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特開2024-119191信号処理装置、音波システム、及び車両
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  • 特開-信号処理装置、音波システム、及び車両 図1
  • 特開-信号処理装置、音波システム、及び車両 図2
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  • 特開-信号処理装置、音波システム、及び車両 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119191
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】信号処理装置、音波システム、及び車両
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/537 20060101AFI20240827BHJP
   G01S 7/526 20060101ALI20240827BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20240827BHJP
【FI】
G01S7/537
G01S7/526 K
G01S15/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025917
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 尚吾
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB12
5J083AC17
5J083AC29
5J083AD04
5J083AE01
5J083AE06
5J083AE08
5J083AF05
5J083BA01
5J083BE25
5J083CA01
5J083CB01
(57)【要約】
【課題】他のシステムから送波された音波(他波)に起因して反射波を誤検知することを簡単な処理で抑制するができる信号処理装置を提供する。
【解決手段】信号処理装置(1A)は、音波の送波のための送波信号を生成するように構成された送波信号生成部(161)と、音波の受波に基づく受波信号を出力するように構成された受波信号出力部(13~15)と、前記受波信号に基づいて、前記受波に含まれ得る前記送波の反射波を検知するように構成される反射波検知部(162~167)と、を備える。前記反射波検知部は、前記受波信号のうち、距離減衰換算値以上に設定される上限レベルを超える部分を、前記反射波の検知対象外とする、又は、前記上限レベルに補正するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波の送波のための送波信号を生成するように構成された送波信号生成部と、
音波の受波に基づく受波信号を出力するように構成された受波信号出力部と、
前記受波信号に基づいて、前記受波に含まれ得る前記送波の反射波を検知するように構成される反射波検知部と、
を備え、
前記反射波検知部は、前記受波信号のうち、距離減衰換算値以上に設定される上限レベルを超える部分を、前記反射波の検知対象外とする、又は、前記上限レベルに補正するように構成されている、信号処理装置。
【請求項2】
前記上限レベルは前記距離減衰換算値より大きくなるように設定可能であり、
前記反射波検知部は、前記上限レベルを超える部分を、前記反射波の検知対象外とする、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記上限レベルは前記距離減衰換算値自体であり、
前記反射波検知部は、
前記受波信号の前記上限レベルを超える各ピーク値が前記距離減衰換算値と一致するように前記受波信号を補正するように構成された補正部と、
前記送波信号の周波数設定に応じた周波数特性を有し、前記補正部によって補正された前記受波信号を受け取るように構成されたバンドパスフィルタと、
を備える、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記受波信号の前記上限レベルを超える各ピーク値及び前記上限レベルに満たない各ピーク値が前記距離減衰換算値と一致するように前記受波信号を補正するように構成されている、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の信号処理装置と、
前記信号処理装置に直接的又は間接的に接続されるように構成される音波送受信装置と、を備える、音波システム。
【請求項6】
