(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119195
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】排ガス流路開閉装置、及び、熱交換器
(51)【国際特許分類】
F01N 5/02 20060101AFI20240827BHJP
F16K 1/22 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F01N5/02 B
F01N5/02 G
F16K1/22 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025926
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】内田 智幸
(72)【発明者】
【氏名】小池 恭平
(72)【発明者】
【氏名】我妻 隆志
【テーマコード(参考)】
3H052
【Fターム(参考)】
3H052AA02
3H052BA01
3H052CA01
3H052EA01
(57)【要約】
【課題】排気ガスの漏れを抑制できる技術を提供すること。
【解決手段】排ガス流路開閉装置(20)は、排気ガスが通過可能な第1流路(P1)が形成されている第1流路部(21)と、第1流路部(21)に設けられ第1流路(P1)を開閉可能なバルブユニット(30)と、を有している。バルブユニット(30)は、第1流路部(21)に支持され先端が第1流路(P1)に臨んでいる軸受部(40、50)と、軸受部(40、50)に回転可能に支持されている回転軸部(36)と、回転軸部(36)に固定され第1流路(P1)を開閉可能なバルブ本体(37)と、を有している。バルブ本体(37)は、軸受部(40、50)の端部から軸受部(40、50)の外周面までを覆い、第1流路(P1)の下流側への排気ガスの漏れを抑制する重ね部(37c)を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に排気ガスが通過可能な第1流路が形成されている第1流路部と、この第1流路部に設けられ前記第1流路を開閉可能なバルブユニットと、を有し、
前記バルブユニットは、前記第1流路部に支持され先端が前記第1流路に臨んでいる軸受部と、この軸受部に回転可能に支持されている回転軸部と、この回転軸部に固定され前記第1流路を開閉可能なバルブ本体と、を有し、
前記バルブ本体は、前記軸受部の端部から前記軸受部の外周面までを覆い、前記第1流路の下流側への排気ガスの漏れを抑制する重ね部を含むことを特徴とする排ガス流路開閉装置。
【請求項2】
前記軸受部の先端の外径は、前記第1流路部に支持されている部位の外径よりも小さい、請求項1に記載の排ガス流路開閉装置。
【請求項3】
前記第1流路が閉じられた際に排気ガスが通過する第2流路が形成されている第2流路部をさらに有し、
前記第2流路部は、前記軸受部が設けられている位置において前記第1流路部の外周に当接して設けられている、請求項1に記載の排ガス流路開閉装置。
【請求項4】
請求項3に記載の排ガス流路開閉装置と、前記第2流路部の外周に設けられているとともに内部に水が流れる水流路が形成され、前記第2流路を通過する排気ガスの熱によって前記水流路を流れる水を温めることが可能な水流路部と、を有している熱交換器。
【請求項5】
前記第2流路部は、排気ガスの流れる方向を基準として上流側に配置され、前記第2流路の一部を構成する筒体である第2上流側筒体と、この第2上流側筒体の下流側に配置され、前記第2流路の一部を構成する筒体である第2下流側筒体と、を有し、
前記水流路部は、前記第2上流側筒体、又は、前記第2下流側筒体のどちらかの外周を囲うように設けられ、
前記第2上流側筒体、前記第2下流側筒体、及び、前記水流路部は、1つの溶接ビードによって互いに接合されている、請求項4に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスの流路を開閉可能な排ガス流路開閉装置、及び、この排ガス流開閉装置を搭載した熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両にはエンジンの排気ガスによって冷却水を温めるために熱交換器が搭載されることがある。熱交換器には、流路の開閉を行うためのバルブが搭載されているものがある。このような排気ガスの流路を開閉するためのバルブに関する従来技術として特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、排ガス流路開閉装置は、内部に排気ガスが通過可能な流路が形成されている筒状の流路部と、この流路部に設けられ流路を開閉可能なバルブユニットと、を有している。
