特開 2024-119192 エアバッグ装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024119192

(43)【公開日】2024-09-03

(54)【発明の名称】エアバッグ装置

(51)【国際特許分類】

   B60R 21/203 20060101AFI20240827BHJP

   B60R 21/2334 20110101ALI20240827BHJP

【ＦＩ】

B60R21/203

B60R21/2334

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023025918

(22)【出願日】2023-02-22

(71)【出願人】

【識別番号】000229955

【氏名又は名称】日本プラスト株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100083806

【弁理士】

【氏名又は名称】三好 秀和

(74)【代理人】

【識別番号】100111235

【弁理士】

【氏名又は名称】原 裕子

(74)【代理人】

【識別番号】100170575

【弁理士】

【氏名又は名称】森 太士

(72)【発明者】

【氏名】河面 宅実

(72)【発明者】

【氏名】植松 みどり

【テーマコード（参考）】

3D054

【Ｆターム（参考）】

3D054AA02

3D054AA07

3D054AA13

3D054BB01

3D054CC04

3D054CC09

3D054DD07

3D054FF13

3D054FF16

(57)【要約】

【課題】エアバッグ本体の大型化を抑制し、エアバッグ本体の移動を規制することができるエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】車両のステアリングホイールＳに折り畳まれた状態で配置され、ガスの流入により膨張して車両の乗員を保護するエアバッグ本体３を備えたエアバッグ装置１において、エアバッグ本体３が、外周縁部１５より内側に配置され筒状に形成された内側筒状部２７と、内側筒状部２７の一方の開口縁に接合され少なくとも開口の一部を覆う被覆部２１とを有し、内側筒状部２７に、エアバッグ本体３が展開されたときに、ステアリングホイールＳを収容し、被覆部２１を、内側筒状部２７にステアリングホイールＳが収容された状態で、ステアリングホイールＳの乗員側と当接可能に配置した。
【選択図】図１２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

車両のステアリングホイールに折り畳まれた状態で配置され、ガスの流入により膨張して車両の乗員を保護するエアバッグ本体を備え、
前記エアバッグ本体は、外周縁部より内側に配置され筒状に形成された内側筒状部と、前記内側筒状部の一方の開口縁に接合され少なくとも開口の一部を覆う被覆部とを有し、
前記内側筒状部には、前記エアバッグ本体が展開されたときに、前記ステアリングホイールが収容され、
前記被覆部は、前記内側筒状部に前記ステアリングホイールが収容された状態で、前記ステアリングホイールの乗員側と当接可能に配置されるエアバッグ装置。

【請求項2】

前記エアバッグ本体は、外周縁部に配置され周方向に連続する筒状に形成された外側筒状部を有する請求項１に記載のエアバッグ装置。

【請求項3】

前記内側筒状部と前記被覆部とのうち少なくとも一方は、前記エアバッグ本体の内部において、前記エアバッグ本体の外周縁部側と連結部を介して連結されている請求項１又は２に記載のエアバッグ装置。

【請求項4】

前記連結部は、複数設けられている請求項３に記載のエアバッグ装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、エアバッグ装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、車両のステアリングホイールに折り畳まれた状態で配置され、ガスの流入により膨張して車両の乗員を保護するエアバッグ本体を備えたものが知られている（特許文献１参照）。このエアバッグ装置では、エアバッグ本体が、膨張した状態において、ステアリングホイールを覆い、外周縁がステアリングホイールの前方側に配置されるように、ステアリングホイールよりも大きく形成されている。

【0003】

このようなエアバッグ装置では、エアバッグ本体が膨張したとき、エアバッグ本体のステアリングホイール側が、ステアリングホイールの全体を覆うように当接される。また、エアバッグ本体のステアリングホイールの前方側に配置される部分は、ステアリングホイールとの係合代が増大し、車両のフロントガラスや内装パネルに当接される。このため、ステアリングホイールの把持部が環状でない場合であっても、膨張したエアバッグ本体の移動を規制することができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００６－２９８１１９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら、上記特許文献１のようなエアバッグ装置では、エアバッグ本体を、膨張して展開されたときに、ステアリングホイールの前方側に配置させるために、既存のエアバッグ本体よりも大型化する必要がある。エアバッグ本体を大型化すると、当接させる予定のない車両に配置された周辺部材と干渉するなど、レイアウト上の制限を受ける可能性がある。

