、絶縁層10上に、シード層12と配線パターン層14からなる配線パターンが形成される。
【0019】
本開示の実施形態の配線基板の製造方法によれば、ドライエッチングによりシード層12の厚みを薄くした後、ウエットエッチングによりシード層12を除去する。それにより、ウエットエッチングのエッチング時間(つまり、シード層12の除去時間)の短縮化が図られる。そのため、配線パターン層14の幅減少の増加を抑えつつ、絶縁層10表面の微小間隙間に入り込んだ金属を十分除去するウエットエッチングのエッチング時間を確保できる。その結果、シード層12の残渣除去性を改善しつつ、配線パターン層14の幅減少量を抑制できる。つまり、シード層12の残渣除去性を改善しつつ、シード層12と配線パターン層14からなる配線層の線幅減少を抑制できる。
【0020】
特に、近年、伝送ロス低減強化のため、絶縁層10中のフィラー含有量が上昇している。そのため、絶縁層10の表面の微小間隙の量も増え、シード層の金属が残渣として残り易い。つまり、シード層12の残渣除去性を改善するには、配線パターン層14の幅減少量が更に増える。
具体的には、例えば、絶縁層10中のフィラーの含有量を40質量%以上にすると、絶縁層10表面の微小間隙量が増え、シード層12の金属が残渣として残り易い。
しかし、絶縁層10におけるフィラーの含有量を多くしても、ドライエッチング及びウエットエッチングにより、シード層12を除去することで、配線パターン層14の幅減少を抑えつつ、シード層12の残渣除去性を改善できる。
【0021】
本開示の実施形態の配線基板の製造方法では、絶縁層10上に、シード層12及び配線パターン層14からなる配線層が形成される態様を説明した。シード層12及びパターンめっき層の形成は、絶縁層10に設けた貫通孔の側壁及び底部へのシード層12の形成と、スルーホールとしての貫通孔に埋め込む接続導体の形成と、パターンめっき層として、接続導体及び絶縁層上への導体パッドの形成も含む。本態様では、シード層14の残渣除去性を改善しつつ、導体パッドの幅減少も抑えられる。
【0022】
本開示の実施形態の配線基板の製造方法では、配線パターン層14から露出するシード層12の厚みを薄くするエッチングにドライエッチングを適用し、配線パターン層14から露出し、厚みが薄くなったシード層12を除去するエッチングにウエットエッチングを適用した態様を説明した。
本開示の実施形態の配線基板の製造方法は、配線パターン層14から露出するシード層12の厚みを薄くするエッチングにウエットエッチングを適用し、配線パターン層14から露出し、厚みが薄くなったシード層12を除去するエッチングにドライエッチングを適用してもよい。
具体的には、ウエットエッチングによりシード層12の厚みを薄くした後、ドライエッチングによりシード層12を除去してもよい。それにより、ウエットエッチングのエッチング時間(つまり、シード層12の除去時間)の短縮化が図られる。そのため、配線パターン層14の幅減少の増加を抑えつつ、絶縁層10表面の微小間隙間に入り込んだ金属をドライエッチングにより除去できる。その結果、シード層12の残渣除去性を改善しつつ、配線パターン層14の幅減少量を抑制できる。つまり、シード層12の残渣除去性を改善しつつ、シード層12と配線パターン層14からなる配線層の線幅減少を抑制できる。
【0023】
ここで、配線パターン層14から露出するシード層12の厚みを薄くするウエットエッチングは、例えば、シード層の厚さが5~50%の厚さとなるまで実施することがよい。それにより、ドライエッチングによるエッチング時間の増加を抑えつつ、ウエットエッチングによるエッチング時間の短縮化が実現できる。
【0024】
本開示の実施形態の配線基板の製造方法は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。
本開示の実施形態の配線基板の製造方法は、前述された各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述された工程のうちの一部が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0025】
10 絶縁層
12 シード層
14 配線パターン層
16 メタルマスク
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E