【0004】
バルブユニットは、流路部に支持され先端が流路に臨んでいる軸受部と、この軸受部に回転可能に支持されている回転軸部と、この回転軸部に固定され流路を開閉可能なバルブ本体と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高温の排気ガスが流れる排ガス流路開閉装置は、高温時に回転軸部が膨張した場合にも動作可能なように設計される。このため、回転軸部が膨張する前の状態においては軸受部の先端とバルブ本体との間の隙間が膨張時に比べて大きく、流路を閉じている際にはこの隙間から流路の下流側に排気ガスが漏れやすい。
【0007】
本発明は、排気ガスの漏れを抑制できる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、内部に排気ガスが通過可能な第1流路が形成されている第1流路部と、この第1流路部に設けられ前記第1流路を開閉可能なバルブユニットと、を有し、
前記バルブユニットは、前記第1流路部に支持され先端が前記第1流路に臨んでいる軸受部と、この軸受部に回転可能に支持されている回転軸部と、この回転軸部に固定され前記第1流路を開閉可能なバルブ本体と、を有し、
前記バルブ本体は、前記軸受部の端部から前記軸受部の外周面までを覆い、前記第1流路の下流側への排気ガスの漏れを抑制する重ね部を含むことを特徴とする排ガス流路開閉装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、排気ガスの漏れを抑制できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1に示された熱交換器の排気ガスの流れ方向に沿った断面図である。
【
図7】実施例2による熱交換器の要部断面図である。
【
図8】実施例3による熱交換器の要部断面図である。
【
図9】実施例4による熱交換器の要部断面図である。
【
図10】実施例5による熱交換器の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0012】
<実施例1>
図1を参照する。熱交換器10は、エンジンにおいて発生した排気ガスの熱によって冷却水を適温まで温めることができるものである。熱交換器10の内部には、排気ガスが通過可能な複数の流路が形成され、これらの流路は、排ガス流路開閉装置20によって切り替えることができる。流路を切り替えることにより、熱交換を行うモードと熱交換を行わないモードとを切り替えることができる。
【0013】
図2を参照する。熱交換器10は、エンジンにおいて発生した排気ガスが導入される排ガス導入部11と、排ガス導入部11から導入された排気ガスが通過可能な第1流路P1が形成されていると共にこの第1流路P1を開閉可能な排ガス流路開閉装置20と、この排ガス流路開閉装置20の外周に沿って設けられ内部に水を流すことが可能な水流路部14と、排ガス流路開閉装置20の内部に設けられ排気ガスと水との熱交換を促すための熱交換体15と、排ガス流路開閉装置20から下流に延び排気ガスが排出される排ガス排出部16と、を有する。
【0014】
排ガス流路開閉装置20は、略筒体状を呈し第1流路P1を構成する第1流路部21と、この第1流路P1が閉じられている際に排気ガスが通過する第2流路P2が形成されている第2流路部13と、第1流路部21に設けられ第1流路P1を開閉可能なバルブユニット30と、を有している。
【0015】
第1流路部21は、排気ガスの流れ方向に沿って設けられている。第1流路部21は、熱交換体15に挿入されている第1上流側筒体21aと、この第1上流側筒体21aの下流側端部に接合され略筒状体を呈する第1下流側筒体21bと、を有している。
【0016】
第2流路部13は、上流側の端部が排ガス導入部11に接合されている筒体状の第2上流側筒体13aと、この第2上流側筒体13aの下流側の端部に接合されている筒体状の第2下流側筒体13bと、を有している。