【0006】

本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、エアバッグ本体の大型化を抑制し、エアバッグ本体の移動を規制することができるエアバッグ装置を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本実施形態に係るエアバッグ装置は、車両のステアリングホイールに折り畳まれた状態で配置され、ガスの流入により膨張して車両の乗員を保護するエアバッグ本体を備え、前記エアバッグ本体は、外周縁部より内側に配置され周方向に連続する筒状に形成された内側筒状部と、前記内側筒状部の一方の開口縁に接合され少なくとも開口の一部を覆う被覆部とを有し、前記内側筒状部には、前記エアバッグ本体が展開されたときに、前記ステアリングホイールが収容され、前記被覆部は、前記内側筒状部に前記ステアリングホイールが収容された状態で、前記ステアリングホイールの乗員側と当接可能に配置される。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、エアバッグ本体の大型化を抑制し、エアバッグ本体の移動を規制することができるエアバッグ装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の正面図である。

【図2】図１のＩＩ－ＩＩ断面図である。

【図3】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の側面図である。

【図4】図３のＩＶ－ＩＶ断面図である。

【図5】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の乗員側基布の正面図である。

【図6】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の車体側基布の正面図である。

【図7】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の中間基布の正面図である。

【図8】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の中間基布の他例を示す正面図である。

【図9】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の中間基布の他例を示す正面図である。

【図10】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の内側帯の正面図である。

【図11】本実施形態に係るエアバッグ装置のエアバッグ本体の外側帯の正面図である。

【図12】本実施形態に係るエアバッグ装置の断面図である。

【図13】本実施形態に係るエアバッグ装置に乗員が拘束されたときの断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、図面を用いて本実施形態に係るエアバッグ装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。

【0011】

図１３に示すように、本実施形態に係るエアバッグ装置１は、例えば、車両に搭載されたステアリングホイールＳに配置される。エアバッグ装置１は、エアバッグ本体３が、ステアリングホイールＳに折り畳まれた状態で収納されている。エアバッグ本体３は、車両が衝突したときに、内部にガスが流入されて膨張して展開することにより、車両の衝突による衝撃から乗員Ｃを保護する。

【0012】

図１～図１３に示すように、エアバッグ装置１は、インフレータ（不図示）と、エアバッグ本体３とを備えている。

【0013】

インフレータは、ステアリングホイールＳに配置され、エアバッグ本体３の内部にガス（膨張ガス）を導入する装置である。インフレータは、例えば、点火器やガス発生剤などを備えている。インフレータは、車両に搭載された電子制御ユニット（不図示）が車両の衝突などを検知、或いは予測したときに発信する電気信号に基づいて点火器がガス発生剤を燃焼させることにより、エアバッグ本体３の内部に、急速にガスを導入させる。

【0014】

図１～図１３に示すように、エアバッグ本体３は、乗員側基布５と、車体側基布７と、中間基布９と、内側帯１１と、外側帯１３とを備えている。エアバッグ本体３は、乗員側基布５と車体側基布７と中間基布９と内側帯１１と外側帯１３とを、縫製、接着、溶着などによって接合することにより、袋状に形成される。

【0015】

図１３に示すように、乗員側基布５は、エアバッグ本体３において、乗員Ｃ側に配置される。図５，図１２に示すように、乗員側基布５は、外周縁部１５が、ステアリングホイールＳの外径より大きくなるように、円形状に形成されている。図１３に示すように、乗員側基布５は、エアバッグ本体３が展開された状態で、乗員Ｃの胸部（腹部）から頭部を拘束する。

【0016】

図１２，図１３に示すように、車体側基布７は、エアバッグ本体３において、ステアリングホイールＳ側に配置される。図６，図１２に示すように、車体側基布７は、外周縁部１５が、ステアリングホイールＳの外径より大きくなるように、乗員側基布５と同等の円形状に形成されている。車体側基布７の中央部には、ステアリングホイールＳの外径と同等、或いは僅かに大きく円形状に形成された車体開口１７が車体側基布７を貫通して設けられている。車体開口１７を設けることにより、車体側基布７は、周方向に連続する部分を有するように、環状に形成されている。図１２，図１３に示すように、車体側基布７は、エアバッグ本体３が展開された状態で、ステアリングホイールＳより車両の前方側に配置される。

【0017】

図２に示すように、中間基布９は、エアバッグ本体３の内部において、乗員側基布５と車体側基布７との間に配置される。図７に示すように、中間基布９は、外周縁部１５が、ステアリングホイールＳの外径より大きくなり、乗員側基布５及び車体側基布７の外周縁部１５より僅かに大きくなる円形状に形成されている。中間基布９の中央部には、車体側基布７の車体開口１７（図６参照）より小さく円形状に形成された中間開口１９が中間基布９を貫通して設けられている。中間開口１９には、インフレータからのガスをエアバッグ本体３の内部に導入させる注入管が配置される。なお、中間開口１９の開口縁をステアリングホイールＳ側に向けて筒状に延出させ、筒状部分をインフレータのガス噴出口に接続するようにしてもよい。