請求項5に記載の音波システムを備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、音波の送波のための送波信号と音波の受波に基づく受波信号とを処理する信号処理装置、当該信号処理装置を備える音波システム、及び当該音波システムを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を発生させて障害物からの反射波が返ってくるまでの時間TOF(Time Of Flight)を計測することにより障害物までの距離を測定する超音波システムが知られている。このような超音波システムは車両に搭載されることが多く、一例として車載用クリアランスソナーが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/004609号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載されている超音波システムは、受波すると予想される波形データ(参照データ)を用意し、当該参照データと実際に受波した受信信号との相関に基づき反射波を検知する。この反射波の検知手法によって、特許文献1に記載されている超音波システムは、自己の超音波システムから送波した超音波に基づく反射波(自波)を受波したか、他の超音波システムから送波された超音波(他波)を受波したかを区別できる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている超音波システムで採用されている反射波の検知手法を実現するための処理は複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されている信号処理装置は、音波の送波のための送波信号を生成するように構成された送波信号生成部と、音波の受波に基づく受波信号を出力するように構成された受波信号出力部と、前記受波信号に基づいて、前記受波に含まれ得る前記送波の反射波を検知するように構成される反射波検知部と、を備える。前記反射波検知部は、前記受波信号のうち、距離減衰換算値以上に設定される上限レベルを超える部分を、前記反射波の検知対象外とする、又は、前記上限レベルに補正するように構成されている。
【0007】
本明細書中に開示されている音波システムは、上記構成の信号処理装置と、前記信号処理装置に直接的又は間接的に接続されるように構成される音波送受信装置と、を備える構成である。
【0008】
本明細書中に開示されている車両は、上記構成の音波システムを備える構成である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書中に開示されている信号処理装置、音波システム、及び車両によれば、他のシステムから送波された音波(他波)に起因して反射波を誤検知することを簡単な処理で抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る超音波システムが搭載された車両と対象物とを模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る超音波システムの構成を示す図である。
図3図3は、エンベロープ部の出力信号の振幅値、距離減衰換算値、下限閾値、及び上限閾値の一例を示す図である。
図4図4は、第2実施形態に係る超音波システムの構成を示す図である。
図5図5は、補正部による補正が無かったと仮定した場合におけるエンベロープ部の出力信号の振幅値、距離減衰換算値、及び下限閾値の一例を示す図である。
図6図6は、エンベロープ部の出力信号の振幅値、距離減衰換算値、及び下限閾値の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する第1実施形態に係る超音波システム及び第2実施形態に係る超音波システムそれぞれは、一例として車両に搭載することを想定しており、車両と対象物との間の距離を測定することによる警報機能、自動ブレーキ機能および自動駐車機能等に利用できる。
【0012】
以下の説明では、第1実施形態に係る超音波システム及び第2実施形態に係る超音波システムをまとめて実施形態に係る超音波システムと称する場合がある。
【0013】
図1は、実施形態に係る超音波システム100を搭載した車両200と、対象物(障害物)300とを示す模式図である。実施形態に係る超音波システム100から送波された超音波は、対象物300で反射して反射波として実施形態に係る超音波システム100により受波される。このとき、超音波システム100は、環境ノイズNの受波も行う。環境ノイズNは、他の超音波システムから送波された超音波(他波)を含む。
【0014】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態に係る超音波システム100A(以下、「超音波システム100A」と称す)の構成を示す図である。
【0015】
超音波システム100Aは、信号処理装置1Aと、トランスTrと、コンデンサC1及びC2と、超音波送受信装置2と、を備える。超音波送受信装置2は、信号処理装置1に対してトランスTrとコンデンサC1及びC2とを介して外付けに接続される。なお、トランスTrとコンデンサC1及びC2とは、必ずしも設けなくてもよい。