【0017】
図3を参照する。バルブユニット30は、第1下流側筒体21bの側面に設けられている軸受部40、50と、第2流路部13の側方に接合されているアクチュエータ支持部33と、このアクチュエータ支持部33によって支持され通電することにより作動するアクチュエータ34と、このアクチュエータ34の回転軸に接続されアクチュエータ34の動力を伝達可能な伝達部35と、この伝達部35に接続されていると共に軸受部40、50によって回転可能に支持されている回転軸部36と、この回転軸部36に固定され第1流路P1を開閉可能なバルブ本体37と、を有する。
【0018】
図2を参照する。バルブユニット30は、バルブ本体37が第1流路P1を閉じている状態において、バルブ本体37の先端が当接する弁座38、39を有している。
【0019】
なお、バルブユニット30は、必ずしも第1下流側筒体21bに設けられる必要はなく、第1上流側筒体21aに設けられる構成としても良い。即ち、バルブユニット30は、第1流路部21の任意の位置に設けることができる。
【0020】
図4及び
図5を参照する。以下適宜、回転軸部36が貫通している軸受部40を第1軸受部40といい、回転軸部36の先端を支持している有底状の軸受部50を第2軸受部50という。軸受部40、50という場合には、第1軸受部40及び第2軸受部50の両方を指す。
【0021】
第1軸受部40は、第1下流側筒体21bに固定されている略筒状の第1軸受ハウジング41(軸受ハウジング41)と、この第1軸受ハウジング41の内周面に密着して設けられ回転軸部36を回転可能に支持している第1軸受本体42(軸受本体42)と、を有する。
【0022】
第1軸受ハウジング41の素材には、例えば、ステンレス材等を用いることができる。第1軸受ハウジング41の末端は、アクチュエータ支持部33の内部に位置し、第1軸受ハウジング41の先端は、第1流路P1に臨んでいる。第1軸受ハウジング41の先端部分の外径D1は、第1下流側筒体21bに固定されている部分の外径D2よりも小さい。
【0023】
第1軸受本体42の素材には、例えば、ニッケル合金、ステンレス材等を用いることができる。第1軸受本体42は、第1軸受ハウジング41に圧入されている。筒状の第1軸受本体42の軸方向の長さは、第1軸受ハウジング41の軸方向の長さと同じである。また、第1軸受本体42の軸方向の両端は、第1軸受ハウジング41の軸方向の両端と同じ位置とされている。即ち、第1軸受本体42の軸方向の両端は、第1軸受ハウジング41の軸方向の両端と揃えられている。
【0024】
第2軸受部50は、第1下流側筒体21bに固定されている有底筒状の第2軸受ハウジング51(軸受ハウジング51)と、この第2軸受ハウジング51の内周面に密着して設けられ回転軸部36を回転可能に支持している第2軸受本体52(軸受本体52)と、を有する。
【0025】
第2軸受ハウジング51の素材には、例えば、ステンレス材等を用いることができる。第2軸受ハウジング51の末端は、アクチュエータ支持部33の内部に位置し、第2軸受ハウジング51の先端は、第1流路P1に臨んでいる。第2軸受ハウジング51の先端部分の外径(D1参照)は、第1下流側筒体21bに固定されている部分の外径(D2参照)よりも小さい。
【0026】
第2軸受本体52の素材には、例えば、ニッケル合金、ステンレス材等を用いることができる。第2軸受本体52は、第2軸受ハウジング51に圧入されている。筒状の第2軸受本体52は、末端が第2軸受ハウジング51の底部に当接している。一方、第2軸受本体52の先端は、第2軸受ハウジング51の先端と同じ位置とされている。即ち、第2軸受本体52の先端は、第2軸受ハウジング51の先端と揃えられている。
【0027】
図3を参照する。アクチュエータ支持部33は、略U字状を呈し、先端部分が第2流路部13の外周面に接合されている。アクチュエータ支持部33の底部には、アクチュエータ34の軸が貫通する穴部33aが開けられている。
【0028】
アクチュエータ34には、例えば、ステッピングモータを用いることができる。アクチュエータ34の軸の先端は、伝達部35を容易に且つ確実に連結することができるよう凹状に形成されている。アクチュエータ34は、冷却水の水温情報によって、制御部を介して通電されることで作動する。例えば、アクチュエータ34への通電は、制御部を介して行われる。
【0029】