【0018】

中間基布９の中間開口１９の周囲は、周方向に連続して環状に形成された被覆部２１となっている。中間基布９の被覆部２１と外周縁部１５との間には、周方向に沿った長い台形状に形成された連通口２３が中間基布９を貫通して設けられている。連通口２３は、周方向に沿って複数設けられている。図１２に示すように、連通口２３は、中間開口１９からエアバッグ本体３の内部に導入されたガスを、車体側基布７側に向けて導入させる。図７に示すように、隣り合う連通口２３，２３の間は、外周縁部１５側と被覆部２１とを連結する連結部２５となっている。なお、中間基布９の連通口２３の形状は、図８に示すような周方向に沿った長い長方形状、図９に示すような円形状など、どのような形状であってもよい。

【0019】

図１０に示すように、内側帯１１は、ステアリングホイールＳの幅より広い幅を有し、ステアリングホイールＳの外径の周方向長さより長い長さを有するように設定されている。なお、内側帯１１の幅と長さは、ステアリングホイールＳのサイズに合わせて適宜設定すればよい。内側帯１１は、長さ方向の両端を、縫製、接着、溶着などによって接合することにより、筒状に形成される。筒状に形成された内側帯１１の径は、車体側基布７の車体開口１７（図６参照）の径と同等に設定されている。図２に示すように、筒状に形成された内側帯１１は、エアバッグ本体３の外周縁部１５より内側に配置された内側筒状部２７となっている。内側筒状部２７は、周方向に連続する筒状に形成されているので、エアバッグ本体３の内部にガスが導入されたときに、エアバッグ本体３の展開した形状を保持することができる。図１２，図１３に示すように、内側筒状部２７には、エアバッグ本体３が展開された状態で、ステアリングホイールＳが収容される。

【0020】

図２，図４に示すように、乗員Ｃ側に位置する内側筒状部２７の一方の開口縁は、中間基布９の被覆部２１の表面に対して、縫製、接着、溶着などによって接合される。内側筒状部２７の開口に接合された被覆部２１は、内側筒状部２７の開口を、外径から中間開口１９が位置する部分まで閉塞するように覆う。内側筒状部２７の開口縁に被覆部２１を接合させることにより、エアバッグ本体３が展開された状態で、内側筒状部２７の筒状形状を保持することができる。図１２に示すように、被覆部２１は、内側筒状部２７にステアリングホイールＳが収容された状態で、ステアリングホイールＳの乗員Ｃ側の面と当接可能に配置される。被覆部２１は、展開されたエアバッグ本体３が乗員Ｃを拘束したときに、ステアリングホイールＳの乗員Ｃ側の面に当接される。ステアリングホイールＳと被覆部２１との当接により、ステアリングホイールＳが内側筒状部２７に収容された状態を安定して保持することができる。

【0021】

図２に示すように、ステアリングホイールＳ側に位置する内側筒状部２７の他方の開口縁は、車体側基布７の車体開口１７の開口縁に対して、縫製、接着、溶着などによって接合される。このため、車体側基布７は、図１２に示すように、エアバッグ本体３が展開された状態で、内側筒状部２７にステアリングホイールＳが収容されると、ステアリングホイールＳより車両の前方側に配置される。車体側基布７は、エアバッグ本体３にガスを導入すると、連通口２３を通過したガスを受け、ステアリングホイールＳより車両の前方側に向けて展開される。このため、内側筒状部２７がステアリングホイールＳを覆うように効率的に展開され、内側筒状部２７にステアリングホイールＳを安定して収容することができる。

【0022】

図１１に示すように、外側帯１３は、内側帯１１と同等の幅を有し、乗員側基布５と車体側基布７の外周縁部１５の周方向長さと同等の長さを有するように設定されている。なお、外側帯１３の幅と長さは、展開されたエアバッグ本体３が配置される周辺部材のレイアウトに合わせて適宜設定すればよい。外側帯１３は、長さ方向の両端を、縫製、接着、溶着などによって接合することにより、筒状に形成される。筒状に形成された外側帯１３の径は、乗員側基布５と車体側基布７の外周縁部１５の径と同等に設定されている。図２に示すように、筒状に形成された外側帯１３は、エアバッグ本体３の外周縁部１５に配置された外側筒状部２９となっている。外側筒状部２９は、周方向に連続する筒状に形成されているので、エアバッグ本体３の内部にガスが導入されたときに、エアバッグ本体３の外周縁部１５の外方への張り出しを規制し、エアバッグ本体３の展開した形状を保持することができる。外側筒状部２９をエアバッグ本体３に設けることにより、エアバッグ本体３の外周縁部１５の配置位置を位置決めすることができる。このため、展開されたエアバッグ本体３と周辺部材との干渉を防止することができ、エアバッグ本体３を安定して展開することができる。