【0016】
信号処理装置1Aは、半導体集積回路装置である。信号処理装置1Aは、DAC(Digital to Analog Converter)11と、ドライバ12と、LNA(Low Noise Amplifier)13と、PGA(Programmable Gain Amplifier)14と、ADC(Analog to Digital Converter)15と、デジタル処理部16と、外部端子T1~T5と、を備える。
【0017】
DAC11は、デジタル処理部16に含まれる送波信号生成部161から出力される送波信号をデジタル信号からアナログ信号へD/A変換し、D/A変換後の信号をドライバ12に出力する。
【0018】
ドライバ12の差動対の出力端は、外部端子T1及びT2を介してトランスTrの1次側に接続される。トランスTrの2次側には超音波送受信装置2が接続される。ドライバ12は、DAC11の出力信号に基づき超音波送受信装置2を駆動する。
【0019】
超音波送受信装置2は、不図示の圧電素子を有し、超音波の送波および受波を行う。すなわち、超音波送受信装置2は、音源としても受信部としても機能する。超音波送受信装置2は、送波および受波で共通の圧電素子を有する構成であってもよく、送波専用の圧電素子と受波専用の圧電素子とを有する構成であってもよい。
【0020】
LNA13の差動対の入力端は、外部端子T3及びT4とコンデンサC1及びC2とを介してトランスTrの2次側に接続される。LNA13は、外部端子T3及びT4から受け取った差動信号を増幅するとともにシングルエンドの信号に変換してPGA14に出力する。PGA14は、LNA13から受け取った信号を増幅してADC15に出力する。ADC15は、PGA14の出力信号をアナログ信号からデジタル信号へA/D変換し、A/D変換後の信号をBPF162に出力する。
【0021】
LNA13、PGA14、及びADC15は、超音波の受波に基づく受波信号を出力するように構成される受波信号出力部の一例である。
【0022】
デジタル処理部16は、送波信号生成部161と、BPF(Band Pass Filter)162と、ABS(Absolute value処理部)163と、エンベロープ部164と、下限閾値判定部165と、上限閾値判定部166と、TOF計測部167と、インタフェース168と、を備える。
【0023】
送波信号生成部161は、超音波の送波のための送波信号を生成するように構成される。より詳細には、送波信号生成部161は、車両200(図1参照)に搭載される不図示のECU(Electronic Control Unit)からインタフェース168を介して送波命令を受けると、所定の波数を含む送波信号を生成し、当該送波信号をDAC11に出力する。
【0024】
BPF162は、ADC15の出力信号に対して、所定の周波数帯域のみを通過させ、当該所定の周波数帯域以外の周波数帯域は減衰させる。BPF162は、前記送波信号の周波数設定に応じた周波数特性を有する。例えば、当該所定の周波数帯域は、送波信号の周波数帯域と一致するように設定される。環境ノイズNの周波数帯域は送波信号の周波数帯域と一致しない蓋然性が高いため、基本的にはBPF162によって環境ノイズNを取り除くことができる。
【0025】
ABS163は、BPF162の正負に揺れる出力信号に対して、絶対値処理を行う。すなわち、ABS163は、BPF162の負の出力信号に対して反転処理を行って正の信号に変換する。
【0026】
エンベロープ部164は、ABS163の出力信号を包絡線検出した信号を出力する。
【0027】
下限閾値判定部165は、エンベロープ部164の出力信号と下限閾値とを比較する。下限閾値判定部165は、エンベロープ部164の出力信号が下限閾値より大きくなったときに対象物300での反射による反射波を検知する。
【0028】
上限閾値判定部166は、エンベロープ部164の出力信号と上限閾値とを比較する。上限閾値判定部166は、エンベロープ部164の出力信号が上限閾値より大きくなったときに、下限閾値判定部165での反射波の検知が無効であることをTOF計測部167に通知する。これにより、受波信号のうち、エンベロープ部164の出力信号が上限閾値より大きくなる部分は、反射波の検知対象外になる。
【0029】
上限閾値は、下限閾値より大きい値であって、距離減衰換算値以上に設定される上限レベルである。距離減衰換算値は、以下のように導出することができる。
【0030】
超音波送受信装置2から距離d0離れた基準地点に標準形状(例えば所定の直径及び高さを有する円柱形状)の障害物が設置され、当該障害物による反射での受波信号の振幅がA(d0)で表される場合、超音波送受信装置2から距離d1離れた地点に位置する障害物による反射での受波信号の振幅A(d1)は下記の式で表される。
A(d1)=A(d0)/(d1/d0)
【0031】