伝達部35は、コイルばねによって構成される。伝達部35の一端はアクチュエータ34に連結され、他端は回転軸部36に連結されている。伝達部35は、アクチュエータ34の軸と共に回転する。また、伝達部35は、回転軸部36の軸線方向に伸縮可能である。
【0030】
なお、伝達部35は、必ずしもばねによって構成される必要はなく、カップリングを介して連結しても良い。また、アクチュエータ34と回転軸部36とを直接連結することも可能である。このとき、回転軸部36の熱による伸びを考慮して、相対的に軸線方向にスライド可能としておくことが好ましい。
【0031】
回転軸部36は、伝達部35が連結されている大径の大径部36aと、大径部36aの中心から延び第1流路部21及び第2流路部13を貫通している軸本体36bと、を有する。
【0032】
大径部36aは、軸本体36bよりも径が大きく、末端が伝達部35を連結するために凹状に形成されている。この凹状に形成された部位に伝達部35の先端が連結されている。
【0033】
図3を参照する。バルブ本体37は、軸本体36bの上流側の面を略半周に亘って覆い軸本体36bに固定されている固定部37aと、この固定部37aから上部及び下部にそれぞれ延び第1流路P1を開閉する略半円形状の開閉部37b、37bと、固定部37aの両端からそれぞれ軸線方向に延び軸受部40、50の先端をそれぞれ覆っている重ね部37c、37cと、を有している。
【0034】
図5を参照する。重ね部37c、37cは、固定部37aから連続していると共に、固定部37aの端部が膨出するような形状を呈している。重ね部37c、37cは、第1流路P1の全閉状態を基準として、第1軸受部40の先端の上流側のみを略半周に亘って覆っている。重ね部37cは、第1軸受部40の先端面から外周面までを連続して覆っている。第2軸受部50(
図3参照)についても同様である。
【0035】
図2を参照する。第1下流側筒体21bの内周面の下半分に沿って略半周に亘って設けられている弁座38を、適宜、下部弁座38という。下部弁座38は、バルブ本体37の上流側においてバルブ本体37の下半分をシールしている。また、第1下流側筒体21bの内周面の上半分に沿って略半周に亘って設けられている弁座39を、適宜、上部弁座39という。上部弁座39は、バルブ本体37の下流側においてバルブ本体37上半分をシールしている。
【0036】
水流路部14は、第2上流側筒体13aの外周を囲い第2上流側筒体13aの外周面との間に形成された水流路P3に水を流すことが可能な水流路本体14aと、この水流路本体14aに水を導入する管状の水導入管14bと、水流路本体14aを通過した水が排出される管状の水排出管14cと、を有する。
【0037】
熱交換体15は、例えば、セラミックや金属製のフィンによって構成される。熱交換体15は、下流側へ排気ガスを通過可能としている一方、通過する排気ガスの熱を受け取ることが可能である。熱交換体15の熱は、水流路部14内を流れる水に伝えられ、水が温められる。
【0038】
第2上流側筒体13aは、上流側の端部が排ガス導入部11及び水流路部14に1つのビードBによって接合されている。換言すれば、一度の溶接によって接合できる程度に排ガス導入部11の端部と水流路部14の端部とが近接して配置され、第2上流側筒体13a、排ガス導入部11、及び、水流路部14が一度のMIG溶接によって一体的に接合されている。
【0039】
図6を参照する。第2上流側筒体13aは、下流側の端部が水流路部14及び第2下流側筒体13bに1つのビードBによって接合されている。換言すれば、一度の溶接によって接合できる程度に水流路部14の端部と第2下流側筒体13bの端部とが近接して配置され、第2上流側筒体13a、水流路部14、及び、第2下流側筒体13bが一度のMIG溶接によって一体的に接合されている。
【0040】
図3を参照する。第2下流側筒体13bは、第1下流側筒体21bの側面において第1下流側筒体21bに当接している。この当接した部位において、第2下流側筒体13bは、第1下流側筒体21bと共に軸受40、50を支持している。軸受40、50は、第1下流側筒体21b及び第2下流側筒体13bの両方を貫通している。
【0041】
第2下流側筒体13bは、第1下流側筒体21bの上方と下方においてそれぞれ第1下流側筒体21bから離間するように膨出している。
【0042】