【0023】

図２に示すように、乗員Ｃ側に位置する外側筒状部２９の一方の開口縁は、乗員側基布５及び中間基布９の外周縁部１５に対して、縫製、接着、溶着などによって接合される。このため、エアバッグ本体３の内部には、図１２に示すように、乗員側基布５と中間基布９とで区画された乗員側空間３１が形成される。乗員側空間３１には、エアバッグ本体３の内部にガスを導入すると、中間基布９の中間開口１９からガスが導入される。乗員側空間３１に導入されたガスを、乗員側基布５が受けることにより、乗員側基布５が乗員Ｃ側に向けて展開される。

【0024】

図２に示すように、ステアリングホイールＳ側に位置する外側筒状部２９の他方の開口縁は、車体側基布７の外周縁部１５に対して、縫製、接着、溶着などによって接合される。このため、エアバッグ本体３の内部には、図１２に示すように、中間基布９と内側筒状部２７と車体側基布７と外側筒状部２９とで区画された車体側空間３３が形成される。車体側空間３３には、エアバッグ本体３の内部にガスを導入すると、乗員側空間３１のガスが中間基布９の連通口２３から導入される。車体側空間３３に導入されたガスを、車体側基布７が受けることにより、車体側基布７がステアリングホイールＳより車両の前方側に位置するように展開される。

【0025】

図２，図１２に示すように、中間基布９の内側筒状部２７と外側筒状部２９との間に位置し、乗員側空間３１と車体側空間３３とを区画する部分には、隣り合う連通口２３，２３の間に位置する連結部２５が設けられている。このため、エアバッグ本体３の内部にガスが導入されたときに、連結部２５によって、エアバッグ本体３の外方への張り出しを規制し、エアバッグ本体３の展開した形状を保持することができる。連結部２５をエアバッグ本体３に設けることにより、エアバッグ本体３の外周縁部１５の配置位置を位置決めすることができる。図７～図９に示すように、連結部２５は、中間基布９に連通口２３を設けることによって形成されているので、エアバッグ本体３の張り出しを規制する別部材の規制部材を用いる必要がない。加えて、中間基布９には、被覆部２１と連結部２５とが設けられているので、被覆部２１と連結部２５とを別部材とする必要がなく、部品点数を削減することができる。さらには、エアバッグ本体３に対する被覆部２１と連結部２５との形成作業を一括して行うことができ、エアバッグ本体３の形成作業性を向上することができる。

【0026】

このようなエアバッグ本体３は、折り畳まれた状態で、ステアリングホイールＳの収容部（不図示）に収容されて配置される。エアバッグ本体３は、車両が衝突すると、図１２に示すように、中間開口１９から乗員側空間３１にガスが導入され、連通口２３から車体側空間３３にガスが導入され、膨張して展開される。展開されたエアバッグ本体３は、内側筒状部２７にステアリングホイールＳが収容され、乗員側基布５が乗員Ｃ側に配置され、車体側基布７がステアリングホイールＳより車両の前方側に配置される。

【0027】

図１３に示すように、乗員側基布５が乗員Ｃを拘束すると、被覆部２１がステアリングホイールＳの乗員Ｃ側の面に押し付けられる。このとき、ステアリングホイールＳの把持部の上方部分がない場合には、エアバッグ本体３がステアリングホイールＳの上方側（車両の前方側）に向けて移動しようとする。このとき、ステアリングホイールＳは、内側筒状部２７に収容されているので、ステアリングホイールＳの下方部分に、内側筒状部２７の内面が係合される。ステアリングホイールＳと内側筒状部２７との係合により、エアバッグ本体３の移動を規制することができる。このため、ステアリングホイールＳと乗員Ｃとの間に、展開されたエアバッグ本体３を安定して保持することができる。

【0028】

このようにエアバッグ本体３に内側筒状部２７を設けることにより、エアバッグ本体３を大型化させなくても、エアバッグ本体３の移動を規制することができる。このため、エアバッグ本体３の大型化による周辺部材との干渉などのレイアウト上の制限を受けることがなく、エアバッグ本体３を安定して展開することができる。加えて、内側筒状部２７は、筒状に形成されているので、ステアリングホイールＳの周方向の全域に配置されている。このため、ステアリングホイールＳの把持部がどのような形状であっても、エアバッグ本体３の移動を規制することができる。加えて、エアバッグ本体３のあらゆる方向への移動を規制することができる。