ここで、距離d0を1[m]にすると、振幅A(d1)は下記の式で表され、この振幅A(d1)が距離減衰換算値になる。
A(d1)=A(1[m])×(d1
【0032】
そして、上限閾値TH2は、下記の式で表される。
TH2=a×A(1[m])×(d1)+b
【0033】
定数a、定数bの少なくとも一つを調整可能とすることで、上限閾値TH2を距離減衰換算値より大きくなるように設定することができる。上限閾値TH2を距離減衰換算値より大きくすることで、対象物(障害物)300が壁などであって反射係数が大きい場合であっても反射波の検出漏れが発生しなくなる。
【0034】
図3は、エンベロープ部164の出力信号S0の振幅値、距離減衰換算値V1、下限閾値TH1、及び上限閾値TH2の一例を示す図である。図3の横軸は送波からの経過時間を示し、図3の縦軸はエンベロープ部164の出力信号S0の振幅値、距離減衰換算値、下限閾値、及び上限値を示している。図3に示されているエンベロープ部164の出力信号S0のピークPK1及びピークPK2においては、下限閾値TH1より大きく、上限閾値TH2以下であるため、反射波が検知される。一方、図3に示されているエンベロープ部164の出力信号S0のピークPK3においては、上限閾値TH2より大きいため、反射波の検知対象外となる。このように、信号処理装置1Aは、他のシステムから送波された音圧の大きい音波(他波)に起因して反射波を誤検知することを抑制することができる。
【0035】
TOF計測部167は、カウンタ167Aを用いて、超音波を送波してから対象物300での反射による反射波を受波するまでの時間(TOF)を計測する。
【0036】
BPF162、ABS163、エンベロープ部164、下限閾値判定部165、上限閾値判定部166、及びTOF計測部167は、受波信号に基づいて、受波に含まれ得る送波の反射波を検知するように構成される反射波検知部の一例である。
【0037】
インタフェース168は、一例としてLIN(Local Interconnect Network)に準拠し、外部端子T5を介して車両200(図1参照)に搭載される不図示のECUとの間で通信を行う。
【0038】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る超音波システム100B(以下、「超音波システム100B」と称す)の構成を示す図である。第2実施形態において、第1実施形態と同様である部分については適宜説明を省略する。
【0039】
超音波システム100Bは、信号処理装置1Bと、トランスTrと、コンデンサC1及びC2と、超音波送受信装置2と、を備える。
【0040】
信号処理装置1Bと第1実施形態で用いられる信号処理装置1Aとは、デジタル処理部16の内部構成が異なる。
【0041】
信号処理装置1Bのデジタル処理部16は、送波信号生成部161と、補正部169と、BPF162と、ABS163と、エンベロープ部164と、下限閾値判定部165と、TOF計測部167と、インタフェース168と、を備える。
【0042】
補正部169は、受波信号(ADC15の出力信号)のうち、送波前に予め測定されたノイズフロアよりも振幅の大きい信号に対してのみピーク検出を行い、距離減衰換算値を超える各ピークの絶対値及び距離減衰換算値に満たない各ピークの絶対値が距離減衰換算値と一致するように受波信号を補正する。図5は、補正部169による補正が無かったと仮定した場合におけるエンベロープ部164の出力信号S1の振幅値、距離減衰換算値V1、及び下限閾値TH1の一例を示す図である。図6は、エンベロープ部164の出力信号S2の振幅値、距離減衰換算値V1、及び下限閾値TH1の一例を示す図である。図5及び図6の横軸は送波からの経過時間を示し、図5及び図6の縦軸は受波信号の振幅値、距離減衰換算値、及び下限閾値を示している。
【0043】
BPF162は、補正部169の出力信号に対して、所定の周波数帯域のみを通過させ、当該所定の周波数帯域以外の周波数帯域は減衰させる。BPF162は、前記送波信号の周波数設定に応じた周波数特性を有する。例えば、当該所定の周波数帯域は、送波信号の周波数帯域と一致するように設定される。環境ノイズNの周波数帯域は送波信号の周波数帯域と一致しない蓋然性が高いため、基本的にはBPF162によって環境ノイズNを取り除くことができる。
【0044】
環境ノイズNの音圧が大きい場合、受波信号の環境ノイズNに対応する部分がたとえBPF162によって減衰されたとしても減衰が十分でないことが懸念される。しかしながら、信号処理装置1Bによると、受波信号の距離減衰換算値を超える各ピーク値が距離減衰換算値と一致するように受波信号が補正されるので、このような懸念は払拭される。つまり、信号処理装置1Bは、他のシステムから送波された音圧の大きい音波(他波)に起因して反射波を誤検知することを抑制することができる。
【0045】
一方、反射波の音圧が小さい場合、受波信号の反射波に対応する部分がたとえBPF162を通過したとしても受波信号の反射波に対応する部分が下限閾値以下になってしまい反射波の検出漏れが発生することが懸念される。しかしながら、信号処理装置1Bによると、受波信号の距離減衰換算値に満たない各ピーク値が距離減衰換算値と一致するように受波信号が補正されるので、このような懸念は払拭される。つまり、信号処理装置1Bは、反射波の検出漏れを抑制することができる。
【0046】
ABS163は、BPF162の出力信号に対して、絶対値処理を行う。すなわち、ABS163は、BPF162の負の出力信号に対して反転処理を行って正の信号に変換する。
【0047】
エンベロープ部164は、ABS163の出力信号を包絡線検出した信号を出力する。
【0048】
下限閾値判定部165は、エンベロープ部164の出力信号と下限閾値とを比較する。下限閾値判定部165は、エンベロープ部164の出力信号が下限閾値より大きくなったときに対象物300での反射による反射波を検知する。
【0049】
TOF計測部167は、カウンタ167Aを用いて、超音波を送波してから対象物300での反射による反射波を受波するまでの時間(TOF)を計測する。
【0050】
<その他>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0051】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、超音波(可聴音を超える高い振動数の音波)を送波する超音波システム100について説明したが、超音波以外の音波を送波する音波システムに対しても本発明を適用することができる。
【0052】
上記第2実施形態では、受波信号の距離減衰換算値を超える各ピーク値及び距離減衰換算値に満たない各ピーク値が距離減衰換算値と一致するように受波信号が補正されたが、受波信号の距離減衰換算値を超える各ピーク値のみが距離減衰換算値と一致するように受波信号が補正されてもよい。
【0053】
<付記>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0054】
本開示の信号処理装置(1A、1B)は、音波の送波のための送波信号を生成するように構成された送波信号生成部(161)と、音波の受波に基づく受波信号を出力するように構成された受波信号出力部(13~15)と、前記受波信号に基づいて、前記受波に含まれ得る前記送波の反射波を検知するように構成される反射波検知部(162~1667、169)と、を備え、前記反射波検知部は、前記受波信号のうち、距離減衰換算値以上に設定される上限レベルを超える部分を、前記反射波の検知対象外とする、又は、前記上限レベルに補正するように構成されている構成(第1の構成)である。
【0055】
上記第1の構成の信号処理装置において、前記上限レベルは前記距離減衰換算値より大きくなるように設定可能であり、前記反射波検知部は、前記上限レベルを超える部分を、前記反射波の検知対象外とする構成(第2の構成)であってもよい。
【0056】
上記第1の構成の信号処理装置において、前記上限レベルは前記距離減衰換算値自体であり、前記反射波検知部は、前記受波信号の前記上限レベルを超える各ピーク値が前記距離減衰換算値と一致するように前記受波信号を補正するように構成された補正部(169)と、前記送波信号の周波数設定に応じた周波数特性を有し、前記補正部によって補正された前記受波信号を受け取るように構成されたバンドパスフィルタ(162)と、を備える構成(第3の構成)であってもよい。
【0057】
上記第3の構成の信号処理装置において、前記補正部は、前記受波信号の前記上限レベルを超える各ピーク値及び前記上限レベルに満たない各ピーク値が前記距離減衰換算値と一致するように前記受波信号を補正するように構成されている構成(第4の構成)であってもよい。
【0058】
本開示の音波システム(100A、100B)は、上記第1~第4いずれかの構成の信号処理装置と、前記信号処理装置に直接的又は間接的に接続されるように構成される音波送受信装置(2)と、を備える構成(第5の構成)である。
【0059】
本開示の車両(200)は、上記第5の構成の音波システムを備える構成(第6の構成)である。
【符号の説明】
【0060】
1A、1B 信号処理装置
2 超音波送受信装置
11 DAC
12 ドライバ
13 LNA
14 PGA
15 ADC
16 デジタル処理部
161 送波信号生成部
162 BPF
163 ABS
164 エンベロープ部
165 下限閾値判定部
166 上限閾値判定部
167 TOF計測部
167A カウンタ
168 インタフェース
169 補正部
100 実施形態に係る超音波システム
100A 第1実施形態に係る超音波システム
100B 第1実施形態に係る超音波システム
200 車両
300 対象物(障害物)
C1、C2 コンデンサ
T1~T5 外部端子
Tr トランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6