図2を参照する。例えば、車両の走行中において水は循環され、水導入管14bから水流路本体14aに導入され、水流路本体14aを通過して水排出管14cからエンジンに戻される。
【0043】
一方、水の温度が所定の温度未満であるときには、バルブ本体37は、第1流路P1を閉じている。このため、エンジンで発生した排気ガスは、排ガス導入部11から導入されて第2流路P2へ流れる。第2流路P2の外周には水が流されており、排気ガスの熱によって水が温められる。このとき、熱交換体15が設けられていることにより熱交換がより効率的に行われる。
【0044】
水の温度が所定の温度に達した際、アクチュエータ34(
図3参照)を作動し、バルブ本体37は第1流路P1を開放する。流路が広く、排気ガスのより流れやすい第1流路P1により多くの排気ガスが流れる。つまり、水を温める必要が無い状況において、排気ガスを円滑に排出することができる。
【0045】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
【0046】
図7には、実施例2による熱交換器10A(排ガス流路開閉装置20A)の要部の断面が示され、上記
図4に対応している。実施例1から、バルブユニット30Aを構成する第1軸受部40A及び第2軸受部50Aの構成を変更している。その他の基本的な構成については、実施例1と共通する。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0047】
第1軸受部40Aは、第1下流側筒体21bに固定されている略筒状の第1軸受ハウジング41A(軸受ハウジング41A)と、この第1軸受ハウジング41Aの内周面に密着して設けられ回転軸部36を回転可能に支持している第1軸受本体42と、を有する。
【0048】
第2軸受部50Aは、第1下流側筒体21bに固定されている有底筒状の第2軸受ハウジング51A(軸受ハウジング51A)と、この第2軸受ハウジング51の内周面に密着して設けられ回転軸部36を回転可能に支持している第2軸受本体52と、を有する。
【0049】
第1軸受ハウジング41A及び第2軸受ハウジング51Aは、全体の外径が同じ大きさとされている。
【0050】
<実施例3>
次に、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。
【0051】
図8には、実施例3による熱交換器10B(排ガス流路開閉装置20B)の要部の断面が示され、上記
図4に対応している。実施例1及び2から、バルブユニット30Bを構成する第1軸受部40B及び第2軸受部50Bの構成を変更している。その他の基本的な構成については、実施例1又は2と共通する。実施例1又は2と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0052】
第1軸受部40Bは、第1下流側筒体21bに固定されている略筒状の第1軸受ハウジング41A(軸受ハウジング41A)と、この第1軸受ハウジング41Aの内周面に密着して設けられ回転軸部36を回転可能に支持している第1軸受本体42Bと、この第1軸受本体42Bと共に第1軸受ハウジング41Aの内周面に密着して設けられ回転軸部36を回転可能に支持している第1カラー43Bと、を有する。
【0053】
第1軸受本体42Bの長さは、第1軸受ハウジング41Aの長さよりも短い。一方、第1軸受本体42Bと第1カラー43Bとを合わせた長さは、第1軸受ハウジング41Aの長さよりも長い。第1カラー43Bの先端は、第1流路P1に臨んでおり、第1軸受部40Bの先端の外径は、第1流路部21に固定されている部位の外径よりも小さい。
【0054】
第2軸受部50Bは、第1下流側筒体21bに固定されている略筒状の第2軸受ハウジング51A(軸受ハウジング51A)と、この第2軸受ハウジング51Aの内周面に密着して設けられ回転軸部36を回転可能に支持している第2軸受本体52Bと、この第2軸受本体52Bと共に第2軸受ハウジング51Aの内周面に密着して設けられ回転軸部36を回転可能に支持している第2カラー53Bと、を有する。
【0055】
第2軸受本体52Bの長さは、第2軸受ハウジング51Aの底部から先端までの長さよりも短い。一方、第2軸受本体52Bと第2カラー53Bとを合わせた長さは、第2軸受ハウジング51Aの底から先端までの長さよりも長い。第2カラー53Bの先端は、第1流路P1に臨んでおり、第2軸受部50Bの先端の外径は、第1流路部21に固定されている部位の外径よりも小さい。