【0029】

このようなエアバッグ装置１では、車両のステアリングホイールＳに折り畳まれた状態で配置され、ガスの流入により膨張して車両の乗員Ｃを保護するエアバッグ本体３を備えている。また、エアバッグ本体３は、外周縁部１５より内側に配置され筒状に形成された内側筒状部２７と、内側筒状部２７の一方の開口縁に接合され少なくとも開口の一部を覆う被覆部２１とを有する。さらに、内側筒状部２７には、エアバッグ本体３が展開されたときに、ステアリングホイールＳが収容される。そして、被覆部２１は、内側筒状部２７にステアリングホイールＳが収容された状態で、ステアリングホイールＳの乗員Ｃ側と当接可能に配置される。

【0030】

エアバッグ本体３が展開された状態では、ステアリングホイールＳが内側筒状部２７に収容されるので、ステアリングホイールＳの外径側の周方向の全域が筒状の内側筒状部２７に覆われた状態となる。また、被覆部２１は、内側筒状部２７にステアリングホイールＳが収容された状態で、ステアリングホイールＳの乗員Ｃ側と当接可能に配置されるので、ステアリングホイールＳが内側筒状部２７に収容された状態が保持される。このため、エアバッグ本体３が移動しようとしても、内側筒状部２７の内面とステアリングホイールＳとが係合し、エアバッグ本体３の移動を規制することができる。

【0031】

外周縁部１５より内側に位置する内側筒状部２７でエアバッグ本体３の移動を規制することができるので、エアバッグ本体３の外周縁部１５を大型化し、ステアリングホイールＳの車両の前方側に位置する部分を増大させる必要がない。このため、エアバッグ本体３が大型化することがなく、車両に配置された周辺部材と干渉するなど、レイアウト上の制限を受けることがなく、エアバッグ本体３を安定して展開することができる。

【0032】

従って、このようなエアバッグ装置１では、エアバッグ本体３の大型化を抑制し、エアバッグ本体３の移動を規制することができる。

【0033】

また、エアバッグ本体３は、外周縁部１５に配置され周方向に連続する筒状に形成された外側筒状部２９を有する。

【0034】

外側筒状部２９は、周方向に連続するので、エアバッグ本体３が展開されたときに、エアバッグ本体３の外周縁部１５の外方への張り出しを規制することができ、エアバッグ本体３の外周縁部１５の配置位置を位置決めすることができる。このため、周辺部材のレイアウトに合わせて、エアバッグ本体３を展開させることができ、エアバッグ装置１の車両への搭載性を向上することができる。

【0035】

さらに、内側筒状部２７と被覆部２１とのうち少なくとも一方は、エアバッグ本体３の内部において、エアバッグ本体３の外周縁部１５側と連結部２５を介して連結されている。

【0036】

このため、エアバッグ本体３が展開されたときに、連結部２５によって、エアバッグ本体３の外周縁部１５の配置位置を位置決めすることができる。

【0037】

また、連結部２５は、複数設けられている。

【0038】

このため、複数の連結部２５によって、エアバッグ本体３の外周縁部１５の配置位置を安定して位置決めすることができる。

【0039】

以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。

【0040】

例えば、本実施形態に係るエアバッグ装置では、被覆部に、エアバッグ本体の内部にガスを導入させる中間開口が設けられているが、これに限らず、エアバッグ本体の他の位置にガスを導入させる開口を設けてもよい。

【0041】

また、連結部は、連通口を形成することによって中間基布に設けられ、被覆部と外周縁部側とを連結しているが、これに限るものではない。例えば、内側筒状部の開口縁に接合される被覆部のみを独立して設け、被覆部と独立する連結部を、内側筒状部の外周と外周縁部側とを連結するように設けてもよい。

【0042】

さらに、内側筒状部は、円筒状に形成されているが、これに限らず、横長の長方形状の角筒状など、ステアリングホイールの形状に合わせて、内側筒状部の形状を設定すればよい。加えて、エアバッグ本体の外形形状も、乗員を安定して拘束可能な形状であれば、ステアリングホイールの形状に合わせて設定してもよい。

【符号の説明】

【0043】

１ エアバッグ装置
３ エアバッグ本体
１５ 外周縁部
２１ 被覆部
２５ 連結部
２７ 内側筒状部
２９ 外側筒状部
Ｃ 乗員
Ｓ ステアリングホイール

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】