【0056】
<実施例4>
次に、本発明の実施例4を図面に基づいて説明する。
【0057】
図9には、実施例4による熱交換器10C(排ガス流路開閉装置20C)の要部の断面が示され、上記
図4に対応している。実施例1乃至3から、バルブユニット30Cを構成する回転軸部36C及びバルブ本体37Cの構成を変更している。その他の基本的な構成については、実施例1乃至3のいずれかと共通する。実施例1乃至3のいずれかと共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0058】
回転軸部36Cは、軸受部40A、50Aに支持されている小径軸部36Ca、36Caと、小径軸部36Ca、36Caの間に位置し小径軸部36Ca、36Caの外径よりも大きい大径軸部36Cbと、を有する。大径軸部36Cbの外径は、軸受部40A、50Aの第1流路P1に臨んでいる部位の外径よりも大きい。
【0059】
大径軸部36Cbを構成することにより、バルブ本体37Cの固定部37aと重ね部37Ccとを、段差を介することなく連続して形成することができる。
【0060】
<実施例5>
次に、本発明の実施例5を図面に基づいて説明する。
【0061】
図10には、実施例5による熱交換器10D(排ガス流路開閉装置20D)の要部の断面が示され、上記
図4に対応している。実施例1乃至4から、バルブユニット30Dを構成する第1軸受部40D及び第2軸受部50Dの構成を変更している。その他の基本的な構成については、実施例1乃至4のいずれかと共通する。実施例1乃至4のいずれかと共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0062】
第1軸受部40Dは、第1下流側筒体21bに固定されている略筒状の第1軸受ハウジング41A(軸受ハウジング41A)と、この第1軸受ハウジング41Aの内周面に密着して設けられ回転軸部36を回転可能に支持している第1軸受本体42Dと、を有する。
【0063】
第1軸受本体42Dの長さは、第1軸受ハウジング41Aの長さよりも長い。第1軸受本体42Dの末端の位置と第1軸受ハウジング41Aの末端の位置が揃えられているため、第1軸受本体42Dの先端は、第1軸受ハウジング41Aの先端よりも突出し、この部分が第1流路P1に臨んでいる。また、第1軸受本体42Dの先端が突出していることにより、第1軸受部40Dの先端の外径は、第1流路部21に支持されている部位の外径よりも小さく形成されている。
【0064】
第2軸受部50Dは、第1下流側筒体21bに固定されている有底筒状の第2軸受ハウジング51A(軸受ハウジング51A)と、この第2軸受ハウジング51の内周面に密着して設けられ回転軸部36を回転可能に支持している第2軸受本体52Dと、を有する。
【0065】
第2軸受本体52Dの末端は、第2軸受ハウジング51Aの底部に当接している。一方、第2軸受本体52Dの先端は、第1軸受ハウジング41Aの先端よりも突出し、この部分が第1流路P1に臨んでいる。また、第2軸受本体52Dの先端が突出していることにより、第2軸受部50Dの先端の外径は、第1流路部21に支持されている部位の外径よりも小さく形成されている。
【0066】
以上に説明した熱交換器及び排ガス流路開閉装置について、以下に纏める。
【0067】
図4を参照する。第1に、排ガス流路開閉装置20は、内部に排気ガスが通過可能な第1流路P1が形成されている第1流路部21と、この第1流路部21に設けられ第1流路P1を開閉可能なバルブユニット30と、を有している。
【0068】
バルブユニット30は、第1流路部21に支持され先端が第1流路P1に臨んでいる軸受部40、50と、この軸受部40、50(第2軸受部50については
図3参照。以下同じ。)に回転可能に支持されている回転軸部36と、この回転軸部36に固定され第1流路P1を開閉可能なバルブ本体37と、を有している。バルブ本体37は、軸受部40、50の端部から軸受部40、50の外周面までを覆い、軸受部40、50から第1流路部21の下流側への排気ガスの漏れを抑制する重ね部37cを含む。
【0069】
重ね部37cを有することにより、バルブ本体37よりも下流に排気ガスが流れる場合には、重ね部37cを迂回してから固定部37aと軸受部40、50との先端との間を通過して、下流に流れることとなる。重ね部37cを迂回する必要がある分、バルブ本体37が閉じ状態における排気ガスの漏れを抑制することができる。即ち、排気ガスの漏れを抑制できる技術を提供することができる。排ガス流路開閉装置20A(
図7)、20B(
図8)、20C(
図9)、20D(
図10)についても同様である。
【0070】
第2に、第1の排ガス流路開閉装置20であって、軸受部40、50の先端の外径D1は、第1流路部21に支持されている部位の外径D2よりも小さい。これにより、軸受部40、50の外周まで覆うのに必要な重ね部37c、37cの曲げ量を小さくすることができる。これにより、バルブ本体37の成形性を高めることができると共に、バルブ本体37と軸受部40、50との間の空間面積をより小さくすることができる。排ガス流路開閉装置20B(
図8)、20D(
図10)についても同様である。
【0071】
図2を参照する。第3に、第1又は第2の排ガス流路開閉装置20であって、第1流路P1が閉じられた際に排気ガスが通過する第2流路P2が形成されている第2流路部13をさらに有している。第2流路部13は、軸受部40、50が設けられている位置において第1流路部21の外周に当接して設けられている。第1流路部21の外周に第2流路部13を設けることにより、コンパクトな排ガス流路開閉装置20を提供することができる。排ガス流路開閉装置20A(
図7)、20B(
図8)、20C(
図9)、20D(
図10)についても同様である。
【0072】
第4に、熱交換器10は、第3の排ガス流路開閉装置20と、第2流路部13の外周に設けられているとともに内部に水が流れる水流路P3が形成され、第2流路P2を通過する排気ガスの熱によって水流路P3を流れる水を温めることが可能な水流路部14と、を有している。第1流路部21の外周に第2流路部13を設け、さらに外周に水流路部14を設ける。これによりコンパクトな熱交換器10を提供することができる。熱交換器10A(
図7)、10B(
図8)、10C(
図9)、10D(
図10)についても同様である。
【0073】
第5に、第4の熱交換器10であって、第2流路部13は、排気ガスの流れる方向を基準として上流側に配置され、第2流路P2の一部を構成する筒体である第2上流側筒体13aと、この第2上流側筒体13aの下流側に配置され、第2流路P2の一部を構成する筒体である第2下流側筒体13bと、を有している。水流路部14は、第2上流側筒体13aの外周を囲うように設けられ、第2上流側筒体13a、第2下流側筒体13b、及び、水流路部14は、1つの溶接ビードBによって互いに接合されている。
【0074】
一度の溶接によって多くの部品を接合することにより、熱交換器10の製造に必要な時間を短くすることができる。また、一度の溶接によって互いに接合できる位置にそれぞれの部品を近づけて配置することにより、熱交換器10をコンパクトにすることができる。熱交換器10A(
図7)、10B(
図8)、10C(
図9)、10D(
図10)についても同様である。
【0075】
なお、第2下流側筒体13bの外周を第2上流側筒体13aによって囲い、第2下流側筒体13bの外周に水流路部14を設けた際にも同様の効果を得ることができる。
【0076】
本発明の熱交換器及び排ガス流路開閉装置は、車両に搭載された例によって説明を行ったが、車両以外にも搭載可能である。
【0077】
また、各実施例において2つの軸受部は、底部の有無以外については同じ構成の軸受部を用いた例を説明したが、第1軸受部と第2軸受部とで異なる構成の軸受部を用いることも可能である。
【0078】
本発明は、作用及び効果を奏する限りにおいて、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の熱交換器及び排ガス流路開閉装置は、四輪車に好適である。
【符号の説明】
【0080】
10、10A、10B、10C、10D…熱交換器
13…第2流路部、13a…第2上流側筒体、13b…第2下流側筒体
14…水流路部
20、20A、20B、20C、20D…排ガス流路開閉装置
21…第1流路部
30、30A、30B、30C、30D…バルブユニット
36、36C…回転軸部
37…バルブ本体、37c…重ね部
40、40A、40B、40D…第1軸受部(軸受部)
50、50A、50B、50D…第2軸受部(軸受部)
P1…第1流路
P2…第2流路
P3…